JP2015194496A - 光源システム、及び前記光源システムを用いた光干渉断層計 - Google Patents

光源システム、及び前記光源システムを用いた光干渉断層計 Download PDF

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Abstract

【課題】 発光スペクトルを所望の形状に変えることのできる光源システムを提供することを目的とする。【解決手段】 発光素子と、発光素子の上部電極層、及び下部電極層への電流注入量を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、複数の電極のうち第一電極への電流注入密度と、前記第一電極とは異なる第二電極への電流注入密度との差を変えることで、前記発光素子の発光スペクトルの半値幅を変えることが可能に構成されている光源システム。【選択図】 図3

Description

本発明は、光源、及び前記光源システムを用いた光干渉断層計に関する。
スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode)は発光ダイオードのように広帯域なスペクトル分布を有しながら、半導体レーザ同様に1mW以上の比較的高い光出力を得ることが可能な発光素子である。スーパールミネッセントダイオードを以下ではSLDと略すことがある。
SLDはその特性から医療分野や計測分野で注目されており、例えば、生体組織の断層像を取得できる光干渉断層計(Optical Coherence Tomography、OCT)の光源として用いられる。OCTの光源としては、深さ分解能を高くするために、発光波長帯域が広いものを用いることが好ましい。
特許文献1では、SLDの上面または下面の少なくともいずれか一方を導波方向に分割し、光のスペクトル分布を可変とした構成の開示がある。
特開2007−184557号公報
ここで、本発明者らは課題を見出した。すなわち、OCTの測定対象は様々であり、測定対象の詳細な断層像を得たい場合は、深さ分解能を高くすることが好ましいが、一方で、深さ分解能は低くてもよいが、断層像を早く得たい場合もある。
また、特許文献1のように、上記SLDの各々の電極によって発光させる波長帯域を分けて合波することで、発光スペクトルを広帯域にすることができるが、分けられた発光波長帯域の間は、ディップができやすい。発光スペクトルにおけるディップがある、すなわち特定の波長の発光強度が低い場合、断層像上に偽像が発生することがある。つまり、波長帯域の広帯域化と発光スペクトルにディップを生じさせないことの両立が難しい。したがって、深さ分解能は低く(発光波長帯域が狭く)てもよいが、偽像はなるべく抑えたい場合と、ある程度の偽像は発生してもよいが、深さ分解能を高く(発光波長帯域を広く)したい場合とがある。特許文献1では、SLDの光のスペクトル分布が可変であることは開示があるものの、上記のような課題の認識はなく、また、発光スペクトルを所望の形状にするための具体手段の開示がない。
そこで本発明者らは、発光スペクトルを所望の形状に変えることのできる発光素子を提供することを目的とする。
本発明に係る光源システムは、上部電極層、活性層、下部電極層を、この順に有する積層体を有し、
前記積層体は、前記積層体を構成する各層の積層方向と垂直な方向に光を導波する導波路構造を有し、
前記上部電極層と前記下部電極層の少なくともいずれか一方の電極層が、前記導波路構造によって光が導波される方向に複数の電極に分割され、
前記上部電極層と前記下部電極層を介して前記活性層に電流を注入して発光させることで、前記光が導波される方向に光を出射する発光素子と、
前記上部電極層、及び前記下部電極層への電流注入量を制御する制御部と、を有する光源システムであって、
前記制御部は、
前記複数の電極のうち第一電極への電流注入密度と、前記第一電極とは異なる第二電極への電流注入密度との差を変えることで、
前記発光素子の発光スペクトルの半値幅を変えることが可能に構成されていることを特徴とする。
本発明に係る発光素子によれば、発光スペクトルを所望の形状に変えることができる。
本発明の実施形態1に係る発光素子の構成を示す図。 本発明の実施形態1に係る光源システムの構成を示す図。 本発明の実施形態1に係る光源システムを用いることによって得られる効果について説明する図。 本発明の実施形態2に係るOCTの構成について説明するための図。 本発明の実施例1に係る光源システムを用いて得られる発光スペクトルを表す図。 本発明の実施例1において得られる発光スペクトルのPSFを表す図。 本発明の実施例2に係る発光素子の構成を示す図。 本発明の実施例2に係る光源システムを用いて得られる発光スペクトルを表す図。 本発明の実施例2に係る光源システムを用いて得られる光出力強度と第一電極への電流注入量との関係を表す図。 本発明の実施例2において得られる発光スペクトルのPSFを表す図。 本発明の実施例2における非注入電極の長さとピーク波長との関係を表す図。 本発明の実施例3に係る発光素子の発光スペクトルを表す図。
(実施形態1)
(発光素子)
本発明の実施形態1に係る発光素子および光源システムについて図1、2を用いて説明する。図1(a)、図1(b)はそれぞれ本実施形態に係る発光素子の斜視図、上面図で、図1(c)は図1(a)(b)のA−A’断面における断面図である。
本実施形態に係る発光素子100は、基板(n型基板)101の上に下部クラッド層(n型クラッド層)102、活性層103、上部クラッド層(p型クラッド層)104が順次形成されている。また、上部クラッド層104と上部電極層110とはリッジ型の導波路構造105を形成している。リッジ型の導波路構造105の上部にはコンタクト層106を介して、上部電極層(p型電極)110が形成されている。また図1(c)のみに示しているが、上部電極層110と上部クラッド層104との間に絶縁層130が設けられており、上部電極層110からコンタクト層106を介して活性層103に電流注入される構成となっている。
上部電極層110は第一電極111、第一の電極111とは異なる第二電極112が、リッジ型の導波路構造105の長手方向(活性層103の面内方向)に分割されて設けられている。別の言い方をすれば、上部電極層110は、導波路構造によって光が導波される方向に分割された、第一電極111、第二電極112で構成される。
基板101の有する面のうち下部クラッド層102が設けられていない方の面には下部電極層120が形成されている。なお、図1(b)に示すように、第一電極111と第二電極112との間にそれぞれ、電流が注入されない領域である、電極分割領域115が設けられている。電極分割領域115では、第一電極、第二電極の各々の隣接する電極への電流漏れを抑制するために、コンタクト層106が除去され、電気抵抗値が相対的に高くなっている。
すなわち、本実施形態に係る発光素子は、上部電極層、活性層、下部電極層を、この順に有する積層体を有し、積層体は、この積層体を構成する各層の積層方向と垂直な方向に光を導波する導波路構造を有する。
本実施形態に係る発光素子100は第一電極111、及び第二電極112と、下部電極層120を介して電圧を印加して活性層103で発光させ、活性層内の面内方向(導波路構造によって光が導波される方向)に導波し、図1中の白い矢印の方向に光を出射する。発光素子100の端面のうち、光が出射される面をここでは出射端面と呼ぶ。図1(a)に示す通り、第一電極111は、出射端面側に設けられ、第二電極112は出射端面とは逆の端面側に設けられている。図1(b)に本実施形態に係る発光素子の出射端面をP、出射端面とは逆の端面をPとして図示している。また、出射端面Pから出射された光は、レンズや光ファイバなどの光学部材へ結合する。また、出射端面とは逆の端面のPには、光が反射して戻らないように、反射防止部材や光を吸収する材料が適宜設けられる。
なお、本実施形態に係る発光素子の例としてスーパールミネッセントダイオード(SLD)が挙げられる。SLDは、数十nmから100nmもの広い波長帯域の光を、数mWから数十mWの高出力で出射させることができる。
次に本実施形態に係る光源システムについて図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る光源システムを示すブロック図であり、図2中で発光素子100は上面図を示している。
本実施形態に係る光源システム160は、出射した光の強度を検出する出射光検出部140と、第一電極111第二電極112といった各電極への電流注入密度を制御する制御部150を有する。制御部150は出射光検出部140で検出される光の強度に応じて各電極への電流注入密度を制御可能に構成されている。また、制御部150は、出射光検出部140によって検出される光の強度をモニタして、各電極への電流注入量を変更可能に構成されていてもよい。
本実施形態に係る光源システムは、複数の電極のうち第一電極への電流注入密度と、第二電極への電流注入密度との差を変えることで、発光素子の発光スペクトルの半値幅が変わるように制御することが可能に構成されている。
次に、第一電極111、第二電極112への電流注入密度を適宜調整することで、出射光の波長帯域の広さや強度、すなわち発光スペクトルの形状を変えることができる。発光スペクトルの形状を変える方法について図3を用いて詳細に説明する。図3は、電流注入密度を変えたときの、発光スペクトルの変化を示す図である。図3は発光スペクトルのイメージ図であり、実測した発光スペクトルを表わすものではない。
まず、第一電極111には電流注入密度J、第二電極112には電流注入密度Jで電流注入する。このような電流注入密度で駆動している状態を第一のモードとする。JがJより小さいことで、第一電極からの電流注入による発光スペクトルの中心波長λを、第二電極112からの電流注入による発光スペクトルの中心波長λよりも低くすることができる。これは、電流注入密度が大きいほど短波長帯域の発光強度が大きくなるという性質があるからである。なぜなら、活性層の発光準位のうち、高次準位(短波長帯域)の発光には高い電流注入密度を必要とするからである。
図3(a)のSは第一電極111への電流注入のみによって得られる発光スペクトルを、Sは第二電極112への電流注入のみによって得られる発光スペクトルを、Sは第一、第二電極の両方に電流注入した場合に得られる発光スペクトルを表す。第一のモードでは、λとλとの差が大きいため、発光スペクトルSの半値幅Δλが大きい。そのため、OCTで本実施形態に係る発光素子を用いて、第一のモードで駆動させると、深さ分解能の高い断層像が得られる。なお、第一、第二電極の両方に電流注入した場合、第二電極に対応する活性層からの発光光が第一電極に対応する活性層を通過する際に誘導増幅を起こすため、SはSとSとの単純な和とはならない。
次に、第一電極111には電流注入密度J’、第二電極112には電流注入密度J’で電流注入する。J’がJよりも小さい場合、中心波長はλより長いλ’となる。また、J’がJよりも大きい場合、中心波長はλより短いλ’となる。このような電流注入密度で駆動している状態を第二のモードとする。図3(b)のS’は第一電極111への電流注入のみによって得られる発光スペクトルを、S’は第二電極112への電流注入のみによって得られる発光スペクトルを、S’は第一、第二電極の両方に電流注入した場合に得られる発光スペクトルを表す。第二のモードでは、λ’とλ’との差である半値幅Δλ’が、第一のモードに比べて小さい。そのため、OCTで本実施形態に係る発光素子を用いて、第二のモードで駆動させると、第一のモードに比べて深さ分解能が低くなる。すなわち、第一電極への電流注入密度と、第二電極への電流注入密度との差をΔJ(=J−J)から、ΔJより小さい値であるΔJ’(=J’−J’)へとモードを切り替えることで、発光スペクトルの半値幅を小さくできる。逆にΔJ’からΔJへと切り替えることで、発光スペクトルの半値幅を大きくできる。しかし、図3(a)(b)に示すように、発光スペクトルS’はSに比べて、発光スペクトルのディップが小さい。なぜなら、第一のモードでは中心波長λとλとの差が大きくすることで、発光スペクトルの半値幅を大きくした。それに伴い、λとλとの間の波長帯域にはディップができやすい(図3(a))。一方、λ’とλ’との差が小さいため、第二のモードによって得られる発光スペクトルはディップができにくい、または小さい。発光スペクトルのディップができにくい、または小さい場合、OCTによって得られる断層像に偽像が発生しにくい。
さらに、スペクトラルドメインOCT(SD−OCT)のように、干渉光をラインセンサで検出するような場合、発光素子の発光スペクトルの半値幅が狭いと、検出する干渉光の波長帯域も狭くなり、干渉光を検出するための時間(読み込み時間)が短い。したがって、OCTにおいて第二のモードで駆動させた場合、第一のモードで駆動させた場合に比べて、断層像の深さ分解能は低いが、検出時間が短く高速に断層像が得られ、得られる断層像に偽像が発生しにくい。逆に、OCTにおいて第一のモードで駆動させた場合、第二のモードで駆動させた場合に比べて、断層像の深さ分解能は高いが、検出時間に時間がかかり、得られる断層像に偽像が発生しやすい。
また、発光スペクトルのピーク強度は、第二のモードで駆動させるときの方が、第一のモードで駆動させるときよりも、大きい。これは、図3(b)のように、λ’とλ’との差が小さくなり、S’とS’のピーク同士が近くなるため、合波された値が大きくなるためである。
発光スペクトルのピーク強度が大きい光源を用いたSD−OCTは、断層像を高速に取得できる。その理由について以下に説明する。SD−OCTにおいて、ラインセンサで光をキャリアに変換して蓄積するための時間が、干渉光の検出にかかる時間の大部分を占めている。そして、S/Nを上げ、かつ信号が飽和しないようにするためには、ある好適な時間範囲でキャリアをためる必要がある。そのため、発光スペクトルの強度が強ければ、その分、積算時間を短くできる。結果として、高速で画像を取得することができる。
また、第一のモードから第二のモードへ変化させたときに、または第二のモードから第一のモードへ変化させたときに、光出力強度(使用波長帯域における発光スペクトルの強度の積分値)の変化が小さいことが好ましい。その理由について以下に説明する。
まず、測定対象物に照射できる光強度には制限が有る場合が多い。特に、眼底の断層像の取得にもOCTは使用されているが、その場合に目に入れられる光強度には安全上の制限がある。一方、測定精度という点からは、できるだけS/N比を上げる必要がある。そのため、測定精度の観点からの好適な光出力強度は上記安全上の制限ぎりぎりの光出力強度であることが好ましい。ただし、実際には多少の光出力強度の変動があっても制限値を超えないように設ける余裕を加味した光出力で駆動することが、安全を確保するためには必要である。したがって、OCTに用いる光源は安全上の余裕を加味したうえで、できるだけ大きい光出力で駆動することが、安全かつ高いS/Nの断層像を得るために最適である。この観点から、光出力強度の変化は、ある一定値に保つことが望ましく、変動幅は20%以下、より好ましくは10%以下が望ましい。変動幅とは、上記の例でいえば、第一のモードでの駆動時の光出力強度(mW)に対する増減割合である。
一方、発光素子、とりわけ電極を1つのみ有するSLDにおいては、その駆動電流を変えることにより光出力と共にスペクトルも同時に変化してしまうため、単純な光出力のみを補正することができない。この現象について、IEEE Journal of Quantum Electronics Vol.44,p.1256(2008)(以下、非特許文献1とする)を引用して、より詳細に説明する。SLDは電流注入により活性層中の量子井戸層にキャリアを蓄積し、量子井戸層での自然放出および誘導放出により発光する。そのため、注入する電流量を変えると、蓄積するキャリア密度が変わる。そして、非特許文献1に記載のように、キャリア密度が変わると、利得の波長依存性(以下、利得スペクトルと呼ぶ)が変わる(例えば、非特許文献1のFig.1)。より具体的な利得スペクトルの変化としては、キャリア密度が低い時には、基底準位からの利得が支配的となる。そして、注入する電流量を高くすると、キャリア密度が上がり、より短波長の発光準位からの利得が基底準位の利得に対して相対的に大きくなってくる。そして、ある時点で基底準位よりも大きくなる。そのため、最も広帯域な発光が実現できるのは、基底準位と高次準位からの利得が同じ値となる、ある決まったキャリア密度の時である。非特許文献1では、これをTCDと呼んでいる。つまり、TCDとなるキャリア密度はあるひとつの値であり、それに対応する注入電流の値もある値一つとなる。そのため、注入する電流量が、発光スペクトルが広帯域となるTCDの条件から離れた場合、基底準位と高次準位の利得のバランスが崩れ、どちらかに偏った利得形状となる(非特許文献1のFig.1)。結果として、注入する電流量を変えると、SLDからのスペクトル形状も同時に変化してしまうため、光出力のみを独立に増減することは難しい。本実施形態に係る発光素子は、第一電極111に電流注入密度Jで電流注入している状態から、Jより小さい電流注入密度J’で電流注入している状態へと変化させると、発光強度が小さくなる。一方、第二電極112に電流注入密度Jで電流注入している状態から、Jより大きい電流注入密度J’で電流注入している状態へと変化させると、発光強度が大きくなる。したがって、本実施形態に係る発光素子は、第一のモードと第二のモードとを切り替えても、出力光強度の変動幅が小さい。
また、本実施形態に係る発光素子のように複数の電極を有し、さらに活性層が非対称の多重量子井戸構造を有することが好ましい。複数の電極を有することで、各々の電極に注入する電流注入密度を適宜変えて、発光スペクトルの形状を任意に調整することができる。さらに活性層として、単量子井戸構造に、その量子井戸構造よりも浅い井戸構造を加えた非対称の多重量子井戸構造を用いると、浅い井戸の基底準位の発光が深い井戸の高次準位の発光の誘導増幅を起こすことができる。すなわち、出射端面側に設けられた電極(フロント電極)は電流注入密度を高くすることで、非対称の多重量子井戸構造のうち、深い井戸構造の高次準位の高エネルギー(短波長帯域)の発光をさせる。一方で、出射端面と逆側に設けられた電極(リア電極)は電流注入密度を低くし、浅い井戸構造の基底準位(高エネルギー)の発光をさせる。深い井戸の高次準位と浅い井戸の基底準位とが略一致して高エネルギーの準位であれば、リア電極への電流注入で起こる発光が、深い井戸の高次準位の発光の誘導増幅を起こすため発光しやすくなる。浅い井戸構造の基底準位(高エネルギー)の発光は低電流注入密度で起こるが、深い井戸構造を単独で有する活性層で高次準位(高エネルギー)の発光は高い電流注入密度を必要とする。よって、非対称の多重量子井戸構造を用いることで、高エネルギー(短波長帯域)の発光を低電流注入密度で実現できる。
以上のように、本実施形態に係る光源システムを用いることで、発光スペクトルを所望の形状に変えることができる。以下、本実施形態に係る光源システムを構成する各要素について詳細に説明する。
(上部電極層)
本実施形態に係る発光素子において上部電極層は特に限定されないが、Tiを有する第一のp型電極層の上にAuを有する第二のp型電極層が形成された電極層を用いることができる。
なお上記では、上部電極層が、2つに分割された電極群をなす構成について説明したが、4つ以上に分割されていてもよい。
(下部電極層)
本実施形態に係る発光素子において下部電極層は特に限定されないが、AuGe/Ni/Auを有するn型電極層が形成された電極層を用いることができる。
なお上記では、上部電極層が分割された構成について説明したが、下部電極層が複数の電極に分割された発光素子であってもよい。また、上部電極層および下部電極層の両方の電極が分割された発光素子であってもよい。
(活性層)
本実施形態における発光素子の活性層に好適な量子井戸構造は、発光させる波長により異なる。そして量子井戸構造の発光波長は井戸層及び障壁層の材料および井戸層の厚さにより決まる。以下では、活性層の発光波長に好適な量子井戸の例として、量子井戸の基底準位の発光波長を軸に説明する。
例えば、基底準位からの発光が800nmから850nmの範囲となるようにするためには、井戸層としてAl組成xが0から0.15のAlGa(1−x)Asが好適である。そして障壁層として、その井戸層よりもAl組成の高いAlGaAsが好適である。このときの量子井戸層の厚さは、5nm〜10nmであることが好適である。ただし、発光波長は井戸層の厚さと井戸層を構成する材料で決まるため、厚さを5nmより短くし、その分バンドギャップの小さい波長の材料を使用することでも実現できる。
活性層は単一量子井戸構造に限らず、複数の異なる量子井戸構造を有するものであってもよい。すなわち、活性層として深さの異なる量子井戸を複数有する多重量子井戸構造を用いてもよい。また、材料も上記に限られたものでなく、GaAs、GaInP、AlGaInN、AlGaInAsP、AlGaAsSb等の発光材料を用いてもよい。
また、基底準位の発光が850nmから900nmの範囲となるようにするためには、In組成xが0から0.1のInGa(1−x)Asが使用できる。障壁層の材料としては、GaAsまたはAlGaAsを使用することが好適である。井戸層の厚さは、5nm〜10nmが好適である。ただし、発光波長は井戸層の厚さと井戸層を構成する材料で決まるため、厚さを5nmより短くし、その分バンドギャップの短い波長の材料を使用することでも実現できる。また、本実施形態における活性層は非対称の多重量子井戸構造を有することが好ましい。
また、同じ波長帯(800nmから900nm帯)で発光する材料であれば、上記の材料に限らず、他の材料を用いることもできる。例えば、井戸層にGaInAsPを用いて、上記の思想により量子井戸構造を実現しても良い。
同様に、他の波長帯においても、各波長帯で発光する井戸層とそれよりも広いバンドギャップを持つ材料を障壁層に用い、かつ井戸層の幅を調整することで好適な活性層が実現できる。例えば、980nm帯であれば、井戸層にはIn組成が0.2付近のInGaAsが好適であり、1550nm帯であれば、InP基板と格子整合するIn組成0.68付近のInGaAsを好適に用いることができる。
また、活性層は量子井戸に限らず、量子細線や量子ドットといった量子閉じ込め構造を有していてもよい。
(リッジ型の導波路構造)
本実施形態における発光素子は、リッジ型の導波路構造105を形成することにより発光素子内に光を閉じ込め、活性層内を導波させ、出射端面から出射させることができる。このリッジ型の導波路構造は、一般的な半導体リソグラフィー法および半導体エッチングにより形成することができる。またリッジ型導波路構造の幅(図1(b)のw)は光を閉じ込めることができれば特に限定されないが例えば10μm以下とすることが好ましく、5μm以下とすることが好ましく、3μm以下とすることがさらに好ましい。リッジ型導波路構造の幅、すなわちリッジ幅wは発光素子の発光がマルチモードとならないように狭い方が好ましい。
(光の出射端面の構造)
本実施形態に係る発光素子において、リッジの導波路構造105は、レーザ発振しにくくするために、光の出射端面の垂線に対して活性層の面内方向に傾斜させる。傾斜させることで端面において反射した光が導波路へ結合することを抑制できるため、レーザ発振しにくくなる。例えば、出射端面の垂線に対して活性層の面内方向に傾斜を約7度設けることが好適である。また、端面の反射を抑制するためにSiNのような誘電膜を反射防止膜として設けてもよい。反射防止膜は、出射端面と、それと逆側の端面のいずれか一方に設けてもよいし、両方に設けてもよい。また、出射端面での劣化を抑制するために出射端面付近に電流が注入されない領域を設けてもよい。
(出射光検出部)
本実施形態における出射光検出部140は、上記発光素子から出た光の強度を検出することができるものであれば特に限定されない。例えば出射光の全体光量を検出できるフォトディテクター(Photo Detector,以下PDと略すことがある)や、発光スペクトル、すなわち光出力強度の波長依存性を検出するラインセンサを用いることができる。また、本実施形態における光源システムでは、ある波長帯域の光の強度や、複数の波長帯域の光の強度を検出してもよい。例えば、上記中心波長λの波長の光のみを透過させる波長選択フィルタをPDに設けることができる。
(制御部)
本実施形態における制御部は、各電極に注入する電流注入密度を制御することができるものであれば特に限定されない。また、その電流注入密度は、上記出射光検出部で検出された光の強度の情報を、フィードバック回路を用いて制御部に送り、その情報に基づいて決めることができる。また、制御部は、光源駆動ドライバを用いることができる。光源駆動ドライバは電流注入量を調整する回路を有し、適宜、注入する電流量をモニタするモニタ部を有する。Control unitは光源と一体となってパッケージングされていてもよいし、別個に設けられて互いに接続されていてもよい。
また、本実施形態における制御部は、1つでもよいし、複数でも良い。制御部を複数有する場合、分割された電極ごとに制御部を有する構成であってもよいし、1つの制御部で複数の電極への電流注入量を制御可能に構成されていてもよい。
例えば、制御部を2つ有する場合、一方は出射端面P側の第一電極111、及び調整電極112の制御をし、他方は端面P側の第二電極113の制御を行ってもよい。
(製造方法)
本実施形態に係る発光素子の製造方法は、特に限定されないが、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて各半導体層を順次成長させることで製造することができる。
(実施形態2)
(OCT)
(光干渉断層計)
本実施形態では、上記実施形態1に係る光源システムを用いた光干渉断層計(OCT)について図4を用いて説明する。
本実施形態に係るOCT400は、光源システム401、干渉光学系402、分光部403、干渉光検出部404、情報取得部405を少なくとも有する構成であり、光源システム401は上記実施形態1に係る光源システムである。
干渉光学系402では、光源システム401からの光を物体410へ照射する照射光と、参照光とに分波し、物体410に照射された光の反射光と、参照光とによる干渉光を発生させる。この干渉光は、測定対象の物体410の情報を有する。分光部403で分光された干渉光は、干渉光検出部404の異なる位置に異なる波長の光が照射される形で受光される。情報取得部405では、干渉光検出部404で受光された光の強度の情報から物体410の情報、例えば断層像の情報を取得する。次に、本実施形態に係るOCTの詳細な構成について、図4を用いて説明する。情報取得部405は、光検出部404からの検出信号を検出する検出部、検出部で得た検出信号を処理して断層像などの情報を算出するCPUなどの処理部とを有する。また、情報取得部405は、検出信号を得てから断層像などの情報を形成するまでに算出されるデータや、算出する際に利用されるデータを記憶するメモリなどの記憶部を適宜有していてもよい。なお、検出部、処理部、記憶部は図示していない。
図4に示すOCTは、光源システム401から出射された光は、干渉光学系402の分波部420によって、照射光と参照光とに分波される。照射光は、照射光学系440を経て測定対象の物体410に反射されて反射光となり、参照光学系430で反射された参照光と干渉部(分波部)420で干渉光を生じる。本実施形態に係るOCTは、干渉部420で生じた干渉光を検出する光検出光学系450、光検出光学系450で検出された光に基づいて断層像に関する情報を得る情報取得部405、断層像を表示する表示部460を有する。
光源システム401は、光ファイバを介して分波部(干渉部)420により参照光と照射光に分波し、分波された光の一部は参照光学系430へ入る。ここでは、分波部420と干渉部420は同一のファイバカプラを用いている。参照光学系430はコリメータレンズ431および432、反射鏡433で構成されており、反射鏡433で反射した参照光は再度光ファイバへ入射する。光ファイバから分波部420で分波されたもう一方の光である照射光は、照射光学系440へ入る。照射光学系440はコリメータレンズ441および442、光路を90°曲げるための反射鏡443で構成されている。照射光学系440は入射した光を測定対象の物体410へ入射するとともに、反射光を再び光ファイバへ結合する役割がある。
そして参照光学系430および照射光学系440から戻ってきた光は干渉部420を通り、光検出光学系450へ入る。光検出光学系450はコリメータレンズ451および452、分光部としての回折格子403を有する。また、回折格子403により分光された光のスペクトル情報を得るためのラインセンサ404を有する。
なお、上記本実施形態に係るOCTにおいて、参照光学系430は反射鏡433を有し、そこで反射した光が干渉部420に戻る構成の例を示した。しかし、反射鏡433を有さず、適切な光路長の光路を経て、干渉部420に至る構成であってもよい。
本実施形態に係るOCTは、眼科、歯科、皮膚科等の分野において、動物や人のような生体の断層像を取得する際に有用である。生体の断層像に関する情報とは、生体の断層像のみならず、断層像を得るために必要な数値データをも含む。特に測定対象を人体の眼底とし、眼底の断層像に関する情報を取得するために用いることが好適である。なお、OCTはOCT装置と呼ぶこともできる。
(他用途)
上記本発明の実施形態に係る発光素子(光源システム)は、上記のOCT以外にも、光通信用光源や光計測用光源として利用できる。
以下に本発明の実施例を示す。以下の実施例で示す活性層構造や層構造はあくまで一例であり、それらに限定されるものではない。また、発光素子の製造方法は、実施例に具体的に示したが、発光素子の各構成要素の寸法、製造の各工程、装置、各種パラメータは実施例に限定されない。また、半導体材料、電極材料、誘電体材料などに関しても実施例で開示したものに限らない。さらに、各半導体層の導電型は本実施例で例示するものに限らず、p型として例示したものをn型に、n型で例示したものをp型に置き換えることもできる。
(実施例1)
本実施例に係る発光素子は図1に示す構成である。本実施例に係る発光素子において、基板101としてGaAs基板、下部クラッド層102としてn型Al0.5GaAsクラッド層、活性層103、上部クラッド層104としてp型Al0.5GaAsクラッド層を用いた。また、コンタクト層106としてp型GaAsコンタクト層を用いた。活性層103は、厚さ8nmのIn0.07GaAsの量子井戸層が2つと、Al0.2GaAsのバリア層とを含む量子井戸構造が2つと、厚さ6nmのGaAsの量子井戸層1つとAl0.2GaAsのバリア層の複数とを含む多重量子井戸構造を有する。下部電極層120としてn型電極、上部電極層110としてp型電極を用いた。本実施例において上部電極層110は2つに分割され、第一電極111の導波方向の長さが0.29mm、第二電極112の導波方向の長さが0.30mmであり、リッジ幅wは3μmである。また、本実施例に係る光源システムは、上記構成の発光素子に加えて、第一電極111、第二電極112への電流注入密度を制御する制御部150を有する。
本実施形態に係る光源システムをOCTに用いた場合に、深さ分解能の高い断層像を取得するための駆動条件として、第一電極111に150mA、第二電極112に20mAを注入する(以下、この駆動条件を第一のモードとよぶ)。第一のモードによって得られた発光スペクトルは、図5(a)であり、スペクトル幅(半値幅)は78nm、光出力強度は13.2mWである。
一方、高速で断層像を取得するための駆動条件としては、第一電極111に75mA、第二電極112に35mAを注入する(以下、この駆動条件を第二のモードよぶ)。第二のモードによって得られた発光スペクトルは図5(b)であり、スペクトル幅(半値幅)は33nm、光出力強度は12.4mWである。
このように光源システムを第一のモードで駆動することによって得られる発光スペクトルは第二のモードに比べて、半値幅は広いが、850nm付近の発光強度が小さい。また、第一のモードで駆動することによって得られ発光スペクトルは半値幅が広いため、OCTに用いる場合、干渉光の波長帯域も広くなり、ラインセンサの読み取りに時間がかかり、断層像を得るために時間がかかる。一方、第二のモードで駆動することによって得られる発光スペクトルは第一のモードに比べて、半値幅は狭いが、発光強度が小さい領域がなく、ピーク強度も大きい。また、第二のモードで駆動することによって得られる発光スペクトルは半値幅が狭く、ピーク強度も大きいいため、OCTに用いる場合、干渉光の波長帯域も狭くなり、第一のモードに比べてラインセンサの読み取りに時間がかからず、短時間で断層像を得られる。
また、光出力強度は第一のモード(13.2mW)から第二のモード(12.4mW)へ変化させたときの変動幅は6.1%であり、変動幅は小さかった。
次に、図5(a)で示す発光スペクトルの方が、図5(b)で示す発光スペクトルよりも分解能が高いことを計算で示す。SD−OCTにおいて、分解能の数値は、PointSpread Function(PSF)で表わされ、その半値幅の2倍がSD−OCTで得られる断層像の分解能となる。
図5(a)で示す発光スペクトルと、図5(b)で示す発光スペクトルのPSFを計算した結果をそれぞれ図6(a),(b)に示す。図6(a),(b)で示すPSFの半値幅は、第1のモードが2.6μm、第2のモードが4.9μmである。つまり、空気中を想定した場合のSD−OCTとしての分解能は、第1のモードが5.2μm、第2のモードが9.8μmとなる。また、屈折率1.38の媒質中を想定した場合には、第1のモードが3.8μm、第2のモードが7.1μmとなる。
このように、第1のモードで得られる分解能は、第2のモードで得られる分解能と比較して、1.9倍高い。
(実施例2)
本発明の実施例2に係る発光素子について説明する。本実施例に係る発光素子は、実施例1に係る発光素子の上部電極層が6つに分割されている点が異なりその他は同じである。以下、実施例1と異なる事項についてのみ説明し、共通事項は説明を省略する。
本実施例に係る発光素子1000の上面図を図7に示す。図7に示すように、上部電極層は、第一電極1011、第二電極1012、第三電極1013、第四電極1014、第五電極1015、第六電極1016、に分割されている。それぞれの電極の導波方向の長さは、第一電極の長さLが0.3mm、第二電極の長さLが0.3mmであり、第三電極の長さLが0.5mm、第四電極の長さLが0.3mm、第五電極の長さLが0.7mm、第六電極の長さLが0.3mmとした。また、リッジ導波路構造105の幅wは3μmとした。
本実施例において、第一のモードでは、第一電極1011に150mA,第二電極1012に15mA、第六電極1013に180mAの電流を注入する。その他の電極には、電流を注入しない。この第一のモードによって得られた発光スペクトルは図8(a)である。また、第二電極1011に15mA、第六電極1016に180mAの電流を注入した状態で、第一電極1011に注入する電流を変化させたときの光出力強度の変化を図9(a)に示す。図8(a)より、発光スペクトルの半値幅は、約90nmであることが分かる。また、図9(a)より、第一のモード(第一電極に150mAの電流を注入う)では、光出力強度は12.3mWであることが分かる。
本実施例において、第二のモードでは、第一電極1011に130mA、第二電極1012に20mA、第四電極1014に30mAの電流を注入する。その他の電極には、電流を注入しない。この第二のモードによって得られた発光スペクトルは図8(b)である。また、第二電極1012に20mA、第三電極1013に30mAの電流を注入した状態で第一電極1011に注入する電流量を変化させたときの光出力強度の変化を図9(b)に示す。図8(b)より、発光スペクトルの半値幅は、約50nmであることが分かる。また、図9(b)より、第二のモード(第一電極への電流注入量は130m)では、光出力強度は12.6mWであることが分かる。この結果から、第一のモードと第二のモードとの光出力強度の変動幅は4%である。
次に、第一のモード、及び第二のモードで得られる発光スペクトルのPSFの計算結果をそれぞれ、図10に示す。図10より、それぞれの空気中での深さ分解能は、第一のモードが4.6μm、第二のモードでは、4.8μmであることがわかる。また、屈折率1.38の媒質中での深さ分解能は、第一のモードが3.3μm、第二のモードが3.5μmとなる。そのため、深さ分解能の高い断層像を得たい場合には、第一のモードで駆動して断層像を取得する。
また、PSFは深さ分解能以外にも、SD−OCTでの画質に関する指標が得られる。それは、サイドローブに関する指標である。図10では、横軸0の位置が最も高いが、そこから横軸が大きくなるに従い強度が減少するが、どちらの駆動条件とも単調減少ではなく、極小から増加に転じ、極大値を持っていることが分かる。
これは、SD−OCTの像に対応させると、本来の信号(PSFで横軸0の位置に相当)から離れた位置に本来の信号の影響を受けて派生的に生じる信号の大きさに相当している。このサイドローブは、小さい方が好ましい。
図10において、それぞれの駆動条件でのサイドローブの大きさを比較すると、第二のモードの方が8μmより外側の領域でのサイドローブが第3駆動条件と比較して50%以下に抑えられていることが分かる。そのため、分解能よりもサイドローブの影響を抑えた断層像を得たい場合には、第二のモードで発光素子を駆動し、断層像を取得する。
以上で述べたように、本実施例では、取得する画像の画質について、分解能を優先するか、サイドローブ低減を優先するかを、発光素子の電極に注入する電流量を変えるのみで変更することができる。そして、光出力強度の変動幅は4%に抑えられているため、光出力強度に関しては、どちらの駆動条件においても、好ましい範囲に維持できる。
また、本実施例では、実施の形態において説明した第1および第2の電極への電流密度の制御方法を利用して、発光素子の発光スペクトルを制御している。そして、さらに、本実施例では、第二電極と第四または第六電極との間に、1つまたは複数の電流を注入しない電極(以下、非注入電極と呼ぶ)を挟んでいる。非注入電極を設けることにより図8(a)で見られる波長910nm付近のピークが発生している。これは同じ半導体層で形成され、かつ非注入電極を用いていない実施例1でのスペクトルである図5(a)の発光スペクトルと比較すると理解できる。
第一のモードでは、第二のモードと比較し、非注入電極の導波方向の合計の長さを長くしている。なお、合計の長さは、非注入電極の長さを積算した値であり、電極分割領域の長さは足し合わされない。図11に非注入電極の長さと生じる発光ピークの波長の関係を示した実験例を示す。図11から分かるように、非注入電極が長くなると生じる発光ピークが長波長側に移動する。そのため、発光素子の発光波長の半値幅を広げるためには、非注入電極は長い方が良い。しかし、長すぎるとこのピークと第一および第二電極から生じる発光波長との間にギャップが生じる。このギャップが好ましくない場合には、非注入電極をある長さに抑える必要がある。
第一のモードでは、発光ピークを長波長側に位置させ、結果として発光素子からの発光スペクトル波長幅を広げることを優先している。これは、波長幅が広いほど、SD―OCTの断層像の分解能が向上するためである。
一方、第二のモードでは、ギャップが生じないことを優先している。これは、発光素子のスペクトルをガウス関数に近づけることにより、サイドローブが減るためである。
(実施例3)
本例に係る発光素子の構成は、実施形態1(図1)で示した構成である。
本実施例において活性層は、InGaAs/AlGaAsの量子井戸構造を有する。また、第一電極の長さLが0.5mm、第二電極の長さLが1.2mmである。第一電極に225mAの電流を注入した状態で、第二電極に注入する電流を0mAから60mAまで増加させた場合の発光スペクトルの変化を図12(a)に示す。
また、図12(b)に電極の長さが1.2mmの単電極のSLDを60mAで駆動させたときのスペクトルを示す。なお、第一電極に注入する電流値225mAは、活性層を構成する量子井戸(1つまたは複数)が持つ発光準位のうち、最も長波長側の準位以外の、より短波長側の準位が最も強く発光する電流密度で駆動させた状態である。
図12(b)によると、発光強度の最大値は0.015程度である。一方、図12(a)によると、第二電極に60mAの電流を注入した場合の発光強度の最大値は0.3程度であり、10倍以上大きいことが分かる。さらに、第二電極に電流を注入することによる発光スペクトルの変化は、860nm付近のピークが増加しており、の発光スペクトルの短波長の端や長波長側の端へのスペクトルの増減は少ないことも分かる。つまり、第二電極に注入する電流注入密度を制御することで、860nm付近の光強度を選択的に制御でき、第一電極により決まるスペクトル幅において、860nm付近の光強度を調整することができる。このように、上記の構成および駆動条件の発光素子においては、第二電極への電流注入密度の増減により、スペクトルの他の部分への影響を小さく抑えつつ、ある一部分のみを増減できることを、本発明者らは見いだした。このような、スペクトル上のある一部のみを増減するための駆動方法の特徴としては、第二電極へ注入する電流密度が第一電極へ注入する電流密度と比較して小さいことである。例えば、上記の例では、第二電極の電流密度は、60mA注入時でも第一電極の1/9である。このように低電流密度であっても、第一電極を上記のように活性層を構成する量子井戸(1つまたは複数)が持つ発光準位のうち、最も長波長側の準位以外の、より短波長側の準位が最も強く発光する電流密度」で駆動させた状態である。そのため、第二電極から第一電極へ導波した光は、第一電極内で誘導増幅を起こし、大きな光出力となる。一方、第二電極を例えば、第一電極の50%以上の電流密度で駆動してしまうと、第二電極でもより短波長側の光が大きく発光してしまうなどの問題で、上記のような光出力の調整機能としての効果は減ってしまう。上記の第一および第二電極の駆動方法は、量子井戸のキャリア密度と利得スペクトル(利得の波長依存性)の関係を利用した構造である。そのため、上記の実験で用いた量子井戸が一つのSLD以外でも、例えば、上記の実施例で用いている複数の量子井戸で構成される発光素子においても効果を奏する。
100 発光素子
103 活性層
110 上部電極層
120 下部電極層
150 制御部
160 光源システム

Claims (12)

  1. 下部電極層、活性層、上部電極層を、この順に有する積層体を有し、
    前記積層体は、前記積層体を構成する各層の積層方向と垂直な方向に光を導波する導波路構造を有し、
    前記上部電極層と前記下部電極層の少なくともいずれか一方の電極層が、前記導波路構造によって光が導波される方向に複数の電極に分割され、
    前記上部電極層と前記下部電極層を介して前記活性層に電流を注入して発光させることで、前記光が導波される方向に光を出射する発光素子と、
    前記上部電極層、及び前記下部電極層への電流注入量を制御する制御部と、を有する光源システムであって、
    前記制御部は、
    前記複数の電極のうち第一電極への電流注入密度と、前記第一電極とは異なる第二電極への電流注入密度との差を変えることで、
    前記発光素子の発光スペクトルの半値幅を変えることが可能に構成されている光源システム。
  2. 前記制御部は、前記複数の電極のうち第一電極に対して電流注入密度Jで電流を注入し、かつ、前記第二電極に対して前記Jよりも小さい電流注入密度Jで電流を注入する第一のモードと、前記第一電極に対して前記Jよりも小さい電流注入密度であるJ’の電流を注入し、かつ、前記第二電極に対して前記Jよりも大きく、前記J’よりも小さい電流注入密度であるJ’の電流を注入する第二のモードとを切り替えることで、前記発光素子の発光スペクトルの半値幅が変わるように制御することが可能に構成されている請求項1に記載の光源システム。
  3. 前記第一のモードから前記第二のモードへと変化させたときの、前記発光素子の出力光強度の変動幅が20%以下である請求項1または2に記載の光源システム。
  4. 前記第一のモードから前記第二のモードへと変化させたときの、前記発光素子の出力光強度の変動幅が10%以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光源システム。
  5. 前記活性層は量子井戸構造を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光源システム。
  6. 前記量子井戸構造は複数の異なる量子井戸構造を有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光源システム。
  7. 前記上部電極層と前記下部電極層の少なくともいずれか一方の電極層が、4つの電極に分割されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光源システム。
  8. 前記複数の電極の少なくとも1つには電流を注入しないように構成されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光源システム。
  9. 前記発光素子がリッジ型の導波路構造を有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光源システム。
  10. 前記導波路構造は、前記出射端面の垂線に対して前記活性層の面内方向に傾斜している請求項9に記載の光源システム。
  11. 前記発光素子から出射される光の強度を検出する出射光検出部をさらに有する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光源システム。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光源システムと、
    前記光源システムからの光を物体へ照射する照射光と参照光とに分波し、前記物体に照射された光の反射光と前記参照光による干渉光を発生させる干渉光学系と、
    前記干渉光を分光させる分光部と、
    分光された前記干渉光を受光する干渉光検出部と、
    前記干渉光の強度に基づいて、前記物体の情報を取得する情報取得部と、
    を有することを特徴とする光干渉断層計。
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