JP2015192945A - 液体供給方法およびマイクロ流路デバイス - Google Patents

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松浦 伸昭
Nobuaki Matsuura
伸昭 松浦
勉 堀内
Tsutomu Horiuchi
勉 堀内
勝義 林
Katsuyoshi Hayashi
勝義 林
弦 岩崎
Gen Iwasaki
弦 岩崎
鈴代 井上
Suzuyo Inoe
鈴代 井上
為近 恵美
Emi Tamechika
恵美 為近
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Abstract

【課題】気泡の混入を抑制することができるマイクロ流路デバイスおよびマイクロ流路デバイスの液体注入方法を提供する。【解決手段】フローセル1は、平面視略矩形の板状の本体2の上面に形成された凹部からなる供給部3と、本体2内部に形成され、供給部3の底部近傍に一端が接続された流路4とを備えている。ここで、供給部3の内径は、ピペット400から吐出される液体の液滴の外径よりも大きく形成されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、液体供給方法およびマイクロ流路デバイスに関するものである。
毛細管現象が発現する程度に微小な流路(以下、「マイクロ流路」と言う。)を作製して流体を流通させることにより生化学測定や化学合成を行う技術は、Lab on a chipと呼ばれて注目されている。この技術において微小な流路に流体を流通させるときに気泡が混入すると、流体の流れが乱れたり、液体の状態を観測するための視野が阻害されたりして、測定等を正確に行えなくなる。そこで、気泡の混入を防ぐ避けるために、様々な提案がなされている(例えば、特許文献1,2参照。)。
例えば、特許文献1では、流体が重力とは逆向きに流れる部分を形成することにより、流路内への気泡の混入を防ぐことが提案されている。また、特許文献2では、ピペットから供給する液体の液面を、ピペットの開口から突出させた状態とした上で、ピペットからマイクロ流路の供給口に液体を供給することにより、液体内への気泡の混入を防ぐことが提案されている。
特開2008−82961号公報 特開2008−232816号公報
しかしながら、上述した従来の方法は、マイクロ流路デバイスの形態によっては適用することが困難であった。この問題について図4を参照して説明する。
図4に示す平板状のフローセル100は、フローセル100の上面から開口した凹部からなる供給部110と、この供給部110の側壁底部に接続された一端(入口)からフローセル1の上面または底面に沿った方向に延在する流路120とを備えている。
このフローセル100では、例えば、予め試薬200で満たされた流路120内に検体300を投入して、流路120内における両者の界面の移動やその界面付近の生化学反応等が観測される。
具体的には、まず、供給部110に試薬200を投入し、流路120の他端(出口)側から負圧をかけることにより、試薬200を流路120内に導入する。このとき、負圧の大きさを、液体の表面張力係数、流路内壁の接触角、流路の入口の形状およびサイズ等に適宜設定して、負圧により液体を流路120の他端側へと引っ張る力と流路120の入口に形成される液面に働く表面張力とを釣り合わせる。すると、試薬は、流路120内を全て通り抜けずに、流路120の入口に液面200aが形成された状態となる。この状態からピペット400により検体300を上方から供給部11内へと滴下させると、検体300は、球状となって供給部110の底面に到達した後、供給部110の側壁底部に接続された流路120の入口に到達する。この検体300が試薬200と接触して流路110の入口に形成されていた試薬200の液面200aがなくなると、検体300は、負圧によって流路120内に引き込まれるので、検体と試薬の界面が流路120内を移動するところを観測することができる。
このような場合において、ピペットから供給部110に滴下した検体は球状になるために、この検体の一部が、流路120入口に形成された試薬の液面200aと接触する前に供給部110の内壁111に接触してしまうことがあった。すると、検体が供給部110の底部に存在していた空気aの逃げ道を奪って抱き込むことになり、結果として、流路120内に気泡が混入してしまうことがあった。
そこで、本発明は、気泡の混入を抑制することができるマイクロ流路デバイスおよびマイクロ流路デバイスの液体注入方法を提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明に係る液体供給方法は、本体に形成され、底部が親水性を有する凹部からなる供給部と、この供給部の底部近傍の側面に一端が接続された流路とを備えたマイクロ流路デバイスを用意するステップと、供給部の底部と対向する位置から供給部に液体を供給するステップとを有し、供給部の底部の内径は、液体の液滴の外径よりも大きいことを特徴とするものである。
上記液体供給方法において、液体を供給するステップは、供給部の底部からの距離が液体の液滴の外径よりも短い位置から液体を供給部に供給するようにしてもよい。
また、本発明に係るマイクロ流路デバイスは、本体と、この本体に形成された凹状の供給部とを備え、供給部の内径は、供給部に供給される液体の液滴の外径よりも大きく、供給部の底部は、親水性を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、内径が液体の滴の外径よりも大きい供給部に液体を供給することにより、液体が供給部の側面に接触することを防ぐことができるので、流路に気体が混入することを抑制することができる。
図1は、本発明の実施の形態にかかるフローセルの構成を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の実施の形態にかかる液体供給方法を示すフローチャートである。 図3は、本発明の実施の形態にかかるフローセルに対する液体供給方法を説明するための図である。 図4は、従来のフローセルの構成を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<フローセルの構成>
図1に示すフローセル1は、内部にマイクロ流路を備えたマイクロ流路デバイスである。このようなフローセル1は、平面視略矩形の板状の本体2の上面に形成された凹部からなる供給部3と、本体2内部に形成され、供給部3の底部近傍に一端が接続された流路4とを備えている。
本体2は、例えば、ガラス基板(BK7)やポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane:以下、「PDMS」と言う。)などから構成されている。
供給部3は、上部がフローセル1の上面に形成された凹部からなり、底部が封鎖された円筒形状(円管)に形成されている。
ここで、供給部3の内径(直径)は、供給部3に供給される液体の直径よりも大きく形成されている。
また、供給部3の底面31は親水性を有するように形成されている。
流路4は、断面矩形の管であり、供給部3側面の底部に接続された一端(入口)からフローセル1の上面または底面に沿った方向に延在している。
流路4の他端(出口)は、本体2の側面に露出し、負圧をかけるポンプ等の装置に接続されている。なお、流路4の他端は、負圧がかけられるのであれば本体2の側面に露出しないようにしてもよい。例えば、流路4の他端は、本体2の内部に形成された他の構造体や本体2の外部に設けられた他の装置等を介して、ポンプ等の負圧をかけるための装置に接続されるようにしてもよい。
このようなフローセル1は、例えば、ガラス基板(BK7)上に、供給部3および流路4に対応する溝が形成されたポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane:以下、「PDMS」と言う。)の構造体を配置して本体2を形成することにより、生成することができる。これにより、供給部3の底面31は、親水性を有するガラス基板で構成されるので、親水性を有することとなる。なお、ガラス基板の代わりに形質転換試薬を転換することにより親水化したPDMSを用いるようにしてもよい。
<液体供給方法>
次に、図2を参照して本実施の形態にかかるフローセル1への液体供給方法について説明する。なお、本実施の形態では、流路4内における試薬と検体の界面の移動やその界面付近の生化学反応等を観測する場合を例に説明する。
まず、フローセル1を用意する(ステップS1)。一例として、供給する検体(液体)の量を10μlとした場合、この検体の液滴の径が1.3mm程度となるので、供給部3を内径3mm、高さ3mmの有底円筒状に形成し、流路4を幅1mm、高さ0.075mmの断面形状矩形の筒状に形成したフローセル1を用意した。
次に、流路4内に試薬200を導入する(ステップS2)。具体的には、供給部3に試薬200を供給し、流路4の出口側から図示しないポンプ等により負圧をかかけることにより、試薬200を流路4内に導入する。
このとき、負圧の大きさは、体の表面張力係数、流路内壁の接触角、流路4の入口の形状およびサイズ等に適宜設定して、負圧により流路4内の液体を流路4の他端側へと引っ張る力と流路4の入口に形成される液面(メニスカス)に働く表面張力とが釣り合わせる。すると、試薬200は、流路4内を全て通り抜けてしまわず、流路4の入口に液面200aが形成された状態となる。なお、本実施の形態においては、その負圧を1mbarとした。
次に、ピペット400により検体300を、供給部3の底面31と対向する位置から供給部3内へと滴下させる(ステップS3)。
すると、検体300は、おおむね球の形状となって供給部3の底面31に到達する。このとき、供給部3の内径は、検体300の滴の外径よりも大きく形成されている。したがって、ピペット400から検体300を供給部3に滴下するとき、十分な幅があるので、検体300の滴は、供給部3の側面に接触せずに底面31へと到達させることができる。これにより、流路4の入口と検体300との間に空気が挟まれることを防ぐことができる。
また、供給部3の底面31は親水性を有しているので、供給部3の底面31に接触した検体300は、底面31との接触角が鋭角をなした状態で拡がってゆく。そして、検体300は、流路4の入口に到達して、流路4の入口に形成されていた試薬200の液面200aに接触し、この液面200aが消失する。すると、検体300は、流路4の出口側からの負圧によって流路4内に引き込まれるので、検体と試薬の界面が流路4内を移動するところを観測することができる。このように、ピペット400から供給部3に供給される液体は、供給部3の側面に接触しないので、流路4の入口と検体300との間に空気が挟まれず、結果として、流路4内部に気体が混入することを抑制することができる。
また、液滴は、平面上に有る場合、平面方向に拡がってゆき、最終的には球の一部を切り取ったようなレンズ状またはドーム状の形状となる。このとき、底面の径は、液体の量と平面の接触角によって決まる。また、空中から落下した液滴は、供給部3の底面31に衝突した勢いで、一時的に一回に滴下する量の液体がレンズ状になったときの底部の径よりもさらに大きく拡がる。
そこで、供給部3の底面31の径は、ピペット400から供給部3に一回に滴下する量の液体がレンズ状となったときの底部の径より大きく、その液体が空中から落下した直後にレンズ状となったときの底部の径よりも小さくするようにしてもよい。これにより、ピペット400から供給部3に液体を滴下すると、この液体は、底面31上でレンズ状に平面方向へと拡がって縁部が流路4の入口に接触するので、流路4の出口側からの負圧によって流路4内に引き込まれることとなる。このようにしても、ピペット400から供給部3に供給される液体は、供給部3の側面に接触しないので、流路4の入口と液体との間に空気が挟まれず、結果として、流路4内部に気体が混入することを抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、内径が液体の滴の外径よりも大きい供給部3に液体を供給することにより、液体が供給部3の側面に接触することを防ぐことができるので、流路4に気体が混入することを抑制することができる。
なお、図3に示すように、ピペット400は供給部3により近づけた状態で液体(検体300)を供給部3に供給するようにしてもよい。具体的には、ピペット400の液体の吐出端401と供給部3の底面31との距離は、一回に滴下する量の液体が球体となったときの外径(直径)よりも短くする。
通常、ピペット400から液体を吐出すると、この液体は液滴を形成してゆく。この液滴は、吐出端401から吐出される液体の量が増えるにしたがって径が大きくなり、この液滴の自重による鉛直下方に向かう力が吐出端401の形状、液滴の粘度等に依存する液滴が吐出端401に接着する力よりも大きくなると、吐出端401から落下する。そこで、この落下する液滴の径よりもピペット400の吐出端401と供給部3の底面31との距離を短くすることにより、吐出端401から吐出される液体は、空中を落下することなく供給部3の底面31に接触する。これにより、その液体は、供給部3の側面に接触しないので、流路4の入口と液体との間に空気が挟まれず、結果として、流路4内部に気体が混入することを抑制することができる。
さらに、液体を吐出した後にピペット400を鉛直上方に引き上げると、供給部3の底面31が親水性を有しているので、底面31上に吐出された液体は、底面31に接触した検体300は、底面31との接触角が鋭角をなした状態で拡がってゆき、流路4の入口に到達して、流路4内に引き込まれることとなる。したがって、流路4の入口と液体との間に空気が挟まれないので、結果として、流路4内部に気体が混入することを抑制することができる。
なお、本実施の形態において、流路4に予め貯留しておく液体(試薬200)は、流路4の出口側から負圧がかけられていることにより流路4の入口にメニスカスを形成しているが、供給部3に液体(検体300)を供給するときにその負圧を停止するようにしてもよい。これにより、流路4の入口に形成された液面のくぼみがなくなるので、そのくぼみ内に位置していた空気が流路4に混入することを抑制することができる。
また、本実施の形態において、試薬200を供給部3に導入する場合、検体300を供給部3に導入する場合と同様に、ピペット400から滴下するようにしてもよい。また、図3に示すように、ピペット400を供給部3に近づけた状態で、ピペット400から供給部3に吐出するようにしてもよい。
本発明は、流路を有する各種装置やこの装置を用いて測定を行う各種方法に適用することができる。
1…フローセル、2…本体、3…供給部、4…流路、31…底面、200…試薬、200a…液面、300…検体、400…ピペット、401…吐出端。

Claims (3)

  1. 本体に形成され、底部が親水性を有する凹部からなる供給部と、この供給部の前記底部近傍の側面に一端が接続された流路とを備えたマイクロ流路デバイスを用意するステップと、
    前記供給部の底部と対向する位置から前記供給部に液体を供給するステップと
    を有し、
    前記供給部の底部の内径は、前記液体の液滴の外径よりも大きい
    ことを特徴とする液体供給方法。
  2. 請求項1記載の液体供給方法において、
    前記液体を供給するステップは、前記供給部の底部からの距離が前記液体の液滴の外径よりも短い位置から前記液体を前記供給部に供給する
    ことを特徴とする液体供給方法。
  3. 本体と、
    この本体に形成された凹状の供給部と
    を備え、
    前記供給部の内径は、前記供給部に供給される液体の液滴の外径よりも大きく、
    前記供給部の底部は、親水性を有する
    ことを特徴とするマイクロ流路デバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017078059A1 (ja) * 2015-11-06 2017-05-11 シャープ マイクロフルイディック ソリューションズ リミテッド エレクトロウェッティング装置およびその製造方法並びに液滴注入方法

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