JP2015170451A - イオン源及びそのイオン源を用いたイオン照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】引出し電極200の短絡を防ぐ。【解決手段】アークチャンバ100と、アークチャンバ100内に電子を放出するカソード20と、カソード20に対向して設けられ、カソード20から放出された電子を反射するリフレクタ30と、アークチャンバ100内において、少なくとも一部がカソード20及びリフレクタ30の間に形成される電子通過領域Xの周囲に設けられ、電子又はプラズマによりスパッタリングされて所定のイオンを放出するスパッタターゲット50とを具備し、スパッタターゲット50が、電子通過領域X側の先端部54から基端53側に行くにつれて外側に広がるように傾斜した傾斜面55を有しているようにした。【選択図】図1
Description
本発明は、例えばイオン照射装置に用いられるイオン源に関するものである。
この種のイオン源としては、特許文献1に示すように、アークチャンバ内に電子を放出するカソードと、カソードに対向して設けられ、カソードから放出された電子を反射するリフレクタと、アークチャンバの底面に設けられ、電子又はプラズマによりスパッタリングされて所定のイオンを放出するスパッタターゲットとを具備するものがある。
このイオン源を用いたイオン照射装置は、上述したスパッタターゲットから放出された所定のイオンを、アークチャンバの上方に設けられた引出し電極がイオンビームとして引き出すように構成されている。
しかしながら、上述した構成では、カソードやリフレクタ起因の物質が、スパッタターゲットの側面に当たってアークチャンバの底面に薄片として堆積してしまい、この薄片が剥離することにより、引出し電極が短絡するという問題がある。
また、スパッタターゲットの形状や大きさによって、電子やプラズマが当該スパッタターゲットに多量に照射されると、スパッタターゲットから所定のイオンが過大に放出されてしまい、引出し電極の短絡を招くことになる。
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであって、イオン照射装置における引出し電極の短絡を防ぐことをその主たる課題とするものである。
すなわち本発明に係るイオン源は、アークチャンバと、前記アークチャンバ内に電子を放出するカソードと、前記カソードに対向して設けられ、前記カソードから放出された電子を反射するリフレクタと、前記アークチャンバ内において、少なくとも一部が前記カソード及び前記リフレクタの間に形成される電子通過領域の周囲に設けられ、電子又はプラズマによりスパッタリングされて所定のイオンを放出するスパッタターゲットとを具備し、前記スパッタターゲットが、前記電子通過領域側の先端部から基端側に行くにつれて外側に広がるように傾斜した傾斜面を有していることを特徴とするものである。
このようなものであれば、スパッタターゲットが、電子通過領域側の先端部から基端側に行くにつれて外側に広がるように傾斜した傾斜面を有しているので、カソードやリフレクタ起因の物質は、この傾斜面に当たって斜め上方の電子通過領域に向かい、アークチャンバの底面に堆積しにくくなる。これにより、アークチャンバの底面からカソードやリフレクタ起因の物質が剥離することで生じる引出し電極の短絡を防ぐことができる。
さらに、電子通過領域を通過する電子やこの電子により生じるプラズマがスパッタターゲットに直接照射されたとしても、上述した傾斜面を有しているので、電子やプラズマが照射される領域における単位面積当たりの照射量を減少させることができ、スパッタターゲットから過大なイオンが放出することにより生じる引出し電極の短絡を防止することができる。
さらに、電子通過領域を通過する電子やこの電子により生じるプラズマがスパッタターゲットに直接照射されたとしても、上述した傾斜面を有しているので、電子やプラズマが照射される領域における単位面積当たりの照射量を減少させることができ、スパッタターゲットから過大なイオンが放出することにより生じる引出し電極の短絡を防止することができる。
前記スパッタターゲットが、前記アークチャンバ内において前記電子通過領域を遮ることなく設けられていることが好ましい。
これならば、電子通過領域を通過する電子やこの電子により生じるプラズマはスパッタターゲットにほとんど直接照射されなくなり、スパッタターゲットから過大なイオンが放出することにより生じる引出し電極の短絡をより確実に防ぐことができる。
これならば、電子通過領域を通過する電子やこの電子により生じるプラズマはスパッタターゲットにほとんど直接照射されなくなり、スパッタターゲットから過大なイオンが放出することにより生じる引出し電極の短絡をより確実に防ぐことができる。
前記アークチャンバが、外部にイオンを引き出すイオン引出し口が形成された上壁部と、該上壁部に対向する下壁部とを有し、前記スパッタターゲットが、前記下壁部に設けられているものが好ましい。
これならば、スパッタターゲットから放出される所定のイオンをイオン引出し口を介して効率良くイオンビームとして引き出すことができる。
これならば、スパッタターゲットから放出される所定のイオンをイオン引出し口を介して効率良くイオンビームとして引き出すことができる。
前記傾斜面が、前記先端部において互いに対向する位置にそれぞれ形成されているものが好ましい。
これならば、一方の傾斜面がカソードに対向し、他方の傾斜面がリフレクタに対向するようにスパッタターゲットを配置することにより、カソード起因の物質とリフレクタ起因の物質とのそれぞれを各傾斜面により斜め上方に跳ね返すことができ、アークチャンバの底面にこれらの物質をより堆積しにくくすることができる。
これならば、一方の傾斜面がカソードに対向し、他方の傾斜面がリフレクタに対向するようにスパッタターゲットを配置することにより、カソード起因の物質とリフレクタ起因の物質とのそれぞれを各傾斜面により斜め上方に跳ね返すことができ、アークチャンバの底面にこれらの物質をより堆積しにくくすることができる。
前記傾斜面が、前記スパッタターゲットの先端面における外縁全周から形成されたテーパ状をなすものが好ましい。
これならば、カソードやリフレクタ起因の物質がどの方向からスパッタターゲットに当たっても、これらの物質のほぼ全てを斜め上方の電子通過領域に向かって跳ね返すことができ、これらの物質がアークチャンバの底面にほとんど堆積されないようになる。
さらに、スパッタターゲットの先端面が小さくなり、上述した物質がこの先端面に堆積しにくくなる。これにより、この先端面に堆積した物質が剥離して生じる引出し電極の短絡を防ぐことができる。
これならば、カソードやリフレクタ起因の物質がどの方向からスパッタターゲットに当たっても、これらの物質のほぼ全てを斜め上方の電子通過領域に向かって跳ね返すことができ、これらの物質がアークチャンバの底面にほとんど堆積されないようになる。
さらに、スパッタターゲットの先端面が小さくなり、上述した物質がこの先端面に堆積しにくくなる。これにより、この先端面に堆積した物質が剥離して生じる引出し電極の短絡を防ぐことができる。
前記スパッタターゲットが、概略回転体形状をなすものが好ましい。
これならば、スパッタターゲットを配置するうえで回転軸に対してどのように回転させても上述した効果を得ることができる。
これならば、スパッタターゲットを配置するうえで回転軸に対してどのように回転させても上述した効果を得ることができる。
また、本発明に係るスパッタターゲットは、アークチャンバと、前記チャンバ内に電子を放出するカソードと、前記カソードに対向して設けられ、前記カソードから放出された電子を反射するリフレクタとを具備するイオン源に用いられるものであって、前記アークチャンバ内において、少なくとも一部が前記カソード及び前記リフレクタの間に形成される電子通過領域の周囲に設けられ、電子又はプラズマによりスパッタリングされて所定のイオンを放出するものであり、前記電子通過領域側の先端部から基端側に行くにつれて外側に広がるように傾斜した傾斜面を有していることを特徴とするものである。
このようなスパッタターゲットであれば、上述したイオン源と同様の作用効果を得ることができる。
このようなスパッタターゲットであれば、上述したイオン源と同様の作用効果を得ることができる。
このように構成した本発明によれば、上述した傾斜面により、カソードやリフレクタ起因の物質を斜め上方に跳ね返すことができ、これらの物質がアークチャンバの底面に堆積しにくくなり、イオン照射装置における引出し電極の短絡を防ぐことができる。
以下に本発明に係るイオン源の一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係るイオン源100は、アルミニウムイオンを放出するものであり、図1に示すように、このアルミニウムイオンをイオンビームIBとして引き出す引出し電極200を備えたイオン照射装置に用いられるものである。
このイオン照射装置は、例えば半導体デバイスに用いられ、上述したイオンビームIBをウエハに照射するように構成されたものである。
なお、図1に示すイオン源100は、例えば組み立て直後の状態を模式的に示しており、このイオン源100をイオン照射装置に取り付ける際には、図1の状態から例えば90度時計回りに回転させた状態で取り付ける。
このイオン照射装置は、例えば半導体デバイスに用いられ、上述したイオンビームIBをウエハに照射するように構成されたものである。
なお、図1に示すイオン源100は、例えば組み立て直後の状態を模式的に示しており、このイオン源100をイオン照射装置に取り付ける際には、図1の状態から例えば90度時計回りに回転させた状態で取り付ける。
本実施形態のイオン源100はIHCイオン源であり、具体的には図1に示すように、引出し電極200の下方に設けられたアークチャンバ10と、アークチャンバ10内に電子を放出するカソード20と、カソード20から放出された電子を反射するリフレクタ30と、アークチャンバ10内に設けられ、電子又はプラズマによりスパッタリングされて所定のイオンを放出するスパッタターゲット50とを具備するものである。
アークチャンバ10は、内部でプラズマが生成される例えば概略直方体形状をなす容器であって、内部に原料ガスであるイオン化ガスを導入するためのガス導入口11と、内部で生成されたアルミニウムイオンを外部に引き出すためのイオン引出し口12とを有するものである。
なお、イオン引出し口12は、上述した引出し電極200に対面するアークチャンバ10の上壁部13に形成されており、ガス導入口11は、前記上壁部13に直交する側壁部(図1においては後壁部)に形成されている。
なお、イオン引出し口12は、上述した引出し電極200に対面するアークチャンバ10の上壁部13に形成されており、ガス導入口11は、前記上壁部13に直交する側壁部(図1においては後壁部)に形成されている。
アークチャンバ10内には、ガス導入口11を通じて、例えばフッ素を含むイオン化ガスが導入される。フッ素を含むイオン化ガスを用いるのは、フッ素は化学作用が非常に強く他の物質との反応性が強いので、フッ素を含むイオン化ガスを電離させたプラズマによって、後述するスパッタターゲット50から、アルミニウムイオンを放出させる作用が強いからである。
具体的にこのイオン化ガスは、例えば、3フッ化リン(PF3)、3フッ化ホウ素(BF3)、4フッ化珪素(SiF4)、6フッ化硫黄(SF6)又は4フッ化炭素(CF4)等のフッ化物又はフッ素(F2)を含むガスである。このイオン化ガスは、例えばフッ化物ガスそのもの又はフッ素そのものを用いても良いし、それらを適当なガス(例えばヘリウムガス)で希釈したガスであっても良い。
なお、本実施形態では、イオンビームIBの注入品質を考慮して3フッ化リン(PF3)を用いている。
なお、本実施形態では、イオンビームIBの注入品質を考慮して3フッ化リン(PF3)を用いている。
カソード20は、アークチャンバ10内に電子を放出するものであり、本実施形態ではアークチャンバ10の対向する側壁部14の一方(図1においては左壁部)に設けられている。具体的にこのカソード20は、加熱されることによってアークチャンバ10内に熱電子を放出する陰極部材21と、当該陰極部材21を加熱するフィラメント22とを有する。
なお、このフィラメント22は、当該フィラメント22を加熱する加熱電源23に接続されている。
なお、このフィラメント22は、当該フィラメント22を加熱する加熱電源23に接続されている。
リフレクタ30は、カソード20に対向して設けられ、アークチャンバ10内の電子(主として、カソード20から放出された熱電子。以下同様)を反射して、カソード20側に向かわせるものであり、本実施形態ではアークチャンバ10の対向する側壁部14の他方(図1においては右壁部)に設けられている。
なお、本実施形態では、リフレクタ30としてタングステン(W)製のものを用いている。
なお、本実施形態では、リフレクタ30としてタングステン(W)製のものを用いている。
このリフレクタ30は、図1に示すように、絶縁体(本実施形態では間隙)を介してアークチャンバ10から電気的に絶縁されており、より詳細には、アークチャンバ10の電位を基準にして負の電圧が印加される電極31に接続されている。
上述したように、カソード20とリフレクタ30とを対向して設けていることにより、カソード20から放出された電子はリフレクタ30に向かい、リフレクタ30で反射された電子はカソード20に向かう。これにより、カソード20とリフレクタ30との間には、これらの対向方向に沿って電子が通過する電子通過領域Xが形成されることになり、特にこの電子通過領域X内で電子が上述したイオン化ガスを電離させることによりプラズマが発生する。
より詳細にこの電子通過領域Xは、カソード20から電子が放出される方向及びリフレクタ30が電子を反射する方向(すなわち、リフレクタ30の電子反射面に直交する方向)に沿って形成されており、本実施形態では、アークチャンバ10の上壁部13及び下壁部15と平行に形成されている。
なお、電子やプラズマは必ずしもこの電子通過領域X内のみに存在しているわけではなく、この領域から僅かに離れて存在することもある。
より詳細にこの電子通過領域Xは、カソード20から電子が放出される方向及びリフレクタ30が電子を反射する方向(すなわち、リフレクタ30の電子反射面に直交する方向)に沿って形成されており、本実施形態では、アークチャンバ10の上壁部13及び下壁部15と平行に形成されている。
なお、電子やプラズマは必ずしもこの電子通過領域X内のみに存在しているわけではなく、この領域から僅かに離れて存在することもある。
なお、本実施形態では、上述したアークチャンバ10の外部には、アークチャンバ10内に、カソード20とリフレクタ30との対向方向に沿った磁界を発生させる磁石40が設けられている。この磁石40は、例えば電磁石であるが、永久磁石でもよい。磁界の向きは、図1とは逆向きであっても良い。
スパッタターゲット50は、上述した電子やプラズマによってスパッタリングされてアルミニウムイオンを放出するものであり、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al2O3)、炭化アルミニウム(Al4C3)、リン酸アルミニウム(AlPO4)等の固形状のアルミニウム化合物からなるものである。
なお、本実施形態では、イオンビームIBの注入品質を考慮して窒化アルミニウム(AlN)からなるものを用いている。
なお、本実施形態では、イオンビームIBの注入品質を考慮して窒化アルミニウム(AlN)からなるものを用いている。
このスパッタターゲット50は、図1〜図3に示すように、例えば回転体形状をなすものであり、その中央に厚み方向に貫通して形成された貫通孔51に例えば螺子等の固定部材60を挿通してアークチャンバ10に固定されている。
本実施形態のスパッタターゲット50は、アークチャンバ10の下壁部15に設けられており、より詳細にはイオン引出し口12に対向する位置、すなわち下壁部15の中央に設けられている。
本実施形態のスパッタターゲット50は、アークチャンバ10の下壁部15に設けられており、より詳細にはイオン引出し口12に対向する位置、すなわち下壁部15の中央に設けられている。
また、スパッタターゲット50の上面である先端面52は、電子通過領域Xに対面して当該電子通過領域Xの下方に位置しており、このスパッタターゲット50は電子通過領域Xを遮ることなくアークチャンバ10の下壁部15に設けられている。
なお、スパッタターゲット50が電子通過領域Xを遮らないためには、スパッタターゲット50の高さ寸法、すなわちアークチャンバ10の底面(本実施形態では、下壁部15の内面)からスパッタターゲット50の先端面52までの距離が、アークチャンバ10の底面からカソード20の下端(本実施形態では、陰極部材21の下端)までの距離よりも小さく設定されていることが好ましい。
なお、スパッタターゲット50が電子通過領域Xを遮らないためには、スパッタターゲット50の高さ寸法、すなわちアークチャンバ10の底面(本実施形態では、下壁部15の内面)からスパッタターゲット50の先端面52までの距離が、アークチャンバ10の底面からカソード20の下端(本実施形態では、陰極部材21の下端)までの距離よりも小さく設定されていることが好ましい。
そして、本実施形態のスパッタターゲット50は、特に図2及び図3に示すように、電子通過領域X側の先端部54から基端53側に行くにつれて外側に広がるように傾斜した傾斜面55を有するものである。
この傾斜面55は、少なくとも前記先端部54のカソード20側とリフレクタ30側との互いに対向する位置それぞれに形成されており、本実施形態では、先端面52における外縁全周から基端53側に行くにつれて外側に広がるように傾斜している。
つまり、この傾斜面55は、スパッタターゲット50の先端から基端53に向かって所定の範囲をテーパ状に形成したものであり、その法線方向が斜め上方、すなわち電子通過領域Xに向かうように形成されている。
つまり、この傾斜面55は、スパッタターゲット50の先端から基端53に向かって所定の範囲をテーパ状に形成したものであり、その法線方向が斜め上方、すなわち電子通過領域Xに向かうように形成されている。
この構成により、本実施形態のスパッタターゲット50は、先端面52から基端53側に行くにつれて断面の外縁形状が徐々に大きくなる形状をなしており、このスパッタターゲット50をその中心軸(本実施形態では回転軸)に平行な平面で切った断面形状において、前記傾斜面55が先端面52から基端53側に向かって末広がりになる。
このように構成された本実施形態に係るイオン源100によれば、スパッタターゲット50が先端面52から基端53側に向かって徐々に広がる傾斜面55を有しているので、カソード20やリフレクタ30の材質(モリブデンやタングステン等)に起因してアークチャンバ10内に生じた物質は、この傾斜面55に当たって斜め上方の電子通過領域Xに向かう。これにより、上述した物質は、アークチャンバ10の底面に堆積しにくくなり、アークチャンバ10の底面に堆積した物質が剥離することで生じる引出し電極200の短絡を防ぐことができる。
さらに、スパッタターゲット50が、電子通過領域Xを遮ることなく設けられているので、電子通過領域Xを通過する電子やこの電子により生じるプラズマは、スパッタターゲット50にほとんど直接照射されず、これにより、スパッタターゲット50から放出するイオンの放出量を抑えることができ、過大なイオン放出による引出し電極200の短絡を防止することができる。
また、電子通過領域Xから僅かにずれて通過する電子がスパッタターゲット50に直接照射されたとしても、先端面52から基端53側に向かって徐々に広がる傾斜面55を有しているので、単位面積当たりの照射量を減少させることができ、イオンの放出量を抑えることができる。
また、電子通過領域Xから僅かにずれて通過する電子がスパッタターゲット50に直接照射されたとしても、先端面52から基端53側に向かって徐々に広がる傾斜面55を有しているので、単位面積当たりの照射量を減少させることができ、イオンの放出量を抑えることができる。
そのうえ、傾斜面55が先端面52の外縁全周から形成されるように、スパッタターゲット50の形状をテーパ状にしているので、先端面52の面積が小さくなり、カソード20やリフレクタ30起因の物質等がこの先端面52に堆積する量を減らすことができ、この先端面52に堆積したものが剥離することにより生じる引出し電極200の短絡を防止することができる。
また、傾斜面55が先端面52の外縁全周から形成されているので、スパッタターゲット50の周囲から当該スパッタターゲット50に向かってくる物質をほぼ全て斜め上方に跳ね返すことができ、アークチャンバ10の底面にこれらの物質をより堆積しにくくすることができる。
また、傾斜面55が先端面52の外縁全周から形成されているので、スパッタターゲット50の周囲から当該スパッタターゲット50に向かってくる物質をほぼ全て斜め上方に跳ね返すことができ、アークチャンバ10の底面にこれらの物質をより堆積しにくくすることができる。
上述したように、本実施形態に係るイオン源100によれば種々の原因で発生する引出し電極200の短絡を防止することができる。これにより、図4の実験結果に示すように、従来であればイオン照射装置が約40分で引出し放電により異常停止するところ、本実施形態に係るイオン源100を用いた場合、1時間経過しても引出し放電による異常停止は発生せず、操業安定性を向上させることができた。
加えて、スパッタターゲット50が回転体形状をなすので、スパッタターゲット50をアークチャンバ10の底面に固定する際に、回転軸に対してどのように回転させて固定したとしても上述した作用効果を発揮することができ、スパッタターゲット50の取り付けが容易である。
さらに加えて、スパッタターゲットとしてアルミナ(Al2O3)を、イオンガスとして3フッ化ホウ素(BF3)を用いた場合、イオンビーム中に質量数の等しいBO+イオンとAl+イオンとが混在し(いずれも質量数27)、これらを選別することが困難になりイオンビームの注入品質が低下しがちであるところ、スパッタターゲット50として窒化アルミニウム(AlN)を用いており、イオンガスとして3フッ化リン(PF3)を用いているので、上述した問題が生じにくい。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、スパッタターゲット50の形状は、回転体形状に限らず、図5に示すように、所定の厚みを有する直方体の上面をテーパ状にしたものであっても良い。
より詳細にこのスパッタターゲット50は、先端面52の外縁における互いに対向した長辺部それぞれに傾斜面55が形成されたものである。なお、短辺部それぞれに傾斜面55を形成したものであっても良いし、長辺部及び短辺部それぞれ、つまり先端面52の外縁全周に亘って傾斜面55を形成しても良い。ただし、短辺部に傾斜面55を形成するより、長辺部に傾斜面55を形成する方が、傾斜面55の全体面積を大きくすることができ、上述した作用効果を得るには有利である。
また、このスパッタターゲット50をアークチャンバ10に配設する際は、前記長辺部をカソード20とリフレクタ30との対向方向に沿うように固定しても良いし、前記長辺部をカソード20とリフレクタ30との対向方向に直交するように固定しても良い。
より詳細にこのスパッタターゲット50は、先端面52の外縁における互いに対向した長辺部それぞれに傾斜面55が形成されたものである。なお、短辺部それぞれに傾斜面55を形成したものであっても良いし、長辺部及び短辺部それぞれ、つまり先端面52の外縁全周に亘って傾斜面55を形成しても良い。ただし、短辺部に傾斜面55を形成するより、長辺部に傾斜面55を形成する方が、傾斜面55の全体面積を大きくすることができ、上述した作用効果を得るには有利である。
また、このスパッタターゲット50をアークチャンバ10に配設する際は、前記長辺部をカソード20とリフレクタ30との対向方向に沿うように固定しても良いし、前記長辺部をカソード20とリフレクタ30との対向方向に直交するように固定しても良い。
さらに、スパッタターゲットの形状は円柱や直方体の上面をテーパ状にしたものに限らず、例えば立方体や多角柱の上面をテーパ状にしたものであっても良いし、円錐形状であっても良い。
加えて、傾斜面55は必ずしも先端面52から形成されている必要はなく、図6に示すように、スパッタターゲット50の外側周面の一部を傾斜させて形成したものであっても良い。
具体的にこのスパッタターゲット50は、互いに一体に成型された、円柱状をなす台座部57Aと、切頭円錐形状をなす胴部57Bと、円柱状をなす頭部57Cと有するものである。そして、この胴部57Bの外側周面が、傾斜面55として形成されている。
具体的にこのスパッタターゲット50は、互いに一体に成型された、円柱状をなす台座部57Aと、切頭円錐形状をなす胴部57Bと、円柱状をなす頭部57Cと有するものである。そして、この胴部57Bの外側周面が、傾斜面55として形成されている。
さらに、前記実施形態では、先端面の外縁全周に亘って傾斜面が形成されていたが、必ずしも外縁全周に亘って傾斜面が形成されている必要なく、例えば先端面の外縁における一部に傾斜面が形成されていても良い。
また、前記実施形態のスパッタターゲットは下壁部に設けられていたが、電子通過領域の周囲であれば、前壁部や後壁部等に設けても良い。
さらに、アークチャンバ内に設けられたスパッタターゲットの設置高さを調整する高さ調整機構を有しても良い。
具体的な実施態様としては、例えば、スパッタターゲットとアークチャンバとの間にワッシャ等の高さ調整部材を介在させる機構が挙げられる。
これにより、スパッタターゲットとしてサイズの小さいものを用いる場合であっても、上述した高さ調整機構によりスパッタターゲットを電子通過領域に近づけることができ、イオンビームを効率的に引き出しながらも、スパッタターゲットの材料費を削減することができる。
具体的な実施態様としては、例えば、スパッタターゲットとアークチャンバとの間にワッシャ等の高さ調整部材を介在させる機構が挙げられる。
これにより、スパッタターゲットとしてサイズの小さいものを用いる場合であっても、上述した高さ調整機構によりスパッタターゲットを電子通過領域に近づけることができ、イオンビームを効率的に引き出しながらも、スパッタターゲットの材料費を削減することができる。
加えて、前記実施形態のスパッタターゲットは、アークチャンバ内において電子通過領域を遮ることなく設けられていたが、スパッタターゲットは、その一部が電子通過領域内に位置し、電子通過領域の一部を遮るように設けられていても構わない。
また、前記実施形態では、イオン源としてIHCイオン源を用いていたが、バーナスタイプのイオン源を用いても良い。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
100・・・イオン源
200・・・引出し電極
10 ・・・アークチャンバ
20 ・・・カソード
30 ・・・リフレクタ
50 ・・・スパッタターゲット
52 ・・・先端面
55 ・・・傾斜面
X ・・・電子通過領域
200・・・引出し電極
10 ・・・アークチャンバ
20 ・・・カソード
30 ・・・リフレクタ
50 ・・・スパッタターゲット
52 ・・・先端面
55 ・・・傾斜面
X ・・・電子通過領域
Claims (8)
- アークチャンバと、
前記アークチャンバ内に電子を放出するカソードと、
前記カソードに対向して設けられ、前記カソードから放出された電子を反射するリフレクタと、
前記アークチャンバ内において、少なくとも一部が前記カソード及び前記リフレクタの間に形成される電子通過領域の周囲に設けられ、電子又はプラズマによりスパッタリングされて所定のイオンを放出するスパッタターゲットとを具備し、
前記スパッタターゲットが、前記電子通過領域側の先端部から基端側に行くにつれて外側に広がるように傾斜した傾斜面を有していることを特徴とするイオン源。 - 前記スパッタターゲットが、前記アークチャンバ内において前記電子通過領域を遮ることなく設けられていることを特徴とする請求項1記載のイオン源。
- 前記アークチャンバが、外部にイオンを引き出すイオン引出し口が形成された上壁部と、該上壁部に対向する下壁部とを有し、
前記スパッタターゲットが、前記下壁部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のイオン源。 - 前記傾斜面が、前記先端部において互いに対向する位置にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか一項に記載のイオン源。
- 前記傾斜面が、前記スパッタターゲットの先端面における外縁全周から形成されたテーパ状をなすことを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか一項に記載のイオン源。
- 前記スパッタターゲットが、概略回転体形状をなすことを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか一項に記載のイオン源。
- 請求項1乃至6のうち何れか一項に記載のイオン源を用いていることを特徴とするイオン照射装置。
- アークチャンバと、前記チャンバ内に電子を放出するカソードと、前記カソードに対向して設けられ、前記カソードから放出された電子を反射するリフレクタとを具備するイオン源に用いられるものであって、
前記アークチャンバ内において、少なくとも一部が前記カソード及び前記リフレクタの間に形成される電子通過領域の周囲に設けられ、電子又はプラズマによりスパッタリングされて所定のイオンを放出するものであり、前記電子通過領域側の先端部から基端側に行くにつれて外側に広がるように傾斜した傾斜面を有していることを特徴とするスパッタターゲット。
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