以下に添付図面を参照して、本発明にかかる推定プログラム、推定方法、および推定装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる推定装置による一動作例を示す説明図である。推定装置100は、第1位置P1から第2位置P2までの車両の移動時間を推定するコンピュータである。ここでは、例えば第1位置P1は出発地点とも称し、第2位置P2は到着地点とも称する。出発地点P1と到着地点P2とは地理情報が示す所定範囲areaに含まれる。地理情報とは、山や川などの地形情報、道路や道路付帯物などの行政情報、ライフラインなどの施設情報である。車両については、例えば自動車や自転車などが挙げられる。本実施の形態では、例えば、車両として救急車を挙げる。
例えば、従来のように、ルート探索によって車両の移動時間が推定される場合、車両の移動時間の推定に時間がかかる。また、従来のように、例えば、2地点間の直線距離と、部分範囲ごとの平均速度と、距離係数と、を使って車両の移動時間が推定される場合、2地点間の直線上の部分範囲ごとに算出した移動時間の累積処理が行われるため、車両の移動時間の推定に時間がかかる。
そこで、本実施の形態では、推定装置100は、車両の移動距離と移動時間との関係情報と、出発地点と到着地点との間の直線距離とにより出発地点から到着地点までの車両の移動時間を推定する。これにより、推定の演算を簡単にして推定時間の短縮を図ることができる。
まず、推定装置100は、記憶部101を参照可能である。推定装置100は記憶部101を有していてもよいし、ネットワークを介した他の装置が有する記憶部101であってもよい。記憶部101は、地理情報が示す所定範囲areaを分割した複数の部分範囲に含まれる部分範囲と、複数の方向のうちの方向と、の組合せの各々について、関係情報を記憶する。図1の例では、部分範囲はm1〜mnである。図1の例では、複数の方向は、例えば、東、西、南、北などの4つの方向であるが、これに限らず、幹線道路の方向と繁華街の方向との2つの方向などのように種々変更可能である。方向の数が多いほど、移動時間の算出精度が高くなる。方向の数が少ないほど、記憶部101に記憶される関係情報の量が少なくなる。関係情報は、車両が組合せの部分範囲内の位置から組合せの方向に移動する場合における車両の移動距離と車両の移動時間との対応関係を示す。関係情報は、例えば、距離を与えると時間が得られる関数であってもよいし、テーブル形式であってもよく、特に限定しない。図1の例ではrが関係情報であることを示し、rのつぎの数字が部分範囲を識別可能な識別情報であり、−のつぎの数字が東、西、南、北のいずれの方向であるかを示す。−のつぎの数字によれば、東であれば1であり、西であれば2であり、南であれば3であり、北であれば4を示す。例えば、図1には、部分範囲m1についての関係情報r1として関係情報r1−1から関係情報r1−4を挙げている。
例えば、出発地点P1や到着地点P2などは、住宅地や商業地などに近い可能性が高く、住宅地や商業地などは曲り角が多いため、車両は直線的に移動しにくい。そのため、出発地点P1および到着地点P2に近いほど、距離に対する移動時間が大きくなり、出発地点P1および到着地点P2に遠いほど、距離に対する移動時間が小さくなる。そこで、本実施の形態では、推定装置100は、出発地点P1と途中地点との間の距離に対応する移動時間と、到着地点P2と該途中地点との間の距離に対応する移動時間と、によって出発地点P1から到着地点P2までの移動時間を推定する。これにより、移動時間の推定精度の向上を図ることができる。
また、例えば、1つの部分範囲に対して複数の方向の各々について関係情報rが定義されるのは、例えば、出発地点P1に対する到着地点P2の方向の先に幹線道路があるか、繁華街があるかによって移動距離と移動時間との対応関係が異なるためである。例えば、幹線道路があれば、車両は直線的に移動可能であるが、繁華街などがあれば車両は直線的に移動することができない。そのため、幹線道路に近い方向に移動する場合のほうが、幹線道路に近くない方向に移動する場合よりも移動時間が短くなる。そのため、複数の方向の各々について関係情報が定義されることによって、推定精度の向上を図ることができる。
推定装置100は、出発地点P1と到着地点P2とを示す位置情報を取得する。位置情報としては、例えば、出発地点P1と到着地点P2との各々についての緯度、経度などの情報である。つぎに、推定装置100は、位置情報に基づいて、複数の方向のうちの第1位置P1に対する第2位置P2の地理上の第1方向dir1と、複数の方向のうちの第2位置P2に対する第1位置P1の地理上の第2方向dir2と、を推定する。なお、第1方向dir1は、第1位置からみた第2位置の方向であり、第2方向dir2は、第2位置からみた第1位置の方向である。また、推定装置100は、第1位置P1と第2位置P2との間の距離を特定する。
例えば、第1方向dir1は第2方向dir2と反対方向であってもよい。そのため、推定装置100は、第1方向dir1と第2方向dir2とのうちいずれか一方の方向を特定し、他方の方向を特定した一方の方向の反対方向としてもよい。例えば、推定装置100は、第1位置P1に対する第2位置P2の角度を算出する。そして、例えば、推定装置100は、複数の方向の各々について角度の範囲が予め定められてあり、算出した角度がいずれの範囲に含まれるかによって第1方向dir1を特定する。そして、例えば、推定装置100は、第1方向dir1の反対方向を第2方向dir2として特定する。図1の例では、第1方向dir1は東であり、第2方向dir2は西である。また、図1の例では、第1位置P1と第2位置P2との間の距離はdである。
推定装置100は、記憶部101に記憶された関係情報のうちの、複数の部分範囲のうちの第1位置P1を含む部分範囲と第1方向dir1との組合せについての第1関係情報を取得する。図1の例では、第1位置P1を含む部分範囲はmiであり、第1方向dir1は東であるため、推定装置100は、第1関係情報として関係情報ri―1を取得する。また、推定装置100は、複数の部分範囲のうちの第2位置P2を含む部分範囲と第2方向dir2との組合せについての第2関係情報を取得する。図1の例では、第2位置P2を含む部分範囲はmjであり、第2方向dir2は西であるため、推定装置100は、第2関係情報として関係情報rj−2を取得する。
つぎに、推定装置100は、特定した距離と、取得した第1関係情報と、取得した第2関係情報と、に基づいて、第1位置P1から第2位置P2までの車両の移動時間を推定する。例えば、推定装置100は、第1関係情報に基づく特定した距離に応じた第1距離に対応する第1時間と、第2関係情報に基づく特定した距離に応じた第2距離に対応する第2時間と、に基づいて、車両の移動時間を推定する。特定した距離に応じた第1距離と特定した距離に応じた第2距離とは、特定した距離そのものであってもよい。または、例えば、特定した距離に応じた第1距離と特定した距離に応じた第2距離とは、合計値が特定した距離となる値であってもよい。ここでは、例えば、第1距離と第2距離とはそれぞれ特定した距離の半分の値とする。そして、例えば、推定装置100は、第1関係情報に基づいて、第1距離に対応する第1時間を導出する。また、例えば、推定装置100は、第2関係情報に基づいて、第2距離に対応する第2時間を導出する。そして、推定装置100は、第1時間と第2時間との合計値を出発地点P1から到着地点P2までの間の移動時間として算出する。また、例えば、第1距離と第2距離とが、特定した距離そのものである場合、推定装置100は、第1関係情報に基づく第1距離に対応する第1時間と、第2関係情報に基づく第2距離に対応する第2時間と、の合計値の半分の値を移動時間としてもよい。
このように、推定装置100は、車両の移動距離と移動時間との関係情報と、出発地点と到着地点との間の直線距離とにより出発地点から到着地点までの車両の移動時間を推定する。これにより、推定の演算を簡単にして推定時間の短縮を図ることができる。
(推定装置100のハードウェア構成例)
図2は、実施の形態にかかる推定装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。推定装置100は、CPU(Central Processing Unit)201と、無線LAN(Local Area Network)用のI/F202と、ディスプレイ203と、ROM(Read Only Memory)204と、RAM(Random Access Memory)205と、を有する。推定装置100は、フラッシュROM206と、フラッシュROMコントローラ207と、フラッシュROM208と、を有する。CPU201と、I/F202と、ディスプレイ203と、ROM204と、RAM205と、フラッシュROM206と、フラッシュROMコントローラ207とは、バス209を介して接続されている。
ここで、CPU201は、推定装置100の全体の制御を司る制御部である。I/F202は、無線通信回線を通じてLANなどのネットワークNETに接続され、ネットワークNETを介して他の装置に接続される。そして、I/F202は、ネットワークNETと内部のインターフェースを司り、他の装置からのデータの入出力を制御する。I/F202には、例えば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
ディスプレイ203は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。ディスプレイ203は、例えば、TFT液晶ディスプレイなどを採用することができる。また、ディスプレイ203は、タッチパネル式の入力パッドの機能を有する。ここでは、ディスプレイ203が入力装置および出力装置の機能を有するが、推定装置100は、ディスプレイ203とキーボードとなどを設けた入力装置と出力装置とが異なるような構成であってもよい。
ROM204は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM205は、CPU201のワークエリアとして使用される。フラッシュROM206は、OSなどのシステムソフトウェアやアプリケーションのプログラムを記憶している。RAM205はフラッシュROM206よりもCPU201からのアクセス速度が速い。
フラッシュROMコントローラ207は、CPU201の制御に従ってフラッシュROM208に対するデータのリード/ライトを制御する。フラッシュROM208は、フラッシュROMコントローラ207の制御で書き込まれたデータを記憶する。データの具体例としては、推定装置100を使用する利用者が無線LAN用のI/F202を通して取得した画像データ、映像データなどである。フラッシュROM208は、例えば、メモリカード、SDカードなどを採用することができる。
また、図2には、推定装置100が救急搬送時に救急隊が有する携帯端末であると想定した場合のハードウェア構成例を示すが、これに限らず、推定装置100はPC(Personal Computer)などであってもよく、ハードウェア構成例は種々変更可能である。
(実施例1)
実施例1では、出発点から到着点への方向と到着点から出発点への方向との各々に応じた移動距離と移動時間との関係情報と、出発点から到着点までの距離と、により出発点から到着点までの移動時間を推定する。このように、簡単な計算によって、推定精度の向上を図りつつ、推定時間の短縮を図ることができる。
(実施例1にかかる推定装置100の機能的構成例)
図3は、実施例1にかかる推定装置の機能的構成例を示すブロック図である。推定装置100は、制御部301と、記憶部101と、を含む。記憶部101は、例えば、ROM204、RAM205、フラッシュROM206、フラッシュROM208などによって実現される。制御部301の処理は、例えば、CPU201が記憶部101に記憶された推定プログラムにコーディングされている。そして、CPU201が記憶部101から推定プログラムを読み出して、推定プログラムにコーディングされている処理を実行する。これにより、各部の処理が実現される。また、各部の処理結果は、例えば、記憶部101に記憶される。
記憶部101には、地理情報311と、マスタ情報312と、メッシュ情報313と、を有する。地理情報311は、山や川などの地形情報、道路や道路付帯物などの行政情報、ライフラインなどの施設情報である。マスタ情報312は、メッシュのサイズを示す情報を有する。メッシュ情報313は、地理上の所定範囲areaを分割した複数の部分範囲の各々について、地理上の複数の方向の各々についての移動距離と移動時間との対応関係を示す関係情報を有する。ここでは、部分範囲をメッシュとも称する。関係情報については、推定装置100による利用時よりも前に推定装置100の設計者などによって用意される。マスタ情報312とメッシュ情報313の詳細例を説明する前に、関係情報の作成について簡単に説明する。
図4は、車両の移動例を示す説明図である。図4に示すように、車両は、(a)出発地点P1から主要の幹線道路と、(b)主要の幹線道路と、(c)主要の幹線道路から到着地点P2と、の3つを大きく移動すると推定可能である。例えば、出発地点P1と到着地点P2とが遠距離であれば、車両は出発地点P1から到着地点P2まで移動する際に主要な幹線道路を経由すると推定可能である。例えば、幹線道路上においては、車両は直線的に走行できるため速い車速での移動が可能である。また、例えば、出発地点P1から幹線道路、または幹線道路から到着地点P2においては、車両は小さな道路などの角を曲がりながら移動するため、実走行距離は直線距離に対して長くなり、車両は遅い車速での移動となる。そこで、出発地点P1と到着地点P2とのそれぞれについて、地理情報311が示す所定範囲areaを分割した複数のメッシュの各々について距離に応じた移動時間が特定可能な関係情報が予め記憶部101に格納される。
図5は、移動距離と移動時間との対応関係を示す関係情報と方向とを示す説明図である。例えば、関係情報は、車両が組合せの部分範囲内の位置から組合せの方向に所定距離移動した後の位置から、部分範囲に最も近い特定種類の道路までの距離に基づいて算出される。例えば、出発地点P1から南側には幹線道路があり、出発地点P1から北側には繁華街がある場合、上述した関係情報がメッシュに対して1つであると、南側に搬送する場合と北側に搬送する場合との移動時間の誤差が大きい。上述したように、例えば、幹線道路であれば車両が直線的に移動できるが、繁華街であると交差点などが多いため車両が直線的に移動できない。図5(1)に示すように、出発地点P1から到着地点P2への方向は出発地点P1から繁華街がある方向であるにも関わらず、メッシュに対して定義された関係情報が出発地点P1から幹線道路がある方向に基づき作成された場合、移動時間の誤差が大きくなる。そのため、推定の精度が低下する恐れがある。また、到着地点P2についても同様に、関係情報がメッシュに対して1つであると移動時間の誤差が大きくなる。
そこで、図5(2)に示すように、例えば、繁華街方向と幹線道路方向との各々が考慮され、メッシュごとに8方向の関係情報が予め用意され記憶部101に記憶される。8方向は、例えば、「東」、「北東」、「北」、「北西」、「西」、「南西」、「南」、「南東」である。
図6は、関係情報のパラメータ例1を示す説明図である。関係情報については、例えば方向の各々についてメッシュの端部から特定種類の道路までの距離によって定義される。関係情報は、地理情報311などによって方向の各々のメッシュの端部から特定種類の道路までのルートを具体的に考慮して作成されてもよい。特定種類の道路とは、例えば、幹線道路r0であり、予め指定された道路であってもよい。図6(1)に示すように、例えば、複数の方向の各々のメッシュの端部から特定種類の道路までの距離はそれぞれ異なる。図6(1)に示すように、例えば、「西」、「南西」、「南」、「南東」などのメッシュの端部からは、幹線道路r0−1が最も近い特定種類の道路である。一方、図6(1)に示すように、例えば、「東」、「北東」、「北」、「北西」などのメッシュの端部からは、幹線道路r0−2が最も近い特定種類の道路である。
図6(2)には、理解の容易化のため、関係情報を移動距離と移動時間とのグラフ600にして表す。自メッシュの端部から幹線道路r0までの距離aによって、幹線道路r0を走行する場合の傾きに変わるのまでの移動距離が異なる。距離aが大きいほど、幹線道路r0を走行する場合の傾きに変わるまでの移動距離が長くなる。関係情報については、グラフ600に示すような傾きに基づいて作成された関数であって、移動距離を与えると移動時間が得られる関数であってもよい。また、この関数は、例えば、図6に示すグラフ600を2次曲線によって近似した関数であってもよい。また、関係情報については、グラフ600に示すような傾きに基づいて作成された表であって、移動距離と移動時間とが対応付けられた表であってもよい。
図7は、関係情報のパラメータ例2を示す説明図である。図7には、自メッシュ中の道路上の特定の区間の数によって関係情報が定義される例を示す。車両が救急車のような緊急車両であると、赤信号や一時停止標識の前では、徐行して安全確認を行えば停止しなくてもよく、道路状況によっては道路の右側にはみだして走行することが可能である。そのため、車両の移動が遅れる要因としては曲がり角によって移動距離が長くなることが推定される。そのため、ここでは、車両が救急車とした場合に特定の区間は所定のカーブを含む区間を例に挙げる。所定のカーブとは、例えば、曲がり角などの急なカーブであって、曲率が特定値以上のカーブである。特定値については、例えば、推定装置100などの利用者によって定義される。また、車両の移動距離が長くなるような特定の区間であれば特に限定しない。
推定装置100や他の装置は、地図情報などの地理情報311を用いて、自メッシュ中の曲がり角の数bを特定する。図7では、理解の容易化のため、関係情報を移動距離と移動時間とのグラフ700にして表す。自メッシュ中の曲がり角の数bによって幹線道路r0用の傾きに変わるまでの傾きが異なる。曲がり角の数bが多いほど、車両が自メッシュから幹線道路r0に出るまでのグラフ700の傾きが変わる。曲がり角の数bが多いほど、車両が幹線道路r0に出るまでの移動時間が長くなる。関係情報については、グラフ700に示すような傾きに基づいて作成された関数であって、移動距離を与えると移動時間が得られる関数であってもよい。また、この関数は、例えば、図7に示すグラフ700を2次曲線によって近似した関数であってもよい。また、関係情報については、グラフ700に示すような傾きに基づいて作成された表であって、移動距離と移動時間とが対応付けられた表であってもよい。
図8は、実施例1にかかるマスタ情報とメッシュ情報例を示す説明図である。図8(1)に示すように、マスタ情報312は、例えば、メッシュのサイズを示すメッシュサイズのフィールドを有する。ここでのメッシュサイズは、メッシュの幅/高さである。図8(1)の例では、メッシュサイズのフィールドには、M1が設定されてある。
図8(2)に示すように、メッシュ情報313は、メッシュごとにメッシュの位置情報と複数の方向の各々についての関係情報を記憶する。例えば、メッシュ情報313は、メッシュID、位置、関係情報のフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることによってレコード(例えば、801−0,801−1,・・・)として記憶される。レコードの数はメッシュの数に対応する。
メッシュIDのフィールドには、メッシュを一意に識別可能な識別情報が設定される。例えば、レコード801−0のメッシュIDのフィールドにはm0が設定されてある。位置のフィールドには、メッシュの位置を示す位置情報が設定される。例えば、メッシュの位置情報としては、メッシュの原点を示す座標値(緯度,経度)である。例えば、レコード801−0の位置のフィールドには、(psx0,psy0)が設定されてある。各メッシュは、メッシュの原点を示す座標値からマスタ情報312に含まれるメッシュサイズまでの範囲である。
関係情報のフィールドには、複数の方向の各々についての関係情報rが設定される。図8(2)の例では、複数の方向は、「東」、「北東」、「北」、「北西」、「西」、「南西」、「南」、「南東」方向である。例えば、レコード801−0の関係情報の東のフィールドには関係情報r0eが設定されてある。
図9は、実施例1にかかる移動時間の算出例を示す説明図である。まず、制御部301は、出発地点P1と到着地点P2とを示す位置情報を取得する。位置情報は、例えば、出発地点P1と到着地点P2との各々の緯度や経度に基づく座標値である。ここでは、例えば、位置情報は、出発地点P1を示すP1(p1,p1)と、到着地点P2を示すP2(p2,p2)と、を有する。
つぎに、制御部301は、例えば、位置情報に基づいて、出発地点P1と到着地点P2との直線間の距離を特定する。例えば、直線間の距離D^2は以下式(1)によって特定可能である。なお、式(1)中の「^」は乗数を表す。図9(1)に示すように、直線間の距離D^2は4[km]である。
D^2=(p2−p1)^2+(p2−p1)^2・・・(1)
つぎに、例えば、制御部301は、出発地点P1に対する到着地点P2の地理上の第1方向dir1と、到着地点P2に対する出発地点P1の地理上の第2方向dir2と、を特定する。例えば第1方向dir1は、第2の方向dir2と反対の方向であってもよい。第1方向dir1が第2方向dir2の反対方向である場合には制御部301は、第1方向dir1と第2方向dir2とのうちいずれか一方の方向を特定し、他方の方向は一方の方向の反対方向とすればよい。第1方向dir1と第2方向dir2とを特定する処理として、例えば、制御部301は、出発地点P1と到着地点P2とに基づいて、搬送角度を算出する。搬送方向は以下式(2)によって算出可能である。なお、式(2)中の「↑」はベクトルを表す。
↑POP=↑P1−↑P2・・・(2)
例えば、複数の方向の各々について角度の範囲が定義されてあり、例えば、制御部301は、算出された搬送方向POPがいずれの範囲に含まれるかによって、第1方向dir1を特定する。例えば、搬送方向POPが−22.5〜22.5[度]の場合、制御部301は、第1方向dir1として「東」方向を特定し、第2方向dir2として「西」方向を特定する。また、例えば、搬送方向POPが22.5〜67.5[度]の場合、制御部301は、第1方向dir1として「北東」方向を特定し、第2方向dir2として「南西」方向を特定する。
制御部301は、位置情報に基づいて、記憶部101に記憶された関係情報から、複数の部分範囲のうちの第1位置P1を含む部分範囲と特定した第1方向dir1との組合せについての第1関係情報を取得する。例えば、制御部301は、第1位置P1と第2位置P2とを示す位置情報と、メッシュ情報313に含まれる各メッシュの位置情報と、マスタ情報312に含まれるメッシュサイズと、に基づき、出発地点P1を含むメッシュを特定する。そして、例えば、制御部301は、取得した位置情報に基づいて、メッシュ情報313から、複数のメッシュのうち出発地点P1を含むメッシュと第1方向dir1との組合せについての第1関係情報を取得する。
また、制御部301は、位置情報に基づいて、記憶部101に記憶された関係情報から、複数の部分範囲のうちの第2位置P2を含む部分範囲と特定した第2方向dir2との組合せについての第2関係情報を取得する。例えば、制御部301は、取得した位置情報とメッシュ情報313に含まれる各メッシュの位置情報とマスタ情報312に含まれるメッシュサイズとに基づいて、複数のメッシュのうち、到着地点P2を含むメッシュを特定する。そして、例えば、制御部301は、位置情報に基づいて、メッシュ情報313から、地理上の所定範囲areaを分割した複数のメッシュのうち到着地点P2を含むメッシュと第2方向dir2との組合せについての第2関係情報を取得する。
制御部301は、例えば、特定した距離D^2と、取得した第1関係情報と、取得した第2関係情報と、に基づいて、第1位置P1から第2位置P2までの車両の移動時間を推定する。また、推定する処理としては、例えば、制御部301は、第1関係情報に基づく距離D^2に応じた第1距離に対応する第1時間と、第2関係情報に基づく距離D^2に応じた第2距離に対応する第2時間と、に基づいて、車両の移動時間を推定する。例えば、第1距離と第2距離とは、合計値が距離D^2となる値である。また、図9の例では、第1距離と第2距離とはそれぞれ距離D^2の半分の距離Dである。第1距離と第2距離とが距離Dである場合、例えば、第1距離は、出発地点P1と、出発地点P1と到着地点P2との間の中間地点と、の間の距離である。第2距離は、中間地点と到着地点P2との間の距離である。図9(2)に示すように、距離Dは2[km]である。
そして、図9(3)に示すように、例えば、制御部301は、第1関係情報に基づく距離Dに対応する時間t0_1を算出する。図9(3)の例では、時間t0_1は6[分]である。つづいて、図9(4)に示すように、例えば、制御部301は、第2関係情報に基づく距離Dに対応する時間t0_2を算出する。図9(4)の例では、時間t0_2は7[分]である。
つぎに、移動時間を推定する処理の一部として、図9(5)に示すように、例えば、制御部301は、算出した時間t0_1と算出した時間t0_2とを加算することによって、出発地点P1から到着地点P2までの間の移動時間を推定する。ここでは、時間t0_1と時間t0_2との加算結果が出発地点P1から到着地点P2までの間の移動時間である。図9(5)に示すように、時間t0_1と時間t0_2との合計の値である移動時間t0は、13[分]である。
また、例えば、第1距離と第2距離とがそれぞれ特定した距離D^2である場合、制御部301は、第1関係情報に基づく第1距離に対応する第1時間と第2関係情報に基づく第2距離に対応する第2時間との合計の値を2で除算した値を移動時間としてもよい。
また、上述したように、関係情報は、2次曲線によって近似された関数であってもよいため、制御部301は、2つの関数によって時間t0_1と時間t0_2とを求めずに、2つの関数を合成した合成関数によって移動時間を直接算出してもよい。
(実施例1にかかる推定処理手順例を示すフローチャート)
図10は、実施例1にかかる推定装置による推定処理手順例を示すフローチャートである。推定装置100は、出発地点P1と到着地点P2とを示す位置情報を取得する(ステップS1001)。推定装置100は、出発地点P1と到着地点P2との間の距離D^2を算出する(ステップS1002)。
推定装置100は、搬送角度を算出する(ステップS1003)。つぎに、推定装置100は、搬送角度に基づき第1方向dir1を特定する(ステップS1004)。推定装置100は、第1方向dir1に基づき第2方向dir2を特定する(ステップS1005)。例えば、第2方向dir2は第1方向dir1の反対方向である。推定装置100は、メッシュ情報313に含まれる関係情報のうち、出発地点P1と第1方向dir1との組合せについての第1関係情報を取得する(ステップS1006)。推定装置100は、メッシュ情報313に含まれる関係情報のうち、到着地点P2と第2方向dir2との組合せについての第2関係情報を取得する(ステップS1007)。
推定装置100は、「D=D^2/2」を行う(ステップS1008)。そして、推定装置100は、第1関係情報に基づく距離Dに対応する第1時間t0_1を導出する(ステップS1009)。推定装置100は、第2関係情報に基づく距離Dに対応する第2時間t0_2を導出する(ステップS1010)。推定装置100は、「t=t0_1+t0_2」を算出する(ステップS1011)。
以上説明したように、実施例1にかかる推定装置100は、車両の移動距離と移動時間との関係情報と、出発地点P1から到着地点P2までの直線的な距離と、により出発地点P1から到着地点P2までの車両の移動時間を推定する。これにより、推定の演算が簡単になり、推定精度の向上を図りつつ、車両の移動時間を推定する時間の短縮を図ることができる。
また、出発地点P1と到着地点P2との各々に近いほど、駅や住宅地などを車両が移動するため、車両は曲がり角や細い道を移動する可能性がある。一方、出発地点P1と到着地点P2との各々に遠いほど、車両は幹線道路r0などを移動するため、車両は直線的に移動する可能性がある。そこで、推定装置100は、出発地点P1を含む部分範囲についての第1関係情報に基づく移動時間と、到着地点P2を含む部分範囲についての第2関係情報に基づく移動時間と、によって、出発地点P1から到着地点P2までの移動時間を推定する。これにより、従来のように、2地点間の直線距離と過去の直線距離と実際の数値との比率と、部分範囲の平均速度とによって移動時間が推定される場合と比較して、推定精度の向上を図ることができる。
また、同一の部分範囲内であっても車両が進む方向によって部分範囲内の位置が幹線道路r0に近い場合と幹線道路r0に遠い場合などがある。そこで、推定装置100は、第1方向dir1と出発地点P1とを含む部分範囲との組合せについての関係情報と、第2方向dir2と到着地点P2とを含む部分範囲との組合せについての関係情報と、により移動時間を推定する。これにより、推定精度の向上を図ることができる。
(実施例2)
例えば、幹線道路r0などは曲がり角の数が少ないため、幹線道路r0では車両の移動は救急車の平均時速などに従う。一方、例えば、車両が救急車であると、出発地点P1や到着地点P2などについては曲がり角などの数が多いため、出発地点P1や到着地点P2付近では車両の移動が遅延する。そこで、実施例2では、車両が出発地点P1から到着地点P2までの間の幹線道路r0を移動する距離に応じた移動時間と、該幹線道路r0以外の道路を移動する距離に応じた移動時間と、の合計の値により移動時間を推定する。これにより、推定の演算を簡単にでき、推定精度の向上を図りつつ、移動時間を推定する時間の短縮を図ることができる。また、実施例2では、車両が出発地点P1から到着地点P2までの間を移動する場合に交差点や踏切などを含む特定の区間による遅延時間を推定する。これにより、より精度の高い移動時間の推定が可能となる。実施例2では、実施例1と同一の構成については同一の符号とし、詳細な説明を省略する。
図11は、記憶部の詳細例を示す説明図である。まず、記憶部101には、地理情報311と、相関関数1101−1と、相関関数1101−2と、ロス時間関数1102と、マスタ情報1103と、メッシュ情報1104と、交差点踏切情報1105と、が記憶される。まず、相関関数1101−1と相関関数1101−2について説明する。相関関数1101−1は、出発地点P1から中間地点までの移動距離が与えられると移動時間が得られる関数である。相関関数1101−2は、到着地点P2から中間地点までの移動距離が与えられると移動時間が得られる関数である。相関関数1101−1と相関関数1101−2とは、図6を用いて説明した距離aと、図7を用いて説明した曲がり角の数bと、の2つのパラメータを用いて定義される。
また、上述したように、車両は幹線道路r0を直線的に移動することが可能である。そのため、車両が幹線道路r0を平均的な速度v[km/h]で走行した場合、幹線道路r0での移動距離xと移動時間yとの関係は以下式(3)によって表される。
x=v×y・・・(3)
式(3)によれば、例えば、幹線道路r0を走るときの移動時間と移動距離との関係式は以下式(4)によって表される。
y=(1/v)×x・・・(4)
一方、上述したように、出発地点P1から幹線道路r0までの間は、住宅街や繁華街などでカーブが多く、幹線道路r0と比較して直線的に走行することができない。そこで、例えば、特定の区間1つ当たりの車両の移動が長くなる距離をαとすると、移動距離は曲がり角の多さに比例するため移動距離は以下式(5)によって表される。
x'=(α×b)×x・・・(5)
そして、式(5)によれば、出発地点P1から幹線道路r0までの移動時間と移動距離との関係式は以下式(6)によって表される。
y=(1/v)×(x+x')=((1+α×b)/V)×x・・・(6)
これにより、例えば、出発地点P1から幹線道路r0までの距離をa1とし、曲がり角の数b1とすると、相関関数1101−1は以下式(7)、式(8)とによって定義することが可能となる。なお、x=a1において式(6)と交差するように切片が計算されてある。
相関関数1101−1に示すように、距離x1が出発地点P1から幹線道路r0までの距離よりも短い場合、制御部301は、式(7)によって移動時間y1を算出する。式(7)では、出発地点P1から中間地点までの間に幹線道路r0がない場合を想定しているため、出発地点P1から幹線道路r0までの距離と、曲がり角の数b1と増加距離αと、をパラメータとする。相関関数1101−1に示すように、距離x1が出発地点P1から幹線道路r0までの距離以上の場合、制御部301は、式(8)によって移動時間y1を算出する。式(8)では、出発地点P1から中間地点までの距離に応じた移動時間のうち、出発地点P1から幹線道路r0までの距離に応じた移動時間については、出発地点P1から幹線道路r0までの距離と、曲がり角の数b1と増加距離αと、をパラメータとする。また、式(8)では、出発地点P1から中間地点までの距離に応じた移動時間のうち、幹線道路r0から中間地点までの距離に応じた移動時間については、出発地点P1から幹線道路r0までの距離をパラメータとする。また、同様に、到着地点P2から幹線道路r0までの距離をa2として、曲がり角の数b2とすると、相関関数1101−2は以下式(9)、式(10)とによって定義することが可能となる。
相関関数1101−2に示すように、距離x2が到着地点P2から幹線道路r0までの距離よりも短い場合、制御部301は、式(9)によって移動時間y2を算出する。式(9)では、到着地点P2から中間地点までの間に幹線道路r0がない場合を想定しているため、到着地点P2から幹線道路r0までの距離と、曲がり角の数b2と増加距離αと、をパラメータとする。相関関数1101−2に示すように、距離x2が到着地点P2から幹線道路r0までの距離以上の場合、制御部301は、式(10)によって移動時間y2を算出する。式(10)では、到着地点P2から中間地点までの距離に応じた移動時間のうち、到着地点P2から幹線道路r0までの距離に応じた移動時間については、到着地点P2から幹線道路r0までの距離と、曲がり角の数b2と増加距離αと、をパラメータとする。また、式(10)では、到着地点P2から中間地点までの距離に応じた移動時間のうち、幹線道路r0から中間地点までの距離に応じた移動時間については、到着地点P2から幹線道路r0までの距離をパラメータとする。
つぎに、図11に示したロス時間関数1102について説明する。ロス時間関数1102は、出発地点P1から到着地点P2までの間の車両の移動が道路上の特定の区間によって遅くなる遅延時間を推定可能な関数である。例えば、車両が救急車のような緊急車両の場合、上述したように、赤信号や一時停止標識の前では、徐行して安全確認を行えば停止しなくてもよく、道路状況によっては道路の右側にはみだして走行することが可能である。そのため、車両が救急車のような緊急車両の場合、車両の移動が遅延する要因としては交差点や踏切が挙げられる。救急者であっても踏切では鉄道が優先であり、交差点では徐行、または一旦停止して徐行する。そのため、例えば、車両が救急車の場合、特定の区間としては、踏切を含む区間や交差点を含む区間とが挙げられる。ただし、特定の区間とは、例えば、車両の移動を遅くさせるような区間であれば特に限定しない。また、例えばロス時間関数1102は以下式(11)によって定義される。
t1=γ×δ×ζ・・・(11)
t1は遅延時間である。例えば、γは、後述する図14に示すように、向かい合う2辺の中点に出発地点P1と到着地点P2とがあるような長方形の範囲内の道路上の特定の区間の数である。長方形の範囲例については図12を用いた制御部301による処理例において詳細に説明する。δは、メッシュごとの特定の区間を車両が通過する確率である。ここでは、この確率を遭遇率とも称する。ζは、特定の区間によって車両の移動が遅延する特定の区間1つ当たりの遅延時間[時間/箇所]である。この遅延時間を平均ロス時間とも称する。
図12は、実施例2にかかるマスタ情報とメッシュ情報例を示す説明図である。図12(1)に示すように、マスタ情報1103は、メッシュサイズ、平均速度、増加距離のフィールドを有する。メッシュサイズのフィールドには、実施例1で説明した例と同様に、メッシュのサイズを示す情報が設定される。平均速度のフィールドには、緊急車両が幹線道路r0を走行するときに平均的な時速が設定される。増加距離のフィールドには、曲がり角の数bに応じた単位時間当たりの増加距離が設定される。
例えば、メッシュ情報1104は、メッシュID、位置、距離、曲がり角数、遭遇率、平均ロス時間のフィールドを有する。各フィールドに情報が設定されることによってレコード(例えば、1201−0,1201−1など)として記憶される。レコードの数はメッシュの数に対応する。
メッシュIDのフィールドには、メッシュを一意に識別可能な識別情報が設定される。例えば、レコード1201−0のメッシュIDのフィールドにはm0が設定されてある。位置のフィールドには、メッシュの位置を示す位置情報が設定される。実施例1で説明したように、例えば、メッシュの位置情報としては、メッシュの原点を示す座標値である。座標値は、例えば、緯度と経度によって表される。各メッシュは、メッシュの原点を示す座標値からマスタ情報1103に含まれるメッシュサイズまでの範囲である。
距離のフィールドには、複数の方向の各々について、メッシュ内の方向の端部と、端部に最も近い特定種類の道路との距離が設定される。特定種類の道路としては例えば上述したように幹線道路r0が挙げられる。曲がり角数のフィールドには、メッシュ内の特定の区間の数が設定される。ここでは、特定の区間は所定のカーブである。上述したように所定のカーブとは、曲がり角などの急なカーブである。上述したように急なカーブとは、例えば曲率が特定値以上のカーブである。特定値については、例えば、推定装置100などの利用者によって定義される。
遭遇率のフィールドは、単位時間当たりにメッシュごとの特定の区間を車両が通過する確率が設定される。遭遇率のフィールドは特定の区間によって車両の移動が遅延する特定の区間1つ当たりの遅延時間[時間/箇所]が設定される。
また、図12の例では、遭遇率と平均ロス時間とを異なるフィールドとしているが、遭遇率と平均ロス時間との乗算値が記憶されていてもよい。例えば、乗算値であれば、過去の実績値に基づいて設定可能である。例えば、遅延時間は以下式(12)のように定義可能である。
遅延時間t1=搬送時間の実績値−相関関数1101などによって得られた移動時間・・・(12)
式(12)によって乗算値であるδ×ζは以下式(13)のように定義可能である。
δ×ζ=(搬送時間の実績値−相関関数1101などによって得られた移動時間)/(該実績値の場合の出発地点P1と到着地点P2とを含む後述する長方形の範囲にある曲がり角の数)・・・(13)
例えば、自部分範囲を車両が通過した際の実績値に基づく乗算値を部分範囲の乗算値としてもよいし、自部分範囲から所定距離以内を車両が通過した際の実績値に基づく乗算値を部分範囲の乗算値としてもよい。
また、例えば、相関関数1101などによって得られた移動時間は、推定値であるため誤差が生じる。そこで、推定値と実際の移動時間との誤差は、平均値を中心に上下方向にばらつきがあるガウス分布であると推定される。そのため、複数の実績値に基づく乗算値の平均値が利用されてもよい。例えば、乗算値は推定装置100が定期的に更新してもよい。
交差点踏切情報1105は、所定範囲area内の特定の区間の位置に基づく情報である。ここでは、上述したように車両として救急車を例に挙げると、特定の区間としては、交差点付近などの交差点を含む区間と踏切付近などの踏切を含む区間とを挙げる。例えば、交差点踏切情報1105は、所定範囲area内の交差点または踏切の位置を示す情報である。
つぎに、制御部301による具体的な処理例について説明する。まず、実施例2における出発地点P1および到着地点P2を示す位置情報の取得と、移動距離と第1方向dir1と第2方向dir2との特定と、の処理については実施例1と同一であるため、詳細な説明を省略する。
つぎに、制御部301は、記憶部101に記憶された距離情報のうち、出発地点P1を含むメッシュについての第1距離情報と、到着地点P2を含むメッシュについての第2距離情報と、を取得する。第1距離情報および第2距離情報はメッシュ情報1104に含まれる。また、制御部301は、出発地点P1を含むメッシュ内の道路における特定の区間の数を示す第1区間数情報と、到着地点P2を含むメッシュ内の特定の区間の数を示す第2区間数情報と、を取得する。特定の区間は、上述したように曲がり角のなどの所定のカーブを含む。第1区間数情報および第2区間数情報はメッシュ情報1104に含まれる。
例えば、制御部301は、メッシュ情報1104から、出発地点P1を含むメッシュを示すメッシュと第1方向dir1との組合せについての距離a1を取得する。また、制御部301は、メッシュ情報1104から、出発地点P1を含むメッシュを示すメッシュについての曲がり角の数b1を取得する。また、例えば、制御部301は、メッシュ情報1104から、到着地点P2を含むメッシュを示すメッシュと第2方向dir2との組合せについての距離a2を取得する。また、制御部301は、メッシュ情報1104から、到着地点P2を含むメッシュを示すメッシュについての曲がり角の数b2を取得する。
そして、制御部301は、第1移動距離に応じた移動時間と、第2移動距離に応じた移動時間と、の合計の値によって、出発地点P1から到着地点P2までの間の車両の移動時間を推定する。第1移動距離に応じた移動時間は、車両が出発地点P1から到着地点P2までの間の特定種類の道路を移動する場合の第1移動距離に応じた移動時間である。特定種類の道路とは、上述したように、幹線道路r0が挙げられる。第2移動距離に応じた移動時間は、車両が出発地点P1から到着地点P2までの間の特定種類の道路以外の道路を移動する場合の第2移動距離に応じた移動時間である。また、第2移動距離に応じた移動時間は、取得した第1距離情報と取得した第1区間数情報とに基づく時間と、取得した第2距離情報と取得した第2区間数情報とに基づく時間と、の合計の値である。
例えば、制御部301は、マスタ情報1103から車両の平均速度vを取得する。また、制御部301は、マスタ情報1103から、曲がり角の数に応じた増加距離αを取得する。
そして、例えば、制御部301は、相関関数1101−1に、取得した平均速度vと、取得した増加距離αと、取得した曲がり角の数b1と、取得した距離a1と、特定した距離Dと、を与える。これにより、制御部301は、出発地点P1から出発地点P1と到着地点P2との中間地点までの移動時間t0_1を得る。
図13は、実施例2にかかる移動時間の推定例を示す説明図である。図13(1)の例では、平均速度vは40[km/h]である。図13(1)に示すように、例えば、増加距離αは0.01[km/h]であり、曲がり角がメッシュ中に1箇所増えると、幹線道路r0の距離と比べて1時間当たり10[m]距離が増加する。
図13(2)の例では、メッシュから第1方向dir1に向かった場合の最も近い幹線道路r0までの距離a1は2[km]であり、メッシュの曲がり角の数b1は、200である。1[km]地点では4.5[分]であり、2[km]地点では9[分]であり、3[km]地点では10.5[分]であり、4[km]地点では12[分]である。図13(2)の下側のグラフは、各パラメータが代入された相関関数1101に基づく移動距離と移動時間との関係を示す。
また、図13(3)のグラフは、例では、距離a1として2[km]、メッシュの曲がり角の数b1として100が代入された相関関数1101に基づく移動距離と移動時間との関係を示す。
また、例えば、制御部301は、相関関数1101−2に、平均速度vと、増加距離αと、曲がり角の数b2と、距離a2と、距離Dと、を与える。これにより、制御部301は、到着地点P2から出発地点P1と到着地点P2との中間地点までの移動時間t0_2を得る。
そして、例えば、制御部301は、移動時間t0_1と移動時間t0_2とを合計することによって出発地点P1から到着地点P2までの移動時間t0を推定する。
つぎに、制御部301は、遅延時間t1を推定する。制御部301は、所定範囲areaに含まれる範囲であって、第1位置P1と第2位置P2とを含む範囲内の特定の区間の数を取得する。ここでの範囲は、例えば、後述する図14に示すように、向かい合う2辺の中点に出発地点P1と到着地点P2とがあるような長方形の範囲である。また、車両が救急車の場合を例に挙げると、遅延時間t1の算出における特定の区間とは、例えば、交差点や踏切などを含む区間である。取得処理としては、制御部301は、予め所定地域ごとに記憶部101に特定の区間の数に関する情報が記憶されてあるのを取得してもよい。または、例えば、制御部301は、タッチパネルなどを介して範囲内の特定の区間の数が入力されてもよい。または、例えば、制御部301は、範囲内の特定の区間の数を算出してもよい。ここでは、制御部301が範囲内の特定の区間の数を算出する例を説明する。
図14は、遅延時間の推定例を示す説明図である。まず、例えば、制御部301は、距離D^2に基づき、出発地点P1と到着地点P2とを含む範囲arの頂点座標(Pa,Pb,Pc,Pd)を算出する。範囲arについては、上述したように、例えば、向かい合う2辺の中点に出発地点P1と到着地点P2とが位置するような長方形の範囲arである。例えば、長方形の隣り合う2辺の長さの比は一定の比率である。制御部301は、算出した頂点座標と交差点踏切情報1105とに基づいて、範囲ar内にある交差点・踏切の数を算出する。また、予め地域ごとに単位面積当たりの交差点・踏切数=密度を予め記憶部101に記憶させておき、制御部301は、範囲arを含む地域についての密度と範囲arの面積との乗算によって交差点・踏切の数を算出してもよい。これにより、交差点・踏切の数の算出にかかる時間の短縮を図ることができる。
制御部301は、記憶部101に記憶された平均ロス時間および遭遇率のうち、第1位置P1を含む部分範囲と第2位置P2を含む部分範囲との少なくともいずれかの部分範囲についての平均ロス時間および遭遇率を取得する。例えば、制御部301は、メッシュ情報1104から、出発地点P1または到着地点P2を含むメッシュの遭遇率δおよび交差点・踏切での平均ロス時間ζを取得する。
つぎに、制御部301は、算出した特定の区間の数と、取得した平均ロス時間および遭遇率と、に基づいて、車両が第1位置P1から第2位置P2を移動する場合に特定の区間による遅延時間t1を推定する。例えば、遅延時間t1を推定する処理としては、制御部301は、算出した交差点・踏切の数と、遭遇平均値δと、平均ロス時間ζと、をロス時間関数1102に与えて遅延時間t1を算出する。
そして、制御部301は、算出した遅延時間t1と、算出した移動時間t0と、の合計の値を算出することによって出発地点P1から到着地点P2までの移動時間tを算出する。
このように、簡単な計算によって移動時間を推定するため、移動時間の推定にかかる時間の短縮を図ることができる。
(実施例2にかかる推定処理手順例を示すフローチャート)
図15は、実施例2にかかる推定装置による推定処理手順例を示すフローチャートである。まず、推定装置100は、移動時間導出処理を行う(ステップS1501)。つぎに、推定装置100は、遅延時間導出処理を行う(ステップS1502)。そして、推定装置100は、「t=t0+t1」を行い(ステップS1503)、一連の処理を終了する。
図16は、図15で示した移動時間導出処理の詳細な説明を示すフローチャートである。まず、推定装置100は、出発地点P1と到着地点P2とを示す位置情報を取得する(ステップS1601)。つぎに、推定装置100は、出発地点P1と到着地点P2との間の距離D^2を算出する(ステップS1602)。
そして、推定装置100は、搬送角度を算出する(ステップS1603)。つづいて、推定装置100は、搬送角度に基づき第1方向dir1を特定する(ステップS1604)。そして、推定装置100は、第1方向dir1に基づき第2方向dir2を特定する(ステップS1605)。
つぎに、推定装置100は、移動時間の第1推定処理を行う(ステップS1606)。そして、推定装置100は、移動時間の第2推定処理を行う(ステップS1607)。つづいて、推定装置100は、「t0=t0_1+t0_2」を行い(ステップS1608)、一連の処理を終了する。
図17は、図16で示した第1推定処理の詳細な説明を示すフローチャートである。まず、推定装置100は、メッシュ情報1104のうち、出発地点P1を含むメッシュについてのレコードMESH1を取得する(ステップS1701)。つぎに、推定装置100は、レコードMESH1から第1方向dir1に対応する幹線道路r0までの距離a1を取得する(ステップS1702)。そして、推定装置100は、レコードMESH1から曲がり角の数b1を取得する(ステップS1703)。
つぎに、推定装置100は、救急車の平均速度vを取得する(ステップS1704)。そして、推定装置100は、曲がり角の数b1に応じた増加距離αを取得する(ステップS1705)。つぎに、推定装置100は、記憶部101から相関関数1101−1を取得する(ステップS1706)。推定装置100は、「D=D^2/2」を行い(ステップS1707)。推定装置100は、距離a1と距離Dと曲がり角の数b1と平均速度vと増加距離αとを相関関数1101−1に与えて移動時間t0_1を得て(ステップS1708)、一連の処理を終了する。
図18は、図16で示した第2推定処理の詳細な説明を示すフローチャートである。まず、推定装置100は、メッシュ情報1104のうち、到着地点P2を含むメッシュについてのレコードMESH2を取得する(ステップS1801)。つぎに、推定装置100は、レコードMESH2から第2方向dir2に対応する幹線道路r0までの距離a2を取得する(ステップS1802)。
そして、推定装置100は、レコードMESH2から曲がり角の数b2を取得する(ステップS1803)。つぎに、推定装置100は、記憶部101から相関関数1101−2を取得する(ステップS1804)。そして、推定装置100は、距離a2と距離Dと曲がり角の数b2と平均速度vと増加距離αとを相関関数1101−2に与えて移動時間t0_2を得て(ステップS1805)、一連の処理を終了する。
図19は、図15で示した遅延時間導出処理の詳細な説明を示すフローチャートである。推定装置100は、出発地点P1と到着地点P2とを示す位置情報を取得する(ステップS1901)。推定装置100は、出発地点P1と到着地点P2との間の距離D^2を算出する(ステップS1902)。
推定装置100は、距離D^2に基づき、出発地点P1と到着地点P2とを含む長方形の範囲arの頂点座標(Pa,Pb,Pc,Pd)を算出する(ステップS1903)。推定装置100は、算出した頂点座標に基づいて、範囲に含まれる交差・踏切数γを算出する(ステップS1904)。
推定装置100は、メッシュ情報1104のうち、出発地点P1を含むメッシュについてのレコードMESH1を取得する(ステップS1905)。推定装置100は、レコードMESH1から遭遇率δを取得する(ステップS1906)。推定装置100は、レコードMESH1から平均ロス時間ζを取得する(ステップS1907)。推定装置100は、「t1=γ×δ×ζ」を算出し(ステップS1908)、一連の処理を終了する。
また、推定装置100は、実施例2にかかる遅延時間t1の導出処理と、実施例1にかかる移動時間t0の導出処理と、を組み合わせることにより、移動時間tを算出してもよい。
以上説明したように、実施例2にかかる推定装置100は、出発地点P1から到着地点P2までにある幹線道路r0の第1移動距離に応じた移動時間と、該幹線道路r0以外の道路の第2移動距離に応じた移動時間と、の合計値により移動時間を推定する。これにより、推定の演算を簡単にして、移動時間を推定する時間の短縮を図ることができる。また、推定の演算が簡単であっても推定精度の向上を図ることができる。
例えば、車両が出発地点P1から幹線道路r0を走行するまでは、小さな道路などで角を曲がりながら移動するため、直線距離に対して実走行距離が長くなる。そこで、第2移動距離に応じた移動時間は、出発地点P1と幹線道路r0との間の距離と出発地点P1を含む部分範囲の特定の区間の数とに応じた時間、および到着地点P2と幹線道路r0との間の距離と到着地点P2を含む部分範囲の特定の区間の数とに応じた時間の合計の値である。また、特定の区間は所定のカーブを含む。このように、直線的に走行できる区間に応じた移動時間と、直点的に走行できない区間に応じた移動時間と、の合計の値によって移動時間が推定されることによって。したがって、推定の演算が簡単であっても推定精度の向上を図ることができる。
また、推定装置100は、出発地点P1と到着地点P2とを含む範囲内の道路における特定の区間の数と、車両が部分範囲を通過した場合における特定の区間による遅延時間と、により出発地点P1から到着地点P2までを車両が移動する場合の特定の区間による遅延時間を推定する。ここでの特定の区間は、例えば、交差点または踏切などを含む。これにより、推定の演算が簡単であり、推定時間の短縮を図りつつ、推定精度の向上を図ることができる。
図20は、システム例を示す説明図である。システム2000は、例えば、救急車が患者をいずれの病院に搬送させるかを決定する。システム2000は、救急隊が保持する携帯端末である推定装置100と、サーバ2001と、病院側のコンピュータ2002と、を有する。
例えば、サーバ2001は、実施例1や実施例2のように導出した移動時間を用いて、救急車数xと搬送可能な医療機関yとのx×yの組合せの中から、最も患者の救急リスクが低い搬送パターンを考える際に活用することができる。
図21は、表示画面例を示す説明図である。例えば、救急隊が有する携帯端末の表示画面2100には、搬送パターンを決定するためのパラメータ名と、パラメータの入力欄と、搬送可能な医療機関名と、などの項目を有する。パラメータとしては、例えば、傷病者の病状、緊急度、実施例1や実施例2で導出した移動時間などが挙げられる。また、例えば、パラメータとしては、診療可能な診療科などがあってもよい。例えば、サーバ2001が、傷病車の救急リスクをパラメータによって特定の重みをつけて計算する。
例えば、傷病者と医療機関との搬送パターン1におけるリスク値は、以下の通りであり、リスク値の合計は0.95である。
傷病者A−医療機関1:リスク値0.15
傷病者B−医療機関2:リスク値0.35
傷病者C−医療機関3:リスク値0.45
例えば、傷病者と医療機関との搬送パターン2におけるリスク値は、以下の通りであり、リスク値の合計は1.35である。
傷病者A−医療機関1:リスク値0.25
傷病者B−医療機関2:リスク値0.45
傷病者C−医療機関3:リスク値0.65
例えば、傷病者と医療機関との搬送パターン3におけるリスク値は、以下の通りであり、リスク値の合計は0.70である。
傷病者A−医療機関1:リスク値0.15
傷病者B−医療機関2:リスク値0.20
傷病者C−医療機関3:リスク値0.35
例えば、サーバ2001は、搬送パターン1〜3のうち、リスク値が最も小さい搬送パターン3を最適な傷病者と搬送先との候補となる。
また、例えば、傷病者が10人であり、搬送先の医療機関が20ヶ所であると、200パターンの移動時間の計算が行われる。そのため、本実施の形態のように移動時間の算出時間の短縮を図ることによって、傷病者−搬送先の医療機関との搬送パターンの導出にかかる時間の短縮を図ることができる。
なお、本実施の形態で説明した推定方法は、予め用意された推定プログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本推定プログラムは、磁気ディスク、光ディスク、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、推定プログラムは、インターネット等のネットワークNETを介して配布してもよい。
上述した実施例1および実施例2に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)地理情報が示す所定範囲を分割した複数の部分範囲に含まれる部分範囲と、複数の方向のうちの方向と、の組合せの各々について、車両が前記組合せの前記部分範囲内の位置から前記組合せの前記方向に移動する場合における前記車両の移動距離と前記車両の移動時間との対応関係を示す関係情報を記憶する記憶部を参照可能なコンピュータに、
前記所定範囲に含まれる第1位置と前記所定範囲に含まれる第2位置とを示す位置情報を取得し、
取得した前記位置情報に基づいて、前記複数の方向のうちの前記第1位置に対する前記第2位置の地理上の第1方向と、前記複数の方向のうちの前記第2位置に対する前記第1位置の地理上の第2方向と、前記第1位置と前記第2位置との間の直線の距離と、を特定し、
前記記憶部に記憶された前記関係情報のうちの、前記複数の部分範囲のうちの前記第1位置を含む部分範囲と特定した前記第1方向との組合せについての第1関係情報と、前記複数の部分範囲のうちの前記第2位置を含む部分範囲と特定した前記第2方向との組合せについての第2関係情報と、を取得し、
特定した前記距離と、取得した前記第1関係情報と、取得した前記第2関係情報と、に基づいて、前記第1位置から前記第2位置までの前記車両の移動時間を推定する、
処理を実行させることを特徴とする推定プログラム。
(付記2)前記推定する処理では、取得した前記第1関係情報に基づく特定した前記距離に応じた第1距離に対応する第1時間と、取得した前記第2関係情報に基づく特定した前記距離に応じた第2距離に対応する第2時間と、に基づいて、前記車両の移動時間を推定することを特徴とする付記1に記載の推定プログラム。
(付記3)前記コンピュータに、
前記所定範囲に含まれる範囲であって、前記第1位置と前記第2位置とを含む範囲内の道路における特定の区間の数を示す区間数情報を取得し、
前記第1位置を含む部分範囲と前記第2位置を含む部分範囲との少なくともいずれかの部分範囲についての、前記車両が前記部分範囲を通過した場合における前記特定の区間による遅延時間であって、前記部分範囲内の道路における前記特定の区間1つ当たりの遅延時間を示す時間情報を取得し、
取得した前記区間数情報と、取得した前記時間情報が示す前記遅延時間と、に基づいて、前記車両が前記第1位置から前記第2位置までの間を移動する場合における前記特定の区間による遅延時間を推定し、
特定した前記距離と、取得した前記第1関係情報と、取得した前記第2関係情報と、に基づく時間と、推定した前記遅延時間と、の合計の値によって前記車両の移動時間を推定する、
処理を実行することを特徴とする付記1または2に記載の推定プログラム。
(付記4)前記特定の区間は交差点を含むことを特徴とする付記3に記載の推定プログラム。
(付記5)前記特定の区間は踏切を含むことを特徴とする付記3に記載の推定プログラム。
(付記6)地理情報が示す所定範囲を分割した複数の部分範囲に含まれる部分範囲と、複数の方向のうちの方向と、の組合せの各々について、前記部分範囲内の前記方向の端部と、前記端部に最も近い特定種類の道路との距離を示す距離情報を記憶する記憶部を参照可能なコンピュータに、
前記所定範囲に含まれる第1位置と前記所定範囲に含まれる第2位置とを示す位置情報を取得し、
取得した前記位置情報に基づいて、前記複数の方向のうちの前記第1位置に対する前記第2位置の地理上の第1方向と、前記複数の方向のうちの前記第2位置に対する前記第1位置の地理上の第2方向と、前記第1位置と前記第2位置との間の直線の距離と、を特定し、
前記記憶部に記憶された前記距離情報のうち、前記第1位置を含む部分範囲についての第1距離情報と、前記第2位置を含む部分範囲についての第2距離情報と、を取得し、
特定した前記距離と、取得した前記第1距離情報と、取得した前記第2距離情報と、に基づく、車両が前記第1位置から前記第2位置までの間の前記特定種類の道路を移動する場合の第1移動距離に応じた移動時間と、前記車両が前記第1位置から前記第2位置までの間の前記特定種類の道路以外の道路を移動する場合の第2移動距離に応じた移動時間と、の合計の値によって前記第1位置から前記第2位置までの間の前記車両の移動時間を推定する、
処理を実行させることを特徴とする推定プログラム。
(付記7)前記コンピュータに、
前記第1位置を含む部分範囲内の道路における特定の区間の数を示す第1区間数情報と、前記第2位置を含む部分範囲内の前記特定の区間の数を示す第2区間数情報と、を取得する処理を実行させ、
前記第2移動距離に応じた移動時間は、取得した前記第1距離情報と取得した前記第1区間数情報とに基づく時間と、取得した前記第2距離情報と取得した前記第2区間数情報とに基づく時間と、の合計の値であることを特徴とする付記6に記載の推定プログラム。
(付記8)前記特定の区間は、所定のカーブを含むことを特徴とする付記7に記載の推定プログラム。
(付記9)前記コンピュータに、
前記所定範囲に含まれる範囲であって、前記第1位置と前記第2位置とを含む範囲内の道路における第2の特定の区間の数を示す第2区間数情報を取得し、
前記第1位置を含む部分範囲と前記第2位置を含む部分範囲との少なくともいずれかの部分範囲についての、前記車両が前記部分範囲を通過した場合における前記第2の特定の区間による遅延時間であって、前記部分範囲内の道路における前記第2の特定の区間1つ当たりの遅延時間を示す時間情報を取得し、
取得した前記第2区間数情報と、取得した前記時間情報が示す前記遅延時間と、に基づいて、前記車両が前記第1位置から前記第2位置までの間を移動する場合における前記第2の特定の区間による遅延時間を推定し、
前記第1移動距離に応じた移動時間と、前記第2移動距離に応じた移動時間と、の合計の値によって推定された時間と、推定した前記遅延時間と、の合計の値によって前記車両の移動時間を推定する、
処理を実行することを特徴とする付記6〜8のいずれか一つに記載の推定プログラム。
(付記10)地理情報が示す所定範囲を分割した複数の部分範囲に含まれる部分範囲と、複数の方向のうちの方向と、の組合せの各々について、車両が前記組合せの前記部分範囲内の位置から前記組合せの前記方向に移動する場合における前記車両の移動距離と前記車両の移動時間との対応関係を示す関係情報を記憶する記憶部を参照可能なコンピュータが、
前記所定範囲に含まれる第1位置と前記所定範囲に含まれる第2位置とを示す位置情報を取得し、
取得した前記位置情報に基づいて、前記複数の方向のうちの前記第1位置に対する前記第2位置の地理上の第1方向と、前記複数の方向のうちの前記第2位置に対する前記第1位置の地理上の第2方向と、前記第1位置と前記第2位置との間の直線の距離と、を特定し、
前記記憶部に記憶された前記関係情報のうちの、前記複数の部分範囲のうちの前記第1位置を含む部分範囲と特定した前記第1方向との組合せについての第1関係情報と、前記複数の部分範囲のうちの前記第2位置を含む部分範囲と特定した前記第2方向との組合せについての第2関係情報と、を取得し、
特定した前記距離と、取得した前記第1関係情報と、取得した前記第2関係情報と、に基づいて、前記第1位置から前記第2位置までの前記車両の移動時間を推定する、
処理を実行することを特徴とする推定方法。
(付記11)地理情報が示す所定範囲を分割した複数の部分範囲に含まれる部分範囲と、複数の方向のうちの方向と、の組合せの各々について、前記部分範囲内の前記方向の端部と、前記端部に最も近い特定種類の道路との距離を示す距離情報を記憶する記憶部を参照可能なコンピュータが、
前記所定範囲に含まれる第1位置と前記所定範囲に含まれる第2位置とを示す位置情報を取得し、
取得した前記位置情報に基づいて、前記複数の方向のうちの前記第1位置に対する前記第2位置の地理上の第1方向と、前記複数の方向のうちの前記第2位置に対する前記第1位置の地理上の第2方向と、前記第1位置と前記第2位置との間の直線の距離と、を特定し、
前記記憶部に記憶された前記距離情報のうち、前記第1位置を含む部分範囲についての第1距離情報と、前記第2位置を含む部分範囲についての第2距離情報と、を取得し、
特定した前記距離と、取得した前記第1距離情報と、取得した前記第2距離情報と、に基づく、車両が前記第1位置から前記第2位置までの間の前記特定種類の道路を移動する場合の第1移動距離に応じた移動時間と、前記車両が前記第1位置から前記第2位置までの間の前記特定種類の道路以外の道路を移動する場合の第2移動距離に応じた移動時間と、の合計の値によって前記第1位置から前記第2位置までの間の前記車両の移動時間を推定する、
処理を実行することを特徴とする推定方法。
(付記12)地理情報が示す所定範囲を分割した複数の部分範囲に含まれる部分範囲と、複数の方向のうちの方向と、の組合せの各々について、車両が前記組合せの前記部分範囲内の位置から前記組合せの前記方向に移動する場合における前記車両の移動距離と前記車両の移動時間との対応関係を示す関係情報を記憶する記憶部と、
前記所定範囲に含まれる第1位置と前記所定範囲に含まれる第2位置とを示す位置情報を取得し、取得した前記位置情報に基づいて、前記複数の方向のうちの前記第1位置に対する前記第2位置の地理上の第1方向と、前記複数の方向のうちの前記第2位置に対する前記第1位置の地理上の第2方向と、前記第1位置と前記第2位置との間の直線の距離と、を特定し、前記記憶部に記憶された前記関係情報のうちの、前記複数の部分範囲のうちの前記第1位置を含む部分範囲と特定した前記第1方向との組合せについての第1関係情報と、前記複数の部分範囲のうちの前記第2位置を含む部分範囲と特定した前記第2方向との組合せについての第2関係情報と、を取得し、特定した前記距離と、取得した前記第1関係情報と、取得した前記第2関係情報と、に基づいて、前記第1位置から前記第2位置までの前記車両の移動時間を推定する制御部と、
を有することを特徴とする推定装置。
(付記13)地理情報が示す所定範囲を分割した複数の部分範囲に含まれる部分範囲と、複数の方向のうちの方向と、の組合せの各々について、前記部分範囲内の前記方向の端部と、前記端部に最も近い特定種類の道路との距離を示す距離情報を記憶する記憶部と、前記所定範囲に含まれる第1位置と前記所定範囲に含まれる第2位置とを示す位置情報を取得し、取得した前記位置情報に基づいて、前記複数の方向のうちの前記第1位置に対する前記第2位置の地理上の第1方向と、前記複数の方向のうちの前記第2位置に対する前記第1位置の地理上の第2方向と、前記第1位置と前記第2位置との間の直線の距離と、を特定し、前記記憶部に記憶された前記距離情報のうち、前記第1位置を含む部分範囲についての第1距離情報と、前記第2位置を含む部分範囲についての第2距離情報と、を取得し、特定した前記距離と、取得した前記第1距離情報と、取得した前記第2距離情報と、に基づく、車両が前記第1位置から前記第2位置までの間の前記特定種類の道路を移動する場合の第1移動距離に応じた移動時間と、前記車両が前記第1位置から前記第2位置までの間の前記特定種類の道路以外の道路を移動する場合の第2移動距離に応じた移動時間と、の合計の値によって前記第1位置から前記第2位置までの間の前記車両の移動時間を推定する制御部と、を有することを特徴とする推定装置。