JP2015189981A - 焼結割れ防止性に優れ焼結−時効処理後に高強度が得られる析出硬化型ステンレス鋼粉末およびその焼結体。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:≦0.05%、Si:≦1.0%、Mn:≦1.5%、Ni:3.0〜8.5%、Cr:12.0〜20.0%、Mo:0.1〜2.5%、Cu:1.0〜5.0%、Nb≧5C、N:≦350ppm、残部Feおよび不可避的不純物からなる析出硬化ステンレス鋼からなる粉末であって、該鋼粉末を焼結し冷却後、または再溶融し凝固後のδフェライト量が0.2〜5.0%であり、焼結し冷却後の焼結体に含有されるマルテンサイト組織が90%以上となることを特徴とする析出硬化型ステンレス鋼粉末およびその焼結体。
【選択図】なし
Description
(1)質量%で、C:≦0.05%、Si:≦1.0%、Mn:≦1.5%、Ni:3.0〜8.5%、Cr:12.0〜20.0%、Mo:0.1〜2.5%、Cu:1.0〜5.0%、Nb≧5C、N:≦350ppm、残部Feおよび不可避的不純物からなる析出硬化ステンレス鋼からなる粉末であって、該鋼粉末を焼結し冷却後、または再溶融し凝固後のδフェライト量が0.2〜5.0%であり、マルテンサイト組織が90%以上となることを特徴とする析出硬化型ステンレス鋼粉末。
(3)前記(1)に記載のCuに代え、TiまたはAlの1種または2種を1.0〜5.0%含有させたことを特徴とする析出硬化型ステンレス鋼粉末。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1に記載した粉末からなる焼結体はマルテンサイト組織が90%以上とすることを特徴とする析出硬化型ステンレス鋼の焼結体にある。
C:≦0.05%
Cは、析出硬化ステンレス鋼では固溶化状態での加工性改善と低Cマルテンサイト組織とするため低く抑える必要がある。好ましくは0.03%以下とする。また、多くなると固溶化状態での硬さが増加し、加工性が劣化する。また、本発明ではδフェライトが生成されなくなり、焼結時の割れが顕著となる。したがって、上限を0.05%とした。
Siは、脱酸材として有効並びに硬度向上にも有効である元素である。しかし、硬度向上のため焼結時の割れやすさが増大、また耐孔食性も劣化させるため、その上限を1.0%とした。
Mn:≦1.5%
Mnは、強度と靭性を向上させるのに有効な元素であるが、しかし、1.5%を超えると機械的性質および耐孔食性を劣化させることから、その上限を1.5%とした。
Niは、全体の組織調整および析出硬化に必要不可欠な元素である。また、δフェライトの生成量に大きく影響し、3%未満ではδフェライトが生成されず、8.5%を超えるとδフェライトが生成過多となり、焼結体の析出硬化能が確保できないため、その範囲を3.0〜8.5%とした。
Crは、ステンレス鋼として耐食性を確保するためには12.0%以上必要である。しかし、20.0%を超えると単に耐食性増加にはいいものの、δフェライト生成過剰となり析出硬化能や素材の靭性が劣化することから、その上限を20.0%とした。
Moは、耐食性を確保するために必要な元素である。しかし、添加しすぎるとδフェライトが生成過多となり、析出硬化能や素材の靭性が劣化する。したがって、その範囲を0.1〜2.5%とした。
Cuは、析出硬化能を確保するための元素である。しかし、1.0%未満ではその効果が得られず、その下限を1.0%とした。好ましくは3%の添加が必要である。しかし、5%を超えると靭性が低下し、δフェライトが生成されなくなるため、上限を5%とした。
TiおよびAlは、Cuと複合もしくは単独添加で析出硬化能を発揮する元素である。そのため、最低でも1%の添加が必要である。しかし、5%を超えると靭性劣化およびδフェライト生成傾向が高くなりすぎるため5.0%を上限とする。
Nbは、Cの安定化と析出硬化度を向上させるのに必要不可欠な元素である。またその量は5Cより多く必要である。具体的には0.1%以上を確保するのが望ましい。5C以上で高くするにつれ析出硬化能を向上させる効果がある。但し靭性劣化傾向もあるがMoが複合添加されている場合は焼戻脆化に伴う靭性劣化が抑制できる。さらに5Cを超えるにつれ析出硬化能を向上させる効果がある。したがって、Nb≧5Cとした。
Nは、本発明の析出硬化ステンレス鋼ではδフェライト形成に大きく影響する元素であり、Nが高すぎるとδフェライトが形成されなくなり、焼結時の割れが顕著になる。また、マルテンサイト開始点を上げて、時効強化に寄与する低炭素マルテンサイト組織が減って時効硬さが下がるため上限を350ppmとする。好ましくは275ppm以下とした。
δフェライト量を0.2〜5.0%としたのは、溶融−凝固の際に初期フェライトを出させる成分組成とすることで、偏折割れの原因となるP,SやCu等をδフェライト内にトラップでき、これにより造形速度をアップ(急速加熱と冷却度上昇)しても造形時の割れを抑制できる。すなわち、δフェライト量が0.2%未満のものは、偏析したP,S,Cu等の不純物を起点にクラックが発生する。また、δフェライト量が5%を超えると時効硬化に寄与する低炭素マルテンサイト組織が減って時効硬さが下がり340HV以下となった。したがって、δフェライト量を0.2〜5.0%とした。
表1に示す成分組成について、真空溶解した溶湯よりガスアトマイズ法にて低窒素の球状粉末を作製した。特に窒素量は350ppm以下、好ましくは275ppm以下とした粉末を篩目53μmの網を用いて53μm以下に分級した。また、比較材として上記方法と同一で本発明範囲外の市販の粉末、並びに溶解原料にCrNを用いて固溶窒素量を高めにした上でアトマイズを行うことで得られた高窒素粉末を用いた。この粉末を粉末焼結法または積層造形法で造形した。
雰囲気で単純な角形状造形(角10mm、長さ55mm)を行い、焼結体を得た。また、焼結品は時効処理(480℃、2時間、空冷)を施し、密度(相対密度をアルキメデス法で測定)、硬さ(ビッカース硬度)にて特性を、ミクロ組織を観察しAMS2315Aに準拠した点算法によりδフェライト量を確認した。また、焼結性評価として、焼結物表面に入った割れ数をカウントし評価した。
含有量が低くなり、Al含有量が高く、Mo含有量が低いため、かつδフェライトの生成が多いために、焼結体の硬さが低い。比較例No.22は、N,Crの含有量が高く、焼結体のマルテンサイト組織の含有量は低く、δフェライトの生成が多いため、焼結体の硬さが低い。
特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊
Claims (4)
- 質量%で、
C:≦0.05%、
Si:≦1.0%、
Mn:≦1.5%、
Ni:3.0〜8.5%、
Cr:12.0〜20.0%、
Mo:0.1〜2.5%、
Cu:1.0〜5.0%、
Nb:≧5C、
N:≦350ppm、
残部Feおよび不可避的不純物からなる析出硬化ステンレス鋼からなる粉末であって、該鋼粉末を焼結し冷却後、または再溶融し凝固後のδフェライト量が0.2〜5.0%であり、マルテンサイト組織が90%以上となることを特徴とする析出硬化型ステンレス鋼粉末。 - 請求項1に記載の鋼に加えて、TiまたはAlの1種または2種を1.0〜5.0%含有させたことを特徴とする析出硬化型ステンレス鋼粉末。
- 請求項1に記載のCuに代え、TiまたはAlの1種または2種を1.0〜5.0%含有させたことを特徴とする析出硬化型ステンレス鋼粉末。
- 請求項1〜3のいずれか1に記載した粉末からなる焼結体はマルテンサイト組織が90%以上とすることを特徴とする析出硬化型ステンレス鋼の焼結体。
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