JP2015198763A - 流体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体が噴射されるノズルを明確にする。
【解決手段】噴射方向に交差する方向に並べて配置される複数のノズルを有し駆動信号に応じて少なくともいずれかのノズルから流体をパルス状に噴射する流体噴射部と、流体噴射部に流体を供給する流体供給部と、噴射指示入力を受け付ける噴射指示入力部と、少なくとも一つのノズルを含む第1ノズル部を用いて流体を噴射させる第1モードと、少なくとも一つのノズルを含む第2ノズル部を用いて流体を噴射させる第2モードと、のいずれかを選択するための選択情報の入力を受け付けるモード選択入力部と、噴射指示入力を受け付けた際に選択情報に応じて第1ノズル部または第2ノズル部から流体が噴射されるように駆動信号を出力する流体噴射制御部と、を備え、第1ノズル部に属するノズルの先端の位置が他のノズルの先端の位置と異なるように配置されていることを特徴とする流体噴射装置。
【選択図】図7
【解決手段】噴射方向に交差する方向に並べて配置される複数のノズルを有し駆動信号に応じて少なくともいずれかのノズルから流体をパルス状に噴射する流体噴射部と、流体噴射部に流体を供給する流体供給部と、噴射指示入力を受け付ける噴射指示入力部と、少なくとも一つのノズルを含む第1ノズル部を用いて流体を噴射させる第1モードと、少なくとも一つのノズルを含む第2ノズル部を用いて流体を噴射させる第2モードと、のいずれかを選択するための選択情報の入力を受け付けるモード選択入力部と、噴射指示入力を受け付けた際に選択情報に応じて第1ノズル部または第2ノズル部から流体が噴射されるように駆動信号を出力する流体噴射制御部と、を備え、第1ノズル部に属するノズルの先端の位置が他のノズルの先端の位置と異なるように配置されていることを特徴とする流体噴射装置。
【選択図】図7
Description
本発明は、流体噴射装置に関する。
流体をパルス状に噴射して対象物の切開又は切除等を行う技術が知られている。例えば、医療分野では、生体組織を切開又は切除する手術具として、流体をパルス状に噴射する脈流発生部と、脈流発生部に流体を供給する流体供給部と、流体供給部と脈流発生部とを接続する流体供給路と、を備えて構成される流体噴射装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような流体噴射装置は、脈流発生部が有する単一のノズルから流体をパルス状に噴射することにより効率良く生体組織を切開することができる。
しかしながら、手術中には、生体組織を切開する場合だけではなく、生体組織を切除するときのように、ある程度の広がりを持った領域に流体を噴射して生体組織を効率的に破砕したいこともある。このような場合には、単一のノズルから流体を噴射するのみでは、作業に長時間を要するなど、作業効率が低下する可能性がある。
そのため、生体組織の破砕をより効率的に行うために、複数の脈流発生部を用いて流体を噴射できるように流体噴射装置を構成することが考えられる。
しかしながら複数の脈流発生部を備えるように流体噴射装置を構成した場合には、生体組織を切開する際に正確な位置で切開するために、どの脈流発生部から流体が噴射されるのかが明確になるようにしておかなければならない。
このため、切開時に流体が噴射される位置を明確にすることが求められる。
上記課題を解決するための一つの側面に係る流体噴射装置は、流体の噴射方向に交差する方向に並べて配置される複数のノズルを有し、駆動信号に応じて、少なくともいずれかの前記ノズルから流体をパルス状に噴射する流体噴射部と、前記流体噴射部に流体を供給する流体供給部と、前記流体噴射部から流体を噴射させるための噴射指示入力を受け付ける噴射指示入力部と、前記流体噴射部から流体を噴射させる際に、前記複数のノズルの中の少なくとも一つを含む第1ノズル部を用いて流体を噴射させる第1モードと、前記複数のノズルの中の少なくとも一つを含む第2ノズル部を用いて流体を噴射させる第2モードと、のいずれかを選択するための選択情報の入力を受け付けるモード選択入力部と、前記噴射指示入力を受け付けた際に、前記選択情報に応じて、前記第1ノズル部または前記第2ノズル部から流体が噴射されるように、前記流体噴射部に前記駆動信号を出力する流体噴射制御部と、を備え、前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルの前記噴射方向における先端の位置が、前記第1ノズル部に属するノズルを除く他のノズルの前記噴射方向における先端の位置と異なるように配置されている。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
==概要==
本明細書及び図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
本明細書及び図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
流体の噴射方向に交差する方向に並べて配置される複数のノズルを有し、駆動信号に応じて、少なくともいずれかの前記ノズルから流体をパルス状に噴射する流体噴射部と、前記流体噴射部に流体を供給する流体供給部と、前記流体噴射部から流体を噴射させるための噴射指示入力を受け付ける噴射指示入力部と、前記流体噴射部から流体を噴射させる際に、前記複数のノズルの中の少なくとも一つを含む第1ノズル部を用いて流体を噴射させる第1モードと、前記複数のノズルの中の少なくとも一つを含む第2ノズル部を用いて流体を噴射させる第2モードと、のいずれかを選択するための選択情報の入力を受け付けるモード選択入力部と、前記噴射指示入力を受け付けた際に、前記選択情報に応じて、前記第1ノズル部または前記第2ノズル部から流体が噴射されるように、前記流体噴射部に前記駆動信号を出力する流体噴射制御部と、を備え、前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルの前記噴射方向における先端の位置が、前記第1ノズル部に属するノズルを除く他のノズルの前記噴射方向における先端の位置と異なるように配置されていることを特徴とする流体噴射装置が明らかとなる。
このような流体噴射装置によれば、第1モードで流体を噴射する際のノズルの位置を明確にすることができる。
ここで、前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルの前記噴射方向における先端の位置が、前記他のノズルの前記噴射方向における先端の位置よりも前記噴射方向に突出するように配置されていることが好ましい。
このような流体噴射装置によれば、術者は、複数のノズルの中において、突出した第1ノズル部の位置を明確に認識することが可能となる。
また、前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルの前記噴射方向における先端の位置が、前記他のノズルの前記噴射方向における先端の位置よりも前記噴射方向において後退するように配置されているようにすることもできる。
このような流体噴射装置によっても、術者は、複数のノズルの中において、後退した第1ノズル部の位置を明確に認識することが可能となる。
また前記他のノズルは、前記噴射方向における先端の位置が相互に揃うように配置されていることが好ましい。
このような流体噴射装置によれば、術者は、複数のノズルの中において、第1ノズル部の先端の位置をより一層認識しやすくできる。
なお前記第1ノズル部に属するノズルは一つであり、前記第2ノズル部に属するノズルは前記第1ノズル部に属するノズル以外の全てのノズルを含むことが好ましい。
このような流体噴射装置によれば、生体組織を切開する場合には、単一のノズルから流体を一筋に噴射することができるので、切開する位置に正確に流体を噴射することができると共に、生体組織を破砕する場合には、複数のノズルから広範囲に流体を噴射することができるので、破砕対象の生体組織を効率的に破砕することが可能となる。
また前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルに対して、前記他のノズルが前記噴射方向に交差する片方に一列に整列するように配置されることが好ましい。
このような流体噴射装置によれば、第1のノズル部に属するノズルが端部に配置されることになるので、術者は、より一層明確に、第1ノズル部に属するノズルの位置を認識することが可能となる。
また前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルの周囲を前記他のノズルが包囲するように配置されているようにしてもよい。
このような流体噴射装置によれば、流体噴射部が有する複数のノズルをコンパクトに配置することが可能となる。このため、流体噴射部を小型化できるとともに、例えば患者の体内の狭い場所などであっても、ノズルの先端を生体組織に近づけて流体を噴射することも可能となる。
==全体構成==
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る流体噴射装置は、細密な物体や構造物、生体組織等の洗浄あるいは切断等様々に採用可能であるが、以下に説明する実施形態では、生体組織を切開又は切除する手術用メスに好適な流体噴射装置を例示して説明する。したがって、本実施形態に係る流体噴射装置にて用いる流体は、水や生理食塩水、所定の薬液等である。なお、以降の説明で参照する図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る流体噴射装置は、細密な物体や構造物、生体組織等の洗浄あるいは切断等様々に採用可能であるが、以下に説明する実施形態では、生体組織を切開又は切除する手術用メスに好適な流体噴射装置を例示して説明する。したがって、本実施形態に係る流体噴射装置にて用いる流体は、水や生理食塩水、所定の薬液等である。なお、以降の説明で参照する図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
図1は、本実施形態に係る手術用メスとしての流体噴射装置1を示す構成説明図である。本実施形態に係る流体噴射装置1は、駆動制御部(流体噴射制御部)600と、ハンドピース(流体噴射部)30と、ポンプ(流体供給部)700と、第1接続チューブ25aと、第2接続チューブ25bと、第3接続チューブ25cと、流路切替バルブ26と、を備える。
駆動制御部600は、ポンプ700と連携して流体噴射装置1の制御を行う。
ポンプ700は、第1接続チューブ25a、第2接続チューブ25b、及び第3接続チューブ25cを介して、ハンドピース30に流体を供給する。
ハンドピース30は、ポンプ700から供給された流体をパルス状に噴射する。
ハンドピース30は、一例として、第1脈動発生部100a、第2脈動発生部100b、第3脈動発生部100c、第4脈動発生部100d、第5脈動発生部100eの5つの脈動発生部100を備えている。
なお、第1脈動発生部100a、第2脈動発生部100b、第3脈動発生部100c、第4脈動発生部100d、第5脈動発生部100eの機能や構造は同様であるので、説明を簡便化するため、以下の説明において特に区別して説明する必要がある場合以外は、適宜これらを脈動発生部100と記してまとめて説明する。また他の構成要素についても機能や構造が同様である場合には適宜まとめて説明する。
脈動発生部100の詳細な構成については後述するが、本実施形態に係る脈動発生部100は、流体を噴射する際の流路となる細いパイプ状の流体噴射管200と、流体噴射管200の先端部に装着される流路径が縮小された先端開口部211と、を備えている。
また脈動発生部100は、ポンプ700から供給された流体が収容される流体室501と、この流体室501の容積を変更するダイアフラム400と、ダイアフラム400を振動させる圧電素子401と、を備えている。
そして脈動発生部100は、駆動制御部600から出力される駆動信号によって圧電素子401を駆動させ、流体室501の容積を変化させることで流体にパルス状に圧力を印加して流体を脈流に変換し、流体噴射管200、先端開口部211を通して流体をパルス状に高速噴射する。
なお図1に示した座標軸は、ハンドピース30が備える脈動発生部100の配置を説明するために示したものであり、本実施形態では、流体噴射管200の先端に設けられている先端開口部211から流体が水平方向に噴射されるようにハンドピース30を固定した場合に、流体が噴射する向きをx軸、鉛直上向きをz軸、x軸の向きに対して左手側となる向きをy軸にとっている。以下に示す他の図においても同じである。
そして図1に示すハンドピース30は、x軸方向を噴射方向とし、5つの脈動発生部100が、噴射方向に交差する方向であるz軸方向に並べて配置されるように表示されている。
第1接続チューブ25a、第2接続チューブ25b、及び第3接続チューブ25cは、ポンプ700からハンドピース30への流体の流路を構成する。
以下の説明においては、第3接続チューブ25cと第1接続チューブ25aとにより構成される流体の流路を第1流路、第3接続チューブ25cと第2接続チューブ25bとにより構成される流体の流路を第2流路、とも記す。
また第1接続チューブ25a、第2接続チューブ25b、及び第3接続チューブ25cを、適宜まとめて接続チューブ25とも記す。
流路切替バルブ26は、第1接続チューブ25aと第3接続チューブ25cとにより構成される第1流路の連通及び閉塞の切り替えと、第2接続チューブ25bと第3接続チューブ25cとにより構成される第2流路の連通及び閉塞の切り替えと、を個別に独立して行うことが可能なバルブである。
このため、流路切替バルブ26を様々に制御することにより、ポンプ700から供給される流体を、第1流路のみを介してハンドピース30に供給することもできるし、第2流路のみを介してハンドピース30に供給することもできるし、第1流路と第2流路の両方を介してハンドピース30に供給することもできる。
なお、本実施形態に係るハンドピース30は、第1流路を介して供給された流体を第1脈動発生部100aから噴射し、第2流路を介して供給された流体を第2脈動発生部100b、第3脈動発生部100c、第4脈動発生部100d、および第5脈動発生部100eから噴射するように構成されている。
また詳しくは後述するが、第1脈動発生部100aは、ハンドピース30を用いて執刀する術者が生体組織を切開する際に用いられる。一方、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eは、生体組織を破砕する際に用いられる。また生体組織を破砕する際に、第1脈動発生部100a〜第5脈動発生部100eを用いるようにすることも可能である。
駆動制御部600と脈動発生部100との間は制御ケーブル630により接続されている。具体的には、駆動制御部600と第1脈動発生部100aとの間は第1制御ケーブル630aにより接続され、駆動制御部600と第2脈動発生部100bとの間は第2制御ケーブル630bにより接続され、駆動制御部600と第3脈動発生部100cとの間は第3制御ケーブル630cにより接続され、駆動制御部600と第4脈動発生部100dとの間は第4制御ケーブル630dにより接続され、駆動制御部600と第5脈動発生部100eとの間は第5制御ケーブル630eにより接続されている。
駆動制御部600は、第1脈動発生部100aから流体をパルス状に噴射する場合は、駆動信号(第1駆動信号)を、第1制御ケーブル630aを介して第1脈動発生部100aに伝達する。第1脈動発生部100aは、第1駆動信号が入力されると第1圧電素子401aを駆動させ、第1流体室501aの容積を変化させることで流体にパルス状に圧力を印加して流体を脈流に変換し、第1流体噴射管200aおよび第1先端開口部211aを通して流体をパルス状に高速噴射する。第2脈動発生部100b乃至第5脈動発生部100eについてもそれぞれ同様である。
また駆動制御部600とポンプ700との間は通信ケーブル640により接続されており、駆動制御部600とポンプ700とは、CAN(Controller Area Network)などの所定の通信プロトコルに従って相互に様々なコマンドやデーターを授受する。
駆動制御部600は、ハンドピース30を用いて執刀する術者等によって操作される様々なスイッチからの信号の入力を受けて、上記制御ケーブル630や通信ケーブル640を介して、ポンプ700や脈動発生部100を制御する。
駆動制御部600に入力される上記スイッチとしては、例えば脈動発生部起動スイッチ(噴射指示入力部)625や、噴射強度切替スイッチ627、フラッシングスイッチ628、脈動発生部切替スイッチ(モード選択入力部)629等がある(不図示)。
脈動発生部切替スイッチ629は、ハンドピース30内の複数の脈動発生部100のうち、いずれの脈動発生部100から流体を噴射するかを選択するための選択情報の入力を受け付けるスイッチである。
術者は、脈動発生部切替スイッチ629を操作することによって、複数の脈動発生部100の中の少なくとも一つを含む第1ノズル部を用いて流体を噴射させる第1モードと、複数の脈動発生部100の中の少なくとも一つを含む第2ノズル部を用いて流体を噴射させる第2モードと、のいずれかを選択することができる。
なお本実施形態では、第1モードは以下の説明におけるモードAに相当し、第2モードはモードBまたはモードCに相当する。
モードAは、第1脈動発生部100aのみから流体を噴射するモードであり、モードBは、第1脈動発生部100a〜第5脈動発生部100eの全てから流体を噴射するモードであり、モードCは、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eから流体を噴射するモードである。
駆動制御部600は、選択されたモードにおいて使用される脈動発生部100に接続されている制御ケーブル630に、駆動信号を出力する。また駆動制御部600は、選択されたモードにおいて使用される脈動発生部100に流体が供給されるように、流路切替バルブ26を切り替える。
なお、モードAは生体組織を切開する際に選択される。一方モードB及びモードCは生体組織を破砕する際に選択される。
脈動発生部起動スイッチ625は、ハンドピース30からの流体の噴射の有無を切り替えるためのスイッチである。ハンドピース30を用いて執刀する術者によって脈動発生部起動スイッチ625が操作されると、駆動制御部600は、ポンプ700と連携して、脈動発生部切替スイッチ629によって選択されたモードで使用される脈動発生部100から流体を噴射あるいは停止するための制御を実行する。脈動発生部起動スイッチ625は、術者の足元において操作されるフットスイッチとしての形態をとることもできるし、術者によって把持されるハンドピース30に一体的に配設され、術者の手や指によって操作される形態をとることもできる。
噴射強度切替スイッチ627は、脈動発生部100から噴射される流体の噴射強度を変更するためのスイッチである。駆動制御部600は、噴射強度切替スイッチ627が操作された場合には、脈動発生部100及びポンプ700に対し、流体の噴射強度を増減するための制御を行う。
例えば駆動制御部600は、脈動発生部100から流体を噴射させる際に、噴射強度切替スイッチ627によって設定された噴射強度に応じた駆動信号を脈動発生部100に出力する。具体的には、駆動制御部600は、噴射強度を上げる場合には駆動電圧の周波数を上昇させ、噴射強度を下げる場合には駆動電圧の周波数を低下させる。あるいは、駆動制御部600は、噴射強度を上げる場合には駆動電圧の電圧を上昇させ、噴射強度を下げる場合には駆動電圧の電圧を低下させるようにしてもよい。
またポンプ700は、脈動発生部100に流体を供給する際に、ポンプ700内の流体の圧力が、噴射強度切替スイッチ627によって設定された噴射強度に応じた圧力になるように制御する。例えばポンプ700は、噴射強度を上げる場合には流体の圧力を上昇させ、噴射強度を下げる場合には流体の圧力を低下させる。
なお噴射強度切替スイッチ627は、事前に定められた複数の噴射強度の中から択一的に選択可能に構成されるスイッチとしてもよいし、噴射強度を上限値から下限値までの間を連続的に可変可能に構成されるスイッチとしてもよい。
また噴射強度切替スイッチ627によって設定される噴射強度は、噴射強度の指標となりうる何等かの物理量(例えば噴射対象物が受ける圧力や、所定時間あたりの噴射量、流速など)を用いて定められるが、どのような物理量でも可能である。
なおフラッシングスイッチ628については後述する。
また、本実施形態において、脈流とは、流体の流れる方向が一定で、流体の流量又は流速が周期的又は不定期な変動を伴った流体の流動を意味する。脈流には、流体の流動と停止とを繰り返す間欠流も含むが、流体の流量又は流速が周期的又は不定期に変動していればよいため、必ずしも間欠流である必要はない。
同様に、流体をパルス状に噴射するとは、噴射される流体の流量又は移動速度が周期的又は不定期に変動した流体の噴射を意味する。パルス状の噴射の一例として、流体の噴射と非噴射とを繰り返す間欠噴射が挙げられるが、噴射される流体の流量又は移動速度が周期的又は不定期に変動していればよいため、必ずしも間欠噴射である必要はない。
また脈動発生部100が駆動を停止している場合、つまり、流体室501の容積を変更させないときは、流体供給部としてのポンプ700から所定の圧力で供給された流体は、流体室501を通って、先端開口部211から連続的に流出する。
==ポンプ==
次に本実施形態に係るポンプ700の構成及び動作の概要について、図2を参照しながら説明する。
次に本実施形態に係るポンプ700の構成及び動作の概要について、図2を参照しながら説明する。
本実施形態に係るポンプ700は、ポンプ制御部710と、スライダー720と、モーター730と、リニアガイド740と、ピンチバルブ750と、を備える。またポンプ700は、流体を収容する流体容器760を着脱可能に装着するための流体容器装着部770を有して構成されている。流体容器装着部770は、流体容器760が装着された際に、流体容器760が規定の位置で保持されるように形成されている。
なお詳細は後述するが、ポンプ制御部710には、スライダーリリーススイッチ780、スライダーセットスイッチ781、送液レディスイッチ782、プライミングスイッチ783、ピンチバルブスイッチ785が入力されている(不図示)。
流体容器760は、本実施形態においては一例として、シリンジ761及びプランジャー762を備える注射筒として構成されている。
この流体容器760は、シリンジ761の先端部に、円筒を突出させた形状の開口部764が形成されている。そして流体容器760を流体容器装着部770に装着する際には、接続チューブ25(第3接続チューブ25c)の端部を開口部764にはめ込むようにして、シリンジ761の内部から接続チューブ25への流体の流路を形成する。
ピンチバルブ750は、接続チューブ25(第3接続チューブ25c)の経路上に設けられ、流体容器760と脈動発生部100との間の流体の流路を開閉するバルブである。
ピンチバルブ750の開閉はポンプ制御部710により行われる。ポンプ制御部710がピンチバルブ750を開放すると、流体容器760と脈動発生部100との間の流路が連通する。ポンプ制御部710がピンチバルブ750を閉塞すると、流体容器760と脈動発生部100との間の流路が遮断する。
流体容器760を流体容器装着部770に装着した後に、ピンチバルブ750を開放した状態で、流体容器760のプランジャー762をシリンジ761内に押し込む方向(以下、押し込み方向とも記す)に移動させると、プランジャー762の上記押し込み方向側の先端に装着されている弾性力を有するゴム等の樹脂製のガスケット763の端面と、シリンジ761の内壁と、により囲まれる空間(以下、流体収容部765とも記す)の容積が減少し、この流体収容部765に充填されている流体がシリンジ761の先端部の開口部764から吐出される。そして開口部764から吐出された流体は、接続チューブ25内に充填されるとともに、脈動発生部100に供給される。
一方、流体容器760を流体容器装着部770に装着した後に、ピンチバルブ750を閉塞した状態で、流体容器760のプランジャー762を押し込み方向に移動させると、プランジャー762の先端に装着されているガスケット763とシリンジ761の内壁とに囲まれる流体収容部765の容積が減少し、この流体収容部765に充填されている流体の圧力を上昇させることができる。
プランジャー762の移動は、流体容器装着部770に流体容器760を装着した時にプランジャー762が摺動する方向(上記押し込み方向及び押し込み方向とは反対方向)に沿って、ポンプ制御部710がスライダー720を移動させることにより行われる。
具体的には、スライダー720は、上記プランジャー762の摺動方向に沿ってリニアガイド740に直線状に形成されているレール(不図示)に、スライダー720の台座部721を係合させるように、リニアガイド740に取り付けられており、そしてリニアガイド740が、ポンプ制御部710により駆動されるモーター730から伝達される動力を用いて、スライダー720の台座部721をレールに沿って移動させることによって、スライダー720は、上記プランジャー762の摺動方向に沿って移動する。
また図2に示すように、リニアガイド740の上記レールに沿って、第1リミットセンサー741、残量センサー742、ホームセンサー743、第2リミットセンサー744が設けられている。
これらの、第1リミットセンサー741、残量センサー742、ホームセンサー743、第2リミットセンサー744はいずれも、リニアガイド740の上記レール上を移動するスライダー720の位置を検出するセンサーであり、これらのセンサーにより検出された信号は、ポンプ制御部710に入力される。
ホームセンサー743は、リニアガイド740上におけるスライダー720の初期位置(以下、ホーム位置とも記す)を定めるために用いられるセンサーである。ホーム位置は、流体容器760の装着や交換等の作業を行う際に、スライダー720が保持される位置である。
残量センサー742は、スライダー720がホーム位置からプランジャー762の押し込み方向に移動した際に、流体容器760内の流体の残量が所定値以下になる際のスライダー720の位置(以下、残量位置とも記す)を検出するためのセンサーである。残量センサー742が設けられた残量位置までスライダー720が移動した場合には、オペレーター(術者あるいは補助者)に対して所定の警報が出力される。そしてオペレーターの判断により適切なタイミングで、現在使用中の流体容器760を、新たな流体容器760に交換する作業が行われる。あるいは、ポンプ700(第1ポンプ700a)と同様構成の予備の第2ポンプ700bが用意されている場合には、脈動発生部100への流体の供給が予備の第2ポンプ700bから行われるように切り替える作業が行われる。
第1リミットセンサー741は、スライダー720がホーム位置からプランジャー762の押し込み方向に移動する際の移動可能範囲の限界位置(以下、第1限界位置とも記す)を示す。第1リミットセンサー741が設けられた第1限界位置までスライダー720が移動した場合には、流体容器760内の流体の残量は、スライダー720が上記残量位置にある時の残量よりもさらに少なく、オペレーターに対して所定の警報が出力される。そしてこの場合も、現在使用中の流体容器760を新たな流体容器760に交換する作業、あるいは予備の第2ポンプ700bへの切り替え作業が行われる。
一方、第2リミットセンサー744は、スライダー720がホーム位置からプランジャー762を押し込む方向とは反対方向に移動する際の移動可能範囲の限界位置(以下、第2限界位置とも記す)を示す。第2リミットセンサー744が設けられた第2限界位置までスライダー720が移動した場合にも所定の警報が出力される。
なおスライダー720には、タッチセンサー723と圧力センサー(圧力検知部)722とが装着されている。
タッチセンサー723は、流体容器760のプランジャー762にスライダー720が接触しているか否かを検出するためのセンサーである。
また圧力センサー722は、シリンジ761の内壁とガスケット763とにより形成される流体収容部765内の流体の圧力、つまりスライダー720が流体収容部765を押圧する際の圧力を検出し、この圧力に応じたレベル(例えば電圧や電圧、周波数)の信号(検知信号)を出力するセンサーである。
ピンチバルブ750を閉めた状態でスライダー720を上記押し込み方向に移動させた場合には、流体収容部765内の流体の圧力は、スライダー720がプランジャー762に接触したのちは、スライダー720の押し込み量を増加させるにつれて上昇する。
一方、ピンチバルブ750を開けた状態でスライダー720を上記押し込み方向に移動させた場合には、スライダー720がプランジャー762に接触した後であっても、流体収容部765内の流体は、接続チューブ25を通じて脈動発生部100の先端開口部211から流出してしまうため、流体収容部765内の流体の圧力は、ある程度までは上昇するものの、スライダー720をそれ以上押し込み方向に移動させても上昇しない。
なお、タッチセンサー723及び圧力センサー722からの信号は、ポンプ制御部710に入力されている。
また、以下の説明において、スライダー720、モーター730及びリニアガイド740を、流体押圧部731と記す場合がある。流体押圧部731は、流体収容部765を押圧して、流体容器760の開口部764から流体を流出させる。
次に、流体が充填された流体容器760を流体容器装着部770に新たに装着し、流体容器760内の流体を脈動発生部100に供給し、脈動発生部100から流体をパルス状に噴射可能な状態になるまでの準備動作について説明する。
準備動作は、脈動発生部100から流体が適切な強度で噴射されるように、流路内の流体を所定の状態にする動作である。
本実施形態に係る準備動作には、以下に述べる予備加圧、プライミング処理、及びフラッシング処理の各処理が含まれるが、ポンプ制御部710及び駆動制御部600は、流体噴射装置1の状況に応じて、これらの様々な組み合わせで準備動作を実行することができる。
まずオペレーターは、スライダーリリーススイッチ780を操作して、スライダーリリーススイッチ780のON信号をポンプ制御部710に入力する。そうするとポンプ制御部710は、スライダー720をホーム位置に移動させる。
そしてオペレーターは、事前に接続チューブ25と接続しておいた流体容器760を流体容器装着部770に装着する。なおこの流体容器760のシリンジ761には既に流体が充填されている。
そしてオペレーターが接続チューブ25をピンチバルブ750にセットした後に、ピンチバルブスイッチ785を操作してピンチバルブスイッチ785のON信号をポンプ制御部710に入力すると、ポンプ制御部710はピンチバルブ750を閉じる。
次にオペレーターは、スライダーセットスイッチ781を操作して、スライダーセットスイッチ781のON信号をポンプ制御部710に入力する。そうするとポンプ制御部710は、スライダー720を押し込み方向に移動させて、流体容器760内の流体収容部765に収容されている流体の圧力が所定の目標圧力値に対して規定の範囲内(以下、ラフウインドウとも記す)になるように制御を開始する。
上記のように、流体収容部765に収容されている流体の圧力が規定の範囲内である状態にするのが予備加圧である。
その後オペレーターによって送液レディスイッチ782が押されると、この送液レディスイッチ782のON信号がポンプ制御部710に入力され、流体収容部765内の流体の圧力が上記ラフウインドウに入っている場合には、ポンプ制御部710は、ポンプ700から脈動発生部100への流体の送液を許可する送液可能状態となる。
そしてポンプ制御部710が送液可能状態である時に、オペレーターの操作によってプライミングスイッチ783のON信号がポンプ制御部710に入力されると、ポンプ制御部710はプライミング処理を開始する。プライミング処理は、流体容器760内の流体を、接続チューブ25を介して脈動発生部100の流体噴射開口部212に到達させ、流体容器760から流体噴射開口部212までの流路内を流体で満たされた状態にする処理である。
プライミング処理が開始されると、ポンプ制御部710は、ピンチバルブ750を開放するとともに、ピンチバルブ750の開放と同時あるいはほぼ同時のタイミング(例えば数ミリ秒ないし数十ミリ秒程度の時間差)で、スライダー720の押し込み方向への移動を開始する。また駆動制御部600は、流路切替バルブ26を制御して、ポンプ700からハンドピース30に対して流体が第1流路及び第2流路の両方で供給されるようにする。
スライダー720の移動は、流体容器760からの流体の単位時間あたりの送出量が一定になるような所定速度で行われる。プライミング処理は、流体容器760内の流体が脈動発生部100の流体噴射開口部(吐出口)212に到達するまでに要する時間以上の所定時間が経過するまで(あるいは流体容器760内の流体が脈動発生部100の流体噴射開口部212に到達するのに十分な所定距離だけスライダー720が移動するまで)、あるいはオペレーターがプライミングスイッチ783を操作してOFF信号が入力されるまで行われる。
これにより、流体収容部765内の所定量の流体が、所定の流速(単位時間あたりの流体の吐出量)でポンプ700から送出され、ピンチバルブ750から脈動発生部100までの接続チューブ25内を満たすとともに、脈動発生部100の流体室501や流体噴射管200等も満たす。なお、プライミング処理を始める前に接続チューブ25内や脈動発生部100内に存在していた空気は、接続チューブ25や脈動発生部100内に流体が流入するにつれて、脈動発生部100の先端開口部211から大気に放出される。
なお、プライミング処理の際にスライダー720を移動させる上記所定速度、所定距離あるいは所定時間は、ポンプ制御部710内に事前に記憶されている。
このようにして、プライミング処理が完了する。
次に、オペレーターの操作によってフラッシングスイッチ628のON信号が駆動制御部600に入力されると、駆動制御部600及びポンプ制御部710は脱気処理を開始する。
脱気処理は、接続チューブ25や脈動発生部100内に残存している気泡を脈動発生部100の先端開口部211から排出し、流路内を気泡が除去された状態にする処理である。
脱気処理では、ポンプ制御部710は、ピンチバルブ750を開けた状態で、流体容器760からの流体の単位時間あたりの送出量が一定になるような所定速度、つまり、流路内を所定時間に流れる流体の流量が所定量になるような速度で、スライダー720を押し込み方向に移動させて、流体を脈動発生部100に供給する。また駆動制御部600は、流路切替バルブ26を制御して、ポンプ700からハンドピース30に対して流体が第1流路及び第2流路の両方で供給されるようにすると共に、ポンプ700による流体の吐出と連動して、第1脈動発生部100a〜第5脈動発生部100eのそれぞれの圧電素子401を駆動して、第1脈動発生部100a〜第5脈動発生部100eから流体をパルス状に噴射する。これにより、接続チューブ25や脈動発生部100内に残存している気泡は、脈動発生部100の先端開口部211から排出される。脱気処理は、所定時間が経過するまで(あるいはスライダー720が所定距離だけ移動するまで)、あるいはオペレーターがフラッシングスイッチ628を操作してOFF信号が入力されるまで行われる。
なお、脱気処理の際にスライダー720を移動させる上記所定速度や所定時間あるいは所定距離は、駆動制御部600及びポンプ制御部710内に事前に記憶されている。
以上のようにして準備動作(予備加圧、プライミング処理、脱気処理)が完了する。
準備動作が終了すると、ポンプ制御部710は、ピンチバルブ750を閉じるとともに、流体容器760の流体収容部765に収容されている流体の圧力を検知する。そしてこの圧力が上記ラフウインドウ内に入るようにスライダー720の位置を調整する制御を行う。
その後、流体収容部765内の流体の圧力がラフウインドウ内に入っている場合には、脈動発生部100から流体をパルス状に噴射可能な状態になる。
この状態で術者の足によって脈動発生部起動スイッチ625が操作され、脈動発生部起動スイッチ625のON信号が駆動制御部600に入力されると、駆動制御部600は、脈動発生部切替スイッチ629によって選択されているモード(モードA、モードB、モードC)において使用される脈動発生部100に流体が供給されるように、流路切替バルブ26を切り替えると共に、ポンプ制御部710は、駆動制御部600から送信される信号に従って、ピンチバルブ750を開くともに、ピンチバルブ750の開放と同時あるいはほぼ同時のタイミング(例えば数ミリ秒ないし数十ミリ秒程度の時間差)で、スライダー720を所定速度で押し込み方向に移動させて、脈動発生部100への流体の供給を開始する。
このときポンプ制御部710がスライダー720を移動させる速度(所定時間あたりの流体供給量)は、脈動発生部切替スイッチ629によって選択されているモードに応じて異なる。モードA(切開モード)が選択されているときのスライダー720の移動速度は第1速度(所定時間あたり第1供給量(第1所定量))であり、モードB(破砕モード)が選択されているときのスライダー720の移動速度は第2速度(所定時間あたり第2供給量(第2所定量))であり、モードC(破砕モード)が選択されているときのスライダー720の移動速度は第3速度(所定時間あたり第3供給量(第2所定量))である。
そして駆動制御部600は、脈動発生部切替スイッチ629によって選択されているモードで使用される脈動発生部100内の圧電素子401の駆動を開始して、流体室501の容積を変化させて脈流を発生する。このようにして脈動発生部100の先端の先端開口部211から流体がパルス状に高速噴射される。
その後、術者が足により脈動発生部起動スイッチ625を操作して、脈動発生部起動スイッチ625のOFF信号が駆動制御部600に入力されると、駆動制御部600は、圧電素子401の駆動を停止する。そしてポンプ制御部710は、駆動制御部600から送信される信号に従って、スライダー720の移動を停止させるとともにピンチバルブ750を閉じる。このようにして脈動発生部100からの流体の噴射が停止する。
なお、本実施形態に係るポンプ700は、シリンジ761及びプランジャー762を備える注射筒として構成される流体容器760をスライダー720が押圧する構成であるが、図3に示すような構成でもよい。
図3に示すポンプ700は、流体を収容した輸液バッグとして構成される流体容器760を加圧チャンバー800内に装着し、コンプレッサー810から供給されるエアーをレギュレーター811によって平滑化した後、加圧チャンバー800内に圧送することで、流体容器760を押圧する構成を有する。
加圧チャンバー800内のエアーを加圧して流体容器760を押圧した状態で、ピンチバルブ750を開放させると、流体容器760の流体収容部765に収容されている流体は、開口部764から流出して、接続チューブ25を経由して脈動発生部100に供給される。
なお加圧チャンバー800内のエアーは、排気弁812を開放することによって大気に放出される。また、加圧チャンバー800内のエアーの圧力が所定圧力を超えた場合には、排気弁812を開放しなくても、安全弁813が開くことで加圧チャンバー800内のエアーが大気に放出される。
なお図3には示していないが、上述したコンプレッサー810、レギュレーター811、排気弁812、ピンチバルブ750は、ポンプ制御部710によって制御される。
また流体容器760内の流体の圧力を検知する圧力センサー722や、流体容器760内の流体の残量を検知する残量センサー742から出力される検出信号も、ポンプ制御部710に入力されている。
また図3に示すポンプ700の場合、コンプレッサー810、レギュレーター811、及び加圧チャンバー800が流体押圧部731を構成する。
このような態様のポンプ700を採用することにより、単位時間あたりに脈動発生部100に供給可能な流体の量を増加することが可能となる。また脈動発生部100により高圧に流体を供給することも可能となる上、流体を収容した輸液バッグをそのまま流体容器760として用いるので、流体の汚染を防止することが可能である。また脈動発生部100に対して、脈動を生じることなく、連続送液を行うことも可能となる。
またその他、本実施形態では、駆動制御部600はポンプ700と脈動発生部100とから離間した位置に配設されているが、ポンプ700と一体的に構成される形態としてもよい。
またその他、本実施形態では、駆動制御部600はポンプ700と脈動発生部100とから離間した位置に配設されているが、ポンプ700と一体的に構成される形態としてもよい。
また、この流体噴射装置1を用いて手術をする際には、術者が把持する部位はハンドピース30である。従って、ハンドピース30までの接続チューブ25はできるだけ柔軟であることが好ましい。そのためには、接続チューブ25は柔軟で薄いチューブであり、また、ポンプ700からの流体の吐出圧力は、ハンドピース30に送液可能な範囲で低圧にすることが好ましい。そのため、ポンプ700の吐出圧力は概ね0.3気圧(0.03MPa)以下に設定されている。
また、特に、脳手術のときのように、機器の故障が重大な事故を引き起こす恐れがある場合には、接続チューブ25の切断等において高圧な流体が噴出することは避けなければならず、このことからも、ポンプ700からの吐出圧力は低圧にしておくことが要求される。
==脈動発生部==
次に、本実施形態による脈動発生部100の構造について説明する。
次に、本実施形態による脈動発生部100の構造について説明する。
図4は、本実施形態に係る脈動発生部100の構造を示す断面図である。図4において、脈動発生部100には、流体の脈動を発生する脈動発生手段を含み、流体を吐出する流路としての接続流路201を有する流体噴射管200が接続されている。
脈動発生部100は、上ケース500と下ケース301とをそれぞれ対向する面において接合され、4本の固定螺子350(図示は省略)によって螺着されている。下ケース301は、鍔部を有する筒状部材であって、一方の端部は底板311で密閉されている。この下ケース301の内部空間に圧電素子401が配設される。
圧電素子401は、積層型圧電素子であってアクチュエーターを構成する。圧電素子401の一方の端部は上板411を介してダイアフラム400に、他方の端部は底板311の上面312に固着されている。
また、ダイアフラム400は、円盤状の金属薄板からなり、下ケース301の凹部303内において周縁部が凹部303の底面に密着固着されている。容積変更手段としての圧電素子401に駆動信号を入力することで、圧電素子401の伸張、収縮に伴いダイアフラム400を介して流体室501の容積を変更する。
ダイアフラム400の上面には、中心部に開口部を有する円盤状の金属薄板からなる補強板410が積層配設される。
上ケース500は、下ケース301と対向する面の中心部に凹部が形成され、この凹部とダイアフラム400とから構成され流体が充填された状態の回転体形状が流体室501である。つまり、流体室501は、上ケース500の凹部の封止面505と内周側壁508とダイアフラム400によって囲まれた空間である。流体室501の略中央部には出口流路511が穿設されている。
出口流路511は、流体室501から上ケース500の一方の端面から突設された出口流路管510の端部まで貫通されている。出口流路511の流体室501の封止面505との接続部は、流体抵抗を減ずるために滑らかに丸められている。
なお、以上説明した流体室501の形状は、本実施形態(図4参照)では、両端が封止された略円筒形状としているが、側面視して円錐形や台形、あるいは半球形状等でもよく、円筒形状に限定されない。例えば、出口流路511と封止面505との接続部を漏斗のような形状にすれば、後述する流体室501内の気泡を排出しやすくなる。
出口流路管510には流体噴射管200が接続されている。流体噴射管200には接続流路201が穿設されており、接続流路201の直径は出口流路511の直径より大きい。また、流体噴射管200の管部の厚さは、流体の圧力脈動を吸収しない剛性を有する範囲に形成されている。
流体噴射管200の先端部には、先端開口部211が挿着されている。この先端開口部211には流体噴射開口部(吐出口)212が穿設されている。流体噴射開口部212の直径は、接続流路201の直径より小さい。
上ケース500の側面には、ポンプ700から流体を供給する接続チューブ25を挿着する入口流路管(流体取入口)502が突設されており、入口流路管502に入口流路側の接続流路504が穿たれている。接続流路504は入口流路503に連通されている。入口流路503は、流体室501の封止面505の周縁部に溝状に形成され、流体室501に連通している。
上ケース500と下ケース301との接合面において、ダイアフラム400の外周方向の離間した位置には、下ケース301側にパッキンボックス304、上ケース500側にパッキンボックス506が形成されており、パッキンボックス304、506にて形成される空間にリング状のパッキン450が装着されている。
ここで、上ケース500と下ケース301とを組立てたとき、ダイアフラム400の周縁部と補強板410の周縁部とは、上ケース500の封止面505の周縁部と下ケース301の凹部303の底面によって密接されている。この際、パッキン450は上ケース500と下ケース301によって押し圧されて、流体室501からの流体漏洩を防止している。
流体室501内は、流体吐出の際に30気圧(3MPa)以上の高圧状態となり、ダイアフラム400、補強板410、上ケース500、下ケース301それぞれの接合部において流体が僅かに漏洩することが考えられるが、パッキン450によって漏洩を阻止している。
図4に示すようにパッキン450を配設すると、流体室501から高圧で漏洩してくる流体の圧力によってパッキン450が圧縮されるとともに、パッキン450がパッキンボックス304、506内の壁にさらに強く押圧されるので、流体の漏洩を一層確実に阻止することができる。このことから、駆動時において流体室501内の高い圧力上昇を維持することができる。
続いて、上ケース500に形成される入口流路503について図面を参照してさらに詳しく説明する。
図5は、入口流路503の形態を示す平面図であり、上ケース500を下ケース301との接合面側から視認した状態を表している。
図5において、入口流路503は、上ケース500の封止面505の周縁部溝状に形成されている。
入口流路503は、一方の端部が流体室501に連通し、他方の端部が接続流路504に連通している。入口流路503と接続流路504との接続部には、流体溜り507が形成されている。そして、流体溜り507と入口流路503との接続部は滑らかに丸めることによって流体抵抗を減じている。
また、入口流路503は、流体室501の内周側壁508に対して略接線方向に向かって連通している。ポンプ700(図1参照)から所定の圧力で供給される流体は、内周側壁508に沿って(図5中、矢印で示す方向)流動して流体室501に旋回流を発生する。旋回流は、旋回することによる遠心力で内周側壁508側に押し付けられるとともに、流体室501内に含まれる気泡は旋回流の中心部に集中する。
そして、中心部に集められた気泡は、出口流路511から排除される。このことから、出口流路511は旋回流の中心近傍、つまり回転形状体の軸中心部に設けられることがより好ましい。
また図5に示すように、入口流路503は湾曲している。入口流路503は、湾曲せずに直線に沿って流体室501に連通するようにしてもよいが、湾曲させることにより流路長を長くし、狭いスペースの中で所望のイナータンス(イナータンスについては後述する)を得るようにしている。
なお、図5に示したように、ダイアフラム400と入口流路503が形成されている封止面505の周縁部との間には、補強板410が配設されている。補強板410を設ける意味は、ダイアフラム400の耐久性を向上することである。入口流路503の流体室501との接続部には切欠き状の接続開口部509が形成されるので、ダイアフラム400が高い周波数で駆動されたときに、接続開口部509近傍において応力集中が生じて疲労破壊を発生することが考えられる。そこで、切欠き部がない連続した開口部を有している補強板410を配設することで、ダイアフラム400に応力集中が発生しないようにしている。
また、上ケース500の外周隅部には、4箇所の螺子孔512が開設されており、この螺子孔位置において、上ケース500と下ケース301とが螺合接合される。
なお、図示は省略するが、補強板410とダイアフラム400とを接合し、一体に積層固着することができる。固着方法としては、接着剤を用いて貼着する方法としても良いし、固層拡散接合や溶接等の方法としてもよいが、補強板410とダイアフラム400とが、接合面において密着されていることがより好ましい。
==脈動発生部の動作==
次に、本実施形態における脈動発生部100の動作について図1〜図5を参照して説明する。本実施形態の脈動発生部100による流体吐出は、入口流路503側のイナータンスL1(合成イナータンスL1と呼ぶことがある)と出口流路511側のイナータンスL2(合成イナータンスL2と呼ぶことがある)の差によって行われる。
次に、本実施形態における脈動発生部100の動作について図1〜図5を参照して説明する。本実施形態の脈動発生部100による流体吐出は、入口流路503側のイナータンスL1(合成イナータンスL1と呼ぶことがある)と出口流路511側のイナータンスL2(合成イナータンスL2と呼ぶことがある)の差によって行われる。
<イナータンス>
まず、イナータンスについて説明する。
まず、イナータンスについて説明する。
イナータンスLは、流体の密度をρ、流路の断面積をS、流路の長さをhとしたとき、L=ρ×h/Sで表される。流路の圧力差をΔP、流路を流れる流体の流量をQとした場合に、イナータンスLを用いて流路内の運動方程式を変形することで、ΔP=L×dQ/dtという関係が導き出される。
つまり、イナータンスLは、流量の時間変化に与える影響度合いを示しており、イナータンスLが大きいほど流量の時間変化が少なく、イナータンスLが小さいほど流量の時間変化が大きくなる。
また、複数の流路の並列接続や、複数の形状が異なる流路の直列接続に関する合成イナータンスは、個々の流路のイナータンスを電気回路におけるインダクタンスの並列接続、または直列接続と同様に合成して算出することができる。
なお、入口流路503側のイナータンスL1は、接続流路504の直径が入口流路503の直径に対して十分大きく設定されているので、イナータンスL1は、入口流路503の範囲において算出される。この際、ポンプ700と入口流路503を接続する接続チューブ25は柔軟性を有するため、イナータンスL1の算出から削除してもよい。
また、出口流路511側のイナータンスL2は、接続流路201の直径が出口流路511の直径よりもはるかに大きく、流体噴射管200の管部(管壁)の厚さが薄いためイナータンスL2への影響は軽微である。従って、出口流路511側のイナータンスL2は出口流路511のイナータンスに置き換えてもよい。
なお、流体噴射管200の管壁の厚さは、流体の圧力伝播には十分な剛性を有している。
そして、本実施形態では、入口流路503側のイナータンスL1が出口流路511側のイナータンスL2よりも大きくなるように、入口流路503の流路長及び断面積、出口流路511の流路長及び断面積が設定されている。
<流体の噴射>
次に、脈動発生部100の動作について説明する。
次に、脈動発生部100の動作について説明する。
ポンプ700によって入口流路503には、所定圧力で流体が供給されている。その結果、圧電素子401が動作を行わない場合、ポンプ700の吐出力と入口流路503側全体の流体抵抗値の差によって流体は流体室501内に流動する。
ここで、圧電素子401に駆動信号が入力され、急激に圧電素子401が伸張したとすると、流体室501内の圧力は、入口流路503側及び出口流路511側のイナータンスL1、L2が十分な大きさを有していれば急速に上昇して数十気圧に達する。
この流体室501内の圧力は、入口流路503に加えられていたポンプ700による圧力よりはるかに大きいため、入口流路503側から流体室501内への流体の流入はその圧力によって減少し、出口流路511からの流出は増加する。
入口流路503のイナータンスL1は、出口流路511のイナータンスL2よりも大きいため、入口流路503から流体が流体室501へ流入する流量の減少量よりも、出口流路511から吐出される流体の増加量のほうが大きいため、接続流路201にパルス状の流体吐出、つまり、脈動流が発生する。この吐出の際の圧力変動が、流体噴射管200内を伝播して、先端の先端開口部211の流体噴射開口部212から流体が噴射される。
ここで、先端開口部211の流体噴射開口部212の直径は、出口流路511の直径よりも小さいので、流体は、さらに高圧、高速のパルス状の液滴として噴射される。
一方、流体室501内は、入口流路503からの流体流入量の減少と出口流路511からの流体流出の増加との相互作用で、圧力上昇直後に負圧状態となる。その結果、ポンプ700の圧力と、流体室501内の負圧状態の双方によって所定時間経過後に、入口流路503の流体は圧電素子401の動作前と同様な速度で流体室501内に向かう流れが復帰する。
入口流路503内の流体の流動が復帰した後、圧電素子401の伸張があれば、先端開口部211からの脈動流を継続して噴射することができる。
<気泡の排除>
続いて、流体室501内の気泡の排除動作について説明する。
続いて、流体室501内の気泡の排除動作について説明する。
上述したように、入口流路503は、流体室501の周囲を旋回しつつ流体室501に近づくような経路で流体室501に連通している。また出口流路511は、流体室501の略回転体形状の回転軸近傍に開設されている。
このため、入口流路503から流体室501に流入した流体は、流体室501内を内周側壁508に沿って旋回する。そして流体が遠心力により流体室501の内周側壁508側に押し付けられ、流体に含まれる気泡が流体室501の中心部に集中する結果、気泡は出口流路511から排出される。
従って、圧電素子401による流体室501の微小な容積変化においても、気泡によって圧力変動が阻害されることなく、十分な圧力上昇が得られる。
本実施形態によれば、ポンプ700により所定の圧力で入口流路503に流体が供給されるため、脈動発生部100の駆動を停止した状態においても入口流路503及び流体室501に流体が供給されるため、呼び水動作をしなくても初期動作を開始することができる。
また、出口流路511の直径よりも縮小された流体噴射開口部212から流体を噴出するため、液圧を出口流路511内よりも高めることから、高速の流体噴射を可能にする。
さらに、流体噴射管200が、流体室501から流動される流体の脈動を流体噴射開口部212に伝達し得る剛性を有しているので、脈動発生部100からの流体の圧力伝播を妨げず、所望の脈動流を噴射することができるという効果を有する。
また、入口流路503のイナータンスを、出口流路511のイナータンスよりも大きく設定していることから、入口流路503から流体室501への流体の流入量の減少よりも大きい流出量の増加が出口流路511に発生し、流体噴射管200内にパルス状の流体吐出を行うことができる。従って、入口流路503側に逆止弁を設けなくてもよく、脈動発生部100の構造を簡素化できるとともに、内部の洗浄が容易になる他、逆止弁を用いることに起因する耐久性の不安を排除することができるという効果がある。
なお、入口流路503及び出口流路511双方のイナータンスを十分大きく設定することにより、流体室501の容積を急激に縮小すれば、流体室501内の圧力を急激に上昇させることができる。
また、容積変更手段としての圧電素子401とダイアフラム400とを用いて脈動を発生させる構成とすることにより、脈動発生部100の構造の簡素化と、それに伴う小型化を実現できる。また、流体室501の容積変化の最大周波数を1KHz以上の高い周波数にすることができ、高速脈動流の噴射に最適である。
また、脈動発生部100は、入口流路503により流体室501内の流体に旋回流を発生させることで、流体室501内の流体を遠心力により流体室501の外周方向に押しやり、旋回流の中心部、つまり、略回転体形状の軸近傍に流体に含まれる気泡を集中させ、略回転体形状の軸の近傍に設けられる出口流路511から気泡を排除することができる。このことから、流体室501内に気泡が滞留することによる圧力振幅の低下を防止することができ、脈動発生部100の安定した駆動を継続することができる。
さらに、入口流路503を、流体室501の周囲を旋回しつつ流体室501に近づくような経路で流体室501に連通させるように形成していることから、流体を流体室501の内部で旋回させるための専用の構造を用いることなく旋回流を発生させることができる。
また、流体室501の封止面505の外周縁部に、溝形状の入口流路503を形成しているので、部品数を増やすことなく旋回流発生部としての入口流路503を形成することができる。
また、ダイアフラム400の上面に補強板410を備えていることにより、ダイアフラム400は補強板410の開口部外周を支点として駆動するため、応力集中が発生しにくく、ダイアフラム400の耐久性を向上させることができる。
なお、補強板410のダイアフラム400との接合面の角部を丸めておけば、一層、ダイアフラム400の応力集中を緩和することができる。
また、補強板410とダイアフラム400とを積層し、一体に固着すれば、脈動発生部100の組立性を向上させることができる他、ダイアフラム400の外周縁部の補強効果もある。
また、ポンプ700から流体を供給する入口側の接続流路504と入口流路503との接続部に、流体を滞留する流体溜り507を設けているために、接続流路504のイナータンスが入口流路503に与える影響を抑制することができる。
さらに、上ケース500と下ケース301との接合面において、ダイアフラム400の外周方向離間した位置にリング状のパッキン450を備えているために、流体室501からの流体の漏洩を防止し、流体室501内の圧力低下を防止することができる。
==噴射モード==
上述したように、本実施形態に係る流体噴射装置1は、脈動発生部切替スイッチ629によってモード(モードA、モードB、モードC)を選択することができる。術者は、生体組織を切開する場合はモードA(切開モード)を選択し、生体組織を破砕する場合はモードB(破砕モード)あるいはモードC(破砕モード)を選択する。
上述したように、本実施形態に係る流体噴射装置1は、脈動発生部切替スイッチ629によってモード(モードA、モードB、モードC)を選択することができる。術者は、生体組織を切開する場合はモードA(切開モード)を選択し、生体組織を破砕する場合はモードB(破砕モード)あるいはモードC(破砕モード)を選択する。
そして、流体噴射装置1は、モードAが選択された場合は第1ノズル部を用いて流体を噴射し、モードBあるいはモードCが選択された場合は第2ノズル部を用いて流体を噴射する。
第1ノズル部は、複数の脈動発生部100の中の少なくとも一つを含むノズルであり、本実施形態では第1脈動発生部100aが該当する。また第2ノズル部は、複数の脈動発生部100の中の少なくとも一つを含むノズルであり、本実施形態では、モードBが選択された場合は、第1脈動発生部100a〜第5脈動発生部100eが該当し、モードCが選択された場合は、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eが該当する。
そして、本実施形態に係る流体噴射装置1では、モードAが選択された場合に流体を噴射する上記第1ノズル部の吐出口の断面の総面積よりも、モードBあるいはモードCが選択された場合に流体を噴射する上記第2ノズル部の吐出口の断面の総面積の方が大きくなるようにしている。その様子を図6に示す。
図6において、黒丸及び白丸は、脈動発生部100の先端に装着される先端開口部211に穿設されている流体噴射開口部212の断面を示す。そして白丸は流体が噴射されないことを示し、黒丸は流体が噴射されることを示す。
図6に示されるように、モードAが選択されている場合に流体を噴射する第1ノズル部の吐出口の断面の総面積SAは、第1流体噴射開口部212aの断面積であるS1である。
また、モードBが選択されている場合に流体を噴射する第2ノズル部の吐出口の断面の総面積SBは、第1流体噴射開口部212a〜第5流体噴射開口部212eの各断面積の総和であるS1+S2+S3+S4+S5である。
同様に、モードCが選択されている場合に流体を噴射する第2ノズル部の吐出口の断面の総面積SCは、第2流体噴射開口部212b〜第5流体噴射開口部212eの各断面積の総和であるS2+S3+S4+S5である。
そして、SAよりもSB及びSCの方が大きくなるようにしている。
このようにして本実施形態に係る流体噴射装置1は、生体組織を破砕する際には、より広い面積の吐出口から流体が噴射されるようにしているので、生体組織の破砕をより効率的に行うことを可能にしている。
またモードBのように、生体組織の破砕を行う際に、第1脈動発生部100a〜第5脈動発生部100eの全てを用いるようにする場合には、それだけより広い面積の吐出口から流体を噴射することが可能になるので、効果的に生体組織の破砕を行うことが可能となる。
またモードCのように、生体組織の破砕を行う際に、生体組織の切開に用いる第1脈動発生部100aを用いないようにする場合には、第1脈動発生部100aとして、生体組織の切開により適した機能や構造、形状を有するものを使用することができるようになる。また同様に、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eとして、生体組織の破砕により適した機能や構造、形状を有するものを使用することができるようにもなる。例えば流体噴射開口部212の断面積や、流体噴射管200の長さなどを、切開用、破砕用としてそれぞれ最適化することが可能となる。
また本実施形態に係るポンプ700は、切開モード(モードA)が選択されている場合は、所定時間あたりに第1所定量の流体をハンドピース30に供給し、破砕モード(モードBまたはモードC)が選択されている場合は、所定時間あたりに第2所定量の流体をハンドピース30に供給する。
第1所定量は、切開モードが選択されている場合の所定時間あたりの流体の供給量であり、第2所定量は、破砕モードが選択されている場合の所定時間あたりの流体の供給量である。
そのため、モードA(切開モード)が選択されている場合は、所定時間あたりに第1供給量(第1所定量)の流体をハンドピース30に供給し、モードB(破砕モード)が選択されている場合は、所定時間あたりに第2供給量(第2所定量)の流体をハンドピース30に供給し、モードC(破砕モード)が選択されている場合は、所定時間あたりに第3供給量(第2所定量)の流体をハンドピース30に供給する。
具体的には、ポンプ700は、モードAが選択されている場合には、第1脈動発生部100aから上記所定時間に噴射される流体の量である第1供給量を所定時間あたりにハンドピース30に供給するようにスライダー720を制御する。
またポンプ700は、モードBが選択されている場合には、第1脈動発生部100a〜第5脈動発生部100eから上記所定時間に噴射される流体の量である第2供給量を所定時間あたりにハンドピース30に供給するようにスライダー720を制御する。この場合所定時間あたりの第2供給量は第1供給量よりも多くなる。
またポンプ700は、モードCが選択されている場合には、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eから上記所定時間に噴射される流体の量である第3供給量を所定時間あたりにハンドピース30に供給するようにスライダー720を制御する。この場合も同様に所定時間あたりの第3供給量は第1供給量よりも多くなる。
このようにすることによって、本実施形態に係る流体噴射装置1は、いずれのモードが選択された場合であっても、脈動発生部100から適切な量の流体を噴射することが可能となる。
また本実施形態に係る流体噴射装置1は、切開モード(モードA)が選択されている場合には、上記第1ノズルから第1噴射強度で流体を噴射し、破砕モード(モードBあるいはモードC)が選択されている場合は、上記第2ノズルから第2噴射強度で流体を噴射するようにしている。
第1噴射強度は、切開モードが選択されている場合の噴射強度であり、第2噴射強度は、破砕モードが選択されている場合の噴射強度である。
上述したように、駆動制御部600は、圧電素子401を駆動するための駆動信号の電圧あるいは周波数を上昇あるいは下降させることによって噴射強度を制御する事が可能である。
このようにすることによって、生体組織を切開する場合と破砕する場合で適切とされる噴射強度が異なる場合であっても、いずれにも適切な噴射強度で流体を噴射することが可能となる。例えば多くの場合は、生体組織を破砕する場合は、生体組織を切開する場合よりも多くのエネルギーを必要とするため、第2噴射強度を第1噴射強度よりも強くすることが望ましい。
なお上述した様に、本実施形態に係る流体噴射装置1は、噴射強度切替スイッチ627を備えており、術者は、噴射強度切替スイッチ627を操作することによって流体の噴射強度を増減することもできる。
このため、本実施形態に係る流体噴射装置1は、切開あるいは破砕しようとしている生体組織の硬度や粘度等に応じた適切な噴射強度で流体を噴射することが可能であるので、より迅速、かつ安全に手術を行うことが可能となる。
==脈動発生部100の配置==
上述した様に、本実施形態に係るハンドピース30は、複数の脈動発生部100を備えて構成されているが、生体組織を切開する場合には、第1脈動発生部100aから流体を噴射する。
上述した様に、本実施形態に係るハンドピース30は、複数の脈動発生部100を備えて構成されているが、生体組織を切開する場合には、第1脈動発生部100aから流体を噴射する。
一方、ハンドピース30を用いて執刀する術者は、生体組織を正確な位置で切開するために、複数の脈動発生部100の中のどの脈動発生部100から流体が噴射されるのかを明確に認識しておかなければならない。
そのため、本実施形態に係る流体噴射装置1は、第1脈動発生部100aの位置が術者に明確に分かるように、ハンドピース30を構成している。
具体的には、本実施形態に係る流体噴射装置1は、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置が、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの噴射方向における先端の位置と異なるように、各脈動発生部100を配置している。
以下、図7〜図11を参照しながら具体的に説明する。
図7は、ハンドピース30の脈動発生部100を、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置が、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの噴射方向における先端の位置よりも噴射方向に突出するように配置する場合の例である。
このような態様によって、術者は、第1脈動発生部100aの位置を明確に認識することが可能となる。
またさらに図7に示す例では、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの噴射方向における先端の位置が相互に揃うように配置されているため、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置をより一層認識しやすくできる。
また図7に示す例では、第1脈動発生部100aを挟んで両方向に一列に第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eを配置するようにしているので、破砕モードにおいて第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eから流体を噴射する場合に、より広い範囲の生体組織を効果的に破砕することが可能となる。
なおこの場合、駆動制御部600は、複数の脈動発生部100の両端部に位置する第2脈動発生部100b及び第5脈動発生部100eからの流体の噴射強度が、第3脈動発生部100c及び第4脈動発生部100dからの流体の噴射強度よりも強くなるように駆動信号を出力するようにすると良い。
このようにすることにより、生体組織を破砕する際の破砕範囲の外延を明確にできるので、医師は破砕する範囲を明確に認識しながら破砕作業を進めることが可能となる。
なお反対に、駆動制御部600は、複数の脈動発生部100の両端部に位置する第2脈動発生部100b及び第5脈動発生部100eからの流体の噴射強度が、第3脈動発生部100c及び第4脈動発生部100dからの流体の噴射強度よりも弱くなるように駆動信号を出力するようにしてもよい。
この場合は、破砕範囲の外延部分の噴射強度を弱めることで、例えば、破砕しなければならない場所と破砕してはならない場所とが接近しているような場合に、後者を誤って破砕してしまうことを防止することが可能となる。
なお、第2脈動発生部100b及び第5脈動発生部100eからの流体の噴射強度を、第3脈動発生部100c及び第4脈動発生部100dからの流体の噴射強度よりも強くするか弱くするか、さらにはどの程度強くするか、どの程度弱くするかを設定可能なスイッチを駆動制御部600に設け、術者が強度を自由に設定できるようにしてもよい。このようにすれば、手術対象の生体組織のサイズや硬度、血管の位置などの様々な状態に応じて噴射強度を柔軟に調整することが可能になるので、より効果的に手術を行うことが可能となる。
またその際に、上記スイッチの設定によって、第2脈動発生部100b及び第5脈動発生部100eからの流体の噴射を停止できるようにしてもよい。このようにすれば、破砕対象の生体組織のサイズによって流体が噴射される範囲を自由に調整することが可能となる。
次に、図8は、ハンドピース30の脈動発生部100を、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置が、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの噴射方向における先端の位置よりも噴射方向に後退するように配置する場合の例である。
このような態様によっても、術者は、第1脈動発生部100aの位置を明確に認識することが可能となる。
図8に示す例においても、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの噴射方向における先端の位置が相互に揃うように配置されているため、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置をより一層認識しやすくできる。
図9は、図7と同様に、ハンドピース30の脈動発生部100を、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置が、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの噴射方向における先端の位置よりも噴射方向に突出するように配置する場合の例である。
図7と同様であるが、このような態様によって、術者は、第1脈動発生部100aの位置を明確に認識することが可能となる。
また第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの噴射方向における先端の位置が相互に揃うように配置されているため、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置をより一層認識しやすくできる。
さらに図9に示す例は、第1脈動発生部100aに対して片方に一列に整列するように第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eを配置するようにしており、第1脈動発生部100aが端部に配置されることになるので、術者は、より一層明確に、第1脈動発生部100aの位置を認識することが可能となる。
図10は、図7や図9と同様に、ハンドピース30の脈動発生部100を、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置が、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの噴射方向における先端の位置よりも噴射方向に突出するように配置する場合の例である。
このような態様によって、術者は、第1脈動発生部100aの位置を明確に認識することが可能となる。
また第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの噴射方向における先端の位置が相互に揃うように配置されているため、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置をより一層認識しやすくできる。
また図10は特に、第1脈動発生部100aの周囲を第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eが包囲するように各脈動発生部100を配置している。
このような態様によって、術者は、第1脈動発生部100aの位置をより一層明確に認識することが可能となる。
さらに、第1脈動発生部100a〜第5脈動発生部100eが、第1脈動発生部100aを中心として周囲を囲む円内に配置される構成であるため、第1脈動発生部100a〜第5脈動発生部100eをコンパクトに配置することが可能となる。このため、ハンドピース30を小型化できるとともに、例えば患者の体内の狭い場所などであっても、脈動発生部100の先端開口部211を生体組織に近づけて流体を噴射することも可能となる。
図11は、図7、図9及び図10と同様に、ハンドピース30の脈動発生部100を、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置が、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの噴射方向における先端の位置よりも噴射方向に突出するように配置する場合の例である。
図7等と同様であるが、このような態様によって、術者は、第1脈動発生部100aの位置を明確に認識することが可能となる。
また図11に示す例では、第1脈動発生部100aに対して片方に一列に第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eを配置するようにしており、第1脈動発生部100aが端部に配置されることになるので、術者は、より一層明確に、第1脈動発生部100aの位置を認識することが可能となる。
さらに図11に示す例では、第1脈動発生部100a〜第5脈動発生部100eの噴射方向におけるそれぞれの先端の位置が、第1脈動発生部100aを先頭として、隣接する順に、第2脈動発生部100b〜第5脈動発生部100eの先端の位置が後退するように配置されているため、第1脈動発生部100aの噴射方向における先端の位置をより一層認識しやすくできる。また術者に対して、金属製のメスを使用して執刀する場合により近い操作感を提供することもできる。
以上、本実施形態に係る流体噴射装置1について説明したが、本実施形態に係る流体噴射装置1によれば、生体組織の破砕をより効率的に行うことが可能になる。
例えば、本実施形態に係る流体噴射装置1は、生体組織を切開する場合には、単一の脈動発生部100から流体を一筋に噴射することができるので、切開する位置に正確に流体を噴射することができると共に、生体組織を破砕する場合には、複数の脈動発生部100から広範囲に流体を噴射することができるので、破砕対象の生体組織を効率的に破砕することが可能となる。
このように、本実施形態に係る流体噴射装置1によれば、一つのハンドピース30で切開と破砕との両方を効率的に行うことができ、単位時間あたりの生体組織の破砕能力を向上させることが可能である。
また本実施形態に係る流体噴射装置1は、生体組織を切開する場合に複数の脈動発生部100の中のどの脈動発生部100から流体が噴射されるのかが明確になるように脈動発生部100を配置しているので、ハンドピース30を用いて執刀する術者は、生体組織をより正確な位置で切開することが可能となる。
このように、本実施形態に係る流体噴射装置1によれば、一つのハンドピース30で切開と破砕とを共に効率的に実施することが可能となる。また複数の脈動発生部100を有することによりハンドピース30が大型化しても、切開用に用いる第1脈動発生部100aの先端の位置を視認しやすくしたため、医師の集中力を削ぐ要因とならない他、手術の効率的な運用に貢献することができる。
上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
1流体噴射装置、25a第1接続チューブ、25b第2接続チューブ、25c第3接続チューブ、26流路切替バルブ、30ハンドピース、100脈動発生部、200流体噴射管、211先端開口部、400ダイヤフラム、401圧電素子、501流体室、600駆動制御部、610駆動信号出力部、625脈動発生部起動スイッチ、627噴射強度切替スイッチ、628フラッシングスイッチ、629脈動発生部切替スイッチ、630制御ケーブル、640通信ケーブル、700ポンプ、710ポンプ制御部、722圧力センサー、723タッチセンサー、730モーター、740リニアガイド、741第1リミットセンサー、742残量センサー、743ホームセンサー、744第2リミットセンサー、750ピンチバルブ、760流体容器、761シリンジ、780スライダーリリーススイッチ、781スライダーセットスイッチ、782送液レディスイッチ、783プライミングスイッチ、785ピンチバルブスイッチ
Claims (7)
- 流体の噴射方向に交差する方向に並べて配置される複数のノズルを有し、駆動信号に応じて、少なくともいずれかの前記ノズルから流体をパルス状に噴射する流体噴射部と、
前記流体噴射部に流体を供給する流体供給部と、
前記流体噴射部から流体を噴射させるための噴射指示入力を受け付ける噴射指示入力部と、
前記流体噴射部から流体を噴射させる際に、前記複数のノズルの中の少なくとも一つを含む第1ノズル部を用いて流体を噴射させる第1モードと、前記複数のノズルの中の少なくとも一つを含む第2ノズル部を用いて流体を噴射させる第2モードと、のいずれかを選択するための選択情報の入力を受け付けるモード選択入力部と、
前記噴射指示入力を受け付けた際に、前記選択情報に応じて、前記第1ノズル部または前記第2ノズル部から流体が噴射されるように、前記流体噴射部に前記駆動信号を出力する流体噴射制御部と、
を備え、
前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルの前記噴射方向における先端の位置が、前記第1ノズル部に属するノズルを除く他のノズルの前記噴射方向における先端の位置と異なるように配置されている
ことを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルの前記噴射方向における先端の位置が、前記他のノズルの前記噴射方向における先端の位置よりも前記噴射方向に突出するように配置されている
ことを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルの前記噴射方向における先端の位置が、前記他のノズルの前記噴射方向における先端の位置よりも前記噴射方向において後退するように配置されている
ことを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項2または3に記載の流体噴射装置であって、
前記他のノズルは、前記噴射方向における先端の位置が相互に揃うように配置されている
ことを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の流体噴射装置であって、
前記第1ノズル部に属するノズルは一つであり、前記第2ノズル部に属するノズルは前記第1ノズル部に属するノズル以外の全てのノズルを含む
ことを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の流体噴射装置であって、
前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルに対して、前記他のノズルが前記噴射方向に交差する片方に一列に整列するように配置される
ことを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の流体噴射装置であって、
前記流体噴射部の前記複数のノズルは、前記第1ノズル部に属するノズルの周囲を前記他のノズルが包囲するように配置されている
ことを特徴とする流体噴射装置。
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