JP2015218198A - 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融重合法による芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法において、異種構造量の更なる低減化が可能な、改良された製造方法を提供する。【解決手段】ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とから高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を得る芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含む溶融状態のポリカーボネートプレポリマーを準備する第一の工程と、ポリカーボネートプレポリマーの封止末端基量を測定する第二の工程と、測定された封止末端基量に基づいて、ポリカーボネートプレポリマーに対するジオール化合物の比率を決定する第三の工程と、決定された比率でポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とを反応させて高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を得る第四の工程と、を含み、第四の工程が、ポリカーボネートプレポリマーを準備してから200分以内に開始される。【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は耐熱性、耐衝撃性、透明性に優れるため、多くの分野において幅広く用いられている。このポリカーボネート樹脂の製造方法においては、従来多くの検討がなされている。その中で、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」ともいう)から誘導されるポリカーボネート樹脂は、界面重合法或いは溶融重合法の両製造方法により工業化されている。このうち界面重合法は環境面に於いて多くの問題を抱えているのが実情である。
また、溶融重合法は、界面重合法と異なり溶媒を使用しない等の利点を有しているが、重合が進行すると共に系内のポリマー粘度が急激に上昇し、副生する芳香族モノヒドロキシ化合物を効率よく系外に除去することが困難になり、反応速度が極端に低下して重合度を上げにくくなるという本質的な問題点を有している。よって、溶融重合法を用いて高分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するための有効な方法が求められている。
本発明者らは先に、高速な重合速度を達成し、良好な品質の芳香族ポリカーボネート樹脂を得る溶融重合法として、芳香族ポリカーボネートプレポリマー(以下、単に「プレポリマー」ともいう)の封止末端基をジオール化合物により連結して鎖延長する新しい方法を見出した(例えば、特許文献1〜4参照)。これらの方法によれば、プレポリマーの封止末端基をジオール化合物により連結して鎖延長することにより、Mwが30,000〜100,000程度の高分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂を短時間に製造することができるとされている。さらに高速な重合反応によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するため、長時間の熱滞留等による分岐・架橋化反応を抑制し、異種構造量を低減化できるとされている。また、末端水酸基濃度(末端OH基濃度)も低減化されるとされている。
ジオール化合物を用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法においては、プレポリマーに含まれる封止末端基量を測定する必要があり、その方法として特許文献1〜4には、H−NMR分析法が開示されている。一方、ポリカーボネート樹脂等の構造を評価する方法として、反応熱分解ガスクロマトグラフィーによる分析方法が知られている(非特許文献1)。
国際公開第2011/062220号 国際公開第2012/157766号 国際公開第2013/100072号 国際公開第2013/172317号
Japan analyst, Vol.60, No.3, pp.239-244 (2011)
溶融重合法による芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法においては、従来技術に比べて更なる異種構造量の低減化が求められている。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とを連結反応させる溶融重合法による芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、異種構造量の更なる低減化が可能な、改良された芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、高分子量化反応に供するプレポリマーの封止末端基量を迅速に測定し、プレポリマーを準備してから200分以内に高分子量化反応を開始することで、前記課題を解決しうることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の具体的手段は以下の通りであり、以下の態様を包含する。
<1> ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とから高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を得る芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含む溶融状態のポリカーボネートプレポリマーを準備する第一の工程と、ポリカーボネートプレポリマーの封止末端基量を測定する第二の工程と、測定された封止末端基量に基づいて、ポリカーボネートプレポリマーに対するジオール化合物の比率を決定する第三の工程と、決定された比率でポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とを反応させて高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を得る第四の工程と、を含み、第四の工程が、ポリカーボネートプレポリマーを準備してから200分以内に開始される製造方法である。
<2> 第二の工程が、反応熱分解ガスクロマトグラフィーを用いることを含む、<1>に記載の製造方法である。
<3> ポリカーボネートプレポリマーが下記一般式(I)で表される構成単位を含む、<1>又は<2>に記載の製造方法である。
Figure 2015218198
(式中、R及びRは、各々独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基、又は炭素数6〜20のアリールオキシ基を表し、p及びqは各々独立して、0〜4の整数を表し、Xは、単結合又は下記(Ia)の群から選択される基を表す)
Figure 2015218198
(ここで、R及びRは各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表すか、あるいはRとRは、相互に結合して脂肪族環を形成していてもよい)
<4> ポリカーボネートプレポリマーが下記一般式(II)で表される部分構造を含む、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の製造方法である。
Figure 2015218198
(式中、−O−Rは封止末端基であり、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す)
<5> ジオール化合物が下記一般式(A)で表される化合物である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の製造方法である。
Figure 2015218198
(一般式(A)中、R11〜R14はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表す。Qは、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルホン基、スルホキシド基、カルボニル基、ジアルキルシリル基及びジアリールシリル基からなる群から選択される少なくとも1種から構成され、置換基を有していてもよい2価の基又は単結合を表す)
<6> 第四の工程が、生成する環状カーボネートの少なくとも一部を反応系外へ除去する環状カーボネート除去工程を更に含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の製造方法である。
<7> ポリカーボネートプレポリマーの封止末端基量が2〜20モル%である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の製造方法である。
<8> ポリカーボネートプレポリマーの重量平均分子量が5,000以上35,000未満であり、芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が35,000以上70,000以下である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の製造方法である。
<9> 第四の工程が、封止末端基量が2〜20モル%であるポリカーボネートプレポリマーと、ポリカーボネートプレポリマーの全末端基量1モルに対して0.01〜1.0モルであるジオール化合物とを反応させることを含む、<8>に記載の製造方法である。
<10> <1>〜<9>のいずれか1つに記載の製造方法に用いられ、反応熱分解ガスクロマトグラフィーで測定される封止末端基量が2〜20モル%であるポリカーボネートプレポリマーである。
<11> 芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含み、反応熱分解ガスクロマトグラフィーで測定される封止末端基量が2〜20モル%であるポリカーボネートプレポリマーである。
本発明によれば、ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とを連結反応させる溶融重合法による芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、異種構造量の更なる低減化が可能な、改良された芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とから高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を得る芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネートプレポリマーを準備する第一の工程と、ポリカーボネートプレポリマーの封止末端基量を測定する第二の工程と、測定された封止末端基量に基づいて、ポリカーボネートプレポリマーに対するジオール化合物の比率を決定する第三の工程と、決定された比率でポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とを反応させる第四の工程と、を含み、第四の工程が、ポリカーボネートプレポリマーを準備してから200分以内に開始される。
プレポリマーの封止末端基量を測定し、その測定値に基づいてジオール化合物の添加量を決定し、プレポリマーを準備してから200分以内に高分子量化反応を開始することで、高分子量化反応が円滑に進行して所望の重量平均分子量を有し、異種構造量の生成が低減化された品質に優れる高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を効率的に製造することができる。また、製造工程に要する時間が短縮され、生産性が向上する。更に連続法で製造する場合には、破棄されるプレポリマー量を大幅に低減することができる。
プレポリマーとジオール化合物とを連結反応(例えば、エステル交換反応)させて、高分子量化する芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程においては、プレポリマーを調製した後、反応器内、溶融貯蔵槽内及びこれらを繋ぐ配管等内におけるプレポリマーの滞留時間が長時間に及ぶとプレポリマー自体に異種構造(分岐構造)が自然発生する傾向がある。その結果、連結反応後に得られる芳香族ポリカーボネート樹脂についても、異種構造の増加、色相の悪化等により品質が低下する場合がある。
プレポリマーの滞留時間とは、例えば、バッチ式で連結反応を行う場合、適切なジオール化合物量を決定する為に、前記プレポリマーの封止末端基量を解析する時間等が含まれる。すなわち、プレポリマーに対するジオール化合物の適切な反応量比を決定するまで、プレポリマーを溶融状態で不要に滞留(保管・保持)することになり兼ねない。熱滞留時間を少なくする目的で、一旦前記プレポリマーを冷却固化した後、再度、溶融して連結反応に使用する場合もあるが、冷却、溶融する間も不要な熱滞留時間が発生することに変わりはない。
プレポリマーを調製する工程からジオール化合物との連結反応、添加剤等の混練工程等の各種工程を連続的に行う場合においては、一般的に製造装置を一時的に停止することは難しい為、プレポリマーの封止末端基量を解析する間、プレポリマーの損失が生じる場合がある。
また、ジオール化合物の反応量比が適切ではない場合には、所望の分子量に到達できなかったり、所望の分子量に到達させるために時間を有し、これにより異種構造量の増加、色相の悪化等により品質が低下したりする場合がある。
[第一の工程]
第一の工程では、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含む溶融状態のプレポリマーを準備する。第一の工程は、芳香族ジヒドロキシ化合物から溶融状態のプレポリマーを調製する工程、プレポリマー市販品、予め別途調製されたプレポリマー等を反応装置又は貯槽に投入、溶融等の処理を行い連結反応に供する準備をする工程等のいずれであってもよく、芳香族ジヒドロキシ化合物からプレポリマーを調製する工程であることが好ましい。
プレポリマーを調製する工程には、公知のポリカーボネート調製方法から適宜選択した調製方法を適用することができる。ポリカーボネート調製方法としては、芳香族ジヒドロキシ化合物を塩基性触媒の存在下に炭酸ジエステルと反応させる公知のエステル交換法(溶融重合法ともいう)、芳香族ジヒドロキシ化合物を酸結合剤の存在下にホスゲン等と反応させる公知の界面重合法、固相重合法、薄膜重合法等を挙げることができる。これらの中でもエステル交換法(溶融重合法)を好ましく適用することができる。
またプレポリマーには、使用済みディスク成形品等の使用済み製品から回収されたポリカーボネートなどを用いることも可能である。これらのポリカーボネートは混合して反応前のプレポリマーとして利用しても差し支えない。例えば界面重合法で重合したポリカーボネートと溶融重合法で重合したポリカーボネートとを混合してもよく、また、溶融重合法あるいは界面重合法で重合したポリカーボネートと使用済みディスク成形品等から回収されたポリカーボネートとを混合して用いても構わない。
プレポリマーの構造は芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する部分構造を有する限り特に制限されない。プレポリマーは例えば下記一般式(I)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Figure 2015218198
式中、R及びRは各々独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基、又は炭素数6〜20のアリールオキシ基を表し、p及びqは各々独立して、0〜4の整数を表し、Xは、単結合又は下記(Ia)の群から選択される基を表す。なお、*は結合位置であることを示す。
Figure 2015218198
ここで、R及びRは各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表すか、あるいはRとRは、相互に結合して脂肪族環を形成していてもよい。
一般式(I)で表される構成単位に誘導される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(I’)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015218198
前記一般式(I’)中、R、R、p、q及びXは、各々前記一般式(I)におけるR、R、p、q及びXと同義である。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等が挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが芳香族ジヒドロキシ化合物としての安定性、更にはそれに含まれる不純物の量が少ないものの入手が容易である点等の理由により好ましいものとして挙げられる。
本発明においては、芳香族ジヒドロキシ化合物を1種単独で用いてもよく、ガラス転移温度の制御、流動性の向上等を目的として、前記各種芳香族ジヒドロキシ化合物のうち複数種を必要に応じて組み合わせて用いてもよい。
プレポリマーは、一般式(I)で表される構成単位以外のその他の構成単位を更に含む場合がある。その他の構成単位としては、下記一般式(III)で表される構成単位に代表される分岐を有する異種構造の構成単位、後述する連結剤に由来する構成単位等を挙げることができる。
Figure 2015218198
一般式(III)におけるXは、一般式(I)におけるXと同義である。
プレポリマーが一般式(III)で表される構成単位を含む場合、その含有率はプレポリマー中に、質量基準で例えば1000ppm未満であり、好ましくは800ppm以下であり、より好ましくは700ppm以下であり、更に好ましくは600ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。プレポリマー中の一般式(III)で表される構成単位の含有率が1000ppm未満であると、ジオール化合物と連結反応した後に得られる芳香族ポリカーボネート樹脂中の分岐度が減少し、熱安定性がより向上する傾向がある。また、これらの異種構造の構成単位は自然発生する分岐構造である。したがってこれらの異種構造の構成単位の含有率が所定量以上であると、分岐化剤の添加量により容易に分岐度を制御するのが難しくなる、各種添加剤との配合・分散性が悪化する、得られる樹脂組成物の流動性が低下し成形性が悪化する等のデメリットが生じる場合がある。
一般式(III)で表される構成単位の含有率の下限は特に制限されないが、例えば、検出下限値(通常1ppm程度)とすることができる。プレポリマーにおける一般式(III)で表される構成単位の含有率の下限値は、例えば1ppm以上(検出下限値)であり、場合により5ppm以上、更に10ppm以上であることが許容される。
なお、前記一般式(III)で表される構成単位の含有率は、H−NMR解析により測定された質量基準の値である。
プレポリマーは、封止末端である下記一般式(II)で表される部分構造を含むことが好ましく、下記一般式(II)で表される部分構造を2つ含むことがより好ましい。一般式(II)で表される部分構造は、封止末端基を含む部分構造であり、ジオール化合物との反応により、プレポリマーを連結して高分子量化することができる。
Figure 2015218198
式中、−O−Rは封止末端基であり、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。
で表されるアルキル基は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、直鎖又は分岐鎖であることが好ましい。またアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、ドデシル基等を挙げることができる。
で表されるアリール基の炭素数は6〜10が好ましい。アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
で表されるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜のアルコキシカルボニル基などを挙げることができる。置換基としてのアルキル基及びアルコキシ基は更にハロゲン原子等で置換されていてもよい。
置換基を有する場合、置換基の数は特に制限されず、例えば1〜12であり、好ましくは1〜5である。
プレポリマーが末端に有するより好ましい部分構造は、下記一般式(IIa)で表される部分構造である。
Figure 2015218198
式中、R21はハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基又は炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基を表す。iは0〜3の整数を表し、好ましくは0又は1である。
21で表されるアルキル基及びアルコキシ基のアルキル基部分は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、直鎖又は分岐鎖であることが好ましい。またアルキル基又はアルコキシ基の炭素数は1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜12が更に好ましい。
21で表されるアルキル基、アルコキシ基又はアリール基は更に置換基を有していてもよい。置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;フェニル基、ナフチル基等のアリール基などを挙げることができる。
21で表されるアルキル基、アルコキシ基又はアリール基が置換基を有する場合、置換基の数は特に制限されず、例えば1〜3であり、好ましくは1〜2である。
一般式(II)におけるRとして具体的には、フェニル基、クレジル基、o−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、ビフェニル基、o−メトキシカルボニルフェニル基、p−クミルフェニル基などを挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
更にこれらの中でも、ジオール化合物との反応で反応系より除去されやすい低沸点の芳香族モノヒドロキシ化合物に由来する封止末端基が好ましく、Rとしてはフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基などが特に好ましい。
プレポリマーの主な末端構造として、封止末端の他、芳香族ジヒドロキシ化合物由来の末端(末端水酸基)等が挙げられる。これらの末端構造の総量を全末端基量とする。封止末端の割合は、プレポリマーの全末端基量100モル%に対して60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましい。
また、プレポリマーに含まれる芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位の総モル数に対する封止末端基の割合である封止末端基量(全構成単位に対する封止末端基の割合)は2モル%以上、好ましくは2〜20モル%、特に好ましくは2〜12モル%である。封止末端基量が2モル%以上の場合にジオール化合物との反応が速やかに進行する。
ここでいう「プレポリマーの全末端基量」は、例えば分岐の無いポリカーボネート(すなわち、鎖状ポリマー)0.5モルがあれば、全末端基量は1モルであるとして計算される。なお、後述する「芳香族ポリカーボネート樹脂の全末端基量」についても同様である。
プレポリマーに含まれる封止末端基量の測定方法については後述する。また、プレポリマーに含まれる末端水酸基濃度は、Ti複合体による分光測定によって測定することが可能である。更に末端水酸基濃度はH−NMR解析により測定することも可能である。同評価による末端水酸基濃度としては1,500ppm以下が好ましく、さらに好ましくは1,000ppm以下が好適である。この範囲以下の末端水酸基濃度又はこれに対応する範囲を超える封止末端基量であると、ジオール化合物との反応が進行し易くなる傾向がある。
プレポリマーにおける封止末端基は、界面重合法においてはプレポリマー製造時に末端停止剤を用いることにより導入することができる。末端停止剤の具体例としては、p−tert−ブチルフェノール、フェノール、p−クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。末端停止剤の使用量は、所望するプレポリマーの封止末端基量(すなわち所望するプレポリマーの分子量)や反応装置、反応条件等に応じて適宜決定することができる。
また、溶融重合法においては、プレポリマー製造時にジフェニルカーボネートのような炭酸ジエステルを芳香族ジヒドロキシ化合物に対して過剰に使用することにより、封止末端基を導入することができる。反応に用いる装置及び反応条件にもよるが、具体的には芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して炭酸ジエステルを1.00〜1.30モル、より好ましくは1.02〜1.20モル使用する。これにより、所望の封止末端基量を満たすプレポリマーが効率的に得られる。
本発明におけるプレポリマーとして好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応(エステル交換反応)させて得られる封止末端基を有するプレポリマーを使用する。
また、プレポリマーは、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位に加えて、一分子中に3個以上の官能基を有する多官能化合物に由来する構成単位を含んでいてもよい。このような多官能化合物としてはフェノール性水酸基、カルボキシ基を有する化合物が好ましく使用される。
さらにプレポリマーは、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位に加えて、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位を含むポリエステルカーボネートであってもよい。ジカルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が好ましい。これらのジカルボン酸に由来する構成単位は、例えば、プレポリマーの製造時にジカルボン酸化合物の酸クロリド又はエステル化合物として反応させることでプレポリマーに導入することができる。プレポリマーがジカルボン酸化合物に由来する構成単位を含む場合、プレポリマーを製造する際に、ジカルボン酸化合物を、芳香族ジヒドロキシ化合物とジカルボン酸化合物との合計100モル%に対して、0.5〜45モル%の範囲で使用することが好ましく、1〜40モル%の範囲で使用することがより好ましい。
プレポリマーの分子量としては、重量平均分子量Mwが5,000以上35,000未満であることが好ましい。より好ましくはMwが15,000以上35,000未満、さらに好ましくは20,000以上35,000未満、特に好ましくは20,000以上33,000以下の範囲である。
この範囲内の分子量のプレポリマーを使用すると、プレポリマー自体の粘度が低いため、プレポリマーの製造を高温、高剪断、長時間にて実施する必要がなくなり、及び/又は、ジオール化合物との反応を高温、高剪断、長時間にて実施する必要がなくなる傾向がある。
プレポリマーにおける数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比である分子量分布(Mw/Mn)は、例えば1.9〜2.5であり、2.0〜2.4であることが好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPCを用いてポリスチレン換算値として測定される。
[第二の工程]
第二の工程では、第一の工程で準備された溶融状態のプレポリマーに含まれる封止末端基量を測定する。プレポリマーにおける封止末端基量は、H−NMR法、熱分解ガスクロマトグラフィー法、反応熱分解ガスクロマトグラフィー法等により測定することができる。これらの中でも、測定の迅速性、精確性の観点から、H−NMR法又は反応熱分解ガスクロマトグラフィー法が好ましく、反応熱分解ガスクロマトグラフィー法がより好ましい。
H−NMR法による封止末端基量の測定方法は、例えば、国際公開第2013/100072号等に記載の方法に準じて行うことができる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来するシグナルの積分値と封止末端基に由来するシグナルの積分値とから封止末端基量を測定することができる。
また、反応熱分解ガスクロマトグラフィー法による封止末端基量の測定方法は、例えば、Japan analyst, Vol.60, No.3, pp.239-244 (2011)等に記載の方法に準じて行うことができる。反応熱分解ガスクロマトグラフィーは、有機アルカリ等の反応試薬の共存下において、化学反応を加味した熱分解を行い、熱分解物をガスクロマトグラフィーで分析する手法である。例えば、反応試薬として水酸化テトラメチルアンモニウム((CHNOH)の共存下でプレポリマーを反応熱分解することでカーボネート結合が選択的かつ効率的に加水分解されると同時に、分解物はガスクロマトグラフィー測定に適したメチル誘導体に変換されて検出される。これにより、迅速かつ精確に封止末端基量を測定することができる。
反応熱分解ガスクロマトグラフィー法は、熱分解部を備えたガスクロマトグラフィー測定装置を用いて行うことができる。熱分解部としては、市販されている熱分解装置から適宜選択することができる。またガスクロマトグラフィー測定装置も市販されている装置から適宜選択することができる。更にガスクロマトグラフィーの検出部は、検出される成分を定量可能であれば特に制限されず、通常用いられる検出部から適宜選択でき、例えば、FID、MS等を用いることができる。
反応熱分解ガスクロマトグラフィー法を用いて封止末端基量を測定する場合、検出される各成分に対応するピークの面積を各成分の質量に相当するとし、更に各成分の分子量を考慮して、各成分のモル比を算出することができる。
[第三の工程]
第三の工程では、第二の工程で測定されたプレポリマーに含まれる封止末端基量に基づいて、プレポリマーに対するジオール化合物の比率を決定する。
プレポリマーに対するジオール化合物の比率は、封止末端基1モルに対して0.01〜1.0モルが好ましく、0.1〜1.0がより好ましく、0.2〜0.7モルが更に好ましい。ジオール化合物の比率を前記範囲とすることで、所望の重量平均分子量を有し、異種構造の生成が抑制された高品質の芳香族ポリカーボネート樹脂を効率的に製造することができる。
ただし、ジオール化合物として比較的沸点が低い(例えば、350℃未満)ものを使用するときは、反応条件によっては一部が揮発などにより反応に関与しないまま系外へ出る可能性を考慮して、予め過剰量を添加することもできる。例えば、プレポリマーの封止末端基量1モルに対して最大50モル、好ましくは10モル、より好ましくは5モル添加することもできる。
[第四の工程]
第四の工程では、第三の工程で決定された比率で、プレポリマーとジオール化合物とを反応させて、高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を得る。
本発明の製造方法において第四の工程は、溶融状態のプレポリマーを準備した時点から200分以内に開始されるが、好ましくは150分以内であり、より好ましくは120分以内であり、更に好ましくは100分以内、最も好ましくは50分以内である。プレポリマーを準備してから所定の時間内に高分子量化反応が開始されることで、異種構造の生成をより効果的に抑制することができ、生産性がより向上する。
ここで「溶融状態のプレポリマーを準備した時点」とは、本発明の製造方法をバッチ式で実施する場合には、所望の溶融状態のプレポリマーが得られた時点を基準とし、連続式で実施する場合には、所望のプレポリマーをプレポリマー調製装置から溶融状態で取り出した時点を基準とする。
また、「第四の工程の開始」は、プレポリマーとジオール化合物との反応を開始する時点を基準とする。
第四の工程に用いるジオール化合物は、プレポリマーの連結高分子量化を可能とするジオール化合物であれば特に制限されない。ジオール化合物は下記一般式(A)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2015218198
一般式(A)中、R11〜R14はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表す。Qは、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルホン基、スルホキシド基、カルボニル基、ジアルキルシリル基及びジアリールシリル基からなる群から選択される少なくとも1種から構成され、置換基を有していてもよい2価の基又は単結合を表す。
一般式(A)で表されるジオール化合物としてより好ましいものは、下記一般式(1a)で表される化合物である。
Figure 2015218198
一般式(1a)中、Ra及びRbは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数3〜30のシクロアルキル基、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基を表すか、あるいはRa及びRbは相互に結合して環を形成していてもよい。R11〜R14は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表す。nは0〜30の整数を表す。
一般式(A)で表されるジオール化合物としてより好ましいものは、下記一般式(1b)で表される化合物である。一般式(1b)中、Ra及びRbは、一般式(1a)におけるRa及びRbとそれぞれ同義である。
Figure 2015218198
一般式(1b)中、Ra及びRbは各々独立して、好ましくは水素原子又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、さらに好ましくは炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基である。特に好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、及びイソブチル基が挙げられ、好ましくはエチル基、プロピル基、n−ブチル基、及びイソブチル基が挙げられる。
ジオール化合物として具体的には、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジイソブチルプロパン−1,3−ジオール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、エタン−1,2−ジオール(1,2−エチレングリコール)、2,2−ジイソアミルプロパン−1,3−ジオール及び2−メチルプロパン−1,3−ジオールが挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジイソブチルプロパン−1,3−ジオール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール及び2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオールからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。
ジオール化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
また、ジオール化合物の他の例としては、以下の構造式を有する化合物が挙げられる。
Figure 2015218198
第四の工程においては、プレポリマーに一般式(A)で表されるジオール化合物を、第三の工程で決定した比率で添加混合し、例えば、エステル交換触媒の存在下、高分子量化反応器内で高分子量化反応(例えば、エステル交換反応)を行うことが好ましい。
ジオール化合物の添加混合方法については特に制限されない。ジオール化合物として沸点の比較的高いもの(沸点約350℃以上)を使用する場合には、ジオール化合物は、減圧度10torr(1333Pa以下)以下の高真空下で、直接高分子量化反応器へ供給することが好ましい。より好ましくは、減圧度2.0torr以下(267Pa以下)、より好ましくは0.01〜1torr(1.3〜133Pa以下)である。ジオール化合物を高分子量化反応器へ供給する際の減圧度が不充分であると、副生物(例えば、フェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物)によるプレポリマー主鎖の開裂反応が進行してしまい、高分子量化するためには反応混合物の反応時間を長くせざるを得なくなる場合がある。
一方、ジオール化合物として沸点の比較的低いもの(沸点約350℃未満)を使用する場合には、プレポリマーとジオール化合物とを比較的ゆるやかな減圧度で混合することもできる。例えば、プレポリマーとジオール化合物と常圧に近い圧力で混合してプレポリマー混合物としたのち、該プレポリマー混合物を減圧条件下の高分子量化反応に供することにより、沸点の比較的低いジオール化合物であっても揮発が最小限に抑えられ、過剰に使用する必要性がなくなる。
高分子量化反応はエステル交換触媒の存在下に行われることが好ましい。高分子量化反応に使用されるエステル交換触媒(以下、単に「触媒」ともいう)としては塩基性化合物が挙げられ、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物、含窒素化合物等が挙げられる。
このような化合物としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属等の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物及びアルコキシド;4級アンモニウムヒドロキシド及びそれらの塩;アミン類等が好ましく用いられ、これらの化合物は単独もしくは組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が用いられる。
アルカリ土類金属化合物としては、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
含窒素化合物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル基及び/又はアリール基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム、水素化ホウ素テトラブチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸テトラフェニルアンモニウム等の塩基あるいは塩基性塩等が用いられる。
エステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛の塩等も好ましく用いられ、これらは単独もしくは組み合わせて用いることができる。
これらのエステル交換触媒として具体的には、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)等が挙げられる。
これらの触媒は、プレポリマーを構成する芳香族ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、1×10−9〜1×10−3モルの比率で、好ましくは1×10−7〜1×10−5モルの比率で用いられる。
プレポリマーとジオール化合物との高分子量化反応に使用する温度としては、240℃〜320℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは260℃〜310℃、より好ましくは280℃〜310℃である。
また、減圧度としては13kPa(100torr)以下が好ましく、さらに好ましくは1.3kPa(10torr)以下、より好ましくは0.67〜0.013kPa(5〜0.1torr)である。
プレポリマーとジオール化合物との高分子量化反応により、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択すればよい。芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、例えば、35,000以上70,000以下であり、好ましくは40,000以上65,000以下、より好ましくは40,000以上60,000以下である。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、プレポリマーの重量平均分子量(Mw)よりも5,000以上高められていることが好ましく、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは15,000以上高められている。
芳香族ポリカーボネート樹脂における数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比である分子量分布(Mw/Mn)は、例えば1.9〜2.5であり、2.0〜2.4であることが好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPCを用いてポリスチレン換算値として測定される。
芳香族ポリカーボネート樹脂においては、下記数式(1)で表されるN値(構造粘性指数)が、好ましくは1.30以下、より好ましくは1.28以下、特に好ましくは1.25以下、最も好ましくは1.23以下である。
N値=(log(Q160値)−log(Q10値))/(log160−log10) ・・・(1)
前記数式(1)中、Q160値は280℃、荷重160kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(ml/sec)を表し、Q10値は280℃、荷重10kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(ml/sec)を表す。
構造粘性指数「N値」は、芳香族ポリカーボネート樹脂の分岐化度の指標とされる。芳香族ポリカーボネート樹脂においては、N値は低く、分岐構造の含有割合が少なく直鎖構造の割合が高いことが好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂は一般に、同じMwにおいては分岐構造の割合が多くなると流動性が高くなる(Q値が高くなる)傾向にあるが、後述する製造方法で得られる芳香族ポリカーボネート樹脂は、N値を低く保ったまま高い流動性(高いQ値)を達成することができる。
本発明の製造方法で製造される芳香族ポリカーボネート樹脂においては、従来の溶融重合法によって製造される芳香族ポリカーボネート樹脂よりも異種構造の含有量が低減されている。芳香族ポリカーボネート樹脂に含まれる異種構造は、プレポリマーにおける異種構造と同様である。
本発明の製造方法で製造される芳香族ポリカーボネート樹脂における異種構造は、一般式(III)で表される構造単位の含有率として、例えば2000ppm以下であり、好ましくは1500ppm以下、より好ましくは1000ppm以下である。
(環状カーボネート除去工程)
高分子量化反応の過程においては、プレポリマーとジオール化合物との反応が進行するとともに、ジオール化合物の構造に対応した構造を有する環状体である環状カーボネートが副生する場合がある。その場合、副生する環状カーボネートを反応系外へ除去する工程(環状カーボネート除去工程)が更に含まれることが好ましい。これによって、プレポリマーの高分子量化が更に進行し、最終的には従来のホモポリカーボネート(例えば、ビスフェノールA由来のホモポリカーボネート樹脂)とほぼ同じ構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる。
第四の工程と環状カーボネート除去工程とは、必ずしも物理的及び時間的に別々の工程とする必要はなく、実際には同時に行われることが好ましい。好ましい製造方法は、プレポリマーとジオール化合物とを、エステル交換触媒の存在下に反応させて高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を得るとともに、前記高分子量化反応で副生する環状カーボネートの少なくとも一部を反応系外へ除去する工程を含むものである。
ジオール化合物として一般式(1a)で表される化合物を用いる場合、副生する環状カーボネートは、下記一般式(2a)で表される構造を有する化合物である。
Figure 2015218198
一般式(2a)中、R11〜R14、Ra、Rb及びnは、一般式(1a)におけるR11〜R14、Ra、Rb及びnとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
副生する環状カーボネートは使用するジオール化合物に対応する構造を有しており、ジオール化合物由来の環状体であると考えられるが、このような高分子量化とともに環状カーボネートが副生される反応機構は、必ずしも明らかではない。
環状カーボネートの除去方法としては、例えば同じく副生するフェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物及び未反応のジオール化合物などとともに反応系より留去する方法が挙げられる。反応系より留去する場合の温度は、240℃〜320℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは260℃〜310℃、より好ましくは280℃〜310℃である。
環状カーボネートの除去については、副生する環状カーボネートの少なくとも一部について行う。副生する環状カーボネートの芳香族ポリカーボネート樹脂中の残存量の好ましい上限は3000ppmである。すなわち、本発明の前記一般式(1a)で表される構造を有するジオール化合物を用いた製造方法では、芳香族ポリカーボネート樹脂中の前記一般式(2a)で表される構造を有する環状カーボネートの含有量が例えば3000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、特に好ましくは300ppm以下である。その場合、前記一般式(2a)で表される構造を有する環状カーボネートの含有割合の下限は、通常は検出限界値となり、好ましくは0.0005ppm以上である。
なお、環状カーボネートの含有割合は、GC−MSで測定した値である。
反応系外へ留去された環状カーボネートは、その後加水分解、精製等の工程を経て回収・再利用(リサイクル)することができる。環状カーボネートとともに留去されるフェノール等についても同様に回収し、ジフェニルカーボネート製造工程へ供給して再利用することができる。
(その他の製造条件)
プレポリマーとジオール化合物との高分子量化反応における反応装置の種類や釜の材質などは公知のいかなるものを用いてもよく、連続式で行ってもよくまたバッチ式で行ってもよい。前記反応を行うに際して用いられる反応装置は、錨型攪拌翼、マックスブレンド攪拌翼、ヘリカルリボン型攪拌翼等を装備した縦型であっても、パドル翼、格子翼、メガネ翼等を装備した横型であってもスクリューを装備した押出機型であってもよく、また、これらを重合物の粘度を勘案して適宜組み合わせた反応装置を使用することが好適に実施される。好ましくは横型撹拌効率の良い回転翼を有し、減圧条件にできるユニットをもつものである。さらに好ましくは、ポリマーシールを有し、脱揮構造をもつ2軸押出機あるいは横型反応機である。
装置の材質としては、SUS310、SUS316やSUS304等のステンレスや、ニッケル、窒化鋼などポリマーの色調に影響のない材質が好ましい。また装置の内側(ポリマーと接触する部分)には、バフ加工あるいは電解研磨加工を施したり、クロムなどの金属メッキ処理を行ったりしてもよい。
高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂に、触媒失活剤(以下、単に「失活剤」ともいう)を適用してもよい。一般的に失活剤としては公知の酸性物質等が挙げられ、これら失活剤の添加による触媒の失活が好適に実施される。これらの失活剤として具体的には、パラトルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類、パラトルエンスルホン酸ブチル等の芳香族スルホン酸エステル類、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等の芳香族スルホン酸塩、ステアリン酸クロリド、酪酸クロリド、塩化ベンゾイル、トルエンスルホン酸クロリド、塩化ベンジル等の有機ハロゲン化物、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸塩、リン酸類、亜リン酸類等が挙げられる。
これらのうちで、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸ブチル、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、及びパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩からなる群から選択される触媒失活剤が好適に用いられる。
触媒失活剤の添加は、前記高分子量化反応終了後に従来公知の方法でポリカーボネート樹脂に混合することができる。例えば、ターンブルミキサーやヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサーで代表される高速ミキサーで分散混合した後、押出機、バンバリーミキサー、ロール等で溶融混練する方法が適宜選択される。
触媒失活後、ポリマー中の低沸点化合物を0.013〜0.13kPa(0.1〜1torr)の圧力、200〜350℃の温度で脱揮除去する工程を設けてもよく、このためには、パドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新能の優れた攪拌翼を備えた横型装置、あるいは薄膜蒸発器が好適に用いられる。好ましくは、ポリマーシールを有し、ベント構造をもつ2軸押出機あるいは横型反応機である。
<ポリカーボネートプレポリマー>
本発明のポリカーボネートプレポリマーは、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含み、反応熱分解ガスクロマトグラフィーで測定される封止末端基量が2〜20モル%である。ポリカーボネートプレポリマーは上記の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法に用いられるものであることが好ましい。
ポリカーボネートプレポリマーの封止末端基量は、好ましくは2〜12モル%である。
反応熱分解ガスクロマトグラフィーで測定される封止末端基量が、特定の範囲であるポリカーボネートプレポリマーを用いて、高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を製造することで、異種構造量が少なく、品質に優れる芳香族ポリカーボネート樹脂を製造することができる。特に、ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とをエステル交換触媒の存在下に高分子量化して芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることを含む製造方法に適用する場合に、優れた品質の芳香族ポリカーボネート樹脂を効率的に製造することが可能となる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。なお、実施例中の測定値は、得られたプレポリマー又は芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、両者に共通する場合は、まとめて「ポリカーボネート」ともいう)の分析及び物性評価は、以下の方法又は装置を用いて測定した。
(1)重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn):
GPCを用い、クロロホルムを展開溶媒として、分子量既知(分子量分布=1)の標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、“PStQuickMP-M”)を用いて検量線を作成した。測定した標準ポリスチレンから各ピークの溶出時間と分子量値をプロットし、3次式による近似を行い、較正曲線とした。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下の計算式により、ポリスチレン換算値として求めた。
[計算式]
Mw=Σ(W×M)÷Σ(W
Mn=Σ(N×M)÷Σ(N
ここで、iは分子量Mを分割した際のi番目の分割点、Wはi番目の重量、Nはi番目の分子数、Mはi番目の分子量を表す。また分子量Mとは、較正曲線の同溶出時間でのポリスチレン分子量値を表す。
(2)分子量分布(Mw/Mn)
ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)及びポリスチレン換算数平均分子量(Mn)より以下の計算式より求めた。
[計算式]
分子量分布=Mw/Mn
[測定条件]
装置;東ソー株式会社製、HLC−8320GPC
カラム;ガードカラム:TSK guard column Super MPHZ-M×1本
分析カラム:TSKgel Super Multipore HZ-M×3本
溶媒;HPLCグレードクロロホルム
注入量;10μL
試料濃度;0.2w/v%HPLCグレードクロロホルム溶液
溶媒流速;0.35ml/min
測定温度;40℃
検出器;RI
(3)末端水酸基濃度(ppm)
H−NMRの解析結果から末端水酸基を観測することによって測定した。
H−NMRによるプレポリマー(PP)中の末端水酸基濃度は、樹脂サンプル0.05gを1mlの重水素置換クロロホルム(0.05w/v%TMS含有)に溶解し、23℃でH−NMRを測定することで求めた。具体的には、4.7ppmの水酸基ピークと7.0〜7.5ppm付近のフェニル及びフェニレン基(末端フェニル基及びBPA骨格由来のフェニレン基)の積分比より、PP中の末端水酸基濃度(OH濃度)を算出した。
なお、H−NMRの測定条件の詳細は以下のとおりである。
装置:日本電子社製LA−500(500MHz)
測定核:
Relaxation delay:1s
x_angle:45deg
x_90_width:20μs
x_plus:10μs
scan:500times
(4)封止末端基量;反応熱分解ガスクロマトグラフィー法
以下の装置、及び装置条件の反応熱分解ガスクロマトグラフィーの解析結果から求めた。
試料の前処理:
試料100mgを20mlのクロロホルムに溶解した溶液10μlと10%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのメタノール溶液5μlを試料用カップへ入れ、溶媒を乾燥除去した後、縦型加熱炉型(据え付けタイプ)の熱分解装置へセットし、測定した。
装置の詳細:
熱分解部:
Instrument ;Frontier Lab. EGA/PY-3030D
Heating temp. ;420℃
Interface temp. ;320℃
ガスクロマトグラフィー部:
QMS ;Agilent-5975C inert XL MSD
Ionization ;EI+ 70eV
GC ;Agilent-6890N
Column ;CP-Sil 8CB for Amines(φ0.25mm×30m×t0.5μm)
Oven temp. ;50℃(5min)-20℃/min-320℃(10min)
Split ratio ;1:50
Inj. temp. ;300℃
Interface temp. ;300℃
Carrier gas ;1.0ml/min(He, Const)
Scan range ;33-700
測定は3回行った。芳香族ポリカーボネートプレポリマーの封止末端基がPh末端の場合(一般式(II)に於いて、R=フェニル基の場合)、ビスフェノールA由来物であるビスフェノールA−ジメチルエーテル(BPA−DME)、ビスフェノールA−モノメチルエーテル(BPA−MME)の合計面積値に対するフェノールのメチルエーテル(アニソール)の面積値の比率(%)を封止末端基量(Ph末端量;質量%)として求めた。次いで求めた封止末端基量(質量%)から、検出された成分の分子量を考慮して封止末端基量(モル%)を算出した。
なお、測定の再現性(バラツキ)は、CV値により示した。CV値は平均値を標準偏差で除した値(変動係数)であり、数値が低い程再現性が高い事を意味する。
(5)封止末端基量;H−NMR法
H−NMRの解析結果から、下記数式により求めた。
例えば、封止末端基がフェニルオキシ基の場合(前記一般式(II)に於いて、R=フェニルの場合)、以下の計算式により求めた。
Figure 2015218198
具体的には、樹脂サンプル0.05gを、1mlの重水素置換クロロホルム(0.05w/v%TMS含有)に溶解し、23℃でH−NMRスペクトルを測定し、7.4ppm前後の末端フェニル基と7.0〜7.3ppm付近のフェニレン基(BPA骨格由来)の積分比より、PPの封止末端基量を測定した。なお、H−NMRの測定条件の詳細は前記と同様である。
(6)環状カーボネート含有量
サンプルとなる芳香族ポリカーボネート樹脂10gをジクロロメタン100mlに溶解し、1000mlのメタノール中へ攪拌しながら滴下した。沈殿物を濾別し、濾液中の溶媒を除去した。得られた固体をGC−MSにより以下の測定条件で分析した。なお、この測定条件での検出限界値は0.0005ppmである。
GC−MS測定条件:
測定装置:AgilentHP6890/5973MSD
カラム:キャピラリーカラムDB−5MS,30m×0.25mmI.D.,膜厚0.5μm
昇温条件:50℃(5minhold)−300℃(15minhold),10℃/min
注入口温度:300℃、打ち込み量:1.0μl(スプリット比25)
イオン化法:EI法
キャリアーガス:He,1.0ml/min
Aux温度:300℃
質量スキャン範囲:33−700
溶媒:HPLC用クロロホルム
内部標準物質:2,4,6−トリメチロールフェノール
(7)異種構造の含有量
樹脂サンプル0.05gを1mlの重水素置換クロロホルム(0.05w/v%TMS含有)に溶解し、23℃で核磁気共鳴分析装置H−NMRを用いて高分子量化されたポリカーボネート(PC)中の異種構造の含有量を測定した。文献Polymer42(2001)7653-7661中のP.7659に記載されたHa及びHbのH−NMRの帰属により、以下に示す異種構造(PSA)の含有(ppm)量を測定した。なお、H−NMRの測定条件の詳細は前記と同様である。
Figure 2015218198
(8)N値
高化式フローテスターCFT−500D(島津製作所(株)製)を用いて、120℃で5時間乾燥した芳香族ポリカーボネート(試料)について、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、280℃、荷重160kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積をQ160値とし、同様に280℃、荷重10kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積をQ10値として、これらを用いて下式(1)により求めた。なお、Q値は溶融樹脂の流出量(ml/sec)である。
N値=(log(Q160値)−log(Q10値))/(log160−log10)・・・(1)
[実施例1]
(ポリカーボネートプレポリマーの準備(第一の工程))
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン64.662kg(283.245モル)、ジフェニルカーボネート68.260kg(318.651モル)及び触媒として炭酸セシウム0.17μモル/モル(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに対してのモル数)を攪拌機及び留出装置付の300Lの反応に入れ、系内を窒素雰囲気下に置換した。減圧度を0.046MPa(345torr)に調整し、160℃にて原料を加熱溶融し、1間攪拌した。
その後、10時間かけて、徐々に昇温、減圧度を下げながら、反応系より留出するフェノールを冷却管にて凝集、除去しつつエステル交換反応を行なった。最終的に系内を260℃、減圧度を0.05kPa(0.38torr)以下とし、さらに1時間保持し、溶融状態のポリカーボネートプレポリマー(以下、「PP−1」と略すことがある)を得た。引き続き、同温度、常圧にて溶融状態で保管した。
(第二の工程)
得られたポリカーボネートプレポリマー(PP−1)の封止末端基量(末端フェニル基量)を反応熱分解クロマトグラフィーにより算出したところ、2.55質量%(5.8mol%)であった。
質量基準の封止末端基量(末端フェニル基量)は、ビスフェノールA由来物であるビスフェノールA−ジメチルエーテル(BPA−DME)、ビスフェノールA−モノメチルエーテル(BPA−MME)の合計面積値に対するフェノールのメチルエーテル(アニソール)の面積値の比率(%)として求めた値である。封止末端基量のCV値(3回測定)は10%であった。
また、プレポリマーのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は26000、数平均分子量は(Mn)は12000、Mw/Mnは2.17であった。これらの値はGPCにてポリスチレン換算値として求めた。
H−NMRより算出したプレポリマー中に含まれる末端水酸基濃度(OH基濃度)は200ppm、異種構造(PSA)は検出されなかった。
(第三の工程)
プレポリマー(PP−1)の封止末端基量1モルに対してBEPGが0.25モルとなるように、第二の工程で測定されたプレポリマーの封止末端基量に基づいて、プレポリマーに対するジオール化合物の比率を決定した。
(高分子量化反応(第四の工程))
プレポリマー(PP−1)を二軸押出機へ移送し、樹脂温度を280℃に調整、13300g/hrの速さで予め310℃へ加熱した回転数140rpmのニーダへ連続供給した。
同時に、アンカー翼を具備した連結剤調製槽において、ジオール化合物である2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール(BEPG)3000gを75〜80℃で加熱溶融し、0.005mol/Lの炭酸セシウム(CsCO)水溶液53mlを添加、攪拌し、0.1torrで1時間、脱水処理(最終的な水分含有量は検出限界以下)して得られた触媒を含有するBEPGを127g/hr(PP−1の封止末端基量1モルに対し0.25モル)の速さで前記ニーダへPP−1と共に連続供給した。
PP−1の封止末端基量(末端フェニル基量)1モルに対し0.25モルの流量でBEPGを連続供給し、触媒である炭酸セシウム(CsCO)をBPAの1モルに対し0.33×10−6molの割合となるように連続供給した。
溶融状態のプレポリマー製造後から、所定量のBEPGの添加の安定供給が開始されるまでの時間は、反応熱分解クロマトグラフィー法によるプレポリマーの封止末端基量の解析等を含め、120分であった。
引き続き、ニーダ出口より280℃に保温された輸送管を経由し、PP−1と炭酸セシウムが添加されたBEPGとの混合物を流速13427g/hrで横型攪拌反応器へ供給し、高分子量化反応を行った。このときの横型攪拌反応器の器内圧力は0.5torr、樹脂温度は310℃であった。
横型攪拌反応器の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、高分子量化反応と同時に副生するフェノールと環状カーボネート(5−ブチル−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン)の留去を行った。横型攪拌反応器の撹拌翼は20rpmで撹拌した。
さらに横型攪拌反応器で高分子量化反応を行った後に得られた芳香族ポリカーボネート樹脂に対し、触媒失活剤としてp−トルエンスルホン酸ブチル(p−TSB)5ppmと、酸化防止剤としてn−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス1076・BASF社製)1000ppmを二軸混練機により混練して得られたものを芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−1)とした。
得られた芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−1)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は56000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は23000、Mw/Mnは2.43、また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂のN値は1.21、末端水酸基濃度は400ppm、異種構造(PSA)量は500ppm、環状ポリカーボネート量は1ppmであった。
[比較例1]
プレポリマー(PP−1)製造後から、所定量のBEPGの添加の安定供給が開始されるまでの時間が、H−NMRによるプレポリマーの封止末端基量の解析等を含め、300分であった他は、実施例1と同様に行った。
高分子量化反応によって得られた、芳香族ポリカーボネート樹脂(PC−2)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は54000、ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は22000、Mw/Mnは2.45、また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂のN値は1.24、末端水酸基濃度は500ppm、異種構造(PSA)量は1100ppm、環状ポリカーボネート量は1ppmであった。
Figure 2015218198
表1から、本発明の製造方法で得られる芳香族ポリカーボネート樹脂においては、異種構造の生成が抑制されていることが分かる。

Claims (11)

  1. ポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とから高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を得る芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、
    芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含む溶融状態のポリカーボネートプレポリマーを準備する第一の工程と、
    ポリカーボネートプレポリマーの封止末端基量を測定する第二の工程と、
    測定された封止末端基量に基づいて、ポリカーボネートプレポリマーに対するジオール化合物の比率を決定する第三の工程と、
    決定された比率でポリカーボネートプレポリマーとジオール化合物とを反応させて高分子量化された芳香族ポリカーボネート樹脂を得る第四の工程と、を含み、
    第四の工程が、ポリカーボネートプレポリマーを準備してから200分以内に開始される製造方法。
  2. 第二の工程が、反応熱分解ガスクロマトグラフィーを用いることを含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. ポリカーボネートプレポリマーが下記一般式(I)で表される構成単位を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
    Figure 2015218198

    (式中、R及びRは各々独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基、又は炭素数6〜20のアリールオキシ基を表し、p及びqは各々独立して、0〜4の整数を表し、Xは、単結合又は下記(Ia)の群から選択される基を表す)
    Figure 2015218198

    (ここで、R及びRは各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表すか、あるいはRとRは、相互に結合して脂肪族環を形成していてもよい)
  4. ポリカーボネートプレポリマーが下記一般式(II)で表される部分構造を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
    Figure 2015218198

    (式中、−O−Rは封止末端基であり、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す)
  5. ジオール化合物が下記一般式(A)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
    Figure 2015218198

    (一般式(A)中、R11〜R14はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表す。Qは、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、スルホン基、スルホキシド基、カルボニル基、ジアルキルシリル基及びジアリールシリル基からなる群から選択される少なくとも1種から構成され、置換基を有していてもよい2価の基又は単結合を表す。)
  6. 第四の工程が、生成する環状カーボネートの少なくとも一部を反応系外へ除去する環状カーボネート除去工程を更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. ポリカーボネートプレポリマーの封止末端基量が2〜20モル%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. ポリカーボネートプレポリマーの重量平均分子量が5,000以上35,000未満であり、芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が35,000以上70,000以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 第四の工程が、封止末端基量が2〜20モル%であるポリカーボネートプレポリマーと、ポリカーボネートプレポリマーの全末端基量1モルに対して0.01〜1.0モルであるジオール化合物とを反応させることを含む、請求項8に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法に用いられ、反応熱分解ガスクロマトグラフィーで測定される封止末端基量が2〜20モル%であるポリカーボネートプレポリマー。
  11. 芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含み、反応熱分解ガスクロマトグラフィーで測定される封止末端基量が2〜20モル%であるポリカーボネートプレポリマー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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大谷肇: "反応熱分解ガスクロマトグラフィーによる末端変性及び分岐化ポリカーボネートのキャラクタリゼーション", BUNSEKI KAGAKU, JPN7017002103, 2011, JP, pages 239 - 244 *

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