以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
図1〜図12は、本発明の定着制御装置、画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラムの一実施例を示す図であり、図1は、本発明の定着制御装置、画像形成装置、定着制御方法及び定着制御プログラムの一実施例を適用した画像形成装置1の概略構成図である。
図1において、画像形成装置1は、本体筐体2内に、給紙部10、搬送部20、プリンタ部40等が収納され、本体筐体2の上部に、排紙トレイ3設けられている。画像形成装置1は、図示しないが、操作表示部を備えており、操作表示部は、各種操作キー及びディスプレイ等を備えている。
給紙部10は、給紙トレイ11、給紙ローラ12及び図示しない分離パッド等を備えており、給紙トレイ11内には、複数枚の用紙(被記録媒体)Pが収納される。給紙部10は、給紙トレイ11内の用紙Pを給紙ローラ12と分離パッドで1枚ずつ分離して、搬送部20に送り出す。
搬送部20は、順方向搬送路21、両面搬送路22、レジストローラ23、2次転写ローラ24、排紙ローラ25、両面ローラ26、レジストセンサ27、排紙センサ28、両面センサ29、定着部30及び図示しない複数の搬送ローラ等を備えている。搬送部20は、給紙部10から送り出されてきた用紙Pを、順方向搬送路21上をレジストローラ23へ搬送し、レジストローラ23へ搬送される用紙Pを、レジストセンサ27が検出する。画像形成装置1は、レジストローラ23で用紙Pの搬送を一時停止させた後、レジストセンサ27による用紙Pの検出結果とプリンタ部40でのトナー画像形成状況に基づいて、レジストローラ23の駆動を制御し、用紙Pをプリンタ部40によって形成されたトナー画像とのタイミングを調整して、2次転写ローラ24へ搬送する。搬送部20は、2次転写ローラ24によって、後述するように、プリンタ部40で形成されたカラートナー画像をレジストローラ23から搬送されてきた用紙P上に転写させつつ、用紙Pを定着部30に搬送する。
定着部(定着装置)30は、定着ローラ(定着手段)30aと加圧ローラ30bを備えていて、定着ローラ30aと加圧ローラ30bとの間に用紙Pを挟んで、該用紙Pを搬送しつつ加熱・加圧し、用紙P上のトナー画像を用紙Pに定着させる。定着部30は、定着の完了した用紙Pを排紙ローラ25に搬送する。
搬送部20は、排紙ローラ25に搬送される用紙Pを排紙センサ28が検出し、該用紙Pが両面画像形成を行う場合であって片面への画像形成の完了した用紙Pであると、排紙ローラ25を適宜のタイミングに反転させて、両面搬送路22に送り込む。搬送部20は、用紙Pを両面搬送路22に送り込むと、両面ローラ26によって用紙Pの搬送を行い、この両面搬送路22上を搬送される用紙Pを両面センサ29が検出する。搬送部20は、両面搬送路22に送り込んだ用紙を両面搬送路22からレジストローラ23へ再度搬送し、上記同様に、用紙Pの裏面に画像形成して、定着部30で定着させた後、排紙ローラ25によって排紙トレイ3上に排出する。
プリンタ部40は、中間転写ユニット41、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色用のプロセスカートリッジ42C、42M、42Y、42K、露光部43、キャリブレーション用センサ44、排トナーボックス45等を備えている。中間転写ユニット41は、中間転写ベルト51、2次転写駆動ローラ52、テンションローラ53及びCMYK各色用の転写ローラ54Y、54M、54C、54K等を備えている。中間転写ユニット41は、無端帯状でリング状に形成されている中間転写ベルト51が、略水平方向に張り渡された2次転写駆動ローラ52とテンションローラ53とに張り渡されている。2次転写駆動ローラ52は、中間転写ベルト51を挟んで2次転写ローラ24に当接する状態で配設されている。
プリンタ部40は、中間転写ベルト51に沿ってCMYKの各プロセスカートリッジ42Y、42M、42C、42Kが配設されている。各プロセスカートリッジ42Y、42M、42C、42Kは、図1において時計方向に回転駆動される感光体61Y、61M、61C、61Kを中心に、帯電ローラ62Y、62M、62C、62K、現像/トナー収納部63Y、63M、63C、63K及びクリーニング部64Y、64M、64C、64K等が配設された状態で図示しないカートリッジケース内に収納されている。各プロセスカートリッジ42Y、42M、42C、42Kは、その感光体61Y、61M、61C、61Kが上記中間転写ベルト51を挟んで、各色用の転写ローラ54Y、54M、54C、54Kと対向して接触する状態で、本体筐体2内に収納されて装着される。プリンタ部40は、各プロセスカートリッジ42Y、42M、42C、42Kの感光体61Y、61M、61C、61Kと転写ローラ54Y、54M、54C、54Kとの間を中間転写ベルト51が搬送される。
露光部43は、図示しないが、ポリゴンモータ、ポリゴンミラー、Fθレンズ、レーザダイオード及びミラー等を備えている。露光部43は、各色の画像データに基づいて変調した各色のプロセスカートリッジ42Y、42M、42C、42K用の書込光をレーザダイオードからポリゴンモータにより回転駆動されるポリゴンミラーへ出射させる。露光部43は、この書込光を、ポリゴンミラーによって主走査方向に偏向させて、fθレンズやミラー等を経由させて、図1に破線矢印で示すように、各プロセスカートリッジ42Y、42M、42C、42Kの帯電ローラ62Y、62M、62C、62Kによって一様に帯電されている感光体61Y、61C、61M、61Kに照射し、各色の感光体61Y、61C、61M、61K上に静電潜像を形成する。
プリンタ部40は、静電潜像の形成された感光体61Y、61C、61M、61Kを時計方向に回転させつつ、現像/トナー収納部63Y、63M、63C、63Kによって各色のトナー(記録剤)を感光体61Y、61C、61M、61K上に供給して静電潜像を現像する。プリンタ部40は、各色のトナー画像(記録剤像)の形成された感光体61Y、61C、61M、61Kに転写ローラ54Y、54M、54C、54Kによって中間転写ベルト51上に順次重ね合わせて転写し、カラーのトナー画像を形成する。プリンタ部40は、トナー画像の転写の完了した各感光体61Y、61C、61M、61Kをさらに回転させてクリーニング部64Y、64M、64C、64Kで残留トナーを除去した後、再度、帯電ローラ62Y、62M、62C、62Kで帯電させて、画像形成に供する。
中間転写ベルト51は、2次転写駆動ローラ52によって反時計方向に回転駆動され、2次転写駆動ローラ52部分で、2次転写ローラ24との間にレジストローラ23から搬送されてきた用紙Pにトナー画像を転写する。
なお、プリンタ部40は、ブラックのみの印刷の場合には、ブラック用の転写ローラ54K以外の転写ローラ54Y、54M、54Cについては、それぞれ感光体61Y、61M、61Cから離間した位置に退避させて、画像形成する。
また、プリンタ部40は、所定の色ずれ補正処理や濃度調整処理等のキャリブレーション処理を行うために、中間転写ベルト51上にパターン画像を形成し、このパターン画像をキャリブレーション用センサ44で検出する。キャリブレーション用センサ44は、例えば、反射型光センサが用いられており、プロセスカートリッジ42Y、42M、42C、42Kによって中間転写ベルト51上に形成されたパターン画像の位置及び濃度を検出する。
そして、画像形成装置1は、その電源系統の要部が、図2に示すようにブロック構成されている。すなわち、画像形成装置1は、制御部70、電源部80、給紙/搬送/プリンタ部90及び定着部30等を備えている。制御部70、電源部80及び定着部30は、全体として、定着に利用する電力を削減する定着制御部(定着制御装置)100として機能している。
定着部30は、上述のように、回転可能に配設されている定着ローラ(定着手段)30aと加圧ローラ30b等を備えており、定着ローラ30aは、内蔵する定着ヒータ30cによって所定の待機温度及び定着温度に加熱制御される。
定着ヒータ(加熱手段)30cは、例えば、ハロゲンヒータが用いられており、通電量に応じて発熱して、定着ローラ30aを加熱する。
定着部30は、定着ローラ30aの表面近傍位置にサーミスタ30dが配設されており、サーミスタ(温度検出手段)30dは、定着ローラ30aの表面温度を検出して、検出温度を制御部70に出力する。なお、サーミスタ30dは、定着ローラ30aの表面に接触して温度を検出する接触式と非接触式のいずれであってもよい。
電源部(電源生成手段)80は、画像形成装置1の電源スイッチ(図示略)を介して商用の外部電源電力PSが供給され、該外部電源電力PSをAC/DC(交流/直流)変換、電圧変換、整流等の処理を行って、画像形成装置1の各部に電源電力を供給する。特に、電源部80は、制御部70の制御下で、外部から供給される外部電源電力PSを利用して定着ヒータ30cへの加熱用電源電力(定着電力)の供給を制御する。
給紙/搬送/プリンタ部90は、上記給紙部10、搬送部20及びプリンタ部40を総称したものであり、電源部80から駆動電源電力が供給される。
制御部70は、演算処理部71及び図示しないROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ等を備えている。ROMは、画像形成装置1の基本プログラム、本発明の定着制御プログラム等のプログラム及びシステムデータ等を格納しており、RAMは、演算処理部71のワークメモリとして利用される。不揮発性メモリ(記憶手段)は、例えば、NVRAM(Non Volatile RAM)等が用いられ、画像形成装置1の電源電力がOFFの場合にも記憶しておく必要のあるデータが格納される。特に、不揮発性メモリは、本発明の定着制御処理において用いる各種データ、例えば、下限電圧値、閾値電圧、遅延時間テーブル(昇温開始時間テーブル)、カラー/モノクロ対応遅延時間テーブル、画像サイズ対応遅延時間テーブル、印字率対応遅延時間テーブル、外部環境温度対応遅延時間テーブル等を格納している。ここで、下限電圧値は、定着電力を削減するために、定着ヒータ30cへの昇温開始時間を画像形成開始時間から遅らせた遅延時間に変更するか否かの閾値を示す電圧値である。閾値電圧は、製品規格電圧や公称電圧等の画像形成装置1を安全に稼働させることができるか否かの閾値を示す電圧である。遅延時間テーブルTbは、図3に示すように、外部電源電力PSの電圧値に対応させて画像形成開始時間から定着ヒータ30cへの通電を遅延させる遅延時間のテーブルである。カラー/モノクロ対応遅延時間テーブルは、画像データに基づく画像形成がカラーであるか、モノクロであるかによって、画像形成開始時間から定着ヒータ30cへの通電を遅延させる遅延時間を異ならせるための遅延時間テーブルである。画像サイズ対応遅延時間テーブルは、画像データに基づく形成画像のサイズによって、画像形成開始時間から定着ヒータ30cへの通電を遅延させる遅延時間を異ならせるための遅延時間テーブルである。印字率対応遅延時間テーブルは、画像データに基づく形成画像の印字率によって、画像形成開始時間から定着ヒータ30cへの通電を遅延させる遅延時間を異ならせるための遅延時間テーブルである。外部環境温度対応遅延時間テーブルは、画像形成装置1の外部環境温度によって、画像形成開始時間から定着ヒータ30cへの通電を遅延させる遅延時間を異ならせるための遅延時間テーブルである。したがって、画像形成装置1は、外部環境温度対応遅延時間テーブルを用いて定着ヒータ30cへの昇温開始時間を制御する場合には、図示しないが、外部環境温度を検出する温度センサを備えており、該温度センサは、検出する外部環境温度を制御部70へ出力する。
演算処理部(搬送時間取得手段、記録剤像種別取得手段、像割合取得手段、像サイズ取得手段)71は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されている。演算処理部71は、ROM内のプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用して、画像形成装置1の各部を制御し、画像形成装置1としての基本処理を実行するとともに、本発明の定着制御処理を実行する。特に、演算処理部71は、定着制御方法の実行において、プリンタ部40での画像形成動作及び搬送部20での用紙搬送状況から、用紙Pが定着部30に搬送されてくるまでの搬送時間を取得する搬送時間取得処理を行う。したがって、演算処理部71は、搬送時間取得手段としても機能している。
また、演算処理部71は、印刷ジョブを解析して、画像形成で用紙Pに形成するトナー画像(記録剤像)がモノクロとカラーのいずれの種別のトナー画像であるかを取得する記録材像種別取得処理を行い、記録剤像種別取得手段として機能する。
さらに、演算処理部71は、印刷ジョブを解析して、画像形成で用紙Pに形成するトナー画像(記録剤像)の用紙Pに対する像割合である印字率を取得する像割合取得処理を行い、像割合取得手段として機能する。
また、演算処理部71は、印刷ジョブを解析して、トナー画像(記録剤像)の画像サイズ(像サイズ)を取得する像サイズ取得処理を行い、像サイズ取得手段として機能する。
すなわち、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の定着制御方法を実行する定着制御プログラムを読み込んで制御部70のROM等に導入することで、後述する定着に利用する電力を削減する定着制御方法を実行する定着制御部100を搭載する画像形成装置1として構築されている。この定着制御プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
そして、電源部80は、図4にその要部ブロック構成を示すように、交流電圧調整部81、AC/DC(交流/直流)変換部82、直流電圧調整部83、出力調整部84及び電圧検出部85等を備えている。
交流電圧調整部81及びAC/DC変換部82は、電源スイッチ(図示略)を介して外部電源電力PSが供給される。
交流電圧調整部81は、スイッチング回路等で構成され、交流スイッチングすることで、外部電源電力PSの電圧を画像形成装置1で使用するのに適した電圧値に調整して、交流駆動電源電力として、画像形成装置1の交流駆動源に供給する。
AC/DC変換部82は、整流回路、例えば、ダイオードブリッジとトランス等を備えた整流回路等が用いられ、外部電源電力PSを直流電源電力に変換して、直流電圧調整部83及び電圧検出部85に出力する。
直流電圧調整部83は、例えば、DC−DCコンバータ等で構成されている。直流電圧調整部83は、AC/DC変換部82の出力する直流電源電力の電圧を、画像形成装置1の内部で必要な所定数の電圧値に変換して、直流駆動電源電力として画像形成装置1の各部へ供給するとともに、出力調整部84へ出力する。
出力調整部84は、例えば、フォトカプラとトライアック、あるいは、パワートランジスタ等で構成されており、演算処理部71から出力調整信号が入力される。出力調整部84は、出力調整信号に応じて、直流電圧調整部83からの直流駆動電源電力(加熱用電源電力)の定着ヒータ30cへの供給/供給遮断を行い、また、該出力調整信号のPWM(Pulse Wide modulation:パルス幅変調)に応じたPWMでON/OFFして、加熱用電源電力の定着ヒータ30cへの供給量(通電量)を制御する。
電圧検出部(電圧検出手段)85は、AC/DC変換部82の出力する直流電源電力の電圧値を検出することで、外部電源電力PSの電圧値を検出し、検出した電圧値を、A/Dコンバータでデジタル変換して制御部70の演算処理部71へ出力する。なお、電圧検出部85は、上述のように、AC/DC変換部82の出力する直流電源電力の電圧値を検出するものに限るものではない。例えば、電圧検出部85は、例えば、ACの外部電源電力PSの電圧値を、A/Dコンバータを用いて直接検出して、制御部70の演算処理部71へ出力するものであってもよい。
演算処理部71及び出力調整部84は、全体として、サーミスタ30dの検出する定着ローラ30aの温度と、電圧検出部85の検出する外部電源電力PSの電圧値及び取得した上記搬送時間に基づいて、出力調整信号を出力調整部84へ出力して、直流駆動電源電力の定着ヒータ30cへの通電を制御する通電制御処理を実行し、通電制御手段として機能している。
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、その定着制御部100が、定着に利用する電力を削減する。
すなわち、画像形成装置1は、制御部10の演算処理部71の制御下で、給紙部10、搬送部20及びプリンタ部40等を動作させて、画像データに応じたトナー画像を用紙Pに転写し、トナー画像を転写した用紙Pを定着部30へ搬送する。
定着制御部100は、演算処理部71の制御下で、定着ヒータ30cへの通電を制御して、定着ローラ30aを定着温度に加熱及び温度制御する。定着制御部100は、定着動作を行っていない待機状態においては、定着ローラ30aを、定着可能な定着温度よりも低い所定の待機温度に制御している。定着制御部100は、用紙Pが定着部30の定着ローラ30aと加圧ローラ30bとの加圧点に搬送されてくると、定着温度に加熱させている定着ローラ30aと加圧ローラ30bとで、用紙Pを加熱・加圧しつつ搬送して、用紙P上のトナー画像を用紙Pに定着させる。
この定着動作において、定着制御部100は、制御部70の演算処理部71の制御によって、図5に示すように、定着ヒータ30cへの通電開始時間を制御する定着における省電力制御処理を行う。演算処理部71は、この定着における省電力制御処理において、定着ローラ30aを定着温度へ昇温させるための定着ヒータ30cへの昇温開始時間(通電開始時間)を制御することで、用紙Pが定着ローラ30aと加圧ローラ30bの間に搬送されてくる時点で、定着ローラ30aの温度を定着温度に上昇させる。
すなわち、演算処理部71は、図5に示すように、操作表示部の操作または図示しないホスト装置HSから受信した印刷ジョブの実行等によって印刷コマンドが発行されると(ステップS101)、電圧検出部85からの外部電源電力PSの電圧値(以下、適宜、外部電源電圧という。)を取得する(ステップS102)。
演算処理部71は、取得した外部電源電圧が、不揮発性メモリに格納されている下限電圧値付近であるかチェックする(ステップS103)。この下限電圧値は、上述のように、定着電力を削減するために、定着ヒータ30cへの昇温開始時間を画像形成開始時間から遅らせた遅延時間に変更するか否かの閾値を示す電圧値であり、制御部70の不揮発性メモリに格納されている。
ステップS103で、外部電源電圧が下限電圧付近でないとき(ステップS103で、YESのとき)、演算処理部71は、昇温開始時間を求めて設定し(ステップS104)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。演算処理部71は、画像形成処理を開始させると、昇温開始時間になったかチェックして、昇温開始時間になると、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの昇温のための通電を開始させる。
演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。
ステップS103で、外部電源電圧が下限電圧付近であると(ステップS103で、YESのとき)、演算処理部71は、昇温開始時間の設定変更を行うことなく(ステップS106)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。この場合、演算処理部71は、画像形成開始と同時に、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの昇温のための通電を開始させる。
すなわち、演算処理部71は、画像形成開始時の外部電源電圧が下限電圧付近でないときには、図6に破線で示すように、求めた昇温開始時間まで、定着ヒータ30cへの昇温のための通電を行わず、待機温度での保温を継続する。演算処理部71は、昇温開始時間になると、出力調整部84を動作させて、定着ヒータ30cへ昇温のための加熱用電源電力の通電を行わせ、定着開始時点で、定着温度となるように定着ローラ30aを加熱させる。また、演算処理部71は、画像形成開始時の外部電源電圧が下限電圧付近のときには、図6に一点鎖線で示すように、定着ヒータ30cへの昇温のための通電を開始するが、定着開始時点で、定着温度となるように、出力調整部84の昇温のための通電を制御する。なお、図6において、実線は、従来の定着加熱における温度変化である。したがって、図6から分かるように、従来の定着加熱制御においては、定着可能な定着温度に加熱した後に定着温度を維持している間の消費電力が無駄な電力となっている。この従来に比較して、本実施例の定着における省電力制御では、低い待機温度を可能な限り維持しつつ、定着開始時には、定着ローラ30aを定着温度に加熱しており、定着性能を維持しつつ、定着部30で消費する電力を削減することができる。
そして、演算処理部71は、上記ステップS104における昇温開始時間を、例えば、電圧検出部85が画像形成開始時に検出した外部電源電圧に基づいて、予め不揮発性メモリ等に格納されている次式(1)として示す演算式に基づいて算出する。
遅延時間=(外部電源電圧-下限電圧値)×係数・・・(1)
演算処理部71は、この遅延時間を画像形成開始時の時間に加算することで、昇温開始時間を求める。ここで、係数は、画像形成装置1の機種及び後述する画像サイズ、印字率、カラー/モノクロの画像種別、外部環境温度等によって、適宜設定される。遅延時間は、秒の単位である。
また、遅延時間を求める方法としては、上記演算式に基づいて求める方法に限るものではなく、例えば、図3に示した遅延時間テーブルTbを参照して、求めてもよい。
なお、上記演算式及び図3の遅延時間テーブルTbを用いた方法では、外部電源電圧のみに基づいて、遅延時間を求めているが、実際には、式(1)の係数及び遅延時間テーブルTbの遅延時間に、画像形成開始から定着部30の定着位置まで用紙Pが搬送されるまでに要する搬送時間が考慮されている。
また、本実施例では、画像形成開始時の定着ローラ30aの温度が、予め設定されている所定の待機温度に温度調整されている。したがって、演算処理部71は、画像形成開始時の定着ローラ30aの温度が、一定でないときには、画像形成開始時にサーミスタ30dが検出する定着ローラ30aの温度を考慮して、上記遅延時間を求める。
そして、演算処理部71は、定着における省電力制御処理を、上記閾値電圧を考慮して、図7に示すように実行してもよい。なお、図7において、図5と同様の処理ステップには、同一のステップナンバーを付与して、その説明を簡略化する。
この場合、演算処理部71は、図7に示すように、操作表示部の操作または図示しないホスト装置HSから受信した印刷ジョブの実行等によって印刷コマンドが発行されると(ステップS101)、電圧検出部85からの外部電源電圧を取得する(ステップS102)。
演算処理部71は、取得した外部電源電圧が、不揮発性メモリに格納されている閾値電圧の範囲内であるかチェックする(ステップS201)。この閾値電圧は、上述のように、製品規格電圧や公称電圧等の画像形成装置1を安全に稼働させることができるか否かの閾値を示す電圧であり、制御部70の不揮発性メモリに格納されている。
ステップS201で、外部電源電圧が閾値電圧の範囲内であると(ステップS201で、YESのとき)、演算処理部71は、上述のようにして昇温開始時間を求めて設定し(ステップS104)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。演算処理部71は、画像形成処理を開始させると、昇温開始時間になったかチェックして、昇温開始時間になると、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの通電を開始させる。演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。
ステップS201で、外部電源電圧が閾値電圧の範囲外であると(ステップS201で、NOのとき)、演算処理部71は、適切に画像形成処理を行うことができないと判断して、画像形成処理を中止する(ステップS202)。演算処理部71は、画像形成処理を中止すると、その旨を操作表示部のディスプレイ等に表示させることでユーザに通知し、省電力制御処理を終了する(ステップS203)。
このようにすると、画像形成装置1が正常動作する外部電源電圧の範囲でのみ、消費電力を削減した定着ローラ30aの加熱を行うことができ、画像形成及び定着における安全性、適切性を確保しつつ、定着における消費電力を削減することができる。
また、演算処理部71は、定着における省電力制御処理を、画像形成がカラーとモノクロのいずれであるかを考慮して、図8に示すように実行してもよい。なお、図8において、図5と同様の処理ステップには、同一のステップナンバーを付与して、その説明を簡略化する。
この場合、演算処理部71は、図8に示すように、操作表示部の操作または図示しないホスト装置HSから受信した印刷ジョブの実行等によって印刷コマンドが発行されると(ステップS101)、電圧検出部85からの外部電源電圧を取得する(ステップS102)。
演算処理部71は、印刷ジョブを解析して画像形成がカラー印刷であるか、モノクロ印刷であるかの種別(印刷種別)を取得し(ステップS301)、カラー印刷であるかチェックする(ステップS302)。
ステップS302で、カラー印刷であると(ステップS302で、YESのとき)、演算処理部71は、カラー印刷に対する昇温開始時間を求めて設定し(ステップS303)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。演算処理部71は、画像形成処理を開始させると、カラー用の昇温開始時間になったかチェックして、カラー用の昇温開始時間になると、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの通電を開始させる。演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。演算処理部71は、このカラー用の昇温開始時間を、例えば、式(1)と同様の演算式であるが、カラー印刷に対して設定されている係数を用いた演算式を用いて求める。あるいは、演算処理部71は、図3の遅延時間テーブルTbと同様のテーブルであるが、カラー用の昇温開始時間のテーブルとして、予め制御部70の不揮発性メモリに格納されている遅延時間テーブルを用いてカラー用の昇温開始時間を求める。
ステップS302で、カラー印刷でないとき(ステップS302で、NOのとき)、すなわち、モノクロ印刷のとき、演算処理部71は、モノクロ印刷に対する昇温開始時間を求めて設定し(ステップS304)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。演算処理部71は、画像形成処理を開始させると、モノクロ用の昇温開始時間になったかチェックして、カラー用の昇温開始時間になると、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの通電を開始させる。演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。演算処理部71は、このモノクロ用の昇温開始時間を、例えば、式(1)と同様の演算式であるが、モノクロ印刷に対して設定されている係数を用いた演算式を用いて求める。あるいは、演算処理部71は、図3の遅延時間テーブルTbと同様のテーブルであるが、モノクロ用の昇温開始時間のテーブルとして、予め制御部70の不揮発性メモリに格納されている遅延時間テーブルを用いてモノクロ用の昇温開始時間を求める。
このようにすると、画像形成開始時間よりも遅い時間である画像形成がカラーであるか、モノクロであるかに応じた昇温開始時間に、定着ローラ30aの加熱を開始することができ、画像品質を適切に維持しつつ、定着における消費電力を削減することができる。
さらに、演算処理部71は、定着における省電力制御処理を、画像形成領域に対する画像領域の割合である印字率(像割合)に基づいて、図9に示すように実行してもよい。なお、図9において、図5と同様の処理ステップには、同一のステップナンバーを付与して、その説明を簡略化する。
この場合、演算処理部71は、図9に示すように、操作表示部の操作または図示しないホスト装置HSから受信した印刷ジョブの実行等によって印刷コマンドが発行されると(ステップS101)、電圧検出部85からの外部電源電圧を取得する(ステップS102)。
演算処理部71は、印刷ジョブを解析して画像データにおける印字率(像割合)を取得し(ステップS401)、該印字率が予め設定されて不揮発性メモリに格納されている閾値印字率よりも高いかチェックする(ステップS402)。
ステップS402で、印字率が閾値印字率よりも高いと(ステップS402で、YESのとき)、演算処理部71は、昇温開始時間の設定変更を行うことなく(ステップS403)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。この場合、演算処理部71は、画像形成開始と同時に、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの昇温のための通電を開始させる。演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。
ステップS402で、印字率が閾値印字率未満であると(ステップS402で、NOのとき)、演算処理部71は、取得した印字率に応じた昇温開始時間を求めて設定し(ステップS404)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。演算処理部71は、画像形成処理を開始させると、印字率に応じた昇温開始時間になったかチェックして、印字率に応じた昇温開始時間になると、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの通電を開始させる。演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。演算処理部71は、この印字率に応じた昇温開始時間を、例えば、式(1)と同様の演算式であるが、低い印字率に応じて設定されている係数を用いた演算式を用いて求める。あるいは、演算処理部71は、図3の遅延時間テーブルTbと同様のテーブルであるが、低い印字率に応じた昇温開始時間のテーブルとして、予め制御部70の不揮発性メモリに格納されている遅延時間テーブルを用いて印字率に応じた昇温開始時間を求める。
このようにすると、印字率が低い場合に、画像形成開始時間よりも遅い時間で、かつ、高印字率の場合よりも遅い印字率に応じた時間である昇温開始時間に、定着ローラ30aの加熱を開始することができ、画像品質を適切に維持しつつ、定着における消費電力を削減することができる。
また、演算処理部71は、定着における省電力制御処理を、形成する画像サイズに基づいて、図10に示すように実行してもよい。なお、図10において、図5と同様の処理ステップには、同一のステップナンバーを付与して、その説明を簡略化する。
この場合、演算処理部71は、図10に示すように、操作表示部の操作または図示しないホスト装置HSから受信した印刷ジョブの実行等によって印刷コマンドが発行されると(ステップS101)、電圧検出部85からの外部電源電圧を取得する(ステップS102)。
演算処理部71は、印刷ジョブを解析して形成する画像のサイズ(画像サイズ)を取得し(ステップS501)、該画像サイズが予め設定されて不揮発性メモリに格納されている閾値サイズよりも大きいかチェックする(ステップS502)。
ステップS502で、画像サイズが閾値サイズよりも大きいと(ステップS502で、YESのとき)、演算処理部71は、昇温開始時間の設定変更を行うことなく(ステップS503)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。この場合、演算処理部71は、画像形成開始と同時に、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの昇温のための通電を開始させる。演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。
ステップS502で、画像サイズが閾値サイズ未満であると(ステップS502で、NOのとき)、演算処理部71は、取得した画像サイズに応じた昇温開始時間を求めて設定し(ステップS504)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。演算処理部71は、画像形成処理を開始させると、画像サイズに応じた昇温開始時間になったかチェックして、画像サイズに応じた昇温開始時間になると、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの通電を開始させる。演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。演算処理部71は、この画像サイズに応じた昇温開始時間を、例えば、式(1)と同様の演算式であるが、小さい画像サイズに応じて設定されている係数を用いた演算式を用いて求める。あるいは、演算処理部71は、図3の遅延時間テーブルTbと同様のテーブルであるが、小さい画像サイズに応じた昇温開始時間のテーブルとして、予め制御部70の不揮発性メモリに格納されている遅延時間テーブル(画像サイズ対応遅延時間テーブル)を用いて画像サイズに応じた昇温開始時間を求める。
このようにすると、画像サイズが小さい場合に、画像形成開始時間よりも遅い時間で、かつ、画像サイズが大きい場合よりも遅い画像サイズに応じた時間である昇温開始時間に、定着ローラ30aの加熱を開始することができ、画像品質を適切に維持しつつ、定着における消費電力を削減することができる。
さらに、演算処理部71は、定着における省電力制御処理を、外部環境温度に基づいて、図11に示すように実行してもよい。なお、図11において、図5と同様の処理ステップには、同一のステップナンバーを付与して、その説明を簡略化する。すなわち、画像形成装置1は、図示しないが、画像形成装置1の外部環境温度、少なくとも、定着部30の外部の温度を検出する温度センサを備えており、温度センサは、検出した外部環境温度を制御部70へ出力する。
この場合、演算処理部71は、図11に示すように、操作表示部の操作または図示しないホスト装置HSから受信した印刷ジョブの実行等によって印刷コマンドが発行されると(ステップS101)、電圧検出部85からの外部電源電圧を取得する(ステップS102)。
演算処理部71は、温度センサから外部環境温度を取得し(ステップS601)、該外部環境温度が予め設定されて不揮発性メモリに格納されている閾値温度以下であるかチェックする(ステップS602)。
ステップS602で、外部環境温度が閾値温度以下であると(ステップS602で、YESのとき)、演算処理部71は、昇温開始時間の設定変更を行うことなく(ステップS603)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。この場合、演算処理部71は、画像形成開始と同時に、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの昇温のための通電を開始させる。演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。
ステップS602で、外部環境温度が閾値温度を超えていると(ステップS602で、NOのとき)、演算処理部71は、取得した外部環境温度に応じた昇温開始時間を求めて設定し(ステップS606)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。演算処理部71は、画像形成処理を開始させると、外部環境温度に応じた昇温開始時間になったかチェックして、外部環境温度に応じた昇温開始時間になると、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの通電を開始させる。演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。演算処理部71は、この外部環境温度に応じた昇温開始時間を、例えば、式(1)と同様の演算式であるが、高い外部環境温度に応じて設定されている係数を用いた演算式を用いて求める。あるいは、演算処理部71は、図3の遅延時間テーブルTbと同様のテーブルであるが、高い外部環境温度に応じた昇温開始時間のテーブルとして、予め制御部70の不揮発性メモリに格納されている外部環境温度対応遅延時間テーブルを用いて外部環境温度に応じた昇温開始時間を求める。
このようにすると、外部環境温度が高い場合に、画像形成開始時間よりも遅い時間で、かつ、外部環境温度が低い場合よりも遅い高い外部環境温度に応じた時間である昇温開始時間に、定着ローラ30aの加熱を開始することができ、画像品質を適切に維持しつつ、定着における消費電力を削減することができる。
また、演算処理部71は、定着における省電力制御処理を、電圧検出部の故障の有無に基づいて、図12に示すように実行してもよい。なお、図12において、図5と同様の処理ステップには、同一のステップナンバーを付与して、その説明を簡略化する。
この場合、演算処理部71は、図11に示すように、操作表示部の操作または図示しないホスト装置HSから受信した印刷ジョブの実行等によって印刷コマンドが発行されると(ステップS101)、電圧検出部85からの外部電源電圧を取得する(ステップS102)。
演算処理部71は、電圧検出部85から取得した外部電源電圧に基づいて、該電圧検出部85が故障しているか否か判定する(ステップS701)。演算処理部71は、電圧検出部85の故障の有無を、例えば、電圧検出部85からの外部電源電圧が、予め設定されて不揮発性メモリに格納されている異常判定閾値電圧範囲内の電圧であるか、該異常判定閾値電圧範囲を外れた電圧であるか否かに基づいて判定する。
ステップS701で、電圧検出部85が故障していないと(ステップS701で、NOのとき)、演算処理部71は、図5の場合と同様に、昇温開始時間を求めて設定し(ステップS104)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。演算処理部71は、画像形成処理を開始させると、求めた昇温開始時間になったかチェックして、該昇温開始時間になると、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの通電を開始させる。演算処理部71は、画像形成及び定着処理が完了すると、画像形成処理を終了する。なお、この場合、図5の場合と同様に、外部電源電圧が下限電圧付近であるか否かの判定を行って、その判定結果に応じて処理を制御してもよい。
ステップS701で、電圧検出部85が故障していると(ステップS701で、YESのとき)、演算処理部71は、昇温開始時間の設定変更を行うことなく(ステップS106)、画像形成処理を開始させる(ステップS105)。この場合、演算処理部71は、画像形成開始と同時に、電源部80の出力調整部84へ定着ヒータ30cへの昇温させるための加熱用電源電力の供給を開始させる出力調整信号を出力し、定着ヒータ30cへの通電を開始させる。
このようにすると、電圧検出部85が故障している場合に、故障している電圧検出部85の検出する外部電源電圧に基づいて異常な昇温開始時間を設定することを防止することができる。その結果、画像品質を適切に維持しつつ、定着における消費電力を削減することができる。
このように、本実施例の画像形成装置1は、その定着制御部100が、搬送されてくる用紙(被記録媒体)Pを加熱して該用紙Pに転写されているトナー画像(記録剤像)を該用紙Pに定着させる定着ローラ(定着手段)30aと、通電される電力量に応じて前記定着ローラ30aを加熱する定着ヒータ(加熱手段)30cと、用紙Pが定着ローラ30aに搬送されるまでの搬送時間を取得する演算処理部(搬送時間取得手段)71と、定着ローラ30aの温度を検出するサーミスタ(温度検出手段)30dと、外部電源電力(外部電源電力)PSから定着ヒータ30cに供給する加熱用電源電力を生成する電源部(電源生成手段)80と、前記外部電源電力PSの電圧値を検出する電圧検出部(電圧検出手段)85と、定着ローラ30aの温度と前記外部電源電力PSの電圧値及び前記搬送時間に基づいて、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点で、該定着ローラ30aを定着可能な定着温度に上昇させる前記加熱用電源電力の定着ヒータ30cへの通電制御を行う演算処理部71及び出力調整部84からなる通電制御手段と、を備えている。
したがって、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点で、定着ローラ30aを高温の定着温度に加熱して、用紙Pが定着ローラ30aに到達する前に、定着ローラ30aが定着温度に上昇して、該定着温度に維持する電力消費の無駄を省くことができる。その結果、定着における消費電力を削減することができる。
また、本実施例の画像形成装置1は、その定着制御部100が、搬送されてくる用紙(被記録媒体)Pを定着ローラ(定着手段)30aで加熱して該用紙Pに転写されているトナー画像(記録剤像)を該用紙Pに定着させる定着処理ステップと、通電される電力量に応じて発熱する定着ヒータ(加熱手段)30cで定着ローラ30aを加熱する加熱処理ステップと、用紙Pが定着ローラ30aに搬送されるまでの搬送時間を取得する搬送時間取得処理ステップと、定着ローラ30aの温度を検出する温度検出処理ステップと、外部電源電力PSから定着ヒータ30cに供給する加熱用電源電力を生成する電源生成処理ステップと、前記外部電源電力PSの電圧値を検出する電圧検出処理ステップと、定着ローラ30aの温度と外部電源電力PSの電圧値及び前記搬送時間に基づいて、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点で、該定着ローラ30aを定着可能な定着温度に上昇させる前記加熱用電源電力の定着ヒータ30cへの通電制御を行う通電制御処理ステップと、を有する定着制御方法を実行している。
したがって、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点で、定着ローラ30aを高温の定着温度に加熱して、用紙Pが定着ローラ30aに到達する前に、定着ローラ30aが定着温度に上昇して、該定着温度に維持する電力消費の無駄を省くことができる。その結果、定着における消費電力を削減することができる。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、その定着制御部100が、演算処理部71等の制御プロセッサに、搬送されてくる用紙(被記録媒体)Pを定着ローラ(定着手段)30aで加熱して該用紙Pに転写されているトナー画像(記録剤像)を該用紙Pに定着させる定着処理と、通電される電力量に応じて発熱する定着ヒータ(加熱手段)30cで定着ローラ30aを加熱する加熱処理と、用紙Pが定着ローラ30aに搬送されるまでの搬送時間を取得する搬送時間取得処理と、定着ローラ30aの温度を検出する温度検出処理と、外部電源電力PSから定着ヒータ30cに供給する加熱用電源電力を生成する電源生成処理と、前記外部電源電力PSの電圧値を検出する電圧検出処理と、定着ローラ30aの温度と外部電源電力PSの電圧値及び前記搬送時間に基づいて、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点で、該定着ローラ30aを定着可能な定着温度に上昇させる前記加熱用電源電力の定着ヒータ30cへの通電制御を行う通電制御処理と、を実行させる定着制御プログラムを搭載している。
したがって、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点で、定着ローラ30aを高温の定着温度に加熱して、用紙Pが定着ローラ30aに到達する前に、定着ローラ30aが定着温度に上昇して、該定着温度に維持する電力消費の無駄を省くことができる。その結果、定着における消費電力を削減することができる。
また、本実施例の画像形成装置1は、演算処理部71及び出力調整部84からなる通電制御手段が、定着ローラ30aを前記定着温度よりも低い待機温度に制御している状態から、前記加熱用電源電力の通電量を、該待機温度制御時よりも増加させた加熱通電量に切り替えることで、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点で該定着ローラ30aを該定着温度に上昇させることのできる昇温開始時間を求め、該昇温開始時間から該加熱通電量に切り替える通電制御を行う。
したがって、待機温度に調整している定着ローラ30aを、該定着ローラ30aに用紙Pが到達する時点で、定着温度に上昇させることができ、用紙Pが定着ローラ30aに到達する前に、定着ローラ30aが定着温度に上昇して、該定着温度に維持する電力消費の無駄を省くことができる。その結果、定着における消費電力を削減することができる。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、サーミスタ(電圧検出手段)30dの検出する外部電源電力PSのアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換するA/Dコンバータ(変換手段)を、さらに備え、演算処理部71及び出力調整部84からなる通電制御手段が、外部電源電力PSの電圧値として、前記デジタルの電圧値を用いて、前記通電制御を行う。
したがって、A/Dコンバータの分解能を細かくすることで、高精度に外部電源電力PSの電圧値を検出することができ、定着における消費電力を高精度に削減することができる。
また、本実施例の画像形成装置1は、定着制御部100が、定着ローラ30aの温度と外部電源電力PSの電圧値に対応させて、前記搬送時間に対して、前記昇温開始時間の登録されている遅延時間テーブル(昇温開始時間テーブル)Tbを記憶する不揮発性メモリ(記憶手段)を備え、演算処理部71及び出力調整部84からなる通電制御手段が、定着ローラ30aの温度と外部電源電力PSの電圧値及び前記搬送時間に基づいて、遅延時間テーブルTbを参照して、前記昇温開始時間を制御する。
したがって、遅延時間テーブルTbを用いて速やかにかつ容易に昇温開始時間を求めて、通電制御することができる。その結果、定着における消費電力を高精度にかつ高速に削減することができる。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、演算処理部71及び出力調整部84からなる通電制御手段が、外部電源電力PSの電圧値が、下限電圧値(閾値電圧値)よりも高いと、前記昇温開始時間を、該電圧値が該下限電圧値未満のときよりも遅くする。
したがって、電圧値の高い外部電源電力PSによって定着ローラ30aの定着温度への上昇時間が短くなる分、昇温開始時間を遅くすることで、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点に合わせて正確に定着ローラ30aを定着温度に昇温させることができる。その結果、定着における消費電力をより一層適切に削減することができる。
また、本実施例の画像形成装置1は、トナー画像(記録剤像)がモノクロとカラーのいずれの種別のトナー画像であるかを取得する演算処理部(記録剤像種別取得手段)71を、さらに備え、演算処理部71及び出力調整部84からなる通電制御手段が、トナー画像の種別に応じて、前記通電制御を行う。
したがって、カラーとモノクロの画像に応じて昇温開始時間を調整すること等によって定着ヒータ30cの通電制御を行うことで、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点で、カラーとモノクロの画像に適した定着温度に昇温させることができる。その結果、画像品質を適切に維持しつつ、定着における消費電力をより一層適切に削減することができる。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、トナー画像(記録剤像)の用紙Pに対する印字率(像割合)を取得する演算処理部(像割合取得手段)71を、さらに備え、演算処理部71及び出力調整部84からなる通電制御手段が、前記印字率に応じて、前記通電制御を行う。
したがって、印字率に応じて昇温開始時間を調整すること等によって定着ヒータ30cの通電制御を行うことで、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点で、印字率に適した定着温度に昇温させることができる。その結果、画像品質を適切に維持しつつ、定着における消費電力をより一層適切に削減することができる。
また、本実施例の画像形成装置1は、トナー画像(記録剤像)の像サイズを取得する演算処理部(像サイズ取得手段)71を、さらに備え、演算処理部71及び出力調整部84からなる通電制御手段が、前記像サイズに応じて、前記通電制御を行う。
したがって、像サイズに応じて昇温開始時間を調整すること等によって定着ヒータ30cの通電制御を行うことで、用紙Pが定着ローラ30aに到達する時点で、像サイズに適した定着温度に昇温させることができる。その結果、画像品質を適切に維持しつつ、定着における消費電力をより一層適切に削減することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。