JP2015208943A - 離型ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 基材レス粘着シートを用いて部材を結合する工程において、貼り直しを行う際の粘着面剥離界面を直前に貼り合わせを行った面のみに限定することを可能とする離型ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、少なくとも1種類以上のアルケニル基およびアルキル基を官能基として有するシリコーン樹脂を含有する離型層を有し、当該離型層に少なくとも1種類以上の分子量1000以下のシロキサンを1.0〜10.0重量%含有し、300mm/分での剥離力が30mN/cm以上であることを特徴とする離型ポリエステルフィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、芯無し粘着材用途向けに好適に利用することができる離型ポリエステルフィルムに関するものである。
従来、物体間を面接着する粘着シートは種々知られており、粘着シートの1つとして基材レス両面粘着シートが知られている。基材レス両面粘着シートは、粘着剤層の両面に剥離力が相対的に軽い、軽剥離シートと、剥離力が相対的に重い重剥離シートが積層されて構成されている。両面の剥離シートを除去した後には、支持基材を有さない粘着剤層のみとなる両面粘着シートである。基材レス両面粘着シートは、まず軽剥離シートが剥がされ、露出された粘着剤層の一方の面が被着体1に接着され、その接着後、さらに重剥離シートが剥がされ、露出された粘着剤層の他方の面が、別の被着体2に接着され、これにより物体間が面接着される。
近年、基材レス両面粘着シートは、人の手で被着体1と被着体2とを貼り合わせる場合等で、接着がうまく行えず貼り直しを行う場合がしばしばある。一般的な基材レス両面粘着シートの場合、この貼り直しを行う際、どの界面から剥がすといった選択的に貼り直しを行うことが難しく、貼り直しがスムーズに行われない場合が多い。
被着体同士を貼り合わせる際に重剥離シートは軽剥離シートに比べて後工程で剥がされるため、重剥離シート面での貼り直しを行いたいという要求は多い。つまり、被着体2と接着している界面からで張り合わせを行いたい場合が多い。しかしながら、被着体2側ではなく、被着体1との界面から剥がれてしまい、貼り直しをスムーズに行えないケースがある。
特願2011−017375号公報 特願2010−289047号公報 特願2013−289047号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、基材レス粘着シートを用いて被着体同士を結合する工程において、貼り直しを行う際の粘着面剥離界面を後工程に貼り合わせを行った被着体面にのみに限定することを可能とする離型ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、少なくとも1種類以上のアルケニル基およびアルキル基を官能基として有するシリコーン樹脂を含有する離型層を有し、当該離型層に少なくとも1種類以上の分子量1000以下のシロキサンを1.0〜10.0重量%含有し、300mm/分での剥離力が30mN/cm以上であることを特徴とする離型ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、後工程で張り合わせを行った被着体面側の粘着面を選択的に剥離することを可能とするため、貼り直し界面を固定化し、生産性を向上させるため、その工業的価値は高い。
本発明でいうポリエステルフィルムとは、いわゆる押出法に従い押出口金から溶融押出されたシートを延伸したフィルムである。
上記のフィルムを構成するポリエステルとは、ジカルボン酸と、ジオールとからあるいはヒドロキシカルボン酸から重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーを指す。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等を、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等をそれぞれ例示することができる。かかるポリマーの代表的なものとして、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2、6−ナフタレート等が例示される。
本発明のフィルム中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されているような耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.1〜2μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、易滑性を十分に付与できない場合がある。一方、3μmを超える場合には、フィルムの製膜時に、その粒子の凝集物のために透明性が低下することがある他に、破断などを起こし易くなり、生産性の面で問題になる。
さらにポリエステル中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合には、フィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10〜350μm、好ましくは15〜125μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常90〜140℃、好ましくは95〜120℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常90〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルム製造に関しては、同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常90〜140℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
本発明では、必要に応じてオリゴマー(以後、OLと略することがある)防止機能を持たせるために、OL析出防止層を設けてもよい。OL析出防止層は、多層フィルム基材のどの層に用いてもよいが、本件では、コストメリットを考え、塗布層が好ましい。
本発明おいて、OL(オリゴマー)とは、熱処理後、結晶化してフィルム表面に析出する低分子量物のうちの環状三量体と定義する。
OL析出防止塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であり、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができるという点でインラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に塗布層を高温で処理することができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
本発明において、塗布層にバインダーポリマーを使用するが、「バインダーポリマー」とは高分子化合物安全性評価フロースキーム(昭和60年11月 化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するものと定義する。
塗布層中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS等の表面分析によって行うことができる。
インラインコーティングによって塗布層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
上記の目的を果たすため、本発明では、塗布によりフィルム表面にオリゴマーの析出防止層を形成し、当該層がポリビニルアルコールを通常10〜100重量%、好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは30〜90重量%含有するものとする。ポリビニルアルコールの含有量が10重量%未満では、オリゴマー封止効果が不十分となることがある。
本発明で用いるポリビニルアルコールは、通常の重合反応によって合成することができ、水溶性であることが好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、特に限定されるものではないが、通常100以上、好ましくは300〜40000のものが用いられる。重合度が100未満の場合、塗布層の耐水性が低下する傾向がある。本発明で用いるポリビニルアルコールのけん化度は、特に限定されるものではないが、通常70モル%以上、好ましくは80モル%以上、99.9モル%以下であるポリ酢酸ビニルけん化物が実用上用いられる。
本発明におけるオリゴマー析出防止層には、必要に応じて上記のポリビニルアルコール以外の水溶性または水分散性のバインダー樹脂を併用してもよい。かかるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。バインダー成分の配合量は、塗布層に対する重量部で50重量部以下、さらには30重量部以下の範が好ましい。さらに本発明のフィルムの塗布層中には、必要に応じて架橋反応性化合物を含んでいてもよい。
架橋反応性化合物としては、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系などの化合物、ポリアミン類、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネート系カップリング剤、金属キレート、有機酸無水物、有機過酸化物、熱または光反応性のビニル化合物や感光性樹脂などの多官能低分子化合物および高分子化合物から選択される。
架橋反応性化合物は、主に易接着樹脂層に含まれる樹脂が有する官能基と架橋反応することで、易接着樹脂層の凝集性、表面硬度、耐擦傷性、耐溶剤性、耐水性を改良することができる。例えば、易接着樹脂の官能基が水酸基の場合、架橋反応性化合物としては、メラミン系化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機酸無水物などが好ましく、易接着ポリエステルの官能基が有機酸およびその無水物の場合、架橋反応性化合物としてはエポキシ系化合物、メラミン系化合物、オキサゾリン系化合物、金属キレートなどが好ましく、易接着樹脂の官能基がアミン類の場合、架橋反応性化合物としてはエポキシ系化合物などが好ましく、易接着樹脂に含まれる官能基と架橋反応効率が高いものを選択して用いることが好ましい。
架橋反応性化合物は反応性官能基が1分子中に2官能以上必ず含まれる限りにおいて、低分子量化合物であっても、反応性官能基を有する高分子重合体のいずれであってもよい。架橋反応性化合物の配合量は、易接着樹脂層に対する重量部で50重量部以下、さらには30重量部以下、特に15重量部以下の範囲が好ましい。さらに本発明の易接着樹脂層中には、必要に応じて塗布層の滑り性改良のために不活性粒子を含んでいてもよい。
不活性粒子としては、無機不活性粒子、有機不活性粒子があり、無機不活性粒子としては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。有機不活性粒子としては、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂による単独あるいは共重合体を含む微粒子、またはこれらと架橋成分を複合した架橋粒子に代表される有機粒子が挙げられる。これらの不活性粒子は軟化温度または分解温度が約200℃以上、さらには250℃以上、特に300℃以上であることが好ましい。不活性粒子の平均粒径(d)は、易接着樹脂層の平均膜厚を(L)とした際、1/3≦d/L≦3、さらには1/2≦d/L≦2の関係を満足するように選択するのが好ましい。
本発明のOL封止層は、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、低分子帯電防止剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を少量含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。本発明のフィルムの塗布層は、ポリエステルフィルムの片面だけに形成してもよいし、両面に形成してもよい。片面のみに形成する場合、その反対面には必要に応じて別種の塗布層を形成させ、さらに他の特性を付与することもできる。なお、塗布液のフィルムへの塗布性および接着性を改良するため、塗布前のフィルムに化学処理や放電処理等を施してもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の膜厚は、通常0.002〜1.0g/m、より好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/mの範囲である。膜厚が0.002g/m未満の場合は十分な密着性が得られない可能性があり、1.0g/mを超える場合は、外観や透明性、フィルムのブロッキング性が悪化する可能性がある。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、塗布層を設ける方法は、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を挙げることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70〜280℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明のポリエステルフィルムのOL析出防止層は、バインダー樹脂と架橋剤とを任意割合で配合することで形成されるが、これら層が密にバリア層を形成するためOLを抑制する。このため、ポリエステルフィルムからのOLを極力、粘着剤に付着させない、また、先の加工工程内で出さない効果がある。よって、本発明のポリエステルフィルムのOL封止層の層構成は、両面が好ましく、用途に応じて、少なくとも片面に塗布することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの最表面にシリコーン系塗布層を形成する方法は、特に制限されないが、ポリエステルフィルムを製造する工程中で塗布液を塗布する方法が好適に採用される。具体的には、未延伸シート表面に塗布液を塗布して乾燥する方法、一軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布して乾燥する方法、二軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。これらの中では、未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布後、フィルムに熱処理を行う過程で同時に塗布層を乾燥硬化する方法が経済的である。また、塗布層を形成する方法として、必要に応じ、前述の塗布方法の幾つかを併用した方法も採用し得る。具体的には、未延伸シート表面に第一層を塗布して乾燥し、その後、一軸方向に延伸後、第二層を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。ポリエステルフィルムの表面に塗布液を塗布する方法としては、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。
本発明において用いる塗布液は、通常、安全性や衛生性の観点から水を主たる媒体として調整されていることが好ましい。水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的あるいは造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、主たる媒体である水と混合して使用する場合、水に溶解する範囲で使用することが好ましいが、長時間の放置で分離しないような安定した乳濁液(エマルジョン)であれば、水に溶解しない状態で使用してもよい。有機溶剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
本発明において得られたポリエステルフィルムの片方の最外層に形成する離型層は、離型性を有する硬化型シリコーン樹脂を含有している。用いられる硬化型シリコーン樹脂は、それ自体を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等何れの硬化反応タイプでも用いることができる。
本発明における、アルケニル基およびアルキル基からなるシリコーン樹脂の例としては以下のようなものが挙げられる。まず、アルケニル基を含む硬化型シリコーン樹脂は、ジオルガノポリシロキサンとして、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位96モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位4 モル%、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位97モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位3モル%)、分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位95モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位5モル%)が挙げられる。次に、アルキル基を含む硬化型シリコーン樹脂は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体が挙げられる。
本発明における、分子量が1000以下のシロキサン化合物の例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。また、前者低分子環状シロキサンの他に、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンオリゴマー等を必要に応じて混合してもよい。
以上、シリコーン系樹脂塗剤の具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、東レ・ダウ・コーニング(株)製LTC300B、LTC303E、LTC310、LTC314、SRX357、BY24−749、SD7333、BY24−179、BY24−840、BY24−842、BY24−850、SP7015、SP7259、SD7220、SD7226、SD7229等が挙げられる。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明における離型フィルムは、基材レス両面粘着シートに用いられるため、使用される軽剥離フィルムとの剥離力差が十分である必要がある。そのため、反応性重剥離調整剤が含まれていることが好ましい。反応性重剥離調整剤とは、塗料乾燥時に離型塗料のシロキサンポリマーと反応して中に取り込まれるタイプの重剥離化調整剤である。化学構造は本発明の趣旨の範囲を逸脱しない限り特に限定されないが、反応基としてビニル基を有し、一般にMQレジンと呼ばれるものが好ましい例として挙げられる。混用の比率は、所望の剥離を得るために任意に調整できるが、固形分重量において1〜50%、好ましくは3〜30%である。多すぎる場合、反応性といえども移行性が増大する。また、一般に該剥離調整剤は低粘度であることが多いため、溶剤系での使用では良好な面状を得ることが難しくなる。さらに本発明は、特殊な配合における少量の重剥離調整剤添加での顕著な重剥離化に関する物なので、多量に使用するとこの相乗的効用が相対的に減少する。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法としては、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。本発明における離型層の塗布量は、通常0.01〜1g/m2の範囲である。
本発明において、離型層が設けられていない面には、接着層、帯電防止層、OL析出防止層等の塗布層を設けてもよく、また、ポリエステルフィルムにはコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
また、離型層の塗膜の乾燥および/または硬化(熱硬化、電離放射線硬化等)は、それぞれ個別又は同時に行うことができる。同時に行う場合には、80℃以上の温度で行うことが好ましい。乾燥および硬化の条件としては、80℃以上で10秒以上が好ましい。乾燥温度が80℃未満または硬化時間が10秒未満では塗膜の硬化が不完全であり、塗膜が脱落しやすくなるため好ましくない。
本発明におけるポリエステルフィルムでは、塗布層を綺麗かつ頑丈にするため、付加型の反応を促進する白金系触媒を用いる。本成分としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体等の白金系化合物、白金黒、白金担持シリカ、白金担持活性炭が例示される。塗布層中の白金系触媒含有量は、0.3〜3.0重量%、好ましくは0.5〜2.0重量%の範囲が良い。塗布層中の白金系触媒含有量が0.3重量%よりも低い場合、剥離力の不具合や、塗布層での硬化反応が不十分になるため、面状悪化などの不具合を生じ、一方、塗布層中の白金系触媒含有量が3.0重量%を超える場合には、コストがかかる、また、反応性が高まり、ゲル異物が発生する、等の工程不具合を生じる。
また、付加型の反応は非常に反応性が高いため、場合によっては、不可反応抑制剤として、アセチレンアルコールを添加することがある。その成分は炭素− 炭素3 重結合と水酸基を有する有機化合物であるが、好ましくは、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1− ヘキシン−3−オールおよびフェニルブチノールからなる群から選択される化合物である。
本発明の課題を解決するためには、低分子シロキサンを種々選択し、離型層に適当な含有量調整することにある。つまり、本発明における、分子量が1000以下のシロキサンは、移行成分として、シリコーン樹脂中に1.0〜10.0重量含有し、好ましくは、1.0〜8.0重量%、さらに好ましくは、1.0〜5.0重量%含有する。分子量が1000以下のシロキサンの含有量が1.0重量%未満では、シロキサン成分が析出せず、本明細における効果を発揮しない。分子量が1000以下のシロキサンの含有量が10.0重量%を超えると、移行性成分が過剰に析出し、剥離力が軽くなりすぎてしまい、基材レス両面粘着シートにし、使用した場合に先に重剥離側のフィルム側が剥がれてしまう泣き別れという現象を引き起こす。
本発明における、上記分子量が1000以下のシロキサンの移行性成分量の評価としては、移行性接着率(%)評価があり、下記式で表現される。移行性接着率は、75%以上が好ましく、さらに好ましくは、80%、より好ましくは、85%以上である。
移行性評価接着率(%)=(移行性評価フィルムの剥離力÷基準フィルムの剥離力)×100。
本発明における、剥離力とは、両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)を用いて、室温、1時間放置後に基材ポリエステルフィルムと剥離角度180°、任意の引張速度でテープを剥離したときに引張試験機で測定した値を言う。本発明において得られたポリエステルフィルムの特定の剥離力を調整する方法は、離型性を有するシリコーン系材料を含有することが条件であるが、その他、方法は特に限定されるものではない。その中でも、特定の剥離力に調整する方法は、主にシリコーン離型層の離型剤の種類を、所望の剥離力に応じて変更することが好ましく、さらには、剥離力は用いる離型剤の塗布量に大きく依存するため、その離型剤塗布量を調整する方法がさらに好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムの剥離力の値は、300mm/分速度域で30mN/cm以上である。剥離力が30mN/cm未満の場合、剥離力が軽くなりすぎて剥離力の軽い方の離型フィルムの選定幅が狭くなる等の問題がある。
本発明において、OL析出防止層を設けた場合、ポリエステルフィルムのOL析出防止層側の表面を熱処理(180℃、10分間)した後、アンカー層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるOL量は、3.0mg/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0mg/m以下である。OLが3.0mg/mを超える場合、工程汚染があることがあり、粘着剤貼り合わせ時に、それが原因の異物が発生し、製品の歩留まりが落ちるなどの不具合が生じることがある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)塗布層中触媒量測定
SAICASを用いて、試料フィルムに斜め切削を行い、断面を露出させた。その後、
TOF−SIMS(飛行時間型質量分析マススペクトル)を用いて、ポリエステルフィルム塗布層中に含まれる白金を含む触媒量を求めた。
(4)離型フィルムの剥離力の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/min.で、180°剥離を行った。次のような基準で判断する。
<300mm/min.での剥離力>
○:30mN/cm以上の場合
×:30mN/cmより小さい
(5)離型フィルムの移行性評価接着率
試料フィルムをA4大に切り取り、離型面に75μm厚の2軸延伸PETフィルム(三菱樹脂株式会社製:ダイアホイルT100−75)を重ねて温度60℃、圧力1MPaの条件で2時間プレスする。この離型面に押し当てた75μm厚フィルムを移行性評価フィルムとする。未処理のPETフィルムにも同様にして75μm厚2軸延伸PETフィルム(同)を押し当て、基準フィルムとする。それぞれのフィルムの押し当てた面に粘着テープ(日東電工(株)製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は(株)島津製作所製「Ezgraph」を使用し、引張速度0.3(m/min)の条件下、180°剥離を行った。
移行性評価接着率(%)=(移行性評価フィルムの剥離力÷基準フィルムの剥離力)×100
移行性の大きなフィルムでは押し当てたフィルムに多くのシリコーンが付着するため、粘着テープの剥離力が小さくなり、移行性評価接着率(%)も低下する。
○:移行性評価接着率 85%以上(実用上問題無し)
△:移行性評価接着率 75〜85%(実用上問題が発生する可能性あり)
×:移行性評価接着率 75未満(実用上問題があり)
(6)OL析出防止層側表面から抽出されるOLの測定
あらかじめ、未熱処理の離型フィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。塗布層を設けている場合は塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のOL量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面OL量(mg/m)とする。
DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したOL(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(7)粘着層の剥離界面確認試験(実用特性代用評価)
試料フィルムを50mm×300mmに切り出し、塗工面に、下記粘着層を塗布した。
<アクリル系粘着剤層形成用組成物>
(モノマー配合組成)
アクリル酸2−エチルヘキシル 70重量%
アクリル酸2−メトキシエチル 29重量%
アクリル酸4−ヒドロキシブチル 1重量%
上記モノマー組成100重量部に対して、日本ポリウレタン製コロネートLを0.1部添加し、アクリル系粘着剤層形成用組成物を得た。次に2kgのゴムローラーを用いて、同様に50mm×300mmに切り出した三菱樹脂 株式会社製 『ダイアホイルMRF38』と粘着剤層とを貼り合わせて基材レス両面粘着シートを得た。その後、一晩置いた後、MRF38を剥がし70mm×300mmのSUS板(A)に貼りあわせ、次に試料フィルム側を剥がし、再び70mm×300mmSUS板(B)に貼りあわせた。直後、貼り直しをするため、SUS板(B)から剥がそうとした際にどちら側に粘着剤がくっついて剥がれるかで評価を行った。
○:粘着剤がSUS板(B)側にくっついて剥がれる
△:一部粘着剤がSUS板(A)側に残るが、ほとんどがSUS板(B)側に残る
×:粘着剤のほとんどもしくは全てが、SUS板(A)側に残る。
(8)総合評価
移行性、実用特性を考慮に入れた評価を行う。次のような基準で判断する。
○:実使用上問題ない。目的の効果を発揮する
△:十分に使用できるが、一部粘着剤残りや、移行性による泣き別れの発生の可能性がある
×:実使用上問題ある。目的の効果を発揮しない
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(a)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた後、4時間重縮合反応を行った。
すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.61に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.61のポリエステル(a)を得た。
<ポリエステル(b)の製造方法>
ポリエステル(a)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒子径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを粒子のポリエステルに対する含有量が1重量%となるように添加した以外は、ポリエステル(a)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(b)を得た。得られたポリエステル(b)は極限粘度0.60であった。
<ポリエステル(c)の製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェートを添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.45に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(c)を得た。このポリエステルの固有粘度は0.45であった。
<ポリエステル(d)の製造>
このポリエステルチップを固相重縮合法にて固有粘度を上げた。予備結晶化槽にて170℃の窒素雰囲気化にて0.5時間処理した後、不活性ガスを流す塔式乾燥機を用い、200℃の温度下にて水分率が0.005%になるまで乾燥した。その後固相重合槽へ送り、240℃にて3時間、固相重合を行い固有粘度0.70のポリエステル(d)を得た。
<ポリエステル(e)の製造>
ポリエステル(d)を製造する際、固相重合槽にて5時間固相重合を行い、固有粘度0.80のポリエステル(e)を得た。
実施例1:
〈ポリエステルフィルムの製造〉
表層の原料としてポリエステル(e)70重量%と、ポリエステル(b)30重量%を混合し、中間層の原料として、ポリエステル(a)84重量%とポリエステル(b)16重量%を混合し、2台のベント付き押出機に各々供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に3.0倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃でテンター内で予熱工程を経て120℃で4.3倍の横延伸を施した後、220℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に4%の弛緩を加え、幅4000mmのマスターロールを得た。このマスターロールの端から1400mmの位置よりスリットを行い、コアに1000m巻き取りし、ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの全厚みは75μm(層構成:表層5μm/中間層65μm/表層5μm)であった。
得られたポリエステルフィルム上に、下記に示す離型剤組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.12g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、ドライヤー温度120℃、ライン速度30m/minの条件でロール状の離型ポリエステルフィルムを得た。得られた離型ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
<離型剤組成>
・硬化型シリコーン樹脂
(X−62−9201B:信越化学(株)製、比重0.90 濃度 31%) 92部
・溶剤型反応性剥離調整剤
(信越化学(株)製:KS−3800、不揮発分30%) 5重量部
・分子量1000以下のシロキサン
(BY24−842:東レ・ダウコーニング製、比重0.90 濃度50%) 3.0部
・付加型白金触媒
(catPL−50T:信越化学(株)製、比重0.96 濃度100%) 1部(79ppm)
MEK/トルエン/n−ヘプタン混合溶媒(混合比率は1:1:1)1500部
実施例2〜3:
実施例1において、離型層中の分子量1000以下のシロキサンの含有量を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。作製したポリエステルフィルムは表1に示すとおりであった。
実施例4〜5:
実施例1において、離型層中の溶剤型反応性剥離調整剤の含有量を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。作製したポリエステルフィルムは表1に示すとおりであった。
実施例6〜8:
実施例1において、ポリエステルフィルム製造時のポリビニルアルコールを含有する塗布層の有無を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。作製したポリエステルフィルムは表1に示すとおりであった。
〈ポリエステルフィルムの製造〉
表層の原料としてポリエステル(e)70重量%と、ポリエステル(b)30重量%を混合し、中間層の原料として、ポリエステル(a)84重量%とポリエステル(b)16重量%を混合し、2台のベント付き押出機に各々供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に3.0倍延伸した後、この縦延伸フィルムの両面に、次に下記塗布剤を塗布量(乾燥後)が0.03g/mになるように塗布した後、テンターに導き、横方向に120℃でテンター内で予熱工程を経て120℃で4.3倍の横延伸を施した後、220℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に4%の弛緩を加え、幅4000mmのマスターロールを得た。このマスターロールの端から1400mmの位置よりスリットを行い、コアに1000m巻き取りし、ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの全厚みは75μm(層構成:表層5μm/中間層65μm/表層5μm)であった。
なお、塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・ケン化度88モル%、重合度350のポリビニルアルコールバインダーポリマー:A
・メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリロニトリル/N−メチロールメタアクリルアミド=45/45/5/5(モル比)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)バインダーポリマー:B
・架橋剤 ヘキサメトキシメラミン架橋剤:C
・粒子 コロイダルシリカ(平均粒径:70nm):D
固形分配合比:A/B/C/D=30/24/42/4
Figure 2015208943
比較例1〜2:
実施例1において、離型層中の分子量1000以下のシロキサンの含有量を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。作製したポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
比較例3:
実施例1において、離型層中の溶剤型反応性剥離調整剤の含有量を変更する以外は、実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。作製したポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
比較例4〜6:
比較例1において、ポリエステルフィルム製造時のポリビニルアルコールを含有する塗布層の有無を変更する以外は、実施例6〜8と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。作製したポリエステルフィルムは表2に示すとおりであった。
Figure 2015208943
本発明の離型フィルムは、例えば、芯無し粘着材用途向けとして好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、少なくとも1種類以上のアルケニル基およびアルキル基を官能基として有するシリコーン樹脂を含有する離型層を有し、当該離型層に少なくとも1種類以上の分子量1000以下のシロキサンを1.0〜10.0重量%含有し、300mm/分での剥離力が30mN/cm以上であることを特徴とする離型ポリエステルフィルム。
  2. 離型層中に反応性重剥離調整剤を1.0〜50.0重量含有する請求項1に記載の離型ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルフィルムが少なくとも片面にポリビニルアルコールを含有する塗布層を有するものである請求項1または2に記載の離型ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019000840A (ja) * 2017-06-12 2019-01-10 浙江潔美電子科技股▲ふん▼有限公司 チップ部品製造工程用離型フィルムの製造方法及びこれにより製造した離型フィルム

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