JP2015197879A - 位置センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】検知する押圧位置の位置精度に優れているとともに、押圧の検知感度にも優れている位置センサを提供する。
【解決手段】位置センサは、格子状のコア2が四角形シート状のアンダークラッド層1とオーバークラッド層3とで挟持された四角形シート状の光導波路Wと、上記格子状のコア2を構成する線状のコア2の一端面に接続された発光素子4と、上記線状のコア2の他端面に接続された受光素子5とを備えている。そして、コア2の弾性率が、アンダークラッド層1およびオーバークラッド層2よりも大きく、コア2の厚みと幅との比が2以上に設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、押圧位置を光学的に検知する位置センサに関するものである。
従来より、押圧位置を光学的に検知する位置センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このものは、光路となる複数の線状のコアを縦横方向に配置し、それらコアの周縁部をクラッドで覆うことによりシート状の光導波路を形成し、上記各コアの一端面に発光素子からの光を入射させ、各コア内を伝播してきた光を、各コアの他端面で受光素子により検出するようになっている。そして、上記コアの縦横配置部分に対応する、光導波路の表面の一部をペン先等で押圧すると、その押圧部分が押圧方向に凹んでコアがつぶれ(押圧方向のコアの断面積が小さくなり)、その押圧部分のコアでは、上記受光素子での光の検出レベルが低下することから、上記押圧部分の縦横位置(座標)を検知できるようになっている。
特開平8−234895号公報
上記のような光導波路を用いた位置センサにおいて、押圧の検知感度を高くするためには、すぐにコアがつぶれるよう、コアを薄く形成する必要がある。しかしながら、コアが薄いと、コア内を伝播する光が少なく、押圧により受光素子での光の検出レベルが低下しても、その低下の度合が小さいため、受光素子がそれを感知できず、押圧を検知できないことがある。すなわち、上記従来の位置センサでは、押圧の検知感度を充分に高めることができない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、押圧の検知感度に優れている位置センサの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の位置センサは、格子状に形成された複数の線状のコアと、このコアを支持するアンダークラッド層と、上記コアを被覆するオーバークラッド層とを有するシート状の光導波路と、この光導波路のコアの一端面に接続された発光素子と、上記コアの他端面に接続され上記発光素子から発せられコアを経て到達する光の受光素子とを備え、上記格子状のコア部分に対応する光導波路の表面部分が入力領域に形成され、その入力領域における押圧個所がその押圧による上記受光素子での受光強度の減衰により特定される位置センサであって、上記光導波路が下記の(A)および(B)を満たしているという構成をとる。
(A)上記コアの弾性率が、上記アンダークラッド層の弾性率および上記オーバークラッド層の弾性率よりも大きく設定され、上記シート状の光導波路の表面の押圧状態で、その押圧方向のコアの断面の変形率が、オーバークラッド層およびアンダークラッド層の断面の変形率よりも小さくなるようになっている。
(B)上記コアの厚み(T)と幅(L)との比(T/L)が2以上である。
なお、本発明において、上記(A)の「変形率」とは、押圧方向における、コア,オーバークラッド層およびアンダークラッド層の押圧前の各厚みに対する、押圧時の各厚みの変化量の割合をいう。
本発明者らは、押圧の検知感度を高めるべく、まず、コアの変形部分での光伝播について、研究を重ねた。その研究の過程で、従来のように、押圧でコアがつぶれるようにするのではなく、逆に、上記押圧でコアがつぶれないようにすることを着想した。そこで、コアの弾性率を、アンダークラッド層の弾性率およびオーバークラッド層の弾性率よりも大きく設定した。すると、オーバークラッド層は、押圧方向につぶれるように変形し、コアは、断面形状を殆ど変化させることなく(殆どつぶれることなく)、アンダークラッド層に沈むように曲がった。そして、そのコアの曲がりが原因で、コアからの光の漏れ(散乱)が発生することがわかった。すなわち、押圧部分のコアでは、光の漏れ(散乱)により、受光素子での光の検出レベル(受光量)が低下し、この光の検出レベルの低下から、押圧位置を検知することができるのである。このように、コアの弾性率を大きくし、押圧でコアがつぶれないようにしても、押圧でコアが曲がるようにすることにより、押圧位置を検知できることを突き止めた。
ついで、本発明者らは、上記のようにコアが曲がった部分の光の漏れ(散乱)について、研究を重ねた。その結果、コアの厚み(T)が厚い程、光が漏れ易く(散乱し易く)なることを突き止めた。そして、コアの厚み(T)と幅(L)との比(T/L)が2以上となるように設定すると、コアの厚み(T)が幅(L)に対し相対的に厚くなることから、押圧によりコアが上記のように曲がった部分では、光が漏れ易く(散乱し易く)なることを突き止めた。
このように、線状のコアの弾性率を、アンダークラッド層の弾性率およびオーバークラッド層の弾性率よりも大きく設定し、さらに、線状のコアを厚く形成することにより、押圧の検知感度が高くなることを見出し、本発明に到達した。
本発明の位置センサは、コアの弾性率が、アンダークラッド層の弾性率およびオーバークラッド層の弾性率よりも大きく設定されている。そのため、光導波路のオーバークラッド層の表面を押圧したときに、その押圧方向のコアの断面の変形率が、オーバークラッド層およびアンダークラッド層の断面の変形率よりも小さくなり、コアを、殆どつぶさないようにして、アンダークラッド層に沈むように曲げることができる。そして、コアの厚み(T)と幅(L)との比(T/L)が2以上となるように設定されているため、コアの厚み(T)が幅(L)に対し相対的に厚く、押圧によりコアが上記のように曲がった部分では、光が漏れ(散乱)し易くなっている。そのため、本発明の位置センサは、押圧の検知感度に優れたものとなっている。
特に、上記コアの形成材料が、軟化点70〜130℃のエポキシ樹脂を70〜100重量%含有するエポキシ樹脂を主成分とし、エポキシ当量が100〜1200g/eqに調製された樹脂組成物である場合には、エポキシ当量が100〜1200g/eqと低いことから、コア形成時に、その形成材料の硬化が速く、しかも、主成分のエポキシ樹脂が、軟化点が70〜130℃と高いエポキシ樹脂を70〜100重量%と多く含有することから、コア形成時に、その形成材料が殆ど流動しない。そのため、上記厚み(T)と幅(L)との比(T/L)が2以上のコアが、適正な形状となっている。
本発明の位置センサの第1の実施の形態を模式的に示し、(a)はその平面図であり、(b)はその拡大断面図である。 上記位置センサの使用状態を模式的に示す断面図である。 (a),(b)は、コアの曲がった部分での光の反射角度を模式的に示す拡大断面図である。 (a)〜(d)は、光導波路の製法を模式的に示す説明図である。 本発明の位置センサの第2の実施の形態を模式的に示す拡大断面図である。 本発明の位置センサの第3の実施の形態を模式的に示す拡大断面図である。 (a)〜(f)は、上記位置センサにおける格子状のコアの交差形態を模式的に示す拡大平面図である。 (a),(b)は、上記格子状のコアの交差部における光の進路を模式的に示す拡大平面図である。
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
図1(a)は、本発明の位置センサの第1の実施の形態を示す平面図であり、図1(b)は、その中央部の断面を拡大した図である。この実施の形態の位置センサは、格子状のコア2が四角形シート状のアンダークラッド層1とオーバークラッド層3とで挟持された四角形シート状の光導波路Wと、上記格子状のコア2を構成する線状のコア2の一端面に接続された発光素子4と、上記線状のコア2の他端面に接続された受光素子5とを備えている。そして、上記コア2の弾性率が、上記アンダークラッド層1の弾性率および上記オーバークラッド層3の弾性率よりも大きく設定されている。これにより、上記四角形シート状の光導波路Wの表面を押圧したときに、その押圧方向のコア2の断面の変形率が、オーバークラッド層3およびアンダークラッド層1の断面の変形率よりも小さくなるようになっている。また、上記コアの厚み(T)と幅(L)との比(T/L:アスペクト比)が2以上となるように設定されている。
また、上記発光素子4から発光された光は、上記コア2の中を通り、上記受光素子5で受光されるようになっている。そして、格子状のコア2の部分に対応するオーバークラッド層3の表面部分が、入力領域となっている。なお、図1(a)では、コア2を鎖線で示しており、鎖線の太さがコア2の太さを示している。また、図1(a)では、コア2の数を略して図示している。そして、図1(a)の矢印は、光の進む方向を示している。
上記のように、格子状のコア2がアンダークラッド層1およびオーバークラッド層3で挟持されたシート状の光導波路Wを有する位置センサにおいて、上記コア2の弾性率が、上記アンダークラッド層1の弾性率および上記オーバークラッド層3の弾性率よりも大きく設定されていることが、本発明の大きな特徴の一つである。このような光導波路Wを有することにより、上記入力領域の部分を押圧したときに、その押圧方向の断面では、弾性率の小さいオーバークラッド層3がつぶれるように変形し、弾性率の大きいコア2は、断面形状を殆ど変化させることなく(殆どつぶれることなく)、弾性率の小さいアンダークラッド層1に沈むように曲がるようになっている。
すなわち、上記位置センサにより押圧位置を検知する際には、例えば、図2に断面図で示すように、位置センサを、アンダークラッド層1の裏面が机30等の硬い物の表面に接するようにして載置した状態で、オーバークラッド層3の入力領域の部分を、ペン先10a等で押圧する。このとき、上記のように、コア2は、断面形状を殆ど変化させることなく(殆どつぶれることなく)、アンダークラッド層1に沈むように曲がる。そのコア2の曲がった部分では、その曲がりが原因で、コアからの光の漏れ(散乱)が発生する。そのため、ペン先10a等で押圧されたコア2では、受光素子5での光の検出レベルが低下し、その光の検出レベルの低下から、ペン先10a等による押圧位置を検知することができる。なお、上記押圧位置の検知は、上記入力領域の表面に、樹脂フィルム,紙等を介して行ってもよい。
上記コア2の弾性率は、1GPa〜10GPaの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、2GPa〜5GPaの範囲内である。コア2の弾性率が小さすぎると、ペン先10a等の形状により、そのペン先10a等の押圧で、コア2がつぶれる場合があり、ペン先10a等の位置を適正に検知できないおそれがある。一方、コア2の弾性率が高すぎると、ペン先10a等の押圧で、コア2が充分に曲がらない場合がある。そのため、コア2からの光の漏れ(散乱)が発生せず、受光素子5での光の検出レベルが低下しなくなることから、ペン先10aの位置を適正に検知できないおそれがある。
上記オーバークラッド層3の弾性率は、0.1MPa以上10GPa未満の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、1MPa以上5GPa未満の範囲内である。オーバークラッド層3の弾性率が小さすぎると、柔らかすぎて、ペン先10a等の形状により、そのペン先10a等の押圧で、破損する場合があり、コア2を保護することができなくなる。一方、オーバークラッド層3の弾性率が高すぎると、ペン先10a等の押圧によっても、つぶれるように変形しなくなり、コア2がつぶれ、ペン先10a等の位置を適正に検知できないおそれがある。
上記アンダークラッド層1の弾性率は、0.1MPa〜1GPaの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、1MPa〜100MPaの範囲内である。アンダークラッド層1の弾性率が小さすぎると、柔らかすぎて、ペン先10a等で押圧した後、元の状態に戻らず、連続的に行えない場合がある。一方、アンダークラッド層1の弾性率が高すぎると、ペン先10a等の押圧によっても、つぶれるように変形しなくなり、コア2がつぶれ、ペン先10a等の位置を適正に検知できないおそれがある。
ここで、上記のようにコア2の弾性率を大きくすることにより、押圧でコア2が殆どつぶれないことから、押圧でコア2は幅方向に殆ど広がらないようになる。そのため、この実施の形態では、隣り合う線状コア2の間の隙間を狭く設定することができる。さらに、線状のコア2の幅(L)を細く設定すると、線状のコア2の配置密度を高くすることができ、検知する押圧位置の位置精度を高めることができる。
また、この実施の形態では、図1(a)に示すように、複数の線状のコア2は、発光素子4から前記格子状の部分までの中継部分と、その格子状の部分から受光素子5までの中継部分とが、上記格子状の部分の外周に沿った状態で配置されている。このようなコア2の配置を有する位置センサでは、上記のように、隣り合う線状コア2の間の隙間を狭く設定するとともに、コアの幅(L)を細く設定することにより、上記格子状の部分の外周に配置された上記中継部分(枠状部分)の幅を狭くすることができ、位置センサの省スペース化を図ることができる。例えば、上記格子状の部分から受光素子5まで247本のコア2を並列させた上記中継部分の幅は、この実施の形態では約3cmと非常に狭くすることができる。
また、上記コア2の曲がった部分での光の漏れ(散乱)について、コア2が厚い〔図3(a)の拡大断面図参照〕場合と薄い場合〔図3(b)の拡大断面図参照〕とを比較すると、コア2が厚い方が、光(鎖線で図示)の反射角度αが大きくなることから、光が漏れ易く(散乱し易く)なっている。すなわち、コア2が厚い方が、押圧を検知し易くなっている。そこで、この実施の形態では、押圧の検知感度を高めるために、先に述べたように、コア2の厚み(T)と幅(L)とのアスペクト比(T/L)が2以上となるように設定されている。このことも、本発明の大きな特徴の一つである。
上記のような特性を有するコア2,アンダークラッド層1およびオーバークラッド層3の形成材料としては、例えば、感光性樹脂,熱硬化性樹脂等があげられ、なかでも、光導波路Wの作製容易性の観点から、感光性樹脂とすることが好ましい。コア2の屈折率は、アンダークラッド層1およびオーバークラッド層3の屈折率よりも大きく設定されている。その屈折率の調整は、例えば、各形成材料の種類の選択や組成比率を調整して行うことができる。
特に、コア2の形成材料は、上記のようにアスペクト比が2以上となるように形成することが容易になる観点から、例えば、軟化点70〜130℃の範囲内のエポキシ樹脂を70〜100重量%の範囲内で含有するエポキシ樹脂を主成分とし、エポキシ当量が100〜1200g/eqの範囲内に調製されている樹脂組成物であることが好ましい。すなわち、エポキシ当量が100〜1200g/eqの範囲内と低いと、コア形成時に、その形成材料の硬化が速く、しかも、主成分のエポキシ樹脂が、軟化点が70〜130℃の範囲内と高いエポキシ樹脂を70〜100重量%と多く含有すると、コア形成時に、コア2の形成材料が殆ど流動しない。より好ましいコア2の形成材料は、軟化点70〜100℃の範囲内のエポキシ樹脂を80〜100重量%の範囲内で含有するエポキシ樹脂を主成分とし、エポキシ当量が100〜400g/eqの範囲内に調製されている樹脂組成物である。なお、上記主成分とは、コア2の形成材料全体の過半を占める成分のことをいい、全体が主成分のみからなる場合も含める趣旨である。
また、この実施の形態の光導波路Wは、シート状のアンダークラッド層1の表面部分に、格子状のコア2が埋設されて、上記アンダークラッド層1の表面とコア2の頂面とが面一に形成され、それらアンダークラッド層1の表面とコア2の頂面とを被覆した状態で、シート状のオーバークラッド層3が形成されたものとなっている。このような構造の光導波路Wは、オーバークラッド層3を均一厚みにすることができることから、上記入力領域における押圧位置を検知し易くなっている。各層の厚みは、例えば、アンダークラッド層1が10〜500μmの範囲内、コア2が5〜100μmの範囲内、オーバークラッド層3が1〜200μmの範囲内に設定される。
上記光導波路Wの製法の一例について説明する。まず、図4(a)に示すように、オーバークラッド層3を均一厚みのシート状に形成する。ついで、図4(b)に示すように、そのオーバークラッド層3の上面に、コア2を、突出した状態で所定パターンに形成する。つぎに、図4(c)に示すように、そのコア2を被覆するように、上記オーバークラッド層3の上面に、アンダークラッド層1を形成する。そして、図4(d)に示すように、その得られた構造体を上下逆にし、アンダークラッド層1を下側、オーバークラッド層3を上側にする。このようにして、上記光導波路Wが得られる。なお、上記アンダークラッド層1,コア2およびオーバークラッド層3は、それぞれの形成材料に応じた製法により作製される。
図5は、本発明の位置センサの第2の実施の形態の中央部の断面を拡大した図である。この実施の形態では、光導波路Wの構造が、図1(b)に示す第1の実施の形態と上下逆になっている。すなわち、均一厚みのシート状のアンダークラッド層1の表面に、コア2が突出した状態で所定パターンに形成され、そのコア2を被覆した状態で、上記アンダークラッド層1の表面に、オーバークラッド層3が形成されたものとなっている。それ以外の部分は、図1(b)に示す第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施の形態の位置センサも、図1(b)に示す第1の実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
また、図6に断面図に示すように、上記各実施の形態において、アンダークラッド層1の下面に、ゴム層等の弾性層Rを設けてもよい。この場合、押圧を解除した後、アンダークラッド層1,コア2およびオーバークラッド層3は、それ自体の復元力だけでなく、上記弾性層Rの弾性力をも利用して、元の形状に回復することができる。また、アンダークラッド層1を上記弾性層Rと同じ形成材料からなるものとし、それらアンダークラッド層1と弾性層Rとからなる積層体を一つの層として扱ってもよい。
なお、上記各実施の形態において、格子状のコア2の各交差部は、通常、図7(a)に拡大平面図で示すように、交差する4方向の全てが連続した状態に形成されているが、他でもよい。例えば、図7(b)に示すように、交差する1方向のみが、隙間Gにより分断され、不連続になっているものでもよい。上記隙間Gは、アンダークラッド層1またはオーバークラッド層3の形成材料で形成されている。その隙間Gの幅dは、0を超え(隙間Gが形成されていればよく)、通常、20μm以下に設定される。それと同様に、図7(c),(d)に示すように、交差する2方向〔図7(c)は対向する2方向、図7(d)は隣り合う2方向〕が不連続になっているものでもよいし、図7(e)に示すように、交差する3方向が不連続になっているものでもよいし、図7(f)に示すように、交差する4方向の全てが不連続になっているものでもよい。さらに、図7(a)〜(f)に示す上記交差部のうちの2種類以上の交差部を備えた格子状としてもよい。すなわち、本発明において、複数の線状のコア2により形成される「格子状」とは、一部ないし全部の交差部が上記のように形成されているものを含む意味である。
なかでも、図7(b)〜(f)に示すように、交差する少なくとも1方向を不連続とすると、光の交差損失を低減させることができる。すなわち、図8(a)に示すように、交差する4方向の全てが連続した交差部では、その交差する1方向〔図8(a)では上方向〕に注目すると、交差部に入射する光の一部は、その光が進んできたコア2と直交するコア2の壁面2aに到達し、その壁面での反射角度が大きいことから、コア2を透過する〔図8(a)の二点鎖線の矢印参照〕。このような光の透過が、交差する上記と反対側の方向〔図8(a)では下方向〕でも発生する。これに対し、図8(b)に示すように、交差する1方向〔図8(b)では上方向〕が隙間Gにより不連続になっていると、上記隙間Gとコア2との界面が形成され、図8(a)においてコア2を透過する光の一部は、上記界面での反射角度が小さくなることから、透過することなく、その界面で反射し、コア2を進み続ける〔図8(b)の二点鎖線の矢印参照〕。このことから、先に述べたように、交差する少なくとも1方向を不連続とすると、光の交差損失を低減させることができるのである。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
〔オーバークラッド層の形成材料〕
成分a:エポキシ樹脂(四日市合成社製、エポゴーセーPT)30重量部。
成分b:エポキシ樹脂(ダイセル社製、EHPE3150)70重量部。
成分c:光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI200K)4重量部。
成分d:乳酸エチル(和光純薬工業社製)100重量部。
これら成分a〜dを混合することにより、オーバークラッド層の形成材料を調製した。
〔コアの形成材料〕
主成分として、エポキシ樹脂(新日鐵化学社製、KI−3000−4:エポキシ当量105g/eq、軟化点70℃)のみを準備し、その主成分100重量部と、乳酸エチル(和光純薬工業社製、溶剤)50重量部と、光酸発生剤(ADEKA社製、Sp−170)1重量部とを混合することにより、コアの形成材料を調製した。なお、上記軟化点は、自動軟化点試験器(田中科学機器製作社製、ASP−5)を用いて、環球法により求めた。また、調製後のエポキシ当量は、電位差滴定装置(京都電子工業社製、AT−610)を用いて、電位差滴定法により求めた。
〔アンダークラッド層の形成材料〕
成分e:エポキシ樹脂(四日市合成社製、エポゴーセーPT)75重量部。
成分f:エポキシ樹脂(三菱化学社製、JER1007)25重量部。
成分g:光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI200K)4重量部。
成分h:乳酸エチル(和光純薬工業社製)50重量部。
これら成分e〜hを混合することにより、アンダークラッド層の形成材料を調製した。
〔光導波路の作製〕
まず、ガラス製基材の表面に、上記オーバークラッドの形成材料を用いて、スピンコート法により、オーバークラッド層を形成した。ついで、上記オーバークラッド層の表面に、上記コアの形成材料を用いて、フォトリソグラフィ法により、格子状のコアを形成した。つぎに、上記コアを被覆するように、上記オーバークラッド層の上面に、上記アンダークラッドの形成材料を用いて、スピンコート法により、アンダークラッド層を形成した。そして、上記オーバークラッド層を上記ガラス製基材から剥離した。ついで、接着剤を介して、アルミニウム板の表面に、上記アンダークラッド層を接着した。このようにして、アルミニウム板の表面に、接着剤を介して、下記の表1に示す寸法および弾性率を有する実施例1〜3および比較例1,2の光導波路を作製した。
〔位置センサの作製〕
上記光導波路のコアの一端面に、発光素子(Optowell社製、XH85-S0603-2s )を接続し、コアの他端面に、受光素子(浜松ホトニクス社製、s10226)を接続し、実施例1〜3および比較例1,2の位置センサを作製した。
〔位置センサの評価:押圧の検知感度〕
上記各位置センサの入力領域の表面に、PETフィルム(厚み50μm)を介して紙(厚み80μm)を載置した。そして、その紙の表面に、先端直径0.5mmのボールペン先で0.7Nの荷重をかけた。その結果、押圧位置が検知できたものを、押圧の検知感度に優れていると評価し○を、押圧位置が検知できなかったものを、押圧の検知感度に劣ると評価し×を、下記の表1に示した。
Figure 2015197879
上記実施例1〜3のように、実際に、線状のコアの幅(L)が20μm未満で、隣り合うコアの間の隙間が20μm未満で、コアの厚み(T)と幅(L)とのアスペクト比(T/L)が2以上となる、コアの配置密度が高い光導波路を作製することができた。そのコアの形成状態は、コア形成後、光学顕微鏡にて確認した。なお、比較例1,2のコアの配置密度は、実施例1〜3と比較すると、低くなっている。
さらに、上記表1の検知感度の結果について、実施例3と比較例1とを比較すると、コアの幅は略同じであるにもかかわらず、実施例3では、押圧位置が検知でき、比較例1では、押圧位置が検知できなかった。その結果の違いは、コアの厚みに依存していることがわかる。
また、コアの形成材料として、上記形成材料(下記の表2に材料1として示した)の他に、下記の表2に示す材料2〜7を用いても、配置密度の高い格子状のコアを形成することができた。
Figure 2015197879
さらに、上記実施例1〜3では、位置センサの入力領域の表面に、PETフィルムを介して紙を載置した状態で、押圧の検知感度を評価したが、それらPETフィルムおよび紙を載置しない状態でも、上記実施例1〜3と同様の傾向を示す評価結果が得られた。
また、上記実施例1〜3では、光導波路を図1(b)に断面図で示すものとしたが、光導波路を図4に断面図で示すものとしても、上記実施例1〜3と同様の傾向を示す評価結果が得られた。さらに、それら光導波路のアンダークラッド層の下面に、ゴム製の弾性層を設けても、上記実施例1〜3と同様の傾向を示す評価結果が得られた。
本発明の位置センサは、押圧位置を検知する際に、その検知する押圧位置の位置精度を高めるとともに、押圧の検知感度も高める場合に利用可能である。
W 光導波路
1 アンダークラッド層
2 コア
3 オーバークラッド層
4 発光素子
5 受光素子

Claims (2)

  1. 格子状に形成された複数の線状のコアと、このコアを支持するアンダークラッド層と、上記コアを被覆するオーバークラッド層とを有するシート状の光導波路と、この光導波路のコアの一端面に接続された発光素子と、上記コアの他端面に接続され上記発光素子から発せられコアを経て到達する光の受光素子とを備え、上記格子状のコア部分に対応する光導波路の表面部分が入力領域に形成され、その入力領域における押圧個所がその押圧による上記受光素子での受光強度の減衰により特定される位置センサであって、上記光導波路が下記の(A)および(B)を満たしていることを特徴とする位置センサ。
    (A)上記コアの弾性率が、上記アンダークラッド層の弾性率および上記オーバークラッド層の弾性率よりも大きく設定され、上記シート状の光導波路の表面の押圧状態で、その押圧方向のコアの断面の変形率が、オーバークラッド層およびアンダークラッド層の断面の変形率よりも小さくなるようになっている。
    (B)上記コアの厚み(T)と幅(L)との比(T/L)が2以上である。
  2. 上記コアの形成材料が、軟化点70〜130℃のエポキシ樹脂を70〜100重量%含有するエポキシ樹脂を主成分とし、エポキシ当量が100〜1200g/eqに調製された樹脂組成物である請求項1記載の位置センサ。
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