JP2015208860A - フィルム搬送装置用クリップ及びフィルム搬送装置、並びに合成樹脂膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、破れを抑制しつつフィルムを搬送できるフィルム搬送装置用クリップを提供することを課題とする。【解決手段】当該フィルム搬送装置用クリップは、長尺フィルムを長手方向に搬送するフィルム搬送装置に用いられ、この長尺フィルムの両側縁部を把持するクリップであって、上記長尺フィルムの側縁部が載置される台座部と、この台座部表面に相対的に移動可能に構成され、長尺フィルムの側縁部を押止する押さえ部とを備え、上記台座部及び押さえ部の対向面の少なくとも一方に弾性シートが積層され、この弾性シートが、弾性シート基材とこのシート基材の対向面側に積層される離型処理層とを有する。上記弾性シートが、押さえ部の対向面側に積層されているとよい。上記押さえ部が、縦割円柱状体であり、円柱状側面を台座部に向け、中心軸が台座部表面と平行に配設されているとよい。【選択図】図2
Description
本発明は、フィルム搬送装置用クリップ及びフィルム搬送装置、並びに合成樹脂膜の製造方法に関する。
長尺フィルムの両側縁部を把持して長手方向に搬送するフィルム搬送装置、及び長尺フィルムの両側縁部を把持して長手方向に搬送しつつ幅方向に連続的に拡幅(延伸)するフィルム延伸機(テンターとも呼ばれる)が公知である。フィルム延伸機は、フィルムの側縁部をクリップによって把持し、このクリップによってフィルムを長手方向に搬送しながら幅方向に延伸する。このようなフィルム延伸機に用いるクリップは、一般に、無端状のチェーン上に一定ピッチで間隔を空けて配設される。
上記フィルム延伸機は、様々な目的でフィルムを延伸するために用いられる。例として、フィルム延伸機によって無孔状のフッ素フィルムを延伸することによりフッ素フィルムに多数の小孔を形成して多孔質膜を得る技術が提案されている。(特開2012−120969号公報参照)。
しかしながら、上記公報に記載されるように、延伸により小孔が形成されるようなフィルムは、クリップ近傍に応力が集中して破れが生じやすい。ここで、「破れ」とは、フィルムを断裂させるようなものだけでなく、延伸により小孔を形成する場合に小孔が繋がって形成された過大な長さを有する孔を含む概念である。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、破れを抑制しつつフィルムを搬送できるフィルム搬送装置用クリップ及びフィルム搬送装置、並びに破れを抑制できる合成樹脂膜の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の一実施形態に係るフィルム搬送装置用クリップは、長尺フィルムを長手方向に搬送するフィルム搬送装置に用いられ、この長尺フィルムの両側縁部を把持するクリップであって、上記長尺フィルムの側縁部が載置される台座部と、この台座部表面に相対的に移動可能に構成され、長尺フィルムの側縁部を押止する押さえ部とを備え、上記台座部及び押さえ部の対向面の少なくとも一方に弾性シートが積層され、この弾性シートが、弾性シート基材とこのシート基材の対向面側に積層される離型処理層とを有するフィルム搬送装置用クリップである。
本発明の一実施形態に係るフィルム搬送装置用クリップは、破れを抑制しつつフィルムを搬送できる。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一実施形態に係るフィルム搬送装置用クリップは、長尺フィルムを長手方向に搬送するフィルム搬送装置に用いられ、この長尺フィルムの両側縁部を把持するクリップであって、上記長尺フィルムの側縁部が載置される台座部と、この台座部表面に相対的に移動可能に構成され、長尺フィルムの側縁部を押止する押さえ部とを備え、上記台座部及び押さえ部の対向面の少なくとも一方に弾性シートが積層され、この弾性シートが、弾性シート基材とこのシート基材の対向面側に積層される離型処理層とを有する。
本発明の一実施形態に係るフィルム搬送装置用クリップは、長尺フィルムを長手方向に搬送するフィルム搬送装置に用いられ、この長尺フィルムの両側縁部を把持するクリップであって、上記長尺フィルムの側縁部が載置される台座部と、この台座部表面に相対的に移動可能に構成され、長尺フィルムの側縁部を押止する押さえ部とを備え、上記台座部及び押さえ部の対向面の少なくとも一方に弾性シートが積層され、この弾性シートが、弾性シート基材とこのシート基材の対向面側に積層される離型処理層とを有する。
当該フィルム搬送装置用クリップは、台座部及び押さえ部の対向面の少なくとも一方に弾性シートが積層されていることにより、実質的にクリップとフィルムとの接触面積を大きくすると共に、クリップのフィルムを把持する部分やフィルムの微細な凹凸等による応力集中を防止できる。このため、クリップがフィルムを把持する力(特に搬送しながらフィルムを延伸する場合に作用する張力)が局所的に集中することを防止して、破れを抑制しつつフィルムを搬送できる。また、当該搬送装置用クリップは、弾性シートが離型処理層を有することにより、弾性シートがフィルムから容易に剥離するので、搬送後にクリップがフィルムを解放する際、フィルムに過剰な力を作用させて破れを生じさせることを抑制できる。
上記弾性シートが、押さえ部の対向面側に積層されているとよい。このように、台座部と比べてフィルムに当接する面の曲率が小さくなる押さえ部に弾性シートを積層することによって、応力集中を緩和する効果がより大きくなる。
上記押さえ部が、縦割円柱状体であり、円柱状側面を台座部に向け、中心軸が台座部表面と平行に配設されているとよい。このように、押さえ部が台座部に平行な円柱状側面を有することにより、フィルムの厚さが変化しても、フィルムに対する当接状態が殆ど変化せず、フィルムの破れを防止できる。また、円柱状側面は角部を有しないので、フィルムに応力を集中させにくく、フィルムの破れを抑制できる。
上記離型処理層が、シート基材に塗布されるパウダー層であるとよい。このように離型処理層をパウダー層とすることにより、比較的安価かつより効果的にフィルムが弾性シートに付着することを防止し、フィルムの破れを防止できる。
上記弾性シートの針入度としては、45以上70以下が好ましい。このように弾性シートの針入度を上記範囲とすることによって、クリップがフィルムを把持する力を十分に分散して、フィルムの破れをより効果的に防止できる。
上記弾性シートのシート基材がシリコーンゲルを主成分とするとよい。このように、弾性シートのシート基材の主成分が柔軟なシリコーンゲルであることによって、クリップのフィルムを把持する部分及びフィルムの凹凸を吸収して、フィルムを把持する力を確実に分散できる。
さらに、本発明の一実施形態に係るフィルム搬送装置は、複数の上記フィルム搬送装置用クリップを備える。
当該フィルム搬送装置は、上述のように上記フィルム搬送装置用クリップが応力を集中させずにフィルムを把持できるので、破れを抑制しつつフィルムに張力を付与しながら搬送することができる。
加えて、本発明の一実施形態に係る合成樹脂膜の製造方法は、合成樹脂を主成分とする長尺フィルムの両側縁部を把持して長手方向に搬送しつつ幅方向に拡幅することで長尺フィルムを延伸する合成樹脂膜の製造方法であって、上記フィルム搬送装置を用いて上記長尺フィルムを拡幅する工程を備える。
当該合成樹脂膜の製造方法は、上記フィルム搬送装置によって破れを抑制しつつ長尺フィルムを延伸することができる。
上記長尺フィルムを拡幅する工程が、上記長尺フィルムの主成分である合成樹脂のガラス転移点未満の温度で行われるとよい。このように長尺フィルムの主成分である合成樹脂のガラス転移点未満の温度で上記長尺フィルムを拡幅することにより、長尺フィルムを比較的大きな弾性率を有する状態として、上記長尺フィルム全体に大きな延伸力を作用させることができる。
ここで、「縦割円柱状体」とは、円柱体を縦割りにするよう分割して得られる立体であって、円柱面の一部をなす円柱状側面を有するものを意味する。「平行」とは、相対角度が1°以下、好ましくは0.5°以下であることを意味する。「針入度」とは、JIS−K−2207(2006)に準拠して測定される値である。「シリコーンゲル」とは、ゲル状に硬化するシリコーン樹脂を意味する。また、「主成分」とは、材料を構成する成分の中で最も質量含有率が大きい成分を意味し、好ましくは50質量%以上含まれる成分をいう。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
[フィルム延伸機]
図1のフィルム延伸機は、長尺フィルムFを長手方向(図1における矢印方向)に搬送するフィルム搬送装置の一種であり、長尺フィルムFを搬送しつつ幅方向に拡幅することができる。当該フィルム延伸機は、長尺フィルムFを延伸することによって、長尺フィルムFに位相差を付与したり、多孔質化したりするために利用される。特に、当該フィルム延伸機は、長尺フィルムFを長手方向に延伸する延伸装置と組み合わせることにより、長尺フィルムFを二軸延伸するために好適に利用される。
図1のフィルム延伸機は、長尺フィルムFを長手方向(図1における矢印方向)に搬送するフィルム搬送装置の一種であり、長尺フィルムFを搬送しつつ幅方向に拡幅することができる。当該フィルム延伸機は、長尺フィルムFを延伸することによって、長尺フィルムFに位相差を付与したり、多孔質化したりするために利用される。特に、当該フィルム延伸機は、長尺フィルムFを長手方向に延伸する延伸装置と組み合わせることにより、長尺フィルムFを二軸延伸するために好適に利用される。
上記長尺フィルムFとしては、特に限定されないが、例えば幅0.1m以上2m以下、長さ10m以上500m以下の合成樹脂製フィルムを用いることができる。また、長尺フィルムFの延伸率(拡幅率)としては、特に限定されないが、例えば1.5倍以上10倍以下とすることができる。
図1のフィルム延伸機は、複数のスプロケット1に無端状に架け渡されて水平面内で周回する一対のチェーン2と、このチェーン2に一定のピッチで取り付けられ、長尺フィルムFの両側縁部を把持する複数のクリップ3と、上記一対のチェーン2が対向する領域においてチェーン2を案内することによりチェーン2の間隔を定める複数のガイド4とを備える。
また、図1のフィルム延伸機は、断熱性を有するパネルから形成される箱体5の中に収容されている。この箱体5は、内部の空気を不図示の空調設備によって循環させることにより、内部温度を調節可能となっている。
図1のフィルム延伸機は、長尺フィルムFの搬送方向上流側から順に、クリップ3により長尺フィルムFの両側縁部を把持する把持領域Z1と、一対のチェーン2の間隔を広げて長尺フィルムFを拡幅する第1拡幅領域Z2と、チェーン2の駆動のために設けられ、長尺フィルムFを拡幅することなく搬送する駆動領域Z3と、再びチェーン2の間隔を広げて長尺フィルムFをさらに拡幅する第2拡幅領域Z4と、クリップ3から長尺フィルムFを解放する解放領域Z5とを備える。
第2拡幅領域Z4における平面視でのチェーン2の進行方向の長尺フィルムFの搬送方向に対する角度は、第1拡幅領域Z2における平面視でのチェーン2の進行方向の長尺フィルムFの搬送方向に対する角度よりも大きくなっているが、これは、長尺フィルムFの長手方向の搬送距離に対する長尺フィルムFの幅の拡幅率を略等しく設定することを企図したものである。また、当該フィルム延伸機は、第1拡幅領域Z2及び第2拡幅領域Z4における一対のチェーン2の対向間隔を駆動領域Z3と等しくすることによって、長尺フィルムFを拡幅せずに長手方向に搬送する搬送装置として使用することができる。
〔スプロケット及びチェーン〕
図1のフィルム延伸機において、スプロケット1及びチェーン2は、公知の機械部品であり、様々な規格品の中から適宜選択される。また、当該フィルム延伸機は、少なくともいずれかのスプロケット1が不図示の駆動源により回転駆動されることによって、各チェーン2を周回させる。そのような駆動源としては、モーターや内燃機関等が利用可能である。
図1のフィルム延伸機において、スプロケット1及びチェーン2は、公知の機械部品であり、様々な規格品の中から適宜選択される。また、当該フィルム延伸機は、少なくともいずれかのスプロケット1が不図示の駆動源により回転駆動されることによって、各チェーン2を周回させる。そのような駆動源としては、モーターや内燃機関等が利用可能である。
〔クリップ〕
図1のフィルム延伸機のクリップ3は、図2及び図3に詳しく示すように、チェーン2に取り付けられる本体6と、本体6に搖動可能に取り付けられる揺動部材7とを備える。
図1のフィルム延伸機のクリップ3は、図2及び図3に詳しく示すように、チェーン2に取り付けられる本体6と、本体6に搖動可能に取り付けられる揺動部材7とを備える。
<本体>
クリップ3の本体6は、長尺フィルムFの側縁部が載置される台座部8と、台座部8の上方に延出して揺動部材7を保持するアーム部9と、チェーン2のリンクに取り付けられる固定部10とを備える。
クリップ3の本体6は、長尺フィルムFの側縁部が載置される台座部8と、台座部8の上方に延出して揺動部材7を保持するアーム部9と、チェーン2のリンクに取り付けられる固定部10とを備える。
クリップ3の本体6は、例えば鋳鉄等の金属で形成される。
(台座部)
台座部8は、チェーン2の周回方向に垂直な水平方向の外側(長尺フィルムFの幅方向中心側)に突出する板状に形成され、平坦な表面(上側面)に長尺フィルムFの側縁部が載置される。
台座部8は、チェーン2の周回方向に垂直な水平方向の外側(長尺フィルムFの幅方向中心側)に突出する板状に形成され、平坦な表面(上側面)に長尺フィルムFの側縁部が載置される。
台座部8のチェーン2の周回方向(長尺フィルムFの長手方向)の幅としては、例えば30mm以上60mm以下とすることとができる。また、台座部8のチェーン2の周回方向に垂直な水平方向の突出長さとしては、例えば20mm以上50mm以下とすることができる。
(アーム部)
アーム部9は、台座部8と同一方向に、台座部8との間に隙間を空けて延伸する。また、アーム部9は、先端部においてチェーン2の周回方向と平行な搖動軸11を中心として搖動可能に揺動部材7を支持する。
アーム部9は、台座部8と同一方向に、台座部8との間に隙間を空けて延伸する。また、アーム部9は、先端部においてチェーン2の周回方向と平行な搖動軸11を中心として搖動可能に揺動部材7を支持する。
アーム部9と台座部8との隙間としては、例えば10mm以上50mm以下とすることができる。
(固定部)
固定部10は、長尺フィルムFの搬送方向と垂直な断面形状において長尺フィルムFの面に垂直な方向に伸びる部分と、この垂直部分の上下両端から水平方向の同じ側に突出する一対の水平部分とを有し、この水平部分がチェーン2のリンクプレートに固定又は一体に形成される。これにより、固定部10は、台座部8及びアーム部9をチェーン2の周回方向と垂直に突出させるよう保持する。
固定部10は、長尺フィルムFの搬送方向と垂直な断面形状において長尺フィルムFの面に垂直な方向に伸びる部分と、この垂直部分の上下両端から水平方向の同じ側に突出する一対の水平部分とを有し、この水平部分がチェーン2のリンクプレートに固定又は一体に形成される。これにより、固定部10は、台座部8及びアーム部9をチェーン2の周回方向と垂直に突出させるよう保持する。
<揺動部材>
揺動部材7は、上記のようにアーム部9に搖動可能に支持されている。この揺動部材7は、下端に長尺フィルムFの側縁部を押止する押さえ部12を有し、この押さえ部12の台座部8に対する対向面に弾性シート13が積層されている。また、揺動部材7は、搖動軸11を挟んで押さえ部12とは反対側に突設され、搖動軸11に略垂直な軸を中心に回転可能なローラー14を有している。
揺動部材7は、上記のようにアーム部9に搖動可能に支持されている。この揺動部材7は、下端に長尺フィルムFの側縁部を押止する押さえ部12を有し、この押さえ部12の台座部8に対する対向面に弾性シート13が積層されている。また、揺動部材7は、搖動軸11を挟んで押さえ部12とは反対側に突設され、搖動軸11に略垂直な軸を中心に回転可能なローラー14を有している。
この揺動部材7は、例えば砲金等の金属で形成される。
当該フィルム延伸機は、把持領域Z1及び解放領域Z5に、ローラー14に当接する不図示の案内部材を備える。この案内部材によってローラー14がチェーン2の周回方向に垂直な水平方向の外側(長尺フィルムFの幅方向中心側)に移動させられることにより、揺動部材7が搖動軸11を中心に揺動して押さえ部12を台座部8から離間させる。これにより、図1の把持領域Z1において図2に示すように台座部8と押さえ部12との間に長尺フィルムFが挿入されるようクリップ3を長尺フィルムFの両側に配置すること、及び図1の解放領域Z5において台座部8と押さえ部12との間に把持する長尺フィルムFを解放することができるようになっている。
(押さえ部)
押さえ部12は、揺動部材7の搖動によって台座部8の表面に相対的に移動可能に構成されている。この押さえ部12は、縦割円柱状体(図2に二点鎖線で示す円柱体を軸と平行な面で分割して得られる立体)であり、円柱状側面を台座部8に向け、中心軸が台座部8の表面と平行に配設されている。つまり、押さえ部12は、上記円柱状側面を台座部8に対する対向面とする。
押さえ部12は、揺動部材7の搖動によって台座部8の表面に相対的に移動可能に構成されている。この押さえ部12は、縦割円柱状体(図2に二点鎖線で示す円柱体を軸と平行な面で分割して得られる立体)であり、円柱状側面を台座部8に向け、中心軸が台座部8の表面と平行に配設されている。つまり、押さえ部12は、上記円柱状側面を台座部8に対する対向面とする。
(弾性シート)
弾性シート13は、弾性シート基材15とこのシート基材15の対向面側(台座部8に対向する側)に積層される離型処理層16とを有する。
弾性シート13は、弾性シート基材15とこのシート基材15の対向面側(台座部8に対向する側)に積層される離型処理層16とを有する。
この弾性シート13は、押さえ部12の上記円柱状側面を覆うよう積層される。弾性シート13の積層方法としては、例えば接着剤が使用される。
上記弾性シート13の針入度の下限としては、45が好ましく、50がより好ましい。一方、弾性シート13の針入度の上限としては、70が好ましく、60がより好ましい。弾性シート13の針入度が上記下限に満たない場合、長尺フィルムFに作用する力を十分に分散することができず、長尺フィルムFに破れを生じるおそれがある。また、弾性シート13の針入度が上記上限を超える場合、弾性シート13の変形量が大きくなるため、長尺フィルムFに十分な張力を作用させられるよう把持することが困難となるおそれがある。なお、この弾性シート13は、一般のゴム硬度計では測定できないほど小さい弾性率(105N/m2以下)を有するものが使用されることが好ましいため、好ましい柔らかさの指標として上記針入度を使用している。
また、上記弾性シート13の平均厚さの下限としては、0.3mmが好ましく、0.5mmがより好ましい。一方、弾性シート13の平均厚さの上限としては、3mmが好ましく、2mmがより好ましい。弾性シート13の平均厚さが上記下限に満たない場合、押さえ部12の凹凸を十分に吸収することができず、長尺フィルムFに局所的に力を作用させて破れを生じさせるおそれがある。また、弾性シート13の平均厚さが上記上限を超える場合、弾性シート13の変形量が過大となり、長尺フィルムFをしっかりと把持できないおそれがある。
〈シート基材〉
弾性シート13のシート基材15としては、上記弾性シート13の針入度を達成できるよう十分に柔らかいシートが用いられる。
弾性シート13のシート基材15としては、上記弾性シート13の針入度を達成できるよう十分に柔らかいシートが用いられる。
このシート基材15の主成分としては、例えばシリコーンゲルが用いられる。このようにシリコーンゲルを主成分とするシートを使用することにより、比較的安価かつ容易に上記針入度を達成できるような柔らかい弾性シート13を構成できる。
〈離型処理層〉
弾性シート13の離型処理層16は、シート基材15の対向面の剥離性を向上させ、長尺フィルムFが剥がれやすくする層である。
弾性シート13の離型処理層16は、シート基材15の対向面の剥離性を向上させ、長尺フィルムFが剥がれやすくする層である。
この離型処理層16は、シート基材15の台座部8に対向する面に離型処理を施すことによって形成される。この離型処理は、上記弾性シート13の針入度を達成できるようシート基材15を硬化させない処理方法が好ましい。
このような離型処理層16としては、例えばシート基材15に塗布されるパウダー層が挙げられる。つまり、離型処理層16は、複数の紛体をシート基材15の粘着力により担持させることで形成できる。
〔効果〕
当該フィルム延伸機のクリップ3は、押さえ部12の対向面の少なくとも一方に弾性シート13が積層されていることにより、実質的にクリップ3と長尺フィルムFとの接触面積を大きくすると共に、押さえ部12の凹凸等による応力集中を防止できる。このため、当該クリップ3は、長尺フィルムFを把持する力が局所的に集中して作用することを防止し、長尺フィルムFに破れが生じることを防止できる。
当該フィルム延伸機のクリップ3は、押さえ部12の対向面の少なくとも一方に弾性シート13が積層されていることにより、実質的にクリップ3と長尺フィルムFとの接触面積を大きくすると共に、押さえ部12の凹凸等による応力集中を防止できる。このため、当該クリップ3は、長尺フィルムFを把持する力が局所的に集中して作用することを防止し、長尺フィルムFに破れが生じることを防止できる。
また、当該クリップ3は、弾性シート13が離型処理層16を有し長尺フィルムFから容易に剥離するため、長尺フィルムFの解放時にフィルムに過剰な力を作用させて破れを生じさせることを防止できる。
また、当該クリップ3では、台座部8と比べて長尺フィルムFに当接する対向面の曲率が小さい押さえ部12に弾性シート13を積層するので、クリップ3の実質的に長尺フィルムFを挟持する領域の面積を拡大する効果が大きく、効率よく応力集中を緩和して長尺フィルムFの破れを防止できる。
また、当該クリップ3では、押さえ部12が、円柱状側面を有する縦割円柱状体であるため、長尺フィルムFの厚さが変化して押さえ部12の長尺フィルムFに当接する位置が変化しても押さえ部12の長尺フィルムFに当接する部分の形状が殆ど変化せず、長尺フィルムFの破れを変わらずに防止できる。また、この円柱状側面には角部がないため、当該クリップ3は、長尺フィルムFに応力を集中させにくく、長尺フィルムFの破れを抑制できる。
当該クリップ3において、弾性シート13は、離型処理層16として、シート基材15に塗布されるパウダー層を有する。このパウダー層は、比較的安価かつ効果的に長尺フィルムFの弾性シート13への付着を防止できる。
[合成樹脂膜の製造方法]
これより、図1のフィルム延伸機を使用する合成樹脂膜の製造方法について説明する。
これより、図1のフィルム延伸機を使用する合成樹脂膜の製造方法について説明する。
当該合成樹脂膜の製造方法は、合成樹脂を主成分とする長尺フィルムの両側縁部を把持して長手方向に搬送しつつ幅方向に拡幅することで上記長尺フィルムを延伸する工程を備える。
(長尺フィルム)
当該合成樹脂膜の製造方法で延伸される長尺フィルムFとしては、合成樹脂を主成分とするものであればよい。長尺フィルムFの主成分とされる合成樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ナイロン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、フッ素樹脂等が挙げられる。
当該合成樹脂膜の製造方法で延伸される長尺フィルムFとしては、合成樹脂を主成分とするものであればよい。長尺フィルムFの主成分とされる合成樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ナイロン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、フッ素樹脂等が挙げられる。
上記フィルム延伸工程において、図1のフィルム延伸機を使用し、図2のクリップによって上記長尺フィルムFの両側縁部を把持して長手方向に搬送しつつ幅方向に拡幅することで、長尺フィルムFを延伸した合成樹脂膜が得られる。この延伸により得られる合成樹脂膜は、例えば位相差を有するものとなったり、多孔質化されたものとなる。
特に、長尺フィルムFを多孔質化する場合、図1のフィルム延伸機の箱体5の内部温度としては、長尺フィルムFの主成分である合成樹脂のガラス転移点未満が好ましい。このように、温度が主成分である合成樹脂のガラス転移点未満であり、比較的大きい弾性率を有する状態で長尺フィルムFを延伸することにより、長尺フィルムFの全体に微細な小孔を均等に形成することができる。
フィルム延伸機の箱体5の具体的な内部温度としては、長尺フィルムFの主成分がポリ塩化ビニルの場合79℃未満、ポリスチレンの場合90℃未満、ポリメタクリル酸メチルの場合70℃未満、ポリ酢酸ビニルの場合30℃未満、ポリビニルアルコールの場合85℃未満、ポリ乳酸の場合60℃未満、ポリイミドの場合250℃未満、ポリカーボネートの場合145℃未満、ポリエチレンの場合−120℃未満、ポリプロピレンの場合−10℃未満、ポリイソプレンの場合−70℃未満、ナイロンの場合50℃未満、ポリオキシメチレンの場合−56℃未満、ポリエーテルエーテルケトンの場合143℃未満、ポリエチレンテレフタレートの場合69℃未満、ポリフッ化ビニリデンの場合−35℃未満、PTFEの場合19℃未満とされる。
<利点>
当該合成樹脂膜の製造方法では、このように比較的大きな弾性率を有する状態で長尺フィルムFを延伸しても、上記フィルム延伸機が図2の当該クリップ3を備えるため、長尺フィルムFに局所的に大きな張力を作用して破れること(大きな孔の形成)を抑制することができる。
当該合成樹脂膜の製造方法では、このように比較的大きな弾性率を有する状態で長尺フィルムFを延伸しても、上記フィルム延伸機が図2の当該クリップ3を備えるため、長尺フィルムFに局所的に大きな張力を作用して破れること(大きな孔の形成)を抑制することができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、当該フィルム延伸機の拡幅領域の数、長さ、拡幅率等の組み合わせなどの延伸パターンは適宜変更してもよい。
また、当該フィルム搬送装置用クリップは、台座部の対向面(押さえ部に対向する面)に弾性シートを積層してもよく、台座部及び押さえ部の両方の対向面に弾性シートを積層してもよい。
また、当該フィルム搬送装置用クリップの押さえ部は、例えば楕円柱面、角柱面等の他の柱面など、円柱面以外の形状を有してもよく、実質的にフィルムに当接し得る面の形状が平面、自由曲面等の他の形状であってもよい。
本発明の実施形態に係るフィルム搬送装置用クリップ及びフィルム搬送装置は、長尺フィルムを連側的に搬送するために利用でき、特に本発明の実施形態に係る合成樹脂膜の製造方法に好適に利用できる。
また、本発明の実施形態に係る合成樹脂膜の製造方法は、微細な気孔を有するろ過膜の製造等に好適に利用できる。
1 スプロケット
2 チェーン
3 クリップ
4 ガイド
5 箱体
6 本体
7 揺動部材
8 台座部
9 アーム部
10 固定部
11 搖動軸
12 押さえ部
13 弾性シート
14 ローラー
15 シート基材
16 離型処理層
F 長尺フィルム
Z1 把持領域
Z2 第1拡幅領域
Z3 駆動領域
Z4 第2拡幅領域
Z5 解放領域
2 チェーン
3 クリップ
4 ガイド
5 箱体
6 本体
7 揺動部材
8 台座部
9 アーム部
10 固定部
11 搖動軸
12 押さえ部
13 弾性シート
14 ローラー
15 シート基材
16 離型処理層
F 長尺フィルム
Z1 把持領域
Z2 第1拡幅領域
Z3 駆動領域
Z4 第2拡幅領域
Z5 解放領域
Claims (9)
- 長尺フィルムを長手方向に搬送するフィルム搬送装置に用いられ、この長尺フィルムの両側縁部を把持するクリップであって、
上記長尺フィルムの側縁部が載置される台座部と、この台座部表面に相対的に移動可能に構成され、長尺フィルムの側縁部を押止する押さえ部とを備え、
上記台座部及び押さえ部の対向面の少なくとも一方に弾性シートが積層され、
この弾性シートが、弾性シート基材とこのシート基材の対向面側に積層される離型処理層とを有するフィルム搬送装置用クリップ。 - 上記弾性シートが、押さえ部の対向面側に積層されている請求項1に記載のフィルム搬送装置用クリップ。
- 上記押さえ部が、縦割円柱状体であり、円柱状側面を台座部に向け、中心軸が台座部表面と平行に配設されている請求項1又は請求項2に記載のフィルム搬送装置用クリップ。
- 上記離型処理層が、シート基材に塗布されるパウダー層である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のフィルム搬送装置用クリップ。
- 上記弾性シートの針入度が45以上70以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフィルム搬送装置用クリップ。
- 上記弾性シートのシート基材がシリコーンゲルを主成分とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフィルム搬送装置用クリップ。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の複数のフィルム搬送装置用クリップを備えるフィルム搬送装置。
- 合成樹脂を主成分とする長尺フィルムの両側縁部を把持して長手方向に搬送しつつ幅方向に拡幅することで上記長尺フィルムを延伸する合成樹脂膜の製造方法であって、
請求項7に記載のフィルム搬送装置を用いて上記長尺フィルムを拡幅する工程を備える合成樹脂膜の製造方法。 - 上記長尺フィルムを拡幅する工程が、上記長尺フィルムの主成分である合成樹脂のガラス転移点未満の温度で行われる請求項8に記載の合成樹脂膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014089616A JP2015208860A (ja) | 2014-04-23 | 2014-04-23 | フィルム搬送装置用クリップ及びフィルム搬送装置、並びに合成樹脂膜の製造方法 |
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JP2014089616A JP2015208860A (ja) | 2014-04-23 | 2014-04-23 | フィルム搬送装置用クリップ及びフィルム搬送装置、並びに合成樹脂膜の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015208860A true JP2015208860A (ja) | 2015-11-24 |
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ID=54611493
Family Applications (1)
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JP2014089616A Pending JP2015208860A (ja) | 2014-04-23 | 2014-04-23 | フィルム搬送装置用クリップ及びフィルム搬送装置、並びに合成樹脂膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015208860A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107538726A (zh) * | 2017-07-04 | 2018-01-05 | 芜湖市亿仑电子有限公司 | 一种用于金属化薄膜拉伸机的夹持装置 |
JP2023011519A (ja) * | 2021-07-09 | 2023-01-24 | ブリュックナー・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー | 複数部品を有する捕捉装置と延伸装置 |
-
2014
- 2014-04-23 JP JP2014089616A patent/JP2015208860A/ja active Pending
Cited By (3)
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JP2023011519A (ja) * | 2021-07-09 | 2023-01-24 | ブリュックナー・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー | 複数部品を有する捕捉装置と延伸装置 |
JP7490716B2 (ja) | 2021-07-09 | 2024-05-27 | ブリュックナー・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー | 薄膜材延伸装置用捕捉装置と延伸装置 |
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