JP2015175235A - 電動流体ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で制御部カバーに帯電した静電気を常に自動車本体に逃がすことができる新規な電動流体ポンプを提供することにある。【解決手段】金属製の制御部ケースを合成樹脂製の電動機部に固定する固定ボルトを接地するカバー接地端子と駆動制御部の基板接地端子とを一体的に形成して接地端子形成体とすると共に、この接地端子形成体を電動機部の合成樹脂内に埋設した。これによれば、固定ボルトからの静電気をカバー接地端子を介して駆動制御部の基板接地端子に流すことができるので構成が簡単となると共に、常に制御部カバーから静電気を接地端子に流しているので放電によるサージの影響を抑制することができるようになる。【選択図】図2
Description
本発明は電動流体ポンプに係り、特に自動車のエンジンルーム内に装着される電動流体ポンプに関するものである。
近年、自動車の低燃費化への要求が高まるにつれ、アイドルストップ機能付きの自動車やハイブリッド車の実用化が進んでいる。これらの車両は、内燃機関の停止時に内燃機関によって駆動される機械式の流体ポンプも停止するため、内燃機関以外の流体ポンプ駆動源が必要となる。また、ハイブリッド車や電気自動車においては、走行用モータやその制御装置、またはバッテリを冷却するための冷却水ポンプが必要とされる。これらの背景から、電動機を使用してインペラが固定されたロータに回転力を付与してポンプ作用を行う電動流体ポンプの使用が増加する傾向にある。
そして、最近の電動流体ポンプでは巻線部に制御された駆動電流を流すための駆動制御部を、電動流体ポンプに一体的に固定することが行われるようになってきている。このように、駆動制御部を電動流体ポンプに一体化する理由は、巻線と駆動制御部の間の配線を短くして外部ノイズの悪影響をできるだけ少なくする、配線コストを低くする、駆動制御部とポンプ部の間のキャリブレーションを容易にする、取り扱い性を改善するといった、少なくとも一つ以上の目的のために行われている。
例えば、特開2010−144693号公報(特許文献1)には、インペラが収容されるポンプ室と連通する空間内にロータを収容し、ロータ収容空間から液密に隔成された空間内に巻線を含むステータを収容するすると共に、更に駆動制御部を樹脂で形成された電動機部に固定し、この電動機部と駆動制御部をカバーによって覆う構成の電動流体ポンプが記載されている。
本発明が対象とする電動流体ポンプにおいては、駆動制御部は合成樹脂によってモールドされた電動機部に固定されており、この駆動制御部を覆うようにして金属製の制御部カバーが電動機部に固定されている。このように金属製の制御部カバーを用いる理由は、駆動制御部から発生した熱を外部に放出する放熱板として機能させるためである。駆動制御部にはインバータ回路が搭載されているので、このインバータ回路を構成するIGBTよりなるスイッチング素子から多くの熱が発生している。この熱を放出するために金属製の制御部カバーを使用しているものである。
ところで、この種の電動流体ポンプには静電気が帯電することが往々にして発生し、制御部カバーに静電気が蓄積されて高い電圧となって帯電するようになる。この高い電圧の静電気が、制御部カバー内部の駆動制御部に搭載された電気素子に放電によって流れると電気素子の動作が阻害されたり、甚だしい時は電気素子が破壊されるといった悪影響を及ぼすことになる。
このため、制御部カバーに蓄積された静電気が電気素子に悪影響を及ぼさないようにするため、静電気を自動車本体に逃がしてやる必要がある。
そして、制御部カバーに帯電した静電気を自動車本体に逃がす方法として、金属製の制御部カバーに接続された被覆銅線を電動流体ポンプの側面に沿って取り付けて内燃機関の一部に設置する方法や、金属製の制御部カバーに放電端子を近接して設け、この放電端子を電源グラウンドに接属する方法等が知られている。
しかしながら、金属製の制御部カバーに接続された被覆銅線を電動流体ポンプの側面に沿って取り付けて内燃機関の一部に接地する方法の場合は、被覆銅線が外部に露出しているため耐久性に乏しく、耐久性を上げるには別の保護部材によって被覆導線を保護するといった対策を施すことが必要となり、部品点数の増加によって製品コストを上げるという不具合が生じる。
また、金属製の制御部カバーに近接して設けられた放電端子を電源グラウンドに接属する方法の場合は、或る所定の閾値まで静電気が蓄積される必要があることから放電時のサージノイズによって、駆動制御部に搭載された電気素子の動作が阻害されるといった不具合が生じる。
本発明の目的は、簡単な構成で制御部カバーに帯電した静電気を常に自動車本体に逃がすことができる新規な電動流体ポンプを提供することにある。
本発明の特徴は、金属製の制御部ケースを合成樹脂製の電動機部に固定する固定ボルトを接地するカバー接地端子と駆動制御部の基板接地端子とを一体的に形成して接地端子形成体とすると共に、この接地端子形成体を電動機部の合成樹脂内に埋設した、ところにある。
本発明によれば、接地端子形成体を電動機部の合成樹脂に埋設し、固定ボルトからの静電気をカバー接地端子及び駆動制御部の基板接地端子に流すことができるので構成が簡単となると共に、常に制御部カバーから静電気を基板接地端子側に流しているので放電によるサージの影響を抑制することができるようになる。
本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
以下、本発明になる電動流体ポンプの第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は電動流体ポンプの全体構成を示す斜視図である。図1に示す電動流体ポンプは、作動流体として冷却水を用い、熱交換器であるラジエータに接続された循環回路中に組み込まれる冷却用ポンプであり、例えばハイブリッド自動車において内燃機関や駆動用モータ、インバータ等に冷却水を供給するウォーターポンプである。
本実施例になる電動流体ポンプ10は、ポンプ部11と、ポンプ部11を駆動する駆動部としての電動機部12と、電動機部12の作動を制御する駆動制御部13とを一体化した1つの組立体として構成されている。
ポンプ部11は、ポンプ室14を形成するポンプハウジング15と、ポンプ室14内に回転自在に収容されたインペラ16とを有している。
ポンプハウジング15は、ポンプ室14内に開口する吸入口(図示せず)と、ポンプ室14の外周部からポンプ室14外に開口する吐出口(図示せず)とを有している。ポンプ部11は、インペラ16が回転することで冷却水に対して径方向に圧力を与える遠心ポンプである。インペラ16が回転することにより、冷却水は、吸入口からポンプ室14内に吸入され、インペラ16の外周側の吐出流路を経て、吐出口から吐出(圧送)される。
インペラ16は、複数の羽根17を有する羽根車であり、電動機部12のロータ部18の一端にロータ部18と同軸一体に形成され、ポンプ室14内に設置されている。各羽根17は、ロータ部18の中心軸を中心として放射状に配置されている。各羽根17は、例えば、外径側に向かうにつれてインペラ16の回転方向とは反対側に傾斜するように配置され、全体として渦巻き状に設置されている。
ポンプハウジング15には、ロータ部18及びインペラ16の軸向側への移動を規制する、移動規制部材19がポンプハウジング15と一体に形成されている。この移動規制部材19には中央にロータ18の支持軸20の一端が挿入されており、これによって支持軸20の一端を支持している。
電動機部12は、所謂インナーロータ型のDCブラシレスモータであり、筒状のステータ部21と、ステータ部21の内周側に設けられたロータ部18と、これらを収納する電動機室22を形成する電動機ハウジング23と、電動機ハウジング23に設けられロータ部18を回転自在に支持する支持軸20とを有している。
電動機部12を構成する電動機ハウジング23は合成樹脂から作られており、この電動機ハウジング23はステータ部21がインサート成型によって一体化されている。同様に、支持軸20もインサート成型によって一体化されている。電動機ハウジング23は上述したように合成樹脂で形成されており、有底の円筒状の形状を有している。そして、円形の底面部23Aの中心付近に支持軸20が植立するように合成樹脂内に埋設されている。
ステータ21は複数の巻線24を有しており、巻線24への通電により内周側に磁束を生じさせる。ロータ部18は磁極保持部25と軸部26を一体に有しており、例えば合成樹脂材料を射出成形することでインペラ16と一体に形成されている。磁極保持部25は永久磁石より構成されており、合成樹脂によってロータ部18内に強固に取り付けられている。ロータ部18は冷却水と接触するため磁極保持部25は合成樹脂で覆われている。尚、インペラ16をロータ部18とは別部材としてこれをロータ部18に固定することとしても良い。
磁極保持部25は、ステータ21の内周面と僅かな隙間(エアギャップ)を介して対向するように設置される円柱状の部材であり、その内部にはステータ部21の複数の巻線24に対応して複数の磁極(周方向で交互にN極S極が並ぶ永久磁石)が保持されている。
軸部26は、インペラ16を回転させるための動力を伝達する軸部材であり、磁極保持部25と同軸に中空に設けられている。ロータ部18の磁極保持部25付近とインペラ16付近には第1軸受保持部と第2軸受保持部が形成され、これらの軸受保持部には第1軸受27と第2軸受28が夫々設置され、各軸受27、28はロータ18に対して固定されている。軸受27、28は共に滑り軸受であり、各軸受28、28の内周面の直径は、支持軸20の直径よりも僅かに大きく設けられている。
支持軸20はロータ28の軸中心に形成された支持孔を貫通し、ロータ18が支持軸20に設置された状態で、ロータ18に固定された軸受28、28の内周面と支持軸20の外周面との間には僅かな隙間が存在する。すなわち、各軸受27、28は支持軸20に対して摺動可能に設けられており、ロータ18は各軸受27、28を介して支持軸20に回転自在に支持される。
ステータ部21は、鉄心29に一体的に形成した複数の突極部29Aに合成樹脂のボビンを介して巻線24が巻回されており、突極部29Aに形成した円弧状のティースの内周にロータ部18が位置している。したがって巻線24に順次電力を与えることによってロータ部18が回転することになる。
電動機ハウジング23の底面部23Aのロータ18が位置する側の反対面には駆動制御部13が取り付けられている。駆動制御部13は電動機部12の駆動電流を供給するドライバであり、基板収容室30を形成する制御部カバー31と、基板収容室30に収容される電子部品が搭載された制御基板32等を有している。制御部カバー31はアルミ合金等からなる金属製のカバーであり、駆動制御部13から発生した熱を外部に放出する放熱板として機能している。
制御基板32には、電子回路素子(CPUやトランジスタ等)が搭載されており、これらの回路素子とキャパシタ等により変換器及び制御回路が構成されている。変換器は、直流電源であるバッテリから電力供給を受けて電動機部12の巻線24へ交流電力を供給する。制御回路は変換器を構成するIGBTのオン-オフを制御するものであり、マイクロコンピュータ等から構成されている。
ステータ部21とロータ18の間には隔壁部材33が配置されている。この隔壁部材33は薄い断面を有した金属薄板からなっている。隔壁部材33は両端が開口した開口端33A、33Bを有する直管の円筒状に形成されおり、ロータ部18の軸方向に沿って延びている。隔壁部材33の一方の開口端33Aはインペラ16側の電動機ハウジング23の側面部23Bと接合され、隔壁部材33の他方の開口端33Bは電動機ハウジング23の底面部23Aに埋め込まれるように埋設されている。もちろん、隔壁部材33の一方の開口端33Aもインペラ16側の電動機ハウジング23の側面部23Bに埋め込まれるように埋設されていても良いものである。要は、隔壁部材3の両端の開口端33A、33Bが直接的に電動機ハウジング23の合成樹脂と液密的に結合されていれば良いものでる。
そして、図からわかるように、ロータ部18はこの隔壁部材33の内部に収納され、かつ隔壁部材33内部には冷却水が導入されてくるものである。更に、ステータ部21の突極部29Aに形成した円弧状のティースの内周面は、隔壁部材33の外周面と一致する円弧形状に形成されており、隔壁部材33の外周面と金属接触している。これによって、巻線24の銅損による熱や周囲環境から入熱する内燃機関の熱は突極部29Aを介して隔壁部材33に伝熱され、更に冷却水に伝熱されて放熱されるようになっている。
以上のような構成の電動流体ポンプ10において、上述したように、この種の電動流体ポンプ10の表面には静電気が帯電することが往々にして発生し、制御部カバー31に静電気が蓄積されて高い電圧となって帯電するようになる。この高い電圧の静電気が内部の駆動制御部13に搭載された電気素子に放電によって流れると電気素子の動作が阻害されたり、甚だしい時は電気素子が破壊されるといった悪影響を及ぼすことになる。
そして、制御部カバー31に帯電した静電気を自動車本体に逃がす方法として、金属製の制御部カバー31に接続された被覆銅線を電動流体ポンプ10の側面に沿って取り付けて内燃機関の一部に設置する方法や、金属製の制御部カバー31に放電端子を近接して設け、この放電端子を電源グラウンドに接属する方法がある。
しかしながら、金属製の制御部カバー31に接続された被覆銅線を電動流体ポンプの側面に沿って取り付けて内燃機関の一部に接地する方法の場合は、被覆銅線が外部に露出しているため耐久性に乏しく、耐久性を上げるには別の保護部材によって被覆導線を保護するといったことが必要となり、部品点数の増加によって組み立て工数を含む製品コストを上げるという不具合が生じる。
また、金属製の制御部カバー31に近接して設けられた放電端子を電源グラウンドに接属する方法の場合は、或る所定の閾値まで静電気が蓄積される必要があることから放電時のサージノイズによって、駆動制御部13に搭載された電気素子の動作が阻害されるといった不具合が生じる。
そこで本実施例においては、このような従来の不具合を対策するため以下に示す構成によって、制御部カバー31の静電気を自動車本体に逃がすようにしたものである。図2は制御部カバー31と電動機ハウジング23の固定部分の一部拡大断面を示しており、更に図3はその詳細を示している。
図2、図3からわかるように、合成樹脂からなる電動機ハウジング23はハウジング固定部23Aを有しており、このハウジング固定部23Aは制御部カバー31のカバー固定部31Aと衝き合わされて接触している。ハウジング固定部23Aとカバー固定部31Aは金属よりなる固定ボルト34によって固定されるが、固定ボルト34がねじ込まれるハウジング固定部23Aには金属製のインサートナット35が配置されている。
このインサートナット35は、電動機ハウジング23が合成樹脂によってモールド成形される時に一緒にモールドされるものであり、固定ボルト34による固定力が合成樹脂製のハウジング固定部23Aに直接及ばないようにするために金属製としている。これによってハウジング固定部23Aの損壊を防止することができる。更に、インサートナット35は静電気の導通路としても機能するものであり、これについては後述する。
また、電動機ハウジング23が合成樹脂によってモールド成形される時に本実施例の特徴である接地端子形成体36も一緒にモールドされるものである。接地端子形成体36は、基板側端子36A、コネクタ側端子36B及び埋設領域36Cからなる基板接地端子と、埋設領域36Cから分岐したカバー接地端子38とから形成されている。
接地端子形成体36を構成する基板接地端子の一方の基板側端子36Aは、制御基板32に形成された電源グランド端子に接続されるように電動機ハウジング23から露出され、基板接地端子の他方のコネクタ側端子36Bはコネクタ部37から露出されて自動車本体に接地されるようになっている。ここで自動車本体とは電源側の電源グランド端子であり、この電源グランドは自動車本体に接地されている。
更に、合成樹脂に埋設された接地端子形成体36の埋設領域36Cの途中からカバー接地端子38が分岐しており、このカバー接地端子38は固定ボルト34と電気的に接続されている。カバー接地端子38も電動機ハウジング23の合成樹脂内に埋設されている。
具体的には図3にある通り、インサートナット35は大径部35Aと小径部35Bとから形成されており、カバー接地端子38の先端に形成した環状部38Aがインサートナット35の小径部35Bに挿入されて電気的な導通を確保している。したがって、固定ボルト34がインサートナット35にねじ込まれた時にカバー接地端子38と固定ボルト34とが電気的に接続されることになる。
ここで、接地端子形成体36の埋設領域36Cとカバー接地端子38は電動機部12を合成樹脂によって成形する時に同時に合成樹脂に埋設されている。これによって、接地端子形成体36には従来の保護部材等が必要なくなり、部分点数や組み込み工数の低減を図ることができる。
接地端子形成体36は板状の銅板を用いて作られており、図4Aに示す形状にプレス機によって打ち抜かれるものである。すなわち、図4Aに示すように基板側端子36A、コネクタ側端子36B、埋設領域36Cは直線状に形成されている。そして、この埋設領域36Cの途中から垂直に分岐され、更に垂直に折り曲って埋設領域36Cと平行になるようカバー接地端子38が形成されている。また、カバー接地端子38の先端には環状部38Aが形成されている。このような形状に銅板がプレス機によって打ち抜かれるものである。
打ち抜かれた接地端子形成体36は図4Bに示すように、カバー接地端子38の途中から90°だけ折り曲げられる。折り曲げられた先端の環状部38Aにはインサートナット35の小径部35Bが挿入されることになる。
そして、成形金型にステータ部21、支持軸20、インサートナット35を組み込んだ接地端子形成体36及びその他の構成部材を配置し、合成樹脂注入機より合成樹脂を成形金型に注入する。このような作業によって、ステータ部21、支持軸20、インサートナット35を組み込んだ接地端子形成体36及びその他の構成部材が、合成樹脂によって一体化された電動機部12を形成することができる。
また、合成樹脂によって一体的にモールドされた電動機部12には、制御基板32が固定された後に、制御部カバー31が固定ボルト34によって電動機ハウジング23に固定されるものである。更に、電動機部12の内部にはロータ18が配置され、ポンプ部11を覆うようにポンプハウジング15が固定されるものである。
このようにして作られた電動流体ポンプ10を自動車に搭載した場合に電動流体ポンプ10に静電気が帯電することは既に述べた通りである。そして、制御部カバー31には固定ボルト34が接しているので、制御部カバー31の表面に帯電した静電気は常に固定ボルト34の頭部に流れることができる。
固定ボルト34に流れてきた静電気はインサートナット35に伝わり、インサートナット35から接地端子形成体36のカバー接地端子38に流れ、更に接地端子形成体36の埋設領域36Cを経て基板接地端子のコネクタ側端子36Bに流れるようになる。
本実施例では、カバー接地端子38と基板接地端子36A、36B、36Cが接地端子形成体36として一体的にプレス機によって形成されているため、部品点数を少なくできるので構成が簡単となる。また、接地端子形成体36を電動機部12と一緒にモールド成形するので、接地端子形成体を保護部材等で保護する必要がなく、部品点数や組み付け工数を低減することが可能となる。
更に、固定ボルト34と接地端子形成体36は常に接続されているので、制御部カバー31に蓄積される静電気は常に接地端子形成体36に流れることができ、放電によるサージの影響を抑制することができるようになる。
次に、本発明の第2の実施形態になる電動流体ポンプについて図5を用いて説明するが、図5に示す実施例は耐水性を向上したカバー接地端子の形状を提案するものである。尚、図2と同じ参照番号は同じ構成要素を示しているので説明を省略する。
図5において、参照番号39は耐水性を向上したカバー接地端子を示しており、このカバー接地端子39は円弧状の形状に形成されている。このように円弧状に形成すると、合成樹脂とカバー接地端子39との間に形成される接触隙間がラビリンス形状となって水等の液体が侵入してくるのを抑制することができる。
この種の電動流体ポンプは自動車のエンジンルーム内に装着されるため、エンジンルーム内に侵入してくる雨水や塩水によって電動流体ポンプの金属部分が腐食するという現象がある。特に、電動機ハウジング23の内部の合成樹脂と接地端子形成体36の接触面で微細な腐食が進行し、制御基板32が設けられた空間や電動機部12内部に雨水や塩水が侵入するようになる。このため制御基板32上の電気素子や電動機部12の巻線24が短絡するといった故障を誘発する恐れがある。
このような雨水や塩水の侵入を防止するために、本実施例ではカバー接地端子39は円弧状の形状に形成されている。このように円弧状に形成すると、合成樹脂とカバー接地端子39との間に形成される接触面の隙間がラビリンス形状となって雨水や塩水が侵入してくるのを抑制することができる。
尚、本実施例では円弧状の形状に形成されているが、これに限らず、連続した波形や凹凸形であっても良く、要は複数の折れ曲りを有する形状で有れば雨水や塩水が侵入してくるのを抑制することができるものである。
以上述べた通り、本発明は金属製の制御部ケースを合成樹脂製の電動機部に固定する固定ボルトを接地するカバー接地端子と駆動制御部の基板接地端子とを一体的に形成して接地端子形成体とすると共に、この接地端子形成体を電動機部の合成樹脂内に埋設するようにした。
この構成によれば、カバー接地端子と基板接地端子が接地端子形成体として一体的に形成されているため、部品点数を少なくできるので構成が簡単となる。また、接地端子形成体を電動機部と一緒にモールド成形するので、接地端子形成体を保護部材等で保護する必要がなく、部品点数や組み付け工数を低減することが可能となる。
更に、固定ボルトと接地端子形成体は常に接続されているので、制御部カバーに蓄積される静電気は常に接地端子形成体に流れているので、放電によるサージの影響を抑制することができるようになる。
10…電動流体ポンプ、11…ポンプ部、12…電動機部、13…制御部、14…ポンプ室、15…ポンプハウジング、16…インペラ、17…羽根、18…ロータ部、19…移動規制部材、20…支持軸、21…ステータ部、22…モータ室、23…電動機ハウジング、24…巻線、25…磁極保持部、26…軸部、27、28…軸受、29…鉄心、29A…突極部、31…制御部カバー、32…制御基板、33…隔壁部材、34…固定ボルト、35…インサートナット、36…接地端子形成体、36A…基板側端子、36B…コネクタ側端子、36C…埋設領域、37…コネクタ部、38…カバー接地端子、38A…環状部。
Claims (7)
- 冷却水を搬送するポンプ部と、少なくともロータ部とステータ部から構成され合成樹脂によって一体化された電動機部と、前記電動機部の前記ロータ部の回転を駆動制御する駆動制御部と、前記駆動制御部を覆い前記電動機部に固定ボルトによって固定される金属製の制御部カバーと、前記駆動制御部からの駆動信号を前記ステータ部に巻回された巻線に供給することによって前記電動機部の前記ロータ部を回転させて前記ポンプ部を駆動する電動流体ポンプにおいて、
前記制御部ケースを前記電動機部に固定する前記固定ボルトを接地するカバー接地端子と前記駆動制御部の基板接地端子とを一体的に形成して接地端子形成体とし、前記接地端子形成体を前記電動機部を形成する前記合成樹脂内に埋設すると共に、前記接地端子形成体の基板側端子を前記駆動制御部の電源グランド端子に接続し、前記接地端子形成体のコネクタ側端子を電源側の電源グランド端子に接続することを特徴とする電動流体ポンプ。 - 請求項1に記載の電動流体ポンプにおいて、
前記接地端子形成体は、板状の銅板からプレス機によって所定の形状に一体的に打ち抜かれて形成されることを特徴とする電動流体ポンプ。 - 請求項2に記載の電動流体ポンプにおいて、
前記接地端子形成体は、直線状の基板接地端子と前記基板接地端子の途中から分岐されたカバー接地端子とから形成され、前記基板接地端子の一方は前記基板側端子とされ、前記基板接地端子の他方は前記コネクタ側端子とされ、更に前記カバー接地端子は前記固定ボルトに電気的に接続されていることを特徴とする電動流体ポンプ。 - 請求項3に記載の電動流体ポンプにおいて、
前記電動機部の合成樹脂内には前記固定ボルトがねじ込まれるインサートナットが設けられており、このインサートナットに前記カバー接地端子が固定されていることを特徴とする電動流体ポンプ。 - 請求項4に記載の電動流体ポンプにおいて、
前記インサーロナットは大径部と小径部を有し、前記カバー接地端子に形成された環状部が前記小径部に挿入されて固定されていることを特徴とする電動流体ポンプ。 - 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電動流体ポンプにおいて、
前記カバー接地端子の途中にはラビリンスを形成する折り曲り部が形成されていることを特徴とする電動流体ポンプ。 - 請求項6に記載の電動流体ポンプにおいて、
前記カバー接地端子の前記折り曲り部は、円弧状、連続した波形、或いは凹凸形のいずれかであることを特徴とする電動流体ポンプ。
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