JP2015169632A - 黄色ブドウ球菌を検出する方法、黄色ブドウ球菌測定用メンブレン、及び黄色ブドウ球菌測定用キット - Google Patents

黄色ブドウ球菌を検出する方法、黄色ブドウ球菌測定用メンブレン、及び黄色ブドウ球菌測定用キット Download PDF

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Jumpei Uchiyama
淳平 内山
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伊代 内山
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秀明 花木
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秀仁 松井
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雅典 大畑
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Shigenobu Matsuzaki
茂展 松崎
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Abstract

【課題】本発明はこのような市場ニーズに応えることができる程度に優れた黄色ブドウ球菌の測定、検出等を行うことのできる方法を提供する事と目的とする。
【解決手段】以下の工程(1)〜(3)を含む、黄色ブドウ球菌を検出する方法;
(1)酸処理に次いで中和処理された黄色ブドウ球菌を含む試料と、配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含む標識タンパク質とを接触させて、黄色ブドウ球菌と標識タンパク質との結合物(タンパク質−黄色ブドウ球菌複合体)を生成する工程、
(2)メンブレン上に固定化された配列番号1〜7の何れか1項に示すアミノ酸配列を含むタンパク質と、工程(1)にて生成される黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体を接触させて、当該タンパク質と黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体の結合物(タンパク質−黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体)を生成する工程、及び
(3)メンブレン上に固定化されたタンパク質−黄色ブドウ球菌−標識タンパク質の複合体を検出する工程。
【選択図】なし

Description

黄色ブドウ球菌を検出する方法、黄色ブドウ球菌測定用メンブレン、及び黄色ブドウ球菌測定用キットに関する。
ブドウ球菌属には10種類以上の菌が属すると考えられており、中でも黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が、ヒトに対する病原性が最も高い菌であると知られている。
黄色ブドウ球菌に感染した場合、通常は抗生物質を投与する事によって簡便に治療する事が出来るため、このような治療手段が多用された結果、各種抗生物質に対して耐性を有するペニシリン耐性黄色ブドウ球菌(PRSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)等といった薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌が出現してしまっている。そして、これらの薬剤耐性黄色ブドウ球菌に感染した場合の治療方法の探索が問題となっている。
このような事情に鑑みて、ヒトが黄色ブドウ球菌に感染しているかどうかを確認すること、医療施設の設備、空間等における黄色ブドウ球菌の有無を確認すること等を目的とした、黄色ブドウ球菌の測定方法、測定キット等が多数開発されている。
例えば、ラテックス凝集反応を測定原理とする「PSラテックス」(栄研化学株式会社)は、黄色ブドウ球菌の表層に存在するProtein Aと、ウサギ由来のIgGとの結合能を使用して黄色ブドウ球菌を測定する試薬キットである。
同様にラテックス凝集反応を測定原理とする「スタフィロLA「生研」」(デンカ生研株式会社)は、黄色ブドウ球菌のクランピングファクター(コアグラーゼ)と、フィブリノーゲンとの結合能を使用して黄色ブドウ球菌を測定する試薬キットである。
また、イムノクロマト法を測定原理としたAlere社のBinaxNOW(登録商標)Staphylococcus aureus Cardは、黄色ブドウ球菌のタンパク質と、それに対するポリクローナルIgG抗体との結合能を使用して黄色ブドウ球菌を測定する試薬キットである。
同様にイムノクロマト法を測定原理とした非特許文献1には、黄色ブドウ球菌の表層に存在するProtein Aと、それに対するモノクローナルIgG抗体との結合能を使用して黄色ブドウ球菌を測定する方法が開示されている。
また、特許文献1には黄色ブドウ球菌の表層に存在するテイコ酸(Teichoic acid)に結合するペプチドが開示されており、かかるペプチドを有するポリスチレンビーズを用い、その凝集反応によって黄色ブドウ球菌を検出する方法が開示されている。
特許文献2には、酸処理及び加熱処理を採用したブドウ球菌の抗原抽出方法が開示されている。
特開2013−066456号公報 特開2012−149896号公報
Clin Chim Acta.2006;373(1−2):139−43.
上述のラテックス凝集反応を測定原理とする試薬キットの検出感度は1×10cfu/ml程度しかなく、黄色ブドウ球菌を高感度に測定できるものとは言い難い。このため、Protein Aやクランピングファクターの産生能の低い黄色ブドウ球菌が測定対象サンプルに含まれていた場合、偽陰性と判断されてしまう可能性が高い。また、黄色ブドウ球菌以外の菌に対する交差性が少ないという情報も存在しない。
Alere社の試薬キットは、Clostridium bifermentans、Clostridium perfringens、Clostridium hystolyticum等といったStaphylococcus属菌ではないClostridium属菌に交差性を有し、また、Staphylococcus schleiferi subsp. coagulansに対しても交差性を示してしまう。そして、検出感度も5×10cfu/ml程度と低い。
非特許文献1に記載の方法は、25ng/ml程度のProtein Aを検出できることしか開示されておらず、実際にどの程度の菌数の黄色ブドウ球菌が測定できるかは不明である。また、黄色ブドウ球菌と同様にStaphylococcus属に属するStaphylococcus xylosusと反応するため優れた交差性を示す方法とは言えない。
さらに、S.xylosusは黄色ブドウ球菌とは異なる病原性を示すとされることから、この両者を区別して測定することは重要であるにもかかわらず、非特許文献1の方法ではこれを実施することもできない。
特許文献1には、黄色ブドウ球菌を検出する方法が開示されているものの、この方法によると、どの程度の検出感度を有するかは何ら開示されておらず、他の菌種との交差性についても何ら開示されていない。
また、特許文献2には、黄色ブドウ球菌を酸処理した後に、PBP2’タンパク質に対する抗体を用いたイムノクロマトに供して黄色ブドウ球菌を検出する方法が開示されているが、MSSA FDA209P、MSSA臨床分離株No.8等といった特定の黄色ブドウ球菌は測定できない結果が示されており、黄色ブドウ球菌の測定方法として好ましい方法が開示されているとは言えない。また、具体的な検出感度についても何ら示唆されていない。
以上のように、従来技術では黄色ブドウ球菌を測定する上で高い検出感度及び優れた検出交差性を兼ね備えた市場ニーズに応える事の出来る方法は何ら開示されていない。
本発明はこのような市場ニーズに応えることができる程度に高い検出感度と優れた検出交差性を有する、優れた黄色ブドウ球菌の検出方法を提供する事と目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、黄色ブドウ球菌を含むサンプルに対して特定の処理を施す事及び黄色ブドウ球菌に特異的に結合するタンパク質を組み合わせて採用することで、主としてクロマト法原理に基づいたメンブレン上において黄色ブドウ球菌が選択的に、且つ高感度に検出できることを見出した。
本発明は斯かる知見に基づいたものであり、以下に示す広い態様を含むものである
項1 以下の工程(1)〜(3)を含む、黄色ブドウ球菌を検出する方法;
(1)酸処理に次いで中和処理された黄色ブドウ球菌を含む試料と、配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含む標識タンパク質とを接触させて、黄色ブドウ球菌と標識タンパク質との結合物(黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体)を生成する工程、
(2)メンブレン上に固定化された配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質と、工程(1)にて生成される黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体を接触させて、当該タンパク質と黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体との結合物(タンパク質−黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体)を生成する工程、及び
(3)メンブレン上に固定化されたタンパク質−黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体を検出する工程。
項2 中和処理が水酸化ナトリウムによる中和処理である、上記項1に記載の方法。
項3 酸処理が塩酸による酸処理である、上記項1又は項2に記載の方法。
項4 メンブレンがニトロセルロースメンブレンである、上記項1〜項3の何れか1項に記載の方法。
項5 標識タンパク質及び/又はタンパク質が配列番号2に示すアミノ酸配列からなる、上記項1〜項4の何れか1項に記載の方法。
項6 配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質が固相化された黄色ブドウ球菌検出用メンブレンであって、該黄色ブドウ球菌が酸処理に次いで中和処理されているものであることを特徴とする黄色ブドウ球菌検出用メンブレン。
項7 中和処理が水酸化ナトリウムによる中和処理である上記項6に記載のメンブレン。
項8 酸処理が塩酸による酸処理である、上記項6又は項7に記載のメンブレン。
項9 メンブレンがニトロセルロースメンブレンである、上記項6〜項8の何れか1項に記載のメンブレン。
項10 タンパク質が配列番号2に示すアミノ酸配列からなる、上記項6〜項9の何れか1項に記載のメンブレン。
項11 上記項6〜項10の何れか1項に記載のメンブレンを含む黄色ブドウ球菌測定用キット。
本発明に係る黄色ブドウ球菌の検出方法によると、近縁のブドウ球菌属に属する菌にすら交差性を示すことなく黄色ブドウ球菌を選択的に検出でき、また、薬剤感受性菌及び薬剤耐性菌のいずれも検出することができる。そして、本発明の方法によれば、高い検出感度で黄色ブドウ球菌を検出することができる。
本発明に係るメンブレンを用いることによって、上述の本発明に係る黄色ブドウ球菌の検出方法を実施することができる。したがって、上述の本発明に係る黄色ブドウ球菌の検出方法と同様の効果を発揮する。
本発明に係るキットは、上述の本発明に係るメンブレンを含む。したがって、上述の本発明に係る黄色ブドウ球菌の検出方法及び本発明に係るメンブレンと同様の効果を発揮する。
本発明に係るメンブレンを含むテストストリップの1つの態様を示す図。図中の1は吸水パッド、2はバッキングシート、そして3は本発明に係るメンブレンを示す。図中の白矢印はコントロールラインの塗布位置そして黒矢印はテストラインの塗布位置を示す。図中の4はメンブレンの下端を示す。 実施例1の結果を示す写真に代わる画像。図中の1〜12は、それぞれ表1に示す実験条件で行った実験結果である。図中の白矢印はコントロールラインの塗布位置そして黒矢印はテストラインの塗布位置を示す。 実施例2の結果を示す写真に代わる画像。図中の1〜12は、それぞれ表2に示す実験条件で行った実験結果である。図中の白矢印はコントロールラインの塗布位置そして黒矢印はテストラインの塗布位置を示す。 実施例3の結果を示す写真に代わる画像。図中の1〜22は、それぞれ表3に示す実験条件で行った実験結果である。図中の白矢印はコントロールラインの塗布位置そして黒矢印はテストラインの塗布位置を示す。 実施例4の結果を示す写真に代わる画像。図中の1〜16は、それぞれ表4に示す実験条件で行った実験結果である。図中の白矢印はコントロールラインの塗布位置そして黒矢印はテストラインの塗布位置を示す。
<黄色ブドウ球菌の検出方法>
本発明に係る黄色ブドウ球菌の検出方法は、以下に示す工程(1)〜(3)を含む。
(1)酸処理に次いで中和処理された黄色ブドウ球菌を含む試料と、配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含む標識タンパク質とを接触させて、黄色ブドウ球菌と標識タンパク質との結合物(黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体)を生成する工程;
(2)メンブレン上に固定化された配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質と、工程(1)にて生成される黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体を接触させて、当該タンパク質と黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体との結合物(タンパク質−黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体)を生成する工程;及び
(3)メンブレン上に固定化されたタンパク質−黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体を検出する工程。
工程(1)について
本発明に係る黄色ブドウ球菌の検出方法における工程(1)は、酸処理に次いで中和処理された黄色ブドウ球菌を含む試料と、配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含む標識タンパク質とを接触させる工程である。
黄色ブドウ球菌には、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)等といった、薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌も含まれる。
酸処理は、特に限定はされないが、例えば、アレニウス酸、ブレンステッド酸、ルイス酸等による処理が挙げられる。より具体的には、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、チオール基等の官能基を有する有機酸;並びに塩酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、ホウ酸、硝酸等の無機酸による処理が挙げられる。
中でも、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等の無機酸による処理が好ましく、塩酸による処理が最も好ましい。
酸処理時の環境として、例えばpHとしては通常は5以下であればよく、3以下とすることが好ましい。温度としては、通常は室温〜100℃程度であればよく、煮沸処理に供してもよい。処理時間としては、通常は1分〜60分程度とすればよい。
酸処理に次ぐ中和処理とは、アレニウス塩基、ブレンステッド塩基、ルイス塩基等の塩基による処理が挙げられる。より具体的には、アミン基等の官能基を有する有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、アンモニア等の無機塩基等の塩基による処理が挙げられる。
中でも、水酸化ナトリウム、リン酸水素二カリウム等の塩基による処理が好ましく、水酸化ナトリウムによる処理が最も好ましい。
なお、工程(1)における酸処理及びそれに次いで行う中和処理を、界面活性剤の存在下で行ってもよい。具体的な界面活性剤は、特に限定はされないが、例えばBrij58、Brij35、Tween20、Tween40、Tween60、TritonX100、TritonX114、NP−40、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド等の非イオン系界面活性剤;臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムなどの陽イオン性界面活性剤;ドデシル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤;CHAPS、CHAPSO等の両イオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも、Brij58、TritonX100、Tween20等が好ましい。
界面活性剤の使用濃度は特に限定されないが、酸処理又は中和処理の際に用いる試料全体に対する終濃度に換算して、通常は0.001〜5%程度とすればよく、0.01〜0.5%程度が好ましい。
配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含む標識タンパク質とは、配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質が標識化されたタンパク質である。上記タンパク質のアミノ酸配列のN末端又はC末端側には、更にタグ等のアミノ酸配列が付加されていてもよい。
配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、ORF16XXとも呼ばれ、黄色ブドウ球菌のテイコ酸に結合するタンパク質であるORF16の452番目から462番目のアミノ酸配列からなるタンパク質である。
配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、ORF16呼ばれ、黄色ブドウ球菌のテイコ酸に結合するタンパク質である。
配列番号3に示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、ORF16F1とも呼ばれ、黄色ブドウ球菌のテイコ酸に結合するタンパク質であるORF16の101番目から462番目のアミノ酸配列からなるタンパク質である。
配列番号4に示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、ORF16F2とも呼ばれ、黄色ブドウ球菌のテイコ酸に結合するタンパク質であるORF16の202番目から462番目のアミノ酸配列からなるタンパク質である。
配列番号5に示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、ORF16F3とも呼ばれ、黄色ブドウ球菌のテイコ酸に結合するタンパク質であるORF16の303番目から462番目のアミノ酸配列からなるタンパク質である。
配列番号6に示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、ORF16F4とも呼ばれ、黄色ブドウ球菌のテイコ酸に結合するタンパク質であるORF16の404番目から462番目のアミノ酸配列からなるタンパク質である。
配列番号7に示すアミノ酸配列からなるタンパク質は、ORF16F5とも呼ばれ、黄色ブドウ球菌のテイコ酸に結合するタンパク質であるORF16の505番目から462番目のアミノ酸配列からなるタンパク質である。
上述の配列番号1〜7の何れかからなるアミノ酸配列を含むタンパク質には、その変異体も包含される。この様な変異体は、上述のような黄色ブドウ球菌のテイコ酸に結合する能力を有する限り、特に限定はされないが、例えば、配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列と85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、タンパク質を挙げられる。
アミノ酸配列の『同一性』とは、2以上の対比可能なアミノ酸配列の、お互いに対する同一のアミノ酸配列の程度をいう。従って、ある2つのアミノ酸配列の同一性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高いことを意味する。
アミノ酸配列の同一性のレベルは、例えば、配列分析用ツールであるFASTAを用い、そのデフォルトパラメータを用いて決定される。
若しくは、KarlinおよびAltschulによるアルゴリズムBLAST(Karlin S, Altschul SF.“Methods for assessing the statistical significance of molecular sequence features by using general scoring schemes”Proc.Natl Acad Sci USA.87:2264−2268(1990)、Karlin S,Altschul SF.”Applications and statistics for multiple high−scoring segments in molecular sequences.”Natl Acad Sci USA.90:5873−7(1993))を用いて決定できる。このようなBLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている。BLASTXを用いる際のパラメーターとしては、例えば、score=50、wordlength=3とすればよい。これらの解析方法の具体的な手法は公知であり、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のウエブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を参照すればよい。
変異体とは、配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列に対して変異導入されたものである。具体的な変異導入としては、置換、欠失、挿入等が挙げられる。この様な変異導入法は公知の方法を採用することができ、特に限定はされないが、例えば置換であれば保存的な置換技術を採用すればよい。「保存的な置換技術」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換されることを意味する。
例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジンといった塩基性側鎖を有するアミノ酸残基同士で置換されることが、保存的な置換技術にあたる。その他、アスパラギン酸、グルタミン酸といった酸性側鎖を有するアミノ酸残基;グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システインといった非帯電性極性側鎖を有するアミノ酸残基;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンといった非極性側鎖を有するアミノ酸残基;スレオニン、バリン、イソロイシンといったβ−分枝側鎖を有するアミノ酸残基、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンといった芳香族側鎖を有するアミノ酸残基同士での置換も同様に、保存的な置換にあたる。
標識化タンパク質とは、特に限定はされないが、分子生物学的技術にて通常用いられる標識化物質によって修飾されたタンパク質を意味する。標識化物質とは、特に限定はされないが、例えば、蛍光物質、発光物質、発色物質、放射性物質等が挙げられ、中でも発色物質である金コロイドが最も好ましい。
標識化物質によるタンパク質の修飾方法は、特に限定されることなく、公知の方法を適宜改変して採用すればよい。
工程(1)における酸処理について中和処理された黄色ブドウ球菌を含む試料と、配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含む標識タンパク質を接触させる工程は、当該試料と標識タンパク質を混合さえすればよい。混合時の条件は特に限定されることはなく、公知の方法を適宜改変すればよい。かくして、当該試料中に含まれる黄色ブドウ球菌と標識タンパク質との結合体(黄色ブドウ球菌−黄色ブドウ球菌複合体)が生成される。なお、酸処理について中和処理された黄色ブドウ球菌を含む試料は、あらかじめ公知の固液分離工程に供して得られた液層画分を当該試料としてもよい。
また、上述の標識タンパク質は、黄色ブドウ球菌に結合する量よりも過剰に含まれていることが好ましく、黄色ブドウ球菌に結合しない過剰量の標識タンパク質は、例えば下記に示すコントロールラインに固定化された黄色ブドウ球菌に結合し、本発明に係る検出方法の確認として用いることができる。
工程2について
本発明に係る黄色ブドウ球菌の検出方法における工程(2)は、メンブレン上に固定化された配列番号1〜7の何れか1項に示すアミノ酸配列を含むタンパク質と、工程1にて生成される黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体を接触させる工程である。
工程2におけるメンブレン上にて固定化される配列番号1〜7に示すアミノ酸配列を含むタンパク質とは、上記工程(1)にて詳述したものと同様とすることができる。
工程2におけるメンブレンとは、特に限定はされないが、主として生化学の分野で用いられるものであればよく、例えばPVDF製のメンブレン、ニトロセルロース製のメンブレン、ナイロン製のメンブレンが挙げられる。中でも、ニトロセルロース製のメンブレン又はPVDF製のメンブレンが好ましく、ニトロセルロース製のメンブレンが最も好ましい。
配列番号1〜7に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をメンブレンに固定する方法は、特に限定はされず、公知の方法を適宜改変して採用すればよい。なお、配列番号1〜7に示すアミノ酸配列を含むタンパク質は、メンブレン上の全ての領域に固定化される必要はなく、例えば、イムノクロマト技術に基づいた本発明に係る方法の一つの実施態様の模式図である図1の黒矢印(テストライン)に示すように、メンブレン上の一部の位置に固定化されることが好ましい。
なお、イムノクロマト技術に基づく方法を採用する場合、図1の白矢印(コントロールライン)に示すように、上記テストラインの下流位置に黄色ブドウ球菌が更に固定化されていてもよい。
黄色ブドウ球菌のメンブレン上への固定化方法は、上述の配列番号1〜7に示すアミノ酸配列を含むタンパク質のメンブレン上への固定化方法と同様に公知の方法を採用することができる。
上述のメンブレンは、配列番号1〜7に示すアミノ酸配列を含むタンパク質の固定化及び必要に応じて行われる黄色ブドウ球菌の固定化の後に、ブロッキング処理に供されていてもよい。ブロッキング処理とは、上述のメンブレンをスキムミルク、BSA、血清等のブロッキング剤を含む溶液に浸す方法を適宜改変して採用すればよい。
また、上述のメンブレンはさらにバッキングシート、吸水パッド等といった、イムノクロマト技術にて採用される構成物を備えていてもよい。これらの構成物は公知の方法に従って設置することができる。
本発明の工程2は、例えば、工程1にて生成される黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体を含む試料に、上述のメンブレンを浸漬させることで実施できる。これによって、当該試料中の黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体が、メンブレンが元来有する毛細管現象作用によって上述のメンブレンに吸い込まれ、そしてメンブレン上に固定化された上記タンパク質及び必要に応じて固定化された黄色ブドウ球菌と接触することができる。かくして、工程(1)で生成される黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体はメンブレン上において上記タンパク質と結合し、タンパク質−黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体として固定化される。また、メンブレン上のコントロールラインに黄色ブドウ球菌が固定化された場合、黄色ブドウ球菌と上述のように工程(1)にて黄色ブドウ球菌に結合しなかった過剰分の標識タンパク質と結合する。
工程(3)について
本発明に係る黄色ブドウ球菌の検出方法における工程3は、メンブレン上に固定化されたタンパク質−黄色ブドウ球菌−標識タンパク質の複合体を検出する工程である。
具体的な検出方法は、標識タンパク質の標識物質に基づくシグナルを検出すればよく、標識物質が例えば蛍光物質であれば必要に応じて光学フィルターを用いればよく、放射性物質であれば放射線検出装置を用いればよく、発色物質であれば、写真像を得るか又は目視で検出すればよい。
この様に工程(3)にてシグナルを検出できた場合、工程(1)にて用いた試料中に黄色ブドウ球菌が存在していると判断することができる。
例えば、図1に示すようにコントロールライン及びテストラインが設けられたメンブレンを用い、配列番号1〜7に示すアミノ酸配列を含むタンパク質が金コロイドにて標識化されたものを用いた場合、テストライン上に金コロイドに基づく発色が目視等によって確認されると、試料中に黄色ブドウ球菌が存在すると判断することができる。なお、コントロールライン上にも同様の発色が確認された場合、斯かる検出が正常に行われたことも同時に確認することができる。
<黄色ブドウ球菌検出用メンブレン>
本発明に係る黄色ブドウ球菌測定用メンブレンは、配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質が固相化されたメンブレンであって、該メンブレンは酸処理に次いで中和処理された試料中に含まれる黄色ブドウ球菌を検出するために用いられる。
本発明に係るメンブレンにおける「配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質」、「固相化」、「メンブレン」、「酸処理」、「中和処理」等の全ての構成は、上述の本発明に係る<黄色ブドウ球菌の検出方法>に記載したものと同様とすることができる。
従って、本発明に係るメンブレンは、上述の本発明に係る検出方法に好適に用いることができる。
<黄色ブドウ球菌検出用キット>
本発明に係る黄色ブドウ球菌検出用キットは、上述の本発明に係る<黄色ブドウ球菌検出用メンブレン>を含む。
さらに、本発明に係るキットは本発明に係る黄色ブドウ球菌検出用メンブレンを含むものであり、上述の本発明に係る<黄色ブドウ球菌の検出方法>に好適に用いることができる。
従って、斯かる方法を実施するために必要な各種構成をさらに含んでいてもよい。この様な構成としては、例えば、バッファー、ディスポーザブル製品等が挙げられる。
なお、本発明に係るキットは黄色ブドウ球菌の検出用に好適に用いられるキットであるため、当該キットを構成する物品は滅菌処理が施されていることが好ましい。
<製造例1>テストストリップの作製
(1−1)ORF16タンパク質固相化メンブレンの調製
〔材料〕
・ニトロセルロースメンブレン:Hi−Flow Plus HF180(ミリポア社) 25mm×190mm
・ORF16タンパク質(配列番号2に示すアミノ酸配列からなり、特許文献1に記載の方法により入手。)
・BSA
・PBS
・Staphylococcus aureus FDA209P(MSSA; ATCC No.ATCC6538P)
・ブロッキングバッファー:0.5%BSA含有PBS
・テストライン希釈液:6%スクロース及び10%の2−プロパノール含有PBS
・テストライン溶液:0.5mg/mLのORF16タンパク質とテストライン希釈液を等量ずつ混合して得られたもの
・コントロールライン溶液:Staphylococcus aureus FDS209PをPBSに懸濁し、578nmのODが0.3となるように希釈・調整したものを、5分間煮沸処理に供して得られたもの
〔方法〕
図1に示すように、ニトロセルロースメンブレンの下端から10mm付近の位置に、テストライン溶液を2μL/10mmの条件で塗布した。また、ニトロセルロースの下端から15mm付近の位置に、コントロールライン溶液を2μL/10mmの条件で塗布した。
その後、ニトロセルロースメンブレンを室温で1時間乾燥させ、ブロッキングバッファーに浸し、室温で10分間振盪させ、精製水による5分間の洗浄を2回繰り返した。
更に、洗浄後のニトロセルロースメンブレンを3%のスクロース水溶液に浸して室温で10分間振盪させた後に、室温で1時間乾燥させた。
(1−2)テストストリップの組み立て
〔材料〕
・上述の方法で作製したORF16タンパク質固相化メンブレン
・吸収パッド(ミリポア社) 40mm×190mm
・バッキングシート(粘着シート) 60mm×190mm
〔方法〕
図1に示すように、バッキングシート上に上述の方法で作製したORF16タンパク質固相化メンブレンを貼り付け、さらにその上に吸収パッドを張り付けた。ここで、ORF16タンパク質固相化メンブレンと吸収パッドは5mm程度、互いが重なり合うように張り付けた。
次いで、これを5mm毎の幅に切断して、テストストリップとした。
<製造例2>金コロイド結合OFR16タンパク質の調製
〔材料〕
・金コロイド溶液:LC type 40nm(田中貴金属 株式会社)
・1mg/ml ORF16タンパク質
・MOPSバッファー(pH8.0)
・BSA
・Tris−HClバッファー(pH8.2)
・ブロッキングバッファー:10%BSA含有MOPSバッファー(20mM)
〔方法〕
0.9mLの金コロイド溶液に0.1mLのMOPSバッファー(0.2M)を加えた。これに、60μg/mLに調製した0.1mLのORF16タンパク質を加えて混合し、室温で20分間静置した。
次いで、これに122μLのブロッキングバッファーを加えて混合し、室温で20分間静置した。
静置の後、4℃の環境下で12000rpmの条件で10分間の遠心分離工程に供し、上清を除去した後の沈渣を0.9mLの1%BSA含有Tris−HCl(10mM)で懸濁した。
そして、懸濁サンプルを同様に上述の遠心分離工程に供し、これを3回繰り返して最後に得られた沈渣を0.3mLの1%BSA含有Tris−HCl(10mM)に懸濁して金コロイド結合ORF16タンパク質の溶液を得た。
<実施例1>検出条件の検討
測定対象菌株としてStaphylococcus aureus FDA209P及びStaphylococcus epidermidis KUB795(北里大学にて保存される臨床分離株)を使用した。
これらの菌体を、BHIA培地を用いて35℃で一晩培養して集菌したものを測定対象菌体として得た。次いで、得られた各培養菌体を精製水に懸濁し、578nmのODが0.3となるように希釈した。
これらの菌体希釈液を、以下に示すアルカリ処理、中性処理、酸処理、酸処理後中和の各種処理に供した。
〔アルカリ処理〕
100μLの菌体希釈液と100μLのNaOH(0.4M)を混合し、5分間の煮沸処理に供した後に、85μLのKHPO(0.75M)及び15μLの精製水を添加して混合した。
次いで、これを4℃の環境下で12000rpmの条件で10分間の遠心分離工程に供し、得られた上清の5μLを測定対象サンプルとした。
〔中性処理〕
100μLの菌体希釈液と100μLの0.1%Tween20含有PBSを混合し、5分間の煮沸処理に供した後に、100μLの0.1%Tween20含有PBSを添加して混合した。
次いで、これを4℃の環境下で12000rpmの条件で10分間の遠心分離工程に供し、得られた上清の5μLを測定対象サンプルとした。
〔酸性処理後中和(1)〕
100μLの菌体希釈液と100μLの0.06%Brij58を含有する0.15MのHClを混合し、5分間の煮沸処理に供した後に、85μLのKHPO(0.6M)及び15μLの精製水を添加して混合した。
次いで、これを4℃の環境下で12000rpmの条件で10分間の遠心分離工程に供し、得られた上清の5μLを測定対象サンプルとした。
〔酸性処理後中和(2)〕
100μLの菌体希釈液と100μLのHCl(60mM)を混合し、5分間の煮沸処理に供した後に、100μLのTriton X−100(0.075%)及びNaOH(50mM)を含有する0.3MのKHPOバッファー(pH8.0)を添加して混合して中和処理を行った。
次いで、これを4℃の環境下で12000rpmの条件で10分間の遠心分離工程に供し、得られた上清の5μLを測定対象サンプルとした。
上述の各処理に供して得られたそれぞれ5μLの測定対象サンプルを、45μLの展開バッファー及び5μLの上述の金コロイド結合ORF16タンパク質溶液とウェル内で混合し、上記のテストストリップをORF16タンパク質固相化メンブレンの下端が混合液に触れる様に立てて5分間展開した。更に、ウェル中に0.05%のTriton X−100を含有する50μLの0.1M PBNa(pH8.0)を加えて、更に5分間展開させた。
展開バッファーとは、60mMのHCl;精製水;並びにTriton X−100(0.075%)及びNaOH(50mM)を含有する0.3MのKHPOバッファー(pH8.0)を、それぞれ等量ずつ混合して得られたものである。
上記2回の展開後、金コロイドに基づく着色バンドを目視にて確認した。図2は展開後の結果を示す写真像である。また、表1は各種条件と目視による結果を示したものである。
Figure 2015169632
図2及び表1に示すように、ORF16タンパク質を用いた本実施例の検出方法によると、Staphylococcus epidermidisは一切検出されることはなかった。
また、Staphylococcus aureusに関しては、測定対象菌体(菌体希釈液)を含有するサンプルをアルカリ処理及び中性処理に供したした場合よりも、酸処理後に中和に供した場合〔酸処理後中和(1)〕のほうが、金コロイドによる着色バンドがより濃く呈されることが明らかとなった。更に、酸処理の後に水酸化ナトリウムを用いて中和処理に供したもの〔酸処理後中和(2)〕は、金コロイドによるより濃い着色バンドを呈することが明らかとなった。
<実施例2>検出感度の検討
試験菌株として、下記の表2に示す各種Staphylococcus aureus菌株を用いた。なお、smith株はATCCから入手(ATCC13709)、ATCC43300株はATCCから入手、そして92−1191株は北里大学にて保存される臨床分離株である。
これらの各種Staphylococcus aureus菌株を、BHIA培地を用いて35℃で一晩培養して集菌したものを測定対象菌体として得た。次いで、得られた各培養菌体を精製水に懸濁し、578nmのODが0.3となるように希釈した。
そして希釈菌体を、実施例1に示す〔酸性処理後中和〕処理に供して測定対象サンプルを作製した。
測定対象サンプル中の菌株濃度をそれぞれ1×10cfu/ml、3×10cfu/ml、及び1×10cfu/mlに調製し(50μL)、それぞれ5μLの上述の金コロイド結合ORF16タンパク質溶液とウェル内で混合し、上記のテストストリップをORF16タンパク質固相化メンブレンの下端が混合液に触れる様に立てて5分間展開した。更に、ウェル中に0.05%のTriton X−100を含有する50μLの0.1M PBNa(pH8.0)を加えて、更に5分間展開させた。
上記2回の展開後、金コロイドに基づく着色バンドを目視にて確認した。結果を図3に示す。なお図3のサンプル番号は、下記表2に示すとおりである。
Figure 2015169632
図2に示す結果から、本実施例の実験結果によると、Staphylococcus aureusの各種菌株において、1×10〜3×10cfu/ml程度の検出感度を示すことが明らかとなった。
<実施例3>検出交差性の検討
下記表3に示す菌種を、それぞれBHIA培地を用いて35℃で一晩培養した。得られた培養菌体を白金耳で10〜10cfu採取し、100μLのHCl(30mM)に懸濁し、5分間煮沸処理に供した。
次いで、煮沸処理後のサンプルに50μLのTriton X−100(0.075%)及びNaOH(50mM)を含有する0.3MのKHPOバッファー(pH8.0)を添加して中和処理を行った後に、4℃の環境下で12000rpmの条件で10分間の遠心分離工程に供して、得られた上清の50μLを測定対象サンプルとした。
測定対象サンプルに、それぞれ5μLの上述の金コロイド結合ORF16タンパク質溶液とウェル内で混合し、上記のテストストリップをORF16タンパク質固相化メンブレンの下端が混合液に触れる様に立てて5分間展開した。更に、ウェル中に0.05%のTriton X−100を含有する50μLの0.1M PBNa(pH8.0)を加えて、更に5分間展開させた。
上記2回の展開後、金コロイドに基づく着色バンドを目視にて確認した。結果を図4に示す。なお、図4に示すサンプル番号は、下記表3に示すとおりである。
Figure 2015169632
図4に示す結果から、本実施例の方法では、Staphylococcus属に属するStaphylococcus aureus以外の菌種は一切検出しないことが明らかとなった。また、Staphylococcus属菌以外の菌も検出しないことが明らかとなった。
<実施例4>Staphylococcus aureus臨床分離株の検討
北里大学にて保存される臨床分離株(No.1〜No.16)を、それぞれBHIA培地を用いて35℃で一晩培養した。
以後の実験は、上記実施例3と同様に行った。試験菌株の濃度も、10〜10cfuと上記実施例3と同様である。結果を図5に示す。なお、図5に示すサンプル番号は、下記表4に示すとおりである。
図5に示す結果から、本実施例の方法では、Staphylococcus aureusの16種もの臨床分離株を検出することができた。
以上の実施例に記載の方法によると、Staphylococcus aureusを高感度に検出する事ができ、Staphylococcus属に属する以外の菌種及びStaphylococcus属菌以外の菌も検出しないことが明らかとなった。

Claims (11)

  1. 以下の工程(1)〜(3)を含む、黄色ブドウ球菌を検出する方法;
    (1)酸処理に次いで中和処理された黄色ブドウ球菌を含む試料と、配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含む標識タンパク質とを接触させて、黄色ブドウ球菌と標識タンパク質との結合物(黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体)を生成する工程、
    (2)メンブレン上に固定化された配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質と、工程(1)にて生成される黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体を接触させて、当該タンパク質と黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体との結合物(タンパク質−黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体)を生成する工程、及び
    (3)メンブレン上に固定化されたタンパク質−黄色ブドウ球菌−標識タンパク質複合体を検出する工程。
  2. 中和処理が水酸化ナトリウムによる中和処理である、請求項1に記載の方法。
  3. 酸処理が塩酸による酸処理である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. メンブレンがニトロセルロースメンブレンである、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
  5. 標識タンパク質及び/又はタンパク質が配列番号2に示すアミノ酸配列からなる、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 配列番号1〜7の何れかに示すアミノ酸配列を含むタンパク質が固相化された黄色ブドウ球菌検出用メンブレンであって、該黄色ブドウ球菌が酸処理に次いで中和処理されているものであることを特徴とする黄色ブドウ球菌検出用メンブレン。
  7. 中和処理が水酸化ナトリウムによる中和処理である請求項6に記載のメンブレン。
  8. 酸処理が塩酸による酸処理である、請求項6又は7に記載のメンブレン。
  9. メンブレンがニトロセルロースメンブレンである、請求項6〜8の何れか1項に記載のメンブレン。
  10. タンパク質が配列番号2に示すアミノ酸配列からなる、請求項6〜9の何れか1項に記載のメンブレン。
  11. 請求項6〜10の何れか1項に記載のメンブレンを含む黄色ブドウ球菌測定用キット。
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