以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は本発明の実施形態にかかる木材切削装置の全体側面図、図2は木材切削装置の全体平面図、図3は図1のA−A線矢視拡大断面図、図4は図1のB−B線矢視拡大断面図、図5は木材切削装置の中央部を拡大して詳細に示す側面図、図6は図5のC−C線矢視断面図、図7は第四駆動モータの減速機構の詳細断面図、図8は押えローラの揺動に伴い変化する第四駆動モータの動きを説明する図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の木材切削装置Mは、装置Mの上流側から順に、木材wを投入する投入コンベア部1と、投入された木材wを切削するドラムチッパー部2と、ドラムチッパー部2で切削した木材wc(チップ)を装置外部に排出する排出コンベア部3と、を備えている。
そして、ドラムチッパー部2直前の上方位置には、木材切削時における木材wのガタツキを抑える押えローラ4が設置され、また、この押えローラ4に対応する下方位置には、受けローラ5が設置されている。なお、図1、図2の右側が上流側(前側)であり、左側が下流側(後側)である。また、図2の上下方向が幅方向である。
これら投入コンベア部1、ドラムチッパー部2、及び排出コンベア部3、それに押えローラ4と受けローラ5は、各々の駆動モータmM,m1,m2,m3,m4(電動モータ)により回転駆動される。そして、これら電動モータmM,m1,m2,m3,m4は、図示しない制御手段によって回転制御されている。
前述の投入コンベア部1は、幅方向中央に、無端ベルト式のコンベア体11を設け、その前側と後側に設けた前端ローラ12と後端ローラ13にコンベア体11を巻き掛けることで構成されている。
そして、このコンベア体11の幅方向両側位置には、案内プレート14,14が設置されている。各案内プレート14,14は、図3に示すように、両側で略翼状断面を有しており、コンベア体11の幅方向両側位置に設置されることで、投入コンベア部1への木材wの投入作業を幅方向側方からも容易に行えるように案内すると共に、投入コンベア部1の搬送中の木材wの脱落を防ぐようにしている。
なお、木材wの搬入作業は、図示しないが、例えば作業者が操作する把持具を備えた重機等によって、木材wを掴み、投入コンベア部1の上方から、コンベア体11上に載置する方法によって行う。
また、図3を使って、投入コンベア部1の構造を、さらに説明すると、コンベア体11の両側には、コの字状断面のフレーム体16,16が設置され、このフレーム体16,16の間にはコンベア体11を支持する支持部材17が設けられている。そして、フレーム体16,16の下方には、下側を流れるコンベア体11の支持を行うローラ部材18が設置されている。
投入コンベア部1のコンベア体11は、下部に設置した第一駆動モータm1の回転を、伝達ベルト15を介して後端ローラ13に伝達することにより、回転駆動するように構成されており、この回転駆動によって、コンベア体11に載置された木材wを、ドラムチッパー部2側へ搬送するようにしている。
また、この投入コンベア部1は、図1にも示すように、上流側(前側)より下流側(後側)の方が上方に位置するように、後ろ上がりに傾斜配置されている。これは、投入コンベア部1がドラムチッパー部2に木材wを順次投入していく際に、重力によって木材wがドラムチッパー部2側に過剰に投入されて、ドラムチッパー部2に大きな負荷が生じないようにするためである。
前述のドラムチッパー部2では、図5に示すように、下部のベースフレーム21に台座21aが設けられ、この台座21aに軸受部22が立設され、この軸受部22を介して、幅方向に延びるメインシャフト23が支持されている。そして、このメインシャフト23に、略円形ドラム状の切削ドラム24が貫通固定されている。
この切削ドラム24には、図示しないが、その外周面に複数の切削刃が設定されている。例えば、切削ドラム24の周方向に4つずつ、幅方向に5列で、それぞれ切削刃を千鳥配置することで、合計20個の切削刃を設定することができる。
また、メインシャフト23の側端には、台座の後側に設置されたメイン駆動モータmMからの回転駆動力を受ける従動プーリー25が回転一体に固設されている。この従動プーリー25には、大型の駆動ベルト26が架け渡されて、メイン駆動モータmMの駆動プーリー27から回転駆動力を伝達するように構成されている。
こうして、切削ドラム24は、メイン駆動モータmMから回転駆動力を受けて、図5で時計回り方向に回転するように構成されており、木材wを投入した際には、受けローラ5の後方に隣接にして設けられる図示しない受け固定刃の上において、この木材wを上側から切削して細かい複数のチップwcを生産できるように構成されている。
ドラムチッパー部2では、この切削ドラム24が外部に露出しないように、切削ドラム24の周囲をハウジング28A,28Bで覆っている。具体的には、切削ドラム24の下半分を中空ボックス形状のロアハウジング28Aで覆い、切削ドラム24の上半分を中空ボックス形状のアッパーハウジング28Bで覆っている。
そして、ロアハウジング28Aは、台座21a上に固定することでベースフレーム21に一体化しており、また、アッパーハウジング28Bは、ロアハウジング28A上部に固定することで、ロアハウジング28Aと一体化している。
このうち、アッパーハウジング28Bは、後端に設けたヒンジ軸28Cでロアハウジング28Aとヒンジ固定され、後方中央に設けた開閉用の油圧シリンダー28Dによって、ロアハウジング28Aに対して、開閉自在となるように構成されている(図5の二点鎖線で示した状態が、アッパーハウジング28Bを開いた状態)。
このように、アッパーハウジング28Bをロアハウジング28Aに対して開閉自在となるように構成することで、装置作動後においても、切削ドラム24を簡単にドラムチッパー部2の上部に露出させることができるようにしている。
これにより、作業者は、切削ドラム24の図示しない切削刃の交換や、アッパーハウジング28Bの内周面に設けた図示しない平板状ライナー部材の交換、さらには、ロアハウジング28Cの内部に設けた図示しないスクリーン部材の交換等のメンテナンス作業を、比較的容易に行うことができる。
また、メインシャフト23の両端位置には、このメインシャフトの軸心を中心として揺動可能な左右一対の揺動アーム6,6が支持されている(図5では一方のみ開示)。この揺動アーム6,6については、後ほど詳細に説明する。
前述の排出コンベア部3は、図1にも示すように、前端をドラムチッパー部2のベースフレーム21内部に位置させて、後端を前端よりも後方且つ高い位置に配置するように設定されている。この排出コンベア部3も、無端ベルト式のコンベア体31を設け、その前端と後端に設けた前端ローラ32と後端ローラ33に、このコンベア体31を巻き掛けることで構成されている。このうち、後端ローラ33に隣接して設置した第二駆動モータm2によって、コンベア体31を回転駆動するようにしている。
そして、このコンベア体31は、切削したチップwcを確実且つ効率的に搬送するために、正面視略三角形状の立ち上りフィン31aを搬送面(外面)に複数立設したゴム製のコンベア体31で構成されている。すなわち、立ち上りフィン31aをコンベア体31に設けることで、小さな複数のチップwcがこの立ち上りフィン31aに引っ掛かり、確実にコンベア体31で搬送されていくのである。
この排出コンベア部3は、全長をコンパクトに構成するために、前側のベースフレーム21内部では水平方向に延びるように設置しつつも、ベースフレーム21の後方では急に上方に屈曲して、急激な傾斜角で上方に延びるように設置されている。
このように排出コンベア部3を設置することで、排出コンベア部3の水平方向の前後長を短くしつつも、高い位置からチップwcを装置外部へ排出することができるようにしている。これにより、木材切削装置Mの全長を可及的にコンパクトにすることができる。
また、図4を使って、排出コンベア部3の構造を、さらに説明すると、コンベア体31の幅方向の両側には、コの字状断面のフレーム体34,34が設置され、このフレーム体34,34の上側には、逆L字状の大型の支持フレーム35,35が設置されている。そして、この支持フレーム体35,35の間にはコンベア体31を支持するローラ類36,37が略V字状に配置されて支持されている。
このように略V字状にローラ類36,37を配置することで、コンベア体31の両側の立ち上りフィン31a,31aを互いに突き合わせるように、コンベア体31を幅方向中央部で曲げ変形させて、コンベア体31に、チップwcを収容するポケット空間38を作り出すようにしている。また、フレーム体34,34の下側には、下側を流れるコンベア体31を支持するローラ部材39が設置されている。
次に、前述の押えローラ4と受けローラ5について、詳細に説明する。
前述の受けローラ5は、図5に示すように、投入コンベア部1の後方に設置されており、前方側に位置する第一受けローラ5Aと、後方側に位置する第二受けローラ5Bとで構成されている。このうち、図6に示すように、第二受けローラ5Bは、その側方に隣接設置された第三駆動モータm3によって、直接、回転駆動される。
また、第一受けローラ5Aは、その側端に設けられたスプロケット51と、第二受けローラ5Bの側端に設けられたスプロケット51と、チェーン52とを介して、第二受けローラ5Bから回転を受けて回転駆動されるように構成されている。
第一受けローラ5Aは、周表面が平滑な円筒ローラで構成されており、投入コンベア部1から搬送されてきた木材wを、確実に切削ドラム24側に送り込むようにしている。また、第二受けローラ5Bも、第一受けローラ5Aと平行に配置されており、木材wを切削ドラム24側に送り込むようにしている。
もっとも、第二受けローラ5Bは、周表面53が凹凸状の洗濯板状であり、これにより、第二受けローラ5Bは、周表面53での滑りがなく、木材wをより確実に切削ドラム24側に送り込むように構成している。
また、後述する押えローラ4の突起部41と相俟って、第二受けローラ5Bは、その周表面53の凹凸が木材wに喰い込むため、確実に切削時の木材wのガタツキを抑えることができる。
前述の押えローラ4は、前述のメインシャフト23に設けた揺動アーム6,6に支持されて、ドラムチッパー部2の直前位置である、投入コンベア部1の後方位置上方に上下方向に揺動可能に設置されている。この押えローラ4は、第二受けローラ5Bより大径であるものの、木材wを切削する切削ドラム24よりは小径の円形ドラム状の回転体で構成されている。
この押えローラ4は、外周が平滑な基準面4aで構成されているが、この基準面4aに、側面視略三角形状の突起部41…が千鳥配置で複数立設されている。このため、この押えローラ4では、突起部41…を木材wの表面に喰い込ませて、木材wを切削ドラム24側に確実に送り込むようにしている。
また、押えローラ4の中心には、回転シャフト42が貫通されて回転一体に固定されており、この回転シャフト42を回転駆動させることで、押えローラ4が回転するように構成されている。この回転シャフト4は、その両端を、前述の揺動アーム6に一体化された保持ブラケット61,61に、回転自在に支持されている。
この保持ブラケット61,61は、左右一対の異形五角形のプレート部材によって構成されており、前述の一対の揺動アーム6,6に固定された、幅方向に延びる一本のフレーム部材62を介して、揺動アーム6,6と共に一体化されている。
このように、押えローラ4は、一対の揺動アーム6,6と、幅方向に延びる一本のフレーム部材62と、一対の保持ブラケット61,61と、さらに幅方向に延びる一本の回転シャフト42と共に、メインシャフト23の軸心を中心として、上下方向に揺動自在となるように構成されている。
そして、この押えローラ4の揺動軌跡は、押えローラ4を覆うローラハウジング43の側面に開口形成した揺動ガイド溝44,44によって、規定されている。
このローラハウジング43は、前述のロアハウジング28Aとアッパーハウジング28Bの前面側に固定されており、このロアハウジング28Aとアッパーハウジング28Bとの間で、所定の切削空間を構成している。
もっとも、このローラハウジング43の上方側は開放されており、内部で揺動する押えローラ4の上方への揺動に干渉しないように構成されている。また、ローラハウジング43の前面側についても開放しており、送り込まれる木材wを、確実に押えローラ4側に取り込めるように構成している。
また、図6に示すように、回転シャフト42の側方位置には、回転シャフト42に回転駆動力を与える第四駆動モータm4が設置されている。この第四駆動モータm4は、側方に設けた取付ブラケット71を介して、保持ブラケット61の側面に一体的に固定されている。そして、この図6からも分かるように、第四駆動モータm4の駆動軸72が略鉛直方向に延びて押えローラ4の回転シャフト42と直交するように設置されている。
この第四駆動モータm4は、図7に示すように、ロータ73を有する電動式モータ部74と、複数の構成要素で構成される減速機構部75とで構成されている。そして、この電動式モータ部74と減速機構部75は、比較的大きなサイズを有し、重量も全体で例えば約268kgを有する。
この第四駆動モータm4は、図7に示すように、押えローラ4の回転シャフト42に対して、直接、回転駆動力を伝達できるように、両者の間は傘歯車セット76,77からなるギヤ機構によって動力伝達できるように構成されている。具体的には、回転シャフト42側には大径の傘歯車77が固設される一方、第四駆動モータm4において減速機構75に駆動連結された駆動軸72の下端部には小径の傘歯車76が設けられ、これらの傘歯車76,77が噛合することで、回転駆動力が伝達されるようになっている。なお、この図7で、H1,H2,H3,H4はギヤハウジングであり、B1,B2,B3,B4は軸受ベアリングである。
このため、第四駆動モータm4は、回転シャフト42に対して、チェーンやベルト等の駆動伝達系の構成要素を必要とすることなく、回転駆動力をダイレクトに伝達することができる。
また、減速機構部75は、図7に示すように、複数の構成要素によって構成されている。具体的には、偏心軸受79を備えた減速機構であり、電動式モータ部74の、下方に延びる出力軸78(減速機構部75の入力軸)に偏心軸受79を取り付け、この周囲に複数の外ピン80と内ピン81とを設ける共に、内ピン81を支持するピンキャリア82を介して、駆動軸72に、減速された回転駆動力を取り出すように構成している。詳細な作動については、公知であるため詳述しないが、このように、本実施形態の減速機構部75は、複数の構成要素で構成されている。
また、揺動アーム6,6とベースフレーム21上の台座21aとの間には、上下方向に延びる左右一対の圧力調整シリンダー8が設置されている(図5では、一方のみ開示)。
この圧力調整シリンダー8は、揺動アーム6の動き、すなわち、押えローラ4の揺動を制御するために設けている。具体的には、この圧力調整シリンダー8は、圧力調整シリンダー8に供給される油圧を用いて、押えローラ4に対して上向きの力を付与することで、押えローラ4の自重も含め1トン程度になる重量を緩和している。また、この圧力調整シリンダー8には、図示しない油圧戻り回路が形成されており、木材wから押されて押えローラ4が上昇した場合等には、油圧がタンクに戻り、押えローラ4の自由な揺動を阻害しないようにしている。
前述の第四駆動モータm4は、回転シャフト42の側方位置に設置することで、回転シャフト42に自重を付与するようにしている。すなわち、第四駆動モータm4は、前述のように重量が約268kgもあるため、この自重を使って、押えローラ4に対して、荷重を付与するのである。
そして、前述のように、第四駆動モータm4の駆動軸72が押えローラ4の回転シャフト42と直交するように設置されているため、可及的に幅方向オフセット量を少なくすることができる。よって、押えローラ4に対して、作用する荷重が幅方向で偏ることがなく、安定して押えローラ4で木材wを押えることができる。
また、この第四駆動モータm4は、駆動軸72が略鉛直方向に延びるように設置されている。このため、より確実に、押えローラ4に第四駆動モータm4の全自重を伝達することができる。すなわち、第四駆動モータm4が、駆動軸72を下向きに突出させていわゆる逆立ちした状態で設置されるため、押えローラ4に対して、作用する荷重が前後方向に分散することなく、確実に荷重を伝達することができる。
さらに、この第四駆動モータm4は、押えローラ4よりも上方に位置するように設置されている。これにより、第四駆動モータm4の重心位置を押えローラ4より上方にすることができ、押えローラ4に対して上方から圧縮方向の荷重を与えることができる。よって、押えローラ4に対して確実に、第四駆動モータm4の自重を伝達することができる。
なお、第四駆動モータm4を押えローラ4よりも下方に設置して、第四駆動モータm4の重心位置を押えローラ4よりも下方に位置させるようにしてもよいが、押えローラ4に対して下方からの引張り方向の荷重が与えられることになるので、十分な荷重伝達ができるようにするためには、第四駆動モータm4を押えローラ4よりも上方に設置する方が望ましい。
また、図8に示すように、この第四駆動モータm4の鉛直線Lに対する設置角度は、図8の実線で示す押えローラ4が木材wを押えていない状態で、鉛直線Lからα(=約−10°)になり、二点鎖線で示す木材wを押えて最も押えローラ4が上がった状態で、鉛直線Lからβ(=約+20°)になるように設定されている。なお、この第四駆動モータm4の設置角度の設定は、圧力調整シリンダー8のストロークエンドによって規制される。
このように、第四駆動モータm4の設置角度を設定することで、押えローラ4がどのように上下揺動した場合であっても、第四駆動モータm4の駆動軸72は、常に押えローラ4よりも上方位置で、且つ略鉛直方向に延びる状態を維持することができる。
すなわち、第四駆動モータm4の駆動軸72は、押えローラ4が最も下方に位置した状態で鉛直線Lからマイナスの角度α(約−10°)をとり、押えローラ4が最も上方に位置した状態で鉛直線Lからプラスの角度β(約+20°)を、それぞれをとるため、木材wを切削する際には、この角度の間で自由に揺動することになるが、0°(鉛直線L)を挟んだ角度で、第四駆動モータm4の駆動軸Lが揺動するため、常に押えローラ4よりも上方位置で、且つ略鉛直方向に延びる状態を維持することができるのである。
特に、一般に木材wを切削する際には、押えローラ4は、約10°程に上方に移動して、木材wを切削する場合が多いため、本実施形態のように、第四駆動モータm4の設置角度を、鉛直線Lからα(=約−10°)に設定した場合には、木材切削時には、第四駆動モータm4の駆動軸72をほぼ鉛直線方向に保つことができる。
なお、第四駆動モータm4の設置角度については、本実施形態の数値に限定されるものではないが、一般に木材切削時において、第四駆動モータm4の駆動軸72がほぼ鉛直線方向になるように設定することが望ましい。
次に、本実施形態の木材切削装置Mによる、木材の切削作業について説明する。
まず、作業者は、この木材切削装置Mの図示しない制御盤によって電源を入れる。そうすると、木材切削装置Mの各駆動モータmM,m1,m2,m3,m4が回転始動する。このように各駆動モータmM,m1,m2,m3,m4を回転始動することで、投入コンベア部1、ドラムチッパー部3、及び排出コンベア部4、さらに押えローラ4と受けローラ5が始動することになる。
次に、作業者は、廃材や枝木等の木材wを、重機等によって、投入コンベア部1のコンベア体11に載置する。この投入コンベア部1のコンベア体11に載置された木材wは、投入コンベア部1のコンベア体11によって搬送されて、押えローラ4と受けローラ5の間に挟み込まれる。
その後、押えローラ4では、前述したように、木材wの太さや大きさ等により上下方向に揺動する。このとき、木材wの押し付け力は、押えローラ4の自重や第四駆動モータm4の自重によって得るようになっている。ここで、押し付け力が弱い(少ない)と切削される際の反力によって、木材wにバタつきが生じ、切削加工が不安定になるため、確実に押し付け力を得ておく必要がある。
次に、押えローラ4と受けローラ5によってドラムチッパー部2側の送られた木材wは、ドラムチッパー部2の切削ドラム4によって、細かく切削される。このとき、木材wには切削ドラム4の切削刃(図示せず)に接触して、小片(チップ)状に切削される、このように切削されることで、投入された木材wから複数のチップwcを得ることができる。
そして、こうして得られた複数のチップwcは、ベースフレーム21内部に位置する排出コンベア部3に落下して、そのまま排出コンベア部3のコンベア体31によって搬送されて、後方の装置外部に排出される。この排出された複数のチップwcが、本実施形態の木材切削装置Mによる生産物である。
こうして、本実施形態の木材切削装置Mで、木材wから複数のチップwcを生産することができる。
なお、以上の実施形態ではチップwcの生産について説明したが、切削ドラム4等の回転速度等の条件を変えれば、もちろん、この実施形態の木材切削装置Mで、オガ粉も生産することもできる。
本実施形態の木材切削装置Mでは、押えローラ4に対して回転力を与える第四駆動モータm4は、第四駆動モータm4の駆動軸72が押えローラ4の回転シャフト42の側方位置で押えローラ4の回転シャフト42と直交するように、配置されている。
これにより、第四駆動モータm4の重心位置が、押えローラ4に近づき、幅方向オフセット量が可及的に少なくなる。すなわち、第四駆動モータm4の駆動軸72が、押えローラ4の回転シャフト42に対して、隣接して直交して配置されることになるため、幅方向オフセット量を可及的に少なくして、第四駆動モータm4の自重を、押えローラ4に対して付与できるのである。
このため、チェーン又は伝達ベルトの駆動伝達手段を使うことなく、第四駆動モータm4の駆動力を押えローラ4に伝達することができ、それと同時に、押えローラ4に対して第四駆動モータm4の重心位置の幅方向オフセット量を可及的に少なくすることができる。
よって、木材wを切削して、チップやオガ粉を生産する木材切削装置Mにおいて、駆動系の構成要素を可及的に少なくすることで、故障の恐れやメンテナンス作業の頻度も抑えつつも、第四駆動モータm4を利用して、切削時の木材wのガタ付きを、安定して抑えることができる。
また、本実施形態では、第四駆動モータm4は、第四駆動モータm4の駆動軸72が略鉛直方向に延びるように配置されている。
これにより、第四駆動モータm4の自重が前後方向(投入コンベア部1の搬送方向)に分散されず、全ての重量を確実に押えローラ4に集中して作用させることができる。このため、より確実に、第四駆動モータm4の自重を押えローラ4に作用させることができる。
よって、第四駆動モータm4を、より確実に木材wの押え部材として機能させることができる。
また、本実施形態では、第四駆動モータm4は、押えローラ4の回転シャフト42よりも上方に位置するように配置されている。
これにより、第四駆動モータm4の重心が、押えローラ4よりも上方に位置することになる。このため、押えローラ4の回転シャフト42に上方から確実に第四駆動モータm4の荷重を付与することができる。
よって、第四駆動モータm4を、より効果的に木材wの押え部材として機能させることができる。
また、本実施形態では、第四駆動モータm4は、押えローラ4が搬送される木材wを上方から押え込んで上下揺動する際に、常時、押えローラ4より上方に位置するように所定の設置角度(押えローラ4が木材wを押えていない状態で、鉛直線からα(=約−10°)、そして、木材wを押えて最も押えローラ4が上がった状態で、鉛直線からβ(=約+20°)で、設置されている。
上記構成によれば、第四駆動モータm4は、木材wを押し込んで押えローラ4が上下動した際にでも、押えローラ4よりも常に上方に位置するように配置されているため、押えローラ4に対して、木材wの切削時においても、確実に上方から第四駆動モータm4の自重を付与することができる。
よって、第四駆動モータm4を、より確実に木材wの押え部材として機能させることができる。
また、本実施形態では、第四駆動モータm4の駆動軸72の軸線上には、複数の構成要素から構成される減速機構部75が設けられている。
上記構成によれば、電動式モータ部74だけではなく、重量を有する減速機構部75も、押え部材として使うことができる。
よって、駆動力を発生する電動式モータ部74だけでなく、重量を有する減速機構部75についても木材wの押え部材として機能させることができる。
(他の実施形態)
なお、本実施形態の減速機構部75については、偏心軸受を用いた減速機構を用いたが、その他、歯車機構によって減速する減速機構を用いても良い。また、本実施形態では、減速機構部75を内蔵した第四駆動モータm4を用いているが、減速機構を内蔵しない駆動モータを用いてもよい。またその駆動モータに加えて別に減速機構を設けるようにしても良い。
以上、本明細書では、1つの実施形態で本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
例えば、第四駆動モータm4を電動式モータで構成したが、その他、油圧式モータ等で構成してもよい。また、第四駆動モータm4の設置角度を、押えローラ4の揺動動作に応じて変化させるような機構をさらに設定してもよい。