以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、コイン遊技機等のその他の遊技機であってもよい。
[第1実施形態]
図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、図1に示された第1通路61および第2通路62を含む通路構造体の構成を示す拡大図である。図3は当り種別表である。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取付けられる機構板(図示せず)と、それらに取付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。
ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技媒体としての遊技球を貯留する余剰球受皿4、および、遊技媒体としての遊技球を打球として発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5等が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取付けられている。遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。遊技領域7には、多数の遊技釘が植設されている。
遊技領域7には、中央に設けられる演出表示装置9の天辺からみて、左側の左遊技領域(第1遊技領域)と、右側の右遊技領域(第2遊技領域)とがある。第1遊技領域である左遊技領域と、第2遊技領域である右遊技領域は、たとえば遊技領域7内における演出表示装置9の端面や遊技釘の配列などにより区分けされていればよい。打球操作ハンドル5の操作に応じて打球発射装置から発射されて遊技領域7に打込まれた遊技球は、左遊技領域へと誘導された場合に、たとえば遊技釘の配列に沿って誘導されることにより、右遊技領域へと誘導不可能または誘導困難となり、また右遊技領域へと誘導された場合に、たとえば遊技釘の配列に沿って誘導されることにより、左遊技領域へと誘導不可能または誘導困難となる。
余剰球受皿(下皿)4を形成する部材には、たとえば下皿本体の上面における手前側の所定位置(たとえば下皿の中央部分)等に、スティック形状(棒形状)に構成され、遊技者が把持して複数方向(前後左右)に傾倒する操作が可能なスティックコントローラ122が取付けられている。なお、スティックコントローラ122には、遊技者がスティックコントローラ122の操作桿を操作手(たとえば左手等)で把持した状態において、所定の操作指(たとえば人差し指等)で押引操作すること等により所定の指示操作が可能なトリガボタン125(図3参照)が設けられ、スティックコントローラ122の操作桿の内部には、トリガボタン125に対する押引操作等による所定の指示操作を検知するトリガセンサ121(図3参照)が内蔵されている。また、スティックコントローラ122の下部における下皿の本体内部等には、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット123(図3参照)が設けられている。また、スティックコントローラ122には、スティックコントローラ122を振動動作させるためのバイブレータ用モータ126(図3参照)が内蔵されている。
打球供給皿(上皿)3を形成する部材には、たとえば上皿本体の上面における手前側の所定位置(たとえばスティックコントローラ122の上方)等に、遊技者が押下操作等により所定の指示操作を可能なプッシュボタン120が設けられている。プッシュボタン120は、遊技者からの押下操作等による所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン120の設置位置における上皿の本体内部等には、プッシュボタン120に対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサ124(図4参照)が設けられていればよい。図1に示す構成例では、プッシュボタン120とスティックコントローラ122の取付位置が、上皿及び下皿の中央部分において上下の位置関係にある。これに対して、上下の位置関係を保ったまま、プッシュボタン120及びスティックコントローラ122の取付位置を、上皿及び下皿において左右のいずれかに寄せた位置としてもよい。あるいは、プッシュボタン120とスティックコントローラ122との取付位置が上下の位置関係にはなく、たとえば左右の位置関係にあるものとしてもよい。
なお、本実施の形態では、遊技者が操作可能な操作手段の一例として、プッシュボタン120と、トリガボタン125を有するスティックコントローラ122とを設けた例を示した。しかし、これに限らず、操作手段としては、プッシュボタン120とスティックコントローラ122とのいずれか1つのみを設けてもよい。また、操作手段としては、レバースイッチ、および、ジョグダイヤル等のその他の操作手段を設けてもよい。
遊技領域7の中央付近には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄を変動表示(可変表示ともいう)可能な演出表示装置9が設けられている。遊技領域7における演出表示装置9の右側方には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8aと、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器8bとが設けられている。
第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bのそれぞれは、数字および文字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で構成されている。演出表示装置9は、液晶表示装置(LCD)で構成されており、表示画面において、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄の変動表示等の各種画像を表示する表示領域が設けられる。このような表示領域には、たとえば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の演出図柄を変動表示する図柄表示領域が形成される。
第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bのそれぞれは、主基板(遊技制御基板)に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴なって演出表示装置9で演出表示が実行され、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴なって演出表示装置9で演出表示が実行されるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
第1特別図柄表示器8aに特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、または、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときには、演出表示装置9においても、特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄の組合せ)が導出表示される。このように変動表示の表示結果として特定表示結果が表示されたときには、遊技者にとって有利な価値(有利価値)が付与される有利状態としての特定遊技状態(大当り遊技状態)に制御される。
また、演出表示装置9において、最終停止図柄(たとえば左右中図柄のうち中図柄)となる図柄以外の図柄が、所定時間継続して、大当り図柄(たとえば左中右の図柄が同じ図柄で揃った図柄の組合せ)と一致している状態で停止、揺動、拡大縮小もしくは変形している状態、または、複数の図柄が同一図柄で同期して変動したり、表示図柄の位置が入替わっていたりして、最終結果が表示される前で大当り発生の可能性が継続している状態(以下、これら状態をリーチ状態という。)で行なわれる演出をリーチ演出という。
ここで、リーチ状態は、演出表示装置9の表示領域において停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄の変動が継続している表示状態、または、全部もしくは一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。言い換えると、リーチとは、複数の変動表示領域において識別情報が特定表示結果を構成しているが少なくとも一部の変動領域が変動表示中である状態をいう。この実施形態において、リーチ状態は、たとえば、左,右の図柄表示領域で同じ図柄が停止し、中の図柄表示領域で図柄が停止していない状態で形成される。リーチ状態が形成されるときの左,右の図柄表示領域で停止された図柄は、リーチ形成図柄、または、リーチ図柄と呼ばれる。
そして、リーチ状態における表示演出が、リーチ演出表示(リーチ演出)である。また、リーチの際に、通常と異なる演出がランプや音で行なわれることがある。この演出をリーチ演出という。また、リーチの際に、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、図柄(演出図柄等)とは異なるもの)を表示させたり、演出表示装置9の背景画像の表示態様(たとえば、色等)を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様の変化をリーチ演出表示という。また、リーチの中には、それが出現すると、通常のリーチ(ノーマルリーチ)に比べて、大当りが発生しやすいように設定されたものがある。このような特別のリーチをスーパーリーチという。また、リーチの中には、特別なスーパーリーチ以外のリーチとして、基本的なリーチであるノーマルリーチが含まれている。ノーマルリーチは、スーパーリーチよりも大当りが発生しにくいように設定されたものである。
この実施の形態において、スーパーリーチにおいては、リーチ図柄が形成された後、所定の動画(たとえば、所定のキャラクタ動画等の動画)を表示した後、表示結果導出表示前の最終的な演出表示において、変動中の中演出図柄をスクロールさせる演出等の遊技者の期待感を向上させるような複雑な演出表示が実行される。また、ノーマルリーチにおいては、リーチ図柄が形成された後、前述の動画を表示せずに背景画像(図柄の背景を構成する画像)の種類をリーチ状態となる前に表示されていた画像とは異ならせるような比較的簡素な演出表示が実行される。このようなノーマルリーチでは、たとえば、中図柄の最終停止図柄の停止表示前のスクロール状態において、たとえば、3図柄前等の任意の図柄数(図柄配列数)前の図柄から変動表示速度を減速する演出が行なわれることにより、表示結果導出表示前の最終的な演出表示が行なわれる。なお、ノーマルリーチでは、その他の演出表示が行なわれる場合もある。
演出表示装置9の右方には、各々を識別可能な識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示部)8aが設けられている。第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字等の特別図柄を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。また、演出表示装置9の右方(第1特別図柄表示器8aの右隣)には、各々を識別可能な識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示部)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字等の特別図柄を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器(変動表示部)と総称することがある。
なお、この実施の形態では、2つの特別図柄表示器8a,8bを備える場合を示しているが、遊技機は、特別図柄表示器を1つのみ備えるものであってもよい。
第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件(第1実行条件)または第2始動条件(第2実行条件)が成立(たとえば、遊技球が始動入賞領域としての第1始動入賞口13または第2始動入賞口14を通過(入賞を含む)したこと)した後、変動表示の開始条件(たとえば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、遊技球が通過するとは、入賞口やゲート等の予め入賞領域として定められている領域を遊技球が通過したことであり、入賞口に遊技球が入った(入賞した)ことを含む概念である。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。また、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14のような始動領域に遊技球が進入したにもかかわらず未だ開始条件が成立していない変動表示について、所定の上限数の範囲内で情報を記憶することが保留記憶と呼ばれる。また、このような保留記憶という用語は、保留記憶された情報を示す(特定する)場合にも用いられる。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口(第2始動口)14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13よりも、第2始動入賞口14に遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。したがって、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、第2始動入賞口14よりも、第1始動入賞口13に遊技球が入賞しやすい。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
第2特別図柄表示器8bの上方には、第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する4つの表示器からなる第2特別図柄保留記憶表示器18bが設けられている。第2特別図柄保留記憶表示器18bは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
また、第2特別図柄保留記憶表示器18bのさらに上方には、第1始動入賞口13に入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器からなる第1特別図柄保留記憶表示器18aが設けられている。第1特別図柄保留記憶表示器18aは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
遊技機には、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第1特別図柄の変動表示が開始可能となる第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の変動表示は、第1始動入賞口13への入賞に対応する。第1特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第2特別図柄の変動表示が開始可能となる第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の変動表示は、第2始動入賞口14への入賞に対応する。第2特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行なう。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当り表示結果として大当りを想起させるような演出図柄の組合せが停止表示される。
また、演出表示装置9の表示画面の下部には、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計数を表示する保留記憶表示部18cが設けられる。これにより、変動表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の右方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。なお、特別可変入賞球装置20は、遊技領域7の中央部(たとえば、可変入賞球装置15の下方)に設けられてもよい。
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が開放状態と閉鎖状態とを繰返す繰返し継続制御が行なわれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態が、ラウンドと呼ばれる。これにより、繰返し継続制御は、ラウンド制御とも呼ばれる。本実施の形態では、大当りの種別が複数設けられており、大当りとすることが決定されたときには、いずれかの大当り種別が選択される。
演出表示装置9の左方には、各々を識別可能な普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10が設けられている。この実施の形態では、普通図柄表示器10は、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、普通図柄表示器10は、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。また、小型の表示器は、たとえば方形状に形成されている。
演出表示装置9の左方には、遊技球が通過したことが検出されたときに普通図柄表示器10の変動表示が開始されることとなる第1ゲート321が設けられている。さらに、演出表示装置9の右方には、遊技球が通過したことが検出されたときに普通図柄表示器10の変動表示が開始されることとなる第2ゲート322が設けられている。第1ゲート321には、遊技球の通過を検出する第1ゲートスイッチ32aが設けられている。第2ゲート322には、遊技球の通過を検出する第2ゲートスイッチ32aが設けられている。
遊技球が第1ゲート321を通過し第1ゲートスイッチ32aで検出されるか、または、遊技球が第2ゲート322を通過し第2ゲートスイッチ32bで検出されると、普通図柄表示器10の表示の変動表示が開始される。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄。たとえば、図柄「7」。)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ遊技者にとって不利な閉状態から遊技者にとって有利な開状態に変化する。普通図柄表示器10の近傍には、第1ゲート321または第2ゲート322を通過した入賞球数(合計数)を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。第1ゲート321または第2ゲート322への遊技球の通過がある毎に、すなわち、第1ゲートスイッチ32aまたは第2ゲートスイッチ32bによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6の下部には、入賞しなかった打球が取込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部および左右下部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、前面枠に設けられた枠LED28が設けられている。
始動入賞領域としての第1始動入賞口13は、演出表示装置9の直下に設けられているが、左遊技領域を狙って遊技球を打込む左打ちを行なった場合に遊技球が入賞し易く、右遊技領域を狙って遊技球を打込む右打ちを行なった場合には、遊技球の流下経路上に設けられる遊技釘の配置によって遊技球が入賞し難くなっているため、左打ちを行なった方が入賞が得られやすい。
また、始動入賞領域としての第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15は、第1始動入賞口13aの下方に設けられているが、遊技者が左打ちをして遊技球が第1ゲート321を通過したこと(第1ゲートスイッチ32aにより検出される)に基づいて開放状態となる場合と、遊技者が右打ちをして遊技球が第2ゲート322を通過したこと(第2ゲートスイッチ32bにより検出される)に基づいて開放状態となる場合とがある。
一般的に、遊技者は、通常状態(低ベース状態)では、特別可変入賞球装置20が開放されず、第1ゲート321または第2ゲート322に遊技球を通過させても可変入賞球装置15が高頻度では開放されないため、より多くの始動入賞を発生させるために、左遊技領域を狙って遊技球を打込む左打ちを行ない、遊技球を第1始動入賞口13、または、第2始動入賞口14(主に第1始動入賞口13)に入賞させる。高ベース状態(本例では高確率状態でもある)では、第1ゲート321または第2ゲート322に遊技球を通過させると可変入賞球装置15が高頻度で開放されるため、遊技者は、一般的に、第1始動入賞口13に遊技球が誘導される可能性が低く、主として可変入賞球装置15へ遊技球を誘導させることが可能な右遊技領域を狙って遊技球を打込む右打ちを行ない、遊技球を主に第2始動入賞口14に入賞させる。
また、大当り遊技状態では、右遊技領域にある特別可変入賞球装置20の大入賞口が開放されるため、遊技者は、右遊技領域を狙って遊技球を打込む右打ちを行ない、該遊技球を特別可変入賞球装置20に入賞させる。
アウト口26の上方において、第2始動入賞口14を含む可変入賞球装置15の下方には、特定領域としての第2始動入賞口14を通過した遊技球(アウト球)を遊技領域7外へ案内(誘導)する第1通路61と、第1通路61内に進入した遊技球(アウト球)を、第1通路61の途中部分から第1通路61とは異なる経路で遊技領域7外へ案内(誘導)する第2通路62とを含む通路構造体(通路形成部材)が設けられている。第1通路61は、遊技者から視認可能に設けられた通路である。一方、第2通路62は、遊技者から視認不可能に設けられた通路である。
第1始動入賞口13を通過した遊技球と、第2始動入賞口14を通過した遊技球とは、異なる通路を通って、遊技球の排出通路に誘導される。したがって、第1通路61および第2通路62には、第2始動入賞口14を通過した遊技球のみが誘導され、第1始動入賞口13を通過した遊技球は別の通路を用いて、遊技球の排出通路に誘導される。
図2(A)には、第1通路61および第2通路62を正面視した拡大図が示され、図2(B)には、第1通路61の右側方(第2通路62が設けられていない側)から側面視した拡大図が示されている。図2においては、遊技球Pが案内されたときの態様の一例が示されている。また、図2(A),(B)においては、第1通路61および第2通路62のうち、パチンコ遊技機1の正面側から見て、視認可能な部分が実線で示され、視認不可能な部分が破線で示されている。また、視認可能な部分を示す範囲が一点鎖線でも示されている。
次に、図1および図2を参照して、第1通路61および第2通路62の構成を具体的に説明する。第1通路61および第2通路62は、透明の合成樹脂により一体成形された断面矩形の筒状(管状)の通路であり、遊技球が1個ずつ通過可能な内部構造を有し、遊技盤6に取付けられる。
第1通路61は、遊技者から通路内部が視認可能な通路であり、第2始動入賞口14が設けられた位置から、アウト口26直上の所定位置まで上下方向に延在する状態が視認可能となる態様で遊技盤6に取付けられる。遊技盤6における遊技領域7は、第1通路の視認可能部分を露出させるために、第1通路61の幅と同程度の幅で第1通路61を設置するための開口部が形成されており、その開口部から第1通路61の一部を露出させることにより、第1通路61内が視認可能な構成とされている。より具体的に、第1通路61は、前述の遊技領域7の開口部において、第1通路61の前面側が遊技領域7の領域面と同一面内となるように、遊技領域7の領域面から前方に突出していない態様で設けられる。第1通路61は、可変入賞球装置15が設けられた第2始動入賞口14の下部に接続されており、第2始動入賞口14を通過したすべての遊技球が受入れられる。
なお、第1通路61は、遊技領域7の領域面から前方に突出した態様(前述の開口部から前方に突出した態様)で設けられてもよい。このようにすれば、第1通路61の内部の状態がより一層視認しやすくなる。
そして、第1通路61は、図2(B)に示すように、下部が遊技盤6の後方(遊技盤6を正面から見て後方)に向けて屈曲して下方へ傾斜しており、その屈曲した部分の近傍における後方部(遊技盤6を正面から見て後方)に、第1通路61を開閉する動作を行なうことが可能な電動の入賞球貯留弁64が設けられている。入賞球貯留弁64は、図1および図4に示すような入賞球貯留弁ソレノイド65により駆動されることにより、第1通路61の終端部を開放状態または閉鎖状態とする。
第1通路61のうち、図2(B)に示すような屈曲した部分から先の部分は、遊技者が視認不可能な態様でパチンコ遊技機1の内部に配置されている。同様に、入賞球貯留弁64は、遊技者が視認不可能な態様でパチンコ遊技機1の内部に配置されている。したがって、第1通路61のうち、遊技者から視認可能な部分は、図1に示されるような可変入賞球装置15の下部からアウト口26直上部までの縦方向に設けられた部分である。
入賞球貯留弁64は、定常的(通常時)には開放状態とされており、後述するような特定演出としての貯留放出演出が実行されるときに、所定期間に亘り閉鎖状態とされる。入賞球貯留弁64が開放状態のとき、第2始動入賞口14を通過した遊技球Pは、第1通路61において、入賞球貯留弁64により流下を止められることなく、遊技盤6の裏側に設けられた入賞球の排出通路へ流下することにより、遊技領域7外に案内される。
一方、入賞球貯留弁64が閉鎖状態のとき、第2始動入賞口14を通過した遊技球Pは、第1通路61において、入賞球貯留弁64により流下を止められることにより、遊技領域7外に案内されず、図1および図2(A)に示されるような態様で第1通路61内に貯留される。第1通路61で貯留される遊技球は、図2(B)に示すような、第1通路61の屈曲部の位置、すなわち、入賞球貯留弁64における遊技球の入側の位置に1個目の遊技球Pが貯留され、その上方に2個目以降の遊技球が貯留される、というように、縦方向に遊技球Pが連なる態様で貯留されていく。これにより、第1通路61に貯留される遊技球Pは、すべてが視認可能な態様で貯留される。
なお、入賞球貯留弁64は、第1通路61の屈曲部の近傍に設けられた例を示したが、これに限らず、第1通路61の屈曲部から所定距離だけ奥の方向に離隔した位置に設けられてもよい。その場合には、第1通路61の屈曲部から奥側に貯留される遊技球は、遊技者から視認不可能な状態となるので、第1通路61に貯留される遊技球のうち、一部(第1通路61の屈曲部から上部に貯留された遊技球)が視認可能な態様で貯留されることとなる。
このように遊技球Pが貯留される態様は、第1通路61における視認可能な部分において、図1および図2(A)に示されるような態様で遊技者に視認可能となる。第1通路61内に貯留された遊技球は、特定演出の進行に応じて、入賞球貯留弁64が開状態とされることにより、第1通路61内から放出され、入賞球の排出通路へ案内(誘導)される。
第2通路62は、遊技者から通路内部が視認不可能な通路であり、遊技者から視認可能な第1通路61の上下方向における上側の所定位置(第1通路61における上側の途中の位置)に接続されたような態様(具体的に、第1通路61と第2通路62とは一体形成されてもよく、別体形成されたものを接着剤等で接続して構成されてもよい。)で斜め下方に分岐しており、第1通路61に沿う態様でアウト口26の側方位置まで上下方向に延在する態様で遊技盤6に取付けられている。
具体的に、第2通路62は、図2(B)に示されるような態様で、正面側から見て第1通路61の左斜め後方の位置において第1通路61から分岐(接続)されたような形状で開口しており、正面側から見て第1通路61の左斜め後方から左斜め下方へ傾斜した傾斜経路621と、その経路から垂直下方に向かう垂直経路622とにより構成されている。これにより、第2通路62に進入した遊技球Pは、図2(A)に示すように、傾斜経路621内で転動した後、垂直経路622内を下方へ落下する態様で、遊技球の排出通路へと誘導される。
このように、第2通路62は、第1通路61と比べて、全体的に、第1通路61の後方(奥の方向)に設けられており、主な部分が遊技領域7(遊技盤6)の裏面側に存在するので、遊技者から視認不可能な状態とされている。
なお、第2通路62(第1通路61からの分岐部分)は、第1通路61と同様に遊技領域7から露出するが、不透明な通路(たとえば、通路自体を不透明な素材で形成する、または、通路自体は前述のような透明な素材で形成するが、不透明となる塗装をすることにより不透明にする)として形成することにより、遊技者から通路内部が視認不可能となるように構成してもよい。
図2(A)に示すように、第2通路62では、第1通路61内に所定個数(たとえば、4個)の遊技球が貯留されたときに、その後に第1通路61に新たに受入れられた遊技球が第1通路61から第2通路62に流入する態様で受入れられる。これにより、第1通路61で遊技球が貯留されるときに、所定個数を超える個数の遊技球が受入れられても、第1通路61内に貯留できない遊技球は、第2通路62に分岐して流入することにより、第1通路61に球詰まりが生じても、新たに第1通路61に流入した遊技球が第2通路62を介して、遊技領域7外に案内されることになる。
なお、この実施の形態では、第1通路61に貯留可能な所定個数の遊技球が4個である例を示したが、これに限らず、当該貯留可能な所定個数は、たとえば、4個よりも多い個数となるように設定してもよく、4個よりも少ない個数となるように設定してもよい。
ここで、第1通路61における遊技球の貯留動作および放出動作のような第1通路61に関連する演出を行なう特定演出について説明する。この実施の形態では、このような特定演出として、先読み演出に含まれる貯留放出演出を実行する例を説明する。貯留放出演出とは、保留記憶情報に基づく特別図柄(演出図柄)の変動表示がどのような表示結果(たとえば、大当り表示結果、はずれ表示結果)となるか否かを、当該保留記憶情報に基づく変動表示の開始前に先読みして判定し、その判定結果に基づいて、その判定対象の保留記憶情報に基づく変動表示の開始前に、表示結果を示唆(たとえば、予告)する等の演出を実行することをいう。
図1および図2に示すように、第2始動入賞口14のような特定領域を通過した遊技球を案内する第1通路61と、第1通路61内に進入した遊技球を、第1通路61の途中部分から第1通路とは異なる経路で案内する第2通路62とが設けられたことにより、第1通路61内で遊技球の球詰りが生じたときでも、遊技球が第1通路61から第2通路62に案内可能となるので、第1通路61での球詰りの発生を抑制することができる。
また、図1および図2に示すように、第1通路61および第2通路62は、第2始動入賞口14を通過した遊技球を案内するので、第2始動入賞口14のような始動領域に関する遊技球に起因する遊技の中断(たとえば、球詰りの発生による遊技の中断)の発生を抑制することができる。
また、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、単に「カードユニット」ともいう。)が、パチンコ遊技機1に隣接して設置される(図示せず)。
図3の当り種別表においては、大当りにおける当りの種別ごとに、大当り遊技状態の終了後の大当り確率、大当り遊技状態の終了後のベース、大当り遊技状態終了後の変動時間、大当りにおける開放回数(ラウンド数)、および、各ラウンドの開放時間が示されている。図3に示すように、この実施の形態では、ラウンド数が異なる大当り遊技状態として、15ラウンドの大当り遊技状態と2ラウンドの大当り遊技状態との複数種類の大当り遊技状態が設けられている。
具体的に、15ラウンドの大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、開放状態とされた後、所定の開放状態の終了条件(開放状態において所定期間(たとえば29秒間)が経過したこと、または、所定個数(たとえば10個)の入賞球が発生したという開放終了条件)が成立したことに応じて閉鎖状態とされる。そして、開放終了条件が成立すると、継続権が発生し、特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、大当り遊技状態における開放回数が予め定められた上限値となる15ラウンド(最終ラウンド)に達するまで繰返される。
また、2ラウンドの大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、開放状態とされた後、所定の開放状態の終了条件(開放状態において所定期間(たとえば0.5秒間)が経過したこと、または、所定個数(たとえば10個)の入賞球が発生したという開放終了条件)が成立したことに応じて閉鎖状態とされる。そして、開放終了条件が成立すると、継続権が発生し、特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、大当り遊技状態における開放回数が予め定められた上限値となる2ラウンド(最終ラウンド)に達するまで繰返される。
このように、2ラウンドの大当りは、大入賞口の開放回数が15ラウンドよりも少ない回数(この実施の形態では2回)まで許容されるが、大入賞口の開放時間が短い(たとえば、0.5秒間)大当り種類(種別)である。また、本実施の形態の場合は、2ラウンドの大当りとして、大入賞口の開放時間が極めて短く(0.5秒間)、実質的に大入賞口に入賞することが不可能であり、実質的に賞球(入賞に対して払出される景品球)が得られない当りが設けられている。
なお、2ラウンドの大当りとしては、実質的に賞球が得られない当りのみを設けてもよく、賞球を得ることができる当りのみを設けてもよく、実質的に賞球が得られない当りと賞球を得ることができる当りとの両方を設けてもよい。
「大当り」のうち、15ラウンドまたは2ラウンドの大当り遊技状態に制御された後、特別遊技状態として、通常状態(確変状態でない通常の遊技状態)に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態(確率変動状態の略語であり、高確率状態ともいう)に移行する大当りの種類(種別)は、「確変大当り」と呼ばれる。本実施の形態では、15ラウンドの確変大当りを「確変大当り」と呼び、2ラウンドの確変大当りを後述するような理由で「突確大当り」と呼ぶ。また、本実施の形態では、特別遊技状態としては、確変状態に付随して、特別図柄や演出図柄の変動時間(変動表示期間)が非時短状態よりも短縮される時短状態に制御される場合がある。なお、特別遊技状態としては、確変状態とは独立して時短状態に制御される場合があるようにしてもよい。
このように、時短状態に移行することによって、特別図柄や演出図柄の変動時間が短縮されるので、時短状態となったときには、有効な始動入賞が発生しやすくなり大当り遊技が行なわれる可能性が高まる。
なお、「大当り」のうち、15ラウンドの大当り遊技状態に制御された後、確変状態に移行しない大当りの種類(種別)は、「通常大当り」と呼ばれる。
また、特別遊技状態としては、確変状態または時短状態に付随して、可変入賞球装置15が開状態になる頻度を高くすることにより可変入賞球装置15に遊技球が進入する頻度を高くして可変入賞球装置15への入賞を容易化(高進入化、高頻度化)する電チューサポート制御状態に制御される場合がある。電チューサポート制御状態は、後述するように高ベース状態であるので、以下の説明においては、主として高ベース状態と呼ぶ。
ここで、電チューサポート制御について説明する。電チューサポート制御としては、普通図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御(普通図柄短縮制御)、普通図柄の停止図柄が当り図柄になる確率を高める制御(普通図柄確変制御)、可変入賞球装置15の開放時間を長くする制御(開放時間延長制御)、および、可変入賞球装置15の開放回数を増加させる制御(開放回数増加制御)が行なわれる。このような制御が行なわれると、当該制御が行なわれていないときと比べて、可変入賞球装置15が開状態となっている時間比率が高くなるので、第2始動入賞口14への入賞頻度が高まり、遊技球が始動入賞しやすくなる(特別図柄表示器8a,8bや演出表示装置9における変動表示の実行条件が成立しやすくなる)。また、このような制御によって第2始動入賞口14への入賞頻度が高まることにより、第2始動条件の成立頻度および/または第2特別図柄の変動表示の実行頻度が高まる遊技状態となる。
このような電チューサポート制御により第2始動入賞口14への入賞頻度が高められた状態(高頻度状態)は、発射球数に対して入賞に応じて賞球として払出される遊技球数の割合である「ベース」が、当該制御が行なわれないときと比べて、高い状態であるので、「高ベース状態」と呼ばれる。また、このような制御が行なわれないときは、「低ベース状態」と呼ばれる。また、このような制御は、可変入賞球装置15、すなわち、電動チューリップにより入賞をサポートすることにより可変入賞球装置15への入賞を容易化する制御であり、「電チューサポート制御」と呼ばれる。
この実施の形態においては、大当り確率の状態を示す用語として、「高確率状態(確変状態)」と、「低確率状態(非確変状態)」とを用い、ベースの状態の組合せを示す用語として、「高ベース状態(電チューサポート制御状態)」と、「低ベース状態(非電チューサポート制御状態)」とを用いる。
また、この実施の形態においては、大当り確率の状態およびベースの状態の組合せを示す用語として、「低確低ベース状態」、「低確高ベース状態」、および、「高確高ベース状態」を用いる。「低確低ベース状態」とは、大当り確率の状態が低確率状態で、かつ、ベースの状態が低ベース状態であることを示す状態である。「低確高ベース状態」とは、大当り確率の状態が低確率状態で、かつ、ベースの状態が高ベース状態であることを示す状態である。「高確高ベース状態」とは、大当り確率の状態が高確率状態で、かつ、ベースの状態が高ベース状態であることを示す状態である。
この実施の形態においては、大当り遊技状態に制御された後、時短状態および高ベース状態に制御されるが、時短状態および高ベース状態は、制御の開始条件および終了条件が同じであるので、時短状態および高ベースに制御されている状態を、時短状態という用語で代表して示す場合があり、高ベース状態という用語で代表して示す場合がある。
図3に示すように、15ラウンドの大当りとしては、通常大当りと確変大当りとの複数種類の大当りが設けられている。また、2ラウンドの大当りとしては、突然確変大当り(以下、突確大当りという略称で呼ぶ)が設けられている。
通常大当りは、15ラウンドの大当り遊技状態の終了後に、非確変状態、時短状態、および、高ベース状態(低確高ベース状態)に制御される大当りである。通常大当りの大当り遊技状態後の高ベース状態は、特別図柄および演出図柄の変動表示(はずれ表示結果となる変動表示)が所定回数(たとえば、100回)実行されるという条件と、次回の大当りが発生するまでという条件とのどちらかが成立するまでの期間継続し、その後、低ベース状態に移行する。
確変大当りは、15ラウンドの大当り遊技状態の終了後に、確変状態、時短状態、および、高ベース状態(高確高ベース状態)に移行する制御が行なわれる大当りである。確変大当りにおいては、このような高確高ベース状態が、次回の大当りが発生するまでという条件が成立するまでの期間に亘り継続する。
突確大当りは、2ラウンドの大当り遊技状態の終了後に、確変状態、時短状態、および、高ベース状態(高確高ベース状態)に移行する制御が行なわれる大当りである。突確大当りにおいては、このような高確高ベース状態が、次回の大当りが発生するまでという条件が成立するまでの期間に亘り継続する。
なお、確変大当りと突確大当りとの両方またはいずれか一方は、高確高ベース状態が、特別図柄および演出図柄の変動表示(はずれ表示結果となる変動表示)が所定回数実行されるという条件と、次回の大当りが発生するまでという条件とのどちらかが成立するまでの期間継続するようにしてもよい。
突確大当りは、ラウンド数が少なく(2回)、大入賞口の開放時間が極めて短い態様(0.5秒間開放)で大入賞口が開放されることにより、大当り遊技状態の終了後に確変状態となったことを報知する場合に、遊技者に対して突然に確変状態となったかのように見せることが可能なものであり、「突然確変大当り」と呼ばれる。また、「突然確変大当り」は、「突確」という略称で呼ばれる場合もある。突確大当りは、大当り遊技状態において、0.5秒間の開放が2回しか行なわれないため、実質的に大入賞口への入賞が得られず賞球が得られない当りである。また、突確大当りの代わりに、実質的に賞球が得られる開放パターンで大入賞口が開放される2ラウンドの確変大当りを設けてもよい。
なお、大当りの他に、突確大当りと同様の開放回数および開放時間による開放パターンで大入賞口を開放する小当りを設けてもよい。小当りとなったときには、小当り遊技状態終了後に、大当り確率とベースとがともに、小当り遊技状態の開始前に対して変更されないようにする。このような小当りを設ければ、突確大当りと小当りとのそれぞれの当り遊技状態の終了後に確変状態となっているか否かを報知しないときには、開放パターンを見て突確大当りと小当りとのいずれが実行されたことが遊技者に認識されてしまったときでも、同じ開放パターンとなる当りが2種類あるので、確変状態となっているか否かが遊技者にとって把握しにくいものとなるため、実際には確変状態となっていないときでも遊技者の確変状態に対する期待感を高めることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
図4は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4は、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ROM54およびRAM55が内蔵された1チップマイクロコンピュータである。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板910において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行なう)ということは、具体的には、CPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路503は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路503は、初期値(たとえば、0)と上限値(たとえば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数回路503が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。
また、第1ゲートスイッチ32a、第2ゲートスイッチ32b、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23からの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令にしたがって駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18bおよび普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行なう。
演出制御基板80は、演出制御用マイクロコンピュータ100、ROM102、RAM103、VDP109、および、I/Oポート部105等を搭載している。ROM102は、表示制御等の演出制御用のプログラムおよびデータ等を記憶する。RAM103は、ワークメモリとして使用される。ROM102およびRAM103は、演出制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されてもよい。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100と共動して演出表示装置9の表示制御を行なう。
演出制御用マイクロコンピュータ100は、主基板31から演出制御基板80の方向への一方向にのみ信号を通過させる中継基板77を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出表示装置9の変動表示制御を行なう他、ランプドライバ基板35を介して、枠側に設けられている枠LED28の表示制御を行なうとともに、音声出力基板70を介してスピーカ27からの音出力の制御を行なう等、各種の演出制御を行なう。
また、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122のトリガボタン125に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、トリガセンサ121から、入力ポート106を介して入力する。また、演出制御用CPU101は、プッシュボタン120に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、プッシュセンサ124から、入力ポート106を介して入力する。また、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122の操作桿に対する技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、傾倒方向センサユニット123から、入力ポート106を介して入力する。また、演出制御用CPU101は、出力ポート105を介してバイブレータ用モータ126に駆動信号を出力することにより、スティックコントローラ122を振動動作させる。
また、演出制御用CPU101は、出力ポート105を介して入賞球貯留弁ソレノイド65に駆動信号を出力することにより、入賞球貯留弁64を動作させる。
図5は、各乱数を示す説明図である。図5においては、乱数の種別、更新範囲、用途、および、加算条件が示されている。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダムR:大当りにするか否かを判定する当り判定用のランダムカウンタである。ランダムRは、10MHzで1ずつ更新され、0から加算更新されてその上限である65535まで加算更新された後再度0から加算更新される。(2)ランダム1(MR1):大当りの種類(種別、通常大当り、確変大当り、および、突確大当りのいずれかの種別)および大当り図柄を決定する(大当り種別判定用、大当り図柄決定用)。(3)ランダム2(MR2):変動パターンの種類(種別)を決定する(変動パターン種別判定用)。(4)ランダム3(MR3):変動パターン(変動時間)を決定する(変動パターン判定用)。(5)ランダム4(MR4):普通図柄に基づく当りを発生させるか否か決定する(普通図柄当り判定用)。(6)ランダム5(MR5):ランダム4の初期値を決定する(ランダム4初期値決定用)。
この実施の形態では、特定遊技状態である大当りとして、通常大当り、確変大当り、および、突確大当りという複数の種別が含まれている。したがって、大当り判定用乱数(ランダムR)の値に基づいて、大当りとする決定がされたときには、大当り種別判定用乱数(ランダム1)の値に基づいて、大当りの種別が、これらいずれかの大当り種別に決定される。さらに、大当りの種別が決定されるときに、同時に大当り種別判定用乱数(ランダム1)の値に基づいて、大当り図柄も決定される。したがって、ランダム1は、大当り図柄決定用乱数でもある。
また、変動パターンは、まず、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を用いて変動パターン種別を決定し、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を用いて、決定した変動パターン種別に含まれるいずれかの変動パターンに決定する。そのように、この実施の形態では、2段階の抽選処理によって変動パターンが決定される。変動パターン種別とは、複数の変動パターンをその変動態様の特徴にしたがってグループ化したものである。変動パターン種別には、1または複数の変動パターンが属している。
この実施の形態では、変動パターンが、リーチを伴なわない変動パターン種別である通常変動パターン種別と、リーチを伴なう変動パターン種別であるリーチ変動パターン種別とに種別分けされている。
このような変動パターン種別は、表示結果がはずれとなる場合に、時短状態であるときと、時短状態でないときとで、変動パターン種別の選択割合が異なるように設定されていることにより、時短状態であるときには、時短状態でないときと比べて、変動時間が短縮される。たとえば、時短状態では、時短状態でないときと比べて、変動時間の平均時間を短くするために、変動パターン種別のうち最も変動時間が短い変動パターン種別が選択される割合が高くなり、リーチ種別が選択されるときでも変動パターン種別のうち最も変動時間が短いノーマルリーチの変動パターンが選択される割合が高くなるように設定されることで、時短状態でないときと比べて、変動時間の平均時間が短くなる。
なお、このような変動パターン種別は、変動表示をする特別図柄の保留記憶数(第1特別図柄と第2特別図柄との合算保留記憶数)が所定数以上であるときと、所定数未満であるときとで選択割合が異なるように設定されることにより、変動表示をする各特別図柄の保留記憶数が所定数以上であるときには、各特別図柄の保留記憶数が所定数未満であるときと比べて、変動時間が短縮される保留数短縮制御が実行される。たとえば、保留数短縮制御状態では、保留数短縮制御状態でないときと比べて、通常変動パターン種別のような変動時間が短い変動パターン種別が選択される割合が高くなり、リーチ種別が選択されるときでもノーマルリーチのような変動時間が短いリーチの変動パターンが選択される割合が高くなるように設定されることで、保留数短縮制御状態でないときと比べて、変動時間の平均時間が短くなる。
図6は、大当り判定テーブルおよび大当り種別判定テーブルを示す説明図である。図6(A)は、大当り判定テーブルを示す説明図である。大当り判定テーブルとは、ROM54に記憶されているデータの集まりであって、ランダムRと比較される大当り判定値が設定されているテーブルである。大当り判定テーブルには、通常状態(確変状態でない遊技状態、すなわち非確変状態)において用いられる通常時(非確変時)大当り判定テーブルと、確変状態において用いられる確変時大当り判定テーブルとがある。
通常時大当り判定テーブルには、図6(A)の左欄に記載されている各数値が大当り判定値として設定され、確変時大当り判定テーブルには、図6(A)の右欄に記載されている各数値が大当り判定値として設定されている。確変時大当り判定テーブルに設定された大当り判定値は、通常時大当り判定テーブルに設定された大当り判定値と共通の大当り判定値(通常時大当り判定値または第1大当り判定値という)に、確変時固有の大当り判定値が加えられたことにより、確変時大当り判定テーブルよりも多い個数(10倍の個数)の大当り判定値(確変時大当り判定値または第2大当り判定値という)が設定されている。これにより、確変状態には、通常状態よりも高い確率で大当りとする判定がなされる。
CPU56は、所定の時期に、乱数回路503のカウント値を抽出して抽出値を大当り判定用乱数(ランダムR)の値と比較するのであるが、大当り判定用乱数値が図6(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当り(通常大当り、または、確変大当り)にすることに決定する。なお、図6(A)に示す「確率」は、大当りになる確率(割合)を示す。
図6(B),(C)は、ROM54に記憶されている大当り種別判定テーブルを示す説明図である。図6(B)は、遊技球が第1始動入賞口13に入賞したことに基づく保留記憶(第1保留記憶ともいう)を用いて大当り種別を決定する場合(第1特別図柄の変動表示が行なわれるとき)に用いる第1特別図柄大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)である。図5(C)は、遊技球が第2始動入賞口14に入賞したことに基づく保留記憶(第2保留記憶ともいう)を用いて大当り種別を決定する場合(第2特別図柄の変動表示が行なわれるとき)に用いる第2特別図柄大当り種別判定テーブルである。
図5(B)、および、図5(C)の特別図柄大当り種別判定テーブルのそれぞれは、変動表示結果を大当り図柄にする旨の判定がなされたときに、大当り種別判定用の乱数(ランダム1)に基づいて、大当りの種別を「通常大当り」、「確変大当り」、「突確大当り」のうちのいずれかに決定するとともに、大当り図柄を決定するために参照される。
図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定テーブルには、ランダム1の値と比較される数値であって、「通常大当り」、「確変大当り」、「突確大当り」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されている。図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルには、ランダム1の値と比較される数値であって、「通常大当り」、「確変大当り」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されている。
また、図5(B),(C)に示すように、大当り種別判定値は、第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄を決定する判定値(大当り図柄判定値)としても用いられる。「通常大当り」に対応した判定値は、第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄の「3」に対応した判定値としても設定されている。「確変大当り」に対応した判定値は、第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄の「7」に対応した判定値としても設定されている。「突確大当り」に対応した判定値は、第2特別図柄の大当り図柄の「5」に対応した判定値としても設定されている。
このような大当り種別大当り種別判定テーブルを用いて、CPU56は、大当り種別として、ランダム1の値が一致した大当り種別判定値に対応する種別を決定するともに、大当り図柄として、ランダム1の値が一致した大当り図柄を決定する。これにより、大当り種別と、大当り種別に対応する大当り図柄とが同時に決定される。
図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定テーブルと、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルとでは、高確率状態となる大当りに決定される割合が同じであるが、第2特別図柄大当り種別判定テーブルの方が、第1特別図柄大当り種別判定テーブルよりも、大当り遊技状態におけるラウンド数が多い大当り(15ラウンドの大当り)が選択される割合が高く、また、大当り遊技状態における実質的な入賞可能数が多い大当り(15ラウンドの大当り)が選択される割合が高い。したがって、第2特別図柄の方が第1特別図柄よりも、大当りとなったときに、大入賞口への入賞に関して遊技者にとって有利度合いが高い(たとえば、実質的に入賞可能なラウンド数が多い、実質的な入賞可能数が多い等)有利状態としての大当り遊技状態に制御される。
なお、この実施の形態では、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルにおいて、突確大当りが選択されない例を示した。しかし、これに限らず、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルにおいては、突確大当りが選択可能であるが、図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定テーブルよりも突確大当りの選択割合が高くなるようにデータを設定してもよい。
図7は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が送信する演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。図7においては、演出制御コマンドについて具体的なコマンドデータと、コマンドの名称およびコマンドの指定内容との関係が示されている。演出制御コマンドの遊技制御用マイクロコンピュータ560においては、図7に示すように、遊技制御状態に応じて、各種の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100へ送信する。
図7のうち、主なコマンドを説明する。コマンド80XX(H)は、特別図柄の変動表示に対応して演出表示装置9において変動表示される演出図柄の変動パターンを指定する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)である(それぞれ変動パターンXXに対応)。複数の変動パターンのそれぞれに対して一意な番号を付した場合に、その番号で特定される変動パターンのそれぞれに対応する変動パターンコマンドがある。「(H)」は16進数であることを示す。また、変動パターンを指定する演出制御コマンドは、変動開始を指定するためのコマンドでもある。したがって、演出制御用CPU101は、コマンド80XX(H)を受信すると、演出表示装置において演出図柄の変動表示を開始するように制御する。
コマンド8C01(H)〜8C04(H)は、大当りとするか否か、および大当り種別を示す表示結果指定コマンドである。
コマンド8D01(H)は、第1特別図柄の変動表示を開始することを示す第1図柄変動指定コマンドである。コマンド8D02(H)は、第2特別図柄の変動表示を開始することを示す第2図柄変動指定コマンドである。コマンド8F00(H)は、第1,第2特別図柄の変動を終了することを指定する図柄確定指定コマンドである。
コマンドA001〜A003(H)は、大当りの種別(通常大当り、確変大当り、突確大当り)ごとに大当り遊技状態の開始を指定する大当り開始指定コマンドである。
コマンドA1XX(H)は、XXで示す回数目(ラウンド)の大入賞口開放中の表示を示す大入賞口開放中指定コマンドである。A2XX(H)は、XXで示す回数目(ラウンド)の大入賞口開放後(閉鎖)を示す大入賞口開放後指定コマンドである。
コマンドA301〜A303(H)は、大当りの種別(通常大当り、確変大当り、突確大当り)ごとに大当り遊技状態の終了を指定する大当り終了指定コマンドである。
コマンドA401(H)は、第1始動入賞があったことを指定する第1始動入賞指定コマンドである。コマンドA402(H)は、第2始動入賞があったことを指定する第2始動入賞指定コマンドである。
コマンドB000(H)は、遊技状態が通常状態(低確率/低ベース状態)であることを指定する通常状態指定コマンドである。コマンドB001(H)は、遊技状態が時短状態(高ベース状態)であることを指定する時短状態指定コマンドである。コマンドB002(H)は、遊技状態が確変状態(高確率状態)であることを指定する確変状態指定コマンドである。
コマンドC0XX(H)は、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計数(合算保留記憶数)を指定する合算保留記憶数指定コマンドである。コマンドC0XX(H)における「XX」が、合算保留記憶数を示す。コマンドC100(H)は、合算保留記憶数を1減算することを指定する演出制御コマンド(合算保留記憶数減算指定コマンド)である。なお、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、合算保留記憶数を減算する場合には合算保留記憶数減算指定コマンドを送信するが、合算保留記憶数減算指定コマンドを使用せず、合算保留記憶数を減算するときに、減算後の合算保留記憶数を指定する合算保留記憶数指定コマンドを送信するようにしてもよい。
なお、この実施の形態では、保留記憶数を指定するコマンドとして、合算保留記憶数を指定する合算保留記憶数指定コマンドを送信する場合を示しているが、第1保留記憶と第2保留記憶とのうち増加した方の保留記憶数を指定するコマンドを送信するように構成してもよい。具体的には、第1保留記憶が増加した場合に第1保留記憶数を指定する第1保留記憶数指定コマンドを送信し、第2保留記憶が増加した場合に第2保留記憶数を指定する第2保留記憶数指定コマンドを送信するようにしてもよい。
また、この実施の形態では、保留記憶情報として、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とのいずれに始動入賞したかを指定する始動入賞指定コマンドを送信するとともに、合算保留記憶数を指定する合算保留記憶数指定コマンドを送信する場合を示しているが、保留記憶情報として送信する演出制御コマンドは、この実施の形態で示したものに限られない。たとえば、保留記憶数が増加したときに、第1保留記憶数または第2保留記憶数が増加したことを示す保留記憶数加算指定コマンド(第1保留記憶数加算指定コマンドまたは第2保留記憶数加算指定コマンド)を送信する一方、保留記憶数が減少したときに、第1保留記憶数または第2保留記憶数が減少したことを示す保留記憶数減算指定コマンド(第1保留記憶数減算指定コマンドまたは第2保留記憶数減算指定コマンド)を送信するようにしてもよい。
コマンドC2XX(H)およびコマンドC3XX(H)は、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への始動入賞時における大当り判定、大当り種別判定、変動パターン種別判定等の入賞時判定結果の内容を示す演出制御コマンドである。このうち、コマンドC2XX(H)は、入賞時判定結果のうち、大当りとなるか否か、および、大当りの種別の判定結果を示す図柄指定コマンドである。コマンドC2XX(H)の「XX」の部分は、たとえば、入賞時判定結果がはずれであることを指定する場合は「00」であり、入賞時判定結果が通常大当りであることを指定する場合は「01」であり、入賞時判定結果が確変大当りであることを指定する場合は「02」であり、入賞時判定結果が確変大当りであることを指定する場合は「03」であり、入賞時判定結果が突確大当りであることを指定する場合は「04」である。
また、コマンドC3XX(H)は、入賞時判定結果のうち、変動パターン種別判定用乱数の値がいずれの判定値の範囲となるかの判定結果(変動パターン種別の判定結果)を示す変動種別コマンドである。コマンドC3XX(H)の「XX」の部分は、たとえば、変動パターンが非リーチである場合は「00」であり、変動パターンがノーマルリーチである場合は「01」であり、変動パターンがスーパーリーチである場合は「02」である。なお、ノーマルリーチあるいはスーパーリーチは、それぞれ複数種類あってもよい。
この実施の形態では、後述する入賞時演出処理(図12参照)において、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、始動入賞時に、大当りとなるか否か、大当りの種別、変動パターン種別判定用乱数の値がいずれの判定値の範囲となるかを判定する。そして、図柄指定コマンドのEXTデータに、大当りとなることを指定する値、および、大当りの種別を指定する値を設定し、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう。また、変動種別コマンドのEXTデータに変動パターン種別の判定結果としての判定値の範囲を指定する値を設定し、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう。この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100が、図柄指定コマンドに設定されている値に基づいて、表示結果が大当りとなるか否か、大当りの種別を認識できるとともに、変動種別コマンドに基づいて、変動パターン種別を認識できる。
なお、認識された変動パターンを用いる場合に、変動表示をする第1特別図柄および第2特別図柄の合算保留記憶数(合計値)が所定数以上であるとき(たとえば、合算保留記憶数が3以上)と、所定数未満であるときとで選択割合が異なるように設定されることにより、合算保留記憶数が所定数以上であるときには、合算保留記憶数が所定数未満であるときと比べて、変動時間が短縮される保留数短縮制御を実行するようにしてもよい。ただし、保留数短縮制御が実行される条件下でも(たとえば、合算保留記憶数が3以上)リーチ(ノーマルリーチ、スーパーリーチ含む)の選択割合を一定にする(保留記憶数にかかわらず判定値を共通にする)。このような保留数短縮制御をするときに共通の判定値を用いる場合には、入賞時判定結果を先読みするための先読み用のコマンド(図柄指定コマンドおよび変動種別コマンド)を送信するが、このような先読み用のコマンドに基づいて、共通の判定値に合致する変動パターンであるとき、または、表示結果が大当りとなるとき等に先読み予告等の先読み演出が実行されてもよい。なお、合算保留記憶数に代えて、たとえば、第1保留記憶数あるいは第2保留記憶数に基づいて保留数短縮制御を実行してもよい。
図8は、遊技制御用マイクロコンピュータ560における保留記憶バッファの構成例を示す説明図である。
図8(A)は、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)の構成例を示す説明図である。保留特定領域は、RAM55に形成(RAM55内の領域である)され、図8(A)に示すように、合算保留記憶数を計数する合計保留記憶数カウンタの値の最大値(この例では8)に対応した領域が確保されている。図8(A)には、合計保留記憶数カウンタの値が5である場合の例が示されている。
図8(A)に示すように、保留特定領域には、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への入賞に基づいて入賞順に「第1」または「第2」であることを示すデータがセットされる。したがって、保留特定領域には、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14への入賞順を特定可能なデータが記憶される。なお、保留特定領域は、RAM55に形成されている。
図8(B)は、保留記憶に対応する乱数等を保存する保存領域(保留記憶バッファ)の構成例を示す説明図である。図8(B)に示すように、第1保留記憶バッファには、第1保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。また、第2保留記憶バッファには、第2保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファは、RAM55に形成されている。第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファには、ハードウェア乱数である大当り判定用乱数(ランダムR)、および、ソフトウェア乱数である大当り種別決定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)、および、変動パターン判定用乱数(ランダム3)が記憶される。
第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への入賞に基づいて、CPU56は、乱数回路503およびソフトウェア乱数を生成するためのランダムカウンタからこのような乱数値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファにおける保存領域に保存(格納)する処理を実行する。具体的に、第1始動入賞口13への入賞に基づいて、これら乱数値が抽出されて第1保留記憶バッファに保存される。また、第2始動入賞口14への入賞に基づいて、これら乱数値が抽出されて第2保留記憶バッファに保存される。
このように第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに前述のような始動入賞に関する情報が記憶されることを「保留記憶される」と示す場合がある。なお、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)は、始動入賞時において抽出して保存領域に予め格納しておくのではなく、後述する変動パターン設定処理(特別図柄の変動開始時)に抽出するようにしてもよい。
このように保留特定領域および保存領域に記憶されたデータは、後述するように、始動入賞時に読出されて貯留放出演出を含む先読み演出のために用いられるとともに、変動表示開始時に読出されて変動表示のために用いられる。
この実施の形態において、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示に対応して行なわれる演出図柄の演出制御パターンは、複数種類の変動パターンに対応して、演出図柄の変動表示動作、リーチ演出等における演出表示動作、あるいは、演出図柄の変動表示を伴わない各種の演出動作というような、様々な演出動作の制御内容を示すデータ等から構成されている。また、予告演出制御パターンは、予め複数パターンが用意された予告パターンに対応して実行される予告演出となる演出動作の制御内容を示すデータ等から構成されている。各種演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータ等から構成されている。
次に、パチンコ遊技機1の動作について説明する。パチンコ遊技機1においては、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ560が予め定められたメイン処理を実行すると、所定時間(たとえば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかりタイマ割込処理が実行されることにより、各種の遊技制御が実行可能となる。
メイン処理においては、たとえば、必要な初期設定処理、通常時の初期化処理、通常時以外の遊技状態復旧処理、乱数回路設定処理(乱数回路503を初期設定)、表示用乱数更新処理(変動パターンの種別決定、変動パターン決定等の各種乱数の更新処理)、および、初期値用乱数更新処理(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタのカウント値の初期値の更新処理)等が実行される。
図9は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込が発生すると、CPU56は、図9に示すステップS(以下、単に「S」と示す)20〜S34のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(S20)。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23の検出信号を入力し、それらの状態判定を行なう(スイッチ処理:S21)。
次に、CPU56は、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行なう表示制御処理を実行する(S22)。第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび普通図柄表示器10については、S32,S33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
また、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数(ランダム4)および大当り種別判定用乱数(ランダム1)等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行なう(判定用乱数更新処理:S23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数(ランダム4初期値決定用乱数等)、および、表示用乱数(ランダム2,3)を生成するためのランダムカウンタのカウント値を更新する処理を行なう(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:S24,S25)。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行なう(S26)。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、および、大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理を実行し、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
次いで、普通図柄プロセス処理を行なう(S27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理を実行し、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ100に演出制御コマンドを送出する処理を行なう(演出制御コマンド制御処理:S28)。さらに、CPU56は、たとえばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報等のデータを出力する情報出力処理を行なう(S29)。
また、CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23の検出信号に基づく賞球個数の設定等を行なう賞球処理を実行する(S30)。
この実施の形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(S31:出力処理)。
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行なうための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行なう(S32)。
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行なうための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行なう(S33)。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、S22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
その後、割込許可状態に設定し(S34)、処理を終了する。以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は所定時間毎に起動されることになる。
図10は、特別図柄プロセス処理(S26)を示すフローチャートである。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理においては、始動口スイッチ通過処理を実行する(S311)。そして、内部状態に応じて、S300〜S307のうちのいずれかの処理を行なう。
遊技制御用マイクロコンピュータ560において、RAM55には、第1始動入賞口13への始動入賞に基づいて得られる大当り判定用乱数等の保留記憶データ(第1保留記憶データ)が記憶される第1保留記憶バッファと、第2始動入賞口14への始動入賞に基づいて得られる大当り判定用乱数等の保留記憶データ(第2保留記憶データ)が記憶される第2保留記憶バッファとが設けられている。これら各保留記憶バッファには、各保留記憶の記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。
始動口スイッチ通過処理では、第1始動口スイッチ13aがオンしていれば、第1保留記憶数が上限値(たとえば、4)に達していないことを条件として、第1保留記憶データの記憶数を計数する第1保留記憶数カウンタの値を1増やし、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから数値データ(たとえば、大当り判定用乱数、変動パターン種別判定用乱数、および、変動パターン判定用乱数)を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファにおける保存領域に保存(格納)する処理を実行する。一方、第2始動口スイッチ14aがオンしていれば、第2保留記憶数が上限値(たとえば、4)に達していないことを条件として、第2保留記憶データの記憶数を計数する第2保留記憶数カウンタの値を1増やし、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから数値データ(たとえば、大当り判定用乱数、変動パターン種別判定用乱数、および、変動パターン判定用乱数)を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファにおける保存領域に保存(格納)する処理を実行する。
以下の保留記憶に関する説明に関しては、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに前述のような始動入賞に関する情報が記憶されることを「保留記憶される」と示す場合がある。また、第1保留記憶バッファに記憶される数値データを第1保留記憶情報と呼び、第2保留記憶バッファに記憶される数値データを第2保留記憶情報と呼ぶ場合がある。
S300〜S307の処理は、以下のような処理である。特別図柄通常処理(S300)は、変動表示の表示結果を大当りとするか否かの決定、および、大当りとする場合の大当り種別の決定等を行なう処理である。変動パターン設定処理(S301)は、変動パターンの決定(変動パターン種別判定用乱数および変動パターン判定用乱数を用いた変動パターンの決定)、および、決定された変動パターンに応じて変動時間を計時するための変動時間タイマの計時開始等の制御を行なう処理である。
表示結果指定コマンド送信処理(S302)は、演出制御用マイクロコンピュータ100に、表示結果指定コマンドを送信する制御を行なう処理である。特別図柄変動中処理(S303)は、変動パターン設定処理で選択された変動パターンの変動時間が経過すると特別図柄停止処理にプロセスを進める処理である。特別図柄停止処理(S304)は、決定された変動パターンに対応する変動時間の経過が変動時間タイマにより計時されたときに第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける変動表示を停止して停止図柄を導出表示させる処理である。
大入賞口開放前処理(S305)は、大当りの種別に応じて、特別可変入賞球装置20において大入賞口を開放する制御等を行なう処理である。大入賞口開放中処理(S306)は、大当り遊技状態中のラウンド表示演出用の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御、および、大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行なう処理である。大入賞口の閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、大入賞口開放前処理(S305)に移行する。また、全てのラウンドを終えた場合には、大当り終了処理(S307)に移行する。大当り終了処理(S307)は、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータ100に行なわせるための制御等を行なう処理である。
図11は、S311の始動口スイッチ通過処理を示すフローチャートである。
始動入賞判定処理において、CPU56は、まず、第1始動口スイッチ13aがオン状態であるか否かを確認する(S1211)。第1始動口スイッチ13aがオン状態でなければ、S1222に移行する。第1始動口スイッチ13aがオン状態であれば、CPU56は、第1保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第1保留記憶数をカウントするための第1保留記憶数カウンタの値が4であるか否か)を確認する(S1212)。第1保留記憶数が上限値に達していれば、S1222に移行する。
第1保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第1保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1213)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1214)。また、CPU56は、図8で説明した第1始動入賞口13および第2始動入賞口14への入賞順を記憶するための保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、合算保留記憶数カウンタの値に対応した領域に、「第1」を示すデータをセットする(S1215)。
この実施の形態では、第1始動口スイッチ13aがオン状態となった場合(すなわち、第1始動入賞口13に遊技球が始動入賞した場合)には「第1」を示すデータをセットし、第2始動口スイッチ14aがオン状態となった場合(すなわち、第2始動入賞口14に遊技球が始動入賞した場合)には「第2」を示すデータをセットする。たとえば、CPU56は、図8に示す保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、第1始動口スイッチ13aがオン状態となった場合には「第1」を示すデータとして01(H)をセットし、第2始動口スイッチ14aがオン状態となった場合には「第2」を示すデータとして02(H)をセットする。なお、この場合、対応する保留記憶がない場合には、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)には、00(H)がセットされている。
図8(A)に示すように、保留特定領域には、合算保留記憶数カウンタの値の最大値(この例では8)に対応した領域が確保されており、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への入賞に基づき入賞順に「第1」または「第2」であることを示すデータがセットされる。したがって、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)には、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14への入賞順番が記憶される。
次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファ(図8(B)参照)における保存領域に格納する処理を実行する(S1216)。S1216の処理では、大当り判定用乱数(ランダムR)、大当り種別決定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)、および、変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。
次いで、CPU56は、検出した始動入賞に基づく変動がその後実行されたときの変動表示結果や変動パターン種別を始動入賞時に予め判定する入賞時演出処理を実行する(S1217)。そして、CPU56は、入賞時演出処理の判定結果に基づいて、図柄指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1218)とともに、変動種別コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1219)。また、CPU56は、第1始動入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1220)とともに、合算保留記憶数カウンタの値をEXTデータに設定して合算保留記憶数指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1221)。
S1218,S1219の処理を実行することによって、この実施の形態では、遊技状態(高確率状態、低確率状態、高ベース状態、低ベース状態、大当り遊技状態等の遊技状態)にかかわらず、第1始動入賞口13に始動入賞するごとに、必ず図柄指定コマンドおよび変動種別コマンドの両方が、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信される。
また、この実施の形態では、S1218〜S1221の処理が実行されることによって、第1始動入賞口13への始動入賞が発生したときに、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、第1始動入賞指定コマンドおよび合算保留記憶数指定コマンドの4つのコマンドのセットが1タイマ割込内に一括して送信される。
次いで、CPU56は、第2始動口スイッチ14aがオン状態であるか否かを確認する(S1222)。第2始動口スイッチ14aがオン状態でなければ、そのまま処理を終了する。第2始動口スイッチ14aがオン状態であれば、CPU56は、第2保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第2保留記憶数をカウントするための第2保留記憶数カウンタの値が4であるか否か)を確認する(S1223)。第2保留記憶数が上限値に達していれば、そのまま処理を終了する。
第2保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第2保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1224)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1225)。また、CPU56は、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、合算保留記憶数カウンタの値に対応した領域に、「第2」を示すデータをセットする(S1226)。
次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファ(図8(B)参照)における保存領域に格納する処理を実行する(S1227)。なお、S1227の処理では、大当り判定用乱数(ランダムR)、大当り種別決定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)、および、変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。
次いで、CPU56は、入賞時演出処理を実行する(S1228)。そして、CPU56は、入賞時演出処理の判定結果に基づいて図柄指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1229)とともに、変動種別コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1230)。また、CPU56は、第2始動入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1231)とともに、合算保留記憶数カウンタの値をEXTデータに設定して合算保留記憶数指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1232)。
S1229,S1230の処理を実行することによって、この実施の形態では、遊技状態(高確率状態、低確率状態、高ベース状態、低ベース状態、大当り遊技状態等の遊技状態)にかかわらず、CPU56は、第2始動入賞口14に始動入賞するごとに、必ず図柄指定コマンドおよび変動種別コマンドの両方を演出制御用マイクロコンピュータ100に対して送信する。
また、この実施の形態では、S1229〜S1232の処理が実行されることによって、第2始動入賞口14への始動入賞が発生したときに、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、第2始動入賞指定コマンドおよび合算保留記憶数指定コマンドの4つのコマンドのセットが1タイマ割込内に一括して送信される。
図12は、S1217,S1228の入賞時演出処理を示すフローチャートである。入賞時演出処理では、CPU56は、まず、S1216,S1227で抽出した大当り判定用乱数(ランダムR)と図5(A)の左欄に示す通常時の大当り判定値とを比較し、それらが一致するか否かを確認する(S220)。この実施の形態では、特別図柄および演出図柄の変動を開始するタイミングで、特別図柄通常処理において大当りとするか否か、および大当り種別を決定したり、変動パターン設定処理において変動パターン(変動パターン種別の決定も含む)を決定したりするのであるが、それとは別に、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に始動入賞したタイミングで、その始動入賞に基づく変動表示が開始される前に、入賞時演出処理を実行することによって、予め大当りとなるか否か、および、大当りの種別、変動パターンを先読み判定する。そのようにすることによって、演出図柄の変動表示が実行されるより前に予め変動表示結果を予測し、後述するように、入賞時の判定結果に基づいて、演出制御用CPU101によって演出図柄の変動表示中に大当りとなること(大当りとなる可能性)を予告する先読み予告等の先読み演出を実行する。
大当り判定用乱数(ランダムR)が通常時の大当り判定値と一致しなければ(S220のN)、CPU56は、遊技状態が確変状態(高確率状態)であることを示す確変フラグがセットされているか否かを確認する(S221)。確変フラグがセットされていれば、CPU56は、S1216,S1227で抽出した大当り判定用乱数(ランダムR)と図5(A)の右欄に示す確変時の大当り判定値とを比較し、それらが一致するか否かを確認する(S222)。
大当り判定用乱数(ランダムR)が確変時の大当り判定値とも一致しなければ(S222のN)、CPU56は、「はずれ」となることを示すEXTデータを図柄指定コマンドに設定する処理を行なう(S223)。これにより、「はずれ」となることを示す図柄指定コマンドが始動入賞時に出力されることとなる。
S220またはS222で大当り判定用乱数(ランダムR)が大当り判定値と一致した場合には、CPU56は、S1216,S1227で抽出した大当り種別決定用乱数(ランダム1)に基づいて大当りの種別を判定する(S224)。この場合、CPU56は、第1始動入賞口13への始動入賞があった場合(S1217の入賞時演出処理を実行する場合)には、図5(B)に示す大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)を用いて大当り種別が「通常大当り」、「確変大当り」、または、「突確大当り」のいずれとなるかを判定する。また、第2始動入賞口14への始動入賞があった場合(S1228の入賞時演出処理を実行する場合)には、図5(C)に示す大当り種別判定テーブル(第2特別図柄用)を用いて大当り種別が「通常大当り」、または、「確変大当り」のいずれとなるかを判定する。
次に、CPU56は、大当り種別の判定結果に応じたEXTデータを図柄指定コマンドに設定する処理を行なう(S225)。たとえば、「通常大当り」となると判定した場合に、CPU56は、「通常大当り」となることを示すEXTデータを図柄指定コマンドに設定する処理を行なう。また、「確変大当り」となると判定した場合に、CPU56は、「確変大当り」となることを示すEXTデータを図柄指定コマンドに設定する処理を行なう。また、「突確大当り」となると判定した場合に、CPU56は、「突確大当り」となることを示すEXTデータを図柄指定コマンドに設定する処理を行なう。これにより、大当りとなるときは、始動入賞時に、「通常大当り」、「確変大当り」、または、「突確大当り」となることを示す図柄指定コマンドが出力されることとなる。
次に、CPU56は、S1216,S1227で抽出した変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を用いて、S223、S225で設定された各表示結果、および、遊技状態に応じた変動パターンを判定する(S226)。たとえば、この実施形態では、大当りとなるか否か、および、時短状態であるか否かに応じて、変動パターン種別を決定するために用いるテーブルが異なっているので、S226では、変動パターンの判定対象となる保留記憶データについて、時短フラグ(時短状態に制御されるときにセットされるフラグ)のような遊技状態を示すデータに基づいて、当該保留記憶データに基づく変動表示が実行されるときの遊技状態を認識し、当該保留記憶データに基づく変動表示の表示結果等に基づいて、前記した変動パターンの決定に用いるテーブルを選択し、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を用いて変動パターンを判定する。
そして、CPU56は、決定結果に応じたEXTデータを変動種別コマンドに設定する処理を行なう(S227)。これにより、始動入賞時には、変動種別を示す変動種別コマンドが出力されることとなる。
なお、大当りの判定対象となる保留記憶データについて、確変回数カウンタ、および、時短回数カウンタのような遊技状態を示すデータに基づいて、当該保留記憶データに基づく変動表示が実行されるときの遊技状態を認識して、当該保留記憶データに基づく変動表示の表示結果等に基づいて、前記した変動パターンの決定に用いるテーブルを選択し、大当り種別判定用乱数(ランダムR)を用いて大当り判定をするようにしてもよい。
また、変動パターンの判定対象となる保留記憶データについて、時短回数カウンタのような遊技状態を示すデータに基づいて、当該保留記憶データに基づく変動表示が実行されるときの遊技状態を認識して、当該保留記憶データに基づく変動表示の表示結果等に基づいて、前記した変動パターンの決定に用いるテーブルを選択し、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を用いて変動パターン種別を判定するようにしてもよい。
図13は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(S300)を示すフローチャートである。特別図柄通常処理において、CPU56は、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに保留記憶データがあるかどうかを確認する(S51)。第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファのどちらにも保留記憶データがない場合には、処理を終了する。
第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに保留記憶データがあるときには、CPU56は、保留特定領域(図8(A)参照)に設定されているデータのうち1番目のデータが「第1」を示すデータであるか否か確認する(S52)。保留特定領域に設定されている1番目のデータが「第1」を示すデータでない(すなわち、「第2」を示すデータである)場合(S52のN)、CPU56は、特別図柄ポインタ(第1特別図柄について特別図柄プロセス処理を行なっているのか第2特別図柄について特別図柄プロセス処理を行なっているのかを示すフラグ)に「第2」を示すデータを設定する(S54)。保留特定領域に設定されている1番目のデータが「第1」を示すデータである場合(S52のY)、CPU103は、特別図柄ポインタに「第1」を示すデータを設定する(S53)。
この実施の形態では、以下、特別図柄ポインタに「第1」を示すデータが設定されたか「第2」を示すデータが設定されたかに応じて、第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示とを、共通の処理ルーチンを用いて実行する。特別図柄ポインタに「第1」を示すデータが設定されたときには、第1保留記憶バッファに記憶された保留記憶データに基づいて、第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示が行なわれる。一方、特別図柄ポインタに「第2」を示すデータが設定されたときには、第2保留記憶バッファに記憶された保留記憶データに基づいて、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示が行なわれる。
S52〜S54の処理が実行されることによって、この実施の形態では、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とに遊技球が入賞した始動入賞順にしたがって、第1特別図柄の変動表示または第2特別図柄の変動表示が実行される。
次いで、CPU56は、RAM55において、特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の保留記憶バッファに格納する(S55)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1保留記憶バッファにおける第1保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の保留記憶バッファに格納する。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合には、第2保留記憶バッファにおける第2保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の保留記憶バッファに格納する。
そして、CPU56は、特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数カウンタの値から「1」を減算し、かつ、各保存領域の内容をシフトする(S56)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1保留記憶数カウンタの値から「1」を減算し、かつ、第1保留記憶バッファにおける各保存領域の内容をシフトする。また、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合に、第2保留記憶数カウンタの値から「1」を減算し、かつ、第2保留記憶バッファにおける各保存領域の内容をシフトする。
すなわち、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合に、RAM55の第1保留記憶バッファにおいて第1保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、第1保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。また、特別図柄ポインタが「第2」を示す場合に、RAM55の第2保留記憶バッファにおいて第2保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、第2保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。また、CPU56は、保留特定領域において合算保留記憶数=m(m=2〜8)に対応する保存領域に格納されている値(「第1」または「第2」を示す値)を、合算保留記憶数=m−1に対応する保存領域に格納する。
よって、各第1保留記憶数(または、各第2保留記憶数)に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は、常に、第1保留記憶数(または、第2保留記憶数)=1,2,3,4の順番と一致するようになっている。また、各合算保留記憶数に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各値が抽出された順番は、常に、合算保留記憶数=1〜8の順番と一致するようになっている。
RAM55に形成され合算保留記憶数を計数する合計保留記憶数カウンタの値から「1」を減算する(S57)。なお、CPU56は、カウント値から「1」が減算される前の合算保留記憶数カウンタの値をRAM55の所定の領域に保存する。
特別図柄通常処理では、最初に、第1始動入賞口13を対象として処理を実行することを示す「第1」を示すデータすなわち第1特別図柄を対象として処理を実行することを示す「第1」を示すデータ、または第2始動入賞口14を対象として処理を実行することを示す「第2」を示すデータすなわち第2特別図柄を対象として処理を実行することを示す「第2」を示すデータが、特別図柄ポインタに設定される。そして、特別図柄プロセス処理における以降の処理では、特別図柄ポインタに設定されているデータに応じた処理が実行される。よって、S300〜S307の処理を、第1特別図柄を対象とする場合と第2特別図柄を対象とする場合とで共通化することができる。
次いで、CPU56は、保留記憶バッファからランダムR(大当り判定用乱数)を読出し、大当り判定モジュールを実行する(S60)。なお、この場合、CPU56は、始動口スイッチ通過処理のS1216や始動口スイッチ通過処理のS1227で抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファに予め格納した大当り判定用乱数を読出し、大当り判定を行なう。大当り判定モジュールは、予め決められている大当り判定値(図5参照)と大当り判定用乱数とを比較し、それらが一致したら大当りとすることに決定する処理を実行するプログラムである。すなわち、大当り判定の処理を実行するプログラムである。
大当り判定の処理では、遊技状態が確変状態(高確率状態)の場合は、遊技状態が非確変状態(通常遊技状態)の場合よりも、大当りとなる確率が高くなるように構成されている。具体的には、予め大当り判定値の数が多く設定されている確変時大当り判定テーブル(ROM54における図5(A)の右側の数値が設定されているテーブル)と、大当り判定値の数が確変時大当り判定テーブルよりも少なく設定されている通常時大当り判定テーブル(ROM54における図5(A)の左側の数値が設定されているテーブル)とが設けられている。そして、CPU56は、遊技状態が確変状態であるか否かを確認し、遊技状態が確変状態であるときは、確変時大当り判定テーブルを使用して大当り判定の処理を行ない、遊技状態が通常遊態や時短状態であるときは、通常時大当り判定テーブルを使用して大当り判定の処理を行なう。すなわち、CPU56は、大当り判定用乱数(ランダムR)の値が図5(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りとすることに決定する。大当りとすることに決定した場合には(S60のY)、S71に移行する。なお、大当りとするか否か決定するということは、大当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、特別図柄表示器における停止図柄を大当り図柄とするか否か決定するということでもある。
なお、現在の遊技状態が確変状態であるか否かの確認は、確変フラグがセットされているか否かにより行なわれる。確変フラグは、遊技状態を確変状態に移行するときにセットされ、確変状態を終了するときにリセットされる。具体的に、確変フラグは、確変大当りまたは突確大当りとなったときに、大当り終了処理(図11のS307)においてセットされ、その後、次回の大当りが決定されたという条件が成立したときに、特別図柄の変動表示を終了して停止図柄を停止表示するタイミングでリセットされる。
大当り判定用乱数(ランダムR)の値がいずれの大当り判定値にも一致しなければ(S60のN)、後述するS75に進む。
S60において大当り判定用乱数(ランダムR)の値がいずれかの大当り判定値に一致すればCPU56は、大当りであることを示す大当りフラグをセットする(S71)。なお、大当りフラグは、大当り遊技が終了するときにリセットされる。そして、大当り種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定用テーブルおよび図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定用テーブルのうち、いずれかのテーブルを選択する(S72)。具体的に、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、図5(B)に示す第1特別図柄大当り種別判定用テーブルを選択する。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合において、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定用テーブルを選択する。
次いで、CPU56は、始動口スイッチ通過処理で抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファに予め格納した大当り種別判定用乱数を読出し、S72で選択した大当り種別判定テーブルを用いて、保留記憶バッファに格納された大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した大当り種別および大当り図柄を決定する(S73)。
図5(B),(C)に示すように、第1特別図柄および第2特別図柄については、大当り種別ごとに大当り図柄が異なるように大当り種別と大当り図柄との関係が設定されており、大当り種別と大当り図柄とが同時に決定されるので、大当り図柄と、大当り種別に応じた遊技制御との対応関係が単純化するため、遊技制御の複雑化を防ぐことができる。
また、CPU56は、決定した大当りの種別を示す大当り種別データをRAM55における大当り種別バッファに設定する(S74)。たとえば、大当り種別が「通常大当り」の場合には、大当り種別データとして「01」が設定される。大当り種別が「確変大当り」の場合には、大当り種別データとして「02」が設定される。大当り種別が「突確大当り」の場合には、大当り種別データとして「03」が設定される。
次いで、CPU56は、特別図柄の停止図柄を設定する(S75)。具体的には、大当りフラグがセットされていない場合には、はずれ図柄となる「−」を特別図柄の停止図柄として設定する。大当りフラグがセットされている場合には、大当り種別の決定結果に応じて、S73により決定された大当り図柄を特別図柄の停止図柄に設定する。すなわち、大当り種別が「確変大当り」に決定されたときには「7」を特別図柄の停止図柄に設定する。大当り種別が「通常大当り」に決定した場合には「3」を特別図柄の停止図柄に決定する。大当り種別が「突確大当り」に決定した場合には「5」を特別図柄の停止図柄に決定する。
そして、特別図柄プロセスフラグの値を変動パターン設定処理(S301)に対応した値に更新する(S76)。
次に、演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100の動作を説明する。
図14は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行する演出制御メイン処理を示すフローチャートである。
演出制御用CPU101は、電源が投入されると、演出制御メイン処理の実行を開始する。演出制御メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(たとえば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行なうための初期化処理を行なう(S701)。その後、演出制御用CPU101は、タイマ割込フラグの監視(S702)を行なうループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。演出制御メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(S703)、以下の演出制御処理を実行する。
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行なう(コマンド解析処理:S704)。たとえば、コマンド解析処理においては、変動パターンコマンドが受信されたときに、RAM103に形成された変動パターンコマンド格納領域に当該コマンドデータが格納される。また、コマンド解析処理においては、表示結果指定コマンドが受信されたときに、RAM103に形成された表示結果指定コマンド格納領域に当該コマンドデータが格納される。また、その他、各種の演出制御コマンドが受信されたときに、当該コマンドを受信したことを示すフラグがセットされる。次いで、演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行なう(S705)。演出制御プロセス処理では、S704で解析した演出制御コマンドの内容にしたがって演出表示装置9での演出図柄の変動表示等の各種演出を行なうために、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出制御を実行する。
次いで、演出図柄の大当り図柄決定用乱数および各種演出内容の選択決定用乱数等の各種乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する乱数更新処理を実行する(S706)。また、演出表示装置9での保留記憶表示の表示状態の制御を行なう保留記憶表示制御処理を実行する(S707)。その後、S702に移行する。
このような演出制御メイン処理が実行されることにより、演出制御用マイクロコンピュータ100では、遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信され、受信した演出制御コマンドに応じて、演出表示装置9、各種ランプ、および、スピーカ27等の演出装置を制御することにより、遊技状態に応じた各種の演出制御が行なわれる。
たとえば、演出制御用マイクロコンピュータ100においては、受信した変動パターンコマンドを受信したときに、演出図柄の変動表示を開始させ、図柄確定指定コマンドを受信したときに、演出図柄の変動表示を停止させる。変動パターンコマンドは、変動時間の長さ、リーチ演出の有無、リーチ演出を実行するときのリーチ種別(ノーマルリーチ、スーパーリーチ等の種別)、および、変動表示結果(大当り、はずれ、大当りの種別)等の変動表示態様を指定するために必要な情報が特定なデータよりなるコマンドである。変動表示は、各変動パターンコマンドに対応する変動時間で実行されるように制御される。また、演出図柄の停止図柄は、表示結果指定コマンドに基づいて、はずれとなるか、大当りとなるかの判別、および、大当りとなるときの大当り種別の判別を行なうことに基づいて決定する。
図15は、演出制御用マイクロコンピュータ100で用いる乱数を示す図である。SR1−1〜SR1−3は、演出図柄の変動表示結果である停止図柄として、演出表示装置9の表示領域における「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアに停止表示される演出図柄(最終停止図柄)を決定するために用いられる乱数である。なお、最終停止図柄は、演出図柄の変動表示が終了する時点で「左」、「中」、「右」の図柄表示エリアそれぞれにおいて最終的に停止表示される3つの演出図柄のことである。なお、演出図柄の大当り図柄の組合せは、SR1−1〜SR1−3のうちのいずれか1個の乱数によって決定される。演出決定用乱数SR2は、後述する貯留放出演出を含む先読み演出等の演出の演出内容を決定するために用いられる乱数である。
SR1−1〜SR2のそれぞれはS706の乱数更新処理において予め定められたタイミングで、図中に示された計数範囲内において繰返し加算更新される。たとえば、SR1−1,SR3が33msecごと、SR1−2がSR1−1の桁上げごと、SR1−3がSR1−2の桁上げごとに、それぞれ加算更新され、0から所定の上限値まで更新された後再度0から更新される。
次に、演出制御用マイクロコンピュータ100により実行される先読み演出について説明する。先読み演出は、未だ変動表示が実行されていない保留記憶情報を先読みすることにより、将来的に保留記憶情報に基づいて実行される変動表示の表示結果および変動パターン等の所定の情報を先読み情報として取得し、取得した先読み情報に基づいて、その保留記憶情報に基づく変動表示が実行される前のタイミングで、大当り予告等の表示結果の予告、および、リーチ予告等の変動パターンの予告等の演出(先読み演出)を実行することをいう。
この実施の形態では、先読み演出である貯留放出演出の貯留演出として、先読み情報に基づいて、先読み演出のターゲット(先読み判定をした保留記憶情報であり、先読み演出対象である)となる保留記憶情報が保留記憶表示として表示された時点から、入賞球貯留弁64を閉鎖状態として第1通路61に遊技球を貯留可能な状態とし、視認可能な透明の第1通路61内に第2始動入賞口14に入賞した遊技球が貯留される状況を遊技者に見せる演出が実行される。そして、その貯留放出演出の放出演出では、ターゲットとなる保留記憶情報に基づく変動表示が実行されるときに、入賞球貯留弁64を開放状態として、第1通路61内に貯留された遊技球を放出する演出が実行される。このように、この実施の形態では、貯留放出演出として、第1通路61に遊技球が貯留される状態を遊技者に見せる演出である貯留演出、および、貯留した遊技球を放出する状態を遊技者に見せる演出である放出演出が実行される。このような貯留放出演出は、後述するように、先読み演出のターゲットとなる保留記憶情報に基づく変動表示が大当り表示結果となるという先読み情報が得られたときに、変動表示がはずれ表示結果となるという先読み情報が得られたときよりも高い割合で実行されることにより、大当りとなることを先読み予告する先読み大当り予告演出として用いられる。
次に、貯留放出演出の決定に用いられる貯留放出演出決定テーブルについて説明する。図16は、貯留放出演出決定テーブルを表形式で示す図である。図16(A)には、先読み判定情報に基づいて大当り表示結果となる保留記憶情報があるときに、当該保留記憶情報を先読み演出のターゲットとして貯留放出演出を実行するか否か(実行有無)を決定するために用いられる大当り時貯留放出演出決定テーブルが示されている。図16(B)には、先読み判定情報に基づいてはずれ表示結果となる保留記憶情報があるときに、当該保留記憶情報を先読み演出のターゲットとして貯留放出演出を実行するか否か(実行有無)を決定するために用いられるはずれ時貯留放出演出決定テーブルが示されている。これら貯留放出演出決定テーブルは、いずれもROM102に記憶されている。
図16(A),(B)のぞれぞれのテーブルにおいては、実行する(貯留放出演出を実行する)と、実行しない(貯留放出演出を実行しない)とのそれぞれに、貯留放出演出決定用のSR2(1〜99の数値範囲)の合計99個の値が割振られている。SR2の割振りについては、説明を明確化するために、SR2の割振られた個数が各テーブルに示されている。
図16(A)の大当り時貯留放出演出決定テーブルでは、「実行する>実行しない」という割合の関係で、データが設定されている。図16(B)のはずれ時貯留放出演出決定テーブルでは、「実行する<実行しない」という割合の関係で、データが設定されている。これにより、大当り表示結果となる先読み判定がされた保留記憶情報については、はずれ表示結果となる先読み判定がされた保留記憶情報と比べて、大当り時貯留放出演出を実行する割合が高い。したがって、貯留放出演出が実行されたときには、貯留放出演出が実行されないときよりも、大当り表示結果となる期待度が高くなる。
図17は、演出制御基板80側のデータ保持エリアおよび始動入賞時受信コマンドバッファを示す説明図である。
図4に示す演出制御基板80に搭載されたRAM103には、演出動作を制御するために用いられる各種データを保持する領域として、たとえば図17(A)に示すような演出制御用データ保持エリア190が設けられている。図17(A)に示す演出制御用データ保持エリア190は、演出制御フラグ設定部191と、演出制御タイマ設定部192と、演出制御カウンタ設定部193と、演出制御バッファ設定部194とを備えている。
演出制御フラグ設定部191には、たとえば演出表示装置9の画面上における演出画像の表示状態等というような演出動作状態や主基板31から伝送された演出制御コマンド等に応じて状態を更新可能な複数種類のフラグが設けられている。たとえば、演出制御フラグ設定部191には、複数種類のフラグそれぞれについて、フラグの値を示すデータや、オン状態あるいはオフ状態を示すデータが記憶される。
演出制御タイマ設定部192には、たとえば演出表示装置9の画面上における演出画像の表示動作等というような各種演出動作の進行を制御するために用いられる複数種類のタイマが設けられている。たとえば、演出制御タイマ設定部192には、複数種類のタイマそれぞれにおけるタイマ値を示すデータが記憶される。
演出制御カウンタ設定部193には、各種演出動作の進行を制御するために用いられる複数種類のカウンタが設けられている。たとえば、演出制御カウンタ設定部193には、複数種類のカウンタそれぞれにおけるカウント値を示すデータが記憶される。
演出制御バッファ設定部194には、各種演出動作の進行を制御するために用いられるデータを一時的に記憶する各種のバッファが設けられている。たとえば、演出制御バッファ設定部194には、複数種類のバッファのそれぞれにおけるバッファ値を示すデータが記憶される。
この実施の形態では、図17(B)に示すような、現在の保留記憶情報のそれぞれに対応して、始動入賞時に受信した演出制御コマンドを格納するための始動入賞時受信コマンドバッファを構成するデータが、演出制御バッファ設定部194の所定領域に記憶される。始動入賞時受信コマンドバッファには、合計保留記憶数の最大値(たとえば「8」)に対応した個数分の各種データを格納可能な格納領域(バッファ番号「1」〜「8」のそれぞれに対応した領域)が設けられている。
第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への始動入賞があったときには、始動入賞時において、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、始動入賞指定コマンド(第1または第2始動入賞指定コマンド)、および、合算保留記憶数指定コマンドという4つのコマンドを1セットとした演出制御コマンドが、主基板31から演出制御基板80へと送信される。始動入賞時受信コマンドバッファには、これら図柄指定コマンド、変動種別コマンド、始動入賞指定コマンド、および、合算保留記憶数指定コマンドに加えて、その他の情報を各保留記憶情報に対応付けて格納できるように記憶領域(シフトデータ領域)が確保されている。
演出制御用CPU101は、始動入賞時に受信した順番で、受信した演出制御コマンドを特定するデータを始動入賞時受信コマンドバッファの空き領域における先頭(バッファ番号「1」)から格納していく。始動入賞時受信コマンドバッファの空き領域、すなわち、データが格納されていない領域のデータは、「0000(H)」である。始動入賞時には、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、始動入賞指定コマンド、および、合算保留記憶数指定コマンドの順にコマンド送信が行なわれる。したがって、コマンド受信が正常に行なわれれば、図17(B)に示すように、バッファ番号「1」〜「8」のそれぞれに対応する格納領域に、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、始動入賞指定コマンド、および、合算保留記憶数指定コマンドの順に、演出制御コマンドが格納されていくことになる。図17(B)では、バッファ番号「1」〜「3」に対応する格納領域においてコマンドが格納されている例が示されている。
また、始動入賞時受信コマンドバッファには、バッファ番号「1」〜「8」のそれぞれに対応してその他の情報を格納する格納領域として、バッファ番号「1」〜「8」のそれぞれに格納された保留記憶に関するデータに対応して、次に示すような先読み判定済情報、および、貯留放出演出決定情報のようなその他の各種情報を格納するための記憶領域が設けられている。
図17(B)に示す始動入賞時受信コマンドバッファに格納されているコマンド等のデータは、演出図柄の変動表示を開始するごとに、1つ目の格納領域(バッファ番号「1」に対応した領域)に格納されているものから削除され、以降の記憶内容がシフトされる。たとえば図17(B)に示す格納状態において新たな飾り図柄の変動表示が開始された場合には、バッファ番号「1」に格納されている各データが削除され、バッファ番号「2」に対応した領域において格納されている各データがバッファ番号「1」に対応した領域にシフトされ、バッファ番号「3」に対応した領域において格納されている各データがバッファ番号「2」に対応した領域にシフトされる。
演出制御用マイクロコンピュータ100では、始動入賞時受信コマンドバッファに格納された図柄指定コマンド情報等の所定のデータに基づいて、保留記憶情報が大当り表示結果になるか否かについての先読み判定が行なわれる。先読み判定が行なわれたとき(済んだとき)に、先読み判定済情報が初期状態のデータ「0000(H)」からデータ「0001(H)」にセットされる。各種の情報やフラグがデータ「0000(H)」からデータ「0001(H)」にセットされることをオン状態にセットされるといい、逆にデータ「0001(H)」からデータ「0000(H)」にリセットされることをオフ状態にリセットされるという。このように、先読み判定済情報は、先読み判定がされたか否かを特定可能な情報である。
そして、大当り表示結果になるか、はずれ表示結果になるかについての先読み判定結果に基づき、図16(A),(B)のいずれかの貯留放出演出決定テーブルが選択されて貯留放出演出を実行するか否かが判定され、その判定結果が、貯留放出演出を実行することに決定されたときには、貯留放出演出決定情報のデータが「0000(H)」(オフ状態)からデータ「0001(H)」(オン状態)にセットされる。貯留放出演出決定情報のデータが「0001(H)」にセットされているときには、貯留放出演出が実行される。
なお、図17においては、先読み判定済情報および貯留放出演出決定情報を始動入賞時受信コマンドバッファに格納する例を示した。しかし、これに限らず、始動入賞時受信コマンドバッファとは別に、各始動入賞記憶情報に対応して先読み判定済情報および貯留放出演出決定情報に関するデータを格納する領域を演出制御用データ保持エリア190に設けてもよい。
図18は、図14に示された演出制御メイン処理における演出制御プロセス処理(S705)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、演出制御用CPU101は、S500の処理を行なった後、演出制御プロセスフラグの値に応じてS800〜S807のうちのいずれかの処理を行なう。各処理において、以下のような処理を実行する。演出制御プロセス処理では、演出表示装置9の表示状態が制御され、演出図柄の変動表示が実現されるが、第1特別図柄の変動に同期した演出図柄の変動表示に関する制御も、第2特別図柄の変動に同期した演出図柄の変動表示に関する制御も、一つの演出制御プロセス処理において実行される。
先読み判定処理(S500):先読み判定の処理を行なう。S500の具体的な処理内容については、図19を用いて詳述する。
変動パターンコマンド受信待ち処理(S800):遊技制御用マイクロコンピュータ560から変動パターンコマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理でセットされる変動パターンコマンド受信フラグがセットされているか否か確認する。変動パターンコマンドを受信していれば、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動開始処理(S801)に対応した値に変更する。
演出図柄変動開始処理(S801):演出図柄(飾り図柄)の変動表示が開始されるように制御する。また、演出図柄の停止図柄(表示結果)を演出図柄の停止図柄決定用の乱数に基づいて決定する。受信した変動パターンコマンドに対応して、演出図柄の変動表示時の演出パターンを選択し、実行する変動表示の変動時間を計時する変動表示時間タイマの計時をスタートさせる。そして、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動中処理(S802)に対応した値に更新する。
演出図柄変動中処理(S802):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替えタイミング等を制御するとともに、変動表示時間タイマにより計時される変動時間が終了したか否かを監視する。そして、変動時間が終了したか、または、全図柄停止を指示する演出制御コマンド(図柄確定指定コマンド)を受信したことに基づいて、変動表示を終了させるために、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動停止処理(S803)に対応した値に更新する。
演出図柄変動停止処理(S803):演出図柄(飾り図柄)の変動表示を停止し、変動表示の表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行なう。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(S804)または変動パターンコマンド受信待ち処理(S800)に対応した値に更新する。
大当り表示処理(S804):変動時間の終了後、演出表示装置9に大当りの発生を報知するための大当り表示等の演出としてのファンファーレ演出を行なう制御等の表示制御を行なう。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り遊技中処理(S805)に対応した値に更新する。
ラウンド中処理(S805):ラウンド中の表示制御を行なう。そして、ラウンド終了条件が成立したら、最終ラウンドが終了していなければ、演出制御プロセスフラグの値をラウンド後処理(S806)に対応した値に更新する。最終ラウンドが終了していれば、演出制御プロセスフラグの値を大当り終了処理(S807)に対応した値に更新する。
ラウンド後処理(S806):ラウンド間の表示制御を行なう。そして、ラウンド開始条件が成立したら、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(S805)に対応した値に更新する。
大当り終了演出処理(S807):演出表示装置9において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行なう。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(S800)に対応した値に更新する。
演出制御プロセス処理では、上記した各処理により、演出表示装置9の表示状態が制御され、演出図柄の変動表示が開始され、演出図柄の停止図柄が導出表示される。演出制御用CPU101は、たとえば、受信した変動パターンコマンド、および、表示結果指定コマンドに基づいて、実行される変動表示について、指定された変動パターン、および、表示結果を認識し、次のようにこの演出図柄の停止図柄を決定する。演出図柄変動開始処理(S801)においては、表示結果に応じて、演出図柄の停止図柄決定用の乱数値SR1−1〜SR1−3のうちから各種表示結果を決定するために必要な種類の乱数値を抽出し、これらと、演出図柄を示すデータと数値とが対応付けられている停止図柄決定テーブルとを用いて、演出図柄の停止図柄を決定する。この実施の形態では、演出制御基板80の側において、左演出図柄(左図柄)決定用の乱数値SR1−1、中演出図柄(中図柄)決定用の乱数値SR1−2、右演出図柄(右図柄)決定用の乱数値SR1−3、および、後述する演出決定用の乱数値SR2等のそれぞれを示す数値データがカウント可能に制御される。なお、演出効果を高めるために、これら以外の乱数値が用いられてもよい。
このような乱数値SR1−1〜SR1−3,SR2等のそれぞれは、演出制御用マイクロコンピュータ100においてソフトウェアによりカウント値を更新するランダムカウンタのカウントにより生成されるものであり、それぞれについて設定された所定の数値範囲内でそれぞれ巡回更新され、それぞれについて定められたタイミングで抽出されることにより乱数として用いられる。すなわち、抽出した乱数値と同じ数値に対応する演出図柄の組合せを示すデータを選択することによって停止図柄を決定する。そして、演出制御用CPU101は、演出図柄の変動表示を停止するときに、このように決定された停止図柄で演出図柄を停止させる。演出図柄についても、大当りを想起させるような停止図柄を大当り図柄という。そして、はずれを想起させるような停止図柄をはずれ図柄という。
具体的に、演出図柄の停止図柄は、たとえば、次のように決定する。なお、以下の説明において、リーチ状態となった後にはずれ表示結果となることを「リーチはずれ」といい、リーチ状態とならずにはずれ表示結果となることを「非リーチはずれ」というものとする。
非リーチはずれの図柄の組合せを決定する場合においては、所定のタイミングでSR1−1〜SR1−3のそれぞれから数値データ(乱数)を抽出し、ROM102に記憶されたはずれ図柄決定用データテーブル(乱数値とはずれ図柄になる左,中,右の演出図柄との関係を示すデータテーブル)を用い、抽出した乱数に対応する図柄がそれぞれ左,中,右の演出図柄の変動表示結果となる停止図柄の組合せとして決定される。また、このように非リーチはずれの図柄の組合せを決定する場合において、抽出された乱数に対応する停止図柄が偶然大当り図柄の組合せと一致する場合には、はずれ図柄の組合せとなるように補正(たとえば、右図柄を1図柄ずらす補正)して各停止図柄が決定される。また、抽出された乱数に対応する停止図柄が偶然リーチ図柄となってしまう場合には、非リーチはずれ図柄の組合せとなるように補正(たとえば、右図柄を1図柄ずらす補正)して各停止図柄が決定される。このように決定された非リーチはずれ図柄の組合せが、変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、リーチはずれの図柄の組合せを決定する場合においては、所定のタイミングでSR1−1〜SR1−3のそれぞれから数値データ(乱数)を抽出し、ROM102に記憶されたはずれ図柄決定用データテーブルを用い、SR1−1から抽出された乱数に対応する図柄が、リーチ状態を形成する各演出図柄(左,右演出図柄)の停止図柄として決定され、SR1−2から抽出された乱数に対応する図柄が、最後に停止する演出図柄(中演出図柄)の停止図柄として決定される。このように決定されたリーチはずれ図柄の組合せが、変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、大当りの図柄の組合せを決定する場合においては、大当りの種別に応じて大当り図柄の組合せを決定する。たとえば、確変大当りとなるときには、確変大当りを想起させるような確変大当り図柄の組合せ(たとえば、左,中,右演出図柄が「7,7,7」というようないずれかの奇数図柄が揃った図柄の組合せ)を選択決定する。また、通常大当りとなるときには、通常大当りを想起させるような通常大当り図柄の組合せ(たとえば、左,中,右演出図柄が「2,2,2」というようないずれかの偶数図柄が揃った図柄の組合せ)を選択決定する。また、突確大当りとなるときは、チャンス目図柄の組合せ(たとえば、左,中,右が「1,2,3」というような特定のはずれ図柄の組合せ)を選択決定する。
確変大当りにすることに決定されているときには、ROM102に記憶された確変大当り図柄決定用テーブル(乱数値と確変大当り図柄になる左,中,右の演出図柄との関係を示すデータテーブル)を用いて、左,中,右演出図柄がいずれかの奇数図柄で揃った組合せを選択決定する。確変大当り図柄決定用テーブルは、予め定められた複数種類の奇数図柄のそれぞれに、SR1−1のそれぞれの数値データが対応付けられている。確変大当り図柄の組合せを決定するときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、確変大当り図柄決定用テーブルを用い、抽出した乱数に対応する図柄が、確変大当り図柄の組合せを構成する左,中,右演出図柄の停止図柄の組合せとして決定される。このように決定された確変大当り図柄の組合せが、変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、通常大当りにすることに決定されているときには、ROM102に記憶された通常大当り図柄決定用テーブル(乱数値と通常大当り図柄になる左,中,右の演出図柄との関係を示すデータテーブル)を用いて、左,中,右演出図柄がいずれかの偶数図柄で揃った組合せを選択決定する。通常大当り図柄決定用テーブルは、予め定められた複数種類の偶数図柄のそれぞれに、SR1−1のそれぞれの数値データが対応付けられている。通常大当り図柄の組合せを決定するときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、通常大当り図柄決定用テーブルを用い、抽出した乱数に対応する図柄が、通常大当り図柄の組合せを構成する左,中,右演出図柄の停止図柄の組合せとして決定される。このように決定された通常大当り図柄の組合せが変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、突確大当りにすることに決定されているときには、ROM102に記憶されたチャンス目図柄決定用テーブル(乱数値とチャンス目になる左,中,右の演出図柄との関係を示すデータテーブル)を用いて、チャンス目図柄の組合せを選択決定する。チャンス目図柄決定用テーブルは、複数種類のチャンス目図柄の組合せのそれぞれに、SR1−1のそれぞれの数値データが対応付けられている。チャンス目図柄の組合せを決定するときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、チャンス目図柄決定用テーブルを用い、抽出した乱数に対応する図柄が、チャンス目図柄の組合せを構成する左,中,右演出図柄の停止図柄の組合せとして決定される。このように決定された突確大当り図柄の組合せが変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、変動パターンコマンドにおいてノーマルリーチが指定されたときには、各ノーマルリーチの種類に対応したリーチ演出が行なわれる。さらに、変動パターンコマンドにおいてスーパーリーチが指定されたときには、各スーパーリーチの種類に対応したリーチ演出が行なわれる。
そして、演出制御用マイクロコンピュータ100においては、確変状態指定コマンドに基づいて確変状態であることを認識でき、時短状態指定コマンドに基づいて時短状態であることを認識できるので、演出表示装置9等の演出装置により、確変状態および時短状態に応じて特有の演出を行なうことができる。
たとえば、演出制御用マイクロコンピュータ100においては、遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信されてくる通常状態指定コマンド、時短状態指定コマンド、確変状態指定コマンド等に基づいて、遊技状態がどのような状態にあるかを特定するデータを記憶し、その記憶データに基づいて、遊技状態を常に認識する。そして、このように認識している遊技状態と、遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信されてくる変動パターンコマンドとに基づいて、演出制御用マイクロコンピュータ100は、現在の遊技状態に応じた演出態様で演出図柄の変動表示を実行させることが可能である。
なお、変動パターンコマンドにより、変動パターンに加えて、大当りとするか否か、および、大当りの種別を特定可能とする場合には、変動パターンコマンドにより特定される大当りとするか否かの情報、および、大当りの種別の情報に基づいて、演出図柄の停止図柄の組合せを決定するようにしてもよい。
次に、図18に示される先読み判定処理(S500)の具体的な処理内容を説明する。図19は、先読み判定処理を示すフローチャートである。先読み判定処理においては、演出制御用マイクロコンピュータ100が以下のような処理を実行する。
まず、現在が高ベース状態であるか否かを判定する(S501)。演出制御用マイクロコンピュータ100では、大当り確率状態およびベース状態のような遊技状態を把握しておくために、RAM103において、現在の遊技状態を示す遊技状態データ(大当り確率を示すデータ、ベース状態を示すデータ)を記憶する。遊技状態データは、たとえば、通常状態指定コマンドを受信したときに低確率状態であることを示すデータ、および、低ベース状態であることを示すデータを記憶し、時短状態指定コマンドを受信したときに高ベース状態(時短状態)であることを示すデータを記憶し、確変状態指定コマンドを受信したときに、確変状態(高確率状態)を示すデータを記憶する。S501では、このような遊技状態データを確認することにより、現在が高ベース状態であるか否かを判定する。
S501により高ベース状態ではないと判定されたときは、処理を終了する。これにより、低ベース状態であるときは、貯留放出演出の実行が制限される(実行されない)。次に、貯留放出演出実行フラグがセット状態となっているか否かを判定する(S502)。ここで、貯留放出演出実行フラグは、貯留放出演出が実行されることが決定されたときに、図19のS508によりセットされるフラグである。
S502で貯留放出演出実行フラグがセット状態となっているときには、処理を終了する。これにより、貯留放出演出が既に実行中であるときには、重複して貯留放出演出が実行されないようにすることができる。一方、S502で貯留放出演出実行フラグがセット状態となっていないときには、先読み判定をしていない保留記憶情報があるか否かを、図17に示す始動入賞時受信コマンドバッファの記憶データにおける先読み判定済情報に基づいて判定する(S503)。
S503で先読み判定をしていない保留記憶情報がないときには、処理を終了する。一方、S503で先読み判定をしていない保留記憶情報があるときには、先読み判定をしていない保留記憶情報が大当り表示結果となるものであるか否かを、図17に示す図柄指定コマンド情報に基づいて判定する先読み判定が行なわれる(S504)。
S504の先読み判定で保留記憶情報が大当り表示結果となるものであるときには、図16(A)の大当り時貯留放出演出決定テーブルを用いて貯留放出演出を実行するか否か(実行の有無)を決定し(S505)、S507に進む。具体的に、S505では、演出決定用乱数SR2を抽出し、その抽出値から大当り時貯留放出演出決定テーブルに基づいて貯留放出演出の実行の有無を決定する。一方、S504の先読み判定で保留記憶情報が大当り表示結果とならない(はずれ表示結果となる)ものであるときには、図16(B)の大当り時貯留放出演出決定テーブルを用いて貯留放出演出を実行するか否か(実行の有無)を決定し(S506)、S507に進む。具体的に、S507では、演出決定用乱数SR2を抽出し、その抽出値からはずれ時貯留放出演出決定テーブルに基づいて貯留放出演出の実行の有無を決定する。
S507では、S505またはS506により貯留放出演出を実行することが決定されたか否かを判定する(S507)。S507で貯留放出演出を実行することが決定されなかったときは、S503に戻り、その他に先読み判定がされていない保留記憶情報があれば、前述と同様の処理を繰返す。一方、S507で貯留放出演出を実行することが決定されたときは、演出制御用データ保持エリア190において貯留放出演出実行フラグをセットし(S508)、図17(B)の始動入賞時受信コマンドバッファにおいて、当該保留記憶情報に対応する貯留放出演出決定情報を「0001(H)」として記憶する(S509)。そして、貯留放出演出の実行を開始するために、入賞球貯留弁ソレノイド65に制御信号を送り、入賞球貯留弁64を閉鎖状態に動作させる処理を行ない(S510)、先読み判定処理を終了する。これにより、先読み演出である貯留放出演出の一部として、第1通路61において、第2始動入賞口14を通過した遊技球が貯留される状態を遊技者に見せる貯留演出が行なわれる。
このように、貯留放出演出実行フラグがセットされれば、貯留放出演出の貯留演出が実行されることとなり、第1通路61に遊技球を貯留する演出が開始されることとなる。
図19のS501、S509に示すように、可変入賞球装置15が開放する頻度が高く、第2始動入賞口14に遊技球が入賞する頻度が高い高ベース状態中において特定演出(貯留放出演出)を実行可能であるので、通路および遊技球を用いた演出の演出効果を高めることができる。
なお、図19の先読み判定処理においては、S501において高ベース状態であるか否かを判定して、高ベース状態であるときにのみ先読み演出として貯留放出演出を実行するか否かを決定する例を示したが、これに限らず、S501の処理を実行せずに、低ベース状態においても、先読み演出として貯留放出演出を実行するか否かを決定し、貯留放出演出を実行可能としてもよい。
また、図19の先読み判定処理においては、貯留放出演出の貯留演出での第1通路61における遊技球の貯留開始タイミングについて、新たな保留記憶情報の発生に基づく先読み判定がされて貯留放出演出実行フラグがセットされた直後に開始する例を示した。しかし、これに限らず、貯留演出での第1通路61における遊技球の貯留開始タイミングは、次回に実行される変動表示の開始時のタイミングであってもよく、または、先読み判定に基づいて貯留演出(先読み演出)を実行することが決定された保留記憶情報(ターゲットとなる保留記憶情報)の所定回数前(たとえば、1回前、または、複数回前)の変動表示の開始タイミングであってもよい。
図20は、演出制御プロセス処理における演出図柄変動開始処理(S801)を示すフローチャートである。演出図柄変動開始処理において、演出制御用マイクロコンピュータ100は、次のような処理を行なう。
演出図柄変動開始処理においては、変動表示結果をはずれとすることに決定されているか否か確認する(S601)。はずれとすることに決定されているか否かは、たとえば、表示結果指定コマンド格納領域に表示結果1指定コマンドが格納されているか否かによって判定される。なお、はずれとすることに決定されているか否かは、大当りとするか否かを特定可能な変動パターンコマンドに基づいて、確認するようにしてもよい。はずれとすることに決定されている場合には、変動パターンコマンドとして、非リーチ変動パターンに対応したコマンドを受信したか否か確認する(S602)。非リーチ変動パターンに対応したコマンドを受信したか否かは、たとえば、変動パターンコマンド格納領域に格納されているデータによって判定される。
非リーチ変動パターンに対応したコマンドを受信したと判定した場合、演出制御用CPU101は、予め定められたはずれ図柄決定用データテーブルを用いて、演出図柄のリーチにならないはずれ(非リーチはずれ)の停止図柄を決定し(S604)、S606へ進む。はずれ図柄決定用データテーブルでは、複数種類の演出図柄のそれぞれに、SR1−1〜SR1−3のそれぞれの数値データが対応付けられている。S604の処理では、所定のタイミングでSR1−1〜SR1−3のそれぞれから数値データ(乱数)を抽出し、演出制御用マイクロコンピュータ100のROM102に記憶されたはずれ図柄決定用データテーブルを用い、抽出した数値データに対応する図柄がそれぞれ左,中,右の演出図柄の変動表示結果となる停止図柄の組合せとして決定される。このように非リーチはずれの図柄の組合せを決定する場合において、抽出された乱数に対応する停止図柄が偶然大当り図柄の組合せ(確変大当り図柄の組合せ、突確大当り図柄の組合せと一致する場合には、はずれ図柄の組合せとなるように補正(たとえば、右図柄を1図柄ずらす補正)して各停止図柄が決定される。また、抽出された乱数に対応する停止図柄が偶然リーチ図柄となってしまう場合には、非リーチはずれ図柄の組合せとなるように補正(たとえば、右図柄を1図柄ずらす補正)して各停止図柄が決定される。
S602の処理で非リーチ変動パターンではないと判定した場合(リーチ変動パターンであると判定した場合)に、演出制御用CPU101は、リーチはずれの組合せを構成する演出図柄の停止図柄を決定し(S605)、S606へ進む。S605の処理では、所定のタイミングでSR1−1〜SR1−3のそれぞれから数値データ(乱数)を抽出し、はずれ図柄決定用データテーブルを用い、SR1−1から抽出された乱数に対応する図柄がリーチ状態を形成する左,右の各演出図柄の停止図柄として決定され、SR1−2から抽出されたカウンタの値と合致する乱数に対応する図柄が中図柄の停止図柄として決定される。また、この場合も、偶然大当り図柄の組合せとなってしまうときには、はずれ図柄の組合せとなるように補正(たとえば、中図柄を1図柄ずらす補正)して各停止図柄が決定される。
はずれとすることに決定されていない場合に(S601)、演出制御用CPU101は、大当りの種別に応じて、当り図柄の組合せを構成する演出図柄の停止図柄を決定し(S603)、S606へ進む。
S603では、以下のように、当りの種別に応じて当り図柄の組合せを決定する。演出制御用CPU101は、表示結果2指定コマンド、表示結果3指定コマンド、および、表示結果4指定コマンドのうちのどの表示結果指定コマンドが表示結果指定コマンド格納領域に格納されているかに基づいて、大当りの種別を判定する。
通常大当りにすることに決定されていると判定したときには、通常大当り図柄決定用テーブルを用いて、通常大当り図柄の組合せ(たとえば、左,中,右が「2,2,2」というような偶数のいずれかのゾロ目の組合せ)を選択決定する。通常大当り図柄決定用テーブルは、予め定められた複数種類の通常大当り図柄のそれぞれに、SR1−1のそれぞれの数値データが対応付けられている。確変大当り図柄の組合せを決定するときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、通常大当り図柄決定用テーブルを用い、抽出した乱数に対応する図柄を、通常大当り図柄の組合せを構成する左,中,右の演出図柄の停止図柄の組合せとして決定する。このように決定された図柄が大当り遊技状態に制御される前の変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
確変大当りにすることに決定されていると判定したときには、確変大当り図柄決定用テーブルを用いて、確変大当り図柄の組合せ(たとえば、左,中,右が「7,7,7」というような奇数のいずれかのゾロ目の組合せ)を選択決定する。確変大当り図柄決定用テーブルは、予め定められた複数種類の確変大当り図柄のそれぞれに、SR1−1のそれぞれの数値データが対応付けられている。確変大当り図柄の組合せを決定するときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、確変大当り図柄決定用テーブルを用い、抽出した乱数に対応する図柄を、確変大当り図柄の組合せを構成する左,中,右の演出図柄の停止図柄の組合せとして決定する。このように決定された図柄が大当り遊技状態に制御される前の変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、演出制御用CPU101は、突確大当りにすることに決定されていると判定したときには、突確図柄決定用テーブルを用いて、突確大当り図柄の組合せ(たとえば、左,中,右が「1,3,5」というようなチャンス目の組合せ)を選択決定する。突確図柄決定用テーブルは、複数種類の突確図柄の組合せのそれぞれに、SR1−1のそれぞれの数値データが対応付けられている。突確大当り図柄の組合せを決定するときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、突確図柄決定用テーブルを用い、抽出した乱数に対応する図柄を、突確図柄の組合せを構成する左,中,右の演出図柄の停止図柄の組合せとして決定する。突確大当りとなるときには、一旦リーチ図柄の組合せが表示された後、図柄の差替えが行なわれる場合がある。そのときのリーチ図柄は、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、通常大当り図柄決定用テーブルを用い、抽出した乱数に対応する図柄を、リーチ図柄を構成する左,右の演出図柄の組合せとして決定する。
次に、演出制御用CPU101は、演出パターンを設定するための演出設定処理を実行する(S606)。演出設定処理においては、たとえば、変動パターンに応じて、各種演出を実行するか否か、および、各種演出を実行するときの演出内容が決定される。演出設定処理の内容については、図21を用いて説明する。
次に、演出制御パターンを複数種類の演出制御パターンのうちのいずれかに設定する(S607)。演出制御用CPU101は、変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターン、および、S606の処理で決定した演出パターン等により指定された各種演出制御(演出動作)パターンに応じて、図柄変動制御パターンテーブルに格納されている複数種類の図柄変動制御パターンのうち、指定された各種演出動作パターンに対応するいずれかの演出制御パターンを使用パターンとして選択決定する。
演出制御用マイクロコンピュータ100におけるROMに記憶されている制御パターンテーブルには、たとえば、演出図柄の変動表示が開始されてから最終停止図柄となる確定演出図柄が停止表示されるまでの期間における、演出表示装置9の表示領域における演出図柄の変動表示動作、リーチ演出における演出表示動作、擬似連または滑りの演出による演出表示動作、予告演出における演出表示動作、および、バトル演出における演出表示動作といった各種の演出動作の制御内容を示すデータが、図柄変動制御パターンとして複数種類格納されている。擬似連とは、本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示である擬似連続変動を示す略語である。滑りとは、変動表示において図柄の停止直前に図柄を停止予測位置から滑らせる演出表示をいう。
また、各図柄変動制御パターンは、たとえば、演出制御プロセスタイマ設定値、演出制御プロセスタイマ判定値、演出表示制御データ、音声制御データ、ランプ制御データ、および、終了コードといった、演出図柄の変動表示に応じた各種の演出動作を制御するための制御データを含み、時系列的に、各種の演出制御の内容、および、演出制御の切替えタイミング等が設定されている。なお、図柄変動制御パターンテーブルとしては、演出図柄の演出動作を制御するための制御データよりなる図柄制御パターンテーブルと、演出図柄の演出動作とは別の予告演出の演出動作を制御するための制御データよりなる予告制御パターンテーブルとを設け、これら演出図柄の演出動作を制御するための制御データと、予告演出の演出動作を制御するための制御データとを組合せて用いることにより、1つの図柄変動制御パターンテーブルにより図柄の演出動作と予告の演出動作とを実行する場合と同様の演出動作を実行するように構成してもよい。このような構成は、擬似連または滑りの演出による演出表示動作、および、バトル演出における演出表示動作にも適用してもよい。
次いで、演出制御用CPU101は、S607で選択した演出制御パターンに応じたプロセステーブルを選択する(S608)。そして、選択したプロセステーブルのプロセスデータ1におけるプロセスタイマ(演出設定プロセスタイマ)をスタートさせる(S609)。
演出制御用CPU101は、S609の処理を実行したら、プロセスデータ1の内容(表示制御実行データ1、ランプ制御実行データ1、音番号データ1)にしたがって演出装置(演出用部品としての演出表示装置9、演出用部品としての各種ランプ、および、演出用部品としてのスピーカ27)の制御を開始する(S610)。たとえば、表示制御実行データにしたがって、演出表示装置9において変動パターンに応じた画像(演出図柄を含む。)を表示させるために、VDP109に指令を出力する。また、各種ランプを点灯/消灯制御を行なわせるために、ランプドライバ基板35に対して制御信号(ランプ制御実行データ)を出力する。また、スピーカ27からの音声出力を行なわせるために、音声出力基板70に対して制御信号(音番号データ)を出力する。
そして、変動時間タイマに、変動パターンコマンドで特定される変動時間に相当する値を設定し(S611)、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動中処理(S802)に対応した値にする(S612)。
次に、演出図柄変動開始処理のS606により実行される演出設定処理を説明する。図21は、演出設定処理を示すフローチャートである。図21においては、特定演出としての貯留放出演出のうちの放出演出の設定を行なう処理を代表例として説明し、それ以外の演出の設定に関する処理内容については省略する。
貯留放出演出に関して、今回の変動表示は、貯留放出演出決定情報がセット(「0001(H)」)されているか否かを、図17(B)の始動入賞時受信コマンドバッファのデータに基づいて判定する(S621)。つまり、S621では、今回の変動表示が貯留放出演出のターゲットとなる保留記憶情報に基づくものであるか否かを判定するのである。S621で、今回の変動表示が貯留放出演出決定情報がセットされていないものであるときは、処理を終了する。一方、S621で、今回の変動表示が貯留放出演出決定情報がセットされているものであるときは、入賞球貯留弁ソレノイド65を制御し、変動表示の開始時に入賞球貯留弁64を開放状態に動作させるための設定を行なう(S622)。これにより、変動表示の開始時において、入賞球貯留弁64が開放状態とされ、貯留放出演出の放出演出として、第1通路61に貯留されていた遊技球が放出される状態を遊技者に見せる演出が行なわれることにより、一連の貯留放出演出(先読み演出)が終了することとなる。S622の後、セットされていた貯留放出演出実行フラグをリセットし(S623)、処理を終了する。
先読み判定処理および演出図柄変動開始処理によれば、図19のS509により、先読み判定対象の保留記憶情報に基づいて、特別図柄および演出図柄の変動表示が実行される前に、貯留放出演出の貯留演出として、第2始動入賞口14を通過した遊技球を第1通路61内で貯留し、図21のS622により、貯留放出演出の放出演出として、該保留記憶情報に基づく特別図柄および演出図柄の変動表示が実行される際に、貯留した遊技球を遊技領域外へ放出するので、通路および遊技球を用いた演出により、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、図21の演出設定処理においては、貯留放出演出の放出演出での第1通路61における遊技球の放出動作タイミングについて、放出演出を実行する判定がされたターゲットの保留記憶情報に基づく変動表示の実行開始時(実行開始直後)に、遊技球の放出動作が実行される例を示した。しかし、これに限らず、貯留放出演出の放出演出での第1通路61における遊技球の放出開始タイミングは、次のような(a)〜(f)に示すようなタイミングのうちのいずれかのタイミングであってもよい。
(a) 放出演出での遊技球の放出開始タイミングは、貯留放出演出のターゲットの保留記憶情報に基づく変動表示の実行開始前(当該変動表示の1回前または複数回前等の所定回数前の変動表示の終了時)のタイミングであってもよい。
(b) 放出演出での遊技球の放出開始タイミングは、ターゲットの保留記憶情報に基づく変動表示の開始後における所定時間経過時のタイミングであってもよい。
(c) 放出演出での遊技球の放出開始タイミングは、ターゲットの保留記憶情報に基づく変動表示中におけるリーチ状態の成立時のタイミングであってもよい。
(d) 放出演出での遊技球の放出開始タイミングは、ターゲットの保留記憶情報に基づく変動表示中におけるリーチ状態の演出態様が発展する、所謂、発展リーチ演出が実行されるときのリーチ演出の発展時のタイミングであってもよい。
(e) 放出演出での遊技球の放出開始タイミングは、プッシュボタン120等の操作手段の遊技者による操作が検出されたときのタイミングであってもよい(ターゲットの保留記憶情報に基づく変動表示中であってもよく、当該変動表示中でなくてもよい)。
(f) 放出演出での遊技球の放出開始タイミングは、赤外線センサ等による遊技者の動作が検出されたときのタイミングであってもよい(ターゲットの保留記憶情報に基づく変動表示中であってもよく、当該変動表示中でなくてもよい)。
次に、第1通路61および第2通路62を含む通路構造体のその他の例を説明する。図22は、第1通路61および第2通路62を含む通路構造体のその他の例を示す拡大図である。図22において、図2と共通する部分には同一の参照番号を付し、重複した説明を繰返さない。
図22(A),(B)のそれぞれには、第1通路61および第2通路62を正面視した拡大図が示されている。図22(A)には、第1通路61のみに遊技球が案内される第1状態が示され、図22(B)には、第2通路62のみに遊技球が案内される第2状態が示されている。
図22に示す通路構造体が図2に示すものと異なるのは、可動部材66と、遊技球検出器67とが設けられていることである。可動部材66は、図22(A)に示すような第2通路62を閉鎖した第1状態と、図22(B)に示すような第1通路61を閉鎖した第2状態とのいずれかの状態に切替え制御される通路切替え部材である。
可動部材66は、第1通路61と第2通路62との分岐点近傍に、演出制御用マイクロコンピュータ100により駆動されるモータ(図示省略)の回転に応じて回動される回動中心部が設けられる。当該回動中心部に取付けられた弁状部材(第1通路61または第2通路62を閉鎖する形状の部材)が回動中心部を回動中心として回動することにより、図22(A)のような第2通路62を閉鎖した第1状態と、図22(B)のような第1通路61を閉鎖した第2状態とのいずれかの状態に制御される。可動部材66が第1通路61または第2通路62を閉鎖する部材は、各通路の全部を閉鎖状態にする弁状部材である。
なお、可動部材66が各通路を閉鎖状態にする部材は、各通路において遊技球の通過を阻止できるものであれば、たとえば、各通路の一部を閉鎖状態にするもの(たとえば、棒状の部材が通路内の一部に突出して遊技者の通過を不可能とするようなもの)を用いてもよい。また、可動部材66は、モータに限らず、ソレノイド等のその他の駆動源により駆動されるように構成されてもよい。
図22に示す通路構造体では、第1通路61と第2通路62との分岐点近傍における第1通路61の所定位置(可動部材66の配置位置よりも下側の位置)に、所定個数目(図22(B)の例では3個目)に貯留される遊技球Pを検出するための遊技球検出器67が設けられている。遊技球検出器67は、遊技球が検出されている状態で検出信号のレベルが継続して所定レベル(遊技球を検出したときの信号レベル)となる検出であり、たとえば、光学的検出器よりなる。遊技球検出器67は、電磁式の検出器等のその他の種類の検出器により構成されてもよい。なお、遊技球検出器67が設けられる位置は、第1通路61における第2通路62への分岐点よりも下方の位置である。
図22に示す通路構造体において、特定演出としての貯留放出演出を実行するために、図2に示すような入賞球貯留弁64が閉鎖され、第1通路61に遊技球Pが貯留されていくと、図22(B)のように、所定個数目(この例では3個目)の遊技球Pが遊技球検出器67の検出位置に貯留され、遊技球検出器67から当該遊技球Pの貯留状態を検出した検出信号が出力され、演出制御用マイクロコンピュータ100に入力される。
演出制御用マイクロコンピュータ100では、遊技球検出器67の検出信号が所定期間(貯留されている遊技球であると判定できるたとえば2秒以上の期間等)以上に亘り遊技球を検出したときの検出レベルになったときに、遊技球が所定個数貯留されたと判断して、可動部材66が図22(B)のように第1通路61を閉鎖した状態となるように、モータを駆動制御して、可動部材66を動作させる。これにより、第1通路61に所定個数の遊技球が貯留されると、遊技球の案内先が、第1通路61側から第2通路62側へ切替えられ、第1通路61に球詰りが生じないようにすることができる。
このような構成により、図22に示す通路構造体では、図2に示す通路構造体と同様に、第1通路61における遊技球の貯留状況に応じて、遊技球の案内先が第1通路61側から第2通路62側へ切替えられるので、第1通路61に球詰りが生じず、遊技の中断の発生を抑制することができる。
また、図22に示す通路構造体では、放出演出において入賞球貯留弁64を開放状態とすることにより第1通路61に貯留された遊技球を放出する制御をしたときに、所定時間が経過しても、遊技球検出器67の検出信号に基づいて遊技球が検出されているときは、第1通路61内で球詰りが生じていると判定されるので、演出制御用マイクロコンピュータ100において、遊技球の放出に関する異常状態であると判定し、当該異常状態の発生を報知する異常報知(たとえば、スピーカ27からの異常報知音の出力、および、演出表示装置9等の表示装置での異常報知表示)をする制御を実行すればよい。その場合には、遊技店(遊技場)の店員が異常報知内容を確認して、球詰りを解消する作業を行なうようにすればよい。また、そのような異常状態が判定されたときには、入賞球貯留弁64を複数回開閉制御することにより、球詰りを解消するための制御を行なうようにしてもよい。
また、このような第1通路61に貯留された遊技球を放出できないときの異常判定および異常報知に関する制御は、遊技制御用マイクロコンピュータ560の側で実行するようにしてもよい。その場合においては、遊技球検出器67の検出信号が遊技制御用マイクロコンピュータ560に入力される構成とする必要がある。
なお、この実施の形態では、図16に示すように、保留記憶情報の先読み判定結果として大当り表示結果となるときとはずれ表示結果となるときとの両方について、特定演出としての貯留放出演出を実行可能とする例を示した。しかし、これに限らず、保留記憶情報の先読み判定結果が大当り表示結果となるときにのみ、特定演出としての貯留放出演出を実行可能とするようにしてもよい。また、保留記憶情報の先読み判定結果として大当り表示結果となるときとはずれ表示結果となるときとの両方について、特定演出としての貯留放出演出を実行可能とする場合において、図16では、先読み判定結果として大当り表示結果となるときには、所定の割合で特定演出としての貯留放出演出を実行しない場合もある例を示した。しかし、これに限らず、先読み判定結果として大当り表示結果となるときには、特定演出としての貯留放出演出を必ず実行するようにしてもよい。
なお、大当り遊技状態において遊技球を貯留する期間は、複数ラウンドに亘って実行するようにしてもよい。また、大当り遊技状態において存在する保留記憶情報の先読み判定結果に基づいて、大当り表示結果となる保留記憶情報がないときにも、所定の割合(たとえば、大当り表示結果となる保留記憶情報がある場合よりも低い割合)で大当り遊技状態において前述のような貯留演出を実行するようにしてもよい。このようにすれば、大当り遊技状態において貯留演出が実行される頻度が高くなり、遊技の興趣を向上させることができる。また、大当り遊技状態において大当り表示結果となる保留記憶情報があるときであっても、特定の割合で前述のような貯留演出を実行しないようにしてもよい。このようにすれば、大当り遊技状態において貯留演出が実行されなくても、大当り表示結果となる保留記憶情報が存在し得ることを遊技者が知り得るので、大当り遊技状態において貯留演出が実行されないときの遊技者の落胆を防ぐことができる。
また、この実施の形態では、第1通路61と第2通路62とを含む通路構造体が、特定領域として第2始動入賞口14を通過した遊技球を案内する例を示したが、このような通路構造体としては、特定領域として、特別可変入賞球装置20の大入賞口を通過した遊技球を案内するものであってもよい。また、このような通路構造体としては、特定領域として、第1始動入賞口13を通過した遊技球を案内するものであってもよい。また、このような通路構造体としては、始動入賞口および大入賞口以外の一般入賞口(通常入賞口)が設けられているときには、特定領域として、当該一般入賞口(通常入賞口)を通過した遊技球を案内するものであってもよい。
このように、第1通路61と第2通路62とを含む通路構造体が、特定領域として、大入賞口、第1始動入賞口13、または、一般入賞口のような、第2始動入賞口14以外の入賞口を通過した遊技球を案内する例においても、前述した貯留放出演出のような特定演出を実行するようにしてもよい。
また、第1通路61における遊技球の貯留および放出を行なう貯留放出演出(特定演出)としては、前述した貯留放出演出以外に、実行中の変動表示を対象として、貯留放出演出を実行してもよい。このような実行中の変動表示を対象とした貯留放出演出としては、大当り表示結果となることを予告する大当り予告演出、特定のリーチ状態となることを予告する特定リーチ予告演出、および、擬似連状態となることを予告する擬似連予告演出等のその他の演出を実行するようにしてもよい。
たとえば、大当り予告演出としては、変動表示の開始時から所定時間に亘り第1通路61において遊技球を貯留した後、当該遊技球を放出する制御を行なえばよい。また、特定リーチ予告演出としては、変動表示の開始時からリーチ状態が発生する前までの所定時間に亘り第1通路61において遊技球を貯留した後、当該遊技球を放出する制御を行なえばよい。また、擬似連予告演出としては、変動表示の開始時から最初の仮停止に至るまでの所定時間に亘り第1通路61において遊技球を貯留した後、当該遊技球を放出する制御を行なえばよい。
また、前述したような貯留放出演出を実行するときにおいて、先読み判定時に保留記憶情報として大当り表示結果となる保留記憶情報が2つ等の複数個あるときには、1つ目の大当り表示結果の保留記憶情報の先読み判定に基づいて第1通路61で貯留を開始し、その貯留した遊技球を、当該1つ目の保留記憶情報の変動表示の際時又は大当り中に放出せずに、後に生じた大当り表示結果となる保留記憶情報に基づく変動表示の際に放出する制御を実行するようにしてもよい。このようにすることによって、初回の大当り又は大当り表示結果となる変動表示の際に遊技球が放出されず、遊技球の貯留状態が継続されるため、遊技者に更なる意外性を与えることができ、興趣をさらに向上できる。
また、実第1通路61と第2通路62とを含む通路構造体は、特定領域として第2始動入賞口14、大入賞口、第1始動入賞口13、および、一般入賞口(通常入賞口)のすべてに対応して設けられてもよく、これら特定領域のうちのいずれか2〜3の組合せのそれぞれに対応して設けられてもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態では、第1通路61と第2通路62とを含む通路構造体が、特定領域としての大入賞口を通過した遊技球(アウト球)を案内(誘導)する例を説明する。
第1通路61と第2通路62とを含む通路構造体が、特定領域としての大入賞口を通過した遊技球(アウト球)を案内(誘導)する一例としては、たとえば、図1のパチンコ遊技機1において、可変入賞球装置15と特別可変入賞球装置20との設置位置を入替えたような構成がある。このような構成においては、特定領域として特別可変入賞球装置20における大入賞口を通過した遊技球を第1通路61が案内する。そして、第2通路62が第1通路61に進入した遊技球を、第1通路61の途中部分から第1通路61とは異なる経路で案内する。
このような通路構造体の構成において、第1通路61が大入賞口を通過した遊技球を貯留可能となるのは、大入賞口が開放する大当り遊技状態である。したがって、特定演出は、大当り遊技状態において実行すればよい。たとえば、大当り遊技状態において存在する保留記憶情報の先読み判定結果に基づいて、大当り表示結果となる保留記憶情報があるとき(所謂、保留内連荘状態時)に、貯留放出演出として、第1通路61において遊技球を所定期間に亘り貯留した後、放出する演出を実行するようにしてもよい。一例としては、第1ラウンド等の特定ラウンドで入賞球貯留弁64を閉鎖状態に制御して第1通路61における遊技球の貯留を開始させ、当該特定ラウンドの次ラウンド(たとえば、第2ラウンド)の開始時において、入賞球貯留弁64を開放状態に制御して遊技球を放出する制御を行なえばよい。
なお、大当り遊技状態において遊技球を貯留する期間は、複数ラウンドに亘って実行するようにしてもよい。また、大当り遊技状態において存在する保留記憶情報の先読み判定結果に基づいて、大当り表示結果となる保留記憶情報がないときにも、所定の割合(たとえば、大当り表示結果となる保留記憶情報がある場合よりも低い割合)で大当り遊技状態において前述のような貯留放出演出を実行するようにしてもよい。このようにすれば、大当り遊技状態において貯留放出演出が実行される頻度が高くなり、遊技の興趣を向上させることができる。また、大当り遊技状態において大当り表示結果となる保留記憶情報があるときであっても、特定の割合で前述のような貯留放出演出を実行しないようにしてもよい。このようにすれば、大当り遊技状態において貯留放出演出が実行されなくても、大当り表示結果となる保留記憶情報が存在することを遊技者が知り得るので、大当り遊技状態において貯留放出演出が実行されないときの遊技者の落胆を防ぐことができる。
また、大当り遊技状態において大当り表示結果となる保留記憶情報があるか否かに関わらず第1ラウンド等の特定ラウンドで入賞球貯留弁64を閉鎖状態に制御して第1通路61における遊技球の貯留を開始させ、大当り表示結果となる保留記憶情報があるときには、当該特定ラウンドの次ラウンド(たとえば、第2ラウンド)の開始時において、入賞球貯留弁64を開放状態に制御して遊技球を放出するが、大当り表示結果となる保留記憶情報がないときには、当該特定ラウンドの次ラウンド以外のラウンド(たとえば、第1ラウンドでもよく、第3ラウンド以降のラウンドでもよい)で遊技球を放出する制御を行なうようにしてもよい。
また、大当り遊技状態において実行する特定演出としての貯留放出演出としては、前述のような先読みによる演出以外に、次のような演出を実行するようにしてもよい。たとえば、8ラウンドで終了する大当りと、15ラウンドで終了する大当りとが選択可能な場合において、予め報知した大当りラウンド数(たとえば、8ラウンド)よりも多い大当りラウンド数(たとえば、15ラウンド)の大当り遊技状態となることを報知するラウンド昇格演出(あたかもラウンド数が少ない大当り種類からラウンド数が多い大当り種類に昇格することを示すような演出)を、特定演出として実行してもよい。具体的には、パチンコ遊技機1の内部制御では、15ラウンドの大当りとすることが決定されている状態において、大当り遊技状態の開始時においてラウンド数が8ラウンドであることを報知するが、第1〜第7ラウンドにおいて遊技球を第1通路61に貯留させた後(貯留演出)、第7ラウンドの終了時において、第1通路61から遊技球を放出する制御(放出演出)を行なうことにより第8〜第15ラウンドまでラウンドが継続することを報知する制御を行なえばよい。
また、大当り遊技状態において実行する特定演出としては、たとえば、パチンコ遊技機1の内部制御では、確変大当りとすることが決定されている場合において、通常大当り(非確変大当り)の大当り遊技状態となることを予め報知した後(当該報知はせずに、通常大当りと確変大当りとのどちらになるかが不明な状態としてもよい。)、大当り遊技状態における所定のタイミング(所定ラウンド、最終ラウンド等のタイミング)で確変大当りの大当り遊技状態となることを報知する確変昇格演出(あたかも非確変大当りの種類から確変大当りの種類に昇格することを示すような演出)を、特定演出として実行してもよい。具体的には、大当り遊技状態の開始時において通常大当りであることを報知するが、第8〜第15ラウンドにおいて遊技球を第1通路61に貯留させた後、第15ラウンドの終了時において、第1通路61から遊技球を放出する制御を行なうことにより確変大当りであることを報知する制御を行なえばよい。
第2実施形態に示すように、第1通路61が、特別可変入賞球装置20の大入賞口に対応して設けられ、大当り遊技状態のように特別可変入賞球装置20の大入賞口が開状態のときに、大入賞口を通過した遊技球を案内するので、特別可変入賞球装置20に関する遊技球に起因する遊技の中断(たとえば、球詰りの発生による遊技の中断)の発生を抑制することができる。
また、第2実施形態に示すように、特別可変入賞球装置20の大入賞口を通過した遊技球を第1通路61で貯留し、貯留した遊技球を放出する特定演出(貯留放出演出)を実行可能であるので、通路および遊技球を用いた演出により、遊技の興趣を向上させることができる。
このような構成の第2実施形態の通路構造体においても、前述した第1実施形態の通路構造体について説明した各種の変形例を同様に適用することが可能である。
なお、前述した第1実施形態および第2実施形態では、以下に列挙するような変形例を適用してもよい。
(1) 前述した実施の形態では、第1通路61が視認可能であり第2通路62が視認不可能な構成例を示した。しかし、これに限らず、第1通路61および第2通路62の両方の通路が視認可能な態様で設けられてもよい。このような構成では、第2通路62にも入賞球貯留弁64を設け、第1通路61および第2通路62の両方の通路において、遊技球を貯留した後放出する特定演出を実行するようにしてもよい。
(2) また、第2通路62が視認可能であり、第1通路61が視認不可能な態様で設けられてもよい。このような構成では、第2通路62にも入賞球貯留弁64を設け、第2通路62において、遊技球を貯留した後放出する特定演出を実行するようにしてもよい。
(3) また、第1通路61および第2通路62の両方の通路が視認不可能な態様で設けられてもよい。
(4) 前述した実施の形態では、第1通路61が遊技領域7に露出するように、遊技盤6に直接取付けられている例を示したが、これに限らず、第1通路61が、遊技盤6とは別に設けられた遊技盤以外の構造物(たとえば、遊技盤6とは別の機構板等の構造物)に設けられてもよい。
(5) 前述した実施の形態では、第2通路62が、第1通路61に接続され(分岐し)、その接続部分(分岐部分)から遊技球を受入れる構成例を示したが、これに限らず、第2通路62が第1通路61に接続(分岐)されておらず、たとえば、第1通路61に形成された穴部から落下する遊技球を第2通路62が受入れ可能な構成としてもよい。この場合には、第1通路61と第2通路とは、別体で設けられることとなる。
(6) 前述した実施の形態では、第1通路61が、視認可能な部分において、遊技球が鉛直方向に落下する態様で遊技球を案内する例を示した。しかし、これに限らず、第1通路61は、所定角度で傾斜するように構成され、遊技球を斜め下方に向けて転動させる態様で遊技球を案内するようにしてもよい。
(7) 前述した実施の形態では、第2通路62が第1通路61において1つの位置に接続される(分岐する)例を示した。しかし、これに限らず、第2通路62は、第1通路61において上下方向に離れた2つの位置に接続される(分岐する)複数の通路からなるように構成されてもよい。この場合には、第1通路に所定個数の遊技球が貯留された後に、下側の第2通路から先に遊技球が案内され、下側の第2通路の第2通路で球詰りが生じたときに、上側の第2通路から遊技球が案内されるようにすればよい。このようにすれば、下側の第2通路で球詰りが生じても、上側の第2通路で遊技球を案内可能となるので、通路構造体において球詰りによる遊技の中断を、より確実に防ぐことができる。
(8) 前述した実施の形態では、第1通路61が常に視認可能である例を示した。しかし、これに限らず、第1通路61は、特定演出(貯留放出演出等)が実行されないときは視認不可能であり、特定演出(貯留放出演出等)が実行されるときに視認可能となるように構成してもよい。たとえば、第1通路61の前方を開閉するシャッタ部材と、そのシャッタ部材を駆動する駆動部を設け、演出制御用マイクロコンピュータ100により、特定演出(貯留放出演出等)が実行されない状態ではシャッタを閉鎖状態として第1通路61を視認不可能な状態とし、特定演出(貯留放出演出等)が実行される状態ではシャッタを開放状態として第1通路61を視認可能な状態とする制御を実行するようにしてもよい。
(9) 前述した実施の形態では、特定演出として第1通路61のような視認可能な通路に遊技球を貯留した後、所定期間後に放出する演出を実行する例を示した。しかし、これに限らず、入賞球貯留弁64は設けず、前述の第1通路61のような視認可能な通路を遊技球が案内される状態を見せるが、前述のような通路に遊技球を貯留した後に放出する演出を実行しないようにしてもよい。
(10) 前述した実施の形態では、特別可変入賞球装置20が遊技領域7の右側領域に設けられた例を示したが、これに限らず、特別可変入賞球装置20が、遊技領域7の中央領域(可変入賞球装置15の下方)に設けられるようにしてもよい。その場合には、可変入賞球装置15と特別可変入賞球装置20との間の領域において、第1通路61および第2通路62が設けられるようにすればよい。また、可変入賞球装置15(第2始動入賞口14)が遊技領域7の右側領域または左側領域に設けられ、その可変入賞球装置15(第2始動入賞口14)の下方に第1通路61および第2通路62が設けられるようにしてもよい。
(11) 視認可能に設けられた第1通路61は、遊技領域7の領域面から前方に所定高さだけ突出することで、より一層、視認容易なように構成されてよい。このような構成とするときには、たとえば、第1通路を遊技領域7を斜め下方に横切るような態様で傾斜した形状の第1通路を形成し、当該第1通路内で遊技球が案内される演出態様を遊技者が容易に視認可能となるような構成を採用してもよい。
(12) また、遊技領域7において大入賞口を複数設け、大当りの種類(たとえば、ラウンド数の多さ)に応じて、使用する大入賞口を選択する制御を遊技制御用マイクロコンピュータ560により実行し、これら複数の大入賞口のうち、一部(たとえば、最も遊技者にとって有利な大当り種類のときに選択される大入賞口)の大入賞口から第1通路61および第2通路62に遊技球が流入するような構成を採用してもよい。このようにすれば、より多くの遊技球が第1通路61により案内される態様を遊技者に見せることが可能となる。なお、これら複数の大入賞口のそれぞれに対応して、第1通路61および第2通路62を設けるようにしてもよい。
(13) また、アウト口26とは別に遊技領域7において遊技球を遊技領域7外に案内する遊技球受入口を特定領域として遊技領域7に設け(たとえば、演出表示装置9の上方等のように、アウト口26よりも上方に設ける)、当該遊技球受入口に進入した遊技球を第1通路61および第2通路62に案内するような構成を設けてもよい。この場合においては、第1通路61または第2通路62に進入した遊技球を、非入賞球として遊技球の排出通路に誘導する構成としてもよい。また、遊技球受入口が遊技領域7の比較的上方に設けられた場合には、第1通路61または第2通路62に進入した遊技球を、再度遊技領域7に放出する構成としてもよい。このような遊技球受入口は、所定の演出モードにおいて、遊技球が通過すると、所定の演出(たとえば、演出表示装置9において特定のキャラクタを表示する等の所定の演出)を実行するための演出用遊技球受入口として用いるようにしてもよい。
(14) また、第1ゲート321および第2ゲート322のようなゲートを通過した遊技球を、所定の遊技球受入口から第1通路61および第2通路62に案内するような構成を設けてもよい。この場合においては、第1通路61または第2通路62に進入した遊技球を、非入賞球として遊技球の排出通路に誘導する構成としてもよい。また、遊技球受入口が遊技領域7における比較的上部に設けられた場合には、第1通路61または第2通路62に進入した遊技球を、再度、遊技領域7に放出する構成としてもよい。
(15) また、可変入賞球装置15の第2始動入賞口14から第1通路61に遊技球が進入する構成においては、可変入賞球装置15の構造物全体を透明の部材(たとえば合成樹脂)により形成してもよい。また、特別可変入賞球装置20の大入賞口から第1通路61に遊技球が進入する構成においては、特別可変入賞球装置20の構造物全体を透明の部材(たとえば合成樹脂)により形成してもよい。また、このようにすれば、第1通路61にどのような特定領域から遊技球が進入したかを明確に遊技者に視認させることができる。
(16) 前述したように、第1通路61を用いる特定演出は、保留記憶情報の先読み判定に基づく先読み演出として実行してもよく、先読み演出ではなく、変動表示を実行するときの当該変動表示を対象とした当該変動表示演出として実行するようにしてもよい。
(17) また、前述した特定演出において第1通路61のような視認可能な通路において遊技球を貯留した後、所定期間後に放出する演出は、前述したような1段階ですべての遊技球を放出するのではなく、2段階等の複数段階で放出する演出をするようにしてもよい。たとえば、先読み判定で大当り表示結果となると判定されたターゲットとなる保留記憶情報に基づく変動表示の1回前に実行される変動表示(ターゲットとなる保留記憶情報の1つ前の保留記憶情報に基づいて実行される変動表示)時において、貯留された遊技球の一部を放出し、ターゲットとなる保留記憶情報に基づく変動表示時において残りの遊技球を放出する演出を実行するようにしてもよい。
(18) また、前述した特定演出において貯留した遊技球を複数段階で放出する演出をするときには、たとえば、放出する段階数(放出回数)が多い程、大当り表示結果となる期待度が高くなる等、放出する段階数(放出回数)により大当り表示結果となる期待度が高くなる演出を実行するようにしてもよい。このようにすれば、放出する段階数の多さに基づいて遊技者の期待感を向上させることができる。
(19) また、第1通路61のような遊技球を貯留可能な通路から遊技球を放出する放出通路を通路内が視認可能な態様で複数設けるとともに、遊技球の放出先の通路を選択する放出通路選択手段(たとえば、放出通路切替え弁)を設け、前述した特定演出において貯留した遊技球を放出するときに、大当りの期待度に応じて、放出先の通路の選択割合を異ならせるようにしてもよい。たとえば、第1の放出通路が選択されるときには、第2の放出通路が選択されるときよりも、大当り表示結果となる期待度が高くなるように制御すればよい。このようにすれば、放出通路の選択に基づいて遊技者の期待感を向上させることができる。
(20) また、前述した特定演出において遊技球を貯留するときには、第1通路61のような遊技球を貯留可能な通路の所定位置(図22の遊技球検出器67のように所定個数目の貯留球を検出できる位置等)に、貯留された遊技球の数を計数するための遊技球センサ(たとえば、近接センサ)を設け、遊技球センサの検出出力に基づいて、演出制御用マイクロコンピュータ100により、貯留されている遊技球の数を計数し、その計数値を演出表示装置9等の処理の表示装置に表示するようにしてもよい。
(21) また、前述した特定演出において遊技球を貯留するときには、第1通路61のような遊技球を貯留可能な通路の所定位置(たとえば、第1通路61入口等)に、進入した遊技球を検出する進入球センサ(たとえば、近接センサ)を設け、進入球センサの検出出力に基づいて、演出制御用マイクロコンピュータ100により、遊技球の進入が検出されるごとに所定のキャラクタ画像を演出表示装置9において表示する演出を実行する等、所定の演出表示を実行するようにしてもよい。
(22) 前述した実施の形態では、第1通路61が常に視認可能である例を示したが、第1通路61の裏側にLED等の発光手段を設け、特定演出(貯留放出演出等)が実行されないときは発光手段を消灯(非発光)させ、特定演出(貯留放出演出等)が実行されるときに発光手段を点灯(発光)させる制御を演出制御用マイクロコンピュータ100により実行するようにしてもよい。このようにすれば、特定演出(貯留放出演出等)が実行されるときに第1通路61の内部が明るく見やすくなるので、演出を視認しやすくすることができる。
(23) また、前述した貯留放出演出については、当該演出の実行中において、貯留開始(遊技球の貯留開始)、貯留中(遊技球の貯留中)、または、放出開始(遊技球の放出開始)のうち、少なくとも1つに対応する演出を演出表示装置9における画面上での表示演出で行なうようにしてもよい。より具体的には、貯留開始、貯留中、および、放出開始のうち、一部の状態、または、すべての状態について、進行状況を示すメッセージの表示(たとえば、現在がどの状態であるかを文字により表示する等)を行なうようにしてもよい。また、一部の状態、または、すべての状態での演出が実行されているときに特定のキャラクタが動作する演出(たとえば、貯留開始を示唆するキャラクタ動作、貯留中を示唆するキャラクタ動作、放出開始を示唆するキャラクタ動作等)を表示する等、その他の演出画像を表示するようにしてもよい。
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
(1) 図1および図2に示すように、第2始動入賞口14のような特定領域を通過した遊技球を案内する第1通路61と、第1通路61内に進入した遊技球を、第1通路61の途中部分から第1通路とは異なる経路で案内する第2通路62とが設けられたことにより、第1通路61内で遊技球の球詰りが生じたときでも、遊技球が第1通路61から第2通路62に案内可能となるので、特定領域を通過した遊技球を案内する通路における遊技球の詰まりの発生を抑制することができる。
(2) 図1および図2に示すように、第1通路61および第2通路62は、第2始動入賞口14を通過した遊技球を案内するので、第2始動入賞口14のような始動領域を通過した遊技球を案内する通路における遊技球の詰まりに起因する遊技の中断(たとえば、球詰りの発生による遊技の中断)の発生を抑制することができる。
(3) 第2実施形態に示すように、第1通路61が、特別可変入賞球装置20の大入賞口に対応して設けられ、大当り遊技状態のように特別可変入賞球装置20の大入賞口が開状態のときに、大入賞口を通過した遊技球を案内するので、特別可変入賞球装置20を通過した遊技球を案内する通路における遊技球の詰まりに起因する遊技の中断(たとえば、球詰りの発生による遊技の中断)の発生を抑制することができる。
(4) 図19のS510、図21のS622に示すように、第2始動入賞口14を通過した遊技球を第1通路61で貯留し、貯留した遊技球を放出する特定演出(貯留放出演出)を実行可能であるので、通路および遊技球を用いた演出により、遊技の興趣を向上させることができる。
(5) 第2実施形態に示すように、特別可変入賞球装置20の大入賞口を通過した遊技球を第1通路61で貯留し、貯留した遊技球を放出する特定演出(貯留放出演出)を実行可能であるので、特別可変入賞球装置20が有利状態のときに特定領域を通過した遊技球を用いた特定演出により、遊技の興趣を向上させることができる。
(6) 図19のS509により、先読み判定対象の保留記憶情報に基づいて、特別図柄および演出図柄の変動表示が実行される前に、特定演出(貯留放出演出の貯留演出)として、第2始動入賞口14を通過した遊技球を第1通路61内で貯留し、図21のS622により、特定演出(貯留放出演出の放出演出)として、当該保留記憶情報に基づく特別図柄および演出図柄の変動表示が実行される際に、貯留した遊技球を遊技領域7外へ放出するので、通路および遊技球を用いた演出により、遊技の興趣を向上させることができる。
(7) 図19のS501、S509に示すように、可変入賞球装置15が開放する頻度が高く、第2始動入賞口14に遊技球が入賞する頻度が高い高ベース状態中において特定演出(貯留放出演出)を実行可能であるので、高ベース状態中の演出効果を高めることができる。
次に、以上に説明した実施の形態の変形例や特徴点等を以下に列挙する。
(1) 前述の実施の形態では、演出装置を制御する回路が搭載された基板として、演出制御基板80、音声出力基板70およびランプドライバ基板35が設けられているが、演出装置を制御する回路を1つの基板に搭載してもよい。さらに、演出表示装置9等を制御する回路が搭載された第1の演出制御基板(表示制御基板)と、その他の演出装置(ランプ、LED、スピーカ27R,27L等)を制御する回路が搭載された第2の演出制御基板との2つの基板を設けるようにしてもよい。
(2) 前述の実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御用マイクロコンピュータ100に対して直接コマンドを送信していたが、遊技制御用マイクロコンピュータ560が他の基板(たとえば、図4に示す音声出力基板70やランプドライバ基板35等、または音声出力基板70に搭載されている回路による機能とランプドライバ基板35に搭載されている回路による機能とを備えた音/ランプ基板)に演出制御コマンドを送信し、他の基板を経由して演出制御基板80における演出制御用マイクロコンピュータ100に送信されるようにしてもよい。その場合、他の基板においてコマンドが単に通過するようにしてもよいし、音声出力基板70、ランプドライバ基板35、音/ランプ基板にマイクロコンピュータ等の制御手段を搭載し、制御手段がコマンドを受信したことに応じて音声制御やランプ制御に関わる制御を実行し、さらに、受信したコマンドを、そのまま、またはたとえば簡略化したコマンドに変更して、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータ100に送信するようにしてもよい。その場合でも、演出制御用マイクロコンピュータ100は、上記の実施の形態における遊技制御用マイクロコンピュータ560から直接受信した演出制御コマンドに応じて表示制御を行なうのと同様に、音声出力基板70、ランプドライバ基板35または音/ランプ基板から受信したコマンドに応じて表示制御を行なうことができる。このような構成の場合には、前述した実施の形態で演出制御用マイクロコンピュータ100が行なっていた各種決定については、同様に演出制御用マイクロコンピュータ100が行なうようにしてもよく、または、音声出力基板70、ランプドライバ基板35、または、音/ランプ基板に搭載したマイクロコンピュータ等の制御手段が行なうようにしてもよい。
(3) 上記実施の形態においては、変動時間およびリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータ100に通知するために、変動を開始するときに1つの変動パターンコマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータ100に通知する様にしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1つ目のコマンドでは擬似連の有無、滑り演出の有無等、リーチとなる以前(リーチとならない場合には所謂第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には所謂第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信する様にしてもよい。この場合、演出制御用マイクロコンピュータ100は2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間に基づいて変動表示における演出制御を行なうようにすればよい。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560の方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御用マイクロコンピュータ100の方で選択を行なう様にしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信する様にしてもよく、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(たとえば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信する様にしてもよい。なお、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知する様にすることで、変動パターンコマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
(4) 前述した実施の形態では、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出す遊技機を説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式の遊技機を採用してもよい。封入式の遊技機には、遊技媒体の一例となる複数の玉を遊技機内で循環させる循環経路が形成されているとともに、遊技点を記憶する記憶部が設けられており、玉貸操作に応じて遊技点が記憶部に加算され、玉の発射操作に応じて遊技点が記憶部から減算され、入賞の発生に応じて遊技点が記憶部に加算される。入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出す遊技機を説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式の遊技機を採用してもよい。封入式の遊技機には、遊技媒体の一例となる複数の玉を遊技機内で循環させる循環経路が形成されているとともに、遊技点を記憶する記憶部が設けられており、玉貸操作に応じて遊技点が記憶部に加算され、玉の発射操作に応じて遊技点が記憶部から減算され、入賞の発生に応じて遊技点が記憶部に加算される。
(5) 前述した実施の形態は、パチンコ遊技機1の動作をシミュレーションするゲーム機などの装置にも適用することができる。前述した実施の形態を実現するためのプログラム及びデータは、コンピュータ装置等に対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置等の有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。さらに、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。そして、ゲームの実施形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行なうことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。
(6) 前述の実施形態では、大当り種別として、15ラウンドの通常大当りと15ラウンドの確変大当りと2ラウンドの確変大当りを設けた例を示した。しかし、これに限らず、たとえば、15ラウンドの大当り、10ラウンドの大当り、5ラウンドの大当り、および、2ラウンドの大当りを設ける場合のように、3種類以上のラウンド数の大当り種別を設けてもよい。その場合には、たとえば、大当りの種別を、賞球が得られやすい大当り種別グループ(たとえば、15ラウンドの大当り、10ラウンドの大当り)と、賞球が得られにくい大当り種別グループ(たとえば、5ラウンドの大当り、2ラウンドの大当り)とに分類し、第2特別図柄の方が第1特別図柄よりも、賞球が得られやすい大当り種別グループの大当り種別が選択される割合が高くなるように設定してもよい。
(7) 本実施の形態では、「割合(比率、確率)」を例示したが、「割合(比率、確率)」は、これに限るものではなく、たとえば0%〜100%の範囲内の値のうち、0%を含む値や、100%を含む値、0%および100%を含まない値であってもよい。
(8) 前述した実施の形態では、変動表示の表示結果を確変大当りとすることが決定されたときの変動表示結果が導出表示された後、大当り遊技状態の終了後に、無条件で確変状態に制御される確変状態制御例を示した。しかし、これに限らず、特別可変入賞球装置20における大入賞口内に設けられた特定領域を遊技球が通過したことが検出手段により検出されたときに、確変状態に制御される、確変判定装置タイプの確変状態制御が実行されるようにしてもよい。
(9) なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。