JP2015200884A - 表面処理法 - Google Patents

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健 前平
英司 阪本
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英司 阪本
福田 晃之
Teruyuki Fukuda
晃之 福田
大貴 石井
Daiki Ishii
大貴 石井
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Abstract

【課題】反射防止膜上に、高い耐久性を有する表面処理層を形成することができる方法を提供する。【解決手段】基材上に形成された反射防止膜上に表面処理層を形成する方法であって、(1)反射防止膜を強アルカリ性化合物で処理し、その後(2)強アルカリ性化合物で処理された反射防止膜上に、加水分解可能な基または水酸基が結合したSi原子を有する化合物を含む表面処理剤を用いて表面処理層を形成することを含む方法。【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止膜の表面を処理する方法に関する。具体的には、本発明は、基材上に形成された反射防止膜上に表面処理層を形成する方法に関する。
ある種の含フッ素シラン化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水性、撥油性、防汚性、表面滑り性などを提供し得ることが知られている。含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤から得られる層は、いわゆる機能性薄膜として、例えばガラス、プラスチック、繊維、建築資材など種々多様な基材に施されている(特許文献1および2を参照のこと)。
上記のような表面処理層の機能を向上させるために、種々の処理方法が提案されている。例えば、特許文献3は、上記含フッ素シラン化合物に対応する含フッ素加水分解性シラン化合物を含み、加水分解反応触媒を含まない被膜形成用組成物を用いて前駆膜を形成し、次いで、前駆膜を、加水分解反応触媒、好ましくは塩酸、硝酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の酸を含む処理液で後処理することを提案している。
また、特許文献4は、表面処理層を形成する前に、基材を、プラズマ処理、コロナ放電処理等で前処理し、次いで、表面処理剤を用いて表面処理層を形成する方法を提案している。
特許第3570134号公報 特開2008−534696号公報 特開2013−91047号公報 特開2006−175438号公報
上記のような基材を用いた物品が、光学部材、例えばディスプレイの前面保護板である場合、基材の表面に、反射防止膜が形成されている場合がある。表面処理層はこの反射防止膜上に形成されるが、表面処理剤に含まれる含フッ素シラン化合物は、反射防止膜との反応性が乏しく、十分な密着性、ひいては十分な耐久性を有する表面処理層を得ることが困難であった。
そこで、本発明者らは、表面処理層を形成する前の基材の前処理について検討した。その結果、特許文献3で好ましいとされている酸性化合物により前処理を行っても、特許文献4に記載のプラズマ処理またはコロナ処理を行っても、現在の要求を満たすような優れた耐久性を有する表面処理層が得られないことがわかった。
本発明は、反射防止膜上に、高い耐久性を有する表面処理層を形成することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、反射防止膜上に表面処理層を形成する前に、反射防止膜を強アルカリ性化合物で処理することにより、反射防止膜と表面処理剤に含まれるシラン化合物との反応性を向上させ、優れた耐久性を有する表面処理層を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の要旨によれば、基材上に形成された反射防止膜上に表面処理層を形成する方法であって、
(1)反射防止膜を強アルカリ性化合物で処理し、その後
(2)強アルカリ性化合物で処理された反射防止膜上に、加水分解可能な基または水酸基が結合したSi原子を有する化合物を含む表面処理剤を用いて表面処理層を形成する
ことを含む方法が提供される。
本発明の第2の要旨によれば、基材と、その上に形成された反射防止膜と、さらにその上に上記の方法により形成された表面処理層とを含む物品が提供される。
本発明によれば、反射防止膜を強アルカリ性化合物で処理した後に、加水分解可能な基または水酸基が結合したSi原子を有する化合物を含む表面処理剤を用いて表面処理層を形成することにより、反射防止膜上に耐久性に優れた表面処理層を形成することができる。
以下、本発明の実施形態を通じて、本発明の表面処理層の形成方法について詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、反射防止膜が形成された基材を準備する。
本発明に用いられる基材は、特に限定されないが、例えばガラス、樹脂(天然または合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属(アルミニウム、銅、鉄等の金属単体または合金等の複合体であってよい)、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、任意の適切な材料で構成される。好ましくは、基材は、光学部材用材料、例えばガラスまたは透明プラスチックで構成される。
本発明において、反射防止膜は、その表面に、加水分解可能な基または水酸基が結合したSi原子を有する化合物との反応性部位を有する限り特に限定されず、反射防止膜は、単層反射防止膜および多層反射防止膜のいずれであってもよい。反射防止膜を構成する材料は、特に限定されないが、例えばガラスなどの無機物または樹脂などの有機物であってもよい。反射防止膜を構成する無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、またはこれらの2種以上の組み合わせであってもよい。多層反射防止膜である場合、その最外層はSiOおよび/またはSiOから構成されることが好ましい。
反射防止膜が形成された基材の形状は特に限定されない。また、反射防止膜は、基材の表面領域の少なくとも一部に形成されていればよい。
好ましい態様において、反射防止膜に前処理を施してもよい。かかる前処理の例としては、プラズマ処理、コロナ放電、またはイオンビーム照射が挙げられる。このような前処理を行うことにより、反射防止膜の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができると共に、表面を清浄化することができ、反射防止膜と加水分解可能な基または水酸基が結合したSi原子を有する化合物との反応性を高めることができる。その結果、得られる表面処理層の耐久性がより向上する。
次に、反射防止膜を強アルカリ性化合物で処理する。
本発明で用いられる強アルカリ性化合物としては、特に限定されないが、0.1mol%の水溶液において、好ましくはpH12〜13、より好ましくはpH12.5〜13を示す化合物が用いられる。
好ましい態様において、強アルカリ性化合物としては、水溶液中においてアルカリ金属イオン、好ましくはナトリウムイオンまたはカリウムイオンを放出する化合物が用いられる。
具体的な強アルカリ性化合物としては、限定するものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムが挙げられる。
上記強アルカリ性化合物は、好ましくは溶液として用いられる。溶媒は、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール、または水を用いることができる。より好ましくは、強アルカリ性化合物は水溶液として用いられる。
強アルカリ性化合物を水溶液として用いる場合、その濃度は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5.0質量%である。強アルカリ性化合物の水溶液の濃度を、0.01質量%以上とすることにより、より耐久性の高い表面処理層を得ることができる。一方、強アルカリ性化合物の水溶液の濃度を、20質量%以下とすることにより、強アルカリが反射防止膜に与える悪影響を抑制することができる
反射防止膜を強アルカリ性化合物の水溶液で処理する工程は、特に限定されないが、例えば、スプレー、浸漬、スピンコーティング、フローコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング等により、強アルカリ性化合物の水溶液を反射防止膜上に塗布することにより行うことができる。強アルカリ性化合物の水溶液を反射防止膜上に塗布した後、過剰な水溶液を、拭き取りなどの手段により除去してもよい。
次に、上記の強アルカリ性化合物で処理された反射防止膜を、加水分解可能な基または水酸基が結合したSi原子を有する化合物(以下、単に「シラン化合物」ともいう)」を含む表面処理剤で処理して、反射防止膜上に表面処理層を形成する。
上記の表面処理層の形成は、反射防止膜の表面に対して、該表面を被覆するようにシラン化合物を適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されず、例えば、湿潤被覆法および乾燥被覆法を使用できる。
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティングおよび類似の方法が挙げられる。
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVDおよび類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビームおよび類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ−CVD、光学CVD、熱CVDおよび類似の方法が挙げられる。
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
湿潤被覆法を使用する場合、シラン化合物を含む表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。シラン化合物が含フッ素シラン化合物である場合、含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤の安定性および溶媒の揮発性の観点から、好ましくは、次の溶媒が使用される:炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC−6000)、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H));ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標名)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE−3000))など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテルが好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)および/またはパーフルオロブチルエチルエーテル(COC)が特に好ましい。
乾燥被覆法を使用する場合、シラン化合物を含む表面処理剤は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、または、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
本発明において用いられる加水分解可能な基または水酸基が結合したSi原子を有する化合物は、特に限定されないが、好ましくは含フッ素シラン化合物であり得る。
一の態様において、上記含フッ素シラン化合物は、下記式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)および(3B):
Figure 2015200884
[式中:
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
−(OC−(OC−(OC−(OCF
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
nは、(−SiR 3−n)単位毎に独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(1A)、(1B)、(2A)および(2B)において、少なくとも1つのRが存在し;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜10の整数であり;
δは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
δ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
βは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
β’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
γは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
γ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR71 72 73 を表し;
Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表し;
a’は、Rと同意義であり;
中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
pは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
rは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、一のRにおいて、p、qおよびrの和は3であり、式(3A)および(3B)において、少なくとも1つのR72が存在し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
kは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;
lは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
mは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
ただし、γを付して括弧でくくられた単位において、k、lおよびmの和は3である。]
で表される1種またはそれ以上の化合物であり得る。
好ましい態様において、上記含フッ素シラン化合物は、式(1a)、(1b)、(2a)、(2b)、(3a)または(3b):
Figure 2015200884
[式中:
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
PFPEは、−(OC−(OC−(OC−(OCF−を表し、ここに、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、加水分解可能な基を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、水酸基、加水分解可能な基、または炭化水素基を表し;
Xは、2〜7価の有機基を表し;
Qは、各出現において、それぞれ独立して、−Z−SiR 3−tを表し;
Zは、各出現において、それぞれ独立して、2価の有機基を表し:ただし、Zは、式(3a)または式(3b)における分子主鎖の末端のSi原子とシロキサン結合を形成するものを除く;
は、各出現において、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、炭素数1〜22のアルキル基、またはQ’を表し;
Q’は、Qと同意義であり;
tは、各QおよびQ’において、それぞれ独立して、0〜3から選択される整数であって、tの総和は1以上であり;
Q中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
eは、0または1であり;
fは、0以上2以下の整数であり;
lは、各出現において、それぞれ独立して、1以上10以下の整数であり;
nは、1以上3以下の整数であり;
rは、1以上3以下の整数であり;
αは、それぞれ独立して、1〜6の整数である。]
で表される1種またはそれ以上の化合物であり得る。
上記式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表す。該1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基における「炭素数1〜16のアルキル基」は、直鎖または分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素数1〜6、特に炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数1〜3のアルキル基である。
上記Rfは、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている炭素数1〜16のアルキル基であり、より好ましくはCFH−C1−15パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1−16パーフルオロアルキル基である。
上記C1−16パーフルオロアルキル基は、直鎖または分枝鎖の炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基であり、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素数1〜6、特に炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、具体的には−CF、−CFCF、または−CFCFCFである。
上記式中、PFPEは、−(OC−(OC−(OC−(OCF−、すなわち、パーフルオロ(ポリ)エーテル基を表す。ここに、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0または1以上の整数であって、a、b、cおよびdの和が少なくとも1であれば特に限定されるものではない。好ましくは、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0以上200以下の整数、例えば1以上200以下の整数であり、より好ましくは、それぞれ独立して0以上100以下の整数、例えば1以上100以下の整数である。さらに好ましくは、a、b、cおよびdの和は、10以上、好ましくは20以上であり、200以下、好ましくは100以下である。また、a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、−(OC)−は、−(OCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCF)−、−(OCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCF(CF))−、−(OC(CFCF)−、−(OCFC(CF)−、−(OCF(CF)CF(CF))−、−(OCF(C)CF)−および−(OCFCF(C))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCFCF)−、−(OCF(CF)CF)−および−(OCFCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCF)−である。また、−(OC)−は、−(OCFCF)−および−(OCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCF)−である。
一の態様において、PFPEは、−(OC−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、好ましくは、−(OCFCFCF−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)または−(OCF(CF)CF−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、より好ましくは−(OCFCFCF−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。
別の態様において、PFPEは、−(OC−(OC−(OC−(OCF−(式中、aおよびbは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、cおよびdは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であり、好ましくは−(OCFCFCFCF−(OCFCFCF−(OCFCF−(OCF−である。一の態様において、PFPEは、−(OC−(OCF−(式中、cおよびdは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であってもよい。
さらに別の態様において、PFPEは、−(OC−R21n”−で表される基である。式中、R21は、OC、OCおよびOCから選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。OC、OCおよびOCから独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、−OCOCOC−、および−OCOCOC−等が挙げられる。上記n”は、2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数である。上記式中、OC、OCおよびOCは、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、PFPEは、好ましくは、−(OC−OCn”−または−(OC−OCn”−である。
上記式中、Rは、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜22のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
上記式中、Rは、各出現において、それぞれ独立して、加水分解可能な基を表す。該加水分解可能な基の例としては、−OA、−OCOA、−O−N=C(A)、−N(A)、−NHA、ハロゲン[これら式中、Aは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す]などが挙げられる。Aの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
上記式中、Rは、各出現において、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子、フッ素原子である。
上記式中、Rは、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
上記式中、Rは、各出現において、それぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表す。低級フルオロアルキル基は、例えば炭素数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。代表的には、Rはフッ素原子であり、eは1である。
上記式中、Rは、各出現において、それぞれ独立して、水酸基、加水分解可能な基、または炭化水素基を表す。該加水分解可能な基は、上記Rの定義における加水分解可能な基と同意義である。
上記式中、Xは、2〜7価の有機基を表す。当該X基は、式(2a)、(2b)、(3a)および(3b)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf−PFPE−部または−PFPE−部)と、加水分解して基材との結合能を提供するシラン部(−SiR 3−n部または−SiQ 3−r部)とを連結するリンカーと解される。したがって、当該X基は、式(2a)、(2b)、(3a)および(3b)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの2〜7価の有機基であってもよい。また、X基の価数に応じて、式中のαは、1〜6の整数となり、例えば、Xが2価の有機基の場合、αは1であり、Xが7価の有機基の場合、αは6である。
好ましい態様において、Xは2〜4価の有機基であり、αは1〜3であり、より好ましくは、Xは2価の有機基であり、αは1である。
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(1A)および(1B)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(即ち、Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(即ち、δを付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(1A)および(1B)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
上記式中、δは1〜9の整数であり、δ’は1〜9の整数である。これらδおよびδ’は、Xの価数に応じて変化し得る。式(1A)においては、δおよびδ’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、δおよびδ’の和は10であり、例えばδが9かつδ’が1、δが5かつδ’が5、またはδが1かつδ’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、δおよびδ’は1である。式(1B)においては、δはXの価数から1を引いた値である。
上記Xは、好ましくは2〜7価であり、より好ましくは2〜4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、δは1〜3であり、δ’は1である。
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(2A)および(2B)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiR 3−n)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(2A)および(2B)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
上記式中のβは、1〜9の整数であり、β’は、1〜9の整数である。これらβおよびβ’は、Xの価数に応じて決定され、式(2A)において、βおよびβ’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、βおよびβ’の和は10であり、例えばβが9かつβ’が1、βが5かつβ’が5、またはβが1かつβ’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、βおよびβ’は1である。式(2B)において、βはXの価数の値から1を引いた値である。
上記Xは、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、βは1〜3であり、β’は1である。
上記式中、Xは、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該Xは、式(3A)および(3B)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロポリエーテル部(Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiR 基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(3A)および(3B)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
上記式中のγは、1〜9の整数であり、γ’は、1〜9の整数である。これらγおよびγ’は、Xの価数に応じて決定され、式(3A)において、γおよびγ’の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、γおよびγ’の和は10であり、例えばγが9かつγ’が1、γが5かつγ’が5、またはγが1かつγ’が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、γおよびγ’は1である。式(3A)において、γはXの価数の値から1を引いた値である。
上記Xは、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
一の態様において、Xは2〜4価の有機基であり、γは1〜3であり、γ’は1である。
上記X、X、XおよびXの例としては、特に限定するものではないが、例えば、下記式:
−(R11−(X−R12
[式中:
11は、−(CH−またはo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CH−であり、
12は、−(CH−またはo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CH−であり、
は、−(X−を表し、
は、各出現において、それぞれ独立して、−O−、−S−、o−、m−もしくはp−フェニレン基、−C(O)O−、−CONR13−、−O−CONR13−、−NR13−、−Si(R14−、−(Si(R14O)−Si(R14−および−(CH−からなる群から選択される基を表し、
14は、各出現において、それぞれ独立して、フェニル基またはC1−6アルキル基を表し、好ましくはC1−6アルキル基、より好ましくはメチル基であり、
13は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1−6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
gは、各出現において、それぞれ独立して、1〜100の整数、好ましくは1〜20の整数であり、
hは、各出現において、それぞれ独立して、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
iは、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
jは、1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数であり、
kは、1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
pは、0または1であり、
qは、0または1である。]
で表される基が挙げられる。
好ましくは、上記X、X、XおよびXは、
1−20アルキレン基、
−R31−X−R32−、または
−X−R32
[式中、R31およびR32は、上記と同意義である。]
であり得る。
より好ましくは、上記X、X、XおよびXは、
1−20アルキレン基、
−(CH−X−(CH−、または
−X−(CH
[式中、sおよびtは、上記と同意義である。]
である。
上記式中、Xは、
−O−、
−S−、
−C(O)O−、
−CONR34−、
−O−CONR34−、
−Si(R33−、
−(Si(R33O)−Si(R33−、
−O−(CHu−(Si(R33O)−Si(R33−、
−CONR34−(CHu−(Si(R33O)−Si(R33−、
−CONR34−(CH−N(R34)−、または
−CONR34−(o−、m−またはp−フェニレン)−Si(R33
[式中、R33、R34、mおよびvは、上記と同意義であり、
uは1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。]を表す。Xは、好ましくは−O−である。
上記式中、Xは、
−S−、
−C(O)O−、
−CONR34−、
−CONR34−(CHu−(Si(R33O)−Si(R33−、
−CONR34−(CH−N(R34)−、または
−CONR34−(o−、m−またはp−フェニレン)−Si(R33
を表す。
より好ましくは、上記X、X、XおよびXは、
1−20アルキレン基、
−(CH−X−(CH−、または
−X−(CH
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。
さらにより好ましくは、上記X、X、XおよびXは、
1−20アルキレン基、
−(CH−O−(CH−、
−(CH−(Si(R33O)−Si(R33−(CH−、
−(CH−O−(CHu−(Si(R33O)−Si(R33−(CH−、または
−(CH−O−(CH−Si(R33 −(CHu−Si(R33−(Cv2v)−
[式中、各記号は、上記と同意義であり、vは1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。]
である。
上記式中、−(Cv2v)−は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)−、−CH(CH)CH−であり得る。
上記X、X、XおよびX基は、フッ素原子、C1−3アルキル基およびC1−3フルオロアルキル基(好ましくは、C1−3パーフルオロアルキル基)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
上記X、X、XおよびXの具体的な例としては、例えば:
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH−、
−CHOCFCHFOCF−、
−CHOCFCHFOCFCF−、
−CHOCFCHFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF−、
−CHOCHCFCFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCFCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF−、
−CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF
−CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH4−、
−(CH−、
−(CH−Si(CH−(CH
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CONH−(CHNH(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−CHO−CONH−(CH−、
−S−(CH−、
−(CHS(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH−、
−CONH−(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH
−C(O)O−(CH−、
−C(O)O−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH −(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH −(CH−Si(CH−CH(CH)−、
−CH−O−(CH−Si(CH −(CH−Si(CH−(CH−、
−CH−O−(CH−Si(CH −(CH−Si(CH−CH(CH)−CH−、
Figure 2015200884
などが挙げられる。
また、別のX、X、XおよびX基の例としては、例えば下記の基が挙げられる:
Figure 2015200884
Figure 2015200884
[式中、R41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、またはC1−6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CFO(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH4−、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、および
Figure 2015200884
(式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6のアルキル基またはC1−6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、−(CH−(nは2〜6の整数)であり、
Dは、式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)、(2a)、(2b)、(3a)および(3b)の分子主鎖のPFPEに結合し、Eは、Si原子を含むユニットに結合する。]
さらに別のX基の例として、下記の基が挙げられる:
Figure 2015200884
[式中、各X基において、Tのうち任意の1つは、式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)、(2a)、(2b)、(3a)および(3b)の分子主鎖のPFPEに結合する以下の基:
−CHO(CH−、
−CHO(CH−、
−CFO(CH−、
−(CH−、
−(CH−、
−(CH4−、
−CONH−(CH−、
−CON(CH)−(CH−、
−CON(Ph)−(CH−(式中、Phはフェニルを意味する)、または
Figure 2015200884
であり、別のTの少なくとも1つは、式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)、(2a)、(2b)、(3a)および(3b)の分子主鎖のSi原子を含むユニットに結合する−(CH−(nは2〜6の整数)であり、存在する場合、残りは、それぞれ独立して、メチル基またはフェニル基である。
好ましい態様において、Xは、式:−(R16−(CFR17−(CH−で表される基である。式中、x、yおよびzは、それぞれ独立して、0〜10の整数であり、x、yおよびzの和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
上記式中、R16は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、−NR26−(式中、R26は、水素原子または有機基を表す)または2価の有機基である。好ましくは、R16は、酸素原子または2価の極性基である。
上記「2価の極性基」としては、特に限定されないが、−C(O)−、−C(=NR27)−、および−C(O)NR27−(これらの式中、R27は、水素原子または低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピルであり、これらは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
上記式中、R17は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
この態様において、Xは、好ましくは、式:−(O)−(CF−(CH−(式中、x、yおよびzは、上記と同意義であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である)で表される基である。
上記式:−(O)−(CF−(CH−で表される基としては、例えば、−(O)x’−(CHz”−O−[(CHz’’’−O−]z””、および−(O)x’−(CFy”−(CHz”−O−[(CHz’’’−O−]z””(式中、x’は0または1であり、y”、z”およびz’’’は、それぞれ独立して、1〜10の整数であり、z””は、0または1である)で表される基が挙げられる。なお、これらの基は左端がPFPE側に結合する。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR71 72 73 を表す。
式中、Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
上記Zは、好ましくは、2価の有機基であり、式(3A)または式(3B)における分子主鎖の末端のSi原子(Rが結合しているSi原子)とシロキサン結合を形成するものを含まない。
式中、R71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表す。Ra’は、Rと同意義である。
中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個である。即ち、上記Rにおいて、R71が少なくとも1つ存在する場合、R中にZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は最大で5個である。なお、「R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」とは、R中において直鎖状に連結される−Z−Si−の繰り返し数と等しくなる。
一の態様において、R中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
式中、R72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応を受け得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)、−N(R)、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは−OR(アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
好ましくは、R72は、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
式中、R73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
式中、pは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;qは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;rは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、p、qおよびrの和は3である。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。
上記Rは、好ましくは、水酸基、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)、−N(R)、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)であり、好ましくは−ORである。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。水酸基は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。より好ましくは、Rは、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
上記式中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
式中、kは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;lは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;mは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、k、lおよびmの和は、3である。
上記式中、Qは、各出現において、それぞれ独立して、−Z−SiR 3−tを表す。
上記Zは、各出現において、それぞれ独立して、2価の有機基を表す。
上記Zは、好ましくは、C1−6アルキレン基、−(CHs’−O−(CHt’−(式中、s’は、1〜6の整数であり、t’は、1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CHu’−(式中、u’は、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、およびC2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
上記Rは、各出現において、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表す。該加水分解可能な基は、上記Rの定義における加水分解可能な基と同意義である。好ましくは、Rは、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
上記Rは、各出現において、それぞれ独立して、C1−22アルキル基、またはQ’を表す。
上記Q’は、Qと同意義である。
上記tは、各QおよびQ’において、それぞれ独立して、0〜3から選択される整数であり、tの総和は1以上である。各QまたはQ’において、上記tが0である場合、そのQまたはQ’中のSiは、水酸基および加水分解可能な基を有しないことになる。したがって、上記tの総和は、少なくとも1以上でなければならない。
上記QにおけるRの少なくとも1つがQ’である場合、Q中にZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在する。かかるZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は最大で5個である。なお、「Q中のZ基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」とは、Q中において直鎖状に連結される−Z−Si−の繰り返し数と等しくなる。
上記のような含フッ素シラン化合物は、例えば、ダイキン工業株式会社のオプツール(登録商標)シリーズ(例えば、オプツールDSX−E等)、信越化学工業株式会社のKY−130、KY−178、またはKY−185、あるいはダウコーニング社のDC2634として入手することができる。
上記のようにして、基材上に形成された反射防止膜上に表面処理層を形成することができる。このように得られた表面処理層は、反射防止膜と強く密着し、高い耐久性を有し得る。本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、密着性および耐久性が向上する理由は以下のように考えられる。表面処理層は、シラン化合物の加水分解可能な基が加水分解して生じるシラノール基(なお、シラン化合物のSiがOHを有している場合は最初からシラノール基は存在する)と、反射防止膜上の反応性部位(例えば、水酸基)が脱水縮合することにより形成されると考えられる。本発明の方法においては、反射防止膜を強アルカリ性化合物で処理することにより、反射防止膜表面に強アルカリ性化合物が存在する。この強アルカリ性化合物が、加水分解可能な基の加水分解反応、およびシラノール基と反射防止膜上の反応性部位との脱水縮合反応において、触媒として機能することにより、より確実に反射防止膜と表面処理層間に結合が形成され、表面処理層の密着性および耐久性が向上すると考えられる。
以上、本発明の表面処理層の形成方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
例えば、反射防止膜をシラン化合物を含む表面処理剤で処理した後、後処理を施してもよい。
本発明の一の態様において、反射防止膜をシラン化合物を含む表面処理剤で処理した後、表面処理層の表面に水分を供給する処理、即ち、加湿処理を施してもよい。
加湿処理の方法は、特に限定されず、例えば、加湿雰囲気への曝露、表面処理層(および基材)と周囲雰囲気との温度差による結露や、水蒸気(スチーム)の吹付けなどの方法を使用してよい。例えば、シラン化合物を含む表面処理剤で処理された基材を、80〜100%RH(相対湿度)、好ましくは85〜95%RHの加湿雰囲気下に配置することにより行うことができる。
加湿処理を行う際の処理温度は、例えば、20〜80℃、好ましくは20〜60℃、より好ましくは30〜50℃であり得る。
好ましくは、加湿処理は、例えば、20〜80℃、好ましくは20〜60℃、より好ましくは30〜50℃の温度で、80〜100%RH、好ましくは85〜95%RHの加湿雰囲気下に、シラン化合物を含む表面処理剤で処理された基材を配置することにより行うことができる。このときの圧力は特に限定されないが、簡便には常圧とし得る。
加湿時間は、例えば、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間であり得る。
加湿処理を行うことにより、シラン化合物の加水分解可能な基の加水分解反応を促進させることができ、シラン化合物と反射防止膜の反応性をより高め、形成される表面処理層の耐久性をより向上させることができる。
本発明の一の態様において、反射防止膜をシラン化合物を含む表面処理剤で処理した後、加熱処理を施してもよい。
加熱処理は、例えば、60℃〜250℃の雰囲気下にて加熱する。加熱方法は、特に限定されず、表面処理層が形成された基材を、60℃以上、好ましくは100℃以上、250℃以下、好ましくは200℃以下の温度の雰囲気下に配置することにより行うことができる。このときの圧力は特に限定されないが、簡便には常圧とし得る。
加熱時間は、例えば、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間であり得る。
加熱処理を行うことにより、シラン化合物の加水分解可能な基の加水分解反応、およびシラン化合物のシラノール基と反射防止膜上の反応性部位との脱水縮合反応を促進させることができ、シラン化合物と反射防止膜の反応性を高め、形成される表面処理層の耐久性をより向上させることができる。
好ましい態様において、反射防止膜をシラン化合物を含む表面処理剤で処理した後、加湿処理および加熱処理の両方を行ってもよい。加湿処理および加熱処理は、同時に行っても、別個に行ってもよい。別個に行う場合、その順番は特に限定されず、加湿処理を先に行っても、加熱処理を先に行ってもよい。加湿処理および加熱処理の両方を行うことにより、形成される表面処理層の耐久性をより向上させることができる。
好ましい態様において、反射防止膜をシラン化合物を含む表面処理剤で処理した後、上記加湿処理および加熱処理を逐次的に行ってもよい。このように加湿処理および加熱処理を逐次的に行うことにより、形成される表面処理層の耐久性をさらに向上させることができる。
別の好ましい態様において、加湿処理および加熱処理を、過熱水蒸気を用いて連続的に行ってもよい。
過熱水蒸気は、飽和水蒸気を沸点より高い温度に加熱して得られるガスであって、常圧下では、100℃を超え、一般的には250℃以下、例えば200℃以下の温度で、かつ、沸点を超える温度への加熱により不飽和水蒸気圧となったガスである。表面処理層を形成した基材を過熱水蒸気に曝すと、まず、過熱水蒸気と、比較的低温の表面処理層との間の温度差により、表面処理層表面にて結露が生じ、これによって表面処理層に水分が供給される。やがて、過熱水蒸気と表面処理層との間の温度差が小さくなるにつれて、表面処理層表面の水分は過熱水蒸気による乾燥雰囲気中で気化し、表面処理層表面の水分量が次第に低下する。表面処理層表面の水分量が低下している間、即ち、表面処理層が乾燥雰囲気下にある間、表面処理層は過熱水蒸気と接触することによって、この過熱水蒸気の温度(常圧下では100℃を超える温度)に加熱されることとなる。従って、過熱水蒸気を用いれば、表面処理層を形成した基材を過熱水蒸気に曝すだけで、水分供給と乾燥加熱とを連続的に実施することができる。
本発明は、基材と、その上に形成された反射防止膜と、さらにその上に上記の方法により形成された表面処理層とを含む物品にも関する。
好ましい態様において、上記物品は光学部材であり得る。
上記光学部材としては、以下のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;陰極線管(CRT;例、TV、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu−ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD−R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバーなど。
以上、本発明の方法を利用して得られる物品について詳述した。なお、本発明は、上記で例示したものに限定されない。
表面処理剤の調製:
下記式で表される化合物(mの平均値=3、nの平均値=20、分子量約4000)を、Novec(商標)HFE7200(3M社製)で濃度0.1質量%となるように希釈し、表面処理剤1を調製した。
Figure 2015200884
実施例1
反射防止膜を有するガラス(視感反射率0.01〜3%)の反射防止膜を有する面(以下、単に「反射防止膜面」という)を、市販のプラズマ発生装置を用いて、ガラス表面の水接触角が10°未満になるまでプラズマ処理を行った。次いで、プラズマ処理した反射防止膜面に、0.01質量%KOH水溶液を、ロール塗布した。塗布量は、KOH水溶液43g/mとした。塗布後、乾いた布で反射防止膜面のKOH水溶液を拭き取った。その後、市販のスプレー装置を用いて、上記で調製した表面処理剤1を、基材の反射防止膜面に塗布した。塗布量は、表面処理剤60g/mとした。
次いで、表面処理剤1が塗布された基材を、40℃、90%RHの雰囲気下に、0.5時間配置して加湿処理を行った。その後、基材を150℃の雰囲気下に0.5時間配置して加熱処理を行った。
上記のようにして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
実施例2
KOH水溶液の濃度を0.1質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
実施例3
KOH水溶液の濃度を0.5質量%とし、プラズマ処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
実施例4
KOH水溶液の濃度を0.5質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
実施例5
0.01質量%のKOH水溶液の代わりに0.5質量%のNaOH水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
比較例1
KOH水溶液での反射防止膜面の処理を行うことなく、反射防止膜面に直接表面処理剤1を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
比較例2
0.01質量%のKOH水溶液の代わりに0.5質量%の酢酸水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
比較例3
表面処理剤1に0.5質量%KOH水溶液を混合して、KOH水溶液での処理と、表面処理剤での処理を同時に行おうとした。しかしながら、表面処理剤1に、KOH水溶液を直接混合すると、結晶が析出して、表面処理層を形成することができなかった。
実施例6
反射防止膜を有するガラス(視感反射率0.01〜3%)の反射防止膜を有する面(以下、単に「反射防止膜面」という)を、市販のプラズマ発生装置を用いて、ガラス表面の水接触角が10°未満になるまでプラズマ処理を行った。次いで、プラズマ処理した反射防止膜面に、0.5質量%NaOH水溶液を、ロール塗布した。塗布量は、NaOH水溶液43g/mとした。塗布後、乾いた布で反射防止膜面のNaOH水溶液を拭き取った。その後、上記で調製した表面処理剤1中に基材を浸漬し、反射防止膜面をディップコーティングした。
次いで、表面処理剤1でティップコーティングした基材を、40℃、90%RHの雰囲気下に、0.5時間配置して加湿処理を行った。その後、基材を150℃の雰囲気下に0.5時間配置して加熱処理を行った。
上記のようにして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
比較例4
NaOH水溶液での反射防止膜面の処理を行うことなく、反射防止膜面に直接表面処理剤1で処理したこと以外は、実施例6と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
比較例5
0.5質量%のNaOH水溶液の代わりに0.5質量%のNaHCO水溶液を用いたこと以外は実施例6と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
比較例6
0.5質量%のNaOH水溶液の代わりに0.5質量%のKCO水溶液を用いたこと以外は実施例6と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
比較例7
0.5質量%のNaOH水溶液の代わりに0.5質量%のパラトルエンスルホン酸水溶液を用いたこと以外は実施例6と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
比較例8
0.5質量%のNaOH水溶液の代わりに0.5質量%のHCl水溶液を用いたこと以外は実施例6と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
比較例9
0.5質量%のNaOH水溶液の代わりに0.5質量%のアンモニア水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材の反射防止膜面に表面処理層を形成した。
試験例
実施例1〜6および比較例1〜2および4〜9にて形成された表面処理層について、水の静的接触角を測定した。水の静的接触角は、接触角測定装置(協和界面科学社製)を用いて、水1μLにて実施した。
まず、初期評価として、表面処理層形成後、その表面に未だ何も触れていない状態で、水の静的接触角を測定した(摩擦回数 ゼロ回)。
その後、摩擦耐久性評価として、スチールウール摩擦耐久性評価を実施した。具体的には、表面処理層を形成した基材を水平配置し、スチールウール(番手♯0000、寸法5mm×10mm×10mm)を表面処理層の露出上面に接触させ、その上に1000gfの荷重を付与し、その後、荷重を加えた状態でスチールウールを140mm/秒の速度で往復させた。接触角の測定値が100度未満となるまで、往復回数100回毎に水の静的接触角(度)を測定した(ただし、比較例4〜8については、最初の測定を500回往復時に行った)。また、接触角の測定値が100度未満となった時の往復回数を表1に示す。ただし、実施例4および5は、2500回往復時で、接触角が100度以上であったが、ここで試験を停止した。
Figure 2015200884
以上の結果から、強アルカリ性化合物により反射防止膜の表面を処理した実施例1〜6は、表面処理層をスプレーコート、ディップコートのいずれで行った場合にも、反射防止膜の表面を処理しなかった比較例1および4、酸性化合物で処理した比較例2、7および8、弱アルカリ性化合物で処理した比較例5、6および9と比較して、摩擦耐久性が向上したことが確認された。特に、濃度を0.5質量%とした実施例3〜6は、より顕著に摩擦耐久性が向上した。また、実施例3および4の結果から、前処理としてプラズマ処理を行うことにより、より優れた摩擦耐久性が得られることが確認された。
本発明は、種々多様な基材、特に光学部材の表面に、表面処理層を形成するために好適に利用され得る。

Claims (17)

  1. 基材上に形成された反射防止膜上に表面処理層を形成する方法であって、
    (1)反射防止膜を強アルカリ性化合物で処理し、その後
    (2)強アルカリ性化合物で処理された反射防止膜上に、加水分解可能な基または水酸基が結合したSi原子を有する化合物を含む表面処理剤を用いて表面処理層を形成する
    ことを含む方法。
  2. 強アルカリ性化合物が、0.1mol%の水溶液において、pH12〜13を示す化合物である、請求項1に記載の方法。
  3. 強アルカリ性化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムから選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 反射防止膜を強アルカリ性化合物で処理する工程が、強アルカリ性化合物の水溶液を、反射防止膜上に塗布することにより行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 強アルカリ性化合物の水溶液の濃度が、0.01〜20質量%である、請求項4に記載の方法。
  6. 加水分解可能な基または水酸基が結合したSi原子を有する化合物が、下記式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)および(3B):
    Figure 2015200884
    [式中:
    PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
    −(OC−(OC−(OC−(OCF
    (式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
    で表される基であり;
    Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
    nは、(−SiR 3−n)単位毎に独立して、0〜3の整数であり;
    ただし、式(1A)、(1B)、(2A)および(2B)において、少なくとも1つのRが存在し;
    は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
    tは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜10の整数であり;
    δは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    δ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
    βは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    β’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
    γは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    γ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、−Z−SiR71 72 73 を表し;
    Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
    71は、各出現においてそれぞれ独立して、Ra’を表し;
    a’は、Rと同意義であり;
    中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
    72は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
    73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
    pは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    qは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    rは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
    ただし、一のRにおいて、p、qおよびrの和は3であり、式(3A)および(3B)において、少なくとも1つのR72が存在し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
    kは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;
    lは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
    mは、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
    ただし、γを付して括弧でくくられた単位において、k、lおよびmの和は3である。]
    で表される1種またはそれ以上の化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 加水分解可能な基または水酸基が結合したSi原子を有する化合物が、式(1a)、(1b)、(2a)、(2b)、(3a)または(3b):
    Figure 2015200884
    [式中:
    Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
    PFPEは、−(OC−(OC−(OC−(OCF−を表し、ここに、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
    は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
    は、各出現において、それぞれ独立して、加水分解可能な基を表し;
    は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
    は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
    は、各出現において、それぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表し;
    は、各出現において、それぞれ独立して、水酸基、加水分解可能な基、または炭化水素基を表し;
    Xは、2〜7価の有機基を表し;
    Qは、各出現において、それぞれ独立して、−Z−SiR 3−tを表し;
    Zは、各出現において、それぞれ独立して、2価の有機基を表し:ただし、Zは、式(3a)または式(3b)における分子主鎖の末端のSi原子とシロキサン結合を形成するものを除く;
    は、各出現において、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基を表し;
    は、各出現において、それぞれ独立して、炭素数1〜22のアルキル基、またはQ’を表し;
    Q’は、Qと同意義であり;
    tは、各QおよびQ’において、それぞれ独立して、0〜3から選択される整数であって、tの総和は1以上であり;
    Q中、Z基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
    eは、0または1であり;
    fは、0以上2以下の整数であり;
    lは、各出現において、それぞれ独立して、1以上10以下の整数であり;
    nは、1以上3以下の整数であり;
    rは、1以上3以下の整数であり;
    αは、それぞれ独立して、1〜6の整数である。]
    で表される1種またはそれ以上の化合物である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 式(2a)、(2b)、(3a)および(3b)において、Xが2価の有機基であり、αが1である、請求項7に記載の表面処理剤。
  9. 反射防止膜を強アルカリ性化合物で処理する工程の前に、反射防止膜を前処理する工程を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前処理が、プラズマ処理、コロナ放電、またはイオンビーム照射である、請求項9に記載の方法。
  11. さらに、表面処理層が形成された基材を加湿処理することを含む請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 加湿処理が、表面処理層が形成された基材を、80〜100%RHの雰囲気に配置することにより行われる、請求項11に記載の方法。
  13. さらに、表面処理層が形成された基材を加熱処理することを含む請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 加熱処理が、表面処理層が形成された基材を、60〜250℃の雰囲気に配置することにより行われる、請求項13に記載の方法。
  15. 基材と、その上に形成された反射防止膜と、さらにその上に請求項1〜14のいずれかに記載の方法により形成された表面処理層とを含む物品。
  16. 前記物品が光学部材である、請求項15に記載の物品。
  17. 前記物品がディスプレイである、請求項15または16に記載の物品。
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