以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
- 《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
図1及び図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(11)内の冷蔵又は冷凍を行うものである。コンテナ用冷凍装置(10)は、冷凍サイクルを利用してコンテナ(11)の庫内の空気を冷却する冷媒回路(20)を備えている(図3参照)。コンテナ(11)の庫内には、植物(15)が箱詰めされた状態で収納されている。植物(15)は、空気中の酸素を取り込んで二酸化炭素を放出する呼吸を行うものであり、例えば、バナナやアボカド等の青果物、野菜、穀物、球根、生花等である。
コンテナ(11)は、側方が開放された箱状に形成されており、その一方の開口端を塞ぐようにケーシング(12)が取り付けられている。ケーシング(12)は、コンテナ(11)の庫外側に位置する庫外壁(12a)と、コンテナ(11)の庫内側に位置する庫内壁(12b)とを備えている。庫外壁(12a)及び庫内壁(12b)は、例えば、アルミニウム合金によって構成されている。
庫外壁(12a)は、コンテナ(11)の開口端を塞ぐようにコンテナ(11)の開口の周縁部に取り付けられる。庫外壁(12a)は、下部がコンテナ(11)の庫内側へ膨出するように形成されている。
庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)と対向して配置されている。庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)の下部に対応して庫内側へ膨出している。庫内壁(12b)と庫外壁(12a)との間の空間には、断熱材(12c)が設けられている。
ケーシング(12)の下部は、コンテナ(11)の庫内側に向かって膨出するように形成されている。これにより、ケーシング(12)下部におけるコンテナ(11)の庫外側には庫外収納空間(S1)が形成され、ケーシング(12)上部におけるコンテナ(11)の庫内側には庫内収納空間(S2)が形成されている。
ケーシング(12)には、メンテナンス時に開閉可能な開閉扉(16)が幅方向に並んで2つ設けられている。ケーシング(12)の庫外収納空間(S1)には、後述する庫外ファン(25)と隣接する位置に電装品ボックス(17)が配設されている。
コンテナ(11)の庫内には、仕切板(18)が配置されている。この仕切板(18)は、略矩形状の板部材により構成され、ケーシング(12)のコンテナ(11)の庫内側の面と対向するように立設されている。この仕切板(18)によって、コンテナ(11)の庫内と庫内収納空間(S2)とが区画されている。
仕切板(18)の上端とコンテナ(11)内の天井面との間には吸込口(18a)が形成されている。コンテナ(11)の庫内の空気は、吸込口(18a)を介して庫内収納空間(S2)に取り込まれる。
また、庫内収納空間(S2)には、水平方向に延びる区画壁(13)が設けられている。区画壁(13)は、仕切板(18)の上端部に取り付けられ、後述する庫内ファン(26)が設置される開口が形成されている。
コンテナ(11)内の吸込口(18a)の近傍には、コンテナ(11)の庫内の酸素濃度を検知する酸素濃度検知センサ(51)と、二酸化炭素濃度を検知する二酸化炭素濃度検知センサ(52)とが配設されている。
コンテナ(11)内には、コンテナ(11)の底面との間に隙間を存して床板(19)が配設されている。床板(19)上には、箱詰めされた植物(15)が載置されている。コンテナ(11)内の底面と床板(19)との間には、空気流路(19a)が形成されている。仕切板(18)の下端とコンテナ(11)内の底面との間には隙間が設けられ、その隙間は空気流路(19a)に連通している。
床板(19)におけるコンテナ(11)の手前側(図2で右側)には、コンテナ用冷凍装置(10)で処理した空気(すなわち、庫内空気を冷却した空気)をコンテナ(11)の庫内へ吹き出す吹出口(18b)が形成されている。
コンテナ(11)には、コンテナ(11)の庫外の空気を庫内に吸い込むための吸気部(47)と、コンテナ(11)の庫内の空気を外部に排気するための排気部(46)とが設けられている。排気部(46)は、コンテナ(11)の庫内と庫外とを繋ぐ排気管(46a)と、排気管(46a)に接続された排気弁(46b)とを有する。吸気部(47)は、コンテナ(11)の庫内と庫外とを繋ぐ吸気管(47a)と、吸気管(47a)に接続された吸気弁(47b)とを有する。
図3に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えている。冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、膨張弁(23)と、蒸発器(24)とが、冷媒配管(28)によって順に接続されて構成されている。
図1及び図2に示すように、圧縮機(21)及び凝縮器(庫外熱交換器)(22)は、庫外収納空間(S1)に収納されている。凝縮器(22)の上方位置には、庫外ファン(25)が配設されている。庫外ファン(25)は、庫外ファンモータ(25a)によって回転駆動し、コンテナ(11)の庫外の空気を庫外収納空間(S1)内へ誘引して凝縮器(22)へ送るものである。凝縮器(22)では、凝縮器(22)の内部を流れる冷媒と外気との間で熱交換が行われる。
蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)に収納されている。庫内収納空間(S2)における蒸発器(24)の上方位置には、ケーシング(12)の幅方向に並んで2つの庫内ファン(26)が配設されている。
庫内ファン(26)は、庫内ファンモータ(26a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫内空気を吸込口(18a)から誘引して蒸発器(24)へ吹き出す。蒸発器(24)では、蒸発器(24)の内部を流れる冷媒と庫内空気との間で熱交換が行われる。蒸発器(24)を通過する際に冷媒に放熱して冷却された庫内空気は、空気流路(19a)を通って吹出口(18b)からコンテナ(11)の庫内へ吹き出される。
コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ(11)の庫内に低酸素濃度の混合ガスを供給するための混合ガス供給装置(30)を備えている。本実施形態では、VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)によって混合ガスを生成している。
図4に示すように、混合ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)と、空気中の窒素成分を吸着するための吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)(混合ガス生成器)と、パージ弁(36)と、第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)と、酸素タンク(39)とを有する。本実施形態では、これらの部品をユニットケース(70)の内部に収納することにより混合ガス供給装置(30)を1つのユニットとして構成し、このユニットをコンテナ用冷凍装置(10)に後付けすることができるように構成している。混合ガス供給装置(30)の構造の詳細については後述する。
エアポンプ(31)は、ユニットケース(70)内に配設され、ユニットケース(70)に形成された空気流入口(75)を介してユニットケース(70)の外から中へ流入した外気を吸い込んで圧縮する。エアポンプ(31)は、流出通路(42)を介して第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の一方へ圧縮した空気を供給して加圧することで、空気中の窒素成分を吸着剤に吸着させる吸着動作を行う加圧部(31a)を構成している。
さらに、エアポンプ(31)は、吸引通路(43)を介して第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他方から空気を吸引して減圧することで、吸着剤に吸着された窒素成分を脱着させる脱着動作を行う減圧部(31b)を構成している。なお、脱着動作の際には、負圧まで下げて減圧することが好ましい。
エアポンプ(31)の加圧部(31a)及び減圧部(31b)は、潤滑用のオイルを使用しないオイルレスのポンプで構成されている。具体的に、加圧部(31a)のポンプにおいてオイルを使用した場合には、第1吸着筒(34)又は第2吸着筒(35)の一方に圧縮した空気を供給して加圧する際に、圧縮空気に含まれるオイルが吸着剤に吸着され、吸着剤の吸着性能が低下してしまう。
また、減圧部(31b)のポンプにおいてオイルを使用した場合には、第1吸着筒(34)又は第2吸着筒(35)の他方から脱着された窒素成分を含む混合ガスとともにオイルがコンテナ(11)の庫内に供給されてしまい、植物(15)が積み込まれたコンテナ(11)の庫内に対してオイル臭のする混合ガスが供給されてしまう。
そのため、本実施形態では、エアポンプ(31)の加圧部(31a)及び減圧部(31b)をオイルレスのポンプで構成することで、上述した不具合を解消できるようにしている。
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、吸着動作及び脱着動作の対象となる第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)を交互に切り換えるためのものであり、図4に示す状態では、第1吸着筒(34)において吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)において脱着動作が行われる。
また、図示は省略するが、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)の切換位置が図4と反対側の場合には、第2吸着筒(35)において吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)において脱着動作が行われる。そして、吸着動作及び脱着動作の対象となる第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)を交互に切り換えながら上述した工程を繰り返すことにより、連続して安定した混合ガスの生成を行う。この切り換え動作は、制御部(55)によって制御される。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、エアポンプ(31)から供給された圧縮空気中の窒素成分を吸着して酸素濃縮ガスを生成する。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の内部には、加圧下で窒素成分を吸着して、減圧下で吸着した窒素成分を脱着させる吸着剤が封入されている。
吸着剤は、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトで構成されている。このような孔径のゼオライトで吸着剤を構成すれば、空気中の窒素成分を吸着することができる。
また、ゼオライトの細孔内には、陽イオンが存在しているために電場が存在し極性を生じているので、水分子などの極性分子を吸着する性質を有している。そのため、空気中の水分も吸着剤に吸着される。そして、吸着剤に吸着された水分は、脱着動作によって窒素成分とともに吸着剤から脱着されるので、水分を含んだ混合ガスがコンテナ(11)の庫内に供給されることとなり、庫内の湿度を上げることができる。さらに、吸着剤が再生されるので、吸着剤の長寿命化を図ることができる。
また、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、エアポンプ(31)によって減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素が脱着して窒素濃縮ガス、つまり、外気よりも窒素成分を多く含むことで酸素濃度が低くなった混合ガスを生成する。この混合ガスの成分比は、例えば、窒素90%、酸素10%に設定される。
ここで、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)による加圧圧力が高いほど、吸着剤に吸着される窒素成分が多くなって高純度の窒素ガスを生成できることが知られている。
混合ガスは、供給部としての混合ガス供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内に供給される。混合ガス供給通路(44)には、逆止弁(44a)が設けられている。混合ガス供給通路(44)は、ユニットケース(70)を通過する部分がガス流出口を構成している。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の流出口(加圧時の流出側のポート)は、逆流を防止するための第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)を介して、酸素タンク(39)に連通している。第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)と酸素タンク(39)との間には、オリフィス(61)が設けられている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気は、オリフィス(61)で減圧された後、酸素タンク(39)に一時的に貯留される。
酸素タンク(39)の流出口は、コンテナ(11)の庫外空間に繋がる酸素排出通路(45)に接続されている。酸素タンク(39)に貯留された酸素濃縮ガスは、酸素排出通路(45)を通ってコンテナ(11)の庫外に排出される。
また、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の流出口は、パージ弁(36)を介して互いに連通している。第1吸着筒(34)の流出口とパージ弁(36)との間の配管、及び第2吸着筒(35)の流出口とパージ弁(36)との間の配管には、オリフィス(62)がそれぞれ取り付けられている。
パージ弁(36)は、高圧側の吸着筒(34,35)から低圧側の吸着筒(35,34)に所定量の酸素濃縮ガスを導いて、低圧側の吸着筒(35,34)の吸着剤から窒素成分を放出させるのを補助するために用いられる。パージ弁(36)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
次に、混合ガス供給装置(30)の機械的な構造について具体的に説明する。図5〜図10は混合ガス供給装置(30)を表す図であり、図5はその外観形状を示す斜視図、図6は正面側から視た断面図、図7はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す平面図、図8はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す右側面図、図9はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す正面斜視図、図10はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す背面斜視図である。
図5及び図6に示すように、ユニットケース(70)はベース(71)とカバー(72)とを備えている。ベース(71)は、図6に示すように、混合ガス供給装置(30)の内部の機器を支持する支持プレート(71a)と、支持プレート(71a)の左右両端から下方へのびる脚部プレート(71b)と、各脚部プレート(71b)の下端からベース(71)の内向きにのびる取付プレート(71c)とを備えている。支持プレート(71a)と脚部プレート(71b)と取付プレート(71c)は、一枚の金属板を折り曲げることにより形成されている。また、上記ベース(71)の背面には、左右に延びる複数の平行なスリット(71e)が上下に並んで形成された通風プレート(71d)が設けられている。
上記カバー(72)は、4面の側板(72a)と、各側板(72a)の上端を閉塞する天板(72b)とを有している。このカバー(72)は、その下端部がベース(71)の上端部に取り付けられ、その取り付け部分が気密防水構造になっている。具体的には、図11に示すように、ベースの上端の全周に支持板(73)が固定されるとともに、カバー(72)の下端部の内側全周にシール材(74a)を保持したシール保持部(74)が設けられていて、支持板(73)にシール材(74a)をはめ込んだ状態でベース(71)とカバー(72)とをボルト等の締結部材で締め付けることにより、ユニットケース(70)を一体構造にしている。この一体構造のユニットケース(70)は、ベース(71)の支持プレート(71a)とカバー(72)とで囲まれた空間が、気密防水構造になった機器収納スペースになっている。
ユニットケース(70)における図5の右側の側面には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。ユニットケース(70)には、エアポンプ(31)がユニットケース(70)内に空気を吸い込むための空気流入口(75)が図4に示すように形成されており、上記メンブレンフィルタ(76)は、このユニットケース(70)の空気流入口(75)に装着されている。メンブレンフィルタ(76)は、上述したように通気性を有するため、エアポンプ(31)を起動すると、メンブレンフィルタ(76)を介してユニットケース(70)内に空気を吸い込むことが可能である。一方で、メンブレンフィルタ(76)は防水性を有していて水分が通過しないので、ユニットケース(70)内へ水分は浸入しない。なお、上記メンブレンフィルタ(76)には、例えば、日本ゴア株式会社のベントフィルターなどを用いることができる。
上記メンブレンフィルタ(76)は、プラスチック製の扁平なキャップ(メンブレンフィルタ本体部)(76a)と、キャップ(76a)の内部に装着された膜状のフィルタ部材(図示せず)とを備えている。キャップ(76a)は、ほぼ正六角形の形状で、外周面(76b)に空気通風口(図示せず)が形成されていて、その外周面の外からキャップ(76a)の内側に向かって流れ込む空気がフィルタ部材を通過するようになっている。また、フィルタ部材は、空気中に含まれている塵埃を捕捉する。捕捉された塵埃のほとんどは上記キャップ(76a)の外周面に付着する。そして、上記キャップ(76a)の外周面に付着した塵埃は、コンテナ(11)の庫外空間の気流の影響を受けてキャップ(76a)から除去される。
上述したように、上記ベース(71)とカバー(72)とを互いに組み付けて構成したユニットケース(70)の内部には、混合ガス供給装置(30)の構成部品を収納する機器収納スペースが形成されている。そして、図6から図10に示すように、ユニットケース(70)内には、エアポンプ(31)のポンプ機構部(31P)と、上記第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)と、上記第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)と、上記パージ弁(36)と、上記第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)と、上記酸素タンク(39)等の部品が設けられている。なお、図示は省略するが、ユニットケース(70)内の各部品は、図4の配管系統図に従って配管接続されている。また、ユニットケース(70)のカバー(72)には、図示していないが、混合ガスの流出口と酸素ガスの流出口が形成されている。
上記エアポンプ(31)は、図6,7,9において、ユニットケース(70)内のスペースの右側端部寄りの位置に配置されている。また、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、図6,7,9において、ユニットケース(70)内のスペースの左側端部寄りの位置に配置されている。エアポンプ(31)は、空気を吸入口(31s)から吸い込んで流出口(31d)から吐出するポンプ機構部(31P)と、該ポンプ機構部(31P)に連結されて該ポンプ機構部(31P)を駆動するモータ(31M)とから構成されている。上記エアポンプ(31)のモータ(31M)は、ベース(71)の下面から下方へ突出する状態でユニットケース(70)に装着されている。上記モータ(31M)は、少なくとも一部が上記ユニットケース(70)の外側に位置するように設ければよい。
上記モータ(31M)は、図12に示すように、該モータ(31M)のフランジ(取付部)(31f)をベース(71)の支持プレート(71a)にボルト等の締結部材(図示せず)で取り付けるように構成されている。具体的には、支持プレート(71a)のモータ取り付け孔(71f)にモータ(31M)の本体部(フランジ(31f)の下方の円筒状の部分)を上から通し、フランジ(31f)の下面が支持プレート(71a)に当接する状態でボルト等を締め付けて支持プレート(71a)に固定する。フランジ(31f)の下面にはシール溝(71g)が形成されていて、シール溝(71g)にはOリング(77)(シール部材)が装着されているので、支持プレート(71a)とフランジ(31f)は、気密で防水された状態となる。このようにモータ(31M)の取付部であるフランジ(31f)とユニットケース(70)の支持プレート(71a)の間にシール部材であるOリング(77)を設けた構造が、このユニットケース(70)のシール構造になっている。
以上説明したように、本実施形態では、上記混合ガス生成器として、空気中の窒素成分を吸脱着する吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)を備えている。また、エアポンプ(31)のポンプ機構部(31P)は、吸入口(31s)が開放されるとともに流出口(31d)が上記第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を介して第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に接続されている。そして、エアポンプ(31)は、上述したように、上記第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の一方に空気を供給して加圧することで空気中の窒素成分を吸着剤に吸着させる吸着動作を行う加圧部(31a)と、上記第1吸着筒(34)及び第2吸着部(35)の他方から空気を吸引して減圧することで吸着剤に吸着された窒素成分を脱着させる脱着動作を行う減圧部(31b)とを備えている。
また、上記ユニットケース(70)には、エアポンプ(31)に空気を供給するための空気の空気流入口(75)に加えて、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から窒素成分を含んだ混合ガスを送り出す流出口(図示せず)が設けられている。そして、上記ユニットケース内には、上記第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)を、上記吸着動作の対象と脱着動作の対象に交互に切り換える第1,第2方向制御弁(32,33)が切換部として設けられている。
そして、本実施形態の混合ガス供給装置(30)は、上記モータ(31M)が、上記コンテナ用冷凍装置(10)の庫外熱交換器である凝縮器(22)を通過する空気流れにおける該凝縮器(22)の上流側に配置されている。モータ(31M)が上記空気流れの上流側になるのは、庫外ファン(25)を起動すると、外気が庫外収納空間(S1)の下部に配置されている機器の周りを通ってから凝縮器を通過した後、庫外ファン(25)から吹き出されるからである。
また、モータ(31M)は、図において混合ガス供給装置(30)の右側端部寄りに配置されている。そのため、混合ガス供給装置(30)をコンテナ用冷凍装置(10)に取り付けた状態で、モータ(31M)は混合ガス供給装置(30)の部品としては庫外ファン(25)の近くに位置する。したがって、庫外ファン(25)により発生する気流がモータ(31M)の周囲を流れやすくなる。なお、モータ(31M)を通過した外気は、通風プレート(71d)のスリット(71e)を通って凝縮器(22)へ流れていく。
本実施形態の混合ガス供給装置(30)は、以上のように構成しているので、コンテナ用冷凍装置(10)の庫外収納空間(S1)に後付けで装着することができ、その場合には、コンテナ(11)の庫内へ窒素混合ガスを供給するための配管を混合ガス供給装置(30)とコンテナ(11)との間に接続すればよい。
なお、図6〜8等において、ユニットケース(70)内でポンプ機構部(31P)の後方に配置されているのは、制御基板等が収納された電装品モジュール(78)である。この電装品モジュール(78)では、制御基板等を板金部品で囲んだボックス構造を採用することにより、ノイズ対策が施されている。
上記構成の混合ガス供給装置(30)は、図1に示すように、庫外収納空間(S1)の左下のコーナー部に配置されている。また、図1において、混合ガス供給装置(30)の右側に配置されているのは、圧縮機(21)を可変速で駆動するための駆動回路が収納されたインバータボックス(29)である。インバータボックス(29)の発熱量と混合ガス供給装置(30)の発熱量を比較すると、インバータボックス(29)の発熱量の方が大きいため、インバータボックス(29)を庫外ファン(25)の近く(凝縮器(22)を通る気流の下流側)に配置しており、逆に言うと、混合ガス供給装置(30)を上記気流におけるインバータボックス(29)の上流側に配置している。
−運転動作−
制御部(55)は、酸素濃度検知センサ(51)の検知結果や、二酸化炭素濃度検知センサ(52)の検知結果に基づいて、混合ガス供給装置(30)の動作を制御する。以下、混合ガス供給装置(30)の動作を説明する。
本実施形態では、制御部(55)により、まず、酸素濃度検知センサ(51)で検知された庫内の酸素濃度が混合ガスの酸素濃度(酸素10%)よりも高いかどうかが判定される。庫内の酸素濃度が混合ガスの酸素濃度よりも高い場合には、混合ガス供給装置(30)からコンテナ(11)の庫内に混合ガス(窒素90%、酸素10%)が供給され、酸素濃度を下げる操作が行われる。
その後、酸素濃度検知センサ(51)で検知された酸素濃度が混合ガスの酸素濃度(酸素10%)以下に下がったかどうかが制御部(55)で判定される。庫内の酸素濃度が混合ガスの酸素濃度以下に下がっている場合には、混合ガスの供給動作が停止する。なお、このとき、コンテナ(11)の庫内に収納された植物(15)の呼吸作用によって、コンテナ(11)の庫内の酸素が植物(15)に取り込まれて二酸化炭素が放出される。
次に、上記制御部(55)により、酸素濃度検知センサ(51)で検知された庫内の酸素濃度が目標濃度(酸素5%)よりも低くなったかどうかが判定される。なお、本実施形態では、植物(15)がバナナである場合に酸素濃度の目標濃度を5%としているが、植物(15)がアボカドである場合には、目標濃度を3%とするのが好ましい。庫内の酸素濃度が目標濃度よりも低くなっている場合には、混合ガス供給装置(30)からコンテナ(11)の庫内に混合ガス(窒素90%、酸素10%)を供給するか、または吸気部(47)からコンテナ(11)の庫内に外気を供給し、酸素濃度を上昇させる操作を行う。なお、混合ガスの供給と外気の供給とを同時に行うようにしてもよい。その後、上述した処理が最初から繰り返される。
一方、コンテナの庫内の二酸化炭素濃度は、以下のようにして調整される。このときは、まず、二酸化炭素濃度検知センサ(52)で検知された庫内の二酸化炭素濃度が所定の目標濃度(二酸化炭素5%)よりも高いかどうかが制御部(55)により判定される。なお、本実施形態では、植物(15)がバナナである場合に二酸化炭素濃度の目標濃度を5%としているが、植物(15)がアボカドである場合には、目標濃度を10%とするのが好ましい。
庫内の二酸化炭素濃度が目標濃度よりも高い場合、混合ガス供給装置(30)からコンテナ(11)の庫内に混合ガス(窒素90%、酸素10%)を供給するか、または排気部(46)からコンテナ(11)の庫内の空気を庫外に排気することにより、二酸化炭素濃度を下げる操作が行われる。このとき、混合ガスの供給と庫内空気の排気とを同時に行うようにしてもよい。
そして、二酸化炭素濃度検知センサ(52)で検知された庫内の二酸化炭素濃度が目標濃度以下に下がったかどうかが制御部(55)で判定され、庫内の二酸化炭素濃度が目標濃度以下に下がっている場合は、混合ガスの供給を停止するか、または庫内空気の排気を停止する。その後、上述した処理を最初から繰り返す。
以上のように制御することにより、庫内の酸素濃度と二酸化炭素濃度が調整される。
−実施形態1の効果−
この実施形態1によれば、ユニットケース(70)内にエアポンプ(31)のポンプ機構部(31P)や吸着筒(34,35)などの部品を収納することにより、混合ガス供給装置(30)を1つのユニットにしているので、この混合ガス供給装置(30)をコンテナ用冷凍装置(10)に後付けして用いることが可能になる。したがって、既存のコンテナ(11)であってもこのユニット型の混合ガス供給装置(30)を装着すれば、窒素混合ガスにより庫内の酸素濃度を調整することが可能になる。また、混合ガス供給装置(30)をユニット化したことにより、混合ガス供給装置(30)に故障が生じたときにはユニットごと簡単に交換できる。
また、本実施形態の混合ガス供給装置(30)は、ユニット化した一体型構造のユニットケース(70)内に部品を組み込み、かつユニットケース(70)にメンブレンフィルタ(76)を取り付けたものであって防水性と通気性を兼ね備えた構造である。したがって、外気温度の変動が激しい環境でもユニットケース(70)の内外の温度差が生じにくいので、ユニットケース(70)内に結露が生じにくく、電気部品の絶縁不良が発生するおそれが少ない。
また、ユニットケース(70)が気密構造ではないので、内外の圧力差による毛細管現象でユニットケース(70)の隙間から水分が浸入することが起こりにくく、電気部品の絶縁不具合が発生するおそれも少ない。一方、ユニットケース(70)は防水性を備えているので、洋上雰囲気によりユニットケース(70)の内部の電気部品や金属部品が塩害で腐食するのも抑えられる。
また、この実施形態1によれば、空気中の窒素成分を吸脱着する吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)を混合ガス生成器として用いるようにしているので、空気中の窒素ガスを利用して装置を簡単に実用化することができる。また、第1吸着筒(34)と第2吸着筒(35)を吸着動作の対象と脱着動作の対象に交互に切り換えることにより、コンテナ(11)の庫内へ窒素混合ガスを連続して供給することができるから、酸素濃度の調整を必要なときに確実に行うことができる。
また、本実施形態によれば、ユニットケース(70)の側面に設けられたメンブレンフィルタ(76)に空気中の塵埃が付着するものの、メンブレンフィルタ(76)をユニットケース(70)の上面ではなく側面に設けているので、コンテナ(11)の移送時の混合ガス供給装置(30)の振動などで塵埃がメンブレンフィルタ(76)から容易に脱離する。したがって、メンブレンフィルタ(76)のメンテナンス性が向上する。
さらに、この実施形態1では、発熱部であるエアポンプ(31)のモータ(31M)のみがユニットケース(70)の外に位置するように構成し、このモータ(31M)が庫外ファン(25)の気流で冷却されるようにしているので、モータ(31M)の動作を安定させることができるとともに、モータ(31M)をユニットケース(70)内に入れて専用の冷却用ブロアを設けるような場合に比べて部品やコストを削減できる。また、ユニットケース(70)の内部にモータ(31M)を収納した場合にはモータ(31M)の発熱が他の構成部品に影響して混合ガス供給装置(30)の信頼性が低下するおそれがあるが、この実施形態1ではモータ(31M)をユニットケース(70)の外に配置しているので,混合ガス供給装置(30)の信頼性も低下しない。
また、モータ(31M)のみがユニットケース(70)の外部に位置するように構成しているが、該モータ(31M)のフランジ(31f)をシール部材であるOリング(77)を介してユニットケース(70)に取り付けているので、混合ガス供給装置(30)の防水性能が低下するのも防止できる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
図13及び図14に示す実施形態2は、ポンプ機構部(31P)とモータ(31M)の取り付け構造が実施形態1とは異なっている。図13は、実施形態2の混合ガス供給装置(30)を正面側から視た断面図、図14は、混合ガス供給装置(30)の内部の機器配置を実線で示す右側面図である。
この実施形態2では、ポンプ機構部(31P)を、ユニットケース(70)の支持プレート(71a)よりも上方に位置するように配置している。そのため、ポンプ機構部(31P)は、支持プレート(71a)の上面にブラケット(80)を取り付け、そのブラケット(80)の上端に固定されている。
一方、モータ(31M)は、支持プレート(71a)の下面にOリングなどのシール部材(図示せず)を介して取り付けられている。そして、モータ(31M)の出力軸(81)とポンプ機構部(31P)の駆動軸(82)が同一軸心上で対向するように配置し、これらの軸(81,82)がカップリング(83)で連結されている。このことにより、モータ(31M)が回転するとポンプ機構部(31P)が駆動されるので、メンブレンフィルタ(76)からユニットケース(70)内に吸入された空気がポンプ機構部(31P)に吸い込まれて、窒素混合ガスの生成に用いられる。
この実施形態2は、ポンプ機構部(31P)とモータ(31M)の取り付け構造を除いては、実施形態1と同様に構成されている。したがって、上記以外の構成についての具体的な説明は省略する。
この実施形態2においても、発熱部であるモータ(31M)のみがユニットケース(70)の外に出るように配置することにより、モータ(31M)を冷却する専用のブロアなどの機器が不要となる。したがって、コストや部品点数を低減し、モータ放熱構造の信頼性向上を実現することができる。
また、モータ(31M)とポンプ機構部(31P)の軸(81,82)同士をカップリング(83)で連結する構造にするとともに、モータ(31M)をユニットケース(70)の支持プレート(71a)の下面にOリングを介して固定しているので、モータ(31M)を取り付ける部分のシール性能を確保できる。したがって、ユニットケース(70)の防水性能も確保できる。
その他、この実施形態2においても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
《発明の実施形態3》
次に、実施形態3について説明する。
この実施形態3は、混合ガス供給装置(30)の構成が上記各実施形態とは異なっている。
図15は、実施形態3に係るコンテナ用冷凍装置を庫外側から視た斜視図、図16は、コンテナ用冷凍装置の構成を示す側面断面図、図17は、混合ガス供給装置の構成を示す配管系統図である。
供給通路(44)には、逆止弁(44a)に代えて、逆流防止用の電磁弁(44b)が設けられている。供給通路(44)は、一端がエアポンプ(31)の減圧部(31b)に接続され、他端がコンテナ(11)の庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)において開口している。エアポンプ(31)の減圧部(31b)に吸引された混合ガスは、供給通路(44)を通ってコンテナ(11)の庫内に供給される。なお、上記1次空間(S21)は、庫内収納空間(S2)が区画壁(13)で上下に区画された空間のうち、庫内ファン(26)の吸込側の空間であり、庫内ファン(26)の吹出側は2次空間(S22)である。
本実施形態では、酸素濃度検知センサ(51)と二酸化炭素濃度検知センサ(52)とが1つのセンサユニット(50)に設けられている。センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられている。センサユニット(50)は、上記酸素濃度検知センサ(51)及び二酸化炭素濃度検知センサ(52)と、固定プレート(53)と、メンブレンフィルタ(54)と、連絡管(56)と、排気管(57)とを有している。
センサが収納された酸素センサボックス(51a)の外面は、固定プレート(53)に固定されている。酸素センサボックス(51a)の外面であって固定プレート(53)への固定面とは反対側の面には、開口が形成され、該開口には、メンブレンフィルタ(54)が取り付けられている。また、酸素センサボックス(51a)の下面には、コネクタを介して後述する分岐管(91)が連結されている。さらに、酸素センサボックス(51a)の一方の側面には、コネクタを介して連絡管(56)が連結されている。
二酸化炭素濃度検知センサ(52)は、二酸化炭素センサボックス(52a)を有し、二酸化炭素センサボックス(52a)の一方の側面には、コネクタを介して連絡管(56)が連結されている。また、二酸化炭素センサボックス(52a)の他方の側面には、コネクタを介して排気管(57)が連結されている。
メンブレンフィルタ(54)は、通気性と防水性を有するフィルタであり、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と酸素センサボックス(51a)の内部空間とを連通させる一方、2次空間(S22)から酸素センサボックス(51a)の内部空間へ気体が通過する際に、該気体中の水分の内部空間への侵入を阻止する。
連絡管(56)は、上述のように、酸素センサボックス(51a)の側面と二酸化炭素センサボックス(52a)の側面とに連結され、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とを連通させている。
排気管(57)は、上述のように、一端が、二酸化炭素センサボックス(52a)の他方の側面に連結され、他端が、庫内ファン(26)の吸込口の近傍において開口している。つまり、排気管(57)は、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間と庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)とを連通させている。以上の構成により、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサボックス(51a)の内部空間、連絡管(56)、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間、及び排気管(57)を介して連通している。そして、庫内ファン(26)を運転すると、1次空間(S21)の圧力が2次空間(S22)の圧力よりも低くなるので、2次空間(S22)の庫内空気が、酸素濃度検知センサ(51)と二酸化炭素濃度検知センサ(52)をこの順に通過する。
図17に示すように、供給通路(44)は、測定用開閉弁(92)が設けられた分岐管(91)に分岐し、供給通路(44)を流れる混合ガスの一部が分岐管(91)に分流して酸素濃度検知センサ(51)に導かれる。
具体的には、分岐管(91)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素濃度検知センサ(51)の酸素センサボックス(51a)に連結されている。このような構成により、分岐管(91)は、供給通路(44)と酸素センサボックス(51a)の内部空間とを連通させる。測定用開閉弁(92)は、分岐管(91)のユニットケース(70)内の部分に設けられ、分岐管(91)を開閉する。測定用開閉弁(92)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
混合ガス供給装置(30)のその他の配管系統は実施形態1と同じである。
次に、混合ガス供給装置(30)の機械的な構造について具体的に説明する。図18〜図23は実施形態3の混合ガス供給装置(30)を表す図であり、図18はその外観形状を示す斜視図、図19はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す正面図、図20はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す平面図、図21はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す左側面図、図22はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す正面斜視図、図23はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す背面斜視図である。
図18および図19に示すように、ユニットケース(70)は、ベース(71)とカバー(72)とを備えている。ベース(71)は、図18および図19に示すように、混合ガス供給装置(30)の内部の機器を支持する有底角筒状の支持台部(71h)と、この支持台部(71h)の左右両端に取り付けられて下方へのびる脚部プレート(71b)と、各脚部プレート(71b)の下端から右方向(正面から見て右方向)へのびる取付プレート(71c)とを備えている。
上記カバー(72)は、4面の側板(72a)と、各側板(72a)の上端を閉塞する天板(72b)とを有している。天板(72b)の一端部(図19で左側上端の角部)は、ユニットケース(70)の中心側から外方へ向かうにつれて低くなるように傾斜した傾斜部(72c)となっている。傾斜部(72c)には、排熱用のチューブ(図示せず)が接続されるチューブ接続部(72e)が設けられている。カバー(72)は、その下端部がベース(71)の上端部に取り付けられている。ユニットケース(70)は、支持台部(71h)とカバー(72)とで囲まれた空間が、気密防水構造になった機器収納スペースになっている。
図18および図23に示すように、支持台部(71h)における正面側および背面側の側面には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。ユニットケース(70)には、エアポンプ(31)が空気を吸い込むための空気流入口(75)が図17に示すように形成されている。また、ユニットケース(70)には、冷却ファン(79)がユニットケース(70)内に空気を吸い込むための冷却空気流入口(79a)が形成されている。空気流入口(75)は、支持台部(71h)の正面の左端部に形成され、冷却空気流入口(79a)は、支持台部(71h)の正面の中央部および背面の中央部に形成されている(図22,23等を参照)。上記メンブレンフィルタ(76)は、これらの空気流入口(75)および冷却空気流入口(79a)に装着されている。
メンブレンフィルタ(76)は、上述したように通気性を有するため、エアポンプ(31)を起動すると、メンブレンフィルタ(76)を介して空気を吸い込むことが可能である。また、冷却ファン(79)を起動すると、メンブレンフィルタ(76)を介してユニットケース(70)内に空気を吸い込むことが可能である。一方で、メンブレンフィルタ(76)は防水性を有していて水分が通過しないので、ユニットケース(70)内へ水分は侵入しない。
メンブレンフィルタ(76)をユニットケース(70)に取り付ける構造を図24,図25に示している。メンブレンフィルタ(76)は、上述したように、扁平なキャップ(メンブレンフィルタ本体部)(76a)と、キャップ(76a)の内部に装着された膜状のフィルタ部材(図示せず)とを備えている。また、キャップ(76a)の裏面側には雄ねじ部(76c)が一体的に形成されていて、この雄ねじ部(76c)にナット(76d)を締め付けることにより、メンブレンフィルタ(76)を、キャップ(76a)とナット(76d)でユニットケース(70)の支持台部(71h)の側板を挟み付けて取り付けるようになっている。
支持台部(71h)の側板の裏面には、ナット(76d)の保持と位置決め(回り止め)をするためのナットホルダ(85)が固定されている。ナットホルダ(85)は、支持台部(71h)の側板に固定される固定部(85a)と、ナット(76d)に形成されている鍔部(76e)を押さえて保持するための押さえ部(85b)とが一体に形成された部材であり、押さえ部(85b)を支持台部(71h)の側板から鍔部(76e)の厚さ分だけ浮かせた状態で固定部(85a)と押さえ部(85b)とを連接する傾斜部(85c)を備えている。押さえ部(85b)は、ナット(76d)の二面幅とほぼ一致する内寸で形成された一対の回り止め部(85d)を有している。なお、ナットホルダ(85)の具体的な形状や構造は、ユニットケース(70)の側板の裏面にナット(76d)を保持して回り止めすることができる構成であれば、適宜変更してもよい。
この構成によれば、支持台部(71h)の側板と押さえ部(85b)との間の隙間に鍔部(76e)を挿入することにより、ナット(76d)を支持台部(71h)の裏面でナットホルダ(85)により保持することができる。そして、メンブレンフィルタ(76)は、ユニットケース(70)の外側からナット(76d)に雄ねじ部(76c)を締め付けることにより、ユニットケース(70)を組み立てた後でも工具などを用いずに支持台部(71h)に取り付けることができる。また、取り外しも同様に工具を用いずにユニットケース(70)が組み立てられたままで行えるので、メンテナンス作業を容易に行える。
また、コンテナ用冷凍装置(10)には、図26に示すように、庫外収納空間(S1)に、上記メンブレンフィルタ(76)の正面側に位置する正面カバー(86)が設けられている。正面カバー(86)は、混合ガス供給装置(30)の下部のほぼ半分を正面側(庫外収納空間(S1)の開放側)から覆っている。正面カバー(86)は、メンブレンフィルタ(76)を前方から覆うことでメンブレンフィルタ(76)に海水などがかかりにくくする一方、メンブレンフィルタ(76)よりも下方の位置には複数の通気孔(86a)が形成されていて混合ガス供給装置(30)への空気の流れを邪魔しないようになっている。
一方、上記ユニットケース(70)の側面には、図18及び図21に示すように、正面側の2つのメンブレンフィルタ(76)の上方部分を覆うフィルタカバー(72d)が設けられている。これにより、当該メンブレンフィルタ(76)に上方から海水がかかったり、塵が溜まったりするのを防止することができるようになっている。フィルタカバー(72d)は、カバー(72)の正面側の側板(72a)の下端に、外方へ傾斜して下方にのびる形状に形成されている。
上述したように、上記ベース(71)とカバー(72)とを互いに組み付けて構成したユニットケース(70)の内部には、混合ガス供給装置(30)の構成部品を収納する機器収納スペースが形成されている。そして、図19から図23に示すように、ユニットケース(70)内には、エアポンプ(31)のポンプ機構部(31P)と、2つの冷却ファン(79)と、上記第1方向制御弁(32)および第2方向制御弁(33)と、上記第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)と、上記パージ弁(36)と、上記第1逆止弁(37)および第2逆止弁(38)と、上記酸素タンク(39)等の部品が設けられている。なお、ユニットケース(70)内の各部品は、図17の配管系統図に従って配管接続されている。また、ユニットケース(70)のカバー(72)には、混合ガスの流出口と酸素ガスの流出口が形成されている。
上記エアポンプ(31)は、ユニットケース(70)内のスペースの左側端部寄りの位置に配置されている。また、第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)は、ユニットケース(70)内のスペースの右側端部寄りの位置に配置されている。エアポンプ(31)は、空気を吸入口から吸い込んで流出口から吐出するポンプ機構部(31P)と、該ポンプ機構部(31P)に連結されて該ポンプ機構部(31P)を駆動するモータ(31M)とから構成されている。上記ポンプ機構部(31P)は、上記傾斜部(72c)の下方に配置されている。上記エアポンプ(31)のモータ(31M)は、支持台部(71h)の下面から下方へ突出する状態でユニットケース(70)に装着されている。上記モータ(31M)は、少なくとも一部が上記ユニットケース(70)の外側に位置するように設ければよい。
冷却ファン(79)は、正面側および背面側の2つの冷却空気流入口(79a)の近くに1つずつ設けられている。各冷却ファン(79)は、対応する冷却空気流入口(79a)からユニットケース(70)内へ流入した空気を、エアポンプ(31)のポンプ機構部(31P)に向かって送風するように構成されている。(図17参照)
また、冷却ファン(79)が吹き出した空気の一部は、ユニットケース(70)内に設けられた分流ダクト(84)を通って、ポンプ機構部(31P)の上方の空間に導かれる。かかる空間、つまり上記傾斜部(72c)の下方の空間には、第1および第2方向制御弁(32,33)等の電気部品が配置されており、分流ダクト(84)から流れ出た空気によりこれらの電気部品が冷却される。なお、各冷却ファン(79)が吹き出した空気のうち約3分の1を分流ダクト(84)に流入させるのが好ましい。
エアポンプ(31)のポンプ機構部(31P)は、吸入口(31s)が空気流入口(75)に吸入管(75a:図17参照)を介して接続されるとともに、流出口(31d)が上記第1方向制御弁(32)および第2方向制御弁(33)を介して第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)に接続されている。そして、エアポンプ(31)は、上述したように、実施形態1と同様、上記第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)の一方に空気を供給して加圧することで空気中の窒素成分を吸着剤に吸着させる吸着動作を行う加圧部と、上記第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)の他方から空気を吸引して減圧することで吸着剤に吸着された窒素成分を脱着させる脱着動作を行う減圧部とを備えている。
上記ユニットケース(70)には、エアポンプ(31)に空気を供給するための空気流入口(75)に加えて、第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)から窒素成分を含んだ混合ガスを送り出す流出口(図示せず)が設けられている。そして、上記ユニットケース(70)内には、上記第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)を、上記吸着動作の対象と脱着動作の対象に交互に切り換える上述の第1および第2方向制御弁(32,33)が切換部として設けられている。また、ユニットケース(70)内における第1および第2吸着筒(34,35)の右方には、制御基板を有する電装品モジュール(78)が配置されている。
本実施形態の混合ガス供給装置(30)は、以上のように構成されているので、コンテナ用冷凍装置(10)の庫外収納空間(S1)に後付けで装着することができる。また、コンテナ(11)の庫内へ窒素混合ガスを供給するための配管は、混合ガス供給装置(30)とコンテナ(11)との間に接続される。
この実施形態3によれば、上記実施形態1と同様の効果が得られることに加えて、メンブレンフィルタ(76)を上方から覆うフィルタカバー(72d)と正面から覆う正面カバー(86)を設けているので、メンブレンフィルタ(76)に海水がかかったり塵が溜まったりするのを防止できる。そのため、メンブレンフィルタ(76)の通気性を長期間保つことができるから、ポンプ性能が早期に低下するような問題が生じるのを防止できる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、エアポンプ(31)が加圧部(31a)と減圧部(31b)とを有する構成とし、エアポンプ(31)の減圧部(31b)によって窒素濃縮ガスを吸引しているが、例えば、窒素濃縮ガスを吸い込むための吸引ポンプを別途設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の2本の吸着筒を用いて窒素成分の吸着及び脱着を行うようにしたが、吸着筒の本数は特に限定するものではない。例えば、6本の吸着筒を用いた構成であってもよい。
また、上記実施形態では、窒素成分を含んだ混合ガスによりコンテナ庫内の酸素濃度を調整して植物の変色や腐敗を抑えるようにしているが、酸素濃度を同様に調整できる限りは、混合ガスは窒素混合ガスに限定しなくてもよい。
要するに、本発明は、混合ガス供給装置(30)をユニット化する構成において、ユニットケース(70)自体を気密防水構造にするとともに、ユニットケース(70)にメンブレンフィルタ(76)を設けて通気性を持たせている限りは、他の構成は適宜変更してもよい。