JP2015188467A - 超音波測定装置及び測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 使用者に対する負担を抑制しつつ、血流情報を測定することができる超音波測定装置及び測定方法等の提供。
【解決手段】 超音波測定装置100は、超音波測定装置100の装着時に瞼表面に接触可能なセンサー面220と、センサー面220を介して、眼底に超音波ビームを送信すると共に、超音波ビームによる超音波エコーを受信する超音波トランスデューサーデバイス210と、受信された超音波エコーのドップラーシフト量に基づいて、眼底における血流情報を測定する制御部125と、を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波測定装置及び測定方法等に関する。
近年の研究により、眼底部における血流の減少が、緑内障発症の機序の一つであることが発見された。そのため、眼底部の血流をより正確に把握できれば、緑内障の疑いがあるか否かの診断精度を向上したり、より効果的な投薬治療を行ったりすること等が可能になる。
従来、眼底部における血流を測定する手法としては、例えば特許文献1に記載されるような発明がある。特許文献1において開示される発明では、超音波プローブのホルダーを眼球に接触させて、プローブ軸を固定し、眼球内の動脈入り口部(網膜中心動脈)の血流速度を測定する。
特表平8−502188号公報
しかしながら、特許文献1の従来技術のように、使用者(被測定者)の眼球に装置の一部を接触させて血流情報を測定する手法であると、測定時に使用者の身体的な負担が大きい。身体的な負担が大きいと、繰り返し測定をすることが困難になり、測定精度を向上させることも難しい。
本発明の幾つかの態様によれば、使用者に対する負担を抑制しつつ、血流情報を測定することができる超音波測定装置及び測定方法等を提供することができる。
本発明の一態様は、超音波測定装置の装着時に瞼表面に接触可能なセンサー面と、前記センサー面を介して、眼底に超音波ビームを送信すると共に、前記超音波ビームによる超音波エコーを受信する超音波トランスデューサーデバイスと、受信された前記超音波エコーのドップラーシフト量に基づいて、前記眼底における血流情報を測定する制御部と、を含む超音波測定装置に関係する。
本発明の一態様では、使用者が、瞼表面にセンサー面が接触するように超音波測定装置を装着する。そして、センサー面(瞼表面)を介して眼底に超音波ビームを送信し、送信した超音波ビームに対する超音波エコーを受信し、受信した超音波エコーのドップラーシフト量に基づいて血流情報を測定する。
よって、使用者に対する負担を抑制しつつ、血流情報を測定することが可能となる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、視神経乳頭部の位置を特定し、特定した前記視神経乳頭部の位置に基づいて設定される測定範囲に対して前記超音波ビームを照射し、前記超音波エコーの前記ドップラーシフト量に基づいて、前記血流情報を測定してもよい。
これにより、例えば視神経乳頭部を中心とした所与の測定範囲における血流情報を測定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、前記視神経乳頭部を含む領域を前記超音波ビームで走査して断面像を取得し、取得した前記断面像において前記視神経乳頭部の形状を認識して、前記視神経乳頭部の中央部を特定してもよい。
これにより、特定した視神経乳頭部の中央部の位置に基づいて、血流情報の測定範囲を特定すること等が可能となる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、視神経乳頭部又は網膜への前記超音波ビームの入射角度を特定し、特定した前記入射角度と前記ドップラーシフト量とに基づいて、前記血流情報を特定してもよい。
これにより、測定範囲における血流方向が超音波ビームの照射方向と交差する場合であっても、血流情報を正しく特定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記超音波ビームの前記入射角度は、前記センサー面から前記視神経乳頭部へのベクトルと、前記視神経乳頭部から前記網膜上の測定点へのベクトルとがなす角の角度であってもよい。
これにより、視神経乳頭部又は網膜に対する超音波ビームの入射角度を算出すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、特定した前記入射角度が所与の角度以上である場合には、前記血流情報の測定を中止してもよい。
これにより、血流情報の測定処理において発生する誤差を抑制すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、前記ドップラーシフト量の最大値を前記血流情報として求めてもよい。
これにより、測定範囲における最大血流速度を血流情報として求めること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、受信した前記超音波エコーに基づいて、視神経乳頭部の位置を検出し、特定した前記視神経乳頭部の位置に基づいて設定される測定範囲に対して前記超音波ビームを照射し、前記視神経乳頭部又は網膜への前記超音波ビームの入射角度を特定し、特定した前記入射角度と前記ドップラーシフト量とに基づいて、前記血流情報を特定してもよい。
これにより、測定範囲における血流方向が超音波ビームの照射方向と交差する場合であっても、血流情報を正しく特定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、測定された前記血流情報を時系列順に記憶する記憶部を含んでもよい。
これにより、新たに測定した血流情報を、過去の血流情報と比較すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記血流情報が表す血流速度が所与の閾値以下になったことを報知する報知部を含んでもよい。
これにより、血流速度が小さくなっており、緑内障の疑いがあることを使用者が知ること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記センサー面と前記超音波トランスデューサーデバイスとを有するセンサー部を支持する支持部を、含み、前記センサー面は、前記支持部によって前記瞼表面に接触可能に支持されてもよい。
これにより、ユーザーが超音波測定装置(眼鏡型フレーム)を装着するだけで、センサー面が瞼表面に接触して、超音波ビームを眼球方向に送信可能な状態にすること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、前記超音波エコーに基づいて、眼圧及び眼球径の少なくとも一方を測定してもよい。
これにより、眼圧及び眼球径の少なくとも一方の情報に基づいて、超音波の照射処理を行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、前記血流情報が表す血流速度が所与の閾値以下になった場合に、前記超音波ビームを隅角部に照射する照射処理を行ってもよい。
これにより、血流速度が小さくなっており、緑内障の疑いがある場合に、眼球に対して、超音波ビームによる治療を行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記制御部は、前記血流速度が前記所与の閾値以下で、且つ眼圧が所与の圧力以上の場合に、前記超音波ビームを前記隅角部に照射する前記照射処理を行ってもよい。
これにより、超音波ビームによる眼球疾患の治療を行うタイミングを、眼圧だけではなく、視神経乳頭部の周辺の血流速度に基づいて判定すること等が可能になる。
また、本発明の他の態様では、超音波測定装置の装着時に、瞼表面に接触可能な前記超音波測定装置のセンサー面を介して、超音波トランスデューサーデバイスにより、眼底に超音波ビームを送信し、前記超音波ビームによる超音波エコーを受信し、受信された前記超音波エコーのドップラーシフト量に基づいて、制御部により、前記眼底における血流情報を測定する測定方法に関係する。
本実施形態の超音波測定装置の構成例。 本実施形態の超音波測定装置の詳細な構成例。 センサー部の構成例。 超音波測定装置の装着についての説明図。 篩状板厚測定処理の流れを説明するフローチャート。 眼球周辺の説明図。 図7(A)、図7(B)は、篩状板に対する超音波の送受信処理の説明図。 図8(A)〜図8(D)は、篩状板厚測定処理の説明図。 血流情報測定処理の流れを説明するフローチャート。 図10(A)〜図10(C)は、血流情報測定処理の説明図。 超音波を用いた緑内障治療についての説明図。 図12(A)、図12(B)は、眼球情報の測定処理の流れを説明するフローチャート。 超音波を用いた緑内障治療の流れを説明するフローチャート。 図14(A)、図14(B)は、緑内障治療の詳細を説明するフローチャート。 超音波測定装置による眼球径の測定を説明する図。 眼圧と眼球径の変動との関係の一例。 超音波測定装置による眼圧の推定を説明する図。 図18(A)〜図18(C)は、超音波トランスデューサー素子の構成例。 超音波トランスデューサーデバイスの第1の構成例。 図20(A)、図20(B)は、超音波トランスデューサーデバイスの第1の構成例によるビームスキャンを説明する図。 真の眼球径の推定を説明する図。 超音波トランスデューサーデバイスの第2の構成例。 超音波トランスデューサーデバイスの第2の構成例によるビームスキャンを説明する図。 眼球径の推定演算処理を説明するフローチャート。 眼球径情報と眼圧との関係を特定する処理を説明するフローチャート。 眼圧の推定処理を説明するフローチャート。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下で説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.超音波測定装置
図1に、本実施形態の超音波測定装置100の構成例を示す。本実施形態の超音波測定装置100は、センサー部200、制御部125を含む。センサー部200は、超音波トランスデューサーデバイス210、センサー面220、送信部110及び受信部120を含む。なお、本実施形態の超音波測定装置100(超音波装置)は図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
超音波トランスデューサーデバイス210は超音波ビームを送信する。具体的には眼の瞼(目蓋)の表面を介して眼球(隅角部、視神経乳頭部等)に向けて超音波ビームを送信(照射)する。超音波トランスデューサーデバイス210は、超音波を受信(送受信)するものであってもよい。例えば超音波トランスデューサーデバイス210は、瞼を介して眼球方向に超音波ビームを送信し、超音波ビームが対象物により反射されたものである超音波エコーを受信する。
超音波トランスデューサーデバイス210は、超音波トランスデューサー素子を有する。超音波トランスデューサー素子は、電気信号である送信信号を超音波に変換する。超音波トランスデューサー素子は、対象物(被検体)からの超音波エコーを電気信号に変換する。超音波トランスデューサー素子は、例えば薄膜圧電型超音波トランスデューサー素子やバルク圧電型超音波トランスデューサー素子であってもよいし、或いは容量性微細加工超音波トランスデューサー素子(CMUT:Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)であってもよい。
センサー面220は、超音波測定装置(センサー部)の装着時に瞼表面に接触する。センサー面220は、例えばセンサー部200が有する外面のうちの装着時(測定時)に瞼表面に接触する面である。センサー面220は、例えば超音波トランスデューサーデバイス210を被う保護膜の表面であってもよいし、或いは、音響レンズなど超音波を伝搬する部材の表面などであってもよい。センサー面220は、瞼表面に塗布されたジェルを介して瞼表面に接触してもよい。
送信部110は、超音波ビームの送信処理を行う。具体的には、送信部110が、制御部125(送受信制御部)の制御に基づいてパルス信号を生成・増幅し、超音波トランスデューサーデバイス210に対して電気信号である送信信号(駆動信号)を出力する。超音波トランスデューサーデバイス210は、電気信号である送信信号を超音波に変換して、超音波を送信する。送信部110は、例えばパルス発生器、増幅器などで構成することができる。なお、送信部110の少なくとも一部を、センサー部200の外部(例えば制御部125と一体化)に設けてもよい。送信信号は、例えば正弦波パルス、又は矩形波パルス、又は三角波パルスなどであってもよい。また、1周期分のパルスに限定されず、例えば1/2周期分のパルス、又は3/2周期分のパルス、或いは2周期分のパルスなどであってもよい。
受信部120は、超音波エコーの受信処理を行う。具体的には、超音波トランスデューサーデバイス210が被検体(対象物)からの超音波エコーを電気信号に変換して、受信部120に対して出力する。受信部120は、超音波トランスデューサーデバイス210からの電気信号であるアナログの受信信号に対して増幅、検波、A/D変換、位相合わせなどの受信処理を行い、受信処理後のデジタルの受信信号(デジタルデータ)を制御部125に対して出力する。受信部120は、例えば低雑音増幅器、電圧制御アッテネーター、プログラマブルゲインアンプ、ローパスフィルター、A/Dコンバーターなどで構成することができる。なお、受信部120の少なくとも一部をセンサー部200の外部(例えば制御部125と一体化)に設けてもよい。
図2に本実施形態の超音波測定装置100の詳細な構成例を示す。図2では、制御部125は送受信制御部130、処理部140を有する。また超音波測定装置100には、記憶部150、報知部160が更に設けられている。
送受信制御部130は、処理部140の制御処理に基づいて送信部110及び受信部120による送受信処理を制御する。具体的には、例えば送信期間と受信期間との切り換え制御、或いは送信部110が出力する送信信号のタイミングを制御して超音波ビームのビームスキャン制御、或いは受信部120のゲイン制御などを行う。
処理部140は、超音波測定装置100の制御処理や各種の処理を行う。例えば篩状板厚情報の測定処理、血流情報の測定処理、眼球情報の測定処理、超音波の照射処理、超音波画像の画像認識処理、或いは眼圧の推定演算処理などを行う。処理部140は、例えばCPU等のプロセッサー(プロセッサーにより実行されるプログラム)やASICの論理回路等により実現できる。
記憶部150は、例えば半導体メモリ−(DRAM、SRAM)などの記憶装置で構成され、受信信号や、篩状板厚情報、血流情報(血流速度等)、眼球情報(眼球径、眼圧等)などを記憶する。また、記憶部150は、フラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置をさらに含み、過去に測定した篩状板厚情報、血流情報及び眼球情報などを、自系列順に記憶する。これにより、新たに測定した篩状板厚情報や血流情報を、過去の篩状板厚情報や血流情報と比較すること等が可能になる。
報知部160は、情報を報知するデバイスであり、例えばディスプレイ(表示装置)、或いはスピーカーなどにより実現できる。報知部160は、処理部140からの報知情報をユーザーに対して報知する。ディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であって、処理部140からの報知情報を含む表示用画像データを表示する。報知部160は、例えばビープ音を発生するビーパー、又は発光・点滅するLED、又は振動するバイブレーターなどであってもよい。報知情報は、眼圧の正常又は異常に関する情報や、眼球情報(眼圧等)の時間変化に関する情報などのほか、ユーザーに対して必要な操作を指示するための情報を含んでもよい。
図3に、センサー部200の構成例を示す。センサー部200は、超音波トランスデューサーデバイス210、センサー面220、保護膜230、ベース基板240、フレキシブル基板250、送信部110及び受信部120を含む。なお、本実施形態のセンサー部200は図3の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。例えば、送信部110及び受信部120の少なくとも一方をセンサー部200の外部に設けてもよい。或いは制御部125の一部をセンサー部200に設けてもよい。
超音波トランスデューサーデバイス210及びセンサー面220については、既に説明したので、ここでは詳細な説明を省略する。
超音波トランスデューサーデバイス210、送信部110及び受信部120は、ベース基板240の一方の面に設けられる。例えば、超音波トランスデューサーデバイス210、送信部110、受信部120の各チップが基板240に実装される。保護膜230は、超音波トランスデューサーデバイス210、送信部110及び受信部120を保護する部材(透明部材)である。例えば保護膜230はシリコーン系樹脂等により形成できる。センサー面220が瞼表面に接触した状態において、超音波トランスデューサーデバイス210からの超音波ビームや、対象物により反射された超音波エコーは、センサー面220や保護膜230を介して伝達される。
超音波トランスデューサーデバイス210と送信部110及び受信部120とは、フレキシブル基板250によって電気的に接続される。即ち、送信部110からの超音波トランスデューサーデバイス210の送信信号や、超音波トランスデューサーデバイス210から受信部120への受信信号は、フレキシブル基板250に形成された配線により伝達される。
センサー部200は、支持部170により瞼表面に接触して支持される。支持部170は、例えば金属又は樹脂などの弾性を有する材料で形成することができる。センサー部200は、配線180によって制御部125(送受信制御部130)と電気的に接続される。
本実施形態の超音波測定装置100はユーザーがウェアラブルに装着可能な装置になっている。図4は、超音波測定装置100の装着についての説明図である。
本実施形態の超音波測定装置100は支持部170を有する。支持部170は、少なくともセンサー面220と超音波トランスデューサーデバイス210を有するセンサー部200を支持する。図4では、支持部170は眼鏡型のフレームに設けられている。具体的には支持部170は眼鏡型のフレームに固設されている。なお支持部170(及びセンサー部200)は、フレームに対して取り付け及び取り外しが自在な部材であってもよい。
図4の構成によれば、支持部170によりセンサー部200を下瞼に確実に接触させることができる。従って、被験者に与える身体的な負担を軽減しつつ、超音波測定を行うことが可能になる。例えばセンサー部200は、ユーザーが眼鏡型のフレームをかけた場合に、そのセンサー面220がユーザーの瞼に接触するように、支持部170により支持されている。そして、このようにセンサー面220が瞼表面に接触するように支持部170により支持された状態で、センサー部200の超音波トランスデューサーデバイス210が、眼球の所望の部位(篩状板等)に超音波を照射する。こうすることで、被験者であるユーザーが超音波測定装置100を常時装着して、適切なタイミングで篩状板厚情報や血流情報の測定を行ったり、眼球疾病の治療を行ったりすることが可能になる。
なお、図4には右眼部分を示しているが、左眼部分についても同様に、フレームに支持部170を設けてセンサー部200を下瞼に確実に接触させることができる。また、フレームは、図4に示す眼鏡型に限定されず、他の形態の形状であってもよい。また支持部170は弾性変形する部材であることが望ましい。このようにすれば、ユーザーは、装着時にセンサー面220が瞼表面に適切に接触するように、支持部170を弾性変形させることが可能になり、ユーザーの利便性を向上できる。
送受信制御部130(制御部)は、例えば眼鏡型のフレームのテンプル(つる)部分に設けられる。センサー部200と送受信制御部130とは、フレームに沿って設けられる配線180によって電気的に接続される。また、送受信制御部130は、ケーブル190によって超音波測定装置本体101(主装置)に電気的に接続される。
図2の処理部140、記憶部150及び報知部160(ディスプレイ)は、超音波測定装置本体101(主装置)に設けられる。超音波測定装置本体101は、専用の携帯型端末であってもよいし、スマートフォン等の汎用の携帯型端末であってもよい。
なお、送受信制御部130と超音波測定装置本体101(処理部140)との接続は、ケーブル190によらずに、近距離無線通信などの無線通信により通信接続してもよい。
また図4では、送受信制御部130を眼鏡型のフレームのテンプル部分に設け、処理部140等を超音波測定装置本体101に設ける手法を採用しているが、本実施形態はこれに限定されない。即ち、制御部125の機能の全てを、眼鏡型のフレームのテンプル部分に取り付けられた装置により実現してもよいし、超音波測定装置本体101により実現してもよい。また制御部125の一部又は全部の機能を実現するデバイスを、センサー部200に設けてもよい。
またセンサー部200のセンサー面220を瞼表面に接触させる手法としては、種々の手法を採用できる。例えば上述した眼鏡フレーム型のほかに、アイマスク型、或いは直接に瞼にセンサー部200を貼り付ける手法などを採用してもよい。また、センサー部200のセンサー面220を接触させる部位は、上瞼であってもよいし、他の部位であってもよい。
2.篩状板厚測定処理
本実施形態の超音波測定装置100は、超音波測定装置100の装着時に瞼表面に接触可能なセンサー面220と、センサー面220を介して、眼球の視神経乳頭部に超音波ビームを送信すると共に、超音波ビームによる超音波エコーを受信する超音波トランスデューサーデバイス210と、受信された超音波エコーに基づいて篩状板厚情報を測定する制御部125と、を含む。
本実施形態では、使用者が、瞼表面にセンサー面220が接触するように超音波測定装置100を装着する。そして、センサー面220(瞼表面)を介して眼球の視神経乳頭部に超音波ビームを送信し、送信した超音波ビームに対する超音波エコーを受信し、受信した超音波エコーに基づいて篩状板厚情報を測定する。
このように、本実施形態では、超音波により使用者の篩状板厚情報を測定するため、測定時に使用者が眩しく感じることがない。また、瞼表面にセンサー面220を接触させて測定を行うものの、眼球には接触させないため、測定時に痛みが伴うこともなく、衛生管理も容易である。さらに、測定時にOCT装置に対して正対して、頭部を固定する必要等もないため、使用者が楽な姿勢で測定を行うことが可能である。
これにより、使用者に負担をかけずに篩状板厚情報を測定することが可能となる。また、本実施形態の超音波測定装置100が小型である場合には、測定場所が病院や診療所に限定されることなく、どこでも測定を行うこと等も可能になる。
さらに、使用者に負担をかけずに篩状板厚情報の測定回数を増やすことも可能である。その結果、測定精度を向上させて、緑内障の疑いがあるか否かの診断精度を向上すること等が可能になる。
次に、図5のフローチャートを用いて、本実施形態の篩状板厚測定処理の詳細について説明する。
篩状板は、図6に示すように、視神経乳頭部内に位置している。そのため、本実施形態の篩状板厚測定処理では、まず制御部125が、視神経乳頭部の位置検出処理を行う(S101)。
視神経乳頭部の位置検出処理では、後述する図20(A)又は図23に示すように、眼底部を広く走査し、パターン認識により視神経乳頭部を検出する。つまり、制御部125は、視神経乳頭部を含む領域を超音波ビームで走査して断面像を取得し、取得した断面像において視神経乳頭部の形状を認識して、視神経乳頭部の中央部を特定する。具体的には、後述する隅角部の位置を検出する場合と同様に、Bモード画像(断面像)を生成し、生成したBモード画像を用いて、公知のパターンマッチング等を行うことにより実現できる。その結果、例えば図7(A)の例では、視神経乳頭部(の中央部)の位置が位置Nであると特定される。そして、特定した視神経乳頭部の位置を目印にして、篩状板に対して超音波ビームを送信すること等が可能となる。
ここで、篩状板に対する超音波の送受信時の様子を図7(A)及び図7(B)に示す。図7(A)は、篩状板に対して送信する超音波ビームUBの説明図であり、図7(B)は、篩状板からの超音波エコー(UE1及びUE2)の説明図である。なお、図7(B)は、篩状板の表面からの超音波エコーUE1と、裏面からの超音波エコーUE2とを識別しやすくするために、図7(A)をさらに単純化した図である。
後述するステップS104の篩状板厚測定処理では、図7(A)に示すように、センサー部200の超音波トランスデューサーデバイス210が、センサー面Sから超音波ビームUBを視神経乳頭部の位置Nに向けて照射する。次に、図7(B)に示すように、超音波トランスデューサーデバイス210は、篩状板の表面RSからの第1の超音波エコーUE1と、篩状板の裏面BSからの第2の超音波エコーUE2とを受信する。そして、制御部125は、第1の超音波エコーUE1と第2の超音波エコーUE2との位相差に基づいて、篩状板厚情報を測定する。このようにすれば、篩状板の膜厚値としてk1の長さを求めることができる。
しかし、実際に篩状板の膜厚値として求めたい長さは、k1の長さではなく、図7(B)のkの長さである。そのため、本実施形態では、k1の長さに対して補正処理を行って、kの長さを求める。そもそも、前述した処理により篩状板厚を求めた結果、k1の長さが求められてしまう理由は、篩状板に対して超音波ビームが傾いて照射されているためである。よって、篩状板に対して超音波ビームがどの程度傾いて照射されているかが分かれば、篩状板厚の補正処理を行い、真の篩状板厚を求めることができる。
そこで、制御部125は、眼球内の第1の部位と第2の部位を特定し、第1の部位と第2の部位との位置関係から補正パラメーターを求め、補正パラメーターにより篩状板厚情報を補正する。
これにより、正しい篩状板厚情報を求めること等が可能になる。
本例において、第1の部位は、眼球の中心部であり、第2の部位は、視神経乳頭部である。
これにより、眼球の中心部と視神経乳頭部との位置関係から補正パラメーターを求めること等が可能になる。
そして、制御部125は、補正パラメーターとして、篩状板への超音波ビームの入射角度を特定する。
これにより、篩状板への超音波ビームの入射角度に基づいて、超音波エコーにより算出された篩状板厚情報を補正すること等が可能になる。
以上のような処理を行うため、制御部125は、ステップS101の後に、篩状板(又は視神経乳頭部N)に対する超音波ビームの入射角度の算出処理を行う(S102)。
ここで、図8(A)に示すように、超音波ビームの入射角度は、視神経乳頭部Nから眼球の中心部CへのベクトルNCと、センサー面Sから視神経乳頭部NへのベクトルSNとがなす角θの角度である。
具体的には、図8(B)に示すように、まず視神経乳頭部Nを中心とした円LNの上を、所与の角度刻みで回転するように、超音波を走査する。例えば、視神経乳頭部Nを中心とした円LNの上に、10°刻みで36点(点r0〜点r35)を設定する。図8(B)には、点r1と点r19とを結ぶ走査ライン(ベクトルr19。以下、点r0〜点r35のうち、他の点を結ぶベクトルについても同様に呼ぶ。)に対して、超音波ビームを照射する様子を示している。なお、点r19は、視神経乳頭部の中心点Nに対して、点r1と対角の位置にある点である。そして、超音波トランスデューサーデバイス210は、超音波ビームの走査ラインを10°ずつ回転させながら、超音波ビームを照射する。つまり、ベクトルr18〜ベクトルr1735のそれぞれに対して超音波ビームを照射する。そして、超音波ビームの照射を行うたびに、ベクトルNCとベクトルSNがなす角の角度φi,jを、式(1)により求める。なお、i、jは、0≦i,j≦35の整数であり、i≠jである。
ただし、本例では、式(1)に示すように、眼球の中心点が、ベクトルr18〜ベクトルr1735に対する各法線ベクトル上にあるものとみなして、各入射角度φi,jを算出する。
例えば図8(C)を用いて具体例を説明する。図8(C)には、図8(B)のように超音波ビームを照射した時の入射角度φ1,19を図示する。本例では、ベクトルNCとベクトルSNとがなす角の角度を直接求めるのではなく、まず、ベクトルr19とベクトルSNとの内積により角度δを求める。そして、眼球の中心点が、ベクトルr19の法線ベクトル上にあるものとみなして、超音波ビームの入射角度φ1,19=π/2ーφ2を求める。他の走査データに対しても、同様に計算を行う。
そして、すべての走査データで上式(1)の計算を行い、算出した角度φi,jのうちの最小値を、篩状板への超音波ビームの入射角度θとして決定する。
これにより、篩状板(又は視神経乳頭部N)に対する超音波ビームの入射角度を算出すること等が可能になる。
次に、制御部125は、算出した入射角度θが所与の角度よりも小さいか否かを判定する(S103)。入射角度θが所与の角度以上である場合には、算出した入射角度θに基づいて篩状板厚の補正処理を行っても、真の篩状板厚に対する誤差が大きくなってしまうためである。なお、所与の角度は、例えば10°などとする。
そのため、制御部125は、特定した入射角度θが所与の角度以上である場合には、篩状板厚情報の測定を中止し、ステップS101に戻り、入射角度θが所与の角度よりも小さくなるまで、処理を繰り返す。
これにより、篩状板厚情報の補正処理において発生する誤差を抑制すること等が可能になる。
一方、入射角度θが所与の角度よりも小さいと、制御部125が判定した場合には、制御部125は篩状板厚測定処理を行う(S104)。なお、篩状板厚測定処理は、図7(A)及び図7(B)を用いて前述した処理により行う。具体的には、下式(2)により、仮の篩状板厚k1を求める。式(2)において、tは、前述した篩状板の表面からの第1の超音波エコーと、篩状板の裏面からの第2の超音波エコーとの位相差時間であり、vは音速である。位相差時間tは、篩状板を超音波ビームが往復する際にかかった時間であるため、位相差時間tと音速vの積を2で除算することにより、仮の篩状板厚k1を求めることができる。
そして、制御部125は、測定処理を行って得られた篩状板厚に対して補正処理を行って、真の篩状板厚を求める(S105)。具体的に補正処理では、図8(D)に示すように、ステップS104により求められた篩状板厚k1と、ステップS102において求められた入射角度θに基づいて、下式(3)の計算を行って、真の篩状板厚kを求める。
その後に、記憶部150は、取得された超音波エコーの波形データ、各種データの取得日時、篩状板厚(膜厚値)などをストアー(記憶)する(S106)。以上が本実施形態の篩状板厚測定処理の流れである。
以上の処理の流れをまとめると、制御部125は、受信した超音波エコーに基づいて、視神経乳頭部の位置を検出する(S101)。そして、制御部125は、眼球内の第1の部位と第2の部位を特定し、第1の部位と第2の部位との位置関係に基づいて、篩状板厚情報の補正パラメーターを求める(S102)。さらに、制御部125は、篩状板の表面からの第1の超音波エコーと、篩状板の裏面からの第2の超音波エコーとの位相差に基づいて、篩状板厚情報を測定し(S104)、補正パラメーターにより篩状板厚情報を補正する(S105)。
このような処理を行うことにより、超音波ビームが篩状板に対して傾いて照射された場合でも、正しい篩状板厚情報を測定すること等が可能になる。
また、報知部160は、篩状板厚情報が表す篩状板厚が所与の閾値以下になったことを報知してもよい。
これにより、篩状板が薄くなっており、緑内障の疑いがあることを使用者が知ること等が可能になる。
さらに、制御部125は、篩状板厚情報が表す篩状板厚が所与の閾値以下になった場合に、超音波ビームを隅角部に照射する照射処理を行ってもよい。
これにより、篩状板が薄くなっており、緑内障の疑いがある場合に、眼球に対して、後述するような超音波ビームによる治療を行うこと等が可能になる。
3.血流情報測定処理
次に、血流情報測定処理について説明する。本実施形態の制御部125は、受信された超音波エコーのドップラーシフト量に基づいて、眼底における血流情報を測定する。
本実施形態では、使用者が、瞼表面にセンサー面220が接触するように超音波測定装置100を装着する。そして、センサー面220(瞼表面)を介して眼底に超音波ビームを送信し、送信した超音波ビームに対する超音波エコーを受信し、受信した超音波エコーのドップラーシフト量に基づいて血流情報を測定する。
ここで、ドップラーシフト量は、送信した超音波ビームの周波数に関する情報と、受信された超音波エコーの周波数に関する情報とを比較することによって得られる情報を含むことができる。
また、血流情報は、使用者の眼底部における血流に関する情報である。具体的に、血流情報は、例えば眼底部における血流量や血流速度等である。但し、以下では主に血流情報として血流速度を測定する場合を例にあげて説明するが、本実施形態はそれに限定されない。
このように、本実施形態では、超音波測定装置100の一部を眼球には接触させず、瞼表面にセンサー面220を接触させて測定を行うため、例えば測定時に痛みが伴うこともなく、使用者の身体的な負担が極めて小さい。また、眼球を傷つけることもないため、安全である。
これにより、使用者に負担をかけずに血流情報を測定することが可能となる。そのため、血流情報の測定回数を増やすことも可能である。その結果、測定精度を向上させて、緑内障の疑いがあるか否かの診断精度を向上すること等が可能になる。
具体的に、制御部125は、視神経乳頭部の位置を特定し、特定した視神経乳頭部の位置に基づいて設定される測定範囲に対して超音波ビームを照射し、超音波エコーのドップラーシフト量に基づいて、血流情報を測定する。
これにより、例えば視神経乳頭部を中心とした所与の測定範囲における血流情報を測定すること等が可能になる。
この際には、制御部125は、視神経乳頭部を含む領域を超音波ビームで走査して断面像を取得し、取得した断面像において視神経乳頭部の形状を認識して、視神経乳頭部の中央部を特定する。
これにより、特定した視神経乳頭部の中央部の位置に基づいて、血流情報の測定範囲を特定すること等が可能となる。
また、本実施形態では、ドップラーシフト量に基づいて、主に視神経乳頭部の周辺(測定範囲)の血流速度を血流情報として求めるが、測定範囲において血液が流れる方向(血流方向)が、超音波ビームの照射方向と平行な方向であるとは限らない。
そのため、制御部125は、視神経乳頭部又は網膜への超音波ビームの入射角度を特定し、特定した入射角度とドップラーシフト量とに基づいて、血流情報を特定する。
これにより、測定範囲における血流方向が超音波ビームの照射方向と交差する場合であっても、血流情報を正しく特定すること等が可能になる。
ここで、図9のフローチャートを用いて、本実施形態の血流情報測定処理の詳細について説明する。
まず、図5のステップS101と同様に、制御部125は、視神経乳頭部の位置検出処理を行う(S201)。
次に、制御部125は、視神経乳頭部又は網膜への超音波ビームの入射角度の算出処理を行う(S202)。
ここで、超音波ビームの入射角度は、図10(A)に示すように、センサー面Sから視神経乳頭部NへのベクトルSNと、視神経乳頭部Nから網膜上の測定点(後述するrk)へのベクトルNrとがなす角の角度σである。なお、図10(A)には視神経乳頭部の周辺を拡大した様子も併せて図示している。また、血流速度を求める際に用いる超音波ビームの入射角度は、前述した篩状板厚測定処理において用いた入射角度とは、異なる角の角度である点に留意する。
具体的には、図10(B)に示すように、視神経乳頭部Nを中心とした円LNの上を、所与の角度刻みで回転するように、超音波を走査する。例えば、視神経乳頭部Nを中心とした円LNの上に、20°刻みで18点の測定点(点r0〜点r17)を設定する。つまり、この場合、kは0≦k≦17の整数である。そして、超音波トランスデューサーデバイス210は、超音波ビームの走査ラインを20°ずつ回転させながら、超音波ビームを照射する。つまり、ベクトルNr〜ベクトルNr17のそれぞれに対して超音波ビームを照射する。図10(B)にはその一例として、視神経乳頭部Nと測定点r3とを結ぶ走査ライン(ベクトルNr。)に対して、超音波ビームを照射する様子を示しており、図10(B)のように超音波ビームを照射した時の入射角度σは、図10(C)のようになる。
そして、制御部125は、ベクトルNrとベクトルSNがなす角の角度σを、式(4)により求める。
これにより、視神経乳頭部N又は網膜に対する超音波ビームの入射角度を算出すること等が可能になる。
次に、制御部125は、ベクトルNrに対して超音波ビームを照射することにより得られたドップラーシフト量と、その時の入射角度σとに基づいて、血流速度の測定処理を行う(S203)。具体的には、下式(5)により、血流速度vを算出する。なお、式(5)において、cは、音速であり、fは入射波周波数であり、fは遷移周波数である。また、ステップS202及びステップS203の処理では、kの初期値を0とする。
次に、制御部125は、ステップS202で求めた入射角度σが所与の角度よりも小さいか否かを判定する(S204)。前述した図5のステップS103と同様に、入射角度が所与の角度以上である場合には、血流速度を特定する際の誤差が大きくなるためである。
そのため、制御部125は、特定した入射角度が所与の角度以上である場合には、血流情報の測定を中止する。そして、kをインクリメントして(S205)、ステップS201の処理に戻る。
これにより、血流情報の測定処理において発生する誤差を抑制すること等が可能になる。
一方、特定した入射角度が所与の角度よりも小さい場合には、記憶部150が、取得された超音波エコーの波形データ、各種データの取得日時、血流速度などをストアー(記憶)する(S206)。
以上の処理の流れをまとめると、制御部125は、受信した超音波エコーに基づいて、視神経乳頭部の位置を検出し(S201)、特定した視神経乳頭部の位置に基づいて設定される測定範囲に対して超音波ビームを照射し、視神経乳頭部又は網膜への超音波ビームの入射角度を特定し(S202)、特定した入射角度とドップラーシフト量とに基づいて、血流情報を特定する(S203)。
このような処理を行うことにより、測定範囲における血流方向が超音波ビームの照射方向と交差する場合であっても、血流情報を正しく特定すること等が可能になる。
また、制御部125は、測定範囲におけるドップラーシフト量の最大値を血流情報として求めてもよい。
これにより、測定範囲における最大血流速度を血流情報として求めること等が可能になる。
また、報知部160は、血流情報が表す血流速度が所与の閾値以下になったことを報知してもよい。
これにより、血流速度が小さくなっており、緑内障の疑いがあることを使用者が知ること等が可能になる。
また、制御部125は、血流情報が表す血流速度が所与の閾値以下になった場合に、超音波ビームを隅角部に照射する照射処理を行ってもよい。
これにより、血流速度が小さくなっており、緑内障の疑いがある場合に、眼球に対して、後述するような超音波ビームによる治療を行うこと等が可能になる。
4.眼球情報測定処理
また、図6に示すように、本実施形態の超音波測定装置100の超音波トランスデューサーデバイス210は、瞼表面を介して眼球の隅角部(広義には治療の対象部位)に超音波ビームUBを照射(送信)する。具体的には例えば図11に示す繊維柱体やシュレム管に超音波ビームUBを照射する。
即ち本実施形態では、装着時においてセンサー部200のセンサー面220が瞼表面に接触する。例えば図4で説明したように、センサー部200を支持する支持部170が設けられ、センサー面220は、支持部170によって瞼表面に接触可能に支持される。従って、ユーザーが超音波測定装置100(眼鏡型フレーム)を装着するだけで、センサー面220が瞼表面に接触して、超音波ビームを眼球方向に送信可能な状態になる。そして例えばセンサー面220に交差(直交)する方向に超音波ビームを送信することで、眼球の隅角部(繊維柱体又はシュレム管等)に超音波ビームを照射できるようになる。
例えば図11に示すように、眼の中を循環する液体である房水は、毛様体で作られて、虹彩の回りを通過して繊維柱体の方に流れ、シュレム管から排出される。このように房水が循環することで、眼球の眼圧がほぼ一定に保たれるようになる。
そして、この房水の循環異常等により、眼圧が上昇すると、視神経に障害が生じやすくなり、緑内障等の眼球疾患が発生するリスクが高まる。
そこで本実施形態では図6に示すように超音波トランスデューサーデバイス210が隅角部に対して超音波ビームUBを照射する。こうすることで、房水の排出等を促すことが可能になる。そして例えば繊維柱体やシュレム管等における房水の循環異常を解消し、房水の循環異常により上がった眼圧を低下させ、緑内障等の眼球疾病の治療が可能になる。
この場合に本実施形態の超音波測定装置100では、センサー面220は、眼球表面ではなく、装着時に瞼に接触する構造となっている。従って、ユーザーの日常生活中においても、隅角部に超音波ビームを照射して、緑内障等の治療が可能になる。即ち、ユーザーが、超音波測定装置100を常時装着して、超音波ビームによる眼球疾患の治療が可能になる。
また本実施形態の超音波測定装置100は、超音波トランスデューサーデバイス210を制御する制御部125を含む。制御部125は、例えば超音波トランスデューサーデバイス210による超音波の送受信についての制御等を行う。
具体的には、制御部125(処理部)は、超音波の送受信により眼球情報の測定処理を行う。眼球情報は、超音波により測定可能な眼球に関する情報であり、例えば眼圧情報、眼球径情報、或いは眼球についての超音波画像情報などである。超音波の送受信による測定処理は、例えば超音波ビームを送信し、超音波エコーを受信し、受信した超音波エコーに基づいて行われる測定処理である。
そして制御部125(処理部)は、測定処理の結果に基づいて、隅角部に超音波ビームを照射する照射処理を行う。例えば制御部125は、測定処理の結果に基づいて、超音波ビームの照射タイミング、照射方向又は照射エネルギー等を決定する。そして、その照射タイミング、照射方向又は照射エネルギーで超音波ビームが照射されるように制御する。こうすることで、眼球疾患の治療に適切な照射タイミング、照射方向又は照射エネルギーで超音波ビームを照射できるようになる。例えば、適切な照射タイミングを決定すると共に隅角部の場所を特定し、その照射タイミングで、特定した隅角部の方向に、適切な照射エネルギーの超音波ビームを照射できるようになる。これにより、緑内障等の効率的な治療が可能になる。
例えば制御部125は、眼球情報の測定処理において、眼圧情報を測定し、眼圧情報に基づいて、超音波ビームの照射処理を行う。例えば眼圧情報に基づいて、照射タイミングを決定し、決定した照射タイミングにおいて隅角部に超音波ビームを照射する。例えば、房水の循環異常が疑われる眼圧になったと判断したタイミングで、超音波ビームを照射する。或いは、眼圧情報に基づいて照射エネルギーを決定し、決定した照射エネルギーで超音波ビームを送信する。
なお、測定処理により測定される眼圧情報は、眼圧そのものである必要は必ずしもなく、少なくとも眼圧が対応付けられるような情報であればよい。ここで、対応付けは、推定処理(推定式による算出)や対応表(テーブル)による数値対応化処理による対応付けを意味する。例えば測定処理により得られる情報が眼球径である場合に、この眼球径と眼圧とは、後述するような推定処理等により対応付けることが可能である。従って、この場合には、眼圧情報は眼球径となり、眼圧情報に対応付けられる眼圧は、眼球径を用いた推定処理や数値対応化処理等により求められる眼圧になる。
そして例えば制御部125は、眼圧情報に対応付けられる眼圧が所定値より高い場合に、超音波ビームの照射処理を行う。この所定値(閾値)は例えば図2の記憶部150に記憶されている。そして例えば、測定された眼圧が所定値よりも高いと判断されたタイミングで、超音波ビームを隅角部に照射する。例えば眼圧は、時間(時刻、季節)により変動すると共に、眼圧の変動パターンにも個人差がある。眼圧は性別、年齢、体位(立位、座位等)、人種によっても異なる。従って、上記の所定値は、被験者であるユーザーに応じて異なった値に設定することが望ましい。また超音波測定装置100が、時間情報(日時情報)を取得できる場合には、取得された時間情報に基づいて、上記の所定値を設定することが望ましい。こうすることで、時間や個人差を考慮した適切な照射タイミングで超音波ビームを照射することが可能になる。特に本実施形態の超音波測定装置100は常時装着ができるため、時間経過に伴い変化する眼圧情報についても記憶部150に時系列に記憶しておくことができる。従って、このように時系列に記憶された眼圧情報に基づいて、上記の所定値を設定するようにしてもよい。
また制御部125は、眼圧情報に対応付けられる眼圧に応じて超音波ビームの照射エネルギーを制御する。例えば眼圧が、照射エネルギー設定用の閾値(所定値)よりも低い場合には、超音波ビームの照射エネルギーを第1の照射エネルギーに設定し、当該閾値(所定値)よりも高い場合には、第1の照射エネルギーよりも高い第2の照射エネルギーに設定する。別の言い方をすれば、眼圧が高いほど高くなる照射エネルギーに設定する。こうすれば、眼圧が高い場合に高い照射エネルギーの超音波ビームを照射することで、房水等の循環を促して、眼圧を減少させる度合いを、より増加させることが可能になる。なお照射エネルギーは、例えば照射時間、或いは超音波の送信信号の電圧、波数などにより設定できる。例えば照射エネルギーを高くする場合には、照射時間を長くしたり、超音波の送信信号の電圧を高くしたり、波数を多くすればよい。
また、制御部125は、受信された超音波エコーに基づいて眼圧を測定し、篩状板厚が所与の閾値以下で、且つ眼圧が所与の圧力以上の場合に、超音波ビームを隅角部に照射する照射処理を行ってもよい。
これにより、超音波ビームによる眼球疾患の治療を行うタイミングを、眼圧だけではなく、篩状板厚に基づいて判定すること等が可能になる。
さらに、制御部125は、血流速度が所与の閾値以下で、且つ眼圧が所与の圧力以上の場合に、超音波ビームを隅角部に照射する照射処理を行ってもよい。
これにより、超音波ビームによる眼球疾患の治療を行うタイミングを、眼圧だけではなく、視神経乳頭部の周辺の血流速度に基づいて判定すること等が可能になる。
また制御部125は、眼球情報の測定処理において、超音波画像に基づく隅角部の画像認識処理を行い、画像認識処理の結果に基づいて超音波ビームの照射処理を行ってもよい。例えば超音波の受信信号(超音波エコー)に基づいて、Bモード画像等の超音波画像(生体断面画像等)を生成する。そして生成された超音波画像に対して画像認識処理を行うことで、隅角部(繊維柱体、シュレム管等)の場所等を特定する。この画像認識処理は、公知のパターンマッチング等により実現できる。例えば隅角部の参照パターンが映った参照画像を用意し、生成された超音波画像と参照画像とのパターンマッチングを行うことで、隅角部の場所(位置)を特定する。隅角部の参照パターンはユーザーごとに異なることが予想される。従って、隅角部の参照パターンが映った参照画像については、各ユーザーに関連づけて図2の記憶部150に記憶して登録しておいてもよい。そして、画像認識処理の際には、そのユーザーに関連づけられた参照画像を記憶部150から読み出して、そのユーザーについて得られた超音波画像とのパターンマッチングを行い、隅角部の場所を特定する。そして、特定された隅角部の場所に向けて超音波ビームを送信することで、隅角部への超音波ビームの照射を実現する。なお超音波ビームの方向の制御(ビームスキャン)の詳細については後述する。
このようにすれば、超音波測定装置100の超音波画像生成機能を有効活用して、超音波画像の画像認識処理により隅角部の場所を特定できる。そして特定した場所に超音波ビームを送信することで、隅角部に対して適切に超音波ビームを照射し、房水の排水等を促して、緑内障等を適切に治療できるようになる。例えば、隅角部の場所は、被験者であるユーザーによって異なり、個人差があるため、固定の方向に向けて超音波ビームを照射する手法では、隅角部に対して超音波ビームを適切に照射できないおそれがある。この点、超音波画像により隅角部の場所を特定すれば、個人差により隅角部の場所が異なっていても、隅角部に対して超音波ビームを適切に照射できるようになる。
また制御部125は、測定処理においては、第1の方向に超音波ビームを送信する処理を行い、照射処理においては、第1の方向とは異なる第2の方向に超音波ビームを送信する処理を行う。例えば測定処理において眼圧情報等の眼球情報を測定する場合には、例えば眼球の中心(略中心)の方に向けて超音波ビームを照射する。即ち、第1の方向は、超音波トランスデューサーデバイス210から眼球の中心へと向かう方向となる。これにより、後述するように眼圧径情報を計測し、眼圧径から眼圧情報を推定できるようになる。
一方、照射処理においては、例えば隅角部(対象部位)の方に向けて超音波ビームを照射する。即ち、第2の方向は、超音波トランスデューサーデバイス210から隅角部へと向かう方向になり、これは一般的には第1の方向とは異なる方向になる。
従って、測定処理において第1の方向に超音波ビームを送信することで、眼圧情報等を適正に測定しながら、照射処理において第2の方向に超音波ビームを送信することで、隅角部に向けて適正に超音波ビームを照射できるようになる。この場合の第1、第2の方向の切替は後述するビームスキャンにより実現できる。
また超音波トランスデューサーデバイス210は、瞼表面を介して眼球方向に超音波ビームを送信し、超音波ビームの超音波エコーを受信する。
そして制御部125(処理部)は、超音波エコーの受信信号に基づいて、複数の異なるタイミング(時刻)における眼球径についての情報である眼球径情報を取得する処理を行う。眼球径情報は、超音波ビームの1つの送信信号に対する超音波エコーの第1の受信信号と第1の受信信号の後に受信される第2の受信信号との時間差から得られる。即ち制御部125は、当該眼球径情報に基づいて、眼圧を推定演算する。
具体的には、眼球径情報は、センサー面220が接触する瞼に近い強膜からの超音波エコーに対応する第1の受信信号と瞼から遠い強膜からの超音波エコーに対応する第2の受信信号との時間差から得られる眼球径(眼球の直径)に関する情報である。眼球径情報は、眼球径の値(長さ)そのものでなくてもよく、例えば瞼に近い強膜からの超音波エコー(第1の受信信号)と瞼から遠い強膜からの超音波エコー(第2の受信信号)との時間差であってもよいし、或いは超音波エコーの受信信号の振幅波形(Aモード波形)であってもよい。
なお、上記の複数の異なるタイミングの時間間隔は、第1の受信信号と第2の受信信号との時間差よりも長い時間である。
また制御部125は、超音波測定により取得した眼球径情報に基づいて眼球径の推定演算処理を行う。具体的には、制御部125は、超音波ビームのビームスキャンの処理を行って、複数のビーム方向についての眼球径情報に基づいて眼球径の推定演算処理を行う。こうすることで、眼球径を精度良く推定することができる。眼球径の推定演算処理の詳細については、後述する。
また制御部125は、推定した眼球径情報に基づいて眼圧の推定処理を行う。具体的には、制御部125は、被験者が座位(広義には第1の状態)である場合に得られた第1の眼球径情報及び第1の眼圧実測値と、被験者が立位(広義には第2の状態)である場合に得られた第2の眼球径情報及び第2の眼圧実測値と、に基づいて得られた眼球径情報と眼圧との関係(関係式)から眼圧の推定処理を行う。眼球径情報と眼圧との関係が特定されれば、制御部125は、超音波測定により取得された眼球径情報から眼圧を推定することができる。眼圧の推定処理の詳細については、後述する。
眼球径情報と眼圧との関係を求める処理は、制御部125が行ってもよいし、眼圧実測値を実測する装置(例えば眼圧計)が行ってもよい。或いは、パーソナルコンピューター(PC)などが行ってもよい。
次に本実施形態の超音波測定装置100の動作について説明する。図12(A)は本実施形態の基本的な動作を説明するフローチャートである。
図12(A)に示すように、本実施形態では、まず超音波の送受信による眼球情報の測定処理を行う(ステップS1)。そして測定結果に基づき、隅角部への超音波ビームの照射処理を行う(ステップS2)。
図12(B)は、図12(A)のステップS1の測定処理が眼圧の測定である場合の動作を説明するフローチャートである。
まず超音波の送受信により眼圧を測定する(ステップS11)。そして眼圧が所定の閾値(所定値)よりも高いか否かを判断する(ステップS12)。そして眼圧が所定の閾値よりも高い場合には、眼圧に応じた照射エネルギーの超音波ビームを隅角部に照射する(ステップS13)。
図13は、図12(A)のステップS1の測定処理が超音波画像に基づく隅角部の場所の特定処理である場合の動作を説明するフローチャートである。
まず超音波の送受信により、超音波画像を生成する(ステップS21)。そして、生成された超音波画像に基づいて、隅角部の画像認識処理を行い(ステップS22)、画像認識処理により隅角部(繊維柱体、シュレム管)の場所を特定する(ステップS23)。そして、特定された場所に超音波ビームを送信することで、隅角部に超音波ビームを照射する(ステップS24)。
図14(A)、図14(B)は本実施形態の詳細な動作例を説明するフローチャートである。まず図14(A)に示すように、眼圧Pの測定処理を行う(ステップS31)。次に、測定された眼圧Pが閾値(所定値)Pmin以上か否かを判断する(ステップS32)。閾値Pminは、低眼圧側の閾値である。そして眼圧Pが閾値Pminよりも低い場合には、処理Lを実行する(ステップS33)。処理Lは、眼圧が低い場合用に用意された処理であるが、ヌル処理(何も行わない処理)とすることができる。
眼圧Pが閾値Pmin以上である場合には、眼圧Pが閾値Pmax以下か否かを判断する(ステップS34)。閾値Pmaxは高眼圧側の閾値である。そして眼圧Pが閾値Pmaxよりも高い場合には、処理Hを実行する(ステップS35)。処理Hは、眼圧が高い場合用に用意された処理である。一方、眼圧Pが閾値Pmax以下である場合にはステップS31に戻る。即ち、Pmin≦P≦Pmaxである場合は、眼圧Pは正常範囲であるとして、処理L、処理Hを実行せずに、眼圧Pの測定処理を継続する。
図14(B)は処理Hの例を示すフローチャートである。まず隅角部を検出する(ステップS41)。例えば超音波画像の画像認識処理により隅角部の場所を検出する。そして、図14(A)のステップS31で測定された眼圧Pと、ステップS34で使用された閾値Pmaxとの眼圧差ΔP=P−Pmaxを求める(ステップS42)。
次に、ΔPが例えば5mHg(照射エネルギーの判定用の閾値)よりも大きい否かを判断し(ステップS43)、大きい場合には超音波ビームの照射時間を例えばT=10秒に設定する(ステップS44)。一方、ΔPが5mHg以下である場合には、超音波ビームの照射時間を例えばT=3秒に設定する(ステップS45)。そして、設定された照射時間Tで隅角部への超音波ビームの照射処理を行う(ステップS46)。こうすることで、眼圧に応じた超音波ビームの照射エネルギーの制御を実現できる。
5.眼球径の推定演算処理及び眼圧の推定処理
図15は、本実施形態の超音波測定装置100による眼球径(広義には眼球径情報)の測定を説明する図である。図15に示すように、センサー部200(センサー面)は瞼表面(下瞼表面)に接触している。センサー部200が有する超音波トランスデューサーデバイス210から眼球方向に超音波ビームUBが送信され、瞼(下瞼)に近い強膜からの超音波エコーUE1及び瞼から遠い強膜からの超音波エコーUE2が超音波トランスデューサーデバイス210により受信される。
超音波エコーUE1に対応する第1の受信信号と超音波エコーUE2に対応する第2の受信信号との時間差は、瞼に近い強膜と瞼から遠い強膜との距離に比例するから、第1の受信信号と第2の受信信号との時間差を測定することで、眼球径に関する情報を得ることができる。例えば、眼球内における超音波の音速をvとし、第1の受信信号と第2の受信信号との時間差をtdとした場合には、眼球径Dは下式(6)で与えられる。
図16に、豚眼による実験から得られた眼圧と眼球径の変動との関係の一例を示す。図16から分かるように、眼球径の変動は眼圧の1次関数で表される。従って、眼球径が分かれば眼圧を推定することができる。
図17は、本実施形態の超音波測定装置100による眼圧の推定を説明する図である。眼球径Dは眼圧Pの1次関数で表されるから、次式(7)が成り立つ。
ここでa、bは眼球径Dと眼圧Pとの関係を特定するパラメーターである。眼球径Dと眼圧Pとの関係は被験者によって異なるから、被験者ごとにパラメーターa、bを決める必要がある。本実施形態の超音波測定装置100によれば、以下のようにしてパラメーターa、bを決めることができる。
座っている状態(座位)での眼圧と立っている状態(立位)での眼圧とは異なることが知られている。そこで被験者が座位の状態(第1の状態)である場合に、超音波測定により第1の眼球径D1を取得し、また眼圧検査により第1の眼圧実測値P1を取得する。さらに被験者が立位の状態(第2の状態)である場合に、超音波測定により第2の眼球径D2を取得し、また眼圧検査により第2の眼圧実測値P2を取得する。
式(7)から次式が成り立つ。
従って、式(8)、式(9)からパラメーターa、bを求めることができる。
このように本実施形態の超音波測定装置100によれば、被験者が座位の状態及び立位の状態で眼球径を測定し、さらに眼圧検査による眼圧実測値を入力することにより、眼球径と眼圧との関係(具体的にはパラメーター値a、b)を被験者ごとに特定することができる。そして特定されたパラメーター値a、bを用いて、超音波測定により取得した眼球径から眼圧を推定することができる。
なお、眼球径情報と眼圧との関係(パラメーター値)を求める処理は、上述したように制御部125が行ってもよいし、或いは、眼圧実測値を実測する装置(例えば眼圧計)、又はパーソナルコンピューター(PC)などが行ってもよい。
6.超音波トランスデューサー素子
図18(A)〜図18(C)に、本実施形態の超音波測定装置100に用いられる超音波トランスデューサー素子10の構成例を示す。超音波トランスデューサー素子10は、振動膜(メンブレン、支持部材)50と圧電素子部とを有する。圧電素子部は、第1電極層(下部電極)21、圧電体層(圧電体膜)30、第2電極層(上部電極)22を有する。なお、本実施形態の超音波トランスデューサー素子10は図18(A)〜図18(C)の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
図18(A)は、基板(シリコン基板)60に形成された超音波トランスデューサー素子10の、素子形成面側の基板60に垂直な方向から見た平面図である。図18(B)は、図18(A)のA−A’に沿った断面を示す断面図である。図18(C)は、図18(A)のB−B’に沿った断面を示す断面図である。
第1電極層21は、振動膜50の上層に例えば金属薄膜で形成される。この第1電極層21は、図18(A)に示すように素子形成領域の外側へ延長され、隣接する超音波トランスデューサー素子10に接続される配線であってもよい。
圧電体層30は、例えばPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)薄膜により形成され、第1電極層21の少なくとも一部を覆うように設けられる。なお、圧電体層30の材料は、PZTに限定されるものではなく、例えばチタン酸鉛(PbTiO)、ジルコン酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン((Pb、La)TiO)などを用いてもよい。
第2電極層22は、例えば金属薄膜で形成され、圧電体層30の少なくとも一部を覆うように設けられる。この第2電極層22は、図18(A)に示すように素子形成領域の外側へ延長され、隣接する超音波トランスデューサー素子10に接続される配線であってもよい。
振動膜(メンブレン)50は、例えばSiO薄膜とZrO薄膜との2層構造により空洞領域40を塞ぐように設けられる。この振動膜50は、圧電体層30及び第1、第2電極層21、22を支持すると共に、圧電体層30の伸縮に従って振動し、超音波を発生させることができる。
空洞領域40は、基板60(シリコン基板)の裏面(素子が形成されない面)側から反応性イオンエッチング(RIE)等によりエッチングすることで形成される。この空洞領域40の形成によって振動可能になった振動膜50のサイズによって超音波の共振周波数が決定され、その超音波は圧電体膜30側(図18(A)において紙面奥から手前方向)に放射される。
超音波トランスデューサー素子10の下部電極(第1電極)は、第1電極層21により形成され、上部電極(第2電極)は、第2電極層22により形成される。具体的には、第1電極層21のうちの圧電体層30に覆われた部分が下部電極を形成し、第2電極層22のうちの圧電体層30を覆う部分が上部電極を形成する。即ち、圧電体層30は、下部電極と上部電極に挟まれて設けられる。
圧電体膜30は、下部電極と上部電極との間、即ち第1電極層21と第2電極層22との間に電圧が印加されることで、面内方向に伸縮する。超音波トランスデューサー素子10は、薄手の圧電素子部と振動膜50を貼り合わせたモノモルフ(ユニモルフ)構造を用いており、圧電素子部が面内で伸び縮みすると貼り合わせた振動膜50の寸法はそのままであるため反りが生じる。従って、圧電体膜30に交流電圧を印加することで、振動膜50が膜厚方向に対して振動し、この振動膜50の振動により超音波が放射される。圧電体膜30に印加される電圧は、例えば10〜30Vであり、周波数は例えば1〜10MHzである。
バルクの超音波トランスデューサー素子の駆動電圧がピークからピークで100V程度であるのに対して、図18(A)〜図18(C)に示すような薄膜圧電型超音波トランスデューサー素子では、駆動電圧をピークからピークで10〜30V程度に小さくすることができる。
7.超音波トランスデューサーデバイス
本実施形態の超音波測定装置100では、図15で説明したように、瞼(下瞼)に近い強膜からの超音波エコーUE1に対応する第1の受信信号と瞼から遠い強膜からの超音波エコーUE2に対応する第2の受信信号との時間差を測定することで眼球径(広義には眼球情報)を測定する。超音波トランスデューサーデバイス210から送信される超音波ビームUBが眼球の中心を通過する場合には、正確に眼球径を測定することができる。しかし実際にはセンサー部200の位置及び方向を常に一定に保持することは困難であり、従って超音波ビームUBを常に眼球の中心方向に送信することは難しい。
そこで、本実施形態の超音波測定装置100では、制御部125が超音波ビームUBのビームスキャンを行って、複数のビーム方向についての眼球径情報に基づいて眼球径の推定演算処理を行う。具体的には、制御部125は、セクタースキャン(位相走査)或いはリニアスキャンにより超音波ビームUBをX方向及びY方向にスキャンして、複数のビーム方向について眼球径値を取得し、取得された複数の眼球径値のうちの最大値を真の眼球径値と推定する。
また、例えば前述したように画像認識処理等で隅角部の場所を特定した場合には、X方向及びY方向での超音波ビームUBのスキャンが可能であれば、特定した場所に超音波ビームUBが照射されるようにスキャンを行うことで、隅角部に超音波ビームを照射することが可能になる。
図19に、本実施形態の超音波トランスデューサーデバイス210の第1の構成例を示す。本構成例の超音波トランスデューサーデバイス210は、8×8のマトリックス配置された複数の超音波トランスデューサー素子10、信号端子SG1〜SG64及び複数のコモン電圧端子COMを含む。
信号端子SG1〜SG64は、図19に示すように、超音波トランスデューサーデバイス210の各辺に16個ずつ配置される。複数のコモン電圧端子COMは、各コーナー部に4個ずつ配置される。なお、信号端子SG1〜SG64及びコモン電圧端子COMの配置は図19に示すものに限定されない。
64個の超音波トランスデューサー素子10の各素子の一方の電極は、信号端子SG1〜SG64のうちの対応する1つの信号端子に接続される。また、各素子の他方の電極は、図示していない配線によって複数のコモン電圧端子COMのいずれかに接続される。送信期間には、送信部110からの送信信号が信号端子SG1〜SG64に入力され、受信期間には、64個の超音波トランスデューサー素子10からの受信信号が信号端子SG1〜SG64を介して受信部120に出力される。このようにすることで、64個の超音波トランスデューサー素子10に対してそれぞれ異なる位相の送信信号を入力することができるから、X方向及びY方向のいずれの方向についてもセクタースキャンによるビームスキャンを行うことができる。
図20(A)、図20(B)は、超音波トランスデューサーデバイス210の第1の構成例によるビームスキャンを説明する図である。図20(A)のA1、A2に示すように、センサー部200に設けられた超音波トランスデューサーデバイス210は、セクタースキャンにより超音波ビームの出射方向をY方向にほぼ±45°スキャンさせることができる。実際の測定では、ビーム方向の変化は例えば±5〜10°程度でよい。例えば図20(A)に示すように、超音波ビームをUB1からUB2、そしてUB3へとスキャンさせる。また図示していないが、X方向についても同様にビーム方向をスキャンさせることができる。これにより、篩状板、視神経乳頭部及び隅角部等の位置を特定することができる。
図20(B)には、仮想的に図20(A)のPSの位置から見た場合の超音波ビームのスキャンを示す。本実施形態の超音波測定装置100によれば、図20(B)に示すように、例えばY方向の角度を1°ずつ変化させてX方向にスキャンすることができる。即ち、第1のビームスキャンSC1から第n(nは2以上の整数)のビームスキャンSCnまでを行うことで、強膜の所定の範囲にわたって眼球径を取得することができる。
また、篩状板、視神経乳頭部及び隅角部等の場所が特定された場合には、特定された場所に超音波ビームが照射されるように、X方向及びY方向に超音波ビームをスキャンすることで、篩状板、視神経乳頭部及び隅角部等への超音波ビームの照射が可能になる。
図21は、図20(B)に示すビームスキャンSC1〜SCnによる真の眼球径の推定を説明する図である。図21は、X方向の角度に対する眼球径の測定値をビームスキャンSC1〜SCnのスキャンごとにプロットしたものである。図21から分かるように、測定された眼球径値のうちの最大値が求める真の眼球径値になる。従って、制御部125は、ビームスキャンSC1〜SCnを行って、スキャンごとに眼球径の測定値を取得し、測定された眼球径値のうちの最大値を真の眼球径値であると推定することができる。
測定された眼球径値の最大値を与える角度がX方向又はY方向のスキャン範囲の上限又は下限の角度である場合には、スキャン範囲内に眼球の中心を通るビームが含まれていない可能性がある。この場合には、制御部125はスキャン範囲を適切な方向にシフトさせることができる。
図22に、本実施形態の超音波トランスデューサーデバイス210の第2の構成例を示す。本構成例の超音波トランスデューサーデバイス210は、X方向にリニアスキャンを行うデバイスUDXとY方向にリニアスキャンを行うデバイスUDYとを含む。デバイスUDXは8行16列のマトリックス配置された複数の超音波トランスデューサー素子10、信号端子SGX1〜SGX16及び複数のコモン電圧端子COMを含む。同様に、デバイスUDYは16行8列のマトリックス配置された複数の超音波トランスデューサー素子10、信号端子SGY1〜SGY16及び複数のコモン電圧端子COMを含む。
デバイスUDXの第i(iは1≦i≦16である整数)列の8個の超音波トランスデューサー素子10の一方の電極は、信号端子SGX1〜SGX16のうちの第iの信号端子SGXiに共通接続される。また、各超音波トランスデューサー素子10の他方の電極は、コモン電圧端子COMに共通接続される。送信期間には、送信部110からの送信信号が信号端子SGX1〜SGX16に入力され、受信期間には、各列の超音波トランスデューサー素子10からの受信信号が信号端子SGX1〜SGX16を介して受信部120に出力される。
デバイスUDYの第j(jは1≦j≦16である整数)行の8個の超音波トランスデューサー素子10は、信号端子SGY1〜SGY16のうちの第jの信号端子SGYjに共通接続される。また、各超音波トランスデューサー素子10の他方の電極は、コモン電圧端子COMに共通接続される。送信期間には、送信部110からの送信信号が信号端子SGY1〜SGY16に入力され、受信期間には、各行の超音波トランスデューサー素子10からの受信信号が信号端子SGY1〜SGY16を介して受信部120に出力される。
デバイスUDXの信号端子SGX1からSGX16に向かって順次送信信号を入力することにより、超音波ビームをX方向にリニアスキャンすることができる。同様に、デバイスUDYの信号端子SGY1からSGY16に向かって順次送信信号を入力することにより、超音波ビームをY方向にリニアスキャンすることができる。
図23は、超音波トランスデューサーデバイス210の第2の構成例によるビームスキャンを説明する図である。図23には、図20(B)と同様に、仮想的に図20(A)のPSの位置から見た場合の超音波ビームのスキャンを示す。
図23に示すように、デバイスUDXを用いてX方向にスキャンすることにより、X方向のスキャン範囲SAXについて眼球径の測定値を取得することができる。また、デバイスUDYを用いてY方向にスキャンすることにより、Y方向のスキャン範囲SAYについて眼球径の測定値を取得することができる。そして2つのスキャン範囲SAX、SAYにおいて測定された眼球径値のうちの最大値を真の眼球径値であると推定することができる。
このように本実施形態の超音波測定装置100によれば、超音波ビームをX方向及びY方向にスキャンして、複数のビーム方向について眼球径値を取得し、取得された複数の眼球径値のうちの最大値を真の眼球径値と推定することができる。こうすることで、ビーム方向が眼球中心からずれている場合やセンサー部200の位置及び方向が変化した場合でも、眼球径を精度良く推定することができる。
また超音波ビームをスキャンすることで、特定された篩状板、視神経乳頭部及び隅角部等の場所に対して正確に超音波ビームを照射することができる。例えば篩状板、視神経乳頭部及び隅角部等の場所については個人差があるが、このように超音波ビームをスキャンして照射することで、篩状板、視神経乳頭部及び隅角部等の場所が被験者ごとに異なる場合にも、適切に対応できるようになる。
8.眼球径の推定演算処理及び眼圧の推定処理の詳細
図24は、本実施形態の超音波測定装置100による眼球径の推定演算処理のフローチャートの一例である。図24に示す処理は、制御部125により実行される。図24のフローでは、例として超音波トランスデューサーデバイス210の第1の構成例(図19)を用いて図20(B)に示すビームスキャンSC1〜SCnを行う場合について説明する。
最初に制御部125は、ビームスキャンの番号(インデックス)iを初期値1に設定する(ステップS51)。次に、ビームスキャンSCiを行って、眼球径情報DAiを取得し(ステップS52)、取得した眼球径情報DAiを記憶部150に書き込む(ステップS53)。
次に制御部125は、ビームスキャンの番号iをインクリメントし(ステップS54)、ビームスキャンの番号iが所定の整数値nより大きいか否かを判断する(ステップS55)。ここで所定の整数値nは、X方向のビームスキャンの回数である。ビームスキャンの番号iが所定の整数値n以下である場合には、ステップS52に戻り、制御部125は、ビームスキャンSCiを行って、眼球径情報DAiを取得する処理を繰り返す。
ビームスキャンの番号iが所定の整数値nより大きい場合には、制御部125は、取得した眼球径情報DA1〜DAnに基づいて、眼球径の推定演算処理を行う(ステップS56)。具体的には、制御部125は、ビームスキャンSC1〜SCnにより取得した眼球径のうちの最大値を真の眼球径Dであると推定する。そして、推定した真の眼球径Dを記憶部150に書き込む(ステップS57)。
図25は、本実施形態の超音波測定装置100による眼球径情報と眼圧との関係を特定する処理のフローチャートの一例である。図25に示す処理は、制御部125により実行される。
最初に、制御部125は、座位での超音波測定を行って、第1の眼球径D1(広義には第1の眼球径情報)を取得する(ステップS61)。次に制御部125は、ユーザーに対して、座位での眼圧実測値P1(第1の眼圧実測値)の入力を促す報知情報を生成し、報知部160に出力する(ステップS62)。そして制御部125は、入力された第1の眼圧実測値P1を記憶部150に書き込む(ステップS63)。
次に制御部125は、立位での超音波測定を行って、第2の眼球径D2(広義には第2の眼球径情報)を取得する(ステップS64)。次に制御部125は、ユーザーに対して、立位での眼圧実測値P2(第2の眼圧実測値)の入力を促す報知情報を生成し、報知部160に出力する(ステップS65)。そして制御部125は、入力された第2の眼圧実測値P2を記憶部150に書き込む(ステップS66)。
次に制御部125は、第1の眼球径D1、第1の眼圧実測値P1、第2の眼球径D2及び第2の眼圧実測値P2から、パラメーターa、bを決定する(ステップS67)。具体的には、既に説明した式(8)、式(9)からパラメーターa、bを求める。そして制御部125は、決定したパラメーターa、bを記憶部150に書き込む(ステップS68)。
図26は、本実施形態の超音波測定装置100による眼圧の推定処理のフローチャートの一例である。図26に示す処理は、制御部125により実行される。
最初に制御部125は、超音波測定を行って眼球径Dを取得する(ステップS71)。具体的には、例えば図24に示したフローにより眼球径Dを取得する。次に制御部125は、眼球径と眼圧との関係を特定するパラメーターa、bを記憶部150から読み出し(ステップS72)、眼圧Pの推定処理を行う(ステップS73)。具体的には、既に説明した式(7)から眼圧Pを求めることができる。
そして制御部125は、推定した眼圧Pに基づいて、眼圧が正常であるか又は異常であるかに関する報知情報を生成し、生成された報知情報を報知部160に出力する(ステップS74)。正常な眼圧の範囲は個人差があるので、予め被験者ごとに異なる正常値の範囲(Pmin〜Pmax)を記憶部150に記憶しておくことができる。
次に制御部125は、k(kは2以上の整数)個のタイミング(時刻)における眼球径D(t1)、D(t2)、・・・、D(tk)を記憶部150から読み出す(ステップS75)。ここで眼球径D(t1)は時刻t1に取得された眼球径であり、D(t2)〜D(tk)は時刻t2〜tkに取得された眼球径である。
次に制御部125は、時系列の眼球径D(t1)、D(t2)、・・・、D(tk)に基づいて時系列の眼圧P(t1)、P(t2)、・・・、P(tk)を推定する(ステップS76)。具体的には、既に説明した式(7)から各時刻の眼圧を求めることができる。
次に制御部125は、時系列の眼圧P(t1)、P(t2)、・・・、P(tk)に基づいて、眼圧の時間変化に関する報知情報を生成し、生成された報知情報を報知部160に出力する(ステップS77)。こうすることで、眼圧の時間的変化を的確に把握することが可能になる。
以上説明したように、本実施形態の超音波測定装置100によれば、被験者の身体的な負担を軽減しつつ複数の異なるタイミングにおける眼球径情報を精度良く取得することができ、さらに取得した眼球径情報を記憶部に記憶することができる。そして記憶された眼球径情報に基づいて眼圧の時間変化に関する情報を容易に取得することができる。その結果、例えば緑内障の治療において、投薬後または施術後の眼圧の数日にわたる、且つ日内の被験者の活動状態(起床、日常活動、就寝など)毎の眼圧変化を把握することができるから、治療効果の向上などが期待できる。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また超音波測定装置の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10 超音波トランスデューサー素子、21 第1電極層(下部電極)、
22 第2電極層(上部電極)、30 圧電体膜(圧電体層)、40 空洞領域、
45 開口部、50 振動膜、60 基板、100 超音波測定装置、
101 超音波測定装置本体、110 送信部、120 受信部、125 制御部、
130 送受信制御部、140 処理部、150 記憶部、160 報知部、
170 支持部、180 配線、190 ケーブル、200 センサー部、
210 超音波トランスデューサーデバイス、220 センサー面、230 保護膜、
240 ベース基板、250 フレキシブル基板

Claims (15)

  1. 超音波測定装置の装着時に瞼表面に接触可能なセンサー面と、
    前記センサー面を介して、眼底に超音波ビームを送信すると共に、前記超音波ビームによる超音波エコーを受信する超音波トランスデューサーデバイスと、
    受信された前記超音波エコーのドップラーシフト量に基づいて、前記眼底における血流情報を測定する制御部と、
    を含むことを特徴とする超音波測定装置。
  2. 請求項1において、
    前記制御部は、
    視神経乳頭部の位置を特定し、特定した前記視神経乳頭部の位置に基づいて設定される測定範囲に対して前記超音波ビームを照射し、前記超音波エコーの前記ドップラーシフト量に基づいて、前記血流情報を測定することを特徴とする超音波測定装置。
  3. 請求項2において、
    前記制御部は、
    前記視神経乳頭部を含む領域を前記超音波ビームで走査して断面像を取得し、取得した前記断面像において前記視神経乳頭部の形状を認識して、前記視神経乳頭部の中央部を特定することを特徴とする超音波測定装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記制御部は、
    視神経乳頭部又は網膜への前記超音波ビームの入射角度を特定し、特定した前記入射角度と前記ドップラーシフト量とに基づいて、前記血流情報を特定することを特徴とする超音波測定装置。
  5. 請求項4において、
    前記超音波ビームの前記入射角度は、
    前記センサー面から前記視神経乳頭部へのベクトルと、前記視神経乳頭部から前記網膜上の測定点へのベクトルとがなす角の角度であることを特徴とする超音波測定装置。
  6. 請求項4又は5において、
    前記制御部は、
    特定した前記入射角度が所与の角度以上である場合には、前記血流情報の測定を中止することを特徴とする超音波測定装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記制御部は、
    前記ドップラーシフト量の最大値を前記血流情報として求めることを特徴とする超音波測定装置。
  8. 請求項1において、
    前記制御部は、
    受信した前記超音波エコーに基づいて、視神経乳頭部の位置を検出し、特定した前記視神経乳頭部の位置に基づいて設定される測定範囲に対して前記超音波ビームを照射し、前記視神経乳頭部又は網膜への前記超音波ビームの入射角度を特定し、特定した前記入射角度と前記ドップラーシフト量とに基づいて、前記血流情報を特定することを特徴とする超音波測定装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかにおいて、
    測定された前記血流情報を時系列順に記憶する記憶部を含むことを特徴とする超音波測定装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかにおいて、
    前記血流情報が表す血流速度が所与の閾値以下になったことを報知する報知部を含むことを特徴とする超音波測定装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれかにおいて、
    前記センサー面と前記超音波トランスデューサーデバイスとを有するセンサー部を支持する支持部を、
    含み、
    前記センサー面は、前記支持部によって前記瞼表面に接触可能に支持されることを特徴とする超音波測定装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれかにおいて、
    前記制御部は、
    前記超音波エコーに基づいて、眼圧及び眼球径の少なくとも一方を測定することを特徴とする超音波測定装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれかにおいて、
    前記制御部は、
    前記血流情報が表す血流速度が所与の閾値以下になった場合に、前記超音波ビームを隅角部に照射する照射処理を行うことを特徴とする超音波測定装置。
  14. 請求項13において、
    前記制御部は、
    前記血流速度が前記所与の閾値以下で、且つ眼圧が所与の圧力以上の場合に、前記超音波ビームを前記隅角部に照射する前記照射処理を行うことを特徴とする超音波測定装置。
  15. 超音波測定装置の装着時に、瞼表面に接触可能な前記超音波測定装置のセンサー面を介して、超音波トランスデューサーデバイスにより、眼底に超音波ビームを送信し、
    前記超音波ビームによる超音波エコーを受信し、
    受信された前記超音波エコーのドップラーシフト量に基づいて、制御部により、前記眼底における血流情報を測定することを特徴とする測定方法。
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