JP2015200435A - 熱回収システム - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の廃熱を回収してエネルギ回生する熱回収システムにおいて、廃熱回収の効率を高める。【解決手段】内燃機関の廃熱を一次媒体に回収するよう構成された廃熱回収手段と、一次媒体に回収された廃熱をエネルギとして回生する回生手段とを備える熱回収システムにおいて、温度制御手段が、一次媒体の温度を排気から一次媒体への熱回収量と回生手段の回生効率とから定まる効率点となるように制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の廃熱を回収する熱回収システムに関する。
内燃機関の廃熱を回収して動力や電力として回生するシステムとして、内燃機関の冷却水で排気の熱を回収し、この冷却水に回収した熱をランキンサイクル用の冷媒に回収して、ランキンサイクルにより動力として回生するものが特許文献1に開示されている。
上記文献では、内燃機関の排気から熱を回収し動力として回生することで、燃費性能の向上を図っている。しかしながら、排気温度は低くても数百℃に達し、かつ運転状態に応じて数百℃にわたる範囲で変動するのに対し、冷却水温度は90℃前後からほぼ変動せず、かつ上限が沸点(約100℃)以下に制限される。このため、上記文献のシステムでは排気から冷却水に回収できる熱量が制限されてしまう。すなわち、上記文献のシステムには、内燃機関の廃熱回収について改善の余地がある。
そこで本発明では、内燃機関からの廃熱回収の効率を高め、燃費性能をより向上させ得る廃熱回収装置を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、内燃機関の廃熱を一次媒体に回収するよう構成された廃熱回収手段と、一次媒体に回収された廃熱をエネルギとして回生する回生手段とを備える熱回収システムが提供される。熱回収システムは、さらに、一次媒体の温度を排気から一次媒体への熱回収量と回生手段の回生効率とから定まる効率点となるように制御する温度制御手段を備える。
上記態様によれば、温度制御手段は一次媒体の温度を効率点になるように制御する。これにより、廃熱の温度が変化したら、一次媒体の温度も効率点となるよう変化するので、廃熱回収の効率が向上し、その結果、燃費性能が向上する。
(第1実施形態)
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態を適用するシステムの概略構成図である。本システムは、内燃機関1の出力を補助するためのランキンサイクル10を備える。ここでいうランキンサイクル10とは、冷媒が循環する通路、及びその通路の途中に設けたポンプ、熱交換器、膨張機、凝縮器等、さらには内燃機関1の廃熱を回収する回路を含むシステム全体を指すものとする。
内燃機関1は排気通路2を備える。排気通路2は、排気マニホールド3と、排気マニホールド3の集合部に接続される排気管4とを含んで構成される。排気管4には排気浄化用の触媒7、及び後述する廃熱回収回路20に含まれる廃熱回収器22が介装されている。また、排気通路2は、廃熱回収器22よりも上流側で排気管4から分岐し、廃熱回収器22を迂回して廃熱回収器22よりも下流側で排気管4に合流するバイパス排気管5を含む。バイパス排気管5の分岐点には、排気管4の排気通過量、つまり廃熱回収器22の排気通過量と、バイパス排気管5の排気通過量とを調整するコントロールバルブ6が設けられている。
廃熱回収回路20は、冷媒を用いて内燃機関1の廃熱を回収するための回路である。以下、廃熱回収回路20を循環する冷媒を一次冷媒と称する。一次冷媒としては、例えば内燃機関1の潤滑油、溶融塩(NaNO2、LiNO3、NaNO2、KNO3等)、液体金属(ナトリウム、鉛等)のように、沸点が内燃機関1の冷却水の沸点(例えば135℃)以上の液体を用いる。
廃熱回収器22の一次冷媒通路は、排気管4に隣接しており、一次冷媒は排気管4を流れる排気との熱交換によって温度上昇する。廃熱回収器22を出た一次冷媒は、下流側一次冷媒通路25を通って熱交換器16に流入する。
熱交換器16は、一次冷媒通路とランキンサイクル10の冷媒(以下、二次冷媒と称する。)の通路とが隣接している。このため、熱交換器16では、一次冷媒と二次冷媒との間で熱交換がなされ、一次冷媒は温度低下し、二次冷媒は温度上昇して気化する。熱交換器16を通過して温度低下した一次冷媒は、一次冷媒ポンプ21によって上流側一次冷媒通路23から再び廃熱回収器22へ送られる。なお、熱交換器16内では、一次冷媒と二次冷媒とが逆向きに流れる。
また、廃熱回収回路20は、廃熱回収器22を迂回して上流側一次冷媒通路23と下流側一次冷媒通路25とを連通するバイパス一次冷媒通路24を備える。バイパス一次冷媒通路24には、廃熱回収器22を通過する一次冷媒の量を調整するための一次冷媒圧力調整弁33が介装されている。
ランキンサイクル10は、一次冷媒を介して内燃機関1の廃熱を二次冷媒に回収し、回収した廃熱を動力として回生する回生手段である。ランキンサイクル10は、二次冷媒ポンプ12、熱交換器16、膨張機11及び凝縮器17を備え、各要素は二次冷媒が循環する冷媒通路61−64により接続されている。
二次冷媒ポンプ12の軸は同一軸上で膨張機11の出力軸と連結配置され、膨張機11の発生する出力(動力)によって二次冷媒ポンプ12を駆動すると共に、発生動力を内燃機関1の出力軸(クランク軸)に供給する構成となっている。すなわち、二次冷媒ポンプ12の軸及び膨張機11の出力軸は、内燃機関1の出力軸と平行に配置され、二次冷媒ポンプ12の先端に設けたポンププーリ14と、クランクプーリ1Aとの間にベルト15を掛け回している。なお、二次冷媒ポンプ12としてはギヤ式のポンプを、膨張機11としてはスクロール式の膨張機を採用する。
また、ポンププーリ14と二次冷媒ポンプ12との間に電磁式のクラッチ(以下、このクラッチを膨張機クラッチと称する。)13を設けて、二次冷媒ポンプ12を内燃機関1と断接可能にしている。このため、膨張機11の発生する出力が二次冷媒ポンプ12の駆動力と膨張機11及び二次冷媒ポンプ12等の回転体が有するフリクションとの合計を上回る場合に膨張機クラッチ13を接続することで、膨張機11の発生する出力によって内燃機関1の出力軸の回転を補助することができる。このように廃熱回収によって得たエネルギを用いてエンジン出力軸の回転を補助することで、燃費性能を向上できる。また、二次冷媒を循環させる二次冷媒ポンプ12を駆動するエネルギも、回収した廃熱で賄うことができる。
二次冷媒は、二次冷媒ポンプ12によって低温側二次冷媒通路61から熱交換器16へ流入し、上述したように熱交換器16にて一次冷媒と熱交換することで気化する。熱交換器16を出た二次冷媒は、高温側上流二次冷媒通路62を通って膨張機11へ供給される。膨張機11は気化した二次冷媒を膨張させることにより熱を回転エネルギに変換する蒸気タービンである。膨張機11で回生された動力は二次冷媒ポンプ12を駆動し、また、ベルト伝導機構を介して内燃機関1に伝達されて内燃機関1の回転を補助する。
膨張機11を出た二次冷媒は高温側下流二次冷媒通路64を介して凝縮器17に供給される。凝縮器17は、外気と二次冷媒との間で熱交換を行なわせ、二次冷媒を冷却し液化する熱交換器である。なお、凝縮器17を内燃機関1のラジエータと並列に配置すれば、図示しないラジエータファンによって凝縮器17も冷却することができる。
凝縮器17により液化された二次冷媒は、低温側二次冷媒通路61を介して二次冷媒ポンプ12に戻され、再び熱交換器16へ送られる。
ランキンサイクル10は、膨張機11を迂回して高温側上流二次冷媒通路62と高温側下流二次冷媒通路64とを連通するバイパス二次冷媒通路63を備える。バイパス二次冷媒通路63には、バイパス二次冷媒通路63の流路を開閉する開閉弁31と、バイパス二次冷媒通路63を流れる二次冷媒の圧力を調整する圧力調整弁32が介装されている。また、高温側下流二次冷媒通路64のバイパス二次冷媒通路63との分岐点と膨張機11との間にも開閉弁30が介装されている。
上述したシステムでは、廃熱回収器22を出た一次冷媒の温度を検出する温度センサ43と、熱交換器16を出た二次冷媒の温度、圧力を検出する温度センサ42、圧力センサ41と、凝縮器17を出た二次冷媒の圧力を検出する圧力センサ40と、を備える。
圧力センサ40、41及び温度センサ42、43の検出値は、コントローラ50に読み込まれる。コントローラ50は、読み込んだ圧力や温度に基づいて、開閉弁30、31や圧力調整弁32、33を制御する他に、膨張機クラッチ13やコントロールバルブ6の制御も行う。なお、コントローラ50は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ50を複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
また、図1ではランキンサイクル10が独立した回路となっているが、特開2013−076514号公報に記載されているように、凝縮器17を図示しないエアコンサイクルと共用し、二次冷媒としてエアコンサイクルで循環させる冷媒を用いる統合サイクルとしてもよい。
なお、上記構成では、回収した廃熱をランキンサイクル10によって内燃機関1の動力に変換しているが、電力に変換してもよい。例えば、二次冷媒ポンプ12のポンププーリ14を図示しない発電機のプーリとベルトを介して連結すれば、電力に変換することができる。このように電力に変換すると、発電機を駆動するために消費される内燃機関1の駆動力を低減できるので、結果的に燃費性能が向上する。
次に、一次冷媒の温度制御について説明する。
図1のシステムにおいて、ランキンサイクル10を運転して内燃機関1の動力補助を行なう場合は、排気から一次冷媒を介して二次冷媒に回収された熱回収量と、ランキンサイクル10の回生効率とによって、燃費性能が定まる。
以下の説明において、廃熱回収器22の入口側の一次冷媒温度を回収温度という。回収温度は温度センサ43により検出される。
図2は、排気ガスから一次冷媒への熱回収量と回収温度との関係の一例を示す図、図3は膨張機11の回生効率と回収温度との関係の一例を示す図、図4は回生量と回収温度との関係の一例を示す図である。なお、図2の縦軸の熱回収量は排気から一次媒体に回収可能な熱量を意味する。また、図2の縦軸を一次冷媒と二次冷媒との温度差(回収可能温度差)と置き換えてもよい。
また、図3の縦軸の回生効率を、二次冷媒が回収した熱量からランキンサイクル10が回生し得るエネルギ(有効エネルギ)と置き換えてもよい。
図2に示すように、回収温度が同じ場合には排気温度が高くなるほど熱回収量が多くなるが、いずれの排気温度でも回収温度が高くなるほど熱回収量は少なくなる。これは、回収温度が高くなると排気ガスと一次冷媒との温度差が小さくなり、排気ガスから一次冷媒へ伝達され得る熱量が少なくなるからである。
一方、図3に示すように、膨張機11の回生効率は回収温度が高くなるほど高くなる傾向がある。これは、膨張機11の回生効率は供給される二次冷媒の温度が高くなるほど高くなるという特性があり、回収温度が高いほど熱交換器16で一次冷媒と熱交換する二次冷媒の温度も高いからである。
上記のように、熱回収量と回生効率は、回収温度に対して相反する特性を有する。このため、熱回収量と回生効率とを乗算して得られる回生量の回収温度に対する特性は、図4に示すように所定の回収温度で最大値となる上側に凸な曲線となる。以下の説明では、図4において回生量が最大値となる点を効率点という。なお、図4の縦軸は、システム稼働による燃費向上代に置き換えてもよい。回生量が多いほど内燃機関1の回転を補助するエネルギが大きくなり、燃費性能が向上するからである。
したがって、燃費性能の向上を図るために、コントローラ50は回生量が効率点となるように回収温度を制御する。回収温度の制御は、温度センサ43の検出値をモニタしながら、効率点となる回収温度となるように、廃熱回収器22に流入する一次冷媒の量または排気管4を通過する排気の量を制御する。廃熱回収器22に流入する一次冷媒の量は、一次冷媒ポンプ21の回転数及び一次冷媒圧力調整弁33の開度を変化させることで制御する。排気管4を通過する排気の量はコントロールバルブ6の開度を変化させることで制御する。
ところで、回生量が効率点となる回収温度は、二次冷媒として使用する媒体、つまりランキンサイクル10の冷媒として用いる媒体によって異なる。
例えば、車両が一定速度(例えば100km/h)で走行中であり、排気温度が500℃という条件下において、二次冷媒がR245faの場合には、回収温度と熱回収量との関係は図5に示すようになる。すなわち、回収温度が100℃であれば回収可能温度差は400℃となり、一次冷媒温度が高くなるほど回収可能温度差は小さくなる。また、回生効率は、図6に示すように回収温度が約150℃までは温度が高いほど高く、それ以上ではほぼ一定となる。その結果、回生量は図7に示すように約140℃で効率点となる。
これに対して、上記と同条件において二次冷媒が水の場合には、回収温度と回収可能温度差との関係は図8のようになる。これは図5と同様である。しかし、図9に示すように回収温度が高いほど回生効率が高い。このため、回生量は図10に示すように約250℃で効率点となる。
上記のように、二次冷媒がR245faの場合と水の場合では、効率点となる一次冷媒の温度に100℃以上の差が生じる。ただし、図7、図10に示すように、いずれも回生量は約0.6Wで、ほぼ同等である。
以上説明した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
本実施形態の構成は、内燃機関1の廃熱を一次媒体に回収するよう構成された廃熱回収器22と、一次媒体に回収された廃熱をエネルギとして回生するランキンサイクル10とを備える。そして、一次媒体の温度を、排気から一次媒体への熱回収量とランキンサイクルの回生効率とから定まる効率点となるように制御する。これにより、排気温度に応じて効率よく廃熱回収を行ことができる。
本実施形態によれば、内燃機関1の廃熱を動力又は電力に変換するので、燃費性能の向上を図ることができる。
本実施形態によれば、一次媒体として、潤滑油、溶融塩、又は液体金属のように沸点が内燃機関1の冷却水の沸点よりも高いものを使用するので、より大きなエネルギを廃熱から回収することができる。
本実施形態によれば、コントローラ50は廃熱回収器22での熱交換に供される一次媒体の量または廃熱の量の少なくとも一方を調整することで一次媒体の温度を制御する。これにより、一次媒体の温度のみならず二次媒体の温度も変更することが可能となる。
本実施形態によれば、廃熱回収器22は、内燃機関1の排気管4で一次媒体と排気とを熱交換させるので、既存の構成を利用して、効率良く、かつ低コストで廃熱を回収することができる。
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態を適用するシステムの概略構成図である。本実施形態は、排気から回収した廃熱を動力として回生するのではなく、内燃機関1を加熱する為に利用する点で第1実施形態と異なる。すなわち、ランキンサイクル10に代えて後述する熱サイクル70を備える。以下、図1に示した第1実施形態のシステムと異なる点を中心に説明する。
図11は、第2実施形態を適用するシステムの概略構成図である。本実施形態は、排気から回収した廃熱を動力として回生するのではなく、内燃機関1を加熱する為に利用する点で第1実施形態と異なる。すなわち、ランキンサイクル10に代えて後述する熱サイクル70を備える。以下、図1に示した第1実施形態のシステムと異なる点を中心に説明する。
廃熱回収器22及び熱交換器16を含む廃熱回収回路20の構成は図1と同様であるが、本システムでは熱交換器16に蓄熱材71が設けられている。具体的には、熱交換器16の内部の一次冷媒通路と隣接するように蓄熱材71が配置されており、二次冷媒通路は蓄熱材71の内部を通過するよう設けられている。なお、蓄熱材71としては、例えばPCM(Phase Change Material)を用いることができる。
まず、廃熱が蓄熱材71に蓄熱される蓄熱サイクルについて説明する。
一次冷媒ポンプ21を稼働させると、一次冷媒は廃熱回収器22へ流入し排気と熱交換する。熱交換によって温度上昇した一次冷媒は熱交換器16へ流入し、蓄熱材71と熱交換する。これにより内燃機関1の廃熱が蓄熱材71に蓄熱される。このとき、開閉弁77は閉じた状態で、二次冷媒用ポンプ76は停止している。
次に、蓄熱材71に蓄えた熱を放熱する熱回生サイクルについて説明する。開閉弁77を開き、二次冷媒用ポンプ76を稼働すると、二次冷媒は熱交換器16で蓄熱材71との熱交換により温度上昇し、二次冷媒供給通路73を通って内燃機関1に供給される。そして、内燃機関1に設けた二次冷媒用通路を通過することで二次冷媒と内燃機関1とが熱交換し、内燃機関1は温度上昇して二次冷媒は温度低下する。温度低下した二次冷媒は二次冷媒回収通路74を通って熱交換器16へ戻り、蓄熱材71と熱交換することで、再び温度上昇する。
例えば、エンジン停止前に蓄熱サイクルを実行して蓄熱材71に蓄熱しておき、次回のエンジン始動が冷機始動であれば熱回生サイクルを実行する。これにより内燃機関1の昇温を促進することができる。
ところで、本実施形態のシステムにおいても、第1実施形態のシステムと同様に、効率点となる回収温度が存在する。本実施形態のシステムの熱回収量、有効エネルギ、及びシステム稼働による燃費向上代と回収温度との関係を図12−図14に示す。なお、本実施形態のシステムを稼働することで燃費性能が向上するのは、冷機始動時における暖機が促進されることで、冷間時の燃料噴射量増量補正が行われる期間を短くなることによる。
図12は、熱回収量と回収温度との関係を示しており、図2と同様に回収温度が高いほど熱回収量が少なくなっている。
図13は、蓄熱材71が発生する有効エネルギと回収温度との関係を示しており、図3と同様に回収温度が高いほど有効エネルギが大きくなっている。これは、回収温度が高いほど蓄熱材71の蓄熱量が多くなり、蓄熱材71の蓄熱密度と出力密度とがほぼ等しいという前提に基づけば、回収温度が高いほど蓄熱材71が熱として回生し得る有効エネルギが大きくなるからである。
図14は、本実施形態のシステムを稼働させた場合の燃費向上代と回収温度との関係を示している。熱回収量と有効エネルギとが回収温度に対して相反する特性を有するので、システム稼働による燃費向上代には図4と同様に効率点となる回収温度が存在する。
そこで、熱回生サイクルを実行する際には、コントローラ50は回収温度が効率点となるように制御する。
一方、蓄熱サイクルを実行する際には、コントローラ50は、図15に示すテーブルにしたがって、蓄熱材71の温度に応じて一次冷媒の温度を制御する。図15は、縦軸が蓄熱材71の温度、横軸が一次冷媒の温度であり、下式で表される特性が設定されている。ただし、一次冷媒の温度の上限は、劣化しない程度の温度に制限される。
(蓄熱材の温度)=(一次冷媒の温度)−α
α:熱交換効率を確保できる温度差
α:熱交換効率を確保できる温度差
本実施形態では、上記のように熱回生サイクル実行時と蓄熱サイクル実行時とで一次冷媒温度の制御を切り換え、各サイクルに適した温度に制御する。これにより、回生効率及び蓄熱効率を高めることができる。
なお、上記説明では蓄熱材71に蓄えた熱を内燃機関1に供給したが、これに限られるわけではない。例えば、図16に示すように触媒7を早期に活性化させるための触媒ヒータ80を備える構成において、冷機始動時に触媒ヒータ80に熱を供給するようにしてもよい。
また、上述した各実施形態では廃熱回収器22が排気管4に介装されているが、これに限られるわけではない。例えば、図17に示すように廃熱回収器22がいわゆるEGRクーラを兼ねる構成であってもよい。すなわち、排気管4から分岐して排気の一部を吸気系へ還流させるEGR通路90と、EGR通路90を開閉するEGRバルブ91とを備える構成において、上述した廃熱回収器22をEGR通路90に介装する。この構成によれば、EGR通路90を流れるEGRガスは廃熱回収器22にて一次冷媒と熱交換することで温度低下するので、廃熱回収器22がEGRガスを冷却するEGRクーラとして機能することとなる。また、一次冷媒はEGRガスと熱交換して温度上昇するので、上記各実施形態と同様に、廃熱回収器22は内燃機関1の廃熱を回収する機能も有する。
その他にも、廃熱回収器22が内燃機関1のシリンダヘッドから熱を回収する構成であってもよい。例えば、一次冷媒通路が外部から受熱し易い位置を通るよう構成された廃熱回収器22をシリンダヘッドに取り付けて、シリンダヘッドと一次冷媒との間で熱交換させるようにしてもよい。
以上により本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、次の効果が得られる。
本実施形態によれば、一次媒体が回収した熱を蓄え、蓄えた熱を内燃機関1または内燃機関により加熱されるヒータに放出する熱として回生するので、冷機始動時等における昇温要求を満たすことができる。
本実施形態によれば、コントローラ50は一次媒体が回収した熱を蓄える際と、蓄えた熱を回生する際とで、一次媒体の温度を切り換えるので、熱回生サイクル及び蓄熱サイクルのそれぞれに適した温度とすることができる。
また、廃熱回収器22は内燃機関1の排気の一部を吸気通路へ還流させるEGR通路90の途中に配置して一次媒体と排気とを熱交換させてもよいし、シリンダヘッドに取り付けて、シリンダヘッドと一次冷媒との間で熱交換させるようにしてもよい。いずれの場合も、既存の構成を利用しつつ廃熱を回収できるので、コスト増大を抑制できる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
1 内燃機関
2 排気通路
3 排気マニホールド
4 排気管
5 バイパス排気管
6 コントロールバルブ
7 触媒
10 ランキンサイクル
11 膨張機
12 二次冷媒ポンプ
13 膨張機クラッチ
16 熱交換器
17 凝縮器
20 廃熱回収回路
22 廃熱回収器
50 コントローラ
2 排気通路
3 排気マニホールド
4 排気管
5 バイパス排気管
6 コントロールバルブ
7 触媒
10 ランキンサイクル
11 膨張機
12 二次冷媒ポンプ
13 膨張機クラッチ
16 熱交換器
17 凝縮器
20 廃熱回収回路
22 廃熱回収器
50 コントローラ
Claims (10)
- 内燃機関の廃熱を一次媒体に回収するよう構成された廃熱回収手段と、
前記一次媒体に回収された廃熱をエネルギとして回生する回生手段と、
を備える熱回収システムにおいて、
前記一次媒体の温度を、排気から前記一次媒体への熱回収量と前記回生手段の回生効率とから定まる効率点となるように制御する温度制御手段を備えることを特徴とする熱回収システム。 - 請求項1に記載の熱回収システムにおいて、
前記回生手段は、熱を動力又は電力に変換する機能を有することを特徴とする熱回収システム。 - 請求項1に記載の熱回収システムにおいて、
前記回生手段は、前記一次媒体が回収した熱を蓄え、蓄えた熱を前記内燃機関または前記内燃機関により加熱されるヒータに放出する熱として回生することを特徴とする熱回収システム。 - 請求項3に記載の熱回収システムにおいて、
前記温度制御手段は、前記一次媒体が回収した熱を蓄える際と、蓄えた熱を回生する際とで、前記一次媒体の温度を切り換えることを特徴とする熱回収システム。 - 請求項1から4のいずれかに記載の熱回収システムにおいて、
前記一次媒体の沸点が前記内燃機関の冷却水の沸点よりも高いことを特徴とする熱回収システム。 - 請求項5に記載の熱回収システムにおいて、
前記一次媒体は、潤滑油、溶融塩、又は液体金属であることを特徴とする熱回収システム。 - 請求項1から6のいずれかに記載の熱回収システムにおいて、
前記温度制御手段は、前記廃熱回収手段での熱交換に供される前記一次媒体の量または前記廃熱の量の少なくとも一方を制御することで前記一次媒体の温度を制御することを特徴とする熱回収システム。 - 請求項1から7のいずれかに記載の熱回収システムにおいて、
前記廃熱回収手段は、前記内燃機関の排気の一部を吸気通路へ還流させるEGR通路の途中で前記一次媒体と排気とを熱交換させることを特徴とする熱回収システム。 - 請求項1から7のいずれかに記載の熱回収システムにおいて、
前記廃熱回収手段は、前記内燃機関の排気通路で前記一次媒体と排気とを熱交換させることを特徴とする熱回収システム。 - 請求項1から7のいずれかに記載の熱回収システムにおいて、
前記廃熱回収手段は、前記内燃機関のシリンダヘッドと前記一次媒体とを熱交換させることを特徴とする熱回収システム。
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JP (1) | JP2015200435A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10731609B2 (en) | 2017-11-16 | 2020-08-04 | Ford Global Technologies, Llc | Methods and systems for energy recovery via an EGR cooler |
CN112443421A (zh) * | 2019-09-04 | 2021-03-05 | 广州汽车集团股份有限公司 | 一种发动机废气能量再利用装置及其工作方法 |
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2014
- 2014-04-04 JP JP2014078167A patent/JP2015200435A/ja active Pending
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