JP2015205150A

JP2015205150A - 全自動医療機器・器具洗浄滅菌装置

Info

Publication number: JP2015205150A
Application number: JP2014099992A
Authority: JP
Inventors: 國敏坂野; Kunitoshi Sakano
Original assignee: Seiken Co Ltd
Current assignee: Seiken Co Ltd
Priority date: 2014-04-22
Filing date: 2014-04-22
Publication date: 2015-11-19

Abstract

【課題】手術器具等の使用後から洗浄および滅菌消毒までの経過時間が長いため、付着血液等の有機物が固着する、固着した血液等の洗浄除去は困難であることから、必ず人手による手洗いが必要であり、その後行われる自動洗浄装置による洗浄を経ても、結果の個体差を生じる可能性が有り、滅菌消毒の結果にも影響するため、高度な手技と管理および時間と費用が必要である。【解決手段】器具等付着の血液等有機物の固着が、洗浄および滅菌消毒を困難にする原因であるため、手術器具等使用後、血液等有機物が固着する時間を与えず、結果の個体差を生じやすい人手を排して、短時間に十分有効な洗浄を可能とするため、洗浄室下部（２）および洗浄室蓋（３）に、それぞれ複数の広角噴射スプレーノズル（５）および（６）を付け、その中間をターンテーブル状に回転する籠（１０）に手術器具等を載せて洗浄液噴射を全ての面に直接当てる物理的洗浄方法を発明した。【選択図】図２

Description

本発明は、手術室などで使用して、血液など感染性微生物を内包する有機物が付着した手術器具や硬性鏡・軟性鏡および処置具などを、使用直後、血液が凝固・固着する時間を与えず、手術室など使用現場近くで、人手による予備洗浄を行わずに、自動で高度な洗浄・滅菌効果が得られることを可能としたものである。

従来、手術で使用した高度汚染器具は、使用現場でグルタール等高水準消毒剤に浸漬して、接触感染や環境感染の予防処置をしてから汚染器具再処理施設まで搬送していたが、グルタールによる付着血液蛋白の凝固が、事後の洗浄を困難にすることから、近年では、そのまま汚染器具専用収容容器に入れて、付着血液の蛋白凝固防止のために保湿スプレーを噴射してから、再処理専用施設まで運搬し、施設の専任作業者が予備手洗いを行った後、超音波洗浄器またはディスインフェクターなど、器具に応じた自動洗浄装置で洗浄後、十分乾燥してから、ガス滅菌器、プラズマ滅菌器、高圧蒸気滅菌器など、器具の構成材質に応じた装置で滅菌消毒を行ってから、微生物通過不可能な容器に収納して、再使用時まで保管している。

外科手術など高侵襲性処置は数時間継続して行われることが多い、その間放置していた使用器具附着の血液蛋白はグルタールに浸漬しなくても凝固する、手術が終了してから器具に保湿スプレーを噴射しても、血液蛋白凝固の防止効果が十分でない可能性もある、また付着微生物が、時間経過とともに生成する高分子多糖粘液によって器具にバイオフィルムが形成される可能性もある。
器具付着の血液蛋白やバイオフィルムなどの有機物は、滅菌消毒達成の最大の障害である。

再処理施設が受け入れた汚染器具には、血液の蛋白凝固付着やバイオフィルム形成等、物理的洗浄を必要とするものが多い、そのため専任作業者は、まず手作業で付着凝固の除去を行わなければならず、尖鋭部の多い手術器具の取り扱い中の事故による微生物感染の危険性が有るため、作業結果に完全を期すのが難しい。

手作業による洗浄後、機器や器具の形状や材質に応じて、超音波洗浄器またはディスインフェクター等の自動洗浄装置で本洗浄されるが、凝固付着した血液蛋白やバイオフィルムの完全な除去は困難と言われている。

器具に凝固付着した血液蛋白中およびバイオフィルム中の細菌等微生物は、高圧蒸気滅菌器の高熱によってのみ完全に死滅させることが可能であるが、微生物を包んでいた血液蛋白やバイオフィルムは有機物であり、高熱処理後も、その有機物が発熱物質（パイロジェン）や、微生物の附着および栄養源として残留する可能性がある。

汚染した手術器具等を、手作業で前洗いすることなく、発明の装置の、ターンテーブル形状の洗浄籠に載せて装置を始動すると、洗浄籠が回転し、その上下に複数備えた広角噴射スプレーノズルから、器具等に向けて、水粒を強力に噴射して、固く凝固する以前の血液蛋白等有機物を洗い流し、次に、加温したアルカリ性洗浄液および薬液を強力に噴射することで、器具の形状や材質に影響されず、全ての面への洗浄滅菌効果が、血液蛋白凝固やバイオフィルム形成の時間を十分与えない短時間に発揮できるようにした。

蛋白分解能力が高く、バイオフィルムへの浸透及び破壊効果が高く、滅菌ガスとしても評価されている二酸化塩素ガスの水溶液を、洗浄滅菌液としてスプレーノズルから強力に噴射することにより、その物理的剥離効果と相乗して、従来得られなかった、血液蛋白およびバイオフィルムの十分な除去および滅菌を短時間に可能としている。

本発明の装置は、洗浄後の濯ぎ洗いに飲用水道水を使用しているため、水中に微量の微生物や無機物が混入している可能性がある、そのため、すすぎ洗い終了後、エタノールを専用噴霧ノズルから回転移動している器具にまんべんなく噴霧して、付着水滴と親和させた後、ＨＥＰＡフィルターで除菌してフィンヒーターで４５〜５０℃に加温した温風を吹き込んで強制乾燥させる、その結果、付着水滴の乾燥時間が短縮するとともに、水に混入している微生物や無機物を、気化水分と共に洗浄室外に排出して残留させない。

ターンテーブル形状の洗浄籠は、手術器具、処置器具、硬性内視鏡、軟性内視鏡などの機器・器具を収容できる限界の直径約５０ｃｍの大きさとして装置全体の大きさを小型にした、これにより手術室など使用現場により近い場所に設置可能となり、使用後器具の迅速な再処理を可能としている。

発明の装置を、手術器具等の使用現場近くに設置して、汚染した手術器具等を長時間放置することなく、随時、人手を要せず洗浄滅菌処理できるため、血液蛋白の凝固やバイオフィルム形成の心配なく、洗浄滅菌効果の完全が期待できる。

汚染器具の運搬や、汚染器具再処理施設での、人手による予備洗浄や、機器・器具の形状および素材による自動洗浄器の選択および操作、滅菌装置の選択および操作など、人手による作業が大幅に少なくなる、その結果、人手作業による結果の個体差や、専任作業者にたいする微生物感染の危険性を減少させる。

機器・器具使用後の再処理に要する時間が大幅に短くなるため、機器・器具の使用不可能時間が短縮され、再処理の間に必要とされる予備の数を少なくすることが出来る。

再処理施設での作業量が少なくなるため、人件費や設備費、加えて水道・光熱費など経費が大幅に軽減される。

本発明は、大電力、流量の多い上水道、給湯設備および人手などを必要としないため、小規模の診療所でも、不安を残さない洗浄滅菌作業が可能となる。

本発明の洗浄室および洗浄籠の上面図である。洗浄室蓋のスプレーノズル取り付け位置および噴射方向の説明図である。本発明の側面方向からの断面図である。洗浄室下部および洗浄室蓋のスプレーノズルの噴射角度の説明図である。本発明の装置の全体構造および洗浄液の流路を説明する図である。

以下、本発明の実施の形態に付いて、図面を参照しながら説明する。
（イ）、本発明の主たる構造は、洗浄室下部（２）に上向スプレーノズル（５）を複数個備え、洗浄室蓋（３）に下向スプレーノズル（６）を複数個、相互の噴射水滴の干渉が少ない位置に備える。
洗浄室下部（２）の中心には洗浄籠回転軸（８）が備えられており、その回転軸（８）に洗浄籠（１０）を懸架して、洗浄籠回転駆動モーター（９）の駆動により、洗浄籠（１０）をターンテーブル状に回転する。
洗浄室の構造全体は手前に５度傾斜しており、洗浄室内に噴射された洗浄液は手前の排液口（４）から排出される。
（ロ）、血液等有機物付着の器具（１）を洗浄籠に載せて運転開始すると、まず洗浄籠回転駆動モーター（９）が作動して洗浄籠（１０）を、ターンテーブル状に約３０回／分の速度で回転を開始する。
（ハ）、同時に、洗浄室下部（２）の排液口（４）に備えた循環電磁弁（１１）が閉じ、給水電磁弁（１４）が開いて流入した水道水を送水ポンプ（１８）の作動で水圧０．１６〜０．２Ｍｐａに調圧して、スプレーノズル（５）および（６）から回転している洗浄籠（１０）の上に載せた器具（１）にスプレー噴射する。
（ニ）、スプレーノズルから噴射される洗浄水の粒は平均３００μであり、１個のノズルから毎分１３４，０００個の粒（約３リットル）が、上向スプレーノズル（５）から拡散角度１００度、下向スプレーノズル（６）から拡散角度７０度で噴射される、全てのスプレーノズルの取り付け位置は、洗浄籠（１０）の回転軸（８）から異なる円周上にあるため、洗浄籠（１０）に載せられて１回転する器具（１）に対する洗浄水粒の当たる場所および角度は全て異なる。
（ホ）、上記の方法による水道水噴射洗浄を２分間継続、すなわち６０回の打圧洗浄を繰り返すことにより、器具の外部に付着する血液等有機物はほとんど剥離されて、水道水と共に排液口（４）からドレーン電磁弁（１２）を経由して廃棄される。この行程を予備洗浄とする。
（ヘ）、予備洗浄行程が終了したら、給水電磁弁（１４）が閉じて給水を停止、送水ポンプ（１８）が作動を止めてスプレー噴射を停止するとともに、ドレーン電磁弁（１２）が閉じ、循環電磁弁（１１）が開き、洗剤ポンプ（１９）が濃縮洗剤容器（２２）から液を洗剤流路の希釈ポット（２９）に定量注入した後、温水電磁弁（１５）が開いて、水道水を温水タンク（２５）に注入することで、タンク（２５）内で５０℃に加温されていた温水を希釈ポット（２９）内に押しだして濃縮洗剤を希釈しながら全スプレーノズルから定量を洗浄室内に噴出する。
（ト）、洗剤希釈液が洗浄室下部（２）に定量溜ったら、温水電磁弁（１５）が閉じて洗剤噴射を止め、送水ポンプ（１８）が作動して、洗浄室内の洗剤希釈液を循環電磁弁（１１）を経由して吸引し、全スプレーノズルから噴射する、この洗剤循環噴射洗浄を２分間実行して、器具（１）の外部は勿論、隙間内に侵入した有機物も剥離除去する。この行程を洗剤洗浄という。
（チ）、洗剤洗浄行程が終了したら、洗浄電磁弁（１７）が閉じるとともに排液電磁弁（１３）が開き、洗浄室下部（２）内の洗剤希釈液を排出する。
（リ）、洗剤希釈液の排出が終了したら、排液電磁弁（１３）と循環電磁弁（１１）が閉じ、洗浄電磁弁（１７）とドレーン電磁弁（１２）が開き、同時に給水電磁弁（１４）が開いて水道水が注入され、送水ポンプ（１８）が起動して、予備洗浄と同じ水道水噴射洗浄を２分間行い、器具（１）および洗浄室や装置流路内に残留している洗剤および剥離した有機物を全て排出する、この行程をすすぎ洗いとする。
（ヌ）、すすぎ洗いが終了したら、給水電磁弁（１４）が閉じ、送水ポンプ（１８）が止まって水道水噴射を止め、循環電磁弁（１１）が開き、ドレーン電磁弁（１２）が閉じてから、薬液ポンプ（２０）が、薬液容器（２３）から規定量の薬液を薬液希釈槽（３０）に吸引した後、薬液希釈電磁弁（１６）が開いて、水道水が薬液希釈槽（３０）の薬液を希釈しながら全スプレーノズルから洗浄室内に規定量噴射される。
薬液希釈倍数は、薬液吸引量と希釈水道水の量によって規定される。
（ル）、規定量の希釈薬液が洗浄室下部（２）内に溜ったら、送水ポンプ（１８）が洗浄室内の薬液を吸引して、全スプレーノズルから噴射する、発明の洗浄方法により付着有機物がほとんど無くなった器具に、この薬液循環噴射を２分間連続することで、（１）に対し薬液効果が十分に働く、この行程を滅菌という。
（オ）、滅菌行程が終了したら、再度すすぎ洗い行程を１分間行い、薬液に含まれる無機化学成分をすすぎ洗い排出する、最終すすぎ洗いという。
（ワ）、最終すすぎ洗いの１分が経過したら、給水電磁弁（１４）が閉じ、送水ポンプ（１８）を停止して水道水噴射を止め、排液電磁弁（１３）を閉じて洗浄電磁弁（１７）が開くとともに、エタノールポンプ（２１）がエタノール容器（２４）から定量のエタノールを洗浄室蓋（３）に備えている専用のスプレーノズル（７）から洗浄籠（１０）上に噴霧する。
（カ）、エタノール噴霧が終了したら、送風ブロワー（２８）とフィンヒーター（２７）が作動して、ＨＥＰＡフィルター（２６）で除菌され、４５〜５０℃に加温した温風を、洗浄室蓋（３）の送風口（３１）から、回転する洗浄籠（１０）上に、規定時間まで連続して送り器具（１）を急速に乾燥する。乾燥行程という。
（ヨ）、フィンヒーター（２７）は、乾燥規定時間の１０〜１５秒前にＯＦＦとなり、加温された器具（１）および装置内を冷却する。
（タ）、乾燥工程が終了したら、洗浄籠回転駆動モーター（９）がＯＦＦとなり洗浄籠（１０）が停止する、温水加温タンク（２５）の加熱は、装置電源のＯＦＦまで作動させる。

１、器具
２、洗浄室下部
３、洗浄室蓋
４、排液口
５、上向スプレーノズル
６、下向スプレーノズル
７、エタノール・スプレーノズル
８、洗浄籠回転軸
９、洗浄籠回転駆動モーター
１０、洗浄籠
１１、循環電磁弁
１２、ドレーン電磁弁
１３、廃液電磁弁
１４、給水電磁弁（Ａ）
１５、給水電磁弁（Ｂ）
１６、給水電磁弁（Ｃ）
１７、洗浄電磁弁
１８、送水ポンプ
１９、洗剤ポンプ
２０、薬液ポンプ
２１、エタノールポンプ
２２、洗剤容器
２３、薬液容器
２４、エタノール容器
２５、温水タンク
２６、ＨＥＰＡフィルター
２７、フィンヒーター
２８、送風ブロワー
２９、洗剤希釈ポット
３０、薬液希釈槽
３１、送風口

Claims

１、広角充円型に液を噴射する形のスプレーノズルを、洗浄室の上部から下向きに複数個、洗浄室の下部から上向きに複数個設置して、その中間に洗浄対象物を載せる円形洗浄籠を配置してターンテーブル状に回転させる。
２、スプレーノズルそれぞれの配置位置を、洗浄籠の回転軸から同じ円周上ではなく、それぞれの噴射液の干渉が少ない位置とする。
３、上下に設置したスプレーノズルから広角充円型に噴射される洗浄液中を、ターンテーブル状に回転する洗浄籠に載せた洗浄対象器物には、あらゆる方面からの物理的洗浄効果が繰り返し働く。
１、洗浄室上部に広角噴霧ノズルを下向きに取り付け、そのノズルから、ターンテーブル状に回転する洗浄籠に乗っている器物にエタノールを噴霧する。
２、洗浄終了後、器物に付着する水滴を迅速に乾燥する目的と、水滴に含まれる微生物や無機物などの異物を除去するために、噴霧したエタノールを水と親和させ、その後洗浄室内に温風を送入して、乾燥時間を短縮する。
３、エタノール噴霧時、および温風乾燥時、常に器物はターンテーブル状に回転しているため、器物全体へむらなく効果が及ぶ。