JP2015211235A - 立体音再生装置およびプログラム - Google Patents

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モクタリ パーハム
Mokhtari Parham
モクタリ パーハム
竜一 西村
Ryuichi Nishimura
竜一 西村
宏明 加藤
Hiroaki Kato
宏明 加藤
浩典 竹本
Hironori Takemoto
浩典 竹本
成悟 榎本
Seigo Enomoto
成悟 榎本
敏幸 木村
Toshiyuki Kimura
敏幸 木村
広志 安藤
Hiroshi Ando
広志 安藤
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Abstract

【構成】 立体音再生装置(10)はプロセッサ(12)を含み、頭部伝達関数データベース(22)には、ユーザの耳介の第1部位の深さ(d1)の平均値毎に左右の頭部伝達関数のセットを予め登録しておく。入力装置(20)から、実際に計測したユーザの片耳の第1部位の深さを入力すると、その片耳の深さを平均値とみなして、平均値について登録している頭部伝達関数のセットを当該ユーザに個人適応化した頭部伝達関数として読み出し、それで音源(14)からの音源信号を畳み込み演算することによって左右のバイノーラル信号を生成し、ヘッドホン(18)がバイノーラル信号を再生する。
【効果】ユーザの片耳の耳介の深さを測定するだけで個人適応化したバイノーラル信号を再生することができる。
【選択図】 図1

Description

この発明は立体音再生装置およびプログラムに関し、特に、ヘッドホンまたはイヤホン(以下、まとめて「ヘッドホン」と呼ぶ。)を用いてバイノーラル(binaural)信号を再生する、立体音再生装置に関する。
人が2つの耳元における音圧変化だけで3次元的な広がりを知覚できるのは、到来した音波が複雑な形状をした耳で反射や回折することにより、方向に応じて異なる音色に変化することに起因する。この音色の変化を事前に信号処理で音信号に付与してヘッドホンで提示すれば、ヘッドホンをしているにも拘わらず、実際の臨場感をありのまま伝える音として知覚される。
このように、音源信号に頭部伝達関数(Head-Related Transfer Function:HRTF)を畳み込んだバイノーラル信号によって、ヘッドホン聴取において立体音響空間を再現することが、たとえば非特許文献1などで知られている。
平原,大谷,戸嶋,"頭部伝達関数の計測とバイノーラル再生にかかわる諸問題," Fundamentals Review, Vol.2, No.4, pp.68-85, 2009年4月
非特許文献1でも明らかなよう、耳の形状は人によって異なるので臨場感をありのまま再現するためには、その人に合った音色の変化を与えるフィルタで処理しなければならない。この適切なフィルタを選択あるいは生成する手続きは、「個人適応」と呼ばれ、簡便かつ高精度な手法が求められている。
非特許文献1のように、各人ごとに無響室で様々な方向から順番に音を提示し、耳に装着したマイクで録音することで、その人に合ったフィルタを求める手法もあるが、特殊な設備が必要なだけではなく、測定に時間がかかる。したがって、バイノーラル信号を再生する立体音再生装置の実現を容易にする手法が望まれていた。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、立体音再生装置およびプログラムを提供することである。
この発明の他の目的は、臨場感のある立体音の再現を容易にする、立体音再生装置およびプログラムを提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
第1の発明は、ヘッドホンで立体音を再生する立体音再生装置であって、耳介の第1部位の深さをインデックスとして第1部位の深さ毎に左右の頭部伝達関数の複数のセットを予め設定している頭部伝達関数データベース、ユーザの第1部位の深さの入力を受け付ける入力受付部、入力受付部に受け付けた第1部位の深さに基づいて頭部伝達関数データベースに設定されている1つの頭部伝達関数のセットを選択的に読み出す読出し部、および読出し部が読み出した頭部伝達関数のセットに基づくフィルタで音源信号を畳み込み演算して左右のバイノーラル信号を生成してヘッドホンに与える生成部を備える、立体音再生装置である。
第1の発明では、立体音再生装置(10:実施例において相当する部分を例示する参照符号。以下、同様。)は、頭部伝達関数データベース(22)を含み、この頭部伝達関数データベースには、耳介の第1部位(アンチトラガスからコンカ底面まで)の深さ(d1)をインデックスとしてその第1部位の深さ(d1)毎に、実際に測定した左右の頭部伝達関数のセットを予め設定している。ユーザの第1部位の深さを実際に測定し、それをたとえば入力装置(20)から入力する。つまり、入力受付部(12、S1)が第1部位の深さの入力を受け付ける。読出し部(12、S3)は、入力された第1部位の深さ(d1)に基づいて頭部伝達関数データベース(22)から1つの頭部伝達関数のセットを選択的に読み出し、生成部(12、S5)は、読出し部が読み出した頭部伝達関数のセットに基づくフィルタで、音源(14)からの音源信号を畳み込み演算して左右のバイノーラル信号を生成する。ヘッドホン(18)が、生成部が生成した左右のバイノーラル信号を再生する。
第1の発明によれば、実際に測定したユーザの耳介の深さを入力するだけで、個人適応化されたバイノーラル信号を生成することができる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、頭部伝達関数データベースは、左右の耳介の第1部位の深さの平均値毎に左右の頭部伝達関数のセットを予め設定していて、入力受付部はユーザの片耳だけの第1部位の深さの入力を受け付ける、立体音再生装置である。
第2の発明では、頭部伝達関数データベース(22)は、左右の耳介の第1部位の深さ(d1)の平均値毎に左右の頭部伝達関数のセットを予め設定している。他方、ユーザの片耳だけの第1部位の深さを入力し、その片耳だけの深さを平均値とみなしてその値をインデックスとして頭部伝達関数データベース(22)から頭部伝達関数のセットを選択する。
第2の発明によれば、ユーザの片耳だけの耳介の深さを計測して入力するだけで適合する左右の頭部伝達関数を選択して使用でき、簡便な測定で個人適応が行える。
第3の発明は、第1の発明に従属し、頭部伝達関数データベースはさらに、耳介の第2部位の深さを副インデックスとして第2部位の深さ毎に左右の頭部伝達関数のセットを予め設定していて、入力受付部はユーザの第2部位の深さの入力をさらに受け付け、読出し部は、第1部位の深さおよび第2部位の深さに基づいて1つの頭部伝達関数のセットを読み出す、立体音再生装置である。
第3の発明では、頭部伝達関数データベース(22)はさらに、耳介の第2部位(トラガスとクラスヘリクスとの間に位置する顔面面からコンカ底面まで)の深さ(d2)を副インデックスとして第2部位の深さ毎に左右の頭部伝達関数のセットを予め設定している。そして、入力受付部(12、S1)で、実測したユーザの第1部位の深さ(d1)および第2部位の深さ(d2)を受け付ける。読出し部(12、S3)は、第1部位の深さおよび第2部位の深さに基づいて1つの頭部伝達関数のセットを読み出して、生成部(12、S5)は、その頭部伝達関数のセットで音源信号を畳み込み演算して左右のバイノーラル信号を生成する。
第3の発明によれば、第1部位の深さだけでなく第2部位の深さを利用して頭部伝達関数のセットを選択または決定するようにしているので、頭部伝達関数すなわちバイノーラル信号の個人適応化が一層強化できる。
第4の発明は、第3の発明に従属し、頭部伝達関数データベースは、左右の耳介の第2部位の深さの平均値毎に左右の頭部伝達関数の複数のセットを予め設定していて、入力受付部はユーザの片耳だけの第2部位の深さの入力を受け付ける、立体音再生装置である。
第4の発明では、頭部伝達関数データベース(22)は、左右の耳介の第2部位の深さ(d2)の平均値毎に左右の頭部伝達関数のセットを予め設定している。他方、ユーザの片耳だけの第2部位の深さ(d2)を入力し、その片耳だけの深さを平均値とみなしてその平均値をインデックスとして頭部伝達関数データベース(22)から頭部伝達関数のセットを選択する。
第4の発明によれば、ユーザの片耳だけの耳介の深さを計測して入力するだけで適合する左右の頭部伝達関数を選択して使用でき、簡便な測定で個人適応が行える。
第5の発明は、耳介の第1部位の深さをインデックスとして第1部位の深さ毎に左右の頭部伝達関数のセットを予め設定している頭部伝達関数データベースおよびバイノーラル信号を再生するヘッドホンを備える立体音再生装置のプロセッサによって実行され、プロセッサを、ユーザの第1部位の深さの入力を受け付ける入力受付部、入力受付部に受け付けた第1部位の深さに基づいて頭部伝達関数データベースに設定されている1つの頭部伝達関数のセットを選択的に読み出す読出し部、および読出し部が読み出した頭部伝達関数のセットで音源信号を畳み込み演算して左右のバイノーラル信号を生成してヘッドホンに与える生成部、として機能させる、バイノーラル信号再生プログラムである。
第5の発明でも、第1の発明と同様の効果が期待できる。
この発明によれば、個人適応化した頭部伝達関数を簡単に選択できるので、臨場感をありのままに再現する立体音再生装置の実現が容易である。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1はこの発明の一実施例の立体音再生装置の構成を示すブロック図である。 図2は正中面の頭部伝達関数と仰角の関係を示すグラフであり、縦軸が仰角[°]を示し、横軸が周波数[kHz]を示す。 図3は実施例で測定する耳介の部位を示す概略図である。 図4は耳介の第1部位の深さd1が第1ピークP1の周波数と相関していることを示すグラフであり、縦軸がP1周波数[Hz]を示し、横軸が深さd1[cm]を示す。 図5は頭部伝達関数テータベース内のデータの一例を示す表である。 図6は実施例の動作を示すフロー図である。 図7は耳介の第2部位の深さd2が第1ピークP1の振幅と相関していることを示すグラフであり、縦軸がP1対数振幅[dB]を示し、横軸が深さd2[cm]を示す。 図8は頭部伝達関数テータベース内のデータの他の例を示す表である。
図1を参照して、この実施例の立体音再生装置10は、基本的には、コンピュータで構成され、プロセッサ12およびこのプロセッサ12に音源信号を入力するための音源14を含む。この音源14は、コンピュータ内部に設けられた記憶媒体(HDD、RAMなど)や外部記憶媒体(光学ディスク、USBメモリなど)であってもよいし、オンラインで取得する音源であってもよい。音源信号がディジタル音源信号の場合は図1に示す点線に従って、音源14からプロセッサ12に直接入力される。また、音源14からの音源信号がアナログ音源信号のときは、A/D変換器15によってディジタル音源信号に変換してプロセッサ12に入力すればよい。つまり、音源信号はディジタル音源信号であってもよいし、アナログ音源信号であってもよい。
音源14からA/D変換器15を介して読み込まれた音源信号データまたは音源14からそのまま入力された音源信号データに基づいてプロセッサ12が立体音データを生成し、その立体音データがD/A変換器16を経てヘッドホン18によって立体音として再生される。
この実施例の立体音再生装置10はさらに、入力装置20を備え、この入力装置20によって、後述する頭部伝達関数HRTFの第1ピークP1に相関するユーザの耳介の特定部位の測定データを入力する。他方、頭部伝達関数データベース22には、左右の耳の頭部伝達関数HRTFを1セットとする複数の頭部伝達関数HRTFのセットを、耳介の深さ毎に予め記憶している。
この実施例の立体音再生装置10では、入力装置20から入力された測定データを参照して、頭部伝達関数データベース22に予め設定している複数の頭部伝達関数HRTFのセットのいずれかを選択する。そして、選択した頭部伝達関数HRTFのセットに基づくフィルタで音源信号を畳み込み演算することによって、個人適応化された左右のバイノーラル信号を生成する。
詳しく説明すると、図2に示すように、頭部伝達関数HRTFには3つのピークP1、P2およびP3があり、最も低い第1周波数P1は方向に依存せず、音量も大きい。なお、図2においては、濃淡が振幅の大きさを示す。
他方、発明者等は、図4に示すように、耳介の深さ特に図3に示す、アンチトラガスからコンカ底面までの深さ(第1部位の深さ)d1と第1ピークP1周波数には強い相関があることを確認している。
そこで、この実施例では、図1の頭部伝達関数データベース22に、図5に示すように、第1部位の深さd1毎に、左右の頭部伝達関数HRTFを1セットとして、複数の頭部伝達関数HRTFのデータを予め設定している。たとえば、深さd1‐1については、左耳の頭部伝達関数としてHRTF-L-1および右耳の頭部伝達関数としてHRTF-R-1を、深さd1‐2については、左耳の頭部伝達関数としてHRTF-L-2および右耳の頭部伝達関数としてHRTF-R-2を、そして、深さd1‐nについては、左耳の頭部伝達関数としてHRTF-L-nおよび右耳の頭部伝達関数としてHRTF-R-nを予め登録している。
頭部伝達関数データベース22は多数の被験者の左右の第1部位の深さd1および左右の頭部伝達関数HRTF-LおよびHRTF-Rを実際に測定して、あるいは計算機シミュレーションによって作成する。ただし、この実施例では、深さd1は、左右の耳の平均値を用いる。たとえば、或る被験者Aの右耳の第1部位の深さd1が1.4cmで左耳の深さが1.6cmとすると、図5のデータベースでは、深さd1は「1.5」として登録され、それに対応して、被験者Aの実測した左右の頭部伝達関数HRTF-LおよびHRTF-Rを登録する。
なお、登録する頭部伝達関数HRTFのセットの種類が多ければ多いほどより細かく個人適応化が可能であるが、実施例では、深さd1の0.1cm毎に頭部伝達関数HRTFのセットを設定している。ただし、これに限られるものではなく、深さd1をもっと細分化してもよいし、もっと粗く設定してもよい。
そして、ユーザの左右どちらかの耳介の第1部位の深さd1=iを実測して入力装置20から入力すると、プロセッサ12は、頭部伝達関数データベース22から、その値d1=iを深さd1の平均値とみなして、該当する平均値をインデックスとして左右の頭部伝達関数HRTF-L-iおよびHRTF-R-iを読み出す。
そのようにして、当該ユーザのための頭部伝達関数HRTFが決まると、音源14から直接またはA/D変換器15を通して入力された音源信号データにこの頭部伝達関数HRTF-L-iおよびHRTF-R-iに基づくフィルタを畳み込み演算することによって、個人適応化された左右のバイノーラル信号が生成できる。
図6を参照して、最初のステップS1では、上述の第1部位の深さd1の測定データの入力を待つ。つまり、ステップS1はユーザの耳介の第1部位の深さd1の入力を受け付ける受付部として機能し、その入力があると、ステップS1で“YES”となり、次のステップS3で、プロセッサ12は、頭部伝達関数データベース22から、そのユーザに個人適応化した左右の頭部伝達関数HRTF-LおよびHRTF-Rを取り出す。つまり、入力した片方の耳介第1部位の深さd1に対応する平均値の欄に予め登録されている左右の頭部伝達関数HRTF-LおよびHRTF-Rを読み出す。そして、ステップS5で、音源14から直接またはA/D変換器15を通して入力された音源信号データを当該HRTF-LおよびHRTF-Rに基づくフィルタで畳み込み、左右のバイノーラル信号を生成する。
そして、ステップS7でD/A変換器16にその左右のバイノーラル信号を出力し、D/A変換器16からアナログのバイノーラル信号がヘッドホン18に出力される。ユーザはヘッドホン18からそのバイノーラル信号を聴取できる。
ステップS9では、音源信号が残っていれば“NO”を判断し、先のステップS5に戻る。音源信号が終了していれば、ステップS9データ“YES”が判断され、プロセッサ12の処理が終了する。
この実施例では、ユーザの片耳だけの第1部位(アンチトラガスからコンカ底面まで)の深さd1を計測して入力し、その値に基づいて左右の頭部伝達関数HRTF-LおよびHRTF-Rを選択して使用することによって、簡便な測定で個人適応が行えるし、また、ユーザが音を聞き比べて頭部伝達関数HRTFに基づくフィルタを選択する場合でも、各フィルタのユーザへの適合予想が可能となり、選択作業をサポートすることで安定性を高めることができる。
なお、頭部伝達関数データベース22におけるインデックス(第1部位の深さd1)の分解能(細分化の程度)にもよるが、ユーザの実測値が必ずしもデータベース22に予め設定されているd1の平均値と完全に一致しない場合もあるが、そのような場合には、類似の程度の強いd1の平均値の頭部伝達関数HRTFのセットを読み出して使用するようにすればよい。
なお、上述の実施例では、頭部伝達関数データベース22には第1ピークのP1周波数に相関する第1部位の深さd1の平均値をインデックスとして頭部伝達関数HRTF-LおよびHRTF-Rを設定した。しかしながら、別の実施例では、第1ピークP1の振幅(図2の3次元グラフでのP1の高さ方向に相当する。)に相関する耳介の第2部位の深さd2(トラガスとクラスヘリクスとの間に位置する顔面面から、コンカ底面までの深さ)をインデックスとして併用するようにしてもよい。
詳しく述べると、発明者等は、さらに、図3に示す耳介のトラガスとクラスヘリクスとの間に位置する顔面面から、コンカ底面までの深さd2[cm]が、図7に示すように第1ピークP1の対数振幅(Log Power)に強い相関を有することを確認した。したがって、次の実施例では、上述のP1周波数に相関を持つ耳介の第1部位の深さ(アンチトラガスからコンカ底面までの深さ)d1とともに、この対数振幅値に相関を持つ耳介の第2部位の深さd2も測定する。
他方で、図8に示すこの実施例の頭部伝達関数データベース22には、主インデックスをd1とし、副インデックスをd2とした、頭部伝達関数HRTFのデータベースを予め登録する。
詳しく説明すると、図8の頭部伝達関数データベース22では、まず、P1周波数に強い相関を持つ第1部位の深さd1‐1からd1‐nのそれぞれについて、P1振幅値に強い相関を持つ第2部位の深さd2‐1からd2‐m毎に、左右の頭部伝達関数HRTF-LおよびHRTF-Rを設定する。たとえば第1部位の深さd1‐1についてみると、第2部位の深さd2‐1の頭部伝達関数HRTF-L-11およびHRTF-R-11、第2部位の深さd2‐2の頭部伝達関数HRTF-L-12およびHRTF-R-12、第2部位の深さd2‐3の頭部伝達関数HRTF-L-13およびHRTF-R-13、そして第2部位の深さd2‐mの頭部伝達関数HRTF-L-1mおよびHRTF-R-1mを設定している。同様に、第1部位の深さd1‐nについてみると、第2部位の深さd2‐1の頭部伝達関数HRTF-L-n1およびHRTF-R-n1、第2部位の深さd2‐2の頭部伝達関数HRTF-L-n2およびHRTF-R-n2、第2部位の深さd2‐3の頭部伝達関数HRTF-L-n3およびHRTF-R-n3、そして第2部位の深さd2‐mの頭部伝達関数HRTF-L-nmおよびHRTF-R-nmを設定している。
ただし、この実施例でも、各深さd1およびd2は左右の耳の平均値をインデックスとして用いるし、頭部伝達関数HRTFは実測値を登録している。たとえば、第1部位の深さd1の平均値が同じである被験者であっても第2部位の深さd2の平均値が異なる被験者毎に頭部伝達関数の実測値が登録される。
また、実施例では、深さd2の0.1cm毎に頭部伝達関数HRTFのセットを設定している。ただし、これに限られるものではなく、深さd2をもっと細分化してもよいし、もっと粗く設定してもよい。
この実施例では、ユーザは、バイノーラル信号を聴取するときには、左右どちらかの耳の深さd1およびd2が計測される。
そして、図6の入力受付部であるステップS1で、2つの深さd1およびd2のデータが入力され、次のステップS3では、図8の頭部伝達関数データベース22において、まず第1部位の深さd1の該当するものを探し、ついで第2部位の深さd2の該当のものを探すことによって、そのユーザに適応する頭部伝達関数のセットHRTF-L-ijおよびHRTF-R-ijを探す。
その頭部伝達関数HRTF-L-ijおよびHRTF-R-ijに基づくフィルタを音源信号に畳み込み演算して左右のバイノーラル信号を生成する(ステップS5)。その後のステップS7およびS9は前述の実施例と同様であるので、重複する説明は省略する。
この実施例によれば、第1部位の深さd1だけでなく第2部位の深さd2を利用して頭部伝達関数データベース22から頭部伝達関数HRTFのセットを選択するようにしているので、頭部伝達関数HRTFすなわちバイノーラル信号の個人適応化が一層強化できる。
この実施例においては、ユーザの第1部位の深さd1および第2部位の深さd2を実測して、それらをインデックスとして頭部伝達関数デーベース22から最適の頭部伝達関数HRTFのセットを読み出すようにしたが、深さd1における実測値とデータベース22の登録値との一致度(一致している程度)および深さd2における一致度のそれぞれの重み付けを考えて、頭部伝達関数HRTFのセットを選択するようにしてもよい。
さらに、必ずしも全ての深さd1およびd2の組み合わせに対して頭部伝達関数のセットHRTF-LおよびHRTF-Rの値を登録する必要はない。実測したデータに基づいて頭部伝達関数データベース22を準備する場合、深さd1およびd2の全ての組み合わせを実際に計測する必要があり、大変な労力を要するからである。
深さd1およびd2の全ての組み合わせを頭部伝達関数データベース22に登録していない場合、入力d1およびd2に対して、完全に一致する組み合わせが見つからないことが多くなるが、その場合には、たとえば(d1,d2)という座標で見て、ノルム距離で一番近い組み合わせについて設定している頭部伝達関数のセットを選択する方法、あるいは深さd1、d2どちらか近い値が見つかれば、そちらを優先して頭部伝達関数のセットを選択する方法などが考えられる。
さらに、上述の実施例では、第1部位の深さd1、第2部位の深さd2の順番で頭部伝達関数データベース22から頭部伝達関数HRTFのセットを探したが、この順番は逆でもよい。
なお、上述の2つの実施例では、いずれも頭部伝達関数データベースのインデックスとしては第1部位の深さd1または第2部位の深さd2の平均値を用い、ユーザが聴取するときは片耳だけのd1またはd2を測定するようにした。この方法は手軽であるので立体音再生装置を容易に実現することができるので好ましい。
しかしながら、頭部伝達関数データベースには左右の第1部位の深さd1または第2部位の深さd2毎に頭部伝達関数HRTFのセットを予め登録しておき、聴取に際してユーザの両耳のd1またはd2を測定することによって、適応化された頭部伝達関数HRTFのセットを用いるようにしてもよい。ただし、両耳の深さデータを用いるようにする場合には、頭部伝達関数データベース22に登録するためにより多くのサンプルを必要とする。
10 …立体音再生装置
12 …プロセッサ
14 …音源
18 …ヘッドホン
20 …入力装置
22 …頭部伝達関数データベース

Claims (5)

  1. ヘッドホンで立体音を再生する立体音再生装置であって、
    耳介の第1部位の深さをインデックスとして前記第1部位の深さ毎に左右の頭部伝達関数の複数のセットを予め設定している頭部伝達関数データベース、
    ユーザの前記第1部位の深さの入力を受け付ける入力受付部、
    前記入力受付部に受け付けた前記第1部位の深さに基づいて前記頭部伝達関数データベースに設定されている1つの頭部伝達関数のセットを選択的に読み出す読出し部、および
    前記読出し部が読み出した頭部伝達関数のセットに基づくフィルタで音源信号を畳み込み演算して左右のバイノーラル信号を生成して前記ヘッドホンに与える生成部を備える、立体音再生装置。
  2. 前記頭部伝達関数データベースは、左右の耳介の前記第1部位の深さの平均値毎に左右の頭部伝達関数のセットを予め設定していて、
    前記入力受付部は前記ユーザの片耳だけの前記第1部位の深さの入力を受け付ける、請求項1記載の立体音再生装置。
  3. 前記頭部伝達関数データベースはさらに、耳介の第2部位の深さを副インデックスとして前記第2部位の深さ毎に左右の頭部伝達関数のセットを予め設定していて、
    前記入力受付部は前記ユーザの前記第2部位の深さの入力をさらに受け付け、
    前記読出し部は、前記第1部位の深さおよび前記第2部位の深さに基づいて1つの頭部伝達関数のセットを読み出す、請求項1記載の立体音再生装置。
  4. 前記頭部伝達関数データベースは、左右の耳介の前記第2部位の深さの平均値毎に左右の頭部伝達関数の複数のセットを予め設定していて、
    前記入力受付部は前記ユーザの片耳だけの前記第2部位の深さの入力を受け付ける、請求項3記載の立体音再生装置。
  5. 耳介の第1部位の深さをインデックスとして前記第1部位の深さ毎に左右の頭部伝達関数の複数のセットを予め設定している頭部伝達関数データベースおよびバイノーラル信号を再生するヘッドホンを備える立体音再生装置のプロセッサによって実行され、前記プロセッサを、
    ユーザの前記第1部位の深さの入力を受け付ける入力受付部、
    前記入力受付部に受け付けた前記第1部位の深さに基づいて前記頭部伝達関数データベースに設定されている1つの頭部伝達関数のセットを選択的に読み出す読出し部、および
    前記読出し部が読み出した頭部伝達関数のセットで音源信号を畳み込み演算して左右のバイノーラル信号を生成して前記ヘッドホンに与える生成部、として機能させる、バイノーラル信号再生プログラム。
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