JP2015209364A - ガラス物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】残留歪を低減したガラス物品を製造することの容易なガラス物品の製造方法を提供する。【解決手段】ガラス物品の製造方法は、成形したガラスインゴットGIをアニール処理するアニール工程を備える。アニール工程は、ガラスインゴットGIが減圧環境で包囲された段階を含む。アニール工程は、ガラスインゴットGIの周囲に保温材13が配置された状態で行われることが好ましい。ガラスインゴットGIの体積は、30cm3以上であることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス物品の製造方法に関する。
高温で成形したガラスインゴットでは、ガラスインゴットを加工する際に、残留歪による破損を抑制するために、残留歪を低減するアニール処理が行われている。ガラスインゴットのアニール処理としては、例えば、特許文献1に開示されているように、セラミックス繊維等の保温材をガラスインゴットの周囲に配置することで、徐冷時におけるガラスインゴッドの表面付近と内部との温度差を小さくして、ガラスインゴットに残留する歪を低減する方法が知られている。
特開平03−247527号公報
しかしながら、上記のように保温材を用いたアニール処理でも、ガラスインゴットのサイズが大きくなると、残留歪が十分に低減されない。こうしたガラス物品では、例えば、切断加工等の後加工の際にクラックや破損が生じ易い。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、残留歪を低減したガラス物品を製造することの容易なガラス物品の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するガラス物品の製造方法は、成形したガラスインゴットをアニール処理するアニール工程を備えるガラス物品の製造方法であって、前記アニール工程は、前記ガラスインゴットが減圧環境で包囲された段階を含む。
この方法によれば、アニール工程は、ガラスインゴットが減圧環境で包囲された段階を含むため、気体を熱媒体とした熱伝導が抑制される。これにより、ガラスインゴットの表面付近の冷却速度が低下されるため、ガラスインゴットの温度が歪点まで低下する時間を十分に確保することができる。したがって、残留歪を十分に低減できるアニール工程を行うことが容易となる。
上記ガラス物品の製造方法において、前記アニール工程は、前記ガラスインゴットの周囲に保温材が配置された状態で行われることが好ましい。
この方法によれば、ガラスインゴットの熱が輻射熱として放熱されることを抑制することができる。
上記ガラス物品の製造方法において、前記ガラスインゴットの体積は、30cm以上であることが好ましい。
上記アニール工程は、30cm以上のガラスインゴットからガラス物品を製造する際にガラス物品の残留歪を十分に低減できる点で特に有利である。
本発明によれば、残留歪を低減したガラス物品を製造することが容易となる。
(a)は実施形態におけるガラスインゴットの成形工程を説明する概略正面図であり、(b)はガラスインゴットの周囲に保温材を配置した状態を示す概略断面図である。 アニール工程を説明する概略断面図である。 アニール工程における時間と温度との関係を示すグラフである。 アニール工程の変更例を説明する概略断面図である。
以下、ガラス物品の製造方法の一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。
本実施形態のガラス物品の製造方法は、ガラスインゴットを成形する成形工程と、成形したガラスインゴットをアニール処理するアニール工程とを備える。
<成形工程>
図1(a)に示すように、成形工程は、有底筒状の成形型11を用いて行われる。成形型11は、溶融ガラスMGが流入されるキャビティ12を有し、キャビティ12の形状にガラスインゴットが成形される。本実施形態におけるガラスインゴットの形状は、四角柱状であるが、ガラスインゴットの形状は特に限定されず、例えば、円柱状等の柱状であってもよい。ガラスインゴットの体積は、特に限定されないが、例えば30cm以上である。
成形型11は、溶融ガラスMGの熱に耐え得る耐熱性を有する材料から形成される。成形型11を構成する材料としては、例えば、炭素系材料、及び金属系材料が挙げられる。本実施形態では、カーボン製の成形型11が用いられている。
成形工程では、溶融ガラスMGが図示を省略した溶融炉から、例えば、白金パイプ等から構成されるノズルNを通じて成形型11のキャビティ12へ流入される。キャビティ12へ所定量の溶融ガラスMGが流入されると、溶融ガラスMGの流入が停止される。このように、成形型11を用いた鋳込み成形によりガラスインゴットは得られる。
<アニール工程>
ガラス物品の製造方法のアニール工程は、ガラスインゴットの成形の際の余熱を利用するとともに、ガラスインゴットが減圧環境で包囲された段階を含む。本実施形態のアニール工程は、ガラスインゴットの周囲に保温材を配置する第1段階と、ガラスインゴットが減圧環境で包囲された第2段階とを備えている。さらに、アニール工程は、減圧環境を常圧(大気圧)環境へ変更し、ガラスインゴットの冷却速度を速める第3段階と、その常圧環境でガラスインゴットが常温になるまで放置する第4段階とを備えている。
図1(b)に示すように、成形工程により得られたガラスインゴットGIは、成形型11に収容されている。アニール工程の第1段階では、成形型11の外周に保温材13が配置されることで、ガラスインゴットGIの周囲に保温材13が配置される。
第1段階で用いる保温材13は、ガラスインゴットGIの成形温度に耐え得る耐熱性を有しているものであれば、特に限定されない。保温材13としては、無機繊維から構成されることが好ましい。無機繊維としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、及びジルコニア繊維が挙げられる。本実施形態では、セラミックウールから構成される保温材13が用いられている。
保温材13は、ガラスインゴットGIの外周全体を包囲するように配置されることが好ましい。すなわち、保温材13は、成形型11の底壁、周壁及び上部を覆うように配置されることが好ましい。
なお、アニール工程の第1工程は、上記成形工程の直後に行われることが好ましい。この第1段階のガラスインゴットGIの温度は、成形温度に近い温度であり、ガラスインゴットGIの徐冷点よりも、例えば100℃以上高い温度である。これによりガラスインゴットGIは成形の際の余熱を利用してアニール処理されることになる。
図2に示すように、アニール工程の第2段階及び第3段階では、アニール装置14が用いられる。アニール装置14は、成形型11(ガラスインゴットGI)が収容されるアニール容器15と、アニール容器15に接続され、アニール容器15の内外を連通する減圧管16と、減圧管16に接続され、減圧管16を通じてアニール容器15内の空気を排出する排気装置17とを備えている。
アニール装置14のアニール容器15は、図示を省略した開閉部を有している。この開閉部を通じて成形型11(ガラスインゴットGI)の搬入及び搬出が行われる。開閉部は、アニール容器15内の気密性が確保可能な構成であれば特に限定されず、例えば、開閉扉、又は開閉蓋により構成される。
アニール容器15の内部空間は、圧力が調整可能な圧力調整部15aとして構成されている。アニール容器15は、その内部に外気を取り込むリーク弁18が備えられている。このリーク弁18の開度の調整により、アニール容器15内の圧力(減圧度)の調整が可能である。
アニール容器15は、耐火性を有する材料(例えば、金属材料)から構成される。
アニール装置14の排気装置17としては、例えば、真空ポンプ、及びアスピレーターが挙げられる。真空ポンプとしては、例えば、ロータリーポンプ、拡散ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ターボ分子ポンプ、及びイオンポンプが挙げられる。排気装置17は、例えば、ロータリーポンプと拡散ポンプとの組み合わせのように、二種以上を組み合わせて構成されてもよい。
アニール装置14には、必要に応じて、例えば、アニール容器15内の圧力を検出する圧力センサ、アニール容器15内の温度を検出する温度センサ、リーク弁18の開度調整装置、リーク弁18又は減圧装置を制御する制御装置等が備えられる。
アニール工程の第2段階では、アニール容器15内の空気が排気されることで、ガラスインゴットGI(成形型11)は減圧環境で包囲される。第2段階において、アニール容器15内は、一定の圧力に設定されてもよいし、減圧環境において圧力(減圧度)を変更されてもよい。また、アニール容器15内の圧力(減圧度)を変更することで、ガラスインゴットGI(成形型11)の冷却速度を調整することもできる。
第2段階において、成形型11を覆う保温材13は、アニール容器15の内壁に接しないように配置されることが好ましい。また、アニール容器15内において、保温材13で覆われた成形型11は、熱伝導性の比較的低い材料(例えば、セラミック等の無機材料)で構成された支持体19で支持されることが好ましい。
第3段階では、排気装置17を停止するとともにリーク弁18を開放することで、ガラスインゴットGI(成形型11)は、常圧環境で包囲される。これにより、ガラスインゴットGIの冷却速度は速められる。第3段階は、ガラスインゴットGIの歪点−20℃(Ps−20℃)以上、歪点+20℃(Ps+20℃)以下の範囲で行われることが好ましい。第4段階では、常圧環境で包囲されたガラスインゴットGIが常温になるまで放置することで、アニール工程が完了される。
次に、本実施形態のアニール工程における温度調整モードの一例について説明する。
図3に一点鎖線で示される理想ラインL1は、理想の温度調整モードを示している。理想の温度調整モードにおいて、ガラスインゴットGIは、成形温度T0から徐冷点+5℃(Ta+5℃)になるまで、冷却速度R0で徐冷される。この徐冷に要する時間はA時間である。次に、ガラスインゴットGIは、徐冷点+5℃(Ta+5℃)の温度でB時間維持される。続いて、ガラスインゴットGIは、徐冷点+5℃(Ta+5℃)から歪点−20℃(Ps−20℃)になるまで、冷却速度R1で徐冷される。この徐冷に要する時間はC時間である。次に、ガラスインゴットGIは、歪点−20℃(Ps−20℃)から歪点−70℃(Ps−70℃)になるまで、冷却速度R2で徐冷される。この徐冷に要する時間は、D時間である。最後に、ガラスインゴットGIは、歪点−70℃(Ps−70℃)から常温になるまで、冷却速度R3で徐冷される。この徐冷に要する時間は、E時間である。
上記の冷却速度R1、R2及びR3は、下記式(1)〜(3)によって求められる。
R1(℃/sec)={σt×10×K×(1−ν)}/(E×α×a)…(1)
R2(℃/sec)=R1×2…(2)
R3(℃/sec)=R1×10…(3)
σt:永久歪(Pa)
E:ヤング率(Pa)
α:熱膨張係数(1/℃)
a:ガラスの肉厚(m)
K:熱拡散率(m/sec)
ν:ポアソン比
冷却速度R1は、ガラス製品に求められる永久歪(例えば、永久歪σt=50psi)を設定し、その永久歪σtと、アニール工程に供されるガラスインゴットGIの物性(ヤング率等)とを上記式(1)に代入することで求められる。
冷却速度R1は、ガラスインゴットGIの温度が、歪点−20℃(Ps−20℃)以上、徐冷点+20℃(Ta+20℃)以下の範囲になるまでの冷却速度として設定されることが好ましい。
また、冷却速度R2は、ガラスインゴットGIの温度が、歪点−70℃(Ps−70℃)以上、歪点−20℃(Ps−20℃)以下の範囲になるまでの冷却速度として設定されることが好ましい。
図3に実線で示されるスケジュールラインL2は、温度調整モードのスケジュールを示し、上記理想ラインL1に基づいて設定される。このスケジュールにおいて、ガラスインゴットGIは、A+B+Cの時間を経過するまで冷却速度R4で徐冷される。この冷却速度R4は、理想ラインL1において、ガラスインゴットGIが成形温度T0から徐冷点+5℃(Ta+5℃)まで徐冷されるときの冷却速度に設定される。
温度調整モードのスケジュールでは、ガラスインゴットGIの徐冷の時間が、A+B+Cの時間経過した後、冷却速度R4から冷却速度R5に変更される。冷却速度R5は、例えば、上記の冷却速度R2以上、冷却速度R3以下の範囲となるように設定される。
ここで、図3に示される自然冷却ラインL3は、成形型11の外周に保温材13を配置するとともに、その成形型11を常圧環境に配置した場合のガラスインゴットGIの冷却速度R6を示している。このときの冷却速度R6よりも、上記スケジュールの冷却速度R4は遅く設定される。
次に、温度調整モードのスケジュールと、アニール工程の第2段階及び第3段階における圧力設定との関係について説明する。
アニール工程の第2段階では、ガラスインゴットGIが減圧環境で包囲されることで、ガラスインゴットGIは、上記スケジュールラインL2に示される冷却速度R4で徐冷される。冷却速度R4は、アニール容器15内の圧力(減圧度)に依存するが、冷却速度R4は、ガラスインゴットGIの周囲の構成によっても異なる。このため、例えば、アニール容器15内の圧力(減圧度)と冷却速度との関係を求めた後、その関係を用いて設定することが好ましい。なお、冷却速度R4は、ガラスインゴットGIの温度を直接的又は間接的に検出する温度センサから入力された信号に基づいて、リーク弁18の開度を制御装置で制御する自動制御により設定されてもよい。
アニール容器15内の圧力は、例えば1/10000気圧〜1/10気圧の範囲に設定される。
第3段階では、第2段階の減圧環境が常圧環境へ変更されることで、上記スケジュールラインL2に示される冷却速度R5によるガラスインゴットGIの徐冷が開始される。第4段階では、ガラスインゴットGIが、常圧環境で包囲されることで、ガラスインゴットGIは冷却速度R5で徐冷される。冷却速度R5は、例えば、保温材13の量を調整することにより調整することが可能である。
以上の説明で用いた歪点及び徐冷点は、例えば、JIS R3103−02(2001)に規定される方法で測定される。
<作用>
次に、ガラス物品の製造方法の作用について説明する。
図3の自然冷却ラインL3に示されるように、常圧環境でアニール工程を行った場合、ガラスインゴットGIは、空気を熱媒体とした熱伝導を含む放熱により冷却される。これにより、ガラスインゴットGIの冷却速度が速まり易いため、残留歪が十分に低減されないガラス物品となる。
この点、本実施形態のアニール工程は、ガラスインゴットGIが減圧環境で包囲された第2段階を含むため、空気を熱媒体とした熱伝導が抑制される。これにより、ガラスインゴットGIの表面付近の冷却速度が低下されるため、ガラスインゴットGIの温度が歪点まで低下する時間を十分に確保することができる。したがって、残留歪を十分に低減できるアニール工程を行うことが容易となる。具体的には、例えば、図3に示されるように、理想ラインL1に近いスケジュールラインL2に基づいてアニール工程を行うことができる。この場合、ガラス物品の残留歪は、例えば、20MPa以下となるため、ガラス物品の後加工の際にクラックや破損が生じ難い。
なお、残留歪が十分に低減されないガラス物品では、後加工の際にクラックや破損が生じ易い。このため、ガラス物品の後加工の前に、再度、精密な条件でアニール処理(精密アニール処理)を行う必要がある。こうした精密アニール処理では、一旦冷却されたガラス物品を再度加熱することになるため、ガラス物品の製造効率を大幅に低下させる。
この点、本実施形態のアニール工程は、ガラスインゴットGIの成形の際の余熱を利用する工程であるため、一旦冷却されたガラス物品を再度加熱することが必要な精密アニール処理を省略することが可能となる。
本実施形態のアニール工程は、成形型11の外周に保温材13が配置された状態で行われる。すなわち、アニール工程は、ガラスインゴットGIの周囲に保温材13が配置された状態で行われる。この場合、ガラスインゴットGIの成形時の余熱が輻射熱として放熱されることを抑制することができる。
本実施形態のアニール工程における第2段階では、成形型11と連続する空間が減圧されている。これにより、成形型11に接する酸素の濃度は低減されるため、成形型11の酸化が抑制される。これにより、成形型11の耐久性が高まるため、成形型11を繰り返し使用する際に有利である。
アニール工程により得られたガラス物品は、切断加工、研磨加工等の後加工が行われる。このとき、ガラス物品の残留歪が十分に低減されていることで、ガラス物品のクラックや破損が抑制される。したがって、ガラス物品を加工して得られるガラス製品の歩留まりを向上することが可能である。
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)本実施形態のガラス物品の製造方法におけるアニール工程は、ガラスインゴットGIが減圧環境で包囲された段階を含むため、空気を熱媒体とした熱伝導が抑制される。これにより、ガラスインゴットGIの表面付近の冷却速度が低下されるため、ガラスインゴットGIの温度が歪点まで低下する時間を十分に確保することができる。したがって、残留歪を十分に低減できるアニール工程を行うことが容易となる。このように、残留歪を低減したガラス物品を製造することが容易となる。
こうしたアニール工程では、ガラスインゴットGIの成形時の余熱を利用することで、一旦冷却されたガラスインゴットGIの再加熱が必要な精密アニール処理を省略することも可能である。これにより、残留歪を低減したガラス物品の製造効率を高めることができる。なお、ガラスインゴットGIの成形時の余熱を利用しない場合であっても、上記アニール工程は、アニール処理の精度を高めることが容易となる点で有利であり、これにより、残留歪を十分に低減したガラス物品を製造することが容易となる。
(2)本実施形態のアニール工程は、ガラスインゴットGIの周囲に保温材が配置された状態で行われている。この方法によれば、ガラスインゴットGIの熱が輻射熱として放熱されることを抑制することができる。このため、残留歪を十分に低減させるアニール工程を行うことがさらに容易となる。したがって、例えば、アニール処理の精度をより高めることが容易となる。
(3)本実施形態のアニール工程は、30cm以上のガラスインゴットGIからガラス物品を製造する際にガラス物品の残留歪を十分に低減できる点で特に有利である。ここで、体積が30cm以上のガラスインゴットGIでは、後加工の際のクラックや破損を抑制するために、より精度の高いアニール処理が求められる。こうしたガラスインゴットGIを精密アニール処理する場合、ガラスインゴットGIの再加熱の時間も長くなる。この点、本実施形態のガラス物品の製造方法では、精密アニール処理を省略することも可能であるため、30cm以上のガラスインゴットGIからガラス物品を製造する際の製造効率を高める点で特に有利となる。
(4)本実施形態のアニール工程は、第2段階で設定された減圧環境を常圧環境へ変更し、ガラスインゴットGIの冷却速度を速める第3段階を含んでいる。これにより、アニール工程の時間を短縮することが可能である。
(5)本実施形態のようにアニール容器15を用いる場合、アニール工程の第2段階において、圧力(減圧度)を変更することで、より精密に冷却速度を調整したアニール工程を行うことが可能である。
(6)本実施形態のアニール工程における第2段階では、成形型11と連続する空間が減圧されている。これにより、成形型11に接する酸素の濃度が低減されるため、常圧環境でアニール工程を行う場合よりも、成形型11の酸化が抑制される。これにより、成形型11の耐久性が高まるため、成形型11を繰り返し使用する際に有利である。例えば、カーボン製の成形型11を用いた場合、ガラスインゴットGIの成形温度に耐え得る耐熱性は得られ易いものの、高温環境であるため酸化が進行し易い。このようなカーボン製の成形型11の耐久性を高める点で、上記の酸素濃度の低減は特に有利となる。
(変更例)
上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・前記ガラス物品の製造方法におけるアニール工程では、減圧環境を常圧(大気圧)環境へ変更する第3段階を含んでいるが、この第3段階は省略してもよい。すなわち、ガラスインゴットGIを減圧環境で包囲した第2段階をガラスインゴットGIの温度が室温付近になるまで継続することで、ガラス製品を得ることもできる。この場合であっても、上記(1)で述べた作用効果を得ることができる。
・前記ガラス物品の製造方法のアニール工程では、アニール容器15内に成形型11(ガラスインゴットGI)を配置した後、アニール容器15内の空気を排気しているが、不活性ガスを排気するように変更してもよい。例えば、成形型11(ガラスインゴットGI)が配置されたアニール容器15内の空気を不活性ガスに置換した後、そのアニール容器15内の不活性ガスを排気するように変更してもよい。また、例えば、アニール容器15内に不活性ガスを連続的に流入させながら、そのアニール容器15内に成形型11(ガラスインゴットGI)を配置してもよい。このような不活性ガスを用いる変更例の場合、成形型11等の酸化をさらに抑制することが可能である。不活性ガスとしては、例えば、窒素、二酸化炭素、及びアルゴンが挙げられる。
・前記ガラス物品の製造方法では、成形型11の周囲に保温材13を配置した状態でアニール工程が行われているが、保温材13は省略してもよい。
・前記ガラス物品の製造方法のアニール工程では、成形型11に収容された状態のガラスインゴットGIをアニール容器15内に配置しているが、ガラスインゴットGIを成形型11から耐火性容器や耐火性支持台に移してアニール容器15内に配置してもよい。また、成形型11から取り出したガラスインゴットGIをアニール容器15内に直接配置してもよい。
・前記アニール工程における第3段階は、アニール容器15に成形型11(ガラスインゴットGI)を配置した状態で行われているが、アニール容器15から成形型11(ガラスインゴットGI)を取り出した状態で行ってもよい。
・前記アニール装置14のアニール容器15は、一重壁構造を有しているが、二重壁構造を有するアニール容器に変更してもよい。例えば、図4に示されるアニール装置20のアニール容器21は、二重壁構造を有する容器本体22と、二重壁構造を有する蓋体23とを備えている。アニール装置20の容器本体22は、内周壁22aと、この内周壁22aと離間するように配置される外周壁22bとを有している。内周壁22aと外周壁22bとの間の空間は、圧力が調整可能な圧力調整部22cとして構成される。圧力調整部22cには、外周壁22bの外方と連通する減圧管16を介して排気装置17が接続されている。また、圧力調整部22cには、リーク弁18が接続されている。蓋体23は、内壁23aと、この内壁23aと離間するように配置される外壁23bとを有し、内壁23aと外壁23bとの間の空間が減圧されている。内壁23aと外壁23bとの空間は、圧力が調整不能な定圧部23cとして構成されている。
図4に示されるアニール容器21を用いたアニール工程の場合であっても、ガラスインゴットGIが減圧環境で包囲された第2段階を行うことができるため、上記(1)で述べた作用効果が得られる。但し、この変更例では、ガラスインゴットGIと連続する空間において、空気の対流が発生し、ガラスインゴットGIの冷却速度がばらつき易くなるおそれがある。このため、ガラスインゴットGIの温度をより精密に制御するという観点から、前記実施形態のようにガラスインゴットGIと連続する空間が減圧されるアニール容器15を用いることが好ましい。すなわち、前記実施形態のアニール容器15では、成形型11の上部が開放されるとともに、保温材13が通気性を有している。このため、アニール容器15内の空気の排気によって、ガラスインゴットGIと連続する空間が減圧されるため、空気の対流が発生し難く、ガラスインゴットGIがより均一に徐冷され易い。
・図4に示されるアニール容器21の容器本体22は、圧力が調整不能な定圧部23cを有する構成に変更してもよい。また、アニール容器21における蓋体23は、排気装置17等を接続することにより、圧力が調整可能な構成に変更してもよい。
・図4に示されるアニール容器21の有する二重壁構造は、成形型11の構造として採用されてもよい。このように二重壁構造を有する成形型11を用いた場合、図2及び図4に示されるアニール容器15,21を省略することが可能である。この場合であっても、ガラスインゴットGIが減圧環境で包囲された第2段階を行うことができるため、上記(1)で述べた作用効果を得ることができる。但し、この変更例のように、成形型11を二重壁構造に変更する場合、成形型11の構造について複雑化を招くことになる。ここで、成形型11は、アニール容器15,21よりも、過酷な温度条件で用いられるため、アニール容器15,21よりも交換頻度は高まる傾向にある。こうした成形型11の構造の複雑化を回避し、製造コストを削減するという観点から、上記のアニール容器15又はアニール容器21を用いることが好ましい。
・前記アニール容器15,21は、その内壁面に保温材13を積層した構成に変更してもよい。この場合、成形型11(ガラスインゴットGI)は、その周囲に保温材13を配置せずに、アニール容器15,21内に直接配置しても、ガラスインゴットGIの周囲を減圧する段階をガラスインゴットGIの周囲に保温材が配置された状態で行うことができる。このため、上記(2)で述べた作用効果が発揮される。なお、この変更例において、成形型11(ガラスインゴットGI)の周囲に保温材13を配置してからアニール容器15,21内に配置してもよい。
・前記アニール容器15,21の内壁面は、輻射熱の反射を促進する面から構成されていてもよい。輻射熱の反射を促進する面としては、例えば、金属材料から形成される鏡面が挙げられる。
・ガラスインゴットGIの組成は、特に限定されない。ガラスインゴットGIを構成するガラスとしては、無アルカリガラスであってもよいし、アルカリ成分を含むガラスであってもよい。ガラスインゴットGIをアニール処理して得られるガラス製品の用途は、特に限定されない。ガラス製品の用途としては、例えば、窓ガラス用途、建材用途、車両用途、電子デバイス用途、光電変換パネル用途、タッチパネル用途、望遠鏡用途、放射線遮蔽窓用途、及びディスプレイ用途が挙げられる。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記アニール工程は、前記ガラスインゴットが減圧環境で包囲された段階と、前記減圧環境を常圧環境へ変更し、ガラスインゴットの冷却速度を速める段階と、を含むガラス物品の製造方法。
(ロ)前記アニール工程において、前記ガラスインゴットを減圧環境で包囲された段階は、前記ガラスインゴットが、その成形に用いた成形型に収容された状態で行われるとともに、前記成形型に連続する空間を減圧することで開始されるガラス物品の製造方法。
(ハ)前記アニール工程において、前記ガラスインゴットを減圧環境で包囲された段階は、前記ガラスインゴットに連続する空間を減圧することで開始されるガラス物品の製造方法。
(ニ)前記アニール工程において、前記ガラスインゴットを減圧環境で包囲された段階は、前記減圧環境の圧力が調整可能なアニール容器を用いて行われるガラス物品の製造方法。
GI…ガラスインゴット、13…保温材。

Claims (3)

  1. 成形したガラスインゴットをアニール処理するアニール工程を備えるガラス物品の製造方法であって、
    前記アニール工程は、前記ガラスインゴットが減圧環境で包囲された段階を含むことを特徴とするガラス物品の製造方法。
  2. 前記アニール工程は、前記ガラスインゴットの周囲に保温材が配置された状態で行われることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
  3. 前記ガラスインゴットの体積は、30cm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガラス物品の製造方法。
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