JP2015168980A - 弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を坑井処理流体と接触させて弾性材料を崩壊させる坑井処理方法 - Google Patents

弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を坑井処理流体と接触させて弾性材料を崩壊させる坑井処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】採掘条件が多様となるもとで、井処理において行われるダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を所望により促進し、ダウンホールツールの除去や流路の確保を所望に応じて設計可能にすることにより、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる井処理方法を提供すること。
【解決手段】弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材(好ましくは硬度A60〜D80)を、井処理流体(塩酸、ギ酸、酢酸及びフッ酸等の酸、アルカリ、熱水、スチーム及び有機溶剤等)と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする井処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、石油または天然ガス等の炭化水素資源を産出するために行う坑井掘削における坑井処理方法に関し、具体的には、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を伴う坑井処理方法に関する。
石油または天然ガス等の炭化水素資源は、多孔質で浸透性の地下層を有する井戸(油井またはガス井。総称して「坑井」ということがある。)を通じて採掘され生産されてきた。エネルギー消費の増大に伴い、坑井の高深度化が進み、世界では深度9000mを超える掘削の記録もあり、日本においても6000mを超える高深度坑井がある。採掘が続けられる坑井において、時間経過とともに浸透性が低下してきた地下層や、さらには元々浸透性が十分ではない地下層から、継続して炭化水素資源を効率よく採掘するために、生産層を刺激(stimulate)することが行われ、刺激方法としては、酸処理や破砕方法が知られている。酸処理は、塩酸やフッ化水素等の強酸の混合物を生産層に注入し、岩盤の反応成分(炭酸塩、粘土鉱物、ケイ酸塩等)を溶解させることによって、生産層の浸透性を増加させる方法であるが、強酸の使用に伴う諸問題が指摘され、また種々の対策を含めてコストの増大が指摘されている。そこで、流体圧を利用して生産層に亀裂(フラクチャ、fracture)を形成させる方法(「フラクチャリング法」または「水圧破砕法」ともいう。)が注目されている。
水圧破砕法は、水圧等の流体圧(以下、単に「水圧」ということがある。)により生産層に亀裂を発生させる方法であり、一般に、垂直な孔を掘削し、続けて、垂直な孔を曲げて、地下数千mの地層内に水平な孔を掘削した後、それらの坑井孔(坑井を形成するために設ける孔を意味し、「ダウンホール」ということもある。)内にフラクチャリング流体を高圧で送り込み、高深度地下の生産層(石油または天然ガス等の炭化水素資源を産出する層)に水圧によって亀裂(フラクチャ)を生じさせ、該フラクチャを通して炭化水素資源を採取するための生産層の刺激方法である。水圧破砕法は、いわゆるシェールオイル(頁岩中で熟成した油)、シェールガス等の非在来型資源の開発においても、有効性が注目されている。
フラクチャリング流体等の高圧流体を使用して、高深度地下の生産層(シェールオイル等の石油またはシェールガス等の天然ガスなどの炭化水素資源を産出する層)に水圧によって亀裂(フラクチャ)を生じさせたり、また、穿孔を行ったりするという抗井処理を実施するためには、通常、以下の方法が採用されている。すなわち、地下数千mの地層内に掘削した坑井孔(ダウンホール)に対して、坑井孔の先端部から順次、目止め(「シール」ということもある。)をしながら、所定区画を部分的に閉塞し、その閉塞した区画内にフラクチャリング流体等の流体を高圧で送入する、またはパーフォレーションガン等の火薬を内蔵したツールを用いて、生産層に亀裂を生じさせたり穿孔したりする。次いで、次の所定区画(通常は、先行する区画より手前、すなわち地上側の区画)を閉塞してフラクチャリング等を行い、亀裂や穿孔を進展させる。以下、この工程を必要な目止めとフラクチャリング等が完了するまで繰り返し実施する。
新たな坑井の掘削だけでなく、既に形成された坑井孔の所望の区画について、再度フラクチャリングによる生産層の刺激を行うこともある。その際も同様に、坑井孔の閉塞及びフラクチャリング等を行う操作を繰り返すことがある。また、坑井の仕上げを行うために、坑井孔を閉塞して下部からの流体を遮断し、その上部の仕上げを行った後、閉塞の解除を行うこともある。
坑井孔の閉塞及びフラクチャリング等を行うために坑井内で使用するツールであるダウンホールツールとしては、種々のものが知られている。例えば、特許文献1〜3には、芯金の周囲に諸部材(諸要素)を配置することにより坑井孔の閉塞や固定を行うプラグ(「フラックプラグ」、「ブリッジプラグ」または「パッカー」等と称することもある。)が開示されている。
特許文献1には、マンドレルの外周面上に金属製のスリップや弾性材料製のシール等が配置された溶解性のブリッジプラグが開示されている。特許文献2には、本体(body member)の外周面上にスリップやシール要素(sealing element)等を備え、更に流体の流通を阻止する一方向弁であるボールを備えるフラックプラグ、ブリッジプラグ、パッカー等のダウンホールツールが開示され、化学溶液で該ツールを溶解することが開示されている。特許文献3には、中心部に通路を貫通して設けたフラクチャスリーブピストンをスリーブの軸方向に移動可能に順次配列し、ボールシーラー(ball sealer。単に「ボール」ということもある。)とボールバルブシート(ball valve seat。「ボールシート」または単に「シート」と称されることもある。)により、順次閉鎖空間を形成するスリーブシステム(「フラックスリーブ」という場合もある。)が開示されている。
坑井掘削用に使用されるダウンホールツールは、坑井が完成するまで順次坑井内に配置され、高圧の流体によるフラクチャリングや穿孔等の抗井処理を実施するために、坑井孔内の所要の区間を流体圧力に抗して閉塞(シール)することができるシール性能が求められる。同時に、所定の抗井処理が終了し、次の抗井処理を実施しようとするときには、容易にシール解除できることが求められる。さらに、シェールオイル等の石油またはシェールガス等の天然ガス(以下、総称して「石油や天然ガス」または「石油または天然ガス」ということがある。)などの生産が開始される段階では、シールを解除するとともに、使用されたダウンホールツールを除去する必要がある。プラグ等のダウンホールツールは、通常、使用後に閉塞を解除して回収できるように設計されていないため、破砕(mill)、ドリル空け(drill out)その他の方法で、破壊されたり、小片化されたりすることによって除去されるが、破砕やドリル空け等には多くの経費と時間を費やす必要があった。また、使用後に回収できるように特殊に設計されたプラグ(retrievable plug)もあるが、プラグは高深度地下に置かれたものであるため、そのすべてを回収するには多くの経費と時間を要していた。
特許文献1には、溶解性の部材を備えることが開示され、アルミニウム、カルシウム及びマグネシウムから選択される反応性金属、または、リチウム、ガリウム、インジウム等の合金から形成することが開示されており、他方、シールをドリル空け可能な弾性材料で形成することが開示されている。特許文献2には、化学溶液で溶解するツールとして、エポキシやガラス繊維等からなる材料が開示されている。さらに、特許文献4には、脂肪族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミノ酸等の、プラグ、スリーブ等のダウンホールツール中の分解可能なポリマーを塩基溶液により分解させることが開示されている。なお、特許文献3には、フラックスリーブを分解性とすることについての開示はない。
エネルギー資源の確保及び環境保護等の要求の高まりのもと、特に、非在来型資源の採掘が広がる中で、一方では、高深度化など採掘条件がますます過酷なものとなる一方、採掘領域の多様化に伴う採掘条件の多様化、例えば、温度条件としては深度の多様化等に付随して60℃未満、例えば25℃から、200℃程度の高温など、多様な環境条件での採掘が進んでいる。
すなわち、フラックプラグ、ブリッジプラグ、パッカーやセメントリテイナー、スリーブシステム(フラックスリーブ)等のダウンホールツールには、一方では、数千mの深度地下に部材を移送することができる機械強度(引張強度や圧縮強度)や、高深度地下のダウンホールの高温かつ高湿度の環境下で、回収対象である炭化水素と接触しても機械強度等が維持される耐油性、耐水性及び耐熱性を有することが求められる。また、ダウンホールツールに備えられるダウンホールツール部材には、穿孔やフラクチャリングを実施するためにダウンホールの所要空間を閉塞するときに、ダウンホールツールと坑井孔の内壁、具体的には、坑井孔の内部に配置されるケーシングとの間の流体をシールすることにより、高圧の水圧によっても閉塞を維持することができるシール性能などの諸特性が求められる。
同時に、ダウンホールツール及び/またはダウンホールツール部材には、必要に応じてシールを解除することができる特性が求められる。更に加えて、ダウンホールツール及び/またはダウンホールツール部材には、炭化水素資源回収用の坑井が完成した段階では、その坑井の環境条件下(先に説明したように、深度の多様化等に付随し温度条件その他において多様な環境がある。)において、所望の期間内で、容易に除去することができ、流体のシールを完全に解除して生産効率を向上させることができるという特性を併せ有することが求められるようになってきた。そこで、流体のシールに直接関与するダウンホールツール用シール部材にも、シール性能と同時にシール解除の利便性を考慮した設計がされるようになってきた。
すなわち、高深度化など採掘条件が多様なものとなっているもとで、抗井処理において行われるダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を所望により促進し、ダウンホールツールの除去や流路の確保を所望に応じて設計可能にすることにより、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる抗井処理方法が求められていた。
米国特許出願公開2011/0048743号明細書 米国特許第7168494号明細書 米国特許出願公開2010/0132959号明細書 米国特許出願公開2010/0273685号明細書
本発明の課題は、高深度化など採掘条件が多様なものとなっているもとで、抗井処理において行われるダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を所望により促進し、ダウンホールツールの除去や流路の確保を所望に応じて設計可能にすることにより、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる抗井処理方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、弾性材料と抗井処理流体との組み合わせを最適化することにより、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、抗井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする抗井処理方法が提供される。
さらに、本発明によれば、発明の具体的な態様として、以下(1)〜(10)の抗井処理方法が提供される。
(1)弾性材料が、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記の抗井処理方法。
(2)弾性材料が、温度150℃の水に24時間浸漬後の質量減少率または圧縮強度減少率が5%以上である前記の抗井処理方法。
(3)抗井処理流体が、酸、アルカリ、熱水、スチーム及び有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記の抗井処理方法。
(4)抗井処理流体が、塩酸、ギ酸、酢酸及びフッ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記の抗井処理方法。
(5)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、硬度A60〜D80の範囲のものである前記の抗井処理方法。
(6)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、環状の成形体である前記の抗井処理方法。
(7)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、ボールまたはボールシートである前記の抗井処理方法。
(8)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、坑井掘削用プラグに備えられるものである前記の抗井処理方法。
(9)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、強化材を含有する前記の抗井処理方法。
(10)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが、分解性を有するダウンホールツール部材を備える前記の抗井処理方法。
本発明によれば、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、抗井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする抗井処理方法であることによって、採掘条件が多様となるもとで、抗井処理において行われるダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を所望により促進し、ダウンホールツールの除去や流路の確保を所望に応じて設計可能にすることにより、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる抗井処理方法が提供されるという効果がある。
I.弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材
本発明の抗井処理方法は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を行う抗井処理方法である。
1.ダウンホールツール、ダウンホールツール部材、及び抗井処理
〔ダウンホールツール〕
本発明の抗井処理方法が適用されるダウンホールツール用シール部材が備えられるダウンホールツールとしては、坑井掘削用プラグとして知られているフラックプラグ、ブリッジプラグ、パッカーや、スリーブ、セメントリテイナー等が挙げられ、抗井処理を行うに当たってシールが求められるダウンホールツールであれば、その種類、形状や大きさは特に限定されない。
例えば、ダウンホールツールとしては、ダウンホールツール部材であるマンドレル(中実でも中空部を有するものでもよい。「本体」と称することもある。)と、マンドレルの軸方向に直交する外周面上や他の場所に置かれる、その他種々のダウンホールツール部材とを備える、それ自体周知の構造を有する坑井掘削用プラグが適合する。
〔ダウンホールツール部材〕
ダウンホールツール部材の具体例としては、先に説明したように、マンドレルのほか、拡径してダウンホールツール(坑井掘削用プラグ)とケーシングとの間の空間を閉塞して流体をシールすることができる拡径可能な環状のシール部材、及び/または、拡径してダウンホールツール(坑井掘削用プラグ)とケーシングとを相互に固定するスリップや、ウエッジ、リングその他の部材が挙げられ、それ自体としては周知の部材を備える構造のダウンホールツール(坑井掘削用プラグ)とすることができる。したがって、本発明の坑井処理方法は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、坑井掘削用プラグに備えられるものである坑井処理方法に好ましく適用される。また、坑井掘削用プラグに組み込まれ、または、独立して使用されることがあるボールやボールシートも、ダウンホールツール部材に該当する。
ダウンホールツールに備えられる、ダウンホールツール用シール部材以外の他のダウンホールツール部材、例えば、マンドレル、スリップ、ウエッジまたはリングなどは、従来、当該ダウンホールツール部材として使用されてきた材料、形状や大きさ、機械的特性等を有するものの範囲から選択することができる。例えば、マンドレルとしては、中空部を有してもよいし、軸方向に沿って径が変化するものでもよいし、外表面に固定部、段部、凹部、凸部等を有するものでもよい。同様に、スリップ、ウエッジまたはリングなどのそれぞれの材料、形状や大きさ、機械的特性等、並びに、それらの組み合わせは適宜選択することができる。さらに、例えば、ダウンホールツール用シール部材以外の他のダウンホールツール部材、例えば、マンドレル等としては、分解性材料や溶解性材料から形成されるものを使用してもよく、また、強化材を含有する材料から形成されるものを使用してもよく、さらに、他の材料から形成される別部材との複合材から形成されるものを使用してもよい。
特に、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが、分解性を有するダウンホールツール部材を備える抗井処理方法は、ダウンホールツール用シール部材によるシールの解除が促進されるとともに、ダウンホールツール及び/またはダウンホールツール部材の回収や除去が容易になることが多いので好ましい。
〔抗井処理〕
本発明の坑井処理方法が適用される坑井処理は、坑井掘削に当たり坑井処理流体を使用して行われる、それ自体周知の種々の坑井処理であって、例えば、フラクチャリング、穿孔、仕上げ等が挙げられ、更に、酸処理、アルカリ処理、熱水処理、スチーム処理、有機溶剤処理等が挙げられる。本発明の坑井処理方法は、これらの坑井処理において使用される坑井処理流体と、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材とを接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることができる限り、坑井処理の種類は限定されない。
2.ダウンホールツール用シール部材
本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材におけるダウンホールツール用シール部材は、従来使用されていたダウンホールツール用シール部材であり、特に限定されない。例えば、本発明の坑井処理方法は、ダウンホールツール用シール部材が、スリーブシステム(フラックスリーブ)におけるシール部材、ダウンホールツール内におけるボールバルブ、フラッパーバルブ等のシール部材、ダウンホールツールとケーシングの間の開口部に配置されることで一時的に流体を遮断できるシール部材、更に金属等のダウンホールツール部材を覆う形で存在し、これら金属部分等が拡径することで坑井孔をシールするなどの他の多くのシール用途におけるシール部材である抗井処理方法に適用される。
本発明の坑井処理方法は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、環状の成形体である抗井処理方法として好ましく適用され、より好ましくは該シール部材がダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれる環状の成形体である抗井処理方法としてより好ましく適用される。さらに、本発明の坑井処理方法は、前記のシール部材が、ボールまたはボールシートである抗井処理方法としても好ましく適用される。
3.弾性材料
本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材に含有される弾性材料としては、坑井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることができるものであれば特に限定されず、従来、ダウンホールツール用シール部材に含有されている弾性材料を使用することができる。
前記の弾性材料を崩壊させることができる観点から、通常、該シール部材に含有される弾性材料は、ダウンホール環境下において坑井処理流体に接触することにより、分解したり溶解したりすることにより消失して形状崩壊するもののほか、例えば重合度の低下等により本来の弾性材料が有した強度が低下して脆くなる結果、極めて小さい機械的な力を加えることによって簡単に崩壊し当初の形状を失ったりするものでもよい。すなわち、ダウンホールツール用シール部材に求められたシール機能を、坑井処理流体と接触することにより大きな機械的な力によることなく喪失する特性を有するものであればよい。
本発明の坑井処理方法は、坑井処理における、ダウンホールツール用シール部材による確実な流体シールの実施及び所望のシールの解除の観点から、弾性材料が、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するダウンホールツール用シール部材に、好ましく適用される。
〔150℃質量減少率または150℃圧縮強度減少率〕
また、本発明の坑井処理方法は、坑井処理流体と接触させることにより、ダウンホール環境において、前記の弾性材料を崩壊させ、所望により崩壊を制御して、所望のシールの解除を行うことができる観点から、弾性材料が、温度150℃の水に24時間浸漬後の質量減少率または圧縮強度減少率(以下それぞれ、「150℃質量減少率」または「150℃圧縮強度減少率」ということがあり、総称して、「150℃質量減少率または圧縮強度減少率」ということがある。)が5%以上である弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材に、好ましく適用される。
弾性材料の温度150℃の水に24時間浸漬後の質量減少率または圧縮強度減少率は、所定形状の弾性材料から調製した試料(例えば、圧縮強度の測定には、厚み、長さ及び幅各5mmに切り出した試料を使用する。)を、温度150℃の水(脱イオン水等)400mL中に浸漬し、24時間浸漬後に取り出した後に測定した試料の質量または圧縮強度と、予め温度150℃の水に浸漬する前に測定した試料の質量(以下、「当初質量」ということがある。)または圧縮強度(以下、「当初圧縮強度」ということがある。)とを比較して、当初質量または当初圧縮強度に対する減少率(単位:%)を算出するものである。なお、温度150℃の水に浸漬中に、弾性材料試料が、分解したり溶出したりして形状を失いまたは消失する場合は、前記の質量減少率または圧縮強度減少率を100%とする。弾性材料が、150℃質量減少率または圧縮強度減少率であることにより、ダウンホール環境(深度の多様化等に付随し60℃未満〜200℃程度の温度であり、近年は更に25〜40℃程度の低温のダウンホール環境もある。)において、数時間〜数日間〜数週間以内という幅広い範囲で、坑井処理流体との組み合わせを最適化することにより、ダウンホールツール用シール部材に含有される弾性材料が崩壊するよう制御することが可能となることがあるので、ダウンホールツール用シール部材によるシール機能の喪失を調整することができることがあり、好ましい。すなわち、ダウンホールツール用シール部材には、種々のダウンホールの温度等の環境や当該環境において実施する工程に応じて、多様なシール機能の機能維持時間及び機能喪失時間が求められるが、本発明の坑井処理方法によれば、好ましくはダウンホールツール用シール部材に含有される弾性材料の150℃質量減少率または圧縮強度減少率が5%以上のものとすることによって、より好ましくは20%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは100%とすることによって、例えば、温度149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などの種々のダウンホールの温度環境において、一定時間シール機能を発揮し、その後シール機能を喪失してシールを解除する特性を有するものとすることができる。
4.他の配合成分
本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材は、本発明の目的を阻害しない範囲で、更に他の配合成分として、弾性材料以外の樹脂材料や、安定剤、分解促進剤または分解抑制剤、着色剤、強化材等の各種添加剤を含有させ、または配合させることができる。弾性材料以外の樹脂材料としては、脂肪族ポリエステル等の分解性樹脂、非分解性樹脂、非分解性ゴムなどが挙げられる。弾性材料以外の樹脂材料や各種添加剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲であれば特に限定されず、弾性材料100質量部に対して、通常0.1〜150質量部、多くの場合0.2〜120質量部の範囲であり、樹脂材料や各種添加剤の種類に応じて最適量を定めればよい。特に、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、強化材を含有するものとすることができる。
〔強化材〕
強化材としては、従来、機械的強度や耐熱性の向上を目的として樹脂材料等の強化材として使用されている材料を使用することができ、繊維状強化材や、粒状または粉末状強化材を使用することができる。強化材は、弾性材料100質量部に対して、通常150質量部以下、好ましくは10〜100質量部の範囲で含有させることができる。弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、強化材を含有するものであると、ダウンホール環境が弾性材料の融点に近い環境であっても、所望の期間確実にシールを行うことができ、かつ、抗井処理流体と接触させることにより、該シール部材の崩壊を所望に応じて制御することが可能となることがある。
繊維状強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維等の無機繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真鍮等の金属繊維状物;アラミド繊維、ケナフ繊維、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂等の高融点有機質繊維状物質;などが挙げられる。繊維状強化材としては、長さが10mm以下、より好ましくは1〜6mm、更に好ましくは1.5〜4mmである短繊維が好ましく、また、無機繊維状物が好ましく使用され、ガラス繊維が特に好ましい。
粒状または粉末状強化材としては、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、ガラス粉(ミルドファイバー等)、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等を用いることができる。強化材は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。強化材は、必要に応じて、集束剤または表面処理剤により処理されていてもよい。
5.ダウンホールツール用シール部材
〔弾性材料の硬度〕
本発明の坑井処理方法において、ダウンホールツール用シール部材が本来果たすべきシール機能を十分に発揮する観点から、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、硬度A60〜D80の範囲のものであることが好ましい。本発明において、シール部材の硬度とは、ISO7619に準拠して測定されるデュロメータ硬度のタイプA(以下、「硬度A」ということがある。)またはタイプD(以下、「硬度D」ということがある。)で表される硬度を意味するものである。デュロメータ硬度としては、一般ゴム等に適合する中硬さ用のタイプA、硬質ゴム等に適合する高硬さ用のタイプD、及びスポンジ等に適合する低硬さ用のタイプEがある(例えば、硬度A100は、概ね硬度D60程度に相当することが多い。)。弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、硬度A60〜D80の範囲のものであることによって、更に所望によりシール部材の構造等を併せて調整することにより、該シール部材が、フラクチャリング等の高圧流体加圧に抗する確実な坑井孔のシールを行うよう構成することができる。弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材の硬度は、より好ましくは硬度A65〜D78、更に好ましくは硬度A70〜D75の範囲である。
〔曲げ弾性率〕
所望によっては、多様なダウンホール環境において、ダウンホールツール用シール部材が第一義的に果たすべきシール機能を確実に発揮する観点から、本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材は、温度23℃における曲げ弾性率が0.02〜10GPaの範囲であるものとすることができる。ダウンホールツール用シール部材の温度23℃における曲げ弾性率が0.02〜10GPaの範囲であれば、ダウンホール環境、例えば、温度149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などの環境内において坑井孔の閉塞を行う、例えば、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールしようとする場合、該ダウンホール環境内ではダウンホールツール用シール部材の曲げ弾性率が適度に低下するため、ダウンホールツール用シール部材が、ダウンホールツールの形状及びケーシングの形状に確実に係合するように変形できるものとなる場合がある。したがって、ダウンホールツール用シール部材とケーシングとの当接面積が大きくなり、閉塞が確実となる。さらに、例えばフラクチャリング等のシールが必要とされる処理を実施するために、流体による極めて高い圧力が負荷されても、流体のシールが破壊されにくい効果がある。温度23℃における曲げ弾性率は、JIS7113(ISO178に相当)に準拠して測定する。
ダウンホール環境内においてシール機能を確実にする変形が容易なものとなる観点から、ダウンホールツール用シール部材の温度23℃における曲げ弾性率は、好ましくは9GPa以下、より好ましくは8GPa以下、更に好ましくは7GPa以下であり、特に厚みが5mmを超えるようなシール部材において有効である。ダウンホールツール用シール部材の温度23℃における曲げ弾性率が小さすぎると、高い流体圧力が負荷されるときに、変形してシールが破壊されてしまう場合があるので、好ましくは0.025GPa以上、より好ましくは0.03GPa以上、更に好ましくは0.05GPa以上とするとよい。
〔引張破断ひずみ〕
また、所望によっては、ダウンホール環境においてシール機能を確実に発揮する観点から、本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材は、ダウンホール環境内における引張破断ひずみが20%以上であるものとすることができる。ダウンホールツール用シール部材の引張破断ひずみが20%以上であれば、坑井孔の閉塞を行う、例えば、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールしようとする場合に、ダウンホールツール用シール部材が、ダウンホールツールの形状及びケーシングの形状に確実に係合するように変形、具体的には大きな引張力または圧縮力を受けながら変形しても、破断するおそれがないので、ダウンホールツール用シール部材とケーシングとの当接面積が大きくなり、閉塞が確実となることがある。さらに、例えばフラクチャリング等のシールが必要とされる処理を実施するために、流体による極めて高い圧力が負荷されることで大きな引張力または圧縮力を受けることがあっても、流体のシールが破壊されにくい効果がある。引張破断ひずみは、ISO527に準拠して、所望のダウンホール環境、例えば、温度149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などに対応する所定の温度で測定するものである。
ダウンホール環境内においてシール機能を確実にする変形が容易なものとなる観点から、ダウンホールツール用シール部材の引張破断ひずみは、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上である。ダウンホールツール用シール部材の引張破断ひずみは、特に上限値がないが、引張破断ひずみが大きすぎると、ダウンホールツール用シール部材が分解して強度を失った際に小片となりにくくなる場合があることから、通常1000%以下、多くの場合900%以下である。なお、ダウンホールツール用シール部材の厚みが小さい、例えば10mm以下である場合は、引張破断ひずみが20%未満、例えば10%以上であっても使用することができる場合がある。
〔ダウンホールツール用シール部材の形状及び大きさ〕
本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材の形状及び大きさは、特に限定されず、ダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールの種類、形状や大きさに適合するように調製することができる。例えば、シート状(薄いフィルム状、厚板状等)、棒状(丸棒状、角柱状等)、直方体状(立方状を含む)、ボール状、その他の塊状(定形、不定形等)などの形状でもよい。本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材がシート状であったり、シーリング材またはパッキング材(詰め物様)であったりする場合は、必ずしも所定の形状を有する成形体である必要はない。また、本発明の坑井処理方法が適用されるダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが、坑井掘削用プラグ等である場合は、先に説明したように環状の成形体であるダウンホールツール用シール部材とすることができ、更に具体的には、環状の成形体がダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれるものであるダウンホールツール用シール部材などとすることができ、フラックプラグまたはブリッジプラグ等の坑井掘削用プラグに備えられるダウンホールツール用シール部材とすることができる。シール部材の大きさは、通常500mm以下であり、好ましくは250mm以下、更に好ましくは150mm以下である。さらに、同じく先に説明したように、本発明の坑井処理方法は、前記のシール部材が、ボールまたはボールシートである抗井処理方法としても好ましく適用され、ボールの径は、通常20〜200mmの範囲であり、好ましくは30〜170mm、より好ましくは50〜150mm、更に好ましくは70〜120mmの範囲である。
6.ダウンホールツール用シール部材の製造方法
本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材は、製造方法が特に限定されない。例えば、射出成形、押出成形(固化押出成形を含む。)、遠心成形、圧縮成形その他の公知の成形方法により、所定量の弾性材料、及び所望により含有させる他の配合成分を含有する組成物を成形原料として、所定形状の成形品を成形し、または適宜形状(例えば、棒状体や厚板等)の予備成形品を成形した後、必要に応じて切削加工や穿孔等の機械加工した後に、それ自体公知の方法によって組み合わせて、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を得ることができる。
II.抗井処理流体と接触させることによる弾性材料の崩壊
本発明の坑井処理方法は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、抗井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする。
1.抗井処理流体
本発明の坑井処理方法において、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材と接触させる抗井処理流体は、先に説明した坑井処理において使用される種々の坑井処理流体の中から、弾性材料との組み合わせ、及び、例えば温度等のダウンホール環境との組み合わせを参酌して、最適な抗井処理流体を選択すればよい。
抗井処理流体と弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材とをダウンホール環境において接触させることにより、該弾性部材の崩壊を制御し、シールの解除を行う効果の観点から、抗井処理流体が、酸、アルカリ、熱水、スチーム及び有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。酸、アルカリ、熱水、スチームまたは有機溶剤は、従来、坑井処理流体に含有して使用されているものの中から、弾性材料及びダウンホール環境等を考慮して最適なものを選択すればよい。例えば、酸としては、pH6.5以下、好ましくはpH6以下のものを使用することができ、抗井処理流体が、塩酸、ギ酸、酢酸及びフッ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。アルカリとしては、pH7.5以上、好ましくはpH10以上のものを使用することができる。熱水としては、温度25℃以上、多くの場合50℃以上、更には90℃以上のものを使用することができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン等汎用されるもの中から選択することができ、更には油(脂肪族炭化水素)を使用できる場合もある。
2.弾性材料の崩壊
本発明の坑井処理方法は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、抗井処理流体と接触させることにより、ダウンホール環境〔深度の多様化等に付随して、多くは60℃(140度F)〜204℃(400度F)程度の温度であり、近年は更に25〜40℃程度の低温のダウンホール環境もある。〕において、数時間〜数週間以内で、該弾性材料の崩壊に由来して、ダウンホールツール用シール部材がシール機能を喪失してシールを解除するものとすることができる。したがって、坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールとケーシングとの間の空間の閉塞(シール)を解除することを目的として、ダウンホールツール用の部材を回収したり物理的に破壊するなどのために、多くの経費と時間を費やす必要がなく、炭化水素資源の回収のための経費軽減や工程短縮に寄与することができる。さらに、本発明の弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが、分解性を有するダウンホールツール部材を備えるものとすることにより、ダウンホールツール用の部材を回収したり物理的に破壊したりする操作を完全に不要とすることができる。本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールには、種々の温度等のダウンホール環境や当該環境において実施する工程に応じて、多様な強度等の性能維持時間及び分解時間が求められるが、本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材は、例えば、温度149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などの種々のダウンホールの温度環境において、一定時間シール機能を維持し、その後シール機能を喪失してシールを解除する特性を有することができる。本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材において、シール機能の維持時間やシール機能を喪失する速度等を制御する因子や制御が可能である程度は、弾性材料と高分子材料の種類や組み合わせによっても異なり、種々の手法により調整可能である。
3.弾性材料の崩壊の具体例
弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を抗井処理流体と接触させることにより、例えば以下の具体例で確認することができるように弾性材料を崩壊させることができる。
〔温度66℃における熱硬化性ウレタンゴムの崩壊〕
熱硬化性ウレタンゴムの試料(硬度A90。縦横10mm、厚み10mmに切り出して調製した。以下同様である。)を温度66℃の種々の流体(坑井処理流体に相当する。)に所定時間浸漬した後に取り出して、水洗し、試料の表面状態を目視で観察した。流体毎の表面状態の結果は以下のとおりであった。
1)脱イオン水: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
2)濃度3質量%の塩酸水溶液: 168時間(7日間)浸漬後には、試料の表面に分解に由来する白化が観察された。
3)濃度15質量%の塩酸水溶液: 13時間浸漬後に、試料の表面に分解に由来する白化が観察され、24時間(1日間)浸漬後には、試料表面が分解して強度を失い僅かな力でバラバラ状態になることが観察され、72時間(3日間)浸漬後には強度を失い試料のほぼすべてが崩壊、168時間(7日間)浸漬後には強度を完全に失いバラバラ状態になることを確認した。
4)濃度3質量%の塩化カリウム水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
5)pH11のアルカリ水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
以上のことから、弾性材料である熱硬化性ウレタンゴムについては、温度66℃のダウンホール環境において、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、酸を含有する坑井処理流体と接触させることにより、弾性材料を崩壊させることが可能であり、酸の濃度を調整(すなわち、pHを調整)することにより、崩壊を制御することが可能であることが分かった。
〔温度66℃におけるニトリルゴムの崩壊〕
ニトリルゴムの試料(硬度A45)について、各流体毎の表面状態を目視で観察したところ、各流体毎の表面状態の結果は以下のとおりであった。
1)脱イオン水: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
2)濃度3質量%の塩酸水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
3)濃度15質量%の塩酸水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
4)濃度3質量%の塩化カリウム水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
5)pH11のアルカリ水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
以上のことから、弾性材料であるニトリルゴムについては、温度66℃のダウンホール環境においては、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、酸またはアルカリを含有する坑井処理流体と接触させることによっては、弾性材料を崩壊させることが可能とはいえないことが分かった。
〔温度93℃における熱硬化性ウレタンゴムの崩壊〕
熱硬化性ウレタンゴムの試料(硬度A90)を、温度93℃の濃度3質量%の塩酸水溶液に所定時間浸漬した後に取り出して、水洗し、試料の表面状態を目視で観察した。13時間浸漬後に、試料の表面に分解に由来する白化が観察され、取り出した試料の質量が、当初の97.7%に減少していることから、試料の表面の崩壊が進行していることが確認された。なお、取り出した試料表面の白化部分をナイフで削り取り、硬度を測定したところ、硬度A90を維持しており、試料内部の物性には変化がなく、試料の崩壊は表面崩壊であることが分かった。また、この試料については、72時間(3日間)浸漬後には、試料が分解して強度を失いバラバラ状態になることが観察され、取り出した試料の質量が、当初の30.0%に減少していた。さらに168時間(7日間)浸漬後にも試料が分解して強度を失いバラバラ状態になることが観察され、取り出した試料の質量が、当初の27.9%に減少していた。
以上のことから、弾性材料である熱硬化性ウレタンゴムについては、ダウンホール環境(温度)の変動に応じて、酸を含有する坑井処理流体の酸の濃度を調整(すなわち、pHを調整)することにより、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を坑井処理流体と接触させることにより、弾性材料を崩壊させることが可能であり、崩壊を制御することが可能であることが分かった。
〔その他の弾性材料と抗井処理流体との組み合わせ〕
同様にして、弾性材料としてアクリルゴムまたはポリエステルゴムを含有するダウンホールツール用シール部材は、酸、アルカリ、熱水、スチームまたは有機溶剤(トルエン)を含有する抗井処理流体と接触させることにより、該シール部材の崩壊を制御できることが分かった。また、弾性材料としてポリアミドゴムを含有するダウンホールツール用シール部材は、熱水またはスチームを含有する抗井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることが可能であり、崩壊を制御できることが分かった。
さらに、天然ゴムを含有するダウンホールツール用シール部材は、酸または有機溶剤を含有する抗井処理流体と接触させることにより、イソプレンゴム、スチレンゴムまたはブタジエンゴムを含有するダウンホールツール用シール部材は、有機溶剤を含有する抗井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることが可能であり、崩壊を制御できることが分かった。また、エチレンプロピレンゴムを含有するダウンホールツール用シール部材は、酸または有機溶剤(トルエン)を含有する抗井処理流体と接触させることによっては、該弾性材料を崩壊させることが可能であるとはいえなかったが、油(脂肪族炭化水素)によれば、該弾性材料を崩壊させることが可能であることが分かった。
これらのことから、本発明の坑井処理方法によれば、弾性材料の種類と抗井処理流体との組み合わせによって、更に、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材と抗井処理流体とが接触するダウンホール環境(例えば温度)によって、該弾性部材の崩壊(分解等)の有無や程度を選択したり調整したりすることが可能であるので、抗井処理において行われる弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を、所望により制御することが可能であることが分かった。
III.坑井処理方法及び坑井掘削方法
本発明の弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、抗井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする抗井処理方法によれば、該坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を使用して、具体的には該ダウンホールツール用シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールを使用して、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールする坑井掘削方法において、抗井処理流体を使用する所定の坑井処理を行うために、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材によって、坑井孔(ダウンホール)のシール(目止め)を行い、かつ、該シール部材を抗井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させ、その崩壊の制御を可能とすることができる。したがって、ダウンホール環境に応じて、最適の弾性材料と坑井処理流体の組み合わせを選択することによって、坑井孔を閉塞しているダウンホールツール用シール部材によるシールを、当該のダウンホール環境において所望する期間内に、容易にシール解除することができるように設計することができる。この結果、本発明の坑井処理方法を含む坑井掘削方法によれば、従来、抗井処理の終了後または坑井完成後に、シール解除を行うためにシール機能を喪失させる操作のために、更には、坑井内に残置されていた多数の坑井掘削用プラグまたはシール部材等の部材を、破砕、穿孔その他の方法によって破壊したり、小片化したりするために要していた多くの経費と時間が不要となるので、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる。
したがって、本発明の坑井処理方法を含む坑井掘削方法によれば、(i)坑井内において流体の移動を妨げるためのシールが所望期間内に解除できる、(ii)生産を妨げる不要なダウンホールツールの除去が容易となる、(iii)ダウンホールツールに備えられる他のダウンホールツール部材を分解性材料から形成することによれば、生産開始前にダウンホールツールやダウンホールツール部材の破砕処理が全く不要であるダウンホールツールを得ることができる、(iv)フラクチャリング工程に使用されるダウンホールツールに限られることなく、何らかのシールが必要とされる多様な工程において使用される種々のダウンホールツールに適用することができる、などの利点がある。
本発明は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、抗井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする抗井処理方法であることによって、採掘条件が多様となるもとで、抗井処理において行われるダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を所望により促進し、ダウンホールツールの除去や流路の確保を所望に応じて設計可能にすることにより、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる抗井処理方法を提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。
本発明は、石油または天然ガス等の炭化水素資源を産出するために行う坑井掘削における坑井処理方法に関し、具体的には、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を伴う坑井処理方法に関する。
石油または天然ガス等の炭化水素資源は、多孔質で浸透性の地下層を有する井戸(油井またはガス井。総称して「坑井」ということがある。)を通じて採掘され生産されてきた。エネルギー消費の増大に伴い、坑井の高深度化が進み、世界では深度9000mを超える掘削の記録もあり、日本においても6000mを超える高深度坑井がある。採掘が続けられる坑井において、時間経過とともに浸透性が低下してきた地下層や、さらには元々浸透性が十分ではない地下層から、継続して炭化水素資源を効率よく採掘するために、生産層を刺激(stimulate)することが行われ、刺激方法としては、酸処理や破砕方法が知られている。酸処理は、塩酸やフッ化水素等の強酸の混合物を生産層に注入し、岩盤の反応成分(炭酸塩、粘土鉱物、ケイ酸塩等)を溶解させることによって、生産層の浸透性を増加させる方法であるが、強酸の使用に伴う諸問題が指摘され、また種々の対策を含めてコストの増大が指摘されている。そこで、流体圧を利用して生産層に亀裂(フラクチャ、fracture)を形成させる方法(「フラクチャリング法」または「水圧破砕法」ともいう。)が注目されている。
水圧破砕法は、水圧等の流体圧(以下、単に「水圧」ということがある。)により生産層に亀裂を発生させる方法であり、一般に、垂直な孔を掘削し、続けて、垂直な孔を曲げて、地下数千mの地層内に水平な孔を掘削した後、それらの坑井孔(坑井を形成するために設ける孔を意味し、「ダウンホール」ということもある。)内にフラクチャリング流体を高圧で送り込み、高深度地下の生産層(石油または天然ガス等の炭化水素資源を産出する層)に水圧によって亀裂(フラクチャ)を生じさせ、該フラクチャを通して炭化水素資源を採取するための生産層の刺激方法である。水圧破砕法は、いわゆるシェールオイル(頁岩中で熟成した油)、シェールガス等の非在来型資源の開発においても、有効性が注目されている。
フラクチャリング流体等の高圧流体を使用して、高深度地下の生産層(シェールオイル等の石油またはシェールガス等の天然ガスなどの炭化水素資源を産出する層)に水圧によって亀裂(フラクチャ)を生じさせたり、また、穿孔を行ったりするという井処理を実施するためには、通常、以下の方法が採用されている。すなわち、地下数千mの地層内に掘削した坑井孔(ダウンホール)に対して、坑井孔の先端部から順次、目止め(「シール」ということもある。)をしながら、所定区画を部分的に閉塞し、その閉塞した区画内にフラクチャリング流体等の流体を高圧で送入する、またはパーフォレーションガン等の火薬を内蔵したツールを用いて、生産層に亀裂を生じさせたり穿孔したりする。次いで、次の所定区画(通常は、先行する区画より手前、すなわち地上側の区画)を閉塞してフラクチャリング等を行い、亀裂や穿孔を進展させる。以下、この工程を必要な目止めとフラクチャリング等が完了するまで繰り返し実施する。
新たな坑井の掘削だけでなく、既に形成された坑井孔の所望の区画について、再度フラクチャリングによる生産層の刺激を行うこともある。その際も同様に、坑井孔の閉塞及びフラクチャリング等を行う操作を繰り返すことがある。また、坑井の仕上げを行うために、坑井孔を閉塞して下部からの流体を遮断し、その上部の仕上げを行った後、閉塞の解除を行うこともある。
坑井孔の閉塞及びフラクチャリング等を行うために坑井内で使用するツールであるダウンホールツールとしては、種々のものが知られている。例えば、特許文献1〜3には、芯金の周囲に諸部材(諸要素)を配置することにより坑井孔の閉塞や固定を行うプラグ(「フラックプラグ」、「ブリッジプラグ」または「パッカー」等と称することもある。)が開示されている。
特許文献1には、マンドレルの外周面上に金属製のスリップや弾性材料製のシール等が配置された溶解性のブリッジプラグが開示されている。特許文献2には、本体(body member)の外周面上にスリップやシール要素(sealing element)等を備え、更に流体の流通を阻止する一方向弁であるボールを備えるフラックプラグ、ブリッジプラグ、パッカー等のダウンホールツールが開示され、化学溶液で該ツールを溶解することが開示されている。特許文献3には、中心部に通路を貫通して設けたフラクチャスリーブピストンをスリーブの軸方向に移動可能に順次配列し、ボールシーラー(ball sealer。単に「ボール」ということもある。)とボールバルブシート(ball valve seat。「ボールシート」または単に「シート」と称されることもある。)により、順次閉鎖空間を形成するスリーブシステム(「フラックスリーブ」という場合もある。)が開示されている。
坑井掘削用に使用されるダウンホールツールは、坑井が完成するまで順次坑井内に配置され、高圧の流体によるフラクチャリングや穿孔等の井処理を実施するために、坑井孔内の所要の区間を流体圧力に抗して閉塞(シール)することができるシール性能が求められる。同時に、所定の井処理が終了し、次の井処理を実施しようとするときには、容易にシール解除できることが求められる。さらに、シェールオイル等の石油またはシェールガス等の天然ガス(以下、総称して「石油や天然ガス」または「石油または天然ガス」ということがある。)などの生産が開始される段階では、シールを解除するとともに、使用されたダウンホールツールを除去する必要がある。プラグ等のダウンホールツールは、通常、使用後に閉塞を解除して回収できるように設計されていないため、破砕(mill)、ドリル空け(drill out)その他の方法で、破壊されたり、小片化されたりすることによって除去されるが、破砕やドリル空け等には多くの経費と時間を費やす必要があった。また、使用後に回収できるように特殊に設計されたプラグ(retrievable plug)もあるが、プラグは高深度地下に置かれたものであるため、そのすべてを回収するには多くの経費と時間を要していた。
特許文献1には、溶解性の部材を備えることが開示され、アルミニウム、カルシウム及びマグネシウムから選択される反応性金属、または、リチウム、ガリウム、インジウム等の合金から形成することが開示されており、他方、シールをドリル空け可能な弾性材料で形成することが開示されている。特許文献2には、化学溶液で溶解するツールとして、エポキシやガラス繊維等からなる材料が開示されている。さらに、特許文献4には、脂肪族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミノ酸等の、プラグ、スリーブ等のダウンホールツール中の分解可能なポリマーを塩基溶液により分解させることが開示されている。なお、特許文献3には、フラックスリーブを分解性とすることについての開示はない。
エネルギー資源の確保及び環境保護等の要求の高まりのもと、特に、非在来型資源の採掘が広がる中で、一方では、高深度化など採掘条件がますます過酷なものとなる一方、採掘領域の多様化に伴う採掘条件の多様化、例えば、温度条件としては深度の多様化等に付随して60℃未満、例えば25℃から、200℃程度の高温など、多様な環境条件での採掘が進んでいる。
すなわち、フラックプラグ、ブリッジプラグ、パッカーやセメントリテイナー、スリーブシステム(フラックスリーブ)等のダウンホールツールには、一方では、数千mの深度地下に部材を移送することができる機械強度(引張強度や圧縮強度)や、高深度地下のダウンホールの高温かつ高湿度の環境下で、回収対象である炭化水素と接触しても機械強度等が維持される耐油性、耐水性及び耐熱性を有することが求められる。また、ダウンホールツールに備えられるダウンホールツール部材には、穿孔やフラクチャリングを実施するためにダウンホールの所要空間を閉塞するときに、ダウンホールツールと坑井孔の内壁、具体的には、坑井孔の内部に配置されるケーシングとの間の流体をシールすることにより、高圧の水圧によっても閉塞を維持することができるシール性能などの諸特性が求められる。
同時に、ダウンホールツール及び/またはダウンホールツール部材には、必要に応じてシールを解除することができる特性が求められる。更に加えて、ダウンホールツール及び/またはダウンホールツール部材には、炭化水素資源回収用の坑井が完成した段階では、その坑井の環境条件下(先に説明したように、深度の多様化等に付随し温度条件その他において多様な環境がある。)において、所望の期間内で、容易に除去することができ、流体のシールを完全に解除して生産効率を向上させることができるという特性を併せ有することが求められるようになってきた。そこで、流体のシールに直接関与するダウンホールツール用シール部材にも、シール性能と同時にシール解除の利便性を考慮した設計がされるようになってきた。
すなわち、高深度化など採掘条件が多様なものとなっているもとで、井処理において行われるダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を所望により促進し、ダウンホールツールの除去や流路の確保を所望に応じて設計可能にすることにより、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる井処理方法が求められていた。
米国特許出願公開2011/0048743号明細書 米国特許第7168494号明細書 米国特許出願公開2010/0132959号明細書 米国特許出願公開2010/0273685号明細書
本発明の課題は、高深度化など採掘条件が多様なものとなっているもとで、井処理において行われるダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を所望により促進し、ダウンホールツールの除去や流路の確保を所望に応じて設計可能にすることにより、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる井処理方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、弾性材料と井処理流体との組み合わせを最適化することにより、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする井処理方法が提供される。
さらに、本発明によれば、発明の具体的な態様として、以下(1)〜(10)の井処理方法が提供される。
(1)弾性材料が、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記の井処理方法。
(2)弾性材料が、温度150℃の水に24時間浸漬後の質量減少率または圧縮強度減少率が5%以上である前記の井処理方法。
(3)井処理流体が、酸、アルカリ、熱水、スチーム及び有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記の井処理方法。
(4)井処理流体が、塩酸、ギ酸、酢酸及びフッ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する前記の井処理方法。
(5)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、硬度A60〜D80の範囲のものである前記の井処理方法。
(6)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、環状の成形体である前記の井処理方法。
(7)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、ボールまたはボールシートである前記の井処理方法。
(8)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、坑井掘削用プラグに備えられるものである前記の井処理方法。
(9)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、強化材を含有する前記の井処理方法。
(10)弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが、分解性を有するダウンホールツール部材を備える前記の井処理方法。
本発明によれば、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする井処理方法であることによって、採掘条件が多様となるもとで、井処理において行われるダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を所望により促進し、ダウンホールツールの除去や流路の確保を所望に応じて設計可能にすることにより、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる井処理方法が提供されるという効果がある。
I.弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材
本発明の井処理方法は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を行う井処理方法である。
1.ダウンホールツール、ダウンホールツール部材、及び井処理
〔ダウンホールツール〕
本発明の井処理方法が適用されるダウンホールツール用シール部材が備えられるダウンホールツールとしては、坑井掘削用プラグとして知られているフラックプラグ、ブリッジプラグ、パッカーや、スリーブ、セメントリテイナー等が挙げられ、井処理を行うに当たってシールが求められるダウンホールツールであれば、その種類、形状や大きさは特に限定されない。
例えば、ダウンホールツールとしては、ダウンホールツール部材であるマンドレル(中実でも中空部を有するものでもよい。「本体」と称することもある。)と、マンドレルの軸方向に直交する外周面上や他の場所に置かれる、その他種々のダウンホールツール部材とを備える、それ自体周知の構造を有する坑井掘削用プラグが適合する。
〔ダウンホールツール部材〕
ダウンホールツール部材の具体例としては、先に説明したように、マンドレルのほか、拡径してダウンホールツール(坑井掘削用プラグ)とケーシングとの間の空間を閉塞して流体をシールすることができる拡径可能な環状のシール部材、及び/または、拡径してダウンホールツール(坑井掘削用プラグ)とケーシングとを相互に固定するスリップや、ウエッジ、リングその他の部材が挙げられ、それ自体としては周知の部材を備える構造のダウンホールツール(坑井掘削用プラグ)とすることができる。したがって、本発明の坑井処理方法は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、坑井掘削用プラグに備えられるものである坑井処理方法に好ましく適用される。また、坑井掘削用プラグに組み込まれ、または、独立して使用されることがあるボールやボールシートも、ダウンホールツール部材に該当する。
ダウンホールツールに備えられる、ダウンホールツール用シール部材以外の他のダウンホールツール部材、例えば、マンドレル、スリップ、ウエッジまたはリングなどは、従来、当該ダウンホールツール部材として使用されてきた材料、形状や大きさ、機械的特性等を有するものの範囲から選択することができる。例えば、マンドレルとしては、中空部を有してもよいし、軸方向に沿って径が変化するものでもよいし、外表面に固定部、段部、凹部、凸部等を有するものでもよい。同様に、スリップ、ウエッジまたはリングなどのそれぞれの材料、形状や大きさ、機械的特性等、並びに、それらの組み合わせは適宜選択することができる。さらに、例えば、ダウンホールツール用シール部材以外の他のダウンホールツール部材、例えば、マンドレル等としては、分解性材料や溶解性材料から形成されるものを使用してもよく、また、強化材を含有する材料から形成されるものを使用してもよく、さらに、他の材料から形成される別部材との複合材から形成されるものを使用してもよい。
特に、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが、分解性を有するダウンホールツール部材を備える井処理方法は、ダウンホールツール用シール部材によるシールの解除が促進されるとともに、ダウンホールツール及び/またはダウンホールツール部材の回収や除去が容易になることが多いので好ましい。
井処理〕
本発明の坑井処理方法が適用される坑井処理は、坑井掘削に当たり坑井処理流体を使用して行われる、それ自体周知の種々の坑井処理であって、例えば、フラクチャリング、穿孔、仕上げ等が挙げられ、更に、酸処理、アルカリ処理、熱水処理、スチーム処理、有機溶剤処理等が挙げられる。本発明の坑井処理方法は、これらの坑井処理において使用される坑井処理流体と、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材とを接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることができる限り、坑井処理の種類は限定されない。
2.ダウンホールツール用シール部材
本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材におけるダウンホールツール用シール部材は、従来使用されていたダウンホールツール用シール部材であり、特に限定されない。例えば、本発明の坑井処理方法は、ダウンホールツール用シール部材が、スリーブシステム(フラックスリーブ)におけるシール部材、ダウンホールツール内におけるボールバルブ、フラッパーバルブ等のシール部材、ダウンホールツールとケーシングの間の開口部に配置されることで一時的に流体を遮断できるシール部材、更に金属等のダウンホールツール部材を覆う形で存在し、これら金属部分等が拡径することで坑井孔をシールするなどの他の多くのシール用途におけるシール部材である井処理方法に適用される。
本発明の坑井処理方法は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、環状の成形体である井処理方法として好ましく適用され、より好ましくは該シール部材がダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれる環状の成形体である井処理方法としてより好ましく適用される。さらに、本発明の坑井処理方法は、前記のシール部材が、ボールまたはボールシートである井処理方法としても好ましく適用される。
3.弾性材料
本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材に含有される弾性材料としては、坑井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることができるものであれば特に限定されず、従来、ダウンホールツール用シール部材に含有されている弾性材料を使用することができる。
前記の弾性材料を崩壊させることができる観点から、通常、該シール部材に含有される弾性材料は、ダウンホール環境下において坑井処理流体に接触することにより、分解したり溶解したりすることにより消失して形状崩壊するもののほか、例えば重合度の低下等により本来の弾性材料が有した強度が低下して脆くなる結果、極めて小さい機械的な力を加えることによって簡単に崩壊し当初の形状を失ったりするものでもよい。すなわち、ダウンホールツール用シール部材に求められたシール機能を、坑井処理流体と接触することにより大きな機械的な力によることなく喪失する特性を有するものであればよい。
本発明の坑井処理方法は、坑井処理における、ダウンホールツール用シール部材による確実な流体シールの実施及び所望のシールの解除の観点から、弾性材料が、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するダウンホールツール用シール部材に、好ましく適用される。
〔150℃質量減少率または150℃圧縮強度減少率〕
また、本発明の坑井処理方法は、坑井処理流体と接触させることにより、ダウンホール環境において、前記の弾性材料を崩壊させ、所望により崩壊を制御して、所望のシールの解除を行うことができる観点から、弾性材料が、温度150℃の水に24時間浸漬後の質量減少率または圧縮強度減少率(以下それぞれ、「150℃質量減少率」または「150℃圧縮強度減少率」ということがあり、総称して、「150℃質量減少率または圧縮強度減少率」ということがある。)が5%以上である弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材に、好ましく適用される。
弾性材料の温度150℃の水に24時間浸漬後の質量減少率または圧縮強度減少率は、所定形状の弾性材料から調製した試料(例えば、圧縮強度の測定には、厚み、長さ及び幅各5mmに切り出した試料を使用する。)を、温度150℃の水(脱イオン水等)400mL中に浸漬し、24時間浸漬後に取り出した後に測定した試料の質量または圧縮強度と、予め温度150℃の水に浸漬する前に測定した試料の質量(以下、「当初質量」ということがある。)または圧縮強度(以下、「当初圧縮強度」ということがある。)とを比較して、当初質量または当初圧縮強度に対する減少率(単位:%)を算出するものである。なお、温度150℃の水に浸漬中に、弾性材料試料が、分解したり溶出したりして形状を失いまたは消失する場合は、前記の質量減少率または圧縮強度減少率を100%とする。弾性材料が、150℃質量減少率または圧縮強度減少率であることにより、ダウンホール環境(深度の多様化等に付随し60℃未満〜200℃程度の温度であり、近年は更に25〜40℃程度の低温のダウンホール環境もある。)において、数時間〜数日間〜数週間以内という幅広い範囲で、坑井処理流体との組み合わせを最適化することにより、ダウンホールツール用シール部材に含有される弾性材料が崩壊するよう制御することが可能となることがあるので、ダウンホールツール用シール部材によるシール機能の喪失を調整することができることがあり、好ましい。すなわち、ダウンホールツール用シール部材には、種々のダウンホールの温度等の環境や当該環境において実施する工程に応じて、多様なシール機能の機能維持時間及び機能喪失時間が求められるが、本発明の坑井処理方法によれば、好ましくはダウンホールツール用シール部材に含有される弾性材料の150℃質量減少率または圧縮強度減少率が5%以上のものとすることによって、より好ましくは20%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは100%とすることによって、例えば、温度149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などの種々のダウンホールの温度環境において、一定時間シール機能を発揮し、その後シール機能を喪失してシールを解除する特性を有するものとすることができる。
4.他の配合成分
本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材は、本発明の目的を阻害しない範囲で、更に他の配合成分として、弾性材料以外の樹脂材料や、安定剤、分解促進剤または分解抑制剤、着色剤、強化材等の各種添加剤を含有させ、または配合させることができる。弾性材料以外の樹脂材料としては、脂肪族ポリエステル等の分解性樹脂、非分解性樹脂、非分解性ゴムなどが挙げられる。弾性材料以外の樹脂材料や各種添加剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲であれば特に限定されず、弾性材料100質量部に対して、通常0.1〜150質量部、多くの場合0.2〜120質量部の範囲であり、樹脂材料や各種添加剤の種類に応じて最適量を定めればよい。特に、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、強化材を含有するものとすることができる。
〔強化材〕
強化材としては、従来、機械的強度や耐熱性の向上を目的として樹脂材料等の強化材として使用されている材料を使用することができ、繊維状強化材や、粒状または粉末状強化材を使用することができる。強化材は、弾性材料100質量部に対して、通常150質量部以下、好ましくは10〜100質量部の範囲で含有させることができる。弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、強化材を含有するものであると、ダウンホール環境が弾性材料の融点に近い環境であっても、所望の期間確実にシールを行うことができ、かつ、井処理流体と接触させることにより、該シール部材の崩壊を所望に応じて制御することが可能となることがある。
繊維状強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維等の無機繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真鍮等の金属繊維状物;アラミド繊維、ケナフ繊維、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂等の高融点有機質繊維状物質;などが挙げられる。繊維状強化材としては、長さが10mm以下、より好ましくは1〜6mm、更に好ましくは1.5〜4mmである短繊維が好ましく、また、無機繊維状物が好ましく使用され、ガラス繊維が特に好ましい。
粒状または粉末状強化材としては、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、ガラス粉(ミルドファイバー等)、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等を用いることができる。強化材は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。強化材は、必要に応じて、集束剤または表面処理剤により処理されていてもよい。
5.ダウンホールツール用シール部材
〔弾性材料の硬度〕
本発明の坑井処理方法において、ダウンホールツール用シール部材が本来果たすべきシール機能を十分に発揮する観点から、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、硬度A60〜D80の範囲のものであることが好ましい。本発明において、シール部材の硬度とは、ISO7619に準拠して測定されるデュロメータ硬度のタイプA(以下、「硬度A」ということがある。)またはタイプD(以下、「硬度D」ということがある。)で表される硬度を意味するものである。デュロメータ硬度としては、一般ゴム等に適合する中硬さ用のタイプA、硬質ゴム等に適合する高硬さ用のタイプD、及びスポンジ等に適合する低硬さ用のタイプEがある(例えば、硬度A100は、概ね硬度D60程度に相当することが多い。)。弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、硬度A60〜D80の範囲のものであることによって、更に所望によりシール部材の構造等を併せて調整することにより、該シール部材が、フラクチャリング等の高圧流体加圧に抗する確実な坑井孔のシールを行うよう構成することができる。弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材の硬度は、より好ましくは硬度A65〜D78、更に好ましくは硬度A70〜D75の範囲である。
〔曲げ弾性率〕
所望によっては、多様なダウンホール環境において、ダウンホールツール用シール部材が第一義的に果たすべきシール機能を確実に発揮する観点から、本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材は、温度23℃における曲げ弾性率が0.02〜10GPaの範囲であるものとすることができる。ダウンホールツール用シール部材の温度23℃における曲げ弾性率が0.02〜10GPaの範囲であれば、ダウンホール環境、例えば、温度149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などの環境内において坑井孔の閉塞を行う、例えば、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールしようとする場合、該ダウンホール環境内ではダウンホールツール用シール部材の曲げ弾性率が適度に低下するため、ダウンホールツール用シール部材が、ダウンホールツールの形状及びケーシングの形状に確実に係合するように変形できるものとなる場合がある。したがって、ダウンホールツール用シール部材とケーシングとの当接面積が大きくなり、閉塞が確実となる。さらに、例えばフラクチャリング等のシールが必要とされる処理を実施するために、流体による極めて高い圧力が負荷されても、流体のシールが破壊されにくい効果がある。温度23℃における曲げ弾性率は、JIS7113(ISO178に相当)に準拠して測定する。
ダウンホール環境内においてシール機能を確実にする変形が容易なものとなる観点から、ダウンホールツール用シール部材の温度23℃における曲げ弾性率は、好ましくは9GPa以下、より好ましくは8GPa以下、更に好ましくは7GPa以下であり、特に厚みが5mmを超えるようなシール部材において有効である。ダウンホールツール用シール部材の温度23℃における曲げ弾性率が小さすぎると、高い流体圧力が負荷されるときに、変形してシールが破壊されてしまう場合があるので、好ましくは0.025GPa以上、より好ましくは0.03GPa以上、更に好ましくは0.05GPa以上とするとよい。
〔引張破断ひずみ〕
また、所望によっては、ダウンホール環境においてシール機能を確実に発揮する観点から、本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材は、ダウンホール環境内における引張破断ひずみが20%以上であるものとすることができる。ダウンホールツール用シール部材の引張破断ひずみが20%以上であれば、坑井孔の閉塞を行う、例えば、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールしようとする場合に、ダウンホールツール用シール部材が、ダウンホールツールの形状及びケーシングの形状に確実に係合するように変形、具体的には大きな引張力または圧縮力を受けながら変形しても、破断するおそれがないので、ダウンホールツール用シール部材とケーシングとの当接面積が大きくなり、閉塞が確実となることがある。さらに、例えばフラクチャリング等のシールが必要とされる処理を実施するために、流体による極めて高い圧力が負荷されることで大きな引張力または圧縮力を受けることがあっても、流体のシールが破壊されにくい効果がある。引張破断ひずみは、ISO527に準拠して、所望のダウンホール環境、例えば、温度149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などに対応する所定の温度で測定するものである。
ダウンホール環境内においてシール機能を確実にする変形が容易なものとなる観点から、ダウンホールツール用シール部材の引張破断ひずみは、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上である。ダウンホールツール用シール部材の引張破断ひずみは、特に上限値がないが、引張破断ひずみが大きすぎると、ダウンホールツール用シール部材が分解して強度を失った際に小片となりにくくなる場合があることから、通常1000%以下、多くの場合900%以下である。なお、ダウンホールツール用シール部材の厚みが小さい、例えば10mm以下である場合は、引張破断ひずみが20%未満、例えば10%以上であっても使用することができる場合がある。
〔ダウンホールツール用シール部材の形状及び大きさ〕
本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材の形状及び大きさは、特に限定されず、ダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールの種類、形状や大きさに適合するように調製することができる。例えば、シート状(薄いフィルム状、厚板状等)、棒状(丸棒状、角柱状等)、直方体状(立方状を含む)、ボール状、その他の塊状(定形、不定形等)などの形状でもよい。本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材がシート状であったり、シーリング材またはパッキング材(詰め物様)であったりする場合は、必ずしも所定の形状を有する成形体である必要はない。また、本発明の坑井処理方法が適用されるダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが、坑井掘削用プラグ等である場合は、先に説明したように環状の成形体であるダウンホールツール用シール部材とすることができ、更に具体的には、環状の成形体がダウンホールツールに備えられるマンドレルの軸方向と直交する外周面上に置かれるものであるダウンホールツール用シール部材などとすることができ、フラックプラグまたはブリッジプラグ等の坑井掘削用プラグに備えられるダウンホールツール用シール部材とすることができる。シール部材の大きさは、通常500mm以下であり、好ましくは250mm以下、更に好ましくは150mm以下である。さらに、同じく先に説明したように、本発明の坑井処理方法は、前記のシール部材が、ボールまたはボールシートである井処理方法としても好ましく適用され、ボールの径は、通常20〜200mmの範囲であり、好ましくは30〜170mm、より好ましくは50〜150mm、更に好ましくは70〜120mmの範囲である。
6.ダウンホールツール用シール部材の製造方法
本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材は、製造方法が特に限定されない。例えば、射出成形、押出成形(固化押出成形を含む。)、遠心成形、圧縮成形その他の公知の成形方法により、所定量の弾性材料、及び所望により含有させる他の配合成分を含有する組成物を成形原料として、所定形状の成形品を成形し、または適宜形状(例えば、棒状体や厚板等)の予備成形品を成形した後、必要に応じて切削加工や穿孔等の機械加工した後に、それ自体公知の方法によって組み合わせて、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を得ることができる。
II.井処理流体と接触させることによる弾性材料の崩壊
本発明の坑井処理方法は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする。
1.井処理流体
本発明の坑井処理方法において、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材と接触させる井処理流体は、先に説明した坑井処理において使用される種々の坑井処理流体の中から、弾性材料との組み合わせ、及び、例えば温度等のダウンホール環境との組み合わせを参酌して、最適な井処理流体を選択すればよい。
井処理流体と弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材とをダウンホール環境において接触させることにより、該弾性部材の崩壊を制御し、シールの解除を行う効果の観点から、井処理流体が、酸、アルカリ、熱水、スチーム及び有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。酸、アルカリ、熱水、スチームまたは有機溶剤は、従来、坑井処理流体に含有して使用されているものの中から、弾性材料及びダウンホール環境等を考慮して最適なものを選択すればよい。例えば、酸としては、pH6.5以下、好ましくはpH6以下のものを使用することができ、井処理流体が、塩酸、ギ酸、酢酸及びフッ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。アルカリとしては、pH7.5以上、好ましくはpH10以上のものを使用することができる。熱水としては、温度25℃以上、多くの場合50℃以上、更には90℃以上のものを使用することができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン等汎用されるもの中から選択することができ、更には油(脂肪族炭化水素)を使用できる場合もある。
2.弾性材料の崩壊
本発明の坑井処理方法は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、井処理流体と接触させることにより、ダウンホール環境〔深度の多様化等に付随して、多くは60℃(140度F)〜204℃(400度F)程度の温度であり、近年は更に25〜40℃程度の低温のダウンホール環境もある。〕において、数時間〜数週間以内で、該弾性材料の崩壊に由来して、ダウンホールツール用シール部材がシール機能を喪失してシールを解除するものとすることができる。したがって、坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールとケーシングとの間の空間の閉塞(シール)を解除することを目的として、ダウンホールツール用の部材を回収したり物理的に破壊するなどのために、多くの経費と時間を費やす必要がなく、炭化水素資源の回収のための経費軽減や工程短縮に寄与することができる。さらに、本発明の弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが、分解性を有するダウンホールツール部材を備えるものとすることにより、ダウンホールツール用の部材を回収したり物理的に破壊したりする操作を完全に不要とすることができる。本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールには、種々の温度等のダウンホール環境や当該環境において実施する工程に応じて、多様な強度等の性能維持時間及び分解時間が求められるが、本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材は、例えば、温度149℃、121℃、93℃、80℃または66℃、更には25〜40℃などの種々のダウンホールの温度環境において、一定時間シール機能を維持し、その後シール機能を喪失してシールを解除する特性を有することができる。本発明の坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材において、シール機能の維持時間やシール機能を喪失する速度等を制御する因子や制御が可能である程度は、弾性材料と高分子材料の種類や組み合わせによっても異なり、種々の手法により調整可能である。
3.弾性材料の崩壊の具体例
弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を井処理流体と接触させることにより、例えば以下の具体例で確認することができるように弾性材料を崩壊させることができる。
〔温度66℃における熱硬化性ウレタンゴムの崩壊〕
熱硬化性ウレタンゴムの試料(硬度A90。縦横10mm、厚み10mmに切り出して調製した。以下同様である。)を温度66℃の種々の流体(坑井処理流体に相当する。)に所定時間浸漬した後に取り出して、水洗し、試料の表面状態を目視で観察した。流体毎の表面状態の結果は以下のとおりであった。
1)脱イオン水: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
2)濃度3質量%の塩酸水溶液: 168時間(7日間)浸漬後には、試料の表面に分解に由来する白化が観察された。
3)濃度15質量%の塩酸水溶液: 13時間浸漬後に、試料の表面に分解に由来する白化が観察され、24時間(1日間)浸漬後には、試料表面が分解して強度を失い僅かな力でバラバラ状態になることが観察され、72時間(3日間)浸漬後には強度を失い試料のほぼすべてが崩壊、168時間(7日間)浸漬後には強度を完全に失いバラバラ状態になることを確認した。
4)濃度3質量%の塩化カリウム水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
5)pH11のアルカリ水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
以上のことから、弾性材料である熱硬化性ウレタンゴムについては、温度66℃のダウンホール環境において、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、酸を含有する坑井処理流体と接触させることにより、弾性材料を崩壊させることが可能であり、酸の濃度を調整(すなわち、pHを調整)することにより、崩壊を制御することが可能であることが分かった。
〔温度66℃におけるニトリルゴムの崩壊〕
ニトリルゴムの試料(硬度A45)について、各流体毎の表面状態を目視で観察したところ、各流体毎の表面状態の結果は以下のとおりであった。
1)脱イオン水: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
2)濃度3質量%の塩酸水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
3)濃度15質量%の塩酸水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
4)濃度3質量%の塩化カリウム水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
5)pH11のアルカリ水溶液: 168時間(7日間)浸漬後に表面の変化はみられなかった。
以上のことから、弾性材料であるニトリルゴムについては、温度66℃のダウンホール環境においては、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、酸またはアルカリを含有する坑井処理流体と接触させることによっては、弾性材料を崩壊させることが可能とはいえないことが分かった。
〔温度93℃における熱硬化性ウレタンゴムの崩壊〕
熱硬化性ウレタンゴムの試料(硬度A90)を、温度93℃の濃度3質量%の塩酸水溶液に所定時間浸漬した後に取り出して、水洗し、試料の表面状態を目視で観察した。13時間浸漬後に、試料の表面に分解に由来する白化が観察され、取り出した試料の質量が、当初の97.7%に減少していることから、試料の表面の崩壊が進行していることが確認された。なお、取り出した試料表面の白化部分をナイフで削り取り、硬度を測定したところ、硬度A90を維持しており、試料内部の物性には変化がなく、試料の崩壊は表面崩壊であることが分かった。また、この試料については、72時間(3日間)浸漬後には、試料が分解して強度を失いバラバラ状態になることが観察され、取り出した試料の質量が、当初の30.0%に減少していた。さらに168時間(7日間)浸漬後にも試料が分解して強度を失いバラバラ状態になることが観察され、取り出した試料の質量が、当初の27.9%に減少していた。
以上のことから、弾性材料である熱硬化性ウレタンゴムについては、ダウンホール環境(温度)の変動に応じて、酸を含有する坑井処理流体の酸の濃度を調整(すなわち、pHを調整)することにより、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を坑井処理流体と接触させることにより、弾性材料を崩壊させることが可能であり、崩壊を制御することが可能であることが分かった。
〔その他の弾性材料と井処理流体との組み合わせ〕
同様にして、弾性材料としてアクリルゴムまたはポリエステルゴムを含有するダウンホールツール用シール部材は、酸、アルカリ、熱水、スチームまたは有機溶剤(トルエン)を含有する井処理流体と接触させることにより、該シール部材の崩壊を制御できることが分かった。また、弾性材料としてポリアミドゴムを含有するダウンホールツール用シール部材は、熱水またはスチームを含有する井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることが可能であり、崩壊を制御できることが分かった。
さらに、天然ゴムを含有するダウンホールツール用シール部材は、酸または有機溶剤を含有する井処理流体と接触させることにより、イソプレンゴム、スチレンゴムまたはブタジエンゴムを含有するダウンホールツール用シール部材は、有機溶剤を含有する井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることが可能であり、崩壊を制御できることが分かった。また、エチレンプロピレンゴムを含有するダウンホールツール用シール部材は、酸または有機溶剤(トルエン)を含有する井処理流体と接触させることによっては、該弾性材料を崩壊させることが可能であるとはいえなかったが、油(脂肪族炭化水素)によれば、該弾性材料を崩壊させることが可能であることが分かった。
これらのことから、本発明の坑井処理方法によれば、弾性材料の種類と井処理流体との組み合わせによって、更に、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材と井処理流体とが接触するダウンホール環境(例えば温度)によって、該弾性部材の崩壊(分解等)の有無や程度を選択したり調整したりすることが可能であるので、井処理において行われる弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を、所望により制御することが可能であることが分かった。
III.坑井処理方法及び坑井掘削方法
本発明の弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする井処理方法によれば、該坑井処理方法が適用される弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を使用して、具体的には該ダウンホールツール用シール部材を備える坑井掘削用プラグ等のダウンホールツールを使用して、ダウンホールツールとケーシングとの間の流体をシールする坑井掘削方法において、井処理流体を使用する所定の坑井処理を行うために、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材によって、坑井孔(ダウンホール)のシール(目止め)を行い、かつ、該シール部材を井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させ、その崩壊の制御を可能とすることができる。したがって、ダウンホール環境に応じて、最適の弾性材料と坑井処理流体の組み合わせを選択することによって、坑井孔を閉塞しているダウンホールツール用シール部材によるシールを、当該のダウンホール環境において所望する期間内に、容易にシール解除することができるように設計することができる。この結果、本発明の坑井処理方法を含む坑井掘削方法によれば、従来、井処理の終了後または坑井完成後に、シール解除を行うためにシール機能を喪失させる操作のために、更には、坑井内に残置されていた多数の坑井掘削用プラグまたはシール部材等の部材を、破砕、穿孔その他の方法によって破壊したり、小片化したりするために要していた多くの経費と時間が不要となるので、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる。
したがって、本発明の坑井処理方法を含む坑井掘削方法によれば、(i)坑井内において流体の移動を妨げるためのシールが所望期間内に解除できる、(ii)生産を妨げる不要なダウンホールツールの除去が容易となる、(iii)ダウンホールツールに備えられる他のダウンホールツール部材を分解性材料から形成することによれば、生産開始前にダウンホールツールやダウンホールツール部材の破砕処理が全く不要であるダウンホールツールを得ることができる、(iv)フラクチャリング工程に使用されるダウンホールツールに限られることなく、何らかのシールが必要とされる多様な工程において使用される種々のダウンホールツールに適用することができる、などの利点がある。
本発明は、弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする井処理方法であることによって、採掘条件が多様となるもとで、井処理において行われるダウンホールツール用シール部材によるシールの解除を所望により促進し、ダウンホールツールの除去や流路の確保を所望に応じて設計可能にすることにより、坑井掘削の経費軽減や工程短縮ができる井処理方法を提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (11)

  1. 弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を、抗井処理流体と接触させることにより、該弾性材料を崩壊させることを特徴とする抗井処理方法。
  2. 弾性材料が、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム及びエチレンプロピレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1記載の抗井処理方法。
  3. 弾性材料が、温度150℃の水に24時間浸漬後の質量減少率または圧縮強度減少率が5%以上である請求項1または2記載の抗井処理方法。
  4. 抗井処理流体が、酸、アルカリ、熱水、スチーム及び有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の抗井処理方法。
  5. 抗井処理流体が、塩酸、ギ酸、酢酸及びフッ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の抗井処理方法。
  6. 弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、硬度A60〜D80の範囲のものである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の抗井処理方法。
  7. 弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、環状の成形体である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の抗井処理方法。
  8. 弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、ボールまたはボールシートである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の抗井処理方法。
  9. 弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、坑井掘削用プラグに備えられるものである請求項1乃至8のいずれか1項に記載の抗井処理方法。
  10. 弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材が、強化材を含有する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の抗井処理方法。
  11. 弾性材料を含有するダウンホールツール用シール部材を備えるダウンホールツールが、分解性を有するダウンホールツール部材を備える請求項1乃至10のいずれか1項に記載の抗井処理方法。
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