JP2015175807A - 中性子シンチレータ - Google Patents

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Abstract

【解決課題】ガンマ線感度を低くして、パルス中性子に対する検出効率を向上し、高計数率で中性子イメージング測定を可能とする中性子シンチレータを提供する。【解決手段】基板と、当該基板上のZnS系蛍光体、中性子コンバータ及び波長変換剤としての色素を分散させた接着性物質を含む中性子検出体と、を含む半透明ZnS系中性子シンチレータ。【選択図】図2

Description

本発明は、硫化亜鉛(ZnS)蛍光体と中性子コンバータであるLiあるいは10Bとを組み合わせた半透明中性子シンチレータに関する。より詳細には、硫化亜鉛(ZnS)蛍光体と中性子コンバータであるLiあるいは10Bから構成されるシンチレータに波長変換剤である色素を添加して、中性子に対する検出効率を上げることを特徴とした半透明中性子シンチレータに関する。
従来、中性子の検出には、中性子コンバータであるLiあるいは10Bを含んだ中性子シンチレータと光電子増倍管等の光検出素子とを組み合わせた中性子検出器が使用されてきた。
上記中性子シンチレータにおいては、Liと中性子との核反応:
n+Li−>H+α
により放出されるトリトン(H)とアルファ線を検出して行う中性子検出、あるいは中性子コンバータである10Bと中性子との核反応:
n+10B−>Li+α
により放出されるLiとアルファ線を検出して行う中性子検出がなされている。
半透明中性子シンチレータとしては、ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFを混合した後、接着剤と混合して、基板に塗布することにより作製するZnS/LiF半透明中性子シンチレータが市販されて長年にわたって幅広く使用され市販されてきた(非特許文献1)。
10Bをコンバータとして使用した中性子シンチレータとしては、ZnS蛍光体と10B濃縮ホウ酸(H 10)を混合した後、焼結して製作するZnS/10半透明中性子シンチレータが開発され中性子イメージ検出器に使用されてきた(非特許文献2、特許文献1)。
ZnS蛍光体はガンマ線検出感度が低くかつアルファ線に対する蛍光量が極めて大きいことからこれらのシンチレータに使用されてきている。しかし、これらのシンチレータは半透明であることから厚さを厚くすると、奥の方で発光した光はシンチレータ表面に出てこなくなるため、シンチレータの厚さを厚くすることにより中性子に対する検出効率を上げることには限界があった。一方、シンチレータの厚さを厚くすることが可能な透明なシンチレータとして、Liを含んだガラスシンチレータ(Liガラスシンチレータ)が市販され、従来から幅広く使用されてきた。しかし、Liガラスシンチレータのガンマ線感度は高いため、ガンマ線バックグラウンドの高い場所での使用は困難であった。
21世紀に入ってからは、中性子用単結晶シンチレータの研究が進み、LiYF4:Ce等の中性子単結晶シンチレータが開発され使用されるようになった。しかし、これら単結晶シンチレータの減衰時間は従来のZnS蛍光体を用いた半透明中性子シンチレータに比べて数分の一に短くなるものの、ガンマ線に対する感度はZnS蛍光体を用いた半透明中性子シンチレータに比べ大きく、低ガンマ線バックグラウンドが求められる中性子散乱研究あるいは中性子ラジオグラフィ分野での使用はなかなか難しい状況になっている。このため、これら単結晶シンチレータの一部のシンチレータにおいては、ガンマ線と中性子が入射した際発生するシンチレーション信号波形が異なることを利用して、中性子/ガンマ線弁別を行うことが試みられている。しかし、ガンマ線により発生する信号は、単結晶シンチレータの場合にシンチレーション信号の立ち上がり部分が早いという現象を利用するため、弁別する回路は複雑となり、大面積中性子イメージ検出器を製作する上で重要な課題となる信号処理回路の多チャンネル化に関して技術的な面とコストの面で大きな課題を持っている(非特許文献3)。
シンチレータと波長変換剤(色素)あるいは波長シフトファイバとを組み合わせたシンチレータ検出器が提案されている。
液体シンチレーション検出器が提案され、有機シンチレータによりアルファ線あるいはベータ線を検出し、発光した蛍光を波長変換剤により波長変換し、光電子増倍管の量子効率の最も高い波長領域である420nm近辺までシフトさせ、検出感度を上げる方法が良く使用されている。しかし、シンチレータ自身が透明なため、波長変換剤の使用目的は光電子増倍管の感度に合わせるための波長変換にある(非特許文献4)。
単結晶中性子シンチレータの中には発光スペクトルのピーク波長が350nm以下であるものが多くある。光電子増倍管等の光検出素子の量子効率が非常に低い波長領域であるため、シンチレータ内で発生した蛍光を色素あるいは波長シフター板を使って長い波長に波長変換した後検出する方法が使用されている(非特許文献4)。
これらの色素や波長シフター板の使用例は、いずれも中性子シンチレータから放出される蛍光の波長を光電子増倍管等の光検出器の最適感度波長領域に変換する役割を担っている。一方、ZnS:Ag/LiF中性子シンチレータと波長シフター板とを組み合わせ二次元イメージ検出器の使用例がある。波長シフター板の役割は中性子シンチレータから出てくる蛍光を効率良く集めX軸用及びY軸用の蛍光に分配することにある(特許文献2)。
また、高速中性子を用いた中性子ラジオグラフィ装置においては、CCDカメラ用のスクリーンとして、敷き詰めた波長シフトファイバの間にZnS/LiF中性子検出体を埋め込んだ構成のスクリーンを使用し、そのスクリーンの厚さを数mmに厚くして使用している。この場合、ZnS/LiF中性子検出体から放出された蛍光は、一度波長シフトファイバにより波長変換された後、波長シフトファイバを通過してシンチレータの表面に達するため、放出された蛍光の数%のみがスクリーン表面から放出されるに過ぎない(非特許文献6)。
さらに、銀賦活硫化亜鉛蛍光体に着色剤を付着して非凝集能を付与する方法が提案されている(特許文献3)。しかし、その目的は蛍光体にコーティングするための着色剤付き亜鉛蛍光体の製造方法に関するものであり、中性子シンチレータに関して何ら考慮されていない。
日本のJ−PARC、英国のISIS、米国のSNS等の加速器を用いたパルス中性子研究施設での中性子散乱実験装置に使用される中性子シンチレータを用いた中性子イメージ検出器においては、中性子散乱研究の向上を図る上で、かつ加速器出力の増強に伴い、パルス中性子に対する検出効率の向上、高計数率での中性子イメージング測定及び更なるガンマ線感度の低減化が求められている。
ガンマ線感度を低くするために、本発明者らは、従来の銀賦活硫化亜鉛(ZnS:Ag)蛍光体を用いて、450nmより短い波長を通過させる光学フィルターを用いて短寿命成分(アルファ線有感スペクトル)を取り出しガンマ線感度を低くすることを提案している(特許文献4)。そこで、本発明者は、高計数率測定に不可欠な減衰時間の低減とアフターグローの低減を図り、高計数効率の中性子イメージ検出も同時に可能とする粒子線検出用銀賦活硫化亜鉛(ZnS:Ag)蛍光体を検討している。しかし、この粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体は、ガンマ線感度を低くするために、非常に薄い茶褐色〜薄い茶褐色に着色してしまう。特に、蛍光体と中性子コンバータとを何層にも積層した構造で使用する半透明中性子シンチレータでは、α線照射時に放出される短い波長領域の蛍光が蛍光体と中性子コンバータとに吸収されて表面に達することが困難となり、検出効率を上げることができなくなる。一方、従来のZnS:Ag蛍光体であるP11あるいは同じ種類の蛍光体である日亜化学工業製1109−041は白色である。このため、従来の製造方法で同じ厚さのシンチレータを作ると、従来のP11等のZnS:Ag蛍光体を用いたZnS/LiF半透明中性子シンチレータが有する中性子検出効率を得ることはなかなか困難であった。
また、パルス中性子を用いた中性子散乱実験装置に使用する中性子イメージ検出器は、中性子の波長として10Å〜0.5Å程度まで幅広い範囲の中性子を一度に検出する必要がある。まず、波長の短い中性子つまりエネルギーの高い中性子を測定するためには、シンチレータの厚さを厚くして検出効率を高める必要がある。一方、波長の長い中性子つまりエネルギーの低い中性子を検出する場合には、中性子の発生源に近いシンチレータの基板の近くで中性子が中性子コンバータとの捕獲反応により反応し発光する確率が多くなるため、シンチレータの厚さを厚くした場合にシンチレータ表面に蛍光が到達できなくなり、中性子検出効率が低下してしまう。従って、波長の長い中性子を検出するためには、厚さの薄い半透明中性子シンチレータを用いる必要があり、波長の短い中性子の場合と相反する要求を満たすことが必要になる。このため、10Å〜0.5Åまでの幅広い範囲の中性子をすべての波長でベストな状態で検出することは非常に困難であった。
特開2005−200461号公報 特開2010−175570号公報 特開平01−313587号公報 特開2005−300479号公報
Nulcl. Instr. and Meth. 75(1969)35-42 Nucl. Instrum. & Meth., A529(2004)325-328 Nucl. Instr.& Meth., A652(2011)435-438 Nulcl. Instr. & Meth., 112(1973)111-116 Nucl. Instr. & Meth., A601(2009)282-293 Nucl. Instr. & Meth., A510(2003)325-333
本発明は、ガンマ線感度を低くして、パルス中性子に対する検出効率を向上し、高計数率で中性子イメージング測定を可能とする中性子シンチレータを提供することを目的とする。
また、ガンマ線感度を低くして、且つ幅広い中性子波長の検出に対応し、検出効率の向上を図ると共に、高計数率での中性子イメージ測定を可能とする中性子シンチレータを提供することを目的とする。
さらに、幅広い中性子波長の検出に対応したパルス中性子を用いたラジオグラフィに最適なスクリーンを提供することも目的とする。
本発明者らは、ガンマ線に対する感度が低いZnS系蛍光体を用いた半透明中性子シンチレータが課題解決に有用であると考え、鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、下記態様の中性子シンチレータが提供される。
[1]基板と、当該基板上のZnS系蛍光体、中性子コンバータ及び波長変換剤としての色素を分散させた接着性物質を含む中性子検出体と、を含む半透明ZnS系中性子シンチレータ。
[2]前記ZnS系蛍光体は、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体、ZnS:Ag,Cl蛍光体、ZnS:Ag,Al蛍光体、又はZnS:Cu蛍光体である、[1]に記載の半透明ZnS系中性子シンチレータ。
[3]前記中性子コンバータは、LiF又は10B中性子コンバータである、[1]又は[2]に記載の半透明ZnS系中性子シンチレータ。
[4]前記波長変換剤としての色素は、BisMSB(1,4-Bis(2-methylstyryl) benzene)、POPOP(1,4-Bis(5-phenyl-2-oxazolyl)benzene)、クマリン30(7-(Diethylamino)-3-(1-methyl-1H-benzimidazol-2-yl)-2H-1-benzopyran-2-one)、アントラセン誘導体(7,12-dimethylbenz[α]anthracene)、4−ジメチルアミノ−4’−ニトロスチルベン(4-Dimethylamino-4 -Nitrostilbene)又はNile Red(9-diethylamino-5-benzo[α]phenoxazinone)である、[1]〜[3]のいずれか1に記載の半透明ZnS系中性子シンチレータ。
[5]前記中性子検出体は、(1)変性脂環式ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン又は脂肪族ジアミンを主材とする硬化剤と、(2)水、エチルアルコール、メチルアルコール、水及びエチルアルコールの混合液又は水及びメチルアルコールの混合液から選択される溶媒と、を含む接着性物質に、ZnS系蛍光体及び色素を混合して、基板上に塗布して乾燥させ固化させて形成される[1]〜[4]のいずれか1に記載の半透明ZnS系中性子シンチレータ。
本発明において、波長変換剤として適切な色素を適量添加することで、ZnS系蛍光体から発生する蛍光を、透過率が下がる短い波長(430〜380nm)スペクトル領域の蛍光から、透過率がよい長い波長(440nm以上)領域の蛍光に波長変換することができる。波長変換された蛍光が中性子シンチレータ内を透過するため、中性子の検出効率が向上する。
本発明によれば、ガンマ線感度を低くして、パルス中性子に対する検出効率を向上し、高計数率で中性子イメージング測定を可能とする中性子シンチレータが提供される。
また、ガンマ線感度を低くして、且つ幅広い中性子波長の検出に対応し、検出効率の向上を図ると共に、高計数率での中性子イメージ測定を可能とする中性子シンチレータが提供される。
本発明の中性子シンチレータは、幅広い中性子波長の検出に対応したパルス中性子を用いたラジオグラフィに最適なスクリーンに応用することができる。
LiF及び10B中性子コンバータの透過率を示すグラフである。 本発明の中性子シンチレータの構成を示す模式図である。 粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体(α線検出割合0.63)と、P11型ZnS:Ag蛍光体(α線検出割合0.29)との透過率を比較して示すグラフである。 粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体(α線検出割合0.63)と、P11型ZnS:Ag蛍光体(α線検出割合0.29)と、の蛍光スペクトルを比較して示すグラフである。 粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体(α線検出割合0.63)の蛍光スペクトル、BisMSBの吸収スペクトル、及び波長変換蛍光スペクトルを比較して示すグラフである。 実施例1の波長変換剤の重量を変化させた場合の中性子に対する検出効率と減衰時間の変化を示すグラフである。 実施例2の波長変換剤添加(0.25wt%)ZnS/LiF半透明中性子シンチレータが放出するフォトン数の分布を、添加なしのZnS/LiF半透明中性子シンチレータ、及び市販されているAST社製ZnS/LiF半透明中性子シンチレータのフォトン数分布と比較して示すグラフである。 実施例3で用いた粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体(α線検出割合0.51)の蛍光スペクトル及び透過率を示すグラフである。 実施例3で用いた粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体(α線検出割合0.51)の蛍光スペクトル、BisMSBの吸収スペクトル、及び波長変換蛍光スペクトルを比較して示すグラフである。 実施例3の波長変換剤の重量を変化させた場合の中性子に対する検出効率と減衰時間の変化を示すグラフである。 実施例4で用いた1109−041蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性を示すグラフである。 実施例4の1109−041蛍光体の蛍光スペクトル及びBisMSBの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを比較して示すグラフである。 実施例4の波長変換剤の重量を変化させた場合の中性子に対する検出効率と減衰時間の変化を示すグラフである。 実施例5で用いたZnS:Ag,Al蛍光体の蛍光スペクトルと蛍光体の透過率特性を示すグラフである。 実施例5の1055−152蛍光体の蛍光スペクトル及びBisMSBの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを比較して示すグラフである。 実施例5の波長変換剤の重量を変化させた場合の中性子に対する検出効率と減衰時間の変化を示すグラフである。 実施例6で用いた粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体(α線検出割合0.51)の蛍光スペクトル及びアントラセンの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを比較して示すグラフである。 実施例6の波長変換剤の重量を変化させた場合の中性子に対する検出効率と減衰時間の変化を示すグラフである。 実施例7で用いたZnS:Ag蛍光体(α線検出割合0.63)の蛍光スペクトル、POPOPの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルとを対比して示すグラフである。 実施例8で用いた粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトル、クマリン30の吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを比較して示すグラフである。 実施例9で用いた粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトル、4-Dimethylamino-4-Nitrostilbeneの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを比較して示すグラフである。 実施例10で用いたZnS:Cu蛍光体である日亜化学工業(株)製1108−110蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性を示すグラフである。 実施例10で用いたZnS:Cu蛍光体の蛍光スペクトル、Nile Redの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを比較して示すグラフである。 アルファ線検出割合が0.63の粒子線検出用ZnS蛍光体のアルファ線照射、ガンマ線照射、及びアルファ線有感の各蛍光スペクトルを示すグラフである。 アルファ線検出割合が0.51の粒子線検出用ZnS蛍光体のアルファ線照射、ガンマ線照射、及びアルファ線有感の各蛍光スペクトルを示すグラフである。
好ましい実施形態
以下、添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図2は、本発明のZnS/LiF半透明中性子シンチレータの構造を示す模式図である。シンチレータの基板としてはアルミニウム板が通常使用される。アルミニウム板上にZnS蛍光体、中性子コンバータであるLiF粉末及び波長変換剤である微量の色素を接着剤で混合した中性子検出体を塗布した構造である。通常、中性子検出体の厚さは250μm〜500μmである。中性子はアルミニウム基板の前方から照射される。従来のシンチレータではLiFのLiと捕獲反応し放出されたアルファ線とトリトン(H)がZnS蛍光体を発光させ、放出された蛍光が中性子検出体に吸収されながらシンチレータ表面まで到達し放出される。このため、特に基板近くで中性子が捕獲された場合、放出された蛍光は、シンチレータ表面まで到達する間に減少してしまい、中性子信号として検出することが出来なくなってしまう。本発明は、中性子コンバータによる吸収を含めた中性子検出体による吸収をできるだけ少なくするため、色素を用いて、放出された蛍光を透過率の良い長い波長帯に波長変換し、中性子検出体内を透過しやすくする。
ZnS蛍光体としては、アルファ線検出割合が0.35〜1.00であるものが好ましい。アルファ線検出割合は、アルファ線を照射した際に、320nm〜580nmにわたって蛍光を放出し、そのピーク波長が395nm〜410nmであるアルファ線有感蛍光スペクトルと、ガンマ線あるいは電子線を照射した際に放出される380nm〜560nmにわたる蛍光スペクトルでピーク波長が435nm〜450nmの蛍光スペクトルに対応したガンマ線照射蛍光スペクトルとが、合成された蛍光スペクトルを示す粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体において、アルファ線有感蛍光スペクトルとガンマ線照射蛍光スペクトルを足し合わせた全蛍光スペクトル(アルファ線照射スペクトルに該当)の強度に対するアルファ線有感蛍光スペクトルの強度の割合を意味する。図24及び図25に示すZnS蛍光体では、粒子線検出用ZnS蛍光体のアルファ線照射蛍光スペクトル、ガンマ線照射蛍光スペクトル及びアルファ線有感蛍光スペクトルから、アルファ線検出割合はそれぞれ0.63及び0.51となる。
アルファ線検出割合が0.63の粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体は、350nm〜450nmにわたる短波長領域の蛍光が従来のP11に代表されるZnS:Ag,Cl蛍光体(アルファ線検出割合:0.29)に比較し2.2倍増加している。アルファ線検出割合が大きくなるに従い、減衰時間特性が良くなり、アフターグロー成分も減少し、かつガンマ線感度も低下してゆく優れた特性を有している。しかし、アルファ線検出割合が大きくなるに従い、蛍光体の色が非常に薄い茶褐色〜薄い茶褐色に色が濃くなってゆく。このため、この蛍光体を半透明中性子シンチレータに使用した場合、この領域の短い波長成分の蛍光をシンチレータ表面まで導き出す必要がある。
発光した蛍光がシンチレータの表面に出てこない原因を探るために、P11を含めた色々な種類のZnS:Ag蛍光体の透過率の測定を行った。従来のP11型ZnS:Ag蛍光体とアルファ線検出割合が0.63の粒子線用ZnS:Ag蛍光体の透過率特性を図3に示す。その結果、どちらのZnS:Ag蛍光体の場合でも、減少の割合は異なるものの500nm近辺から徐々に減少し始め、450nmから悪くなり、430nmから急激に悪くなり、380nmではほとんど透過しなくなることがわかった。この領域は、丁度ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルの短い波長領域と合致している。
このため、本発明においては、波長変換剤である色素をシンチレータに添加して、430nmから急激に悪くなり380nmではほとんど透過しなくなる波長領域の蛍光を、透過率が良い440nm以上の波長領域に波長変換し、シンチレータ内部を透過しやすいようにして、シンチレータ表面に到達する蛍光量を増加させて検出効率を上げる。本方法では、特に半透明中性子シンチレータの厚さを厚くした時に有効であり、奥の方で中性子が中性子コンバータと捕獲反応を起こし、発光した時に特に有効である。一方、シンチレータの表面近辺における発光の場合には、シンチレータ自身による吸収が少ないため表面に導かれる蛍光の量は大きく、中性子の検出に要する蛍光の量は確保されている。
使用する波長変換剤は、その吸収スペクトルがZnS系蛍光体のアルファ線有感スペクトルにできるだけ合致すること、そして波長変換後のスペクトルが蛍光を検出する光検出素子の量子効率の最も高い波長にできるだけ近いものであることが好ましい。また、波長変換剤の量子効率はできる限り高い方が良く、50%以上、より好ましくは80%以上が望ましい。
波長変換剤の添加量は、ZnS系蛍光体、中性子コンバータ及び波長変換剤として用いる色素の組み合わせによって異なる最適量が存在する。例えば、アルファ線検出割合0.63の粒子線検出用ZnS蛍光体とLiF中性子コンバータとを使用した時、色素がBisMSBの場合0.125wt%から0.75wt%が最適範囲である。アルファ線検出割合0.51の粒子線検出用ZnS蛍光体とLiF中性子コンバータとを使用した時、色素がアントラセンの場合0.25wt%から1.0wt%が最適範囲である。従来のP11型ZnS蛍光体である1109−041蛍光体とLiF中性子コンバータとを使用した時、色素がBisMSBの場合0.5wt%から1.5wt%が最適範囲である。また、ZnS:Ag,Al型蛍光体である1055−152蛍光体とLiF中性子コンバータとを使用した時、色素がBisMSBの場合1.5wt%から2.5wt%が最適範囲である。一方、アルファ線検出割合0.51の粒子線検出用ZnS蛍光体と10B中性子コンバータとを使用した時、色素がBisMSBの場合0.075wt%から0.15wt%が最適範囲である。
以下、実施例および比較例により本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例において、アルファ線及びガンマ線を照射して得られる蛍光スペクトルの測定は、以下に示す機材と条件で行った。
測定装置:日立製作所株式会社製分光蛍光光度計F−2500
蛍光スリット:20nmに固定した。このため、アルファ線照射における蛍光強度とガンマ線照射における蛍光強度は同じ単位となる。
アルファ線照射の際の線源:英国アマシャム社製241Amアルファ線源(直径5mmφ,線源強度:約1MBq)
ガンマ線照射の際の線源:同じ241Amアルファ線源(直径5mmφ,線源強度:約1MBq)にアルミホイル(厚さ12μm)4枚からなるアルファ線遮蔽体を取り付けて60keVのガンマ線を照射。
また、ZnS蛍光体及び中性子コンバータの透過率特性の測定は、以下に示す機材と条件で行った。
測定装置:日立製作所株式会社製分光光度計U−3300
ランプ:タングステンランプのみ使用
分解能:1nm
測定範囲:300nm−700nm
[実施例1]
ZnS蛍光体と中性子コンバータであるLiFから構成される半透明中性子シンチレータに、波長変換剤である色素をシンチレータに添加して、中性子が入射してシンチレータ内でZnS蛍光体から発生した蛍光のうち、ZnS蛍光体の透過率が下がる短い波長スペクトル領域の蛍光を、透過率が良い長い波長領域に波長変換し、シンチレータ内を透過させることにより中性子に対する検出効率を上げたZnS/LiF半透明中性子シンチレータについて説明する。
ZnS蛍光体としては、アルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を使用した。このアルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体は以下の工程により製作した。
中心の粒度が8μmの硫化亜鉛50gに対して、硫化亜鉛の重量の0.015%に相当する硝酸銀と、硫化亜鉛の重量の6%に相当する塩化リチウムと、硫化亜鉛の重量の0.175%に相当する硫化ストロンチウムと、を添加し、蒸留水20ccを加えて混合した後、乾燥させた。
黒鉛製るつぼ(外側が60mmφで長さが50mm、内部が直径30mmφで底の厚さが10mm、上蓋の厚さ10mm、材料を入れる容積は直径30mmφで長さ30mm、上蓋の中心には、内部で焼成材料から発生する昇華物の一部を逃すための1mmφの穴を設けた。)に乾燥させた焼成材料を入れた後、上蓋を閉めて、電気炉にいれて焼成を行った。電気炉としては(株)デンケン社製の電気炉KDF―S70型を使用した。焼成は以下の条件で行った。
焼成温度:820℃
カバーガス:COを2リッター/分で流す
焼成時間:2時間
焼成された焼結物を粉状にした後、水で洗浄し、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を得た。
粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体のアルファ線照射とガンマ線照射に対しての蛍光特性を調べた。蛍光特性を測定するサンプルは、顕微鏡用カバーガラス(サイズ:18mmx18m、厚さ0.15mm)の上にニトムズ社製両面テープを張った後片面に粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の粉末を塗布した。この操作により両面テープの片面にZnS:Ag蛍光体粒子をほぼ一層塗布することができる。この方法を用いた場合のアルファ線照射に対する蛍光量(蛍光スペクトルの蛍光強度の積分値)に対する測定誤差は±10%である。
測定サンプルを蛍光光度計の励起光照射系のサンプル位置に設置してアルファ線照射及びガンマ線照射による蛍光スペクトルの測定を行った。
得られた硫化ストロンチウム0.175%添加の粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体のアルファ線照射蛍光スペクトルとガンマ線照射により求めたガンマ線照射蛍光スペクトルをその最大値を1としてそれぞれ規格化した蛍光スペクトルとした後、アルファ線照射蛍光スペクトルからガンマ線照射蛍光スペクトルを差し引くことによりアルファ線有感蛍光スペクトル求め、得られたこれら3種類の蛍光スペクトルを図24に示す。
図24から、アルファ線を照射した際に放出される320nm〜580nmの蛍光スペクトルでピーク波長が395nm〜410nmであるアルファ線有感蛍光スペクトルと、ガンマ線あるいは電子線を照射した際に放出される380nm〜560nmにわたる蛍光スペクトルでピーク波長が435nm〜450nmである蛍光スペクトルに対応したガンマ線有感蛍光スペクトルとが、合成された蛍光スペクトルを示す粒子線検出用銀賦活硫化亜鉛(ZnS:Ag)蛍光体において、アルファ線有感蛍光スペクトルとガンマ線有感蛍光スペクトルを足し合わせた全蛍光スペクトルの強度に対して、ガンマ線有感蛍光スペクトルの強度の割合(アルファ線検出割合)を求めたところ、0.63であった。
粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体のアルファ線照射蛍光スペクトルを比較のため従来のP11型ZnS:Ag蛍光体である日亜化学工業(株)製1109−041蛍光体の蛍光スペクトルと共に図4に示す。本粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の短い波長成分が従来のP11型蛍光体に比較して増大していることが良くわかる。この短波長成分にあった吸収スペクトルを持つ波長変換剤(色素)としてBisMSB(1,4-Bis(2-methylstyryl)benzene:1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン)を用いた。BisMSBは、量子効率94%と非常に高い変換効率を有している。
アルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトル、及びBisMSBの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを図5に示す。BisMSBの吸収スペクトルは、410nmにピークを持ち、350nm〜435nmの範囲(FWHM)で良く吸収する。BisMSBの吸収スペクトルがZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと良く合致している。一方、BisMSBの波長変換蛍光スペクトルは、ピークが450nmにあり、440nm〜475nm(FWHM)範囲で波長変換された蛍光スペクトルを示すことが分かる。
粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性及びBisMSBの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを用いて、蛍光体だけの蛍光収率と蛍光体に波長変換剤を加えた場合の蛍光収率を評価することが出来る。評価計算は以下の手順で行う。
粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルの全ての波長の蛍光強度を積分し、積分した値を1とし各波長の蛍光強度を規格化する。また、透過率特性については700nmの透過率を1としてすべての波長の透過率を規格化する。各波長について規格化された蛍光強度と規格化された透過率を掛け合わせ、すべての波長について積分すると蛍光体だけの蛍光収率を求めることができる。
一方、波長変換剤を加えた場合には、まず、蛍光スペクトルの全ての波長の蛍光強度を積分し、積分した値を1とし、各波長の蛍光強度を規格化する。次にBisMSBの吸収スペクトルと波長シフト蛍光スペクトルを各スペクトルの最大値を1とし、各波長の吸収率と波長シフト蛍光強度を規格化する。各波長について、規格化された蛍光強度と規格化された吸収強度とを掛け合わせ、すべての波長について積分すると、蛍光体の蛍光がBisMSBに吸収される収率を求めることができる。蛍光波長が長く波長変換剤に吸収されない分として、各波長について規格化された蛍光強度と規格化された透過率を掛け合わせ、BisMSBの吸収がほとんどなくなる440nm以降の波長について積分すると、BisMSBの吸収がない波長領域の蛍光体だけの蛍光の収率を求めることができる。次に、各波長についてBisMSBの規格化された波長シフト蛍光強度と、規格化された透過率と、を掛け合わせ、440nm以降の波長について積分すると、蛍光体にBisMSBを加えた場合の波長変換された蛍光の収率を求めることができる。
蛍光体に波長変換剤を加えた場合の蛍光の収率は、蛍光体の蛍光がBisMSBに吸収される収率と、BisMSBの量子効率0.94と、波長変換された蛍光の収率と、の積に、BisMSBの吸収がない波長領域の蛍光体だけの蛍光の収率を加えることにより求めることができる。
以上の評価計算の結果、アルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体にBisMSBを加えない場合と、加えた場合の収率はそれぞれ0.544と0.670であった。蛍光の収率が絶対値で約0.13、相対値としては約23%上昇するという評価結果を得ることができた。なお、この評価はZnS蛍光体の吸収の効果のみを考慮した評価であり、上記で述べたように中性子コンバータによる吸収の効果を加えると蛍光の収率の差はさらに大きくなる。
[実施例2]
次に、実際にアルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体にLiFを加え、そこに波長変換剤であるBisMSBの添加量を変えて加えた後、接着剤と共に混合し、基板に塗布して作製したZnS/LiF半透明中性子シンチレータを用いて最適な波長変換剤の添加量を求める実験を行った。
LiFとしてはAPPLIED CHEMISTRY社製の90%Li濃縮LiFを使用し、このLiFを微粉化し、その粒度の平均値が3μmのものを使用した。接着剤としては、コニシ(株)製SUプレミアム[ソフト]を用いた。また、この接着剤を融かす溶媒として、ラッカーうすめ液Sを用いた。波長変換剤としては関東化学(株)製BisMSB(色素)を用いた。
最初に、30ccの容積の陶器製るつぼに、接着剤80mgを入れ、ラッカーうすめ液S600mgを加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて溶かし接着剤溶液とした。超音波洗浄機としては、本田電子(株)製W−113型超音波洗浄機(周波数45kHz、出力100W)を用いた。
この接着剤溶液に、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体とLiFとの重量比を1:1として、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を900mg、LiF600mgを加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて混合する。この混合溶液に波長変換剤を加えない場合及び14種類の重量の異なる波長変換剤を加えた場合の計15種類のサンプルを用意した。波長変換剤を加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて混合した後、5cm×5cm×0.3mm(厚さ)のアルミニウム基板に塗布し、乾燥させて固化して15種類のZnS/LiF半透明中性子シンチレータサンプル1〜15を製作した。14種類の波長変換剤の重量は、それぞれ、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体900mgとLiF600mgを加えた総重量1200mgに対して0.06wt%、0.13wt%、0.25wt%,0.5wt%,0.75wt%,1wt%,1.5wt%,2wt%,2.5wt%,3wt%,3.5wt%,4wt%,4.5wt%、5wt%である。製作後これらのZnS/LiF半透明中性子シンチレータの厚さを測定した結果、いずれも約280μmであった。
製作した15種類の半透明ZnS/LiFコンバータ中性子シンチレータサンプル1〜15について、中性子線源としてAm−Li線源7.4GBqを用い、パラフィンブロック5cm厚で熱中性子化して検出特性を測定した。
半透明ZnS/LiF中性子シンチレータに、中性子を照射した際得られるパルス信号をオシロスコープで測定し、中性子に対しての検出特性を測定した。シンチレータ試料の片側の面に光電子増倍管を配置して中性子信号を検出した。光電子増倍管としては浜松ホトニクス製R1924Aを用い、印加電圧1000Vで使用した。得られた中性子蛍光信号はレクロイ社製LT344型オシロスコープを用いて波形データの収集を行った。収集条件としては、垂直感度100mV/div、時間感度1μs/div、トリガレベル32mVに設定して、サンプリング周波数500MHzで測定した。
熱中性子に対する検出効率は、各パルス信号波形の取得時に記録されたタイムスタンプを調べ、一定時間内に取得されたパルス信号波形の数を求めることにより計数率を導出した後、検出効率が既知のLiガラスシンチレータの計数率との相対比較を行うことにより求めた。
得られた信号を基に減衰時間とアフターグローの影響を調べるために、蛍光寿命特性の解析を行った。ZnS:Ag蛍光体の短い成分に当たる減衰時間は1μs以下であるといわれているので、1μsまで積分することで得られた総信号電圧の0.632倍(1−e−1に該当)にあたる値に積分信号電圧が達した経過時間を「短減衰時間」と定義した。そして、アフターグローに当たる長い成分の減衰時間を8μsまでの積分で得られた総信号電圧の0.632倍(1−e−1に該当)にあたる値に積分信号電圧が達した経過時間を「長減衰時間」と定義した。なお、本実施例で減衰時間と述べた場合には短減衰時間を示すこととする。
13種類の半透明ZnS/LiFコンバータ中性子シンチレータについて、それぞれ上記の特性試験によって中性子に対する検出効率と減衰時間を求めた。波長変換剤の重量を変化させた場合の中性子に対する検出効率と減衰時間の変化を図6に示す。中性子に対する検出効率についての結果より、波長変換剤の重量が0.25wt%の場合に最良の検出効率28.3%が得られることが分かった。既に、重量が極めて低い0.06wt%の場合でも波長変換剤の効果が出ていることから、アルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の場合には非常に微量の波長変換剤で最大の効果が得られることが分かった。
また、波長変換剤を入れない場合の検出効率が24.1%であることから絶対値で4.2%改善し、割合としては17%改善した。
この中性子に対する検出効率の結果は、上記で述べた蛍光体だけの蛍光の収率と、蛍光体に波長変換剤を加えた場合の蛍光の収率と、を評価した評価計算結果が、約17%蛍光の収率が増加することに対応して、シンチレータの奥の方で発光した蛍光を中性子信号として検出できるようになった結果である。
一方、波長変換剤の重量変化に対する減衰時間の結果を調べると、検出効率の場合と同様に波長変換剤の重量が低い0.125wt%と0.25wt%で一度短くなって0.26μsを示し、その後一度少し長くなった後、波長変換剤の重量の増加に伴って徐々に短くなることが分かった。波長変換剤を入れない場合の減衰時間が0.28μsであることから絶対値で0.02μs改善した。この結果より、波長変換剤の重量が低い0.25wt%では波長変換剤の効果が大きく効くことにより、短い波長成分の領域の蛍光の量を増加させ減衰時間が短縮されたことが分かる。
アフターグローの影響については、波長変換剤を入れない場合と波長変換剤の重量0.25wt%を入れた場合について、アフターグローの目安となる長減衰時間の比較を行った。その結果、波長変換剤を入れない場合の長減衰時間が1.33μsであったものが入れた場合には1.09μsまで短くなり、アフタ−グローの影響も改善されていることが分かった。
また、1μsまで積分することで得られた総信号電圧は1μsの時間の間に放出された蛍光量に比例するため、あらかじめフォトン放出量のわかったLiガラスシンチレータの総信号電圧を使用して中性子信号毎にフォトン数を求めた。波長変換剤の重量0.25wt%添加したZnS/LiF半透明中性子シンチレータが放出するフォトン数の分布を、添加なしのZnS/LiF半透明中性子シンチレータ、及び市販されているAST社製ZnS/LiF半透明中性子シンチレータのフォトン数分布と比較して図7に示す。この結果より、従来のAST社製シンチレータのフォトン数分布に比較して、少しフォトン数が少ない領域にピークはあるものの、添加しないで作製したZnS/LiF半透明中性子シンチレータとほぼ同じフォトン数分布が得られることが分かった。
さらに、1μsの平均フォトン放出量は、従来のAST社製シンチレータが24700フォトン/パルスであるのに対して、22300フォトン/パルスと少しだけ少ない結果が得られることが分かった。
[実施例3]
ZnS蛍光体として粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を用い、10B中性子コンバータと組み合わせた半透明中性子シンチレータにおいて、中性子が入射してシンチレータ内でZnS蛍光体から発生した蛍光のうち、ZnS蛍光体の透過率が下がる短い波長スペクトル領域の蛍光を波長変換剤である色素をシンチレータに添加して、透過率が良い長い波長領域に波長変換し、シンチレータ内を透過させることにより中性子に対する検出効率を上げたZnS/10B中性子コンバータ半透明中性子シンチレータについて説明する。
ZnS/10B中性子コンバータ半透明中性子シンチレータは、下記方法で製造した。
10B同位体濃度が90%以上の10B濃縮ホウ酸、変性脂環式ポリアミン及び水とエチルアルコールの混合液を混合し重合させて作製した後、ブレンディングメディウムを加えて混合し、作製した10B含有透明接着性物質を中性子コンバータ兼接着剤として使用し、ZnS:Ag蛍光体と混合して半透明ZnS/10Bコンバータ中性子シンチレータを作製した。
ZnS蛍光体としては、アルファ線検出割合の値が0.51倍である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を使用した。このアルファ線検出割合が0.51である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体は以下の工程により製作した。
中心の粒度が8μmの硫化亜鉛50gに対して、硫化亜鉛の重量の0.015%に相当する硝酸銀と、硫化亜鉛の重量の6%に相当する塩化リチウムと、硫化亜鉛の重量の0.12%に相当する硫化ストロンチウムと、添加し、蒸留水20ccを加えて混合した後、乾燥させた。黒鉛製るつぼ(外側が60mmφで長さが50mm、内部が直径30mmφで底の厚さが10mm、上蓋の厚さ10mm、材料を入れる容積は直径30mmφで長さ30mm、上蓋の中心には、内部で焼成材料から発生する昇華物の一部を逃すための1mmφの穴を設けた)に入れた後、上蓋を閉めて、電気炉にいれて焼成を行った。電気炉としては(株)デンケン社製の電気炉KDF―S70型を使用した。焼成は以下の条件で行った。
焼成温度:820℃
カバーガス:COを2リッター/分で流す
焼成時間:2時間
焼成した焼結物を粉状にした後、水で洗浄し、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体とした。
粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体のアルファ線照射とガンマ線照射に対しての蛍光特性を調べた。蛍光特性を測定するサンプルは、顕微鏡用カバーガラス(サイズ:18mmx18m、厚さ0.15mm)の上にニトムズ社製両面テープを張った後片面に粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の粉末を塗布した。この操作により両面テープの片面にZnS:Ag蛍光体粒子をほぼ一層塗布することができる。この方法を用いた場合のアルファ線照射に対する蛍光量(蛍光スペクトルの蛍光強度の積分値)に対する測定誤差は±10%である。
測定サンプルを蛍光光度計の励起光照射系のサンプル位置に設置してアルファ線照射及びガンマ線照射による蛍光スペクトルの測定を行った。
得られた硫化ストロンチウム0.12%添加の粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体のアルファ線照射蛍光スペクトルとガンマ線照射により求めたガンマ線照射蛍光スペクトルをその最大値を1としてそれぞれ規格化した蛍光スペクトルとした後、アルファ線照射蛍光スペクトルからガンマ線照射蛍光スペクトルを差し引くことによりアルファ線有感蛍光スペクトル求め、得られたこれら3種類の蛍光スペクトルを図25に示す。
図25から、アルファ線を照射した際に放出される320nm〜580nmの蛍光スペクトルでピーク波長が395nm〜410nmであるアルファ線有感蛍光スペクトルと、ガンマ線あるいは電子線を照射した際に放出される380nm〜560nmにわたる蛍光スペクトルでピーク波長が435nm〜450nmである蛍光スペクトルに対応したガンマ線有感蛍光スペクトルとが、合成された蛍光スペクトルを示す粒子線検出用銀賦活硫化亜鉛(ZnS:Ag)蛍光体において、アルファ線有感蛍光スペクトルとガンマ線有感蛍光スペクトルを足し合わせた全蛍光スペクトルの強度に対して、ガンマ線有感蛍光スペクトルの強度の割合(アルファ線検出割合)は0.51であった。
本粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性を図8に示す。透過率の悪化は450nm近辺から始まり、蛍光波長が短くなるに従い急に悪化し390nm近辺で透過しなくなることがわかる。また、蛍光スペクトルから本粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の短い波長成分が大きくなっていることが良くわかる。
波長変換剤としては、この短波長成分にあった吸収スペクトルを持つ波長変換剤(色素)としてBisMSBを用いた。
アルファ線検出割合が0.51である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトル及びBisMSBの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを図9に示す。BisMSBの吸収スペクトルは、410nmにピークを持ち、350nm〜435nmの範囲(FWHM)で良く吸収する。従って、BisMSBの吸収スペクトルがZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと良く合致している。
10B濃縮ホウ酸としてはステラケミファ社製96%10B濃縮ホウ酸を使用し、この10B濃縮ホウ酸を微粉化し、その粒度の平均値が1.6μmのものを使用した。エポキシ硬化剤の変性脂環式ポリアミンについては日新レジン株式会社製の主剤Z−1用の変性脂環式ポリアミン型硬化剤である80分硬化剤を用いた。
10B濃縮ホウ酸500mg、80分硬化剤130mg及び水200mgメチルアルコール200mgの混合液を混合し重合させた後、ブレンディングメディウムを加えて混合して作製した10B含有半透明接着性物質に粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を1250mg加えて混合した。
この混合溶液に波長変換剤を加えない場合及び8種類の重量の波長変換剤を加えた場合の計9種類のサンプルを用意した。波長変換剤としては、この短波長成分にあった吸収スペクトルを持つ波長変換剤(色素)としてBisMSBを用いた。波長変換剤を加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて混合し、5cm×5cm×0.3mm(厚さ)のアルミニウム基板に塗布し、乾燥させて固化して8種類の半透明ZnS/10Bコンバータ中性子シンチレータを製作した。8種類の波長変換剤の重量は、それぞれ、10B濃縮ホウ酸500mg、80分硬化剤130mg及び粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体1250mgを加えた総重量1880mgに対して0.05wt%,0.075wt%,0.1wt%,0.15wt%,0.2wt%,0.3wt%,0.4wt%、0.5wt%である。
製作後これらの半透明ZnS/10Bコンバータ中性子シンチレータの厚さを測定した結果、いずれも約350μmであった。
製作した9種類の半透明ZnS/10Bコンバータ中性子シンチレータについて、中性子線源としてAm−Li線源7.4GBqを用い、パラフィンブロック5cm厚で熱中性子化して検出特性を測定した。検出特性の測定方法は実施例1で説明した測定方法と同じ方法を用いた。
9種類の半透明ZnS/10Bコンバータ中性子シンチレータについて、それぞれ上記の特性試験によって中性子に対する検出効率と減衰時間を求めた。波長変換剤の重量を変化させた場合の中性子に対する検出効率と減衰時間の変化を図10に示す。中性子に対する検出効率は、波長変換剤の重量が0.075wt%の場合に最良の検出効率23.2%が得られることが分かった。波長変換剤を入れない時の検出効率が18.2%であることから絶対値で5%検出効率が増加し、相対値では27%増加した。
この結果より、実施例1のLiFを中性子コンバータとして使用した場合と同様に、10B中性子コンバータを使用した場合にも、アルファ線検出割合が0.51である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の場合、非常に微量の波長変換剤で効果が得られることが分かった。
一方、波長変換剤の重量変化に対する減衰時間の結果を調べると、検出効率の場合と同様に波長変換剤の重量が低い0.075wt%で一度短くなり0.256μsを示し、その後一度長くなった後波長変換剤の重量が増加に伴って徐々に短くなることが分かった。波長変換剤を入れない場合の減衰時間が0.261μsであることから、絶対値で0.005μs改善した。
[実施例4]
ZnS蛍光体としてP11型ZnS:Ag,Cl蛍光体を用い、中性子コンバータとしてLiFを用いた半透明中性子シンチレータにおいて、中性子が入射してシンチレータ内でZnS蛍光体から発生した蛍光のうち、ZnS蛍光体の透過率が下がる短い波長スペクトル領域の蛍光を波長変換剤である色素をシンチレータに添加して、透過率が良い長い波長領域に波長変換し、シンチレータ内を透過させることにより中性子に対する検出効率を上げたZnS/LiF半透明中性子シンチレータについて説明する。
ZnS蛍光体としては、P11型ZnS:Ag,Cl蛍光体である日亜化学工業(株)製1109−041蛍光体を使用した。
P11に代表されるZnS:Ag,Cl蛍光体は、350nm〜450nmにわたる短波長領域の蛍光が低く、アルファ線検出割合は0.29である。しかし、蛍光体の色は白色である。
1109−041蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性を図11に示す。その結果、透過率の悪化は450nm近辺から始まり、蛍光波長が短くなるに従い急に悪化し390nm近辺で透過しなくなることがわかる。また、蛍光スペクトルからZnS:Ag,Cl蛍光体の短い波長成分が小さいことが良くわかる。この短波長成分にあった吸収スペクトルを持つ波長変換剤としてBisMSBを用いた。
1109−041蛍光体の蛍光スペクトル及びBisMSBの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを図12に示す。BisMSBの吸収スペクトルは410nmにピークを持ち、350nmから435nmの範囲(FWHM)で良く吸収する。従って、BisMSBの吸収スペクトルが1109−041蛍光体の短波長側蛍光スペクトルの膨らみの波長領域と良く合致している。
1109−041蛍光体にLiFを加え、そこに波長変換剤であるBisMSBの添加量を変えて加えた後、接着剤と共に混合し、基板に塗布して作製したZnS/LiF半透明中性子シンチレータを用いて最適な波長変換剤の添加量を求める実験を行った。
LiFとしてはロシア製の90%Li濃縮LiFを使用し、このLiFを微粉化し、その粒度の平均値3μmのものを使用した。接着剤としては、コニシ(株)製SUプレミアム[ソフト]を用いた。また、この接着剤を融かす溶媒として、アサヒペン株式会社製ラッカーうすめ液S(ラッカーシンナー)を用いた。波長変換剤としては関東化学(株)製BisMSBを用いた。
最初に、30ccの容積の陶器製るつぼに接着剤80mgを入れ、ラッカーうすめ液S800mgを加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて溶かし接着剤溶液とした。超音波洗浄機としては、本田電子(株)製W−113型超音波洗浄機(周波数45kHz、出力100W)を用いた。
この溶液に、1109−041蛍光体とLiFとを重量比2:1として、1109−041蛍光体を1200mgと、LiF600mgを加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて混合する。この混合溶液に波長変換剤を加えない場合及び10種類の重量の波長変換剤を加えた場合の計11種類のサンプルを用意した。波長変換剤を加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて混合した後、5cm×5cm×0.3mm(厚さ)のアルミニウム基板に塗布し乾燥させて固化して11種類のZnS/LiF半透明中性子シンチレータサンプルを製作した。10種類の波長変換剤の重量は、それぞれ、1109−041蛍光体1200mgとLiF600mgを加えた総重量1800mgに対して0.5wt%,1wt%,1.5wt%,2wt%,2.5wt%,3wt%,3.5wt%,4wt%,4.5wt%、5wt%である。
製作後これらのZnS/LiF半透明中性子シンチレータの厚さを測定した結果、いずれも約350μmであった。
製作した11種類のZnS/LiF半透明中性子シンチレータについて、中性子線源としてAm−Li線源7.4GBqを用い、パラフィンブロック5cm厚で熱中性子化して検出特性を測定した。検出特性の測定方法は実施例1で説明した測定方法と同じ方法を用いた。
11種類のZnS/LiF半透明中性子シンチレータについて、それぞれ上記の特性試験によって中性子に対する検出効率と減衰時間を求めた。波長変換剤の重量を変化させた場合の中性子に対する検出効率と減衰時間の変化を図13に示す。中性子に対する検出効率は、波長変換剤の重量が1wt%の場合に最良の検出効率28.2%が得られることが分かった。波長変換剤を入れない時の検出効率が23.6%であることから、絶対値で4.6%検出効率が増加し、相対値では20%増加した。
一方、波長変換剤の重量変化に対する減衰時間の結果を調べると、検出効率が最も高い波長変換剤の重量が1wt%では0.392μsを示し、波長変換剤を入れない場合には、0.460μsであることから、絶対値で0.068μs改善されることが分かった。その後、波長変換剤の重量が増加に伴って徐々に短くなり、0.360μsまで改善されることがわかった。検出効率は、波長変換剤の添加量を多くしても減少しており、あまり改善されないことが分かった。
[実施例5]
ZnS蛍光体としてZnS:Ag,Al蛍光体を用い、中性子コンバータとしてLiFを用いた半透明中性子シンチレータにおいて、中性子が入射してシンチレータ内でZnS蛍光体から発生した蛍光のうち、ZnS蛍光体の透過率が下がる短い波長スペクトル領域の蛍光を波長変換剤である色素をシンチレータに添加して、透過率が良い長い波長領域に波長変換し、シンチレータ内を透過させることにより中性子に対する検出効率を上げたZnS/LiF半透明中性子シンチレータについて説明する。
ZnS蛍光体としては、ZnS:Ag,Al蛍光体である日亜化学工業(株)製1055−152蛍光体を使用した。ZnS:Ag,Al蛍光体の蛍光スペクトルと蛍光体の透過率特性を図14に示す。蛍光体の色は白色である。
ZnS:Ag,Al蛍光体の特徴は図14に示す蛍光スペクトルから、350nmから450nmにわたる短波長領域の蛍光に盛り上がりがなくアルファ線検出割合はほとんどないことがわかる。しかし、透過率は440nmから急に悪くなり390nmでは透過しなくなることから、この波長領域にあった吸収スペクトルを持つ波長変換剤としてBisMSBを用いた。
1055−152蛍光体の蛍光スペクトル及びBisMSBの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを図15に示す。BisMSBの吸収スペクトルは、410nmにピークを持ち、350nmから435nmの範囲(FWHM)で良く吸収する。従って、BisMSBの吸収スペクトルが1055−152蛍光体の短波長側蛍光スペクトルの一部の波長領域と合致していることがわかる。
ZnS:Ag,Al蛍光体にLiFを加え、そこに波長変換剤であるBisMSBの添加量を変えて加えた後、接着剤と共に混合し基板に塗布して作製したZnS/LiF半透明中性子シンチレータを用いて最適な波長変換剤の添加量を求める実験を行った実施例について述べる。
LiFとしてはロシア製の90%Li濃縮LiFを使用し、このLiFを微粉化し、その粒度の平均値3μmのものを使用した。接着剤としては、コニシ(株)製SUプレミアム[ソフト]を用いた。また、この接着剤を融かす溶媒として、ラッカーうすめ液Sを用いた。波長変換剤としては関東化学(株)製BisMSBを用いた。
最初に、30ccの容積の陶器製るつぼに接着剤80mgを入れ、ラッカーうすめ液S600mgを加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて溶かし接着剤溶液とした。超音波洗浄機としては、本田電子(株)製W−113型超音波洗浄機(周波数45kHz、出力100W)を用いた。
この溶液に、ZnS:Ag,Al蛍光体とLiFを重量比2:1として、ZnS:Ag,Al蛍光体を1200mgそしてLiF600mgを加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて混合する。この混合溶液に波長変換剤を加えない場合及び10種類の重量の波長変換剤を加えた場合の計11種類のサンプルを用意した。波長変換剤を加えた後超音波洗浄機で3分間超音波を加えて混合した後、5cm×5cm×0.3mm(厚さ)のアルミニウム基板に塗布し乾燥させて固化して11種類のZnS/LiF半透明中性子シンチレータを製作した。10種類の波長変換剤の重量は、それぞれ、ZnS:Ag,Al蛍光体1200mgとLiF600mgを加えた総重量1800mgに対して0.5wt%,1wt%,1.5wt%,2wt%,2.5wt%,3wt%,3.5wt%,4wt%,4.5wt%、5wt%である。
製作後これらのZnS/LiF半透明中性子シンチレータの厚さを測定した結果、いずれも約350μmであった。
製作した11種類のZnS/LiF半透明中性子シンチレータについて、中性子線源としてAm−Li線源7.4GBqを用い、パラフィンブロック5cm厚で熱中性子化して検出特性を測定した。検出特性の測定方法は実施例1で説明した測定方法と同じ方法を用いた。
11種類の半透明ZnS/LiF半透明中性子シンチレータについて、それぞれ上記の特性試験によって中性子に対する検出効率と減衰時間を求めた。波長変換剤の重量を変化させた場合の中性子に対する検出効率と減衰時間の変化を図16に示す。図16の中性子に対する検出効率のグラフより、波長変換剤の重量が2wt%の場合に最良の検出効率31.6%が得られることが分かった。波長変換剤を入れない時の検出効率が26.3%であることから絶対値で5.3%検出効率が増加し、相対値では20%増加した。
一方、波長変換剤の重量変化に対する減衰時間の結果を調べると、検出効率が最も高い波長変換剤の重量が2wt%では0.450μsを示し、波長変換剤を入れない場合には0.475μsであることから、絶対値で0.025μs改善されることが分かった。その後、波長変換剤の重量が増加に伴って、減衰時間は徐々に短くなり、波長変化剤の添加量が4.5wt%で減衰時間が0.414μsまで改善され、検出効率も30.0%まで改善されることが分かった。
[実施例6]
アルファ線検出割合の値が0.63の粒子線検出用ZnS蛍光体を用い、中性子コンバータとしてLiFを用いた半透明中性子シンチレータにおいて、中性子が入射してシンチレータ内でZnS蛍光体から発生した蛍光のうち、ZnS蛍光体の透過率が下がる短い波長スペクトル領域の蛍光を波長変換剤である色素としてアントラセン(7,12-dimethylbenz[a]anthracene)をシンチレータに添加して、透過率が良い長い波長領域に波長変換し、シンチレータ内を透過させることにより中性子に対する検出効率を上げたZnS/LiF半透明中性子シンチレータについて説明する。
ZnS蛍光体としては、アルファ線検出割合の値が0.51である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を使用した。ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性は図8に示されている。ZnS:Ag蛍光体の特徴は350nmから450nmにわたる短波長領域の蛍光がアルファ線検出割合は高く0.51である。このため、蛍光体の色は極めて薄い茶褐色である。
本実施例では、この短波長成分にあった吸収スペクトルを持つ波長変換剤としてアントラセン(7,12-dimethylbenz[a]anthracene)を用いた。
アルファ線検出割合の値が0.51である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトル及びアントラセンの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを図17に示す。アントラセンの吸収スペクトルは、407nmにピークを持ち、395nmから420nmの範囲(FWHM)で良く吸収する。従って、アントラセンの吸収スペクトルが粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の短波長側蛍光スペクトルの中心部分の波長領域と合致していることがわかる。
一方、アントラセンの波長変換蛍光スペクトルは、大きなピークが424nmと445nmにあり、418nmから450nm(FWHM)範囲で波長変換された蛍光スペクトルを示すことが分かる。
本蛍光体にLiFを加え、そこに波長変換剤であるアントラセンの添加量を変えて加えた後、接着剤と共に混合し基板に塗布して作製したZnS/LiF半透明中性子シンチレータを用いて最適な波長変換剤の添加量を求める実験を行った。
LiFとしてはロシア製の90%Li濃縮LiFを使用し、このLiFを微粉化し、その粒度の平均値3μmのものを使用した。接着剤としては、コニシ(株)製SUプレミアム[ソフト]を用いた。また、この接着剤を融かす溶媒として、ラッカーうすめ液Sを用いた。波長変換剤としては関東化学(株)製アントラセン(7,12-dimethylbenz[a]anthracene)を用いた。
最初に、30ccの容積の陶器製るつぼに接着剤80mgを入れ、ラッカーうすめ液S600mgを加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて溶かし、接着剤溶液とした。超音波洗浄機としては、本田電子(株)製W−113型超音波洗浄機(周波数45kHz、出力100W)を用いた。
この溶液に、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体とLiFを重量比1:1として、アルファ線検出割合の値が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を600mg、LiF600mgを加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて混合した。この混合溶液に波長変換剤を加えない場合及び12種類の重量の波長変換剤を加えた場合の計13種類のサンプルを用意した。波長変換剤を加えた後、超音波洗浄機で3分間超音波を加えて混合した後、5cm×5cm×0.3mm(厚さ)のアルミニウム基板に塗布し乾燥させて固化して13種類のZnS/LiF半透明中性子シンチレータを製作した。12種類の波長変換剤の重量は、それぞれ、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体600mgとLiF600mgを加えた総重量1200mgに対して0.25wt%,0.5wt%,0.75wt%,1wt%,1.5wt%,2wt%,2.5wt%,3wt%,3.5wt%,4wt%,4.5wt%、5wt%である。
製作後これらのZnS/LiF半透明中性子シンチレータの厚さを測定した結果、いずれも約280μmであった。
製作した13種類のZnS/LiF半透明中性子シンチレータについて、中性子線源としてAm−Li線源7.4GBqを用い、パラフィンブロック5cm厚で熱中性子化して検出特性を測定した。検出特性の測定方法は実施例1で説明した測定方法と同じ方法を用いた。
13種類の半透明ZnS/LiF半透明中性子シンチレータについて、それぞれ上記の特性試験によって中性子に対する検出効率と減衰時間を求めた。波長変換剤の重量を変化させた場合の中性子に対する検出効率と減衰時間の変化を図18に示す。図18の中性子に対する検出効率より、波長変換剤の重量がもっとも低い0.25wt%の場合に最良の検出効率29.7%が得られることが分かった。この結果より、アルファ線検出割合が0.51である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の場合には非常に微量の波長変換剤で最大の効果が得られることが分かった。
また、波長変換剤を入れない場合の検出効率が25.7%であることから、絶対値で4%改善し、割合としては16%改善した。
一方、波長変換剤の重量変化に対する減衰時間の結果を調べると、検出効率の場合と同様に波長変換剤の重量が低い0.25wt%と0.5wt%で一度短くなり0.27μsを示し、その後一度長くなった後、波長変換剤の重量が増加に伴って徐々に短くなることが分かった。波長変換剤を入れない場合の減衰時間が0.29μsであることから絶対値で0.02μs改善した。この結果より、波長変換剤の重量が低い0.25wt%では波長変換剤の効果が大きく効き、短い波長成分の領域の蛍光の量を増加させていることが分かる。
[実施例7]
波長変換剤である色素がPOPOP(1,4-Bis(5-phenyl-2-oxazolyl)benzene)である半透明中性子シンチレータの実施例について説明する。
ZnS:Ag蛍光体としてアルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を用いた。この蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性は図3に示した。粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の短い波長成分にあった吸収スペクトルを持つ波長変換剤としてPOPOPを用いた。POPOPの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルをアルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと共に図19に示す。POPOPの量子効率は93%であり、非常に高い変換効率を持っている。POPOPの吸収スペクトルは、418nmにピークを持ち、380nm〜435nmの範囲(FWHM)で良く吸収するので、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の短い波長領域の蛍光スペクトルと良く合致している。また、POPOPの蛍光スペクトルは、ピークが443nmで、435nm〜480nm(FWHM)範囲で波長変換された蛍光スペクトルを示すことが分かる。本色素の吸収スペクトル及び波長変換蛍光スペクトルは、上記で述べたBisMSBに非常に似ているが、波長変換蛍光スペクトルのピーク波長が7nm短くなっているのが特徴である。
アルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性及びPOPOPの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを用いて、蛍光体だけの蛍光の収率と蛍光体に波長変換剤を加えた場合の蛍光の収率を評価することが出来る。評価計算は実施例1で述べた方法を用いた。
以上の評価計算の結果、アルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体にPOPOPを加えない場合と加えた場合の収率はそれぞれ0.544と0.609であった。割合として約12%蛍光の収率が上昇するという評価結果を得ることができた。特性が似ているBisMSBの結果と比較すると蛍光収率の改善は約半分であった。原因はPOPOPの吸収スペクトルが380nmから410nmの波長範囲でBisMSBに比較して落ち込んでいることがあげられる。色素を選ぶ場合にZnS蛍光体のスペクトルとの重複が大きいほど本発明の効果が得られることが分かる。
[実施例8]
波長変換剤である色素がクマリン30(7-(Diethylamino)-3-(1-methyl-1H-benzimidazol-2-yl)2H-1-benzopyran-2-one)である半透明中性子シンチレータの実施例について説明する。
ZnS:Ag蛍光体としてアルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を用いた。本蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性は図3に示した。粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の短い波長成分にあった吸収スペクトルを持つ波長変換剤としてクマリン30を用いた。クマリン30の吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルをアルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと共に図20に示す。クマリン30の量子効率は64%と、高い変換効率を持っている。クマリン30の吸収スペクトルは、410nmにピークを持ち、380nm〜430nmの範囲(FWHM)で良く吸収するので、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の短い波長領域の蛍光スペクトルと良く合致している。また、クマリン30の蛍光スペクトルはピークが480nmで460nmから520nm(FWHM)範囲で波長変換された蛍光スペクトルを示すことが分かる。
アルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性及びクマリン30の吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを用いて、蛍光体だけの蛍光の収率と蛍光体に波長変換剤を加えた場合の蛍光の収率を評価することが出来る。評価計算は実施例1で述べた方法を用いた。
以上の評価計算の結果、アルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体にクマリン30を加えない場合と加えた場合の収率はそれぞれ0.54と0.57であった。割合として約5%蛍光の収率が上昇するという評価結果を得ることができた。実際には、中性子コンバータの吸収の効果が入るので波長変換剤を入れた方が良い結果が得られる。
[実施例9]
波長変換剤である色素が4-Dimethylamino-4 -Nitrostilbeneである半透明中性子シンチレータの実施例について説明する。
ZnS:Ag蛍光体としてアルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体を用いた。本蛍光体の蛍光スペクトルは図3に示した。粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の短い波長成分にあった吸収スペクトルを持つ波長変換剤として4−ジメチルアミノ−4−ニトロスチベン(4-Dimethylamino-4-Nitrostilbene)を用いた。4-Dimethylamino-4-Nitrostilbeneの量子効率は80%と、高い変換効率を持っている。本色素の吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルをアルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと共に図21に示す。本色素の吸収スペクトルは、430nmにピークを持ち、380nm〜470nmの範囲(FWHM)で良く吸収するので、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルの波長領域と良く合致している。また、本色素の蛍光スペクトルはピークが590nmで、535nm〜665nm(FWHM)範囲で波長変換された蛍光スペクトルを示すことが分かる。この波長領域は前記したようにSiAPD光検出素子の量子効率の最も高い領域と合致する。
また、スクリーンとして使用してCCDカメラ素子と組み合わせラジオグラフィ装置として用いた場合CCDカメラ素子の量子効率の最も高い領域と合致する。
粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性及び4-Dimethylamino-4-Nitrostilbeneの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルを用いて、蛍光体だけの蛍光の収率と蛍光体に波長変換剤を加えた場合の蛍光の収率を評価することが出来る。評価計算は実施例1で述べた方法を用いた。
以上の評価計算の結果、アルファ線検出割合が0.63である粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体に4-Dimethylamino-4 -Nitrostilbeneを加えない場合と加えた場合の収率はそれぞれ0.54と0.57あった。割合として約5%蛍光の収率が上昇するという評価結果を得ることができた。
[実施例10]
ZnS:Cu蛍光体と中性子コンバータであるLiFから構成される半透明中性子シンチレータにおいて、加える波長変換剤である色素をNile Red (9-diethylamino-5-benzo[α]phenoxazinone)とした半透明中性子シンチレータの実施例について説明する。
ZnS:Cu蛍光体である日亜化学工業(株)製1108−110蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性を図22に示す。この蛍光スペクトルにあった吸収スペクトルを持つ波長変換剤としてNile Redを用いた。Nile Redの吸収スペクトルと波長変換蛍光スペクトルをZnS:Cu蛍光体の蛍光スペクトルと共に図23に示す。Nile Redの量子効率は80%と高い変換効率を持っている。
Nile Redの吸収スペクトルは、520nmにピークを持ち、450nm〜550nmの範囲(FWHM)で良く吸収する。Nile Redの吸収スペクトルがZnS:Ag蛍光体の蛍光スペクトルと良く合致していることがわかる。また、Nile Redの蛍光スペクトルは、ピークが580nmで、550nm〜640nm(FWHM)範囲で波長変換された蛍光スペクトルを示すことが分かる。この波長領域は前記したようにSiAPD光検出素子あるいはCCDカメラ素子の量子効率の最も高い領域と合致する。
ZnS:Cu蛍光体の蛍光スペクトルと透過率特性及びNile Redの吸収スペクトルと波長シフト蛍光スペクトルを用いて、蛍光体だけの蛍光の収率と蛍光体に波長変換剤を加えた場合の蛍光の収率を評価することが出来る。評価計算は実施例1で述べた方法を用いた。
評価計算の結果、ZnS:Cu蛍光体にNile Redを加えない場合と、加えた場合の収率は、それぞれ0.826と0.829であった。この結果、波長変換剤を加えた場合と加えない場合にはほとんど同じ蛍光収率が得られることが分かった。本シンチレータと組み合わせて使用する光検出器としてはSiAPD光検出素子あるいはスクリーンとして使用してCCDカメラ素子と組み合わせラジオグラフィ装置として用いた場合、その量子効率の最も高い波長と本シンチレータの波長変換蛍光スペクトルとがほぼ一致することを考慮すると本シンチレータの効果が生ずることが分かる。

Claims (5)

  1. 基板と、当該基板上のZnS系蛍光体、中性子コンバータ及び波長変換剤としての色素を分散させた接着性物質を含む中性子検出体と、を含む半透明ZnS系中性子シンチレータ。
  2. 前記ZnS系蛍光体は、粒子線検出用ZnS:Ag蛍光体、ZnS:Ag,Cl蛍光体、ZnS:Ag,Al蛍光体、又はZnS:Cu蛍光体である、請求項1に記載の半透明ZnS系中性子シンチレータ。
  3. 前記中性子コンバータは、LiF又は10B中性子コンバータである、請求項1又は2に記載の半透明ZnS系中性子シンチレータ。
  4. 前記波長変換剤としての色素は、BisMSB(1,4-Bis(2-methylstyryl) benzene)、POPOP(1,4-Bis(5-phenyl-2-oxazolyl)benzene)、クマリン30(7-(Diethylamino)-3-(1-methyl-1H-benzimidazol-2-yl)-2H-1-benzopyran-2-one)、アントラセン誘導体(7,12-dimethylbenz[α]anthracene)、4−ジメチルアミノ−4’−ニトロスチルベン(4-Dimethylamino-4 -Nitrostilbene)又はNile Red(9-diethylamino-5-benzo[α]phenoxazinone)である、請求項1〜3のいずれか1に記載の半透明ZnS系中性子シンチレータ。
  5. 前記中性子検出体は、(1)変性脂環式ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン又は脂肪族ジアミンを主材とする硬化剤と、(2)水、エチルアルコール、メチルアルコール、水及びエチルアルコールの混合液又は水及びメチルアルコールの混合液から選択される溶媒と、を含む接着性物質に、ZnS系蛍光体及び色素を混合して、基板上に塗布して乾燥させ固化させて形成される請求項1〜4のいずれか1に記載の半透明ZnS系中性子シンチレータ。
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