JP2015199372A - マリンギヤ装置及びこれを備えた船舶 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的小型の船舶にもサイドスラスタを採用できるように、動力伝達系統を簡単且つコンパクトにするマリンギヤ装置を提供する。【解決手段】船体に搭載した主機関7の動力を変速する油圧無段変速機30を有するマリンギヤ装置において、油圧無段変速機30は、主機関7で駆動する油圧ポンプ41と、船体に前後方向の推力を発生させるスクリュー5を駆動させる第1油圧モータ42と、船体に左右舷方向の推力を発生させるサイドスラスタを駆動させる第2油圧モータ43とを油圧閉回路44,74で直列に接続した構造になっている。【選択図】図4
Description
本願発明は、船体に搭載した主機関の動力を変速する油圧無段変速機を有するマリンギヤ装置、及びこれを備えた船舶に関するものである。
従来、離着岸の回数の多いフェリー等の大型船舶だけでなく小型船舶にも、船体に左右舷方向(横方向)の推力を発生させる(横移動させる)サイドスラスタを設けることが多い。この種のサイドスラスタは推力発生用のプロペラを備えていて、船体下部を左右舷方向に貫通するトンネル内に配置される。プロペラを正逆回転させることによって左右舷方向の推力が発生する(例えば特許文献1及び2等参照)。サイドスラスタの駆動源として、比較的小型の船舶では電動モータを使用し、比較的大型の船舶では油圧モータを使用することが多い。
しかし、サイドスラスタの駆動源として電動モータを用いた場合はコストが嵩み、駆動のためのエネルギー消費量も多い。また、サイドスラスタの駆動源として油圧モータを用いた場合は、これまでサイドスラスタ専用の油圧構造を採用していたため設備が大型化し易く、比較的小型の船舶にそのまま適用するには不向きであった。
本願発明は、上記のような現状を検討して改善を施したマリンギヤ装置及びこれを備えた船舶を提供することを技術的課題としている。
請求項1の発明は、船体に搭載した主機関の動力を変速する油圧無段変速機を有するマリンギヤ装置において、前記油圧無段変速機は、前記主機関で駆動する油圧ポンプと、前記船体に前後方向の推力を発生させるスクリューを駆動させる第1油圧モータと、前記船体に左右舷方向の推力を発生させるサイドスラスタを駆動させる第2油圧モータとを油圧閉回路で直列に接続した構造になっているというものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のマリンギヤ装置において、前記油圧ポンプと前記第1油圧モータとの間で作動油を循環させるスクリュー単独駆動状態、前記油圧ポンプと前記第2油圧モータとの間で作動油を循環させるスラスタ単独駆動状態、並びに、前記油圧ポンプ、前記第1油圧モータ及び前記第2油圧モータの三者の間で作動油を循環させる両方駆動状態に切換可能な油圧切換弁を備えているというものである。
請求項3の発明は船舶に係り、請求項1又は2に記載のマリンギヤ装置を前記船体に搭載しているというものである。
本願発明によると、船体に搭載した主機関の動力を変速する油圧無段変速機を有するマリンギヤ装置において、前記油圧無段変速機は、前記主機関で駆動する油圧ポンプと、前記船体に前後方向の推力を発生させるスクリューを駆動させる第1油圧モータと、前記船体に左右舷方向の推力を発生させるサイドスラスタを駆動させる第2油圧モータとを油圧閉回路で直列に接続した構造になっているから、前記スクリューを駆動させる前記油圧無段変速機の油圧系統を前記サイドスラスタ駆動のために流用でき、前記サイドスラスタ専用の油圧構造が不要で低コストに構成できる。比較的小型の船舶にも安価で前記サイドスラスタを採用できる。
請求項2の発明によると、前記油圧ポンプと前記第1油圧モータとの間で作動油を循環させるスクリュー単独駆動状態、前記油圧ポンプと前記第2油圧モータとの間で作動油を循環させるスラスタ単独駆動状態、並びに、前記油圧ポンプ、前記第1油圧モータ及び前記第2油圧モータの三者の間で作動油を循環させる両方駆動状態に切換可能な油圧切換弁を備えているから、クラッチのスリップ係合(半クラッチ係合)をしなくても、前記スクリュー単独駆動状態にすれば微速走行が可能であり、前記主機関低速駆動時のエンジンストールを防止できると共に前記クラッチの長寿命化を図れる。前記主機関の低速トルクを補完できると共に操船性能が向上する。また、各航走状態に応じた最適な動力伝達を実現できる。
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図6)に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態の船舶である漁船1は、船体2と、船体の上面中央側に配置したキャビン3と、船体2の船底後尾側に設けた舵4と、船体2の船底後尾側のうち舵4の前方に配置したスクリュー5とを備えている。キャビン3内は操縦部になっている。詳細な図示は省略するが、キャビン3内には、例えば操舵によって船体2の進行方向を左右に変更させる操舵ハンドルや、船体2の進行方向を前後左右に切り換える操舵レバー等を設けている。スクリュー5は船体2に前後方向の推力を発生させるものである。
詳細な図示は省略するが、実施形態の舵4及びスクリュー5は、船体2の左右舷方向を分割する船体中心線上に位置している。船体2の船底後尾側には、各スクリュー5を回転させるスクリュー軸6を軸支している。各スクリュー軸6の突出端側に、それぞれ対応するスクリュー5を取り付けている。船体2内には、各スクリュー5の駆動源である主機関としてのエンジン7と、エンジン7の回転動力をスクリュー軸6経由でスクリュー5に伝達するマリンギヤ装置8(減速逆転装置)とを、船体中心線上に一組配置している。各エンジン7からマリンギヤ装置8を介してスクリュー軸6に伝達した回転動力によって、一対のスクリュー5はそれぞれ回転する。
図1,図5及び図6に示すように、船体2の船首下部側に、船体2を左右舷方向に貫通するトンネル9を形成している。トンネル9内には、船体2に左右舷方向の推力を発生させるサイドスラスタ10を配置している。トンネル9は船体2の左右両舷側で開口している。トンネル9の左右両開口穴11は、サイドスラスタ10が常時水中に没するように、船体2に何も積載しない状態での喫水線である軽荷喫水線LDよりも下方に位置している(図5参照)。
図2及び図3に示すように、マリンギヤ装置8は、エンジン7のフライホイール21側に外付けしたギヤケース22を備えている。ギヤケース22には、フライホイール21に向けて突出した入力軸24と、スクリュー軸6にカップリング25を介して連結した出力軸26とを内蔵している。入力軸24の突端側はダンパー継手23を介してフライホイール21に連結している。エンジン7の回転動力は、フライホイール21及びダンパー継手23を介して入力軸24に入力される。
ギヤケース22には、入力軸24に相対回転可能に軸支した減速小ギヤ28と、出力軸26に一体回転するように軸支した減速大ギヤ29とからなる固定減速比の減速ギヤ機構27を内蔵している。減速小ギヤ28は減速大ギヤ29に常時噛み合っている。ギヤケース22の外面側には、油圧無段変速機30(HST:Hydro Static Transmission)を切換可能に組み付けている。入力軸24には、出力軸26に向かう正転(前進)方向の動力伝達を継断する直結クラッチ31(前進クラッチといってもよい)を設けている。
直結クラッチ31は湿式多板型の油圧摩擦クラッチであり、入力軸24に固着したアウターケース31aと、入力軸24に回転可能に被嵌したインナーハブ31bとを備えている。インナーハブ31bの一端側をアウターケース31aの内周側に差し入れている。インナーハブ31bの他端側に減速小ギヤ28を一体形成している。アウターケース31a内周面とインナーハブ31b一端側の外周面とに摩擦板31cを交互に設けている。ジョイスティック等の操舵具を前方に倒し操作して、作動油圧でアウターケース31a側及びインナーハブ31b側の摩擦板31cを互いに圧接させた場合(直結クラッチ31を接続した場合)は、入力軸24から減速小ギヤ28を介して減速大ギヤ29に動力伝達され、入力軸24の回転動力を正転(前進)方向の出力として出力軸26に伝達する前進状態となる(直結状態)。この場合、出力軸26の回転動力は、減速小ギヤ28と減速大ギヤ29との間で固定減速比に減速される。
なお、作動油圧で直結クラッチ31の摩擦板31cの圧接程度を加減させてスリップ係合(半クラッチ係合)させれば、入力軸24の回転動力の一部が出力軸26に伝達されるから、出力軸26ひいてはスクリュー5が低回転する微速走行の状態にもできる。
図4に示すように、ギヤケース10の外面側に組み付けた油圧無段変速機30は、エンジン7の回転動力によって駆動する可変容量形の油圧ポンプ41と、油圧ポンプ41から吐出する高圧の作動油によって作動する定容量形の第1油圧モータ42及び第2油圧モータ43とを備えている。油圧ポンプ41、第1油圧モータ42及び第2油圧モータ43は、スラスタ用油圧回路44及びスクリュー用油圧回路74からなる油圧閉回路80を介して互いに直列に接続されている。油圧ポンプ41及び第2油圧モータ43はスラスタ用油圧回路44側に配置している。第1油圧モータ42はスクリュー用油圧回路74側に配置している。なお、第1油圧モータ42を可変容量形にしてもよい。
スラスタ用油圧回路44とスクリュー用油圧回路74とは、5ポート3位置切換型の油圧切換弁77を介して接続している。油圧切換電磁弁77は、制御手段としてのコントローラ(図示省略)に電気的に接続した一対の電磁ソレノイド78を有している。油圧切換弁77は、コントローラの指令に基づく各電磁ソレノイド78の励磁によって、油圧ポンプ41と第1油圧モータ42との間で作動油を循環させるスクリュー単独駆動位置77a、油圧ポンプ41と第2油圧モータ43との間で作動油を循環させるスラスタ単独駆動位置77b、並びに、油圧ポンプ41、第1油圧モータ42及び第2油圧モータ43の三者の間で作動油を循環させる両方駆動位置77cに切換駆動するように構成している。
第1油圧モータ42の駆動力はスクリュー5に伝達され、第2油圧モータ43の駆動力はサイドスラスタ10のプロペラ84(詳細は後述する)に伝達される。ジョイスティック等の操舵具を操作して油圧ポンプ41の斜板角を変更調節することによって、第1油圧モータ42や第2油圧モータ43の回転数又は回転方向がそれぞれ変更され、スクリュー5やプロペラ84の回転数又は回転方向が変更される。その結果、船体2の前後移動速度や横移動速度が変更される。この場合、ジョイスティック等の操舵具は、前後左右、左右斜め前及び左右斜め後ろの8方向に操作可能に構成している。
スラスタ用油圧回路44は一対のチェック弁45を介してチャージ用第1分岐油路46に接続している。チャージ用第1分岐油路46からスラスタ用油圧回路44内に作動油が補充される。スクリュー用油圧回路74もスラスタ用油圧回路44と同様に、一対のチェック弁75を介してチャージ用第2分岐油路76に接続している。チャージ用第2分岐油路76からスクリュー用油圧回路74内に作動油が補充される。
油圧ポンプ41から突出したポンプ軸47は、継手48を介して入力軸24に連結している。第1油圧モータ42から突出した第1モータ軸48には、継手49を介して出力中継軸50を連結している。出力中継軸50には、出力軸26上の減速大ギヤ29に常時噛み合う第2減速小ギヤ51を固着している。
ジョイスティック等の操舵具を前方又は後方に倒し操作すると、直結クラッチ31が遮断されると共に、油圧切換弁77がスクリュー単独駆動位置77aに切換駆動して、油圧ポンプ41の斜板角が前進側又は後進側に変更調節される。そして、正転(前進)又は逆転(後進)方向の補助出力が第1油圧モータ42から第2減速小ギヤ51経由で減速大ギヤ29に付加され、第1油圧モータ42からの出力だけが出力軸26に伝達される(スクリュー単独駆動状態)。第2油圧モータ43は駆動しない。その結果、スクリュー5が正転又は逆転方向に低速で回転し、船体2が微速走行する。このため、実施形態のマリンギヤ装置8では、直結クラッチ31の摩擦板31cをスリップ係合(半クラッチ係合)させなくても微速走行が可能であり、エンジン7低速駆動時のエンジンストールを防止できると共に直結クラッチ31の長寿命化を図れる。また、実施形態のマリンギヤ装置8では、後進のためのクラッチを設ける必要がなく、部品点数削減に寄与する。なお、第1油圧モータ42からの補助出力は、いずれの場合も油圧ポンプ41の斜板角に応じて無段変速される。
ジョイスティック等の操舵具を前方に倒し操作した状態で船体2の前進走行速度が所定速度を超えれば、直結クラッチ31が接続されると共に油圧ポンプ41の斜板角が中立側に変更調節される。そうすると、エンジン7の出力が入力軸24から減速小ギヤ28を介して減速大ギヤ29に動力伝達され、入力軸24の回転動力を正転(前進)方向の出力として出力軸26に伝達する前進状態となる(直結状態)。その結果、スクリュー5が正転方向に高速で回転し、船体2が前進高速走行する。
ジョイスティック等の操舵具を左右方向に倒し操作すると、直結クラッチ31が遮断されると共に、油圧切換弁77がスラスタ単独駆動位置77bに切換駆動して、油圧ポンプ41の斜板角が前進側又は後進側に変更調節される。そうすると、第1油圧モータ42は駆動せずに第2油圧モータ43だけが駆動し(スラスタ単独駆動状態)、サイドスラスタ10の推進軸83ひいてはプロペラ84が正転又は逆転方向に低速で回転する。その結果、船体2が微速で横移動する。
ジョイスティック等の操舵具を左右斜め前又は左右斜め後ろに倒し操作すると、直結クラッチ31が遮断されると共に、油圧切換弁77が両方駆動位置77cに切換駆動して、油圧ポンプ41の斜板角が前進側又は後進側に変更調節される。そうすると、第1油圧モータ42及び第2油圧モータ43の両方が駆動し(両方駆動状態)、スクリュー5が正転又は逆転方向に低速で回転すると共に、サイドスラスタ10の推進軸83ひいてはプロペラ84が正転又は逆転方向に低速で回転する。その結果、船体2が微速で左右斜め前又は左右斜め後ろ方向に移動する。
ジョイスティック等の操舵具を中立に操作すると、直結クラッチ31が遮断されると共に、油圧ポンプ41の斜板角が中立に変更調節される。そうすると、エンジン7から出力軸26への動力伝達が遮断され、第1油圧モータ42及び第2油圧モータ43の駆動が停止する。その結果、スクリュー5及びサイドスラスタ10のプロペラ84の回転ひいては船体2が停止する。
直結クラッチ31の作動油室は、直結クラッチ油路54を介して直結クラッチ切換電磁弁55の一方のポートに接続している。直結クラッチ切換電磁弁55の他方のポートはクラッチ作動油路56に接続している。クラッチ作動油路56は、手動切換弁57及び吐出油路58を介して作動油ポンプ59の吐出側に接続している。作動油ポンプ59の吸入側はストレーナ60を介してオイルタンク61に接続している。作動油ポンプ59から突出したポンプ駆動軸62には、ドリブンギヤ64を固着した伝動軸63を連結している。図3及び図4に示すように、ドリブンギヤ64は、直結クラッチ31のアウターケース31aに固着したドライブギヤ65に常時噛み合っている。このため、エンジン7駆動中は作動油ポンプ59が常時駆動している。
作動油ポンプ59は、直結クラッチ31に作動油を供給する本来の機能のほかに、油圧無段変速機30のチャージポンプとしての機能も兼ね備えている。作動油ポンプ59の吐出側に接続した吐出油路58の中途部からチャージ油路66を分岐させている。チャージ油路66は油圧無段変速機30のチャージ用第1分岐油路46及びチャージ用第2分岐油路76に接続している。チャージ油路66中にはラインフィルター67を設けている。油圧無段変速機30のスラスタ用油圧回路44及びスクリュー用油圧回路74内の余剰油はドレン油路68を介してオイルタンク61に戻される。吐出油路58の分岐部からは潤滑油路69も分岐させている。潤滑油路69中には、作動油調圧弁70、潤滑油クーラ71及びクラッチ用の潤滑油調圧弁72を設けている。オイルタンク61内の作動油を直結クラッチ31等の潤滑箇所へ潤滑油として供給するように構成している。
図5及び図6にはサイドスラスタ10の詳細構造を示している。船体2の船首下部側にトンネル9があることからも分かる通り、実施形態のサイドスラスタ10はいわゆるバウスラスタであり、トンネル9内の左右舷方向中央部に位置するハウジング82と、ハウジング82から左右舷方向に突出する推進軸83と、推進軸83の突出端側に設けたプロペラ84と、推進軸83ひいてはプロペラ84を回転させる前述の第2油圧モータ43とを備えている。
実施形態では、トンネル9内部のうち左右舷方向中央部の天井側に、上向き開放状のダクト部86を形成している。サイドスラスタ10のハウジング82をダクト部86の内周側に上方から差し入れ、ダクト部86の外周縁側に形成したフランジ87に、ハウジング82の上部側に形成した張出し部88を重ね合わせ、フランジ87と張出し部88とをボルト89及びナット90で締結することによって、トンネル9内の左右舷方向中央部にサイドスラスタ10を着脱可能に配置している。図示は省略するが、フランジ87と張出し部88との間にはガスケット等のシール材を介在させ、トンネル9のダクト部86とサイドスラスタ10との間の水密性を確保している。
ハウジング82の内部に第2油圧モータ43を収容している。この場合、ハウジング82のうちトンネル9内に突出した部分に、左右舷方向に貫通する収容室91を形成している。ハウジング82の収容室91内に第2油圧モータ43を着脱可能に装着している。収容室91はハウジング82の左右両舷側で開口している。収容室91の左右両開口92は蓋体93によって着脱可能に塞いでいる。各蓋体93は、ハウジング82の左右各舷側の側面にボルト94締結している。図示は省略するが、ハウジング82の左右各舷側の側面と蓋体93との間にはガスケット等のシール材を介在させ、ハウジング82内部の水密性を確保している。
第2油圧モータ43から左右舷方向両側に推進軸83を突出させている。推進軸83の左右舷方向の各突端側は、対応する蓋体93を貫通している。推進軸83の各突端部の根元側は、対応する蓋体93に軸受95を介して回転可能な状態で水密的に軸支している。推進軸83の左右舷方向の突出端側にプロペラ84を取り付けている。すなわち、実施形態のサイドスラスタ10は、1本の推進軸83に1つのプロペラ84を取り付けたシングルプロペラ仕様のものである。第2油圧モータ43の回転動力によって推進軸83ひいてはプロペラ84を正逆回転させ、トンネル9内に海水等の流体を吸い込んで吐き出し、船体2に左右舷方向の推力を発生させる。
図5及び図6に示すように、実施形態では、ハウジング82にスラスタ用油圧回路44の一部を形成している。この場合、ハウジング82のうち収容室91よりも上方にある側壁部97にスラスタ用油圧回路44の一部を形成している。当該スラスタ用油圧回路44の一部は、例えばダイカスト加工(鋳造)の鋳抜き等によって上下に延びるように形成していて、第2油圧モータ43のエンドキャップ106に形成した2つの作動油通路107(詳細は後述する)に連通している。
実施形態の第2油圧モータ43は、いわゆるアキシャル形で固定容量式のピストンモータであって、推進軸83に一体回転可能に被嵌したシリンダブロック101と、複数の連通ポートを有するバルブプレート102とを備えている。シリンダブロック101には、推進軸83を中心とする同一円周上に、推進軸83と平行状に延びる複数のシリンダ室103を形成している。各シリンダ室103内には、ピストン104を往復摺動可能に嵌挿している。シリンダブロック101の左右舷方向の一端側に固定斜板105を配置し、シリンダブロック101の左右舷方向の他端側にはバルブプレート102を介してエンドキャップ106を配置している。各ピストン104の頭部は、固定斜板105のピストン摺動面に回転可能に当接している。
エンドキャップ106には、スラスタ用油圧回路44に連通する2つの作動油通路107を形成している。各シリンダ室103は、シリンダブロック101の回転に伴ってバルブプレート102の各連通ポートに選択的に連通して、いずれかの作動油通路107につながるように構成している。推進軸83は第2油圧モータ43の出力軸として機能している。すなわち、第2油圧モータ43の出力軸を推進軸83と同軸に構成している。推進軸83の左右舷方向の各突端側が、対応する蓋体93を貫通することからも明らかなように、推進軸83は、第2油圧モータ43の左右舷方向各端部側に位置するエンドキャップ106と固定斜板105とを貫通している。
油圧ポンプ41からスラスタ用油圧回路44経由で供給される作動油は、作動油通路107を介してシリンダ室103内に流入し、流体圧力で各ピストン104が固定斜板105のピストン摺動面に沿うようにシリンダ室103から順次押し出されることによって、シリンダブロック101ひいては推進軸83が回転する。仕事の終わった作動油はシリンダ室103から作動油通路107を介してスラスタ用油圧回路44に戻される。
上記の記載並びに図4から明らかなように、船体2に搭載した主機関7の動力を変速する油圧無段変速機30を有するマリンギヤ装置8において、油圧無段変速機30は、1つの油圧ポンプ41と2つの油圧モータ42,43とを備え、油圧ポンプ41を主機関7で駆動させ、船体2に前後方向の推力を発生させるスクリュー5を第1油圧モータ42で駆動させ、船体2に左右舷方向の推力を発生させるサイドスラスタ10を第2油圧モータ43で駆動させるように構成しているから、前後推進用のスクリュー5と左右推進用のサイドスラスタ10とを単一の油圧無段変速機30を用いた簡単な構造で駆動させることができ、サイドスラスタ10専用の油圧構造が不要になる。このため、動力伝達構造全体としてコンパクト化が可能であると共に低コストに構成でき、比較的小型の船舶1にも安価でサイドスラスタ10を採用できる。また、チェン及びスプロケット伝動系やベベルギヤ機構等の動力伝達構造を採用しなくても、プロペラ84に回転動力を付与でき、サイドスラスタ10の動力伝達構造を簡単且つコンパクトに構成できる。船体2に対するサイドスラスタ10の据付けも簡単に行える。従って、安価で信頼性の高いサイドスラスタ10を提供できる。
特に、第2油圧モータ43をハウジング82内に収容するため、船体2内部側の動力伝達構造の簡素化を図れ、サイドスラスタ10を既存の船舶に後付けするのも比較的簡単に行える。また、動力伝達構造のコンパクト化(小型化)によってサイドスラスタ10を小型化でき、サイドスラスタ10を船首側又は船尾側に設置するのが容易になる。従って、船体2の横移動を効率よく行える。チェン及びスプロケット伝動系やベベルギヤ機構等の動力伝達構造を採用する必要がないので、振動及び騒音の発生を容易に抑制できる。
第2油圧モータ43の出力軸を推進軸83と同軸に構成し、推進軸83は、第2油圧モータ43の左右舷方向各端部側に位置するエンドキャップ106と斜板105とを貫通しているから、推進軸83を第2油圧モータ43の出力軸と兼用でき、サイドスラスタ10の推力発生構造を簡素化してコスト抑制に寄与する。ハウジング82には、油圧ポンプ41、第1油圧モータ42及び第2油圧モータ43をつなぐスラスタ用油圧回路44の一部を形成しているから、サイドスラスタ10の油圧系統をコンパクトに構成できる。第2油圧モータ43及びスラスタ用油圧回路44の一部をハウジング82内に設けてユニット化でき、船体2に対するサイドスラスタ10の据付けも簡単に行える。スラスタ用油圧回路44の一部をハウジング82の壁部97に形成しているから、第2油圧モータ43及びスラスタ用油圧回路44の一部をハウジング82内に設けてユニット化するのを簡単に行える。
上記の記載並びに図4から明らかなように、船体2に搭載した主機関7の動力を変速する油圧無段変速機30を有するマリンギヤ装置8において、油圧無段変速機30は、主機関7で駆動する油圧ポンプ41と、船体2に前後方向の推力を発生させるスクリュー5を駆動させる第1油圧モータ42と、船体2に左右舷方向の推力を発生させるサイドスラスタ10を駆動させる第2油圧モータ43とをスラスタ用油圧回路44で直列に接続した構造になっているから、スクリュー5を駆動させる油圧無段変速機30の油圧系統をサイドスラスタ10駆動のために流用でき、サイドスラスタ10専用の油圧構造が不要で低コストに構成できる。比較的小型の船舶1にも安価でサイドスラスタ10を採用できる。
また、前記油圧ポンプ41と前記第1油圧モータ42との間で作動油を循環させるスクリュー単独駆動状態、前記油圧ポンプ41と前記第2油圧モータ43との間で作動油を循環させるスラスタ単独駆動状態、並びに、前記油圧ポンプ41、前記第1油圧モータ42及び前記第2油圧モータ43の三者の間で作動油を循環させる両方駆動状態に切換可能な油圧切換弁77を備えているから、クラッチのスリップ係合(半クラッチ係合)をしなくても、前記スクリュー単独駆動状態にすれば微速走行が可能であり、前記主機関7低速駆動時のエンジンストールを防止できると共に前記クラッチの長寿命化を図れる。前記主機関7の低速トルクを補完できると共に操船性能が向上する。また、各航走状態に応じた最適な動力伝達を実現できる。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
1 漁船(船舶)
2 船体
7 エンジン(主機関)
8 マリンギヤ装置
10 サイドスラスタ
24 入力軸
26 出力軸
27 減速ギヤ機構
30 油圧無段変速機
31 直結クラッチ
41 油圧ポンプ
42 第1油圧モータ
43 第2油圧モータ
44 スラスタ用油圧回路
74 スクリュー用油圧回路
80 油圧閉回路
2 船体
7 エンジン(主機関)
8 マリンギヤ装置
10 サイドスラスタ
24 入力軸
26 出力軸
27 減速ギヤ機構
30 油圧無段変速機
31 直結クラッチ
41 油圧ポンプ
42 第1油圧モータ
43 第2油圧モータ
44 スラスタ用油圧回路
74 スクリュー用油圧回路
80 油圧閉回路
Claims (3)
- 船体に搭載した主機関の動力を変速する油圧無段変速機を有するマリンギヤ装置において、
前記油圧無段変速機は、前記主機関で駆動する油圧ポンプと、前記船体に前後方向の推力を発生させるスクリューを駆動させる第1油圧モータと、前記船体に左右舷方向の推力を発生させるサイドスラスタを駆動させる第2油圧モータとを油圧閉回路で直列に接続した構造になっている、
マリンギヤ装置。 - 前記油圧ポンプと前記第1油圧モータとの間で作動油を循環させるスクリュー単独駆動状態、前記油圧ポンプと前記第2油圧モータとの間で作動油を循環させるスラスタ単独駆動状態、並びに、前記油圧ポンプ、前記第1油圧モータ及び前記第2油圧モータの三者の間で作動油を循環させる両方駆動状態に切換可能な油圧切換弁を備えている、
請求項1に記載のマリンギヤ装置。 - 請求項1又は2に記載のマリンギヤ装置を前記船体に搭載している、
船舶。
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2014
- 2014-04-04 JP JP2014077726A patent/JP2015199372A/ja active Pending
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