JP2015204764A - 無色カロテノイドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィトエン、フィトフルエンといった無色カロテノイドを簡便に製造する方法を提供することを課題とする。【解決手段】カロテノイドを産生する生物から有色カロテノイドを抽出した後の残渣から無色カロテノイドであるフィトエン、フィトフルエンを高収率で分離回収できることを見出した。【選択図】図4
Description
本発明はカロテノイド、特に無色カロテノイドの製造において、カロテノイドを産生する生物から有色カロテノイドを抽出した後の残渣を回収し、その残渣から無色カロテノイドを単離する方法に関する。
カロテノイドは一般に赤、橙、黄色を示す炭素数40のイソプレノイド色素である。カロテノイドは多くの高等植物、藻類、シアノバクテリア及び光合成細菌など様々な生物によって生合成される重要な天然の脂溶性色素であり、光合成において重要な役割を果たす化合物群である。また、カロテノイドは一部の非光合成細菌、酵母、カビなどでも見られ、光酸化に対する生物のDNA保護に寄与していると考えられている。カロテノイドは現在までに750種類以上が自然界から単離、同定されており、特徴が明らかにされている。
フィトエンおよびフィトフルエンはカロテノイド生合成経路において最初に生成されるカロテノイドであり、無色のカロテノイドとして知られている。これらの無色カロテノイドは抗酸化能を有しており、UV領域に吸収をもつため、UV照射やそれによる皮膚損傷および炎症に対する保護作用を有する。また、自然界における強力なラジカルであるヒドロキシラジカルを捕捉する能力やLDLを酸化から保護する作用の他、β−カロテンやCoQなどの活性成分と共存させることによって相乗的な効果を発揮することなどの有用性が報告されている(非特許文献1)。よって、これら無色カロテノイドは化粧品、健康分野において有益な化合物であることが予想される。
これらの無色カロテノイドは多くの光合成又は非光合成細菌、酵母、カビや緑藻などの藻類、植物などで生成されており、特にトマト、緑藻(デュナリエラ)由来のものがある。緑藻によってフィトエンを製造するものとしては、光照射環境の下、ニコチン(特許文献1)やノルフルラゾン(非特許文献2)などの阻害剤を添加しながらデュナリエラ藻類を培養し、フィトエンを産生させる方法がある。また、海水由来のAlgibacter sp.(アルギバクター・エスピー)の変異体がフィトエンを産生した例(特許文献2)、フィトエンを生産するような変異体Paracoccus sp.(パラコッカス・エスピー) FA1又はFA3を発酵することによるフィトエンの生産(特許文献3)、Erwinia uredovora(エルヴィニア・ウレドボラ)由来のcrtB(フィトエンシンターゼ)遺伝子を哺乳類細胞に導入してフィトエンを生産する方法がある(特許文献4)。その他、カロテノイド生産菌由来の生合成遺伝子を利用して構築した遺伝子組換え大腸菌においてフィトエンを産生した方法(非特許文献3及び4)などが挙げられる。
Fragrance J., 34, 48-53 (2006)
Biotechnol. Bioeng., 92(6), 695-701 (2005)
J. Agric. Food Chem., 59(18), 9996-10005 (2011)
Appl. Microbiol. Biotechnol., 81(5), 915-925 (2009)
しかしながら、これらの方法はいずれも、特殊な条件下で培養する工程を含むか、又は目的物を産生するために遺伝子工学的手法により構築した遺伝子組換え菌を利用する必要がある。そのため、化粧品や健康食品分野において有効な成分であるフィトエン、フィトフルエンといった無色カロテノイドを、より簡便に製造する方法が求められていた。
本発明者らは、上記課題について精力的に研究開発を行った結果、カロテノイドを産生する生物から有色カロテノイドを抽出した後の残渣から無色カロテノイドであるフィトエン、フィトフルエンを効率的に分離回収できることを見出し、本発明を完成することに成功した。
より具体的には、本発明は以下の構成を有する。
〔1〕以下の(1)〜(2)の工程を含むことを特徴とする、無色カロテノイドの製造方法:
(1)カロテノイドを産生する生物から有色カロテノイド抽出後の残渣を回収する工程;
(2)得られた残渣から脂溶性化合物を回収する工程。
〔2〕前記工程(1)を、以下の工程を含むプロセスにより実施することを特徴とする、〔1〕に記載の方法:
(a)カロテノイドを産生する生物からカロテノイドを抽出する工程;
(b)工程(a)で得られた抽出液又はその濃縮液中に有色カロテノイドの結晶を生成させる工程;及び
(c)前記結晶を母液から分離し、残渣を回収する工程。
〔3〕前記生物が微生物である、〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕有色カロテノイドが、アンテラキサンチン、アドニキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、カプソルビン、カプサンチン、β − クリプトキサンチン、β − カロテン、フコキサンチン、ルテイン、リコペン、ネオキサンチン、ニューロスポレン、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕前記生物が、パラコッカス(Paracoccus)属、ヘマトコッカス(Haematococcus)属、ファフィア(Phaffia)属からなる群より選択されるカロテノイド産生微生物である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕前記生物がパラコッカス(Paracoccus)属に属する細菌又はその変異株である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕無色カロテノイドがフィトエン、フィトフルエン、又はそれらの組み合わせである、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕有色カロテノイド未抽出の前記生物から直接、無色カロテノイドを回収する場合と比べて、高い収率で無色カロテノイドを回収できることを特徴とする、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔1〕以下の(1)〜(2)の工程を含むことを特徴とする、無色カロテノイドの製造方法:
(1)カロテノイドを産生する生物から有色カロテノイド抽出後の残渣を回収する工程;
(2)得られた残渣から脂溶性化合物を回収する工程。
〔2〕前記工程(1)を、以下の工程を含むプロセスにより実施することを特徴とする、〔1〕に記載の方法:
(a)カロテノイドを産生する生物からカロテノイドを抽出する工程;
(b)工程(a)で得られた抽出液又はその濃縮液中に有色カロテノイドの結晶を生成させる工程;及び
(c)前記結晶を母液から分離し、残渣を回収する工程。
〔3〕前記生物が微生物である、〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕有色カロテノイドが、アンテラキサンチン、アドニキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、カプソルビン、カプサンチン、β − クリプトキサンチン、β − カロテン、フコキサンチン、ルテイン、リコペン、ネオキサンチン、ニューロスポレン、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕前記生物が、パラコッカス(Paracoccus)属、ヘマトコッカス(Haematococcus)属、ファフィア(Phaffia)属からなる群より選択されるカロテノイド産生微生物である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕前記生物がパラコッカス(Paracoccus)属に属する細菌又はその変異株である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕無色カロテノイドがフィトエン、フィトフルエン、又はそれらの組み合わせである、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕有色カロテノイド未抽出の前記生物から直接、無色カロテノイドを回収する場合と比べて、高い収率で無色カロテノイドを回収できることを特徴とする、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
本発明の製造方法を実施すると、有色カロテノイド未抽出のカロテノイド産生生物から直接、無色カロテノイドを回収する場合と比べて、高い収率で無色カロテノイドを回収することができる。
以下、本発明について、好ましい実施形態の例に沿って具体的に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の実施形態の例以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。
本発明の無色カロテノイドの製造方法は、以下の(1)〜(2)の工程を含むことを特徴とする:
(1)カロテノイドを産生する生物から有色カロテノイド抽出後の残渣を回収する工程;
(2)得られた残渣から脂溶性化合物を回収する工程。
また、本発明の製造方法は、上記工程(2)で得られた脂溶性化合物を脱色処理する工程をさらに含んでもよく、当該脱色工程は、好ましくは活性炭処理によって実施される。
さらに、本発明の製造方法は、上記脱色工程の前又は後において、脱色前又は後の上記脂溶性化合物を含有する溶液から無色カロテノイド含有フラクションを分離する工程をさらに含んでもよく、当該分離工程は、好ましくは分配クロマトグラフィーによって実施され、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び/又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって実施され得る。
(1)カロテノイドを産生する生物から有色カロテノイド抽出後の残渣を回収する工程;
(2)得られた残渣から脂溶性化合物を回収する工程。
また、本発明の製造方法は、上記工程(2)で得られた脂溶性化合物を脱色処理する工程をさらに含んでもよく、当該脱色工程は、好ましくは活性炭処理によって実施される。
さらに、本発明の製造方法は、上記脱色工程の前又は後において、脱色前又は後の上記脂溶性化合物を含有する溶液から無色カロテノイド含有フラクションを分離する工程をさらに含んでもよく、当該分離工程は、好ましくは分配クロマトグラフィーによって実施され、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー及び/又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって実施され得る。
本発明の製造方法によって得られる無色カロテノイドは、可視光領域(380〜780nm)に吸収極大波長を有しないカロテノイドを意味し、例えば、フィトエンおよびフィトフルエンが含まれる。
また、本発明の製造方法によって得られる無色カロテノイドは、UV領域に吸収帯を有するカロテノイドと表現することもでき、例えばUV−B吸収特性を有するフィトエンや、UV−A吸収特性を有するフィトフルエンが挙げられる。
また、本発明の製造方法によって得られる無色カロテノイドは、UV領域に吸収帯を有するカロテノイドと表現することもでき、例えばUV−B吸収特性を有するフィトエンや、UV−A吸収特性を有するフィトフルエンが挙げられる。
本発明の製造方法において、カロテノイドを産生する生物から抽出される有色カロテノイドとしては、可視光領域に吸収極大波長を有するカロテノイドであれば何ら限定されないが、アンテラキサンチン、アドニキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、カプソルビン、カプサンチン、β−クリプトキサンチン、β−カロテン、フコキサンチン、ルテイン、リコペン、ネオキサンチン、ニューロスポレン、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の製造方法は、有色カロテノイド未抽出の前記生物から直接、無色カロテノイドを回収する場合と比べて、高い収率で無色カロテノイドを回収することができ、例えばフィトエンを、50%以上の収率、例えば60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは71%以上、さらにより好ましくは72%以上、最も好ましくは73%以上の収率で回収することができる。
また、本発明の製造方法によって得られる無色カロテノイドは、フィトエンを、得られる組成物全体の質量を基準として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、最も好ましくは70質量%以上含む。
また、本発明の製造方法によって得られる無色カロテノイドは、フィトエンを、得られる組成物全体の質量を基準として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、最も好ましくは70質量%以上含む。
本発明の製造方法に係るカロテノイドを産生する生物は、無色カロテノイドを含むカロテノイドを産生する生物であれば何ら限定されず、トマトなどの高等植物の他、藻類、シアノバクテリア、光合成細菌、非光合成細菌、酵母、カビなどの様々な微生物を用いることができる。これらのカロテノイド産生生物の中でも、増殖速度の速さ、カロテノイドの生産性の観点から、カロテノイド産生微生物が好ましく、例としてアスタキサンチン生産菌を挙げることができる。このような微生物としては、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属細菌、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属細菌、パラコッカス(Paracoccus)属細菌、ブレバンディモナス(Brevundimonas)属細菌、エリスロバクター(Erythrobacter)属細菌、ヘマトコッカス(Haematococcus)属藻類、ファフィア(Phaffia)属酵母などを用いることができ、好ましくはパラコッカス属細菌、ヘマトコッカス属細菌、又はファフィア属細菌、特に好ましくはパラコッカス属細菌を用いることができる。また、これらの微生物を変異処理してカロテノイド生産性を向上させるために選択したカロテノイド高生産株を用いることもできる。
なお、下記実施例1および比較例で使用したパラコッカス属細菌NBRC101723株は、自然界より単離されたアスタキサンチン生産菌として公知であり、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)より入手することができる。
なお、下記実施例1および比較例で使用したパラコッカス属細菌NBRC101723株は、自然界より単離されたアスタキサンチン生産菌として公知であり、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)より入手することができる。
ここで、前記変異処理する方法は、突然変異を誘発するものであれば特に限定されない。例えば、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルホネート(EMS)などの変異剤による化学的方法、紫外線照射、X線照射などの物理的方法、遺伝子組換え、トランスポゾンなどによる生物学的方法などを用いることができる。この変異処理は1回でもよいし、また、例えばこの変異処理によりカロテノイドを産生する微生物の変異体を得て、これを更に変異処理するというように2回以上の変異処理を実施することもできる。
本発明の製造方法に係るカロテノイドを産生する生物は、当該生物が効率良く無色カロテノイドを産生できる任意の方法によって栽培又は培養することができる。適切な栽培又は培養条件は、当業者であれば適宜設定することができ、公知のカロテノイド産生生物については種々の栽培又は培養条件が知られている。本発明の製造方法に係るカロテノイド産生生物が微生物である場合、当該微生物の培養に使用される栄養培地としては、当該微生物の生育に必要な炭素源、窒素源及び無機塩を含む栄養培地であれば十分であるが、ビタミン類を添加するとさらに好ましい場合がある。また、更にアミノ酸、核酸塩基等を添加すると好ましい場合もある。その他として、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、麦芽エキス、コーンスチープリカー、乾燥酵母、大豆粕等を適宜添加してもよい。
炭素源としてはグルコース、シュークロース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、マルトース等の糖類、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸、ピルビン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール、グリセノール等のアルコール類、大豆油、ヌカ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油、アマニ油等の油脂類などが挙げられ、1種又は2種以上の炭素源を用いることができる。添加割合は炭素源の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1L当たり1〜100g、好ましくは2〜50gである。
窒素源としては、例えば硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素等の1種又は2種以上が用いられる。添加割合は窒素源の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.1g〜30g、好ましくは1〜10gである。
無機塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等の1種又は2種以上が用いられる。添加割合は無機塩の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.001〜10gである。
ビタミン類を加える場合、添加割合はビタミン類の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.1〜1000mgであり、好ましくは1〜100mgである。
アミノ酸、核酸塩基、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、麦芽エキス、コーンスチープリカー、乾燥酵母、大豆粕等の添加割合は、物質の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.2g〜200g、好ましくは3〜100gである。
培地のpHは2〜12、好ましくは6〜9に調整する。培養条件は15〜80℃、好ましくは20〜35℃の温度であり、通常1日〜20日間、好ましくは2〜8日間、好気条件で培養を行う。好気条件としては、例えば、振とう培養又は通気撹拌培養等が挙げられる。
炭素源としてはグルコース、シュークロース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、マルトース等の糖類、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸、ピルビン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール、グリセノール等のアルコール類、大豆油、ヌカ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油、アマニ油等の油脂類などが挙げられ、1種又は2種以上の炭素源を用いることができる。添加割合は炭素源の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1L当たり1〜100g、好ましくは2〜50gである。
窒素源としては、例えば硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素等の1種又は2種以上が用いられる。添加割合は窒素源の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.1g〜30g、好ましくは1〜10gである。
無機塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等の1種又は2種以上が用いられる。添加割合は無機塩の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.001〜10gである。
ビタミン類を加える場合、添加割合はビタミン類の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.1〜1000mgであり、好ましくは1〜100mgである。
アミノ酸、核酸塩基、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、麦芽エキス、コーンスチープリカー、乾燥酵母、大豆粕等の添加割合は、物質の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.2g〜200g、好ましくは3〜100gである。
培地のpHは2〜12、好ましくは6〜9に調整する。培養条件は15〜80℃、好ましくは20〜35℃の温度であり、通常1日〜20日間、好ましくは2〜8日間、好気条件で培養を行う。好気条件としては、例えば、振とう培養又は通気撹拌培養等が挙げられる。
本発明の製造方法に係るカロテノイドを産生する微生物が産生したカロテノイドを当該微生物の培養物から抽出するに際しては、培養後、培養液、又は培養液から得られる菌体の濃縮液、湿菌体又は乾燥菌体を以下の抽出処理に供する方法が、より好適な例として挙げられる。上記菌体の濃縮液は、例えば、培養液を膜濾過濃縮することによって得ることができ、上記湿菌体は、培養液を遠心分離、加圧又は減圧濾過などの一般的に知られている濾過方法に供することによって得ることができる。更に、この湿菌体を噴霧乾燥、流動乾燥、回転ドラム式乾燥又は凍結乾燥など一般的に知られる乾燥方法によって乾燥させることによって、乾燥菌体を得ることができる。また、抽出を行う前に、培養液、菌体濃縮液、湿菌体又は乾燥菌体の段階において、アルカリ試薬や界面活性剤などを用いた化学的処理、溶菌酵素、脂質分解酵素又はタンパク質分解酵素などを用いた生化学処理、又は超音波もしくは粉砕などの物理的処理のうち1つ又は2つ以上の処理を行ってもよい。前記微生物の培養物としては、乾燥菌体を基準として、その1g中に典型的には約0.1〜10mg程度のフィトエン、約0.1〜10mg程度のフィトフルエン、約1〜100mg程度のカロテノイドが含有されていると考えられる。
なお、カロテノイドを産生する藻類の培養物からのカロテノイドの抽出についても、カロテノイド産生生物が微生物である場合と同様に実施することができる。
なお、カロテノイドを産生する藻類の培養物からのカロテノイドの抽出についても、カロテノイド産生生物が微生物である場合と同様に実施することができる。
〔工程1:カロテノイドを産生する生物から有色カロテノイド抽出後の残渣を回収する工程〕
本発明の製造方法において、上記工程(1)は、例えば、以下の工程を含むプロセスにより実施することができる:
(a)カロテノイドを産生する生物からカロテノイドを抽出する工程;
(b)工程(a)で得られた抽出液(又はその濃縮液)中に有色カロテノイドの結晶を生成させる工程;
(c)前記結晶を母液から分離し、残渣(晶析濾液)を回収する工程。
本発明の製造方法において、上記工程(1)は、例えば、以下の工程を含むプロセスにより実施することができる:
(a)カロテノイドを産生する生物からカロテノイドを抽出する工程;
(b)工程(a)で得られた抽出液(又はその濃縮液)中に有色カロテノイドの結晶を生成させる工程;
(c)前記結晶を母液から分離し、残渣(晶析濾液)を回収する工程。
(工程a:カロテノイド産生生物からのカロテノイド抽出工程)
カロテノイド産生生物が微生物である場合、本工程に用いる溶媒としては、炭素数1〜3のアルコールが挙げられ、具体的にはエタノール、メタノール、イソプロパノール又はノルマルプロパノールであり、中でもエタノールが特に好ましく用いられる。
抽出時の温度は、無色カロテノイドを含むカロテノイドを効率良く抽出できる温度であれば特に限定されることはなく、例えば80℃〜150℃、好ましくは90℃〜100℃である。
本工程で使用する前記アルコールの量は、菌体内に含有される無色カロテノイドの好ましくは全量を溶解できる量であればよく、抽出時の温度によっても変化するが、当業者であれば適宜設定することができる。
抽出時間については特に制限する必要はないが、熱分解によるカロテノイドの収量低下を少なくするためにも短時間の処理がよく、120分以内が好ましく、60分以内がより好ましく、30分以内が最も好ましい。
得られた抽出液を前記菌体から分離する方法は限定されないが、膜濾過、濾過、デカンテーションなどが用いられ、濾過が好ましい。また抽出液分離の温度は特に限定されない。
なお、カロテノイド産生生物が藻類である場合も、カロテノイド産生生物が微生物である場合と同様に本工程を実施することができる。
カロテノイド産生生物が微生物である場合、本工程に用いる溶媒としては、炭素数1〜3のアルコールが挙げられ、具体的にはエタノール、メタノール、イソプロパノール又はノルマルプロパノールであり、中でもエタノールが特に好ましく用いられる。
抽出時の温度は、無色カロテノイドを含むカロテノイドを効率良く抽出できる温度であれば特に限定されることはなく、例えば80℃〜150℃、好ましくは90℃〜100℃である。
本工程で使用する前記アルコールの量は、菌体内に含有される無色カロテノイドの好ましくは全量を溶解できる量であればよく、抽出時の温度によっても変化するが、当業者であれば適宜設定することができる。
抽出時間については特に制限する必要はないが、熱分解によるカロテノイドの収量低下を少なくするためにも短時間の処理がよく、120分以内が好ましく、60分以内がより好ましく、30分以内が最も好ましい。
得られた抽出液を前記菌体から分離する方法は限定されないが、膜濾過、濾過、デカンテーションなどが用いられ、濾過が好ましい。また抽出液分離の温度は特に限定されない。
なお、カロテノイド産生生物が藻類である場合も、カロテノイド産生生物が微生物である場合と同様に本工程を実施することができる。
(工程b:有色カロテノイド結晶化工程)
本発明の製造方法においては、前記工程(a)で得られた抽出液から有色カロテノイドを生成させる前に、当該抽出液を濃縮することが好ましい。ここでの濃縮倍率は、有色カロテノイドが効率よく結晶化されかつ無色カロテノイドが結晶化されにくい濃縮倍率であれば特に限定されないが、前記抽出液を、抽出液の重量に対して1〜20倍程度の低い濃縮倍率で濃縮し、続いて濃縮以外の方法により有色カロテノイドの結晶化を進めることが好ましい。
濃縮は、加熱下に抽出溶媒を留去する加熱濃縮、減圧下に抽出溶媒を留去する減圧濃縮などによって行われることが好ましく、カロテノイドの分解を抑制するとの観点から、缶温を低くすることができる減圧濃縮によることがより好ましい。減圧濃縮における好ましい缶温は50℃以下、より好ましくは40℃以下であり、また溶媒留去の効率の観点から、缶温は0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。
前記工程(a)によって得られた抽出液又はその濃縮液中から有色カロテノイドの結晶を得る方法は、有色カロテノイドが高い収量で結晶化されかつ無色カロテノイドが結晶化されにくい方法であれば特に限定されない。当該方法は、一般的には、加熱及び/又は減圧濃縮や貧溶媒を添加し、結晶の溶解度を低下させる晶析操作が挙げられる。この他、低温における有色カロテノイドの析出、酸・アルカリ薬剤や各種塩類による析出によって有色カロテノイド色素を濃縮せずに分離してもよい。また、本操作下での過飽和状態は、例えば常温で1時間以上放置することで解除され、有色カロテノイドの結晶を析出させることができる。このとき、攪拌したり振動を与えたりすること、あるいは種結晶を添加すること等により過飽和状態の解除を早めることもできる。ただし抽出温度によって過飽和状態が変化するため、抽出温度に応じた過飽和解除条件を選択することが好ましい。
当該方法としては、例えば前記濃縮液を10℃〜60℃でインキュベートすることにより結晶を得る熟成プロセス等が用いられる。熟成時の温度は、好ましくは10℃〜60℃、より好ましくは20℃〜40℃、特に好ましくは30℃である。熟成に適した時間は、好ましくは1時間〜48時間、より好ましくは2時間〜24時間、特に好ましくは一晩である。
本発明の製造方法においては、前記工程(a)で得られた抽出液から有色カロテノイドを生成させる前に、当該抽出液を濃縮することが好ましい。ここでの濃縮倍率は、有色カロテノイドが効率よく結晶化されかつ無色カロテノイドが結晶化されにくい濃縮倍率であれば特に限定されないが、前記抽出液を、抽出液の重量に対して1〜20倍程度の低い濃縮倍率で濃縮し、続いて濃縮以外の方法により有色カロテノイドの結晶化を進めることが好ましい。
濃縮は、加熱下に抽出溶媒を留去する加熱濃縮、減圧下に抽出溶媒を留去する減圧濃縮などによって行われることが好ましく、カロテノイドの分解を抑制するとの観点から、缶温を低くすることができる減圧濃縮によることがより好ましい。減圧濃縮における好ましい缶温は50℃以下、より好ましくは40℃以下であり、また溶媒留去の効率の観点から、缶温は0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。
前記工程(a)によって得られた抽出液又はその濃縮液中から有色カロテノイドの結晶を得る方法は、有色カロテノイドが高い収量で結晶化されかつ無色カロテノイドが結晶化されにくい方法であれば特に限定されない。当該方法は、一般的には、加熱及び/又は減圧濃縮や貧溶媒を添加し、結晶の溶解度を低下させる晶析操作が挙げられる。この他、低温における有色カロテノイドの析出、酸・アルカリ薬剤や各種塩類による析出によって有色カロテノイド色素を濃縮せずに分離してもよい。また、本操作下での過飽和状態は、例えば常温で1時間以上放置することで解除され、有色カロテノイドの結晶を析出させることができる。このとき、攪拌したり振動を与えたりすること、あるいは種結晶を添加すること等により過飽和状態の解除を早めることもできる。ただし抽出温度によって過飽和状態が変化するため、抽出温度に応じた過飽和解除条件を選択することが好ましい。
当該方法としては、例えば前記濃縮液を10℃〜60℃でインキュベートすることにより結晶を得る熟成プロセス等が用いられる。熟成時の温度は、好ましくは10℃〜60℃、より好ましくは20℃〜40℃、特に好ましくは30℃である。熟成に適した時間は、好ましくは1時間〜48時間、より好ましくは2時間〜24時間、特に好ましくは一晩である。
(工程c:晶析濾液回収工程)
前記結晶化工程で得られた結晶を母液から分離する方法は限定されないが、膜濾過、濾過、デカンテーションなどが用いられ、濾過が好ましい。また分離時の温度は、有色カロテノイドの結晶が再溶解せずかつ無色カロテノイドの熱分解が抑えられる温度であれば特に限定されないが、上記結晶化工程(例えば熟成時)の温度と同等であることが好ましい。
前記結晶化工程で得られた結晶を母液から分離する方法は限定されないが、膜濾過、濾過、デカンテーションなどが用いられ、濾過が好ましい。また分離時の温度は、有色カロテノイドの結晶が再溶解せずかつ無色カロテノイドの熱分解が抑えられる温度であれば特に限定されないが、上記結晶化工程(例えば熟成時)の温度と同等であることが好ましい。
〔工程2:得られた残渣から脂溶性化合物を回収する工程〕
本発明の製造方法において、上記工程(2)は、例えば、以下の工程を含むプロセスにより実施することができる:
(d)工程(1)で得られた残渣をケン化処理する工程;
(e)ケン化処理後の溶液から脂溶性化合物を抽出する工程;
(f)(任意)工程(e)で得られた抽出液から無色カロテノイド含有フラクションをクロマトグラフィーにより分離する工程;
(g)(任意)工程(f)で得られた無色カロテノイド含有フラクション又は工程(e)で得られた抽出液を脱色する工程。
なお、上記脱色工程は、任意で上記クロマトグラフィー分離工程の前に実施することもできる。
本発明の製造方法において、上記工程(2)は、例えば、以下の工程を含むプロセスにより実施することができる:
(d)工程(1)で得られた残渣をケン化処理する工程;
(e)ケン化処理後の溶液から脂溶性化合物を抽出する工程;
(f)(任意)工程(e)で得られた抽出液から無色カロテノイド含有フラクションをクロマトグラフィーにより分離する工程;
(g)(任意)工程(f)で得られた無色カロテノイド含有フラクション又は工程(e)で得られた抽出液を脱色する工程。
なお、上記脱色工程は、任意で上記クロマトグラフィー分離工程の前に実施することもできる。
(工程d:晶析濾液のケン化処理工程)
上記工程(1)で得られた晶析濾液中の油脂類のケン化処理は、定法通りに行うことができ、例えば、当該晶析濾液に適量のアルカリ溶液を加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて攪拌することにより実施することができるが、これに限定されない。加えるアルカリ溶液の組成および量、ならびに攪拌の温度および時間は、当業者であれば適宜設定することができる。
上記工程(1)で得られた晶析濾液中の油脂類のケン化処理は、定法通りに行うことができ、例えば、当該晶析濾液に適量のアルカリ溶液を加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて攪拌することにより実施することができるが、これに限定されない。加えるアルカリ溶液の組成および量、ならびに攪拌の温度および時間は、当業者であれば適宜設定することができる。
(工程e:ケン化後溶液からの脂溶性化合物抽出工程)
工程(d)で得られたケン化処理後の溶液から、無色カロテノイドを含む低極性カロテノイドを抽出する方法は限定されないが、例えば、当該溶液に適量の低極性溶媒(例えばn−ヘキサン)を加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて攪拌することにより実施することができる。加える低極性溶媒の組成および量、ならびに攪拌の温度および時間は、当業者であれば適宜設定することができる。ケン化後抽出液からの低極性フラクションの分取は、分液ロートを用いる方法など定法により実施することができる。
工程(d)で得られたケン化処理後の溶液から、無色カロテノイドを含む低極性カロテノイドを抽出する方法は限定されないが、例えば、当該溶液に適量の低極性溶媒(例えばn−ヘキサン)を加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて攪拌することにより実施することができる。加える低極性溶媒の組成および量、ならびに攪拌の温度および時間は、当業者であれば適宜設定することができる。ケン化後抽出液からの低極性フラクションの分取は、分液ロートを用いる方法など定法により実施することができる。
(工程f:クロマトグラフィー分離工程)
任意の工程であるが、工程(e)で得られた脂溶性化合物を含む抽出液を、シリカゲル等を担体とするカラムに供し、分配クロマトグラフィーにて無色カロテノイド含有フラクションを分離することが好ましい。
また、前記カラムに供する前に、前記工程(e)で得られた抽出液(低極性フラクション)から抽出溶媒を除去し、前記カラム用の溶離液で再溶解してカラムチャージ液とすることが好ましい。抽出溶媒の除去は、加熱下に抽出溶媒を留去する加熱濃縮、減圧下に抽出溶媒を留去する減圧濃縮などによって行われることが好ましく、無色カロテノイドの分解を抑制するとの観点から、缶温を低くすることができる減圧濃縮により濃縮乾固することがより好ましい。シリカゲルカラム用の溶離液(展開溶媒)の組成は、当業者であれば適宜設定することができるが、例えばn−ヘキサンと酢酸エチルの混合液を用いることができる。
分取した各フラクション液中の無色カロテノイドの検出は、例えば、検出波長286nmにおける特異的な吸収ピークの検出にて実施することができる。
任意の工程であるが、工程(e)で得られた脂溶性化合物を含む抽出液を、シリカゲル等を担体とするカラムに供し、分配クロマトグラフィーにて無色カロテノイド含有フラクションを分離することが好ましい。
また、前記カラムに供する前に、前記工程(e)で得られた抽出液(低極性フラクション)から抽出溶媒を除去し、前記カラム用の溶離液で再溶解してカラムチャージ液とすることが好ましい。抽出溶媒の除去は、加熱下に抽出溶媒を留去する加熱濃縮、減圧下に抽出溶媒を留去する減圧濃縮などによって行われることが好ましく、無色カロテノイドの分解を抑制するとの観点から、缶温を低くすることができる減圧濃縮により濃縮乾固することがより好ましい。シリカゲルカラム用の溶離液(展開溶媒)の組成は、当業者であれば適宜設定することができるが、例えばn−ヘキサンと酢酸エチルの混合液を用いることができる。
分取した各フラクション液中の無色カロテノイドの検出は、例えば、検出波長286nmにおける特異的な吸収ピークの検出にて実施することができる。
(工程g:脱色工程)
上記クロマトグラフィー分離工程の前又は後に、任意で、無色カロテノイド含有抽出液又はフラクションを脱色処理してもよく、当該処理により無色カロテノイドの純度を高めることができる。当該脱色処理は、好ましくは、上記クロマトグラフィー分離工程で得られた無色カロテノイド含有フラクションのうち、有色のフラクション、すなわち無色カロテノイド以外の不純物を含むフラクションについてのみ実施してもよい。当該脱色処理の方法は特に限定されないが、例えば活性炭処理により実施することができ、具体的には、例えば、前記の有色のフラクションに必要量の活性炭を加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて攪拌することにより実施することができる。加える活性炭の種類および量、ならびに攪拌の温度および時間は、当業者であれば適宜設定することができる。
上記クロマトグラフィー分離工程の前又は後に、任意で、無色カロテノイド含有抽出液又はフラクションを脱色処理してもよく、当該処理により無色カロテノイドの純度を高めることができる。当該脱色処理は、好ましくは、上記クロマトグラフィー分離工程で得られた無色カロテノイド含有フラクションのうち、有色のフラクション、すなわち無色カロテノイド以外の不純物を含むフラクションについてのみ実施してもよい。当該脱色処理の方法は特に限定されないが、例えば活性炭処理により実施することができ、具体的には、例えば、前記の有色のフラクションに必要量の活性炭を加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて攪拌することにより実施することができる。加える活性炭の種類および量、ならびに攪拌の温度および時間は、当業者であれば適宜設定することができる。
上記の製造方法を用いて得られる無色カロテノイドの収量の最大化は、上記製造方法の各工程の条件を適宜変更することによって実施することができる。
本発明の無色カロテノイドの製造方法は、上記の通り、カロテノイドを産生する生物からアスタキサンチン等の有色カロテノイドを抽出した後の残渣を有効利用して無色カロテノイドを分離精製することを特徴とする。そのため、同一資源から複数種の有用なカロテノイドを取得できるという点において、工業的に有利である。また、上記のカロテノイド産生生物として特定の遺伝子組換え菌を利用したり特殊な条件下で培養したりすることなく、公知のカロテノイド産生生物(例えばアスタキサンチン生産菌)を利用することができるという点でも優れた工業的製造方法を提供するものである。
本発明の無色カロテノイドを含有する医薬品、食品、又は化粧品も本発明の範囲内である。
本発明の無色カロテノイドを含有する医薬品の剤型としては、散剤、顆粒剤、丸剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル剤、速崩剤、シロップ、液剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、粘付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は定法に従って調製されるが、カロテノイドは水に難溶性であるため、植物性油、動物性油等の非親水性有機溶媒に溶解するか又は、乳化剤、分散剤もしくは界面活性剤等とともに、ホモジナイザー(高圧ホモジナイザー)を用いて水溶液中に分散、乳化させたり、温度をかけて溶解させたりして用いる。さらに、カロテノイドの吸収性を高めるために、平均粒子径を1ミクロン程度まで微粉砕し用いることも可能である。
本発明の無色カロテノイドを含有する医薬品の剤型としては、散剤、顆粒剤、丸剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル剤、速崩剤、シロップ、液剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、粘付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は定法に従って調製されるが、カロテノイドは水に難溶性であるため、植物性油、動物性油等の非親水性有機溶媒に溶解するか又は、乳化剤、分散剤もしくは界面活性剤等とともに、ホモジナイザー(高圧ホモジナイザー)を用いて水溶液中に分散、乳化させたり、温度をかけて溶解させたりして用いる。さらに、カロテノイドの吸収性を高めるために、平均粒子径を1ミクロン程度まで微粉砕し用いることも可能である。
製剤化のために用いることができる添加剤としては、例えば大豆油、サフラワー油、オリーブ油、胚芽油、ひまわり油、グレープシード油、牛脂、いわし油等の動植物性油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤、精製水、乳糖、デンプン、結晶セルロース、D−マンニトール、レシチン、アラビアゴム、ソルビトール液、糖液等の賦形剤、その他の甘味料、着色料、pH調整剤、香料などをあげることができる。尚、液体製剤は、服用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また、錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよいし、ゾル状又はゲル状物質等で包んでもよい。
注射剤の形で投与する場合としては、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、経皮、関節内、滑液嚢内、胞膜内、骨膜内、舌下、口腔内などに投与することが好ましく、特に静脈内投与又は腹腔内投与が好ましい。静脈内投与は、点滴投与、ボーラス投与のいずれであってもよい。
カロテノイドを医薬品として使用する場合、用法及び用量として、大人1 日あたり、1mg〜3g、好ましくは3mg〜1g、より好ましくは10mg〜670mgである。体重1kg換算では、それぞれ17μg〜50mg、54μg〜17mg、160μg〜12mgとなる。上記用量は1から数回に分けて投与される。但し、薬学的な有効量、投与方法又は投与手段及び投与期間は、投与対象の臨床状態、性別、年齢、体重などに応じて当業者により適宜設定することができる。
カロテノイドを医薬品として使用する場合、用法及び用量として、大人1 日あたり、1mg〜3g、好ましくは3mg〜1g、より好ましくは10mg〜670mgである。体重1kg換算では、それぞれ17μg〜50mg、54μg〜17mg、160μg〜12mgとなる。上記用量は1から数回に分けて投与される。但し、薬学的な有効量、投与方法又は投与手段及び投与期間は、投与対象の臨床状態、性別、年齢、体重などに応じて当業者により適宜設定することができる。
本発明の無色カロテノイドを含有する食品の形態としては、例えばサプリメント(散剤、顆粒剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、液剤等)、飲料(お茶、炭酸飲料、乳酸飲料、スポーツ飲料等)、菓子(グミ、ゼリー、ガム、チョコレート、クッキー、キャンデー等)、油、油脂食品(マヨネーズ、ドレッシング、バター、クリーム、マーガリン等)、調味料(ケチャップ、ソース等)、流動食、乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ等)、パン類、麺類(うどん、そば、ラーメン、パスタ、焼きそば、きしめん、ソーメン、冷麦、ビーフン等)等が挙げられる。但し、これらの形態に限定されるものではない。
本発明の無色カロテノイドを含有する機能性食品としては、必要に応じて各種栄養素、各種ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE等)、各種ミネラル類、食物繊維、多価不飽和脂肪酸、その他の栄養素(コエンザイムQ10、カルニチン、セサミン、α−リポ酸、イノシトール、D−カイロイノシトール、ピニトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルDHA、ホスファチジルイノシトール、タウリン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、S−アドノシルメチオニン等)、分散剤、乳化剤などの安定剤、甘味料、呈味成分(クエン酸、リンゴ酸等)、フレーバー、ローヤルゼリー、プロポリス、アガリクス等を配合することができる。また、ペパーミント、ベルガモット、カモミール、ラベンダー、タイム等のハーブ類を配合してもよい。またテアニン、デヒドロエピアンドステロン、メラトニンなどの素材を配合してもよい。
無色カロテノイドを食品又はサプリメントとして使用する場合、用法及び用量として特に限定されるものではないが、体重1kg換算で、17μg〜50mg、好ましくは54μg〜17mg、より好ましくは160μg〜12mgである。
無色カロテノイドを食品又はサプリメントとして使用する場合、用法及び用量として特に限定されるものではないが、体重1kg換算で、17μg〜50mg、好ましくは54μg〜17mg、より好ましくは160μg〜12mgである。
本発明の無色カロテノイドを含有する化粧品としては、クリーム、乳液、ローション、マイクロエマルジョンエッセンス、入浴剤等が挙げられ、香料等を混合してもよい。
無色カロテノイドを化粧品として使用する場合、化粧品100gあたり10μg〜5g、好ましくは10μg〜2g、より好ましくは10μg〜1gの量を配合することができる。
無色カロテノイドを化粧品として使用する場合、化粧品100gあたり10μg〜5g、好ましくは10μg〜2g、より好ましくは10μg〜1gの量を配合することができる。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔フィトエン濃度算出方法〕
下記実施例1および比較例において分離精製した各サンプルにおけるフィトエンの定量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて以下の条件で行った。所定条件下、フィトエンの異性体は43分及び46分に保持時間を有する。
(分析条件)
分析カラム: Nova−Pak C18、3.9×300mm (Waters)
検出波長: 286nm、350nm、400nm、450nm
移動相: アセトニトリル/メタノール/イソプロパノール = 90/6/4
カラム温度:30℃
流速: 1mL/min
下記実施例1および比較例において分離精製した各サンプルにおけるフィトエンの定量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて以下の条件で行った。所定条件下、フィトエンの異性体は43分及び46分に保持時間を有する。
(分析条件)
分析カラム: Nova−Pak C18、3.9×300mm (Waters)
検出波長: 286nm、350nm、400nm、450nm
移動相: アセトニトリル/メタノール/イソプロパノール = 90/6/4
カラム温度:30℃
流速: 1mL/min
標準液のフィトエン濃度は、フィトエンの検出波長286nmにおけるn−ヘキサン溶液でのε(分子吸光係数)(mM-1cm-1)=50、標準液の286nmにおける吸光度(A)、フィトエン分子量=544.94及び上記分析条件でHPLC分析を行ったときのフィトエンピークの面積百分率%(B)を用いて、下記式により算出した。
(標準液のフィトエン濃度算出式)
標準液のフィトエン濃度(mg/L)=A/(50×B×544.94)・・・(1)
(標準液のフィトエン濃度算出式)
標準液のフィトエン濃度(mg/L)=A/(50×B×544.94)・・・(1)
サンプルのフィトエン濃度は、以下の方法で算出した。
(サンプルの調製および検出)
測定においては、各工程で得られた溶液状態のサンプル液を直接、又はn−ヘキサンで希釈(希釈率X)した状態で上記分析カラムに20μL注入し、カラム溶離液中のフィトエンの検出を波長286nmで行った。
(サンプルのフィトエン濃度算出式)
測定サンプルのフィトエン濃度(mg/L)=(サンプル中のフィトエンピークの面積百分率(%)×希釈率(X)×標準液のフィトエン濃度(mg/L))/標準液中のフィトエンピークの面積百分率(%)・・・(2)
(サンプルの調製および検出)
測定においては、各工程で得られた溶液状態のサンプル液を直接、又はn−ヘキサンで希釈(希釈率X)した状態で上記分析カラムに20μL注入し、カラム溶離液中のフィトエンの検出を波長286nmで行った。
(サンプルのフィトエン濃度算出式)
測定サンプルのフィトエン濃度(mg/L)=(サンプル中のフィトエンピークの面積百分率(%)×希釈率(X)×標準液のフィトエン濃度(mg/L))/標準液中のフィトエンピークの面積百分率(%)・・・(2)
〔実施例1〕
Sea Water 500mL/L、Bacto−Peptone(Difco) 5g/L、Bacto Yeast Extract 1g/L、リン酸第2鉄2水和物 0.04g/L、酢酸ナトリウム3水和物 0.1g/L、グルコース 10g/Lからなる300mLの液体培地にアスタキサンチン生産菌であるParacoccus sp. NBRC101723を接種し、20℃で1日間、振とう培養した。更に、同培地1.2Lを含む2Lの発酵槽に植菌し、通気攪拌条件の下、20℃で4日間培養した。
Sea Water 500mL/L、Bacto−Peptone(Difco) 5g/L、Bacto Yeast Extract 1g/L、リン酸第2鉄2水和物 0.04g/L、酢酸ナトリウム3水和物 0.1g/L、グルコース 10g/Lからなる300mLの液体培地にアスタキサンチン生産菌であるParacoccus sp. NBRC101723を接種し、20℃で1日間、振とう培養した。更に、同培地1.2Lを含む2Lの発酵槽に植菌し、通気攪拌条件の下、20℃で4日間培養した。
工程1:抽出工程
得られたParacoccus sp. NBRC101723の菌体11.1g(乾重)にエタノールを加えて抽出後、ロータリー・エバポレーターにて30℃、減圧濃縮した。その後、アスタキサンチンなどの有色カロテノイドを結晶化し、生じた結晶を濾取する工程で生じた残渣である晶析濾液を回収した。晶析濾液中のフィトエン濃度を分析した結果、0.026%であった。この晶析濾液80gに、水30g、25%NaOH水溶液5gを加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて30分間攪拌しながら油脂類のケン化処理を行った。その後、n−ヘキサン130gを加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて30分間攪拌しながら、フィトエンを含む低極性カロテノイドの抽出を行った。このケン化後抽出液を分液ロートへ移液し、静置によって分液後、下層を除き、フィトエン約19mgを含有する赤褐色のn−ヘキサン抽出液128g(98mg/L)を得た。
得られたParacoccus sp. NBRC101723の菌体11.1g(乾重)にエタノールを加えて抽出後、ロータリー・エバポレーターにて30℃、減圧濃縮した。その後、アスタキサンチンなどの有色カロテノイドを結晶化し、生じた結晶を濾取する工程で生じた残渣である晶析濾液を回収した。晶析濾液中のフィトエン濃度を分析した結果、0.026%であった。この晶析濾液80gに、水30g、25%NaOH水溶液5gを加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて30分間攪拌しながら油脂類のケン化処理を行った。その後、n−ヘキサン130gを加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて30分間攪拌しながら、フィトエンを含む低極性カロテノイドの抽出を行った。このケン化後抽出液を分液ロートへ移液し、静置によって分液後、下層を除き、フィトエン約19mgを含有する赤褐色のn−ヘキサン抽出液128g(98mg/L)を得た。
工程2:抽出液濃縮、カラムチャージ液調製工程
本実施例の工程1で得られた抽出液をロータリー・エバポレーターにて40℃以下で濃縮乾固した。その後、n−ヘキサン/酢酸エチル=99/1(vol/vol)の溶離液4mLで再溶解し、フィトエン含有カラムチャージ液を得た。
本実施例の工程1で得られた抽出液をロータリー・エバポレーターにて40℃以下で濃縮乾固した。その後、n−ヘキサン/酢酸エチル=99/1(vol/vol)の溶離液4mLで再溶解し、フィトエン含有カラムチャージ液を得た。
工程3:シリカゲルカラム分取工程
本実施例の工程2で得られたフィトエン含有チャージ液を、ワコーシルC300を充填したシリカゲルカラムクロマトに供して分取を実施し、フィトエン含有フラクションを回収した。溶媒はn−ヘキサン/酢酸エチル=99/1(vol/vol)を用いて溶出し、フラクション1を100mLとして、フラクション2からは20mLずつフラクションカットして各フラクション液を得た。分取の結果、得られたフラクション3として、検出波長286nmのみにおいて特異的な吸収ピークが検出される、フィトエン0.92mgを含有する無色の溶液を回収した(図1)。また、フラクション4〜7において得られた溶出液をHPLC分析した結果、17.4mgのフィトエンを含む黄色の溶液を得た(図2)。
本実施例の工程2で得られたフィトエン含有チャージ液を、ワコーシルC300を充填したシリカゲルカラムクロマトに供して分取を実施し、フィトエン含有フラクションを回収した。溶媒はn−ヘキサン/酢酸エチル=99/1(vol/vol)を用いて溶出し、フラクション1を100mLとして、フラクション2からは20mLずつフラクションカットして各フラクション液を得た。分取の結果、得られたフラクション3として、検出波長286nmのみにおいて特異的な吸収ピークが検出される、フィトエン0.92mgを含有する無色の溶液を回収した(図1)。また、フラクション4〜7において得られた溶出液をHPLC分析した結果、17.4mgのフィトエンを含む黄色の溶液を得た(図2)。
工程4:活性炭処理脱色工程
本実施例の工程3で得られたフィトエン含有フラクションのうち、黄色のフラクション4〜7を混合した混合液80mLに、213mgの活性炭(強力シラサギ)を加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて15分間攪拌を実施した。その後、活性炭を除去し、フィトエンを14.34mg含有する無色の溶液を回収した。得られた活性炭処理溶液のHPLCクロマトグラムを図3に示す。
本実施例の工程3で得られたフィトエン含有フラクションのうち、黄色のフラクション4〜7を混合した混合液80mLに、213mgの活性炭(強力シラサギ)を加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて15分間攪拌を実施した。その後、活性炭を除去し、フィトエンを14.34mg含有する無色の溶液を回収した。得られた活性炭処理溶液のHPLCクロマトグラムを図3に示す。
本実施例の工程4で得られた無色フィトエン溶液と工程3で得られたフラクション3の無色フィトエン溶液を混合し、100mLのフィトエン溶液を得た。この溶液をロータリー・エバポレーターにて40℃以下で濃縮乾固し、15.3mg(回収率73.6%)の無色カロテノイドであるフィトエンを取得した。表1に示すように、乾燥菌体から直接抽出した場合(下記比較例)に比べて、有色カロテノイド抽出後の晶析濾液残渣から抽出した場合(本実施例)の方が効率的に(高収率で)フィトエンを回収することができた。
〔比較例〕
工程1:抽出工程
実施例1に記載の方法で培養して得られたParacoccus sp. NBRC101723の菌体中のフィトエン濃度を分析した結果、0.308%(菌体乾重あたりの濃度)であった。この菌体25g(乾重)に、水75g、エタノール300g、25%NaOH水溶液12.5gを加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて30分間攪拌しながら油脂類のケン化処理及びカロテノイドの抽出を行った。その後、n−ヘキサン250gを加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて30分間攪拌しながらフィトエンを含む低極性カロテノイドの抽出を行った。この菌体を含むケン化後抽出スラリー液を濾過して菌体を除去した。濾液を分液ロートへ移液し、静置によって分液後、下層を除き、フィトエン約38mgを含有する赤褐色のn−ヘキサン抽出液240g(105mg/L)を得た。
工程1:抽出工程
実施例1に記載の方法で培養して得られたParacoccus sp. NBRC101723の菌体中のフィトエン濃度を分析した結果、0.308%(菌体乾重あたりの濃度)であった。この菌体25g(乾重)に、水75g、エタノール300g、25%NaOH水溶液12.5gを加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて30分間攪拌しながら油脂類のケン化処理及びカロテノイドの抽出を行った。その後、n−ヘキサン250gを加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて30分間攪拌しながらフィトエンを含む低極性カロテノイドの抽出を行った。この菌体を含むケン化後抽出スラリー液を濾過して菌体を除去した。濾液を分液ロートへ移液し、静置によって分液後、下層を除き、フィトエン約38mgを含有する赤褐色のn−ヘキサン抽出液240g(105mg/L)を得た。
工程2:抽出液濃縮、カラムチャージ液調製工程
本比較例の工程1で得られた抽出液をロータリー・エバポレーターにて40℃以下で濃縮乾固した。その後、n−ヘキサン/酢酸エチル=99/1(vol/vol)の溶離液10mLで再溶解し、フィトエン含有カラムチャージ液を得た。
本比較例の工程1で得られた抽出液をロータリー・エバポレーターにて40℃以下で濃縮乾固した。その後、n−ヘキサン/酢酸エチル=99/1(vol/vol)の溶離液10mLで再溶解し、フィトエン含有カラムチャージ液を得た。
工程3:シリカゲルカラム分取工程
本比較例の工程2で得られたフィトエン含有チャージ液を、ワコーシルC300を充填したシリカゲルカラムクロマトに供して分取を実施し、フィトエン含有フラクションを回収した。溶媒はn−ヘキサン/酢酸エチル=99/1(vol/vol)を用いて溶出し、フラクション1を100mLとして、フラクション2からは20mLずつフラクションカットして各フラクション液を得た。分取の結果、得られたフラクション3として、検出波長286nmのみにおいて特異的な吸収ピークが検出される、フィトエン0.34mgを含有する無色の溶液を回収した。また、フラクション4〜7において得られた溶出液をHPLC分析した結果、35.5mgのフィトエンを含む黄色の溶液を得た。
本比較例の工程2で得られたフィトエン含有チャージ液を、ワコーシルC300を充填したシリカゲルカラムクロマトに供して分取を実施し、フィトエン含有フラクションを回収した。溶媒はn−ヘキサン/酢酸エチル=99/1(vol/vol)を用いて溶出し、フラクション1を100mLとして、フラクション2からは20mLずつフラクションカットして各フラクション液を得た。分取の結果、得られたフラクション3として、検出波長286nmのみにおいて特異的な吸収ピークが検出される、フィトエン0.34mgを含有する無色の溶液を回収した。また、フラクション4〜7において得られた溶出液をHPLC分析した結果、35.5mgのフィトエンを含む黄色の溶液を得た。
工程4:活性炭処理脱色工程
本比較例の工程3で得られたフィトエン含有フラクションのうち、黄色のフラクション4〜6を混合した混合液60mLに、553.6mgの活性炭(強力シラサギ)を加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて15分間攪拌を実施した。その後、活性炭を除去し、フィトエンを26.2mg含有する無色の溶液を回収した。
本比較例の工程3で得られたフィトエン含有フラクションのうち、黄色のフラクション4〜6を混合した混合液60mLに、553.6mgの活性炭(強力シラサギ)を加え、窒素雰囲気下、室温(20〜30℃)にて15分間攪拌を実施した。その後、活性炭を除去し、フィトエンを26.2mg含有する無色の溶液を回収した。
本比較例の工程4で得られた無色フィトエン溶液と工程3で得られたフラクション3の無色フィトエン溶液を混合し、当該混合溶液をロータリー・エバポレーターにて40℃以下で濃縮乾固し、26mg(回収率69.2%)の無色カロテノイドであるフィトエンを取得した。
本発明により、遺伝子組換え菌を利用したり特殊な条件下で培養したりすることなく、公知のカロテノイド産生生物を利用する簡便な方法で、無色カロテノイドを高い収量で得ることが可能となる。また、本発明の方法は、カロテノイド産生生物から有色カロテノイドを抽出した後の残渣を廃棄せず有効利用して無色カロテノイドを分離精製することから、一つの資源から複数種の有用なカロテノイドを取得できる経済的かつ環境に優しい方法ともいえる。さらに、本発明の方法は、有色カロテノイド未抽出のカロテノイド産生生物から直接、無色カロテノイドを回収するという従来の精製方法と比べて、高い収率で無色カロテノイドを回収することができるという有利な効果を有する。
Claims (8)
- 以下の(1)〜(2)の工程を含むことを特徴とする、無色カロテノイドの製造方法:
(1)カロテノイドを産生する生物から有色カロテノイド抽出後の残渣を回収する工程;
(2)得られた残渣から脂溶性化合物を回収する工程。 - 前記工程(1)を、以下の工程を含むプロセスにより実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法:
(a)カロテノイドを産生する生物からカロテノイドを抽出する工程;
(b)工程(a)で得られた抽出液又はその濃縮液中に有色カロテノイドの結晶を生成させる工程;及び
(c)前記結晶を母液から分離し、残渣を回収する工程。 - 前記生物が微生物である、請求項1又は2に記載の方法。
- 有色カロテノイドが、アンテラキサンチン、アドニキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、カプソルビン、カプサンチン、β−クリプトキサンチン、β−カロテン、フコキサンチン、ルテイン、リコペン、ネオキサンチン、ニューロスポレン、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生物が、パラコッカス(Paracoccus)属、ヘマトコッカス(Haematococcus)属、ファフィア(Phaffia)属からなる群より選択されるカロテノイド産生微生物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生物がパラコッカス(Paracoccus)属に属する細菌又はその変異株である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 無色カロテノイドがフィトエン、フィトフルエン、又はそれらの組み合わせである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 有色カロテノイド未抽出の前記生物から直接、無色カロテノイドを回収する場合と比べて、高い収率で無色カロテノイドを回収できることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
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JP2014086137A JP2015204764A (ja) | 2014-04-18 | 2014-04-18 | 無色カロテノイドの製造方法 |
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CN112120225A (zh) * | 2020-09-29 | 2020-12-25 | 江南大学 | 一种未完全成熟番茄的资源化利用的方法 |
CN114957077A (zh) * | 2022-06-30 | 2022-08-30 | 山东微研生物科技有限公司 | 一种斑蝥黄的晶型a及其制备方法 |
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2014
- 2014-04-18 JP JP2014086137A patent/JP2015204764A/ja active Pending
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