JP2015203049A - 鏡胴用筒状体及び鏡胴 - Google Patents
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Abstract
Description
撮像装置又は光学機器を構成する鏡胴としては、複数の可動鏡筒を備えるものもあり、固定鏡筒と、それに隣接する可動鏡筒との間、又は、可動鏡筒どうしの間、において摺動性が得られる一方、従来の材料からなる鏡筒どうしを動的接触させると、擦れ音(軋み音)が顕著となる場合があった。
1.〔A〕ポリカーボネート樹脂、〔B〕ゴム質重合体に由来する重合体部と、ビニル系(共)重合体部とを備えるゴム質重合体強化ビニル系樹脂、及び、〔C〕繊維状充填剤、を含有し、融点(JIS K 7121−1987)が0℃〜100℃の範囲にある熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする鏡胴用筒状体。
2.上記ゴム質重合体強化ビニル系樹脂〔B〕及び上記繊維状充填剤〔C〕の含有量は、上記ポリカーボネート樹脂〔A〕の含有量を100質量部とした場合に、それぞれ、0.5〜40質量部及び10〜200質量部である上記1に記載の鏡胴用筒状体。
3.上記ゴム質重合体強化ビニル系樹脂〔B〕が、エチレン・α−オレフィン系ゴムに由来する重合体部と、ビニル系(共)重合体部とを備えるエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体強化ビニル系樹脂を含む上記1又は2に記載の鏡胴用筒状体。
4.上記エチレン・α−オレフィン系ゴムの融点(JIS K 7121−1987)が0℃〜100℃の範囲にある上記3に記載の鏡胴用筒状体。
5.上記エチレン・α−オレフィン系ゴムに由来する重合体部の含有量が、上記熱可塑性樹脂組成物の全体に対して、0.5〜25質量%である上記3又は4に記載の鏡胴用筒状体。
6.上記ゴム質重合体強化ビニル系樹脂〔B〕が、ポリオルガノシロキサン系ゴムに由来する重合体部と、ビニル系(共)重合体部とを備えるポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体強化ビニル系樹脂を含む上記1乃至5のいずれか一項に記載の鏡胴用筒状体。
7.上記ゴム質重合体強化ビニル系樹脂〔B〕を構成するビニル系(共)重合体部が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む上記1乃至6のいずれか一項に記載の鏡胴用筒状体。
8.上記繊維状充填剤〔C〕がガラス繊維を含む上記1乃至7のいずれか一項に記載の鏡胴用筒状体用筒状体。
9.上記熱可塑性樹脂組成物が、更に、〔D〕難燃剤を含有する上記1乃至8のいずれか一項に記載の鏡胴用筒状体。
10.上記1乃至9のいずれか一項に記載の鏡胴用筒状体を備えることを特徴とする鏡胴。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基を、「(共)重合体」は、単独重合体及び共重合体を意味する。
また、JIS K 7121−1987に準ずる融点(以下、「Tm」と表記する)は、DSC(示差走査熱量計)を用い、1分間に20℃の一定昇温速度で吸熱変化を測定し、得られた吸熱パターンのピーク温度を読みとった値である。
更に、ポリカーボネート樹脂を除く高分子の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算値である。
また、本発明の鏡胴は、特定の熱可塑性樹脂組成物からなる鏡胴用筒状体(以下、「筒状部」ということがある。)を備える物品である。
本発明の鏡胴用筒状体及び鏡胴は、カメラ(デジタルカメラ、動画カメラを含む)、望遠鏡(双眼鏡)、顕微鏡、投影露光装置、光ディスク装置、光学測定装置等の、レンズを備える撮像装置又は光学機器に配される部品である。
本発明の鏡胴用筒状体は、外表面及び内表面のいずれにおいても、凸部、凹部、溝部、孔部等を備えてもよい。また、鏡胴用筒状体の端部には、切り欠き部を備えてもよい。
上記熱可塑性樹脂組成物は、成分〔A〕を一種のみ含んでよいし、二種以上の組み合わせで含んでもよい。
上記芳香族ポリカーボネートとしては、芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを溶融によりエステル交換(エステル交換反応)して得られたもの、ホスゲンを用いた界面重縮合法により得られたもの、ピリジンとホスゲンとの反応生成物を用いたピリジン法により得られたもの等を用いることができる。
また、上記成分〔A〕のMFR(温度240℃、荷重10kg)は、好ましくは1〜70g/10分、より好ましくは2.5〜50g/10分、更に好ましくは4〜30g/10分である。
上記熱可塑性樹脂組成物は、成分〔B〕を一種のみ含んでよいし、二種以上の組み合わせで含んでもよい。
α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。α−オレフィンの炭素原子数は、鏡胴用筒状体に対する耐衝撃性の観点から、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、更に好ましくは3〜8である。
また、上記成分〔B〕に含まれるエチレン・α−オレフィン系ゴム(r1)の含有割合は、鏡胴用筒状体が、隣接する筒状体又は他の部品と滑らかに動的接触することができ、その際に軋み音(擦れ音)の発生が低減されることから、成分〔B〕を100質量%とした場合に、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは15〜40質量%である。
〔R1 nSiO〕(4−n)/2 (1)
(式中、R1は置換又は非置換の1価炭化水素基であり、nは0〜3の整数を示す。R1が複数ある場合、互いに同一であっても異なってもよい。)
尚、上記オルガノシロキサン(i)は、上記一般式(1)で表される化合物の1種以上を用いて、予め縮合された、例えば、重量平均分子量(Mw)が500〜10,000程度のポリオルガノシロキサンであってもよい。そして、このポリオルガノシロキサンにおいて、その分子鎖末端が、ヒドロキシル基、アルコキシ基、トリメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基等の官能基で封止されたポリオルガノシロキサンであってもよい。
上記オルガノシロキサン(i)が、重合性不飽和結合を含む場合、使用するグラフト交叉剤(ii)は、重合性不飽和結合を有しても有さなくてもよい。
上記変性ポリオルガノシロキサンゴムの製造に際して、耐衝撃性を改良するために、架橋剤を添加することもできる。架橋剤としては、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性架橋剤、テトラエトキシシラン等の4官能性架橋剤等が挙げられる。架橋剤を用いる場合、その使用量の上限は、オルガノシロキサン(i)及びグラフト交叉剤(ii)の合計量を100質量部とした場合に、通常、10質量部、好ましくは5質量部である。
上記変性ポリオルガノシロキサンゴムの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは30,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜300,000である。この範囲であると、鏡胴用筒状体に対する耐衝撃性に優れる。
尚、上記の場合、上記エチレン・α−オレフィン系ゴムに由来するゴム質重合体部及びポリオルガノシロキサン系ゴムに由来するゴム質重合体部の合計量は、鏡胴用筒状体に対する耐衝撃性の観点から、成分〔B〕を100質量%とした場合に、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは3〜15質量%である。
尚、上記の場合、上記エチレン・α−オレフィン系ゴムに由来するゴム質重合体部及びジエン系ゴムに由来するゴム質重合体部の合計量は、鏡胴用筒状体に対する耐衝撃性の観点から、成分〔B〕を100質量%とした場合に、好ましくは0.2〜25質量%、より好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは3〜15質量%である。
本発明において、成形性及び成形外観性の観点から、上記ビニル系(共)重合体部は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含むことが好ましい。上記ビニル系(共)重合体部に含まれる、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量の下限は、鏡胴用筒状体の剛性の観点から、好ましくは55質量%、より好ましくは60質量%、更に好ましくは65質量%である。
上記カルボキシル基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは二つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記アミド基含有不飽和化合物としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン、4−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−メチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、5−メチル−2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
本発明において、上記ビニル系(共)重合体部が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位とを含む場合、これらの構造単位の合計量は、鏡胴用筒状体の機械的強度及び耐薬品性の観点から、ビニル系(共)重合体部の全量に対して、好ましくは70〜100質量%であり、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%である。また、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位の含有割合は、鏡胴用筒状体の機械的強度及び耐薬品性の観点から、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%、より好ましくは60〜90質量%及び10〜40質量%、更に好ましくは65〜85質量%及び15〜35質量%である。
(B1)エチレン・α−オレフィン系ゴムに由来する重合体部(以下、「エチレン・α−オレフィン系重合体部」という。)と、ビニル系(共)重合体部とを有するゴム質重合体強化ビニル系樹脂(以下、「エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体強化ビニル系樹脂(B1)」という。)
(B2)ジエン系ゴムに由来する重合体部(以下、「ジエン系重合体部」という。)と、ビニル系(共)重合体部とを有するゴム質重合体強化ビニル系樹脂(以下、「ジエン系ゴム質重合体強化ビニル系樹脂(B2)」という。)
(B3)ポリオルガノシロキサン系ゴムに由来する重合体部(以下、「ポリオルガノシロキサン系重合体部」という。)と、ビニル系(共)重合体部とを有するゴム質重合体強化ビニル系樹脂(以下、「ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体強化ビニル系樹脂(B3)」という。)
尚、上記成分〔C〕の平均繊維長は、好ましくは0.02〜2.8mm、より好ましくは0.05〜2.2mm、更に好ましくは0.1〜1.5mmである。
上記ガラス繊維の形態は、特に制限はなく、長めの単繊維を多数本撚り、ガラス繊維用集束剤によって集束させた後、切断して得られたチョップドストランド、ロービング、ミルドファイバー等、いずれの形態であってもよい。これらのうち、機械的強度と弾性率のバランスの観点から、チョップドストランドが好適である。チョップドストランドに用いるガラス繊維としては、平均繊維径が好ましくは6〜23μm、より好ましくは9〜16μmの単繊維が好ましく用いられる。そして、単繊維の集束本数は、好ましくは100〜4,000本、より好ましくは800〜3,000本である。
ガラス繊維用集束剤としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を含む組成物、ウレタン樹脂を含む組成物、ウレタン樹脂及びカップリング剤を含む組成物、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びカップリング剤を含む組成物、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂及びカップリング剤を含む組成物、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の共重合体を含む組成物、アミノ樹脂を含む組成物、ポリ酢酸ビニルを含む組成物、ポリエステル樹脂を含む組成物、ポリアクリレートを含む組成物、変性ポリオレフィン樹脂を含む組成物、デンプン又はポリビニルアルコールと、油脂とを含む組成物等が挙げられる。これらのうち、エポキシ樹脂を含む組成物が好ましい。
表面処理剤としては、反応性カップリング剤;高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等が挙げられる。
R2Si(OR3)3 (2)
(式中、R2は、アミノ基、グリシドキシ基、塩素原子、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、メルカプト基、N−アミノエチルアミノ基、イソシアネート基及びウレイド基から選ばれる基若しくは原子、又は、上記基を末端に有するアルキル基であり、R3は炭化水素基である。)
(R4O)Ti(OR5)(OR6)(OR7) (3)
(式中、R4はアルキル基であり、R5、R6及びR7は、互いに同一又は異なって、置換もしくは非置換のアルキル基、アルカノイル基、(メタ)アクリロイル基、ジアルキルパイロホスフェート基、N−アミノエチル−アミノエチル基、アルキルベンゼンスルホニル基、ジアルキルホスフェート基、ジアルキルホスファイト基及びクミルフェニル基から選ばれる基であり、R3及びR4が一緒になっている、2価の、エチレン基、オキサリル基又は−CO−CH2−基である。)
上記アルミネートカップリング剤としては、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート等のアルミニウムアルキルアセトアセテート・ジアルキレート;アルミニウムアルケニルアセトアセテート・ジアルキレート;アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
上記成分〔A〕及び〔B〕以外の他の熱可塑性樹脂としては、ビニル系単量体に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体(芳香族ビニル系(共)重合体、アクリル系(共)重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、フッ素樹脂等)、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂組成物が、他の熱可塑性樹脂を含有する場合、その含有量の上限は、上記成分〔A〕及び〔B〕の合計100質量部に対して、好ましくは60質量部、より好ましくは40質量部である。
上記成分〔E〕に含まれる構造単位(mx)の含有量は、上記成分〔E〕を構成する構造単位の合計を100質量%とすると、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%、更に好ましくは65〜85質量%である。上記構造単位(mx)の含有量が50〜95質量%であると、優れた機械的強度及び成形外観性を得ることができる。
上記成分〔E〕に含まれる構造単位(my)の含有量は、上記成分〔E〕を構成する構造単位の合計を100質量%とすると、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは15〜35質量%である。上記構造単位(my)の含有量が5〜50質量%であると、優れた機械的強度及び成形外観性を得ることができる。
上記成分〔E〕が、構造単位(mz)を含む場合、その含有量の上限は、上記成分〔E〕を構成する構造単位の合計、即ち、構造単位(mx)、(my)及び(mz)の合計を100質量%とすると、好ましくは70質量%、より好ましくは50質量%である。
また、上記成分〔E〕の固有粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、耐衝撃性の観点から、好ましくは0.2〜0.8dl/g、より好ましくは0.25〜0.7dl/g、更に好ましくは0.3〜0.6dl/gである。
(D1)臭素化ポリエチレン、テトラブロモエタン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン、ジブロモジメチルヘキサン、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチルアルコール、ペンタエリスリチルテトラブロミド、モノブロモジペンタエリスリトール、ジブロモジペンタエリスリトール、トリブロモジペンタエリスリトール、テトラブロモジペンタエリスリトール、ペンタブロモジペンタエリスリトール、ヘキサブロモジペンタエリスリトール、ヘキサブロモトリペンタエリスリトール、ポリブロム化ペンタエリスリトール等の、臭素化脂肪族化合物若しくはその誘導体、又は、臭素化脂環式化合物若しくはその誘導体
(D2)テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA−ジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノールA−ジメタリルエーテル、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテルのトリブロモフェノール付加物、テトラブロムビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシジエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテルのブロム化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマー等の、臭素化ビスフェノール類又はその誘導体
(D3)ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、トリブロモフェニルアリルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテル、オクタブロモ−1,1,3−トリメチル−1−フェニルインダン、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイド、エタン−1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ポリジブロモフェニレンオキサイド、1,1−スルホニル[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)]ベンゼン、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、トリス(トリブロモフェニル)シアヌレート、アタクチック構造の臭素化ポリスチレン、アタクチック構造の臭素化スチレン・プロピレン系共重合体等の、臭素化芳香族化合物又はその誘導体
(D4)ペンタブロモベンジルアクリレート、アタクチック構造の臭素化スチレン・メチルメタクリレート系共重合体、アタクチック構造の臭素化スチレン・メチルメタクリレート・グリシジルメタクリレート系共重合体、アタクチック構造の臭素化スチレン・グリシジルメタクリレート系共重合体、ポリペンタブロモベンジルアクリレート等の臭素化(メタ)アクリル系化合物
(D5)エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の、臭素原子及び窒素原子含有化合物
(D6)塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環式化合物等の、塩素原子含有化合物
(D7)臭化アンモニウム等の臭素化無機化合物
O=P(OR11)s(OMn+ 1/n)3−s (4)
(式中、各R11は、独立して、炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、各Mは、独立して、水素原子、又は、周期表の第1A族、第1B族、第2A族及び第2B族から選ばれる金属原子であり、sは1、2又は3であり、nは1又は2である。)
P(OR11)t(OMn+ 1/n)3−t (5)
(式中、各R11は、独立して、炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、各Mは、独立して、水素原子、又は、周期表の第1A族、第1B族、第2A族及び第2B族から選ばれる金属原子であり、tは1、2又は3であり、nは1又は2である。)
O=P(R12)(OMn+ 1/n)2 (6)
(式中、R12は、水素原子、又は、炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、各Mは、独立して、水素原子、又は、周期表の第1A族、第1B族、第2A族及び第2B族から選ばれる金属原子であり、nは1又は2である。但し、R2及びMのすべてが水素原子である場合を除く。)
更に、s=2の場合、R11同士で環構造を形成している、ナトリウム−2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム−2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム−2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート等を用いることもできる。
本発明の鏡胴は、目的、用途等により、この筒状部又は他の材料からなる筒状部の孔内にレンズを配設した後、撮像装置又は光学機器の形成に好適に用いられる。
また、第2筒状部12及び第3筒状部13の収容形態は、特に限定されないが、図2では、第2筒状部12及び第3筒状部13が、光軸方向の1端側から他端側にテーパー形状を有するように、即ち、図2では、各筒状部の手前側断面積が縮小するように、形成されて、第2筒状部12及び第3筒状部13が、それぞれ、第1筒状部11の孔内、及び、第2筒状部12の孔内に収容できるようになっている。また、図示していないが、第1筒状部11、第2筒状部12及び第3筒状部13のいずれかを枠体として、その孔内にレンズが配設されていてもよい。上記のように、本発明に係る筒状部は、隣接する筒状体又は他の部品と動的に接触した際の摺動性に優れるため、少なくとも第2筒状部12が、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物からなる構成とすることにより、第2筒状部12と動的接触に供される第1筒状部11及び第3筒状部13が、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物と異なる材料からなる場合に、第2筒状部12又は第3筒状部13が、光軸方向に移動した際に、円滑な摺動性を得ることができ、擦れ音(軋み音)の発生を抑制することができる。尚、第1筒状部11、第2筒状部12及び第3筒状部13の全てが、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物からなる場合には、鏡胴10全体として、摺動性、耐衝撃性、剛性及び外観性に優れるので、これは最も好ましい態様である。
1の筒状部と、隣り合う他の筒状部とを、直接又は他の部品を介して接触状態とすることは、撮像装置又は光学機器の作動時において筒状部の動きがある場合に、鏡胴の内部に光や塵等の侵入防止の効果(遮蔽効果)を見込むものであり、本発明においては、潤滑剤を不使用とした熱可塑性樹脂組成物を含む筒状部を用いることができるので、撮像装置又は光学機器を長時間使用しても、劣化した又は浮き出した潤滑剤による外観性の低下を招くことがなく、鏡胴及び撮像装置又は光学機器の耐久性に優れる。
図3の場合、鏡胴を構成する第2筒状部12は、撮像装置又は光学機器20の作動時に、第1筒状部11及び固定部材16の両方と動的接触するので、少なくとも、第2筒状部12が、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた鏡胴用筒状体からなることが好ましく、第1筒状部11及び第2筒状部12の両方が、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた鏡胴用筒状体からなることが特に好ましい。
円筒型成形体の製造は、下記の原料(樹脂又は共重合体、ガラス繊維等)を用いて調製された熱可塑性樹脂組成物の射出成形により行った。尚、グラフト率、固有粘度[η]等の測定は、上記記載の方法に準じて行った。
1−1.原料〔P〕
三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリカーボネート「NOVAREX7022PJ」(商品名)を用いた。粘度平均分子量(Mv)は、18,700であり、MFR(温度240℃、荷重10kg)は、18g/10分である。
本発明に係る成分〔B〕を含み、組成物のTmを0℃〜120℃の範囲とすることができるエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体強化ビニル系樹脂(原料Q1)と、他のゴム強化樹脂である、ポリオルガノシロキサンゴム質重合体強化ビニル系樹脂(原料Q2)、及び、ブタジエンゴム質重合体強化ビニル系樹脂(原料Q3)とを以下に示す。
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計等を装着したステンレス製オートクレーブに、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(エチレン/プロピレン=78/22(%)、Tm:40℃、ガラス転移温度:−50℃、ムーニー粘度(ML1+4,100℃):20)25部、スチレン10.95部、アクリロニトリル4.05部、tert−ドデシルメルカプタン0.5部及びトルエン110部を仕込み、昇温した。内温が75℃に達したところで、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.09部を添加し、更に昇温した。内温を100℃に保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合を開始した。60分間重合した後、スチレン43.8部、アクリロニトリル16.2部及びtert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.36部を3時間かけて連続的に添加した。重合を開始して4時間経過した後、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って重合を終了した。重合転化率は97%であった。その後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した。次いで、反応液をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去した。その後、40mmφベント付き押出機(シリンダー温度220℃、真空度760mmHg)を用いて揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化し、エチレン・プロピレン共重合体ゴムからなる部分と、シアン化ビニル化合物(アクリロニトリル)に由来する構造単位及び芳香族ビニル化合物(スチレン)に由来する構造単位を含むビニル系共重合体からなる部分とを含むエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体強化ビニル系樹脂(グラフト樹脂)、並びに、未グラフトのビニル系共重合体(アクリロニトリル・スチレン共重合体)からなる樹脂混合物であるゴム強化樹脂(原料Q1)を得た。この原料Q1に含まれる上記グラフト樹脂におけるグラフト率は46%、未グラフトのビニル系共重合体(以下、「アセトン可溶分」ともいう。)の含有率は64%であり、このアセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.45dl/gであった。その後、このペレットを用いて原料Q1のTmを測定したところ、40℃であった。
p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン1.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン98.5部の混合物を、ドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を蒸留水に溶解させた水溶液300部に投入し、ホモミキサーにより3分間攪拌して乳化分散させた。乳化分散液を、コンデンサー、窒素ガス導入口及び攪拌機を備えたセパラブルフラスコに移し、攪拌下、90℃で6時間加熱して縮合反応させ、5℃で24時間冷却することで反応を完了させた。これにより、縮合率92.8%で変性ポリオルガノシロキサンゴムを含むラテックスを得た。その後、このラテックスに、炭酸ナトリウム水溶液を添加してpH7に中和した。尚、変性ポリオルガノシロキサンゴムの体積平均粒子径は280nmであった。
次に、攪拌機を備えたガラス製フラスコに、上記変性ポリオルガノシロキサンゴム40部、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、スチレン15部及びアクリロニトリル5部を収容し、攪拌しながら45℃まで昇温した。その後、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート・2水和物0.2部及びイオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、並びに、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合を開始した。そして、1時間後、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルハイドロパーオキサイド0.2部、スチレン30部及びアクリロニトリル10部からなるインクレメンタル重合成分を3時間に渡って連続的に添加し、重合を続けた。添加終了後、更に攪拌を1時間続けた。
その後、2,2−メチレン−ビス(4−エチレン−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加して重合を停止し、ポリオルガノシロキサンゴム質重合体強化ビニル系樹脂(グラフト樹脂)を含むラテックスを得た。次いで、ラテックスに塩化カルシウム2部を添加して、樹脂成分を凝固し、水洗及び乾燥(75℃、24時間)を行い、変性ポリオルガノシロキサンゴムからなる部分と、シアン化ビニル化合物(アクリロニトリル)に由来する構造単位及び芳香族ビニル化合物(スチレン)に由来する構造単位を含むビニル系共重合体からなる部分とを含むポリオルガノシロキサンゴム質重合体強化ビニル系樹脂(グラフト樹脂)、並びに、未グラフトのビニル系共重合体(アクリロニトリル・スチレン共重合体)からなる樹脂混合物であるポリオルガノシロキサンゴム強化樹脂(原料Q2)からなる白色粉末を回収した。この原料Q2に含まれる上記グラフト樹脂におけるグラフト率は90%、未グラフトの(共)重合体(アセトン可溶分)の含有率は24%であり、アセトン可溶分の固有粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は0.47dl/gであった。尚、この原料Q2のTmは観測されなかった。
攪拌機を備えたガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水42部、ロジン酸カリウム0.35部、tert−ドデシルメルカプタン0.2部、平均粒子径300nmのポリブタジエンゴム(ゲル含有率80%)32部を含むラテックス80部、平均粒子径600nmのスチレン・ブタジエン共重合体ゴム(スチレン単位量30%)8部を含むラテックス19部、スチレン14部及びアクリロニトリル6部を収容し、攪拌しながら昇温した。内温が40℃に達したところで、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部及びブドウ糖0.3部を、イオン交換水8部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。
30分間重合させた後、イオン交換水45部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、tert−ドデシルメルカプタン0.13部及びクメンハイドロパーオキサイド0.1部を、3時間かけて連続的に添加した。その後、更に1時間重合を継続し、反応系に、2,2′−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加して重合を完結させた。
次いで、反応生成物を含むラテックスに、硫酸水溶液を添加して、樹脂成分を凝固し、水洗した。その後、水酸化カリウム水溶液を用いて、洗浄・中和し、更に、水洗した後、乾燥し、ゴム強化樹脂(原料Q3)を得た。この原料Q3に含まれるブタジエンゴム質重合体強化ビニル系樹脂(グラフト樹脂)におけるグラフト率は55%、未グラフトの(共)重合体(アセトン可溶分)の含有率は38%であり、このアセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.45dl/gであった。尚、この原料Q3のTmは観測されなかった。
オーウェンスコーニングジャパン社製ガラス繊維(チョップドストランド)「CS03MA FT665」(商品名)を用いた。この製品は、素線径φ13μmの単繊維をエポキシ樹脂組成物からなる集束剤で束ねた後、繊維長3mmに調節されたチョップドストランドである。
ADEKA社製縮合リン酸エステル「FP−700」(商品名)を用いた。
信越シリコーン社製メチルフェニルシリコーンオイル「KF−54」(商品名)を用いた。
実施例1〜12及び比較例1〜3
原料〔P〕、〔Q〕、〔R〕、〔S〕及び〔T〕を、表1〜表4に記載の割合で、ヘンシェルミキサーにて混合した後、この混合物を、日本製鋼社製2軸押出機「TEX44αII」(型式名)に供給して溶融混練(シリンダー設定温度:200℃〜250℃)し、熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを得た。そして、このペレットを、下記の評価に供した。その結果を表1〜表4に併記した。
(a)真円性
熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを射出成形に供し、図5に示す円筒型成形体3(外径25mm、高さ15mm、肉厚2mm)を製造した。ミツトヨ社製三次元測定機を用いて、成形体断面の真円性を測定した。具体的には、端から10mmの位置の断面における異なった3点を5回測定した。そして、実測円上の3点(360度を3等分の目安で選択した3点)を真円で近似し、その直径を求め、得られた5点の直径の最大値及び最小値の差を真円度とした。この値が小さいほど、真円性が良好であることを示す。
(b)線膨張係数
熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを射出成形に供し、板状試験片(50mm×10mm×4mm)を作製し、80℃で2時間アニールした後、23℃で、基準となる試験片長さを測定した。その後、加熱して70℃における試験片長さを測定し、23℃から70℃までの1℃あたりの長さの平均変化率を求め、これを線膨張係数とした。単位は「×10−5/℃」である。尚、試験片長さは、OMRON社製「LASER MICROMETER 3Z4L−S506R」にて測定した。
熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを用いて、ISO 179に準ずる、所定の形状及びサイズを有する試験片を作製し、シャルピー衝撃強さを、温度23℃で測定した。単位は「kJ/m2」である。
2−3.引張特性
熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを用いて、ISO 527に準ずる、所定の形状及びサイズを有する試験片を作製し、引張強さを、温度23℃で測定した。単位は、「MPa」である。
2−4.曲げ特性
熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを用いて、ISO 178に準ずる、所定の形状及びサイズを有する試験片を作製し、曲げ強さ及び曲げモジュラスを、温度23℃で測定した。単位は、それぞれ、「MPa」及び「MPa」である。
2−5.成形収縮性
熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを用いて、JIS K7152−4に準ずる、所定の形状及びサイズを有する試験片を作製し、MD方向及びTD方向について、それぞれ、成形収縮率を、温度23℃で測定した。
熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを、東芝機械社製射出成形機「IS−170FA」(型式名)を用いた射出成形(シリンダー温度:250℃、射出圧力:50MPa、金型温度:60℃)に供し、板状成形体を得た。次いで、この成形体を、ディスクソーを用いて切削加工し、60mm×100mm×4mm及び50mm×25mm×4mmの二種の試験片を切り出した。その後、番手#100のサンドペーパーで試験片の端部を面取りし、細かいバリを除去し、大小2枚のスティックスリップ試験(SS試験)用試験片を作製した。
次に、これらの試験片を、80℃±5℃に調整したオーブン内に300時間放置した後、取り出して、25℃で24時間静置し、熱老化(エージング)させた試験片を得た。そして、ジグラー(ZIEGLER)社製スティックスリップ試験機「SSP−02」(型式名)に、大小2枚の試験片をセットし、両者を3回擦り合わせて、異音リスク指数を測定した。測定条件は、温度:23℃、湿度:50%RH、荷重:40N、速度:10mm/秒、振幅:20mmである。
異音リスク指数が小さいほど、軋み音の発生リスクが低くなる。
図6に示すように、同じ大きさ(75mm×50mm×2mm)の2枚の板状成形体を重ねた状態のまま、2本の指で挟んで、接触面を交互に滑らせて(ストローク長さ:20mm)、摺動性を評価した。尚、この評価では、同じ熱可塑性樹脂組成物からなるペレットから得た2枚の板状成形体を用いた場合、及び、一方を、各実験例の熱可塑性樹脂組成物からなるペレットから得た板状成形体、他方を、テクノポリマー社製ABS/PCアロイ樹脂「エクセロイCK20」(商品名、表において、「材料〔W〕」で示した)からなるペレットから得た板状成形体とした場合、の両方について行った。摺動性を以下の基準で判定した。
○:指先に力のかからぬ滑らかな動きを示した
×:指先に引っかかりのあるぎしぎしとした動きを示した
熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを用いて、アンダーライターズラボラトリーズ社(UL)のサブジェクト94に準ずる、所定の形状及びサイズを有する試験片(125mm×13mm×1mm)作製し、垂直燃焼試験に供した。
比較例1及び3は、Tmが0℃〜100℃の範囲に見られないため、スティックスリップ試験及び摺動性の両方に劣っていた。比較例2は、シリコーンオイルを含むため、摺動性は得られたが、スティックスリップ試験では十分ではなかった。
一方、実施例1〜12によれば、スティックスリップ試験及び摺動性の両方に優れ、シャルピー衝撃強さ、引張強さ、曲げ強さ及び曲げモジュラスがいずれも向上しており、また、メルトマスフローレートが2.3〜50g/10分の範囲にあり、耐衝撃性及び剛性のバランスに優れることが分かる。更に、潤滑剤を含まないので、長期に渡って外観性を保持することができる。
実施例13
実施例7で用いた熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを射出成形に供し、円筒型成形体M1(外径25mm、高さ15mm、肉厚2mm)を製造した。また、実施例7で用いた熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを射出成形に供し、円筒型成形体M2(外径21mm、高さ20mm、肉厚2mm)を製造した。円筒型成形体M2の、円筒型成形体M1の孔内への出し入れを繰り返したところ、滑らかに移動させることができた。
実施例7で用いた熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを射出成形に供し、円筒型成形体M1(外径25mm、高さ15mm、肉厚2mm)を製造した。また、実施例4で用いた熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを射出成形に供し、円筒型成形体M2(外径21mm、高さ20mm、肉厚2mm)を製造した。円筒型成形体M2の、円筒型成形体M1の孔内への出し入れを繰り返したところ、滑らかに移動させることができた。
実施例7で用いた熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを射出成形に供し、円筒型成形体M1(外径25mm、高さ15mm、肉厚2mm)を製造した。また、比較例3で用いた熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを射出成形に供し、円筒型成形体M2(外径21mm、高さ20mm、肉厚2mm)を製造した。円筒型成形体M2の、円筒型成形体M1の孔内への出し入れを繰り返したところ、滑らかに移動させることができた。
比較例1で用いた熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを射出成形に供し、円筒型成形体M1(外径25mm、高さ15mm、肉厚2mm)を製造した。また、比較例3で用いた熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを射出成形に供し、円筒型成形体M2(外径21mm、高さ20mm、肉厚2mm)を製造した。円筒型成形体M2の、円筒型成形体M1の孔内への出し入れを繰り返したところ、ぎしぎしと引っかかりを感じ、滑らかに移動させることができなかった。
3:円筒型成形体
5:板状成形体の積層物
6:板状成形体
7:板状成形体
10:鏡胴
11:第1筒状部
12:第2筒状部
13:第3筒状部
14:レンズ
16:固定部品(ピン)
18:遮光部品(遮光リング)
20:撮像装置又は光学機器
Claims (10)
- 〔A〕ポリカーボネート樹脂、
〔B〕ゴム質重合体に由来する重合体部と、ビニル系(共)重合体部とを備えるゴム質重合体強化ビニル系樹脂、
及び、
〔C〕繊維状充填剤、
を含有し、融点(JIS K 7121−1987)が0℃〜100℃の範囲にある熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする鏡胴用筒状体。 - 上記ゴム質重合体強化ビニル系樹脂〔B〕及び上記繊維状充填剤〔C〕の含有量は、上記ポリカーボネート樹脂〔A〕の含有量を100質量部とした場合に、それぞれ、0.5〜40質量部及び10〜200質量部である請求項1に記載の鏡胴用筒状体。
- 上記ゴム質重合体強化ビニル系樹脂〔B〕が、エチレン・α−オレフィン系ゴムに由来する重合体部と、ビニル系(共)重合体部とを備えるエチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体強化ビニル系樹脂を含む請求項1又は2に記載の鏡胴用筒状体。
- 上記エチレン・α−オレフィン系ゴムの融点(JIS K 7121−1987)が0℃〜100℃の範囲にある請求項3に記載の鏡胴用筒状体。
- 上記エチレン・α−オレフィン系ゴムに由来する重合体部の含有量が、上記熱可塑性樹脂組成物の全体に対して、0.5〜25質量%である請求項3又は4に記載の鏡胴用筒状体。
- 上記ゴム質重合体強化ビニル系樹脂〔B〕が、ポリオルガノシロキサン系ゴムに由来する重合体部と、ビニル系(共)重合体部とを備えるポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体強化ビニル系樹脂を含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鏡胴用筒状体。
- 上記ゴム質重合体強化ビニル系樹脂〔B〕を構成するビニル系(共)重合体部が、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鏡胴用筒状体。
- 上記繊維状充填剤〔C〕がガラス繊維を含む請求項1乃至7のいずれか一項に記載の鏡胴用筒状体。
- 上記熱可塑性樹脂組成物が、更に、〔D〕難燃剤を含有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の鏡胴用筒状体。
- 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の鏡胴用筒状体を備えることを特徴とする鏡胴。
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