JP2015196857A - 化学洗浄方法 - Google Patents

化学洗浄方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015196857A
JP2015196857A JP2014074087A JP2014074087A JP2015196857A JP 2015196857 A JP2015196857 A JP 2015196857A JP 2014074087 A JP2014074087 A JP 2014074087A JP 2014074087 A JP2014074087 A JP 2014074087A JP 2015196857 A JP2015196857 A JP 2015196857A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
acid
cleaning
scale
oxygen gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014074087A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6427920B2 (ja
Inventor
等 大澤
Hitoshi Osawa
等 大澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kurita Engineering Co Ltd
Original Assignee
Kurita Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kurita Engineering Co Ltd filed Critical Kurita Engineering Co Ltd
Priority to JP2014074087A priority Critical patent/JP6427920B2/ja
Publication of JP2015196857A publication Critical patent/JP2015196857A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6427920B2 publication Critical patent/JP6427920B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
  • ing And Chemical Polishing (AREA)

Abstract

【課題】火力発電所や自家発電のドラムボイラの蒸発管内面などに付着した、酸化鉄を主体とし銅を含有するスケールを、ヒドラジン、チオ尿素、過硫酸アンモニウムといったPRTR対象物質の薬品を用いることなく、スケール中の銅含有量が多い場合であっても効果的に洗浄除去する。
【解決手段】スケールが付着した洗浄対象物を、酸と、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸、及びアスコルビン酸塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の還元剤と、腐食抑制剤とを含む酸洗浄液で処理する酸洗浄工程と、その後、アンモニア、及び重炭酸アンモニウムを含む銅処理液中で酸素ガスを加圧供給する銅溶解工程とを行う化学洗浄方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、火力発電所や自家発電のドラムボイラの蒸発管内面などに付着した、酸化鉄を主体とし銅を含有するスケールを、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register;特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善促進に関する法律)対象物質の薬品を用いることなく、スケール中の銅含有量が多い場合であっても、効果的に洗浄除去することができる化学洗浄方法に関する。
火力発電所や自家発電のドラムボイラにおいては、ボイラの運転に伴い蒸発管内面に酸化鉄を主体としたスケールが付着する。このようなスケールが付着すると、熱伝導が阻害されて熱効率が低下したり、管材表面温度を上昇させて管材を損傷させたり、あるいは腐食を促進させて安全性に影響を及ぼすなどの問題が生じる。このため、このような事故を防止するために、定期的に化学洗浄を行って付着スケールを除去している。
従来、上記の酸化鉄系スケール除去のための化学洗浄は、酸洗浄液を用いて行われている。しかし、この酸化鉄系スケールには多くの場合銅が含まれており、従来の酸洗浄液で洗浄を行っても、酸化鉄系スケール中の銅を除去することはできず、酸洗浄後、スケール中の銅は母材に電着した状態で付着残留する。
酸化鉄系スケール中の銅も洗浄除去することができる酸洗浄液として、塩酸、銅溶解封鎖剤、還元剤及び腐食抑制剤を含む酸洗浄液がある。通常、還元剤としてはヒドラジンが、銅溶解封鎖剤としてはチオ尿素が用いられる(例えば、特許文献1)。この銅溶解封鎖剤を含む酸洗浄液であれば、酸化鉄系スケール中の銅をも効果的に溶解除去することができる。
ところで、1997年のPRTR制定により、法に該当する事業所からの対象化学物質の環境中への排出量の公表が義務付けられたことから、各事業所で該当薬品の使用禁止ないしは使用制限がなされている。そのため、事業用および一般プラントにおけるボイラおよび熱交換器などの化学洗浄に用いる薬品についても一部使用できなくなる可能性がある。
上記の酸洗浄液に含まれるヒドラジン、チオ尿素もPRTR対象物質に該当し、事業所においてPRTR対象物質に該当する薬品を使用できなくなった場合、化学洗浄で銅を含む酸化鉄系スケールの溶解除去が困難になる課題があった。
また、還元剤として使用されるヒドラジンは、人体に悪影響を及ぼしている可能性が示唆されており、ヒドラジンの使用禁止や使用量制限が行われている場合もある。
従来の酸洗浄液中のPRTR対象物質のうち、還元剤のヒドラジンについては、代替薬品として、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムなどが知られているが、銅溶解封鎖剤については代替薬品の選定が困難であった。
酸洗浄液中に銅溶解封鎖剤を含むことにより、酸洗浄によりスケール中の銅をも酸化鉄と共に溶解除去することが可能であるが、銅溶解封鎖剤を使用しない場合には、スケール中の銅を溶解除去することができず、銅が母材に電着して残留することとなる。
なお、酸化鉄を主体としたスケールが付着している洗浄対象物を酸洗浄した後、酸洗浄では除去できない銅を除去すると共に、洗浄対象物の金属表面を安定化させるために、アンモニア、重炭酸アンモニウム及び過酸化水素を含む除銅防錆処理液を用いた除銅防錆処理を行う場合もあるが、従来の除銅防錆処理では、少量の銅、例えばスケール中の銅が洗浄液中に溶解した溶出銅イオン濃度として500mg/L以下、であれば溶解除去できるが、スケール中に多量の銅が含まれている場合には、完全には除去できないという問題がある。
また、スケール中に銅を多量に含有する場合、酸洗浄の前に予めアンモニア洗浄を実施する場合もあるが、このアンモニア洗浄に用いられる過硫酸アンモニウムもまた、PRTR対象物質であり、使用が制限される。
特公昭58−52557号公報
本発明は、火力発電所や自家発電のドラムボイラの蒸発管内面などに付着した、酸化鉄を主体とし銅を含有するスケールを、ヒドラジン、チオ尿素、過硫酸アンモニウムといったPRTR対象物質の薬品を用いることなく、スケール中の銅含有量が多い場合であっても、効果的に洗浄除去することができる化学洗浄方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、酸洗浄液の還元剤として、PRTR対象物質ではないエリソルビン酸ナトリウム等を用い、また銅溶解封鎖剤を用いず、酸洗浄後の除銅防錆処理における過酸化水素の代りに酸素ガスを用いた銅溶解工程を行うことにより、酸洗浄後、基材に電着して残留した銅を効果的に洗浄除去することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 酸化鉄と銅を含むスケールを除去するための化学洗浄方法]において、該スケールが付着した洗浄対象物を、酸と、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸、及びアスコルビン酸塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の還元剤と、腐食抑制剤とを含む酸洗浄液で処理する酸洗浄工程と、その後、アンモニア、及び重炭酸アンモニウムを含む銅処理液中で酸素ガスを加圧供給する銅溶解工程とを有することを特徴とする化学洗浄方法。
[2] [1]において、前記酸洗浄液が、酸3〜10重量%、還元剤0.1〜1.0重量%、及び腐食抑制剤0.3〜0.5重量%を含む、常温〜95℃の水溶液であることを特徴とする化学洗浄方法。
[3] [2]において、前記酸が塩酸であり、前記還元剤がエリソルビン酸であることを特徴とする化学洗浄方法。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記銅処理液が、アンモニア0.175〜5.0重量%、及び重炭酸アンモニウム0.1〜0.3重量%を含む、常温〜70℃の水溶液であり、酸素ガスの供給量が該銅処理液に対して常温・常圧条件での容量として1〜3容量倍であり、前記加圧力が0〜0.5MPaであることを特徴とする化学洗浄方法。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記酸洗浄工程を6〜12時間行い、前記銅溶解工程を2〜6時間行うことを特徴とする化学洗浄方法。
[6] [1]ないし[5]のいずれかにおいて、前記酸洗浄工程に先立ち、前記洗浄対象物に、アンモニア、及び重炭酸アンモニウムを含む銅処理液中で酸素ガスを加圧供給する第1の銅溶解工程を有し、前記酸洗浄工程後にアンモニア、及び重炭酸アンモニウムを含む銅処理液中で酸素ガスを加圧供給する前記銅溶解工程を第2の銅溶解工程として行うことを特徴とする化学洗浄方法。
本発明によれば、火力発電所や自家発電のドラムボイラの蒸発管内面などに付着した、酸化鉄を主体とし銅を含有するスケールを、ヒドラジン、チオ尿素、過硫酸アンモニウムといったPRTR対象物質の薬品を用いることなく、スケール中の銅含有量が多い場合であっても、効果的に洗浄除去することができる。
実験例1の結果を示すグラフである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「常温」とは15〜30℃の範囲の温度をさす。
また、ガス容量を示す場合の「常温・常圧」とは、「25℃、1気圧」をさす。
<洗浄対象物>
本発明の洗浄対象物は、酸化鉄を主体とし銅を含むスケールが付着したものであり、火力発電所、自発発電のドラムボイラの蒸発管や熱交換器のチューブ側及びシェル側などが挙げられる。
<酸洗浄工程>
本発明においては、酸化鉄を主体とし銅を含むスケールが付着した洗浄対象物を、まず酸洗浄液で処理する酸洗浄工程を行う。
酸洗浄工程で用いる酸洗浄液は、酸と、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩(例えばアルカリ金属塩)、アスコルビン酸、及びアスコルビン酸塩(例えばアルカリ金属塩)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の還元剤と、腐食抑制剤とを含むものであり、ヒドラジン、チオ尿素等の銅溶解封鎖剤といったPRTR対象物質に該当する薬品を含まない。酸洗浄液は、酸3〜10重量%、還元剤0.1〜1.0重量%、及び腐食抑制剤0.3〜0.5重量%を含む水溶液であることが好ましい。
酸洗浄液に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよい。有機酸としては、グリコール酸、クエン酸等のカルボン酸などが挙げられる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。
酸としては、これらの1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
酸洗浄液中の酸濃度が上記下限よりも低いと酸化鉄を十分に溶解除去し得ない。酸濃度が上記上限よりも多いと基材腐食の恐れがある。
還元剤としては、特に一般薬品であり、入手容易であることやコストの観点からエリソルビン酸を用いることが好ましい。
酸洗浄液中の還元剤の濃度が上記下限よりも少ないと還元剤による基材の酸化腐食抑制効果を十分に得ることができず、上記上限よりも多いとコスト増加となる。
腐食抑制剤としては、従来公知のものをいずれも用いることができ、朝日化学工業(株)のイビット2S(4級アンモニウム塩:5〜10%、非イオン系界面活性剤:1〜5%、2−プロパノール:1〜5%、水を含有する薬品)などが例示される。腐食抑制剤は、これらの1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
酸洗浄液中の腐食抑制剤の濃度が上記下限よりも少ないと、腐食抑制剤による基材の腐食抑制効果を十分に得ることができず、上記上限よりも多いと発泡による障害や排水処理の面でコスト増加となる。
酸洗浄工程は、スケールが付着した洗浄対象物を上記の酸洗浄液に接触させることにより実施される。その際の酸洗浄液の温度は、用いる酸によっても異なるが、常温〜95℃程度であることが好ましい。より具体的には、酸が塩酸の場合は常温〜60℃、有機混酸(クエン酸+グリコール酸)の場合は常温〜95℃であることが好ましい。酸洗浄液の液温が低過ぎると十分な洗浄効果が得られず、高過ぎると水の蒸発、加熱エネルギーの上昇の面で好ましくない。
酸洗浄時間は、洗浄対象物の種類やスケールの性状及び付着量などに応じて適宜調整されるが、通常6〜12時間程度である。
酸洗浄方法は、上記の酸洗浄液に洗浄対象物を浸漬する方法であってもよく、洗浄対象物が内面にスケールが付着した管材の場合には、管内に酸洗浄液を通液する方法であってもよい。
<水洗工程>
酸洗浄工程後、洗浄対象物表面を清浄にするため、純水又は工水を用いて循環洗浄又は押し出し洗浄による水洗工程を行う。
<クエン酸リンス工程>
水洗工程により生じた錆を溶解除去するために、必要に応じて0.05〜0.2重量%のクエン酸水溶液で洗浄対象物を洗浄するクエン酸リンス工程を行う。
<銅溶解工程>
上記の酸洗浄、水洗後は、アンモニア及び重炭酸アンモニウムを含む銅処理液中で酸素ガスを加圧供給する銅溶解工程を行う。なお、この銅溶解工程では、銅の溶解除去と共に、防錆も行える。
銅溶解工程で用いる銅処理液は、好ましくは、アンモニア0.175〜5.0重量%、及び重炭酸アンモニウム0.1〜0.5重量%を含む水溶液である。
水洗工程の後にクエン酸リンス工程を行う場合には、銅溶解工程で用いる銅処理液には、さらにクエン酸0.05〜0.2重量%を含む。
クエン酸は、酸洗浄後の水洗工程中に発生した錆を溶解除去するための成分であるが、含有量が上記下限より少ないと、この効果を十分に得ることができず、多いと不経済であることや排水のCODが高くなり、排水処理コストの増大等、排水処理の面で好ましくない。
アンモニアは、上記含有量の範囲において、スケール中の銅含有量に応じてその濃度を調整することが好ましい。即ち、アンモニア濃度が高い程、銅イオン溶出量が多くなることから、スケール中の銅含有量が多い場合には、アンモニア濃度を高めに設定する。アンモニア濃度が高過ぎると不経済であることから、銅処理液のアンモニア濃度は上記上限以下とする。
銅処理液中の重炭酸アンモニウム濃度を上記範囲とすることにより、pH緩衝作用によりpHを一定に維持したまま銅を溶解することができる。
本発明においては、従来の除銅防錆処理液の過酸化水素に代えて、銅処理液に酸素ガスを加圧供給することを特徴とする。
酸素ガスについても、その供給量が多い程銅イオン溶出量を多くすることができることから、洗浄対象物に付着したスケール中の銅含有量に応じて供給量を制御することが好ましいが、通常、酸素ガス供給量は、銅処理液の容量に対して、常温・常圧の条件に換算した容量(以下、この条件での酸素ガス供給量を単に「酸素ガス供給量」という。)として1〜3容量倍とすることが好ましい。
また、酸素ガスを加圧供給する際の加圧力は、0〜0.5MPa程度が好ましい。
酸素ガスに代えて、従来の過酸化水素を利用することも可能であるが、過酸化水素を利用するよりも酸素ガスを使用する方が銅イオン溶出量を多くできる点で望ましい。
酸素ガスは、例えば洗浄対象物に接触している銅処理液に対してバブリングして注入した後、所定時間加圧力を保持することにより供給することができる。
なお、酸素ガスとしては、純酸素を用いてもよく、酸素を含む圧縮空気などの酸素含有ガスを用いてもよい。酸素ガスを含む圧縮空気を用いた場合は、酸素ガス自体の供給量が前述の範囲となるように制御する。
銅溶解工程は、スケールが付着した洗浄対象物を上記の銅処理液に接触させた状態で酸素ガスを供給することにより実施される。その際の銅処理液の温度は、60〜70℃程度であることが好ましい。銅処理液の液温が低過ぎると十分な洗浄効果が得られず、高過ぎると多量の蒸気やその他の熱源が必要となるので好ましくない。
銅溶解工程の処理時間は、スケール中の銅含有量などに応じて適宜調整されるが、通常2〜6時間程度である。即ち、酸素ガスのバブリング(注入)時間を0.5〜2時間、その後の加圧保持時間を1〜6時間とし、合計で上記の処理時間とすることが好ましい。
銅溶解工程の具体的な操作方法は、上記の銅処理液に洗浄対象物を浸漬し、洗浄対象物が浸漬している銅処理液に酸素ガスを加圧供給する方法であってもよく、洗浄対象物が内面にスケールが付着した管材の場合には、酸素ガスを加圧注入した銅処理液を管内に通液する方法であってもよい。
本発明においては、上記の銅溶解工程を、酸洗浄工程後に行うことにより、スケール中の銅含有量が多く、例えば銅イオン溶出量として500mg/Lを超えるような場合であっても、酸洗浄後に残留した銅スケールを効果的に洗浄除去することができるが、スケール中の銅含有量が特に多い場合、例えば、溶出銅イオン濃度として3000mg/Lを超えるような場合、或いは酸化鉄スケールと銅スケールが層状に付着している場合などには、例えば第1の銅溶解工程→酸洗浄工程→第2の銅溶解工程の順で行うように、銅溶解工程と酸洗浄工程を交互に行うことも可能である。
この場合、上記の銅溶解工程を第2の銅溶解工程として行い、第1の銅溶解工程においては、クエン酸を用いることがないこと以外は、上記の銅溶解工程(第2の銅溶解工程)と同様の条件で行うことができる。
以下に実験例、実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例、比較例及び参考例において、腐食抑制剤としては、朝日化学工業(株)製 塩酸に対する電極ボイラ洗浄用腐食抑制剤「イビット2S」(「イビット」は朝日化学工業(株)の登録商標)を用いた。
このときの酸素ガス供給量は銅処理液に対して2容量倍である。
[実験例1]
純銅製の試験片を用いて、本発明に係る銅処理液のアンモニア濃度と銅の溶解量との関係を確認する実験を行った。
下記組成の銅処理液(液温は60℃に保持)中に、純銅製の試験片を浸漬すると共に、酸素ガスのバブリング用ノズルを挿入して密閉し、試験開始初期の30分間のみ酸素ガス流量一定でバブリングを行い、その後(30分経過後)酸素ガス0.2MPaによる加圧保持を5.5時間行った(合計6時間)。
<銅処理液(水溶液)組成>
クエン酸:0.1重量%
アンモニア:0.175重量%、1.0重量%又は5.0重量%
重炭酸アンモニウム:0.3重量%
各アンモニア濃度の銅処理液による銅溶解工程後の液中の溶出銅イオン濃度を調べ、結果を図1に示した。
図1より、銅処理液のアンモニア濃度が高い程、溶出銅イオン濃度が高く、銅処理液のアンモニア濃度と溶出銅イオン濃度は比例関係にあること、即ち、銅処理液のアンモニア濃度を増加させることにより銅イオンの溶出量を増加させることができること、従って、スケール中の銅含有量が多い場合には、アンモニア濃度の高い銅処理液を用いることにより、銅スケールを十分に除去できることが確認できた。
また、同様の実験を銅処理液組成は一定とし、酸素ガスの供給量を種々変更して行ったところ、酸素ガス供給量についても、必要な銅イオンの溶解量に応じて十分量の酸素ガスが供給されるように酸素ガス供給量を制御する必要があることが確認された。
[実施例1]
実機ドラムボイラにおいて、酸化鉄及び銅を含有するスケールが付着した蒸発管を試料として、酸洗浄及び銅溶解工程を行うことによるスケール除去効果の確認を行った。
ここで使用したスケール中の銅含有量は、銅イオン溶出量として1200mg/Lのものを使用した。
まず、以下に示す組成の酸洗浄液を用いて60℃で6時間処理して酸洗浄工程を行った。具体的には、酸洗浄液中に蒸発管試料を浸漬して60℃で6時間保持した。その結果、酸化鉄を主成分とするスケールは除去され、スケール中の銅が母材に電着して残留した。
<酸洗浄液(水溶液)組成>
塩酸:5.0重量%
エリソルビン酸:0.1重量%
腐食抑制剤:0.3重量%
引き続き、下記組成の銅処理液を用い、60℃で酸素ガスを30分間バブリングした後、0.2MPaの酸素ガス加圧下に5.5時間保持(合計6時間)する銅溶解工程を行った。この銅溶解工程の操作は、上記実験例1と同様である。
<銅処理液>
クエン酸:0.1重量%
アンモニア:0.175重量%
重炭酸アンモニウム:0.3重量%
その結果、母材表面に電着した銅スケールは完全に除去された。
[比較例1]
実施例1において、酸洗浄後、本発明に係る銅溶解工程の代りに、従来の除銅防錆処理を行ったこと以外は同様にしてスケール除去効果を確認した。
実施例1と同様に酸洗浄を行った後、下記組成の除銅防錆処理液に蒸発管試料を浸漬して、酸素ガスをバブリングせずに60℃で2時間除銅防錆処理を行ったが、母材に電着した銅スケールを完全に除去することはできず、銅スケールが残留した。
<除銅防錆処理液>
アンモニア:0.175重量%
重炭酸アンモニウム:0.3重量%
過酸化水素:0.1重量%
[参考例1]
実施例1において、酸洗浄及び銅溶解工程の代りに、下記組成の従来の酸洗浄液を用いて、60℃で6時間酸洗浄工程を行ったところ、酸化鉄及び銅スケールを除去することができたが、この処理では、PRTR対象物質であるチオ尿素及びヒドラジンを用いる必要がある。
<酸洗浄液(水溶液)組成>
塩酸:5.0重量%
チオ尿素:0.5重量%
ヒドラジン:0.2重量%
腐食抑制剤:0.3重量%

Claims (6)

  1. 酸化鉄と銅を含むスケールを除去するための化学洗浄方法において、
    該スケールが付着した洗浄対象物を、酸と、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩、アスコルビン酸、及びアスコルビン酸塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の還元剤と、腐食抑制剤とを含む酸洗浄液で処理する酸洗浄工程と、その後、アンモニア、及び重炭酸アンモニウムを含む銅処理液中で酸素ガスを加圧供給する銅溶解工程とを有することを特徴とする化学洗浄方法。
  2. 請求項1において、前記酸洗浄液が、酸3〜10重量%、還元剤0.1〜1.0重量%、及び腐食抑制剤0.3〜0.5重量%を含む、常温〜95℃の水溶液であることを特徴とする化学洗浄方法。
  3. 請求項2において、前記酸が塩酸であり、前記還元剤がエリソルビン酸であることを特徴とする化学洗浄方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記銅処理液が、アンモニア0.175〜5.0重量%、及び重炭酸アンモニウム0.1〜0.3重量%を含む、常温〜70℃の水溶液であり、酸素ガスの供給量が該銅処理液に対して常温・常圧条件での容量として1〜3容量倍であり、前記加圧力が0〜0.5MPaであることを特徴とする化学洗浄方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記酸洗浄工程を6〜12時間行い、前記銅溶解工程を2〜6時間行うことを特徴とする化学洗浄方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記酸洗浄工程に先立ち、前記洗浄対象物に、アンモニア、及び重炭酸アンモニウムを含む銅処理液中で酸素ガスを加圧供給する第1の銅溶解工程を有し、前記酸洗浄工程後にアンモニア、及び重炭酸アンモニウムを含む銅処理液中で酸素ガスを加圧供給する前記銅溶解工程を第2の銅溶解工程として行うことを特徴とする化学洗浄方法。
JP2014074087A 2014-03-31 2014-03-31 化学洗浄方法 Active JP6427920B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014074087A JP6427920B2 (ja) 2014-03-31 2014-03-31 化学洗浄方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014074087A JP6427920B2 (ja) 2014-03-31 2014-03-31 化学洗浄方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015196857A true JP2015196857A (ja) 2015-11-09
JP6427920B2 JP6427920B2 (ja) 2018-11-28

Family

ID=54546742

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014074087A Active JP6427920B2 (ja) 2014-03-31 2014-03-31 化学洗浄方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6427920B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018163960A1 (ja) * 2017-03-10 2018-09-13 栗田エンジニアリング株式会社 化学除染方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110552010A (zh) * 2019-10-15 2019-12-10 西南林业大学 一种花卉植物复配缓蚀剂及其制备方法与应用

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4939736B1 (ja) * 1969-03-20 1974-10-28
JPS605888A (ja) * 1983-06-23 1985-01-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 酸化鉄スケ−ルの化学的洗浄法
JPH0790647A (ja) * 1993-09-13 1995-04-04 Kurita Water Ind Ltd 金属銅の溶解方法
JP2003014396A (ja) * 2001-06-27 2003-01-15 Kyushu Electric Power Co Inc スケール除去方法
JP2012097336A (ja) * 2010-11-04 2012-05-24 Kurita Engineering Co Ltd クロム含有鋼材料のスケール除去方法
US20140026924A1 (en) * 2012-07-26 2014-01-30 Dominion Engineering, Inc. Methods of reusing a cleaning solution

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4939736B1 (ja) * 1969-03-20 1974-10-28
JPS605888A (ja) * 1983-06-23 1985-01-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 酸化鉄スケ−ルの化学的洗浄法
JPH0790647A (ja) * 1993-09-13 1995-04-04 Kurita Water Ind Ltd 金属銅の溶解方法
JP2003014396A (ja) * 2001-06-27 2003-01-15 Kyushu Electric Power Co Inc スケール除去方法
JP2012097336A (ja) * 2010-11-04 2012-05-24 Kurita Engineering Co Ltd クロム含有鋼材料のスケール除去方法
US20140026924A1 (en) * 2012-07-26 2014-01-30 Dominion Engineering, Inc. Methods of reusing a cleaning solution

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018163960A1 (ja) * 2017-03-10 2018-09-13 栗田エンジニアリング株式会社 化学除染方法
TWI684998B (zh) * 2017-03-10 2020-02-11 日商栗田工程股份有限公司 化學除污方法
US11232878B2 (en) 2017-03-10 2022-01-25 Kurita Water Industries Ltd. Chemical decontamination method

Also Published As

Publication number Publication date
JP6427920B2 (ja) 2018-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5800044B2 (ja) 蒸気発生設備のスケール除去方法及びスケール除去剤
JP5691128B2 (ja) スケール防止剤、およびスケール防止方法
JP2012509410A (ja) 工業システムにおける銅の放出および銅合金の浸食を制御するための組成物および方法
CN104451727A (zh) 除锈剂
JP6427920B2 (ja) 化学洗浄方法
JP5721888B1 (ja) 化学洗浄方法及び化学洗浄装置
JP4309346B2 (ja) 加圧水型原子炉の洗浄方法
CN104451728A (zh) 温和除锈剂
CN104949570B (zh) 锅炉的清洗方法
JP2011125854A (ja) 腐食生成物の化学的溶解方法
JP5891630B2 (ja) ボイラ水系のスケール除去方法
JP6314560B2 (ja) 蒸気発生設備の水処理方法
CN104498968A (zh) 高效除锈剂
JP5277895B2 (ja) 酸性付着物除去剤および酸性付着物の除去方法
JPS605888A (ja) 酸化鉄スケ−ルの化学的洗浄法
JP2011080725A (ja) ボイラ装置の運転方法
JP5162247B2 (ja) 発電所の圧力容器から磁鉄鉱含有沈積物を取り除くための浄化方法
CN104451729A (zh) 除锈试剂
JP2008248303A (ja) 銅基材を含む循環冷却水系の孔食抑制剤および孔食抑制方法
JP2003014396A (ja) スケール除去方法
JP2014059076A (ja) ボイラ水系のスケール除去方法
JP2018149462A (ja) スケール除去剤、および、スケール除去方法
JP2018053333A (ja) 配管の製造方法及び銅管内面の酸化皮膜形成方法
JP3833399B2 (ja) スライムの剥離方法及びスライム剥離剤
JP2020131066A (ja) マンガンスケール発生抑制剤及びマンガンスケール発生抑制方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170317

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180123

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180808

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20180827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181002

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181015

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6427920

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250