JP2015207485A - ガス絶縁開閉装置用注型絶縁物およびそれを用いた絶縁スペーサ - Google Patents

ガス絶縁開閉装置用注型絶縁物およびそれを用いた絶縁スペーサ Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性を高めつつ、界面剥離、クラックの発生を防ぐことができるガス開閉装置用注型絶縁物、ならびにそれを用いた絶縁スペーサを提供する。
【解決手段】多環芳香族型エポキシ樹脂と、ビスアリルナジイミドと、ガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂とを相溶化させて形成された均一相を有する樹脂を含む、ガス絶縁開閉装置用注型絶縁物、ならびに、当該注型絶縁物からなる絶縁スペーサ。
【選択図】図1

Description

この発明は、ガス絶縁開閉装置(GIS:Gas Insulated Switch)用注型絶縁物およびそれを用いた絶縁スペーサに関する。
ガス絶縁開閉装置、管路気中送電装置では、接地した金属容器内に高電圧導体を絶縁支持して収納するために絶縁スペーサが使用されている。絶縁スペーサは、SFなどの高圧の絶縁ガスを充填して接地した金属容器内で高電圧導体を固定して絶縁支持する。
従来の絶縁スペーサは、たとえば特開平7−6646号公報(特許文献1)に開示されるように、高電圧導体相互を接合する連結部を固定する通電導体部と、この通電導体部が中心に配置された本体絶縁部と、この本体絶縁部の外周に金属フランジとを有し、これらが一体になるよう成形されて構成される。また、金属フランジは、金属容器端部の連結フランジ間に挟持され、スタッドとナットとにより締結されている。また、絶縁スペーサの本体絶縁部と金属容器の連結フランジとの間にはパッキングが配設され、このパッキングにより気密が保持される。さらに、金属フランジ内側の本体絶縁部内には、接地された環状の導電性リングが配置され、通電導体部周辺の本体絶縁部内には、エンジニアリングプラスチック材が配置され、これらは本体絶縁部を構成するエポキシ樹脂で一体に注型されている。このエンジニアリングプラスチック材は、通電導体部とともに一体に射出成形により形成され、さらに本体絶縁部のエポキシ樹脂で導電性リングと共に一体成形される。
上述のように構成された、特許文献1に開示された従来の絶縁スペーサは、高電圧導体に通電時、高圧側の通電導体部、絶縁ガスおよび本体絶縁部が交わるトリプルジャンクションにおける電界集中を、エポキシ樹脂よりも誘電率の低いエンジニアリングプラスチック材により緩和する。また、低圧側の連結フランジ、絶縁ガスおよび本体絶縁部が交わるトリプルジャンクションにおける電界集中を、導電性リングにより緩和する。
しかしながら、従来の絶縁スペーサにおいて、通電導体部周辺に配置されるエンジニアリングプラスチック材は、粘度が高いため、50気圧を越える高圧での射出成形により成形されるものであり、金型が大型化して重量も増大し、作業性が悪くなると共に、形成のための設備が非常に高価なものであった。また、エンジニアリングプラスチック材には、成形後に金型から外し易くするための内部離型剤が含まれているため、本体絶縁部のエポキシ樹脂との界面で剥離が発生することがあった。さらに、通電導体部との界面においても、エンジニアリングプラスチック材と通電導体部との熱膨張係数の差に起因する応力により、剥離が発生することがあった。
また、低圧側の電界緩和用に配置された導電性リングでも、アルミニウムなどからなる導電性リングと本体絶縁部のエポキシ樹脂との熱膨張係数の差に起因する応力により、界面剥離やクラックが発生することがあり、これらの界面剥離やクラックは、部分放電の発生原因にもなり、信頼性を著しく低下させるという問題点があった。
そこで、この問題を解決するため、ゴム粒子のような有機物粒子を分解した微粒子がエポキシ樹脂に均一に分散した熱硬化性樹脂組成物によって形成された絶縁スペーサを用いることによって、熱応力によるクラックの発生を防ぐことが提案されている(たとえば、特開平9−022630号公報(特許文献2)を参照)。
特開平7−6646号公報 特開平9−022630号公報
しかしながら、特許文献2に開示されたような、クラックの発生を防ぐためにゴム粒子を添加した絶縁スペーサでは、耐熱性・弾性率が低下し、十分な靭性を得るためにはゴム粒子を多量に配合する必要がある。このため、エポキシ樹脂本来の耐熱性、機械物性が低下させてしまい、良好な物性を有する複合材料が得られないという課題があった。
また、ゴム粒子を添加した樹脂の耐熱性を向上させるために熱硬化性ポリイミドを添加した場合、ポリイミドの硬化温度が高いため硬化時にゴム粒子が熱劣化してしまう課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、耐熱性を高めつつ、界面剥離、クラックの発生を防ぐことができるガス開閉装置用注型絶縁物、ならびにそれを用いた絶縁スペーサを提供することである。
そこで、上記の課題を解決するため、エポキシ樹脂に熱硬化性イミドであるビスアリルナジイミド(BANI:Bis−Allyl−Nadi−Imide)と熱可塑性樹脂としてポリエーテルスルホン(PES:Polyethersulfone)を添加して均一相を形成して靭性を向上させる手法について検討したところ、ビスアリルナジイミドはエポキシ樹脂への溶解性が高く、エポキシ樹脂とビスアリルナジイミドとは相溶化しやすいが、そこに熱可塑性樹脂を加えると、エポキシ樹脂、BANI、PESが相溶化し難いという知見が得られた。この知見に基づいて上記手法について検討した結果、特定のエポキシ樹脂とビスアリルナジイミドと熱可塑性樹脂とを組み合わせることで、上記の課題を解決できることを見出した。さらに、ビスマレイミドを添加することによって樹脂の硬化温度を下げることができることも見出した。
本発明のガス絶縁開閉装置(GIS)用注型絶縁物は、多環芳香族型エポキシ樹脂と、ビスアリルナジイミドと、ガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂とを相溶化させて形成された均一相を有する樹脂を含むことを特徴とする。
本発明のGIS用注型絶縁物において、前記熱可塑性樹脂はポリエーテルスルホンであることが好ましい。
本発明のGIS用注型絶縁物は、ビスマレイミドをさらに含むことが好ましい。
本発明のGIS用注型絶縁物は、アルミナをさらに含むことが好ましい。
本発明のGIS用注型絶縁物は、前記多環芳香族型エポキシ樹脂100重量部に対し、前記ビスアリルナジイミドを3〜30重量部、熱可塑性樹脂を3〜30重量部含むことが好ましい。
本発明は、上述した本発明の注型絶縁物からなる絶縁スペーサについても提供する。
本発明によれば、ビスアリルナジイミドと熱可塑性樹脂(たとえばPES)は相溶化せず、また、ビフェニル型エポキシ樹脂などにビスアリルナジイミドと熱可塑性樹脂とを分散させても相溶化しないが、多環芳香族型エポキシ樹脂にビスアリルナジイミドと熱可塑性樹脂とを分散させると均一相を形成し、樹脂の耐熱性を高めつつ、破壊靭性が向上された絶縁スペーサを提供することができた。また、ビスアリルナジイミドを使用することによってフィラーを添加しても注型樹脂の粘度が低く抑えられた。さらにビスマレイミドを添加することによって硬化温度を下げ、硬化過程での気泡の発生を抑制するという利点があった。
実施の形態1の注型絶縁物を製造する方法を段階的に示す模式図である。 実施の形態1として上述したGIS用注型絶縁物からなる絶縁スペーサ(実施の形態2)の一例を模式的に示す図である。
(実施の形態1:GIS用注型絶縁物)
本実施形態は、多環芳香族型エポキシ樹脂と、ビスアリルナジイミド(BANI)と、ガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂とを相溶化させて形成された均一相を有する樹脂を含む、ガス絶縁開閉装置(GIS)に用いるための注型絶縁物である。ここで、「相溶化」とは、各成分(ここでは、多環芳香族型エポキシ樹脂と、ビスアリルナジイミドと、ガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂)が均質に混ざり合った状態、もしくは、粒状物質による光散乱が無く熱可塑性樹脂が均一分散した状態を指す。また、「注型」とは、樹脂を型に注ぎ込んで成形可能なことを指す。このような本実施形態の注型絶縁物は、従来と比較して、ガラス転移温度を高めることで樹脂の耐熱性を高めつつ、破壊靭性が向上されたものである。
図1は、本実施形態の注型絶縁物を製造する方法を段階的に示す模式図である。図1に示すように、まず、多環芳香族型エポキシ樹脂1にビスアリルナジイミド2、熱可塑性樹脂3を加熱、混合させて分散させると分散相5が形成される。この分散相5は多環芳香族型エポキシ樹脂とビスアリルナジイミドが相溶化した相4に熱可塑性樹脂3が均一に分散した相である。本実施形態では分散相5の形成後にさらに加熱、混合を行なうことで、分散相5で熱可塑性樹脂3が相溶化して均一相6が形成される。分散相5を形成し、その後、均一相6を形成するまでの加熱の温度および時間は特に制限されないが、加熱温度は120〜160℃の範囲内であることが好ましく、加熱時間は2〜6時間の範囲内であることが好ましい(たとえば、135℃で30分間加熱することで分散相5が形成され、その後、135℃で3時間加熱することで、均一相6が形成される)。分散相5を形成し、その後、均一相6を形成するまでの樹脂の混合は、撹拌装置を用いて行なわれ、撹拌装置としては樹脂の加熱、撹拌が可能なものであれば特に制限されない。
注型絶縁物としては、その硬化物中で、(1)多環芳香族型エポキシ樹脂が分散相を形成し、熱可塑性樹脂が連続相を形成する場合、(2)多環芳香族型エポキシ樹脂が連続相を形成し、熱可塑性樹脂が分散相を形成する場合、ならびに、(3)多環芳香族型エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とがともに連続相を形成する場合、(4)多環芳香族型エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とが均一相を形成する場合を挙げることができる。本発明は、これらのうち、(4)の均一相を形成する場合に相当する。
本実施形態において、多環芳香族型エポキシ樹脂と、ビスアリルナジイミドと、熱可塑性樹脂とを相溶化させる際、成形時の温度や熱硬化性樹脂である多環芳香族型エポキシ樹脂の触媒量によって注型絶縁物の相構造が変化する。たとえば、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが一旦均一に相溶し、その後、相分離する場合には、熱硬化性樹脂である多環芳香族型エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂が下限臨界共溶温度(LCST:Lower Critical Solution Temperature)型相図を示すときは、高温側で熱可塑性樹脂が連続相を形成し、低温側では多環芳香族型エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂が均一に相溶した相構造が得られる。また、熱硬化性樹脂である多環芳香族型エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂が上限臨界共溶温度(UCST:Upper Critical Solution Temperature)型相図を示すときは、低温側で熱可塑性樹脂が連続相を形成し、高温側では多環芳香族型エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂とが均一相を形成する。
また、多環芳香族型エポキシ樹脂の触媒量が多い場合には、多環芳香族型エポキシ樹脂の硬化反応が速やかに進み、熱可塑性樹脂が多環芳香族型エポキシ樹脂から相分離する前に固化するために多環芳香族型エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂の均一相を形成する。熱硬化性樹脂の触媒量が少ない場合には、多環芳香族型エポキシ樹脂の硬化反応が緩やかになり、熱可塑性樹脂が多環芳香族型エポキシ樹脂から充分に相分離して熱可塑性樹脂の連続相を形成する。このように成形時の温度勾配や多環芳香族型エポキシ樹脂の触媒量の変化により、注型絶縁物の相構造を制御することができる。
多環芳香族型エポキシ樹脂としては、たとえば下記に構造式を例示するように、エポキシ樹脂の主鎖にナフタレン環、アントラセンなどの各種多環芳香族を含むエポキシ樹脂を使用することができる。特に、高耐熱な注型絶縁物を得る目的から、特にガラス転移温度145℃以上の多環芳香族型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られた値である。
Figure 2015207485
多環芳香族型エポキシ樹脂の触媒としては、たとえば三級アミン、三級アミン塩、イミダゾール、ホスフィン、ホスホニウム塩などが挙げられ、中でも入手のしやすさの観点から、トリフェニルホスフィンが好ましい。触媒の好ましい添加量についても特に制限されないが、多環芳香族型エポキシ樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部の範囲内であることが好ましく、0.5〜3重量部の範囲内であることがより好ましい。
ビスアリルナジイミド(BANI)は下記構造式を有するものであり、具体的には、丸善石油化学株式会社製BANI−M、BANI−H、BANI−Xなどを好適に用いることができるが、これらに限定されるものでは勿論ない。
Figure 2015207485
(上記式中、Rは、BANI−MでR=−(C)−CH−(C)−、BANI−HでR=−(CH−、BANI−XでR=−CH−(m−C)−CH−である。)
溶融粘度が他のポリイミドに比べて低いビスアリルナジイミドを使用することによって、フィラーを添加しても樹脂の粘度が低く抑えられ、それによって気泡の含有などといった不具合の少ないGIS用注型絶縁物が得ることができる。
ビスアリルナジイミドの使用量は、通常、多環芳香族型エポキシ樹脂100重量部に対して、3〜30重量部が好ましく、10〜20重量部がより好ましい。ビスアリルナジイミドの使用量が多環芳香族型エポキシ樹脂100重量部に対し3重量部未満であると、ビスアリルナジイミドの添加によって樹脂特性が向上する効果が得られ難くなる傾向があり、一方、ビスアリルナジイミドの使用量が多環芳香族型エポキシ樹脂100重量部に対し30重量部を超えると、成形時の粘度が非常に高く、作業性の低下を招く傾向がある。
熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が120℃以上であれば、汎用プラスチックのみならずエンジニアリングプラスチックも使用することができ、特に制限されない。ガラス転移温度が120℃未満の熱可塑性樹脂を用いると、高耐熱な注型絶縁物が得られないという不具合がある。高耐熱な注型絶縁物が得られるという理由からは、熱可塑性樹脂のガラス転移温度は120℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により得られた値である。
このような本実施形態に好適に用いられる熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、アイオノマー、ポリスチレン、AS(Acrylonitrile Styrene)樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、EVA(Ethylence−Vinyl Acetate)、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、各種ナイロン、各種芳香族または脂肪族ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、セルロース系プラスチック、熱可塑性エラストマー、ポリアリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリベンズイミダゾール、アラミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールなどを挙げることができる。熱可塑性樹脂は、単一の樹脂、混合物、または、アロイのような複合材料として使用することができる。熱可塑性樹脂として、上述した中でも、下記に構造を例示するようなPESを使うことによって他の熱可塑性樹脂を用いた場合より、より破壊靭性が向上する。
Figure 2015207485
熱可塑性樹脂は多環芳香族型エポキシ樹脂への溶解性を良くするため、熱可塑性樹脂を湿式粉砕装置によって処理し、粒径が1μm以下になるようにした粉末を使用することができる。粉砕装置としては、湿式粉砕が可能なものであれば特に制限されず、たとえば、振動ミル、自動乳鉢、サンドミル、ダイノーミル、コボールミル、アトライター、遊星ボールミル、ボールミルおよびコロイドミルなどが挙げられる。これらの中でも、分散性能が高いことからコロイドミルが好ましい。
上述のように熱可塑性樹脂の粒径は1μm以下が好ましいが、その中でも50〜500nmのものは相溶性が高いため、特に好ましい。熱可塑性樹脂を50nm未満まで粉砕するのは困難である傾向にあり、一方、500nmを超える熱可塑性樹脂を使うと相溶化に時間がかかる傾向にある。
熱可塑性樹脂の使用量は、通常、多環芳香族型エポキシ樹脂100重量部に対して、3〜30重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。熱可塑性樹脂の使用量が3重量部未満であると、熱可塑性樹脂の添加によって樹脂特性が向上する効果が得られ難くなる傾向があり、一方、熱可塑性樹脂の使用量が30重量部を超えると、成形時の粘度が非常に高く、作業性の低下を招く傾向がある。
なお、本実施形態の注型絶縁物は、多環芳香族型エポキシ樹脂およびビスアリルナジイミド、熱可塑性樹脂のみから構成されていてもよいが、さらに、充填剤、たとえば、無機物の粉末を含むことができる。充填剤を含む注型絶縁物は、機械的強度ならびに耐クラック性が高い。
GIS用注型絶縁物は、多環芳香族型エポキシ樹脂およびビスアリルナジイミド、熱可塑性樹脂のみから構成されていてもよいが、本発明の効果を阻害しない範囲で従来公知の添加剤が添加されていてもよい。添加剤としてたとえば、無機物の粉末を充填剤として添加し、熱GIS用注型絶縁物としてもよい。充填剤を含むGIS用注型絶縁物の硬化物は、機械的強度ならびに耐クラック性が高い。
充填剤は、たとえば、GIS用注型絶縁物全体(多環芳香族型エポキシ樹脂、ビスアリルナジイミド、熱可塑性樹脂および充填剤を含む)100重量部に対して好ましくは3〜95重量部、より好ましくは5〜70重量部用いることができる。充填剤の含有量がGIS用注型絶縁物全体100重量部に対し3重量部未満の場合には、充填剤による機械的強度および耐クラック性の向上効果が小さくなる傾向があり、95重量部を超えると、成形時の粘度が非常に高く、作業性の低下を招く傾向にある。
無機物の粉末としては、一般に樹脂組成物に充填剤として用いられる無機物の粉末を用いることができる。無機物の粉末としては、たとえば、溶融シリカ、結晶性シリカ、カンラン石、ウォラストナイト、コージエライト、フォルステライトなどのケイ酸塩化合物、アルミナ、水和アルミナ、中空ガラスビーズ、ガラス繊維、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、チタン酸カリ繊維、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、無水石こう、硫酸バリウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ホウ酸アルミニウムなどの粉末が挙げられる。充填剤は、それぞれ単独で、または、任意に組み合わせて用いることができるが、これらの中でも、比誘電率を低減し、絶縁スペーサの形状に起因する電界集中による絶縁耐力の低下を改善できるという利点があることから、アルミナが本実施形態のGIS用注型絶縁物に添加されていることが好ましい。
また、本実施形態のGIS用注型絶縁物は、ビスマレイミドをさらに含んでいることが好ましい。ビスマレイミドとしては具体的には、ケイ・アイ化成株式会社製BMI、BMI−70、BMI−80などを好適に用いることができるが、これらに限定されるものでは勿論ない。
Figure 2015207485
ビスマレイミドをさらに含むことで、樹脂の硬化温度を下げる(たとえば、240℃から180℃に下げる)ことができ、これにより下げる前の硬化温度(たとえば240℃)での硬化の過程で生じていた気泡の発生を抑制することができる。
本発明のGIS用注型絶縁物は、前記多環芳香族型エポキシ樹脂100重量部に対し、ビスアリルナジイミドを3〜30重量部、かつ、熱可塑性樹脂を3〜30重量部含むことが好ましい。ビスアリルナジイミドと熱可塑性樹脂の添加量を最適な添加量の範囲とすることによってガラス転移温度、破壊靭性が向上する効果を最大限に生かすことができるという利点がある。
上述のような本実施形態によれば、耐熱性を高めつつ、界面剥離、クラックの発生を防ぐことができるGIS用注型絶縁物を提供することができる。
(実施の形態2:絶縁スペーサ)
図2は、実施の形態1として上述した注型絶縁物からなるGIS用絶縁スペーサ(実施の形態2)の一例を模式的に示す図である。本実施形態では、実施の形態1として上述した注型絶縁物からなる絶縁スペーサである。このように、実施の形態1として上述した注型絶縁物を用いることで、従来の熱硬化性樹脂は、耐熱性を高くすると脆くなるのに対して、熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂に均一に相溶することにより、高い耐熱性を持ちながら、靱性に優れたスペーサであり、応力の集中が少なくなった結果、導体との界面剥離やクラックの発生がない優れた絶縁スペーサを提供することができる。
図2は全体構成を示すガス絶縁機器の要部を拡大して示したもので、絶縁スペーサ8a,8bの中央には貫通導体7a,7bを有し、導体9が導体接続部10a,10bを介して接続されている。また、絶縁スペーサ8a,8bは接地タンク11に固定されている。
以下、具体的に実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、熱硬化性樹脂には、エポキシ樹脂としてYX8800(多環芳香族型エポキシ樹脂)(三菱化学株式会社製)、YX4000(ビフェニル型樹脂)(三菱化学株式会社製)を、硬化剤としてPSM4261(フェノールノボラック型樹脂)(群栄化学工業株式会社製)を、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(和光特級、和光純薬工業株式会社製)を用いた。また、熱硬化性ポリイミドにはビスアリルナジイミドとしてBANI−M(丸善石油化学株式会社製)、ビスマレイミドとしてBMI−70(ケイ・アイ化成株式会社製)、熱可塑性樹脂には、ポリエーテルスルホン樹脂としてスミカエクセル5003P(ガラス転移温度:230℃)(住友化学株式会社製)を用いた。
[実施例1]
多環芳香族型エポキシ樹脂(YX8800、三菱化学株式会社製)100重量部を135℃で10分間加熱して溶融混練させた後に、熱可塑性樹脂としてスミカエクセル(登録商標)5003P(住友化学株式会社製)を湿式粉砕したポリエーテルスルホン樹脂(平均粒径:100nm、ガラス転移温度:230℃)9.9重量部を加えて、多環芳香族型エポキシ樹脂に溶解するまで135℃で混練した。次にビスアリルナジイミド(BANI−M、丸善石油化学株式会社製)29.8重量部を加えて135℃で混練して溶解させた後に3時間混練した。続いて硬化剤としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂(PSM4261、群栄化学工業株式会社製)58.9重量部を加えて135℃で30分間混練し、そこに硬化促進剤としてのトリフェニルホスフィン(和光特級、和光純薬工業株式会社製)1重量部を加えて135℃で2分間加熱してGIS用注型絶縁物に用いる樹脂を得た。得られた樹脂をガラス製の注型用型に注入し、高温槽を用いて160℃で8時間加熱した後に240℃で12時間加熱して板状(厚さ3mm)の成形物を得た。なお、ポリマーアロイにおいて相溶化した樹脂は見た目が透明であるという外観の特徴と走査型電子顕微鏡(SEM)による顕微鏡観察によって、多環芳香族型エポキシ樹脂と、ビスアリルナジイミドと、熱可塑性樹脂とが相溶化し、均一相を形成していることが確認された。
得られた成形物について、下記方法に従ってガラス転移温度、曲げ強度及び破壊靭性値を測定した。
(ガラス転移温度の測定方法)
示差走査熱量計(DSC7000X、日立ハイテクサイエンス社製)を用い、サンプル量10mgを、雰囲気を空気とし、30℃より昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、1分間保持後20℃/分で30℃まで降温、3分間保持後再び10℃/分で200℃まで昇温する条件で測定した曲線の転移(変曲)開始部に接線を引き、2つの接線の交点の温度として求めた。結果を表1に示す。
(曲げ強度の測定方法)
3mm×10mm×85mmの形状をした試験片を用い、JIS−K6911に準じて、オートグラフ試験機により、クロスヘッドスピード1.5mm/分、スパン間距離48mmとして、三点曲げ試験により求めた。結果を表1に示す。
(破壊靱性値の測定方法)
ASTM D5045−91に従い、コンパクトテンション試験片に初期亀裂を生成させ、引張り荷重を加え、亀裂が進展して破断した時の荷重から、破壊靭性値(Kic)を算出した。また、クロスヘッドの移動速度は1mm/分、測定温度は室温である。結果を表1に示す。
[実施例2]
ビスアリルナジイミド29.8重量部の代わりに、ビスアリルナジイミド23.8重量部、ビスマレイミド(BMI−70、ケイ・アイ化成株式会社製)6.0重量部を用いたこと、160℃で8時間加熱した後に180℃で24時間加熱したこと以外は実施例1と同様にして成形物を得た。なお、成形物中では、熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂と相溶化していた。得られた成形物について、実施例1と同様にガラス転移温度、曲げ強度および破壊靭性値を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
ビスアリルナジイミド、ポリエーテルスルホン樹脂を添加しなかったこと、240℃での加熱処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして成形物を得た。得られた成形物について、実施例1と同様にガラス転移温度、曲げ強度および破壊靭性値を測定した。結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリエーテルスルホン樹脂を添加しなかったこと、ビスアリルナジイミドの添加量を28.0重量部としたこと以外は実施例1と同様にして成形物を得た。なお、成形物中では、熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂と相溶化していた。得られた成形物について、実施例1と同様にガラス転移温度、曲げ強度および破壊靭性値を測定した。結果を表1に示す。
[比較例3]
ビスアリルナジイミドを添加しなかったこと、ポリエーテルスルホン樹脂の添加量を8.3重量部としたこと、240℃での加熱処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして成形物を得た。なお、成形物中では、熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂と相溶化していた。得られた成形物について、実施例1と同様にガラス転移温度、曲げ強度および破壊靭性値を測定した。結果を表1に示す。
[比較例4]
多環芳香族型エポキシ樹脂100重量の代わりにビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製YX4000)100重量部を用い、硬化剤としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂(群栄化学工業株式会社製PSM4261)58.9重量部を56.7重量部としたこと以外は実施例1と同様にして成形物を得た。なお、成形物中では、熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂と相溶化していなかった。得られた成形物について、実施例1と同様にガラス転移温度、曲げ強度および破壊靭性値を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2015207485
表1より、実施例1、2で得られた成形物は、ガラス転移温度、曲げ強度および靭性が高いことが分かる。これより、多環芳香族型エポキシ樹脂にビスアリルナジイミドと熱可塑性樹脂(粒径1μm以下、好ましくは50〜500nm)が均一に分散して相溶化したGIS用注型絶縁物を用いた絶縁スペーサが耐熱性、強度ともに優れることが示された。
1 多環芳香族型エポキシ樹脂、2 ビスアリルナジイミド、3 熱可塑性樹脂、4 多環芳香族型エポキシ樹脂とビスアリルナジイミドが相溶化した相、5 分散相、6 均一相、7a,7b 貫通導体、8a,8b 絶縁スペーサ、9 導体、10a,10b 導体接続部、11 接地タンク。

Claims (6)

  1. 多環芳香族型エポキシ樹脂と、ビスアリルナジイミドと、ガラス転移温度120℃以上の熱可塑性樹脂とを相溶化させて形成された均一相を有する樹脂を含む、ガス絶縁開閉装置用注型絶縁物。
  2. 前記熱可塑性樹脂がポリエーテルスルホンである、請求項1に記載の注型絶縁物。
  3. ビスマレイミドをさらに含む、請求項1または2に記載の注型絶縁物。
  4. アルミナをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の注型絶縁物。
  5. 前記多環芳香族型エポキシ樹脂100重量部に対し、ビスアリルナジイミドを3〜30重量部、熱可塑性樹脂を3〜30重量部含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の注型絶縁物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の注型絶縁物からなる絶縁スペーサ。
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