JP2015168731A - 誘電体用樹脂組成物および高周波誘電体デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性および/または熱硬化性樹脂中に分散された異方性酸化マグネシウム粒子を含む誘電体用樹脂組成物であって、前記異方性酸化マグネシウム粒子は、柱状、針状、またはそれらの束状の粒子形状であり、当該誘電体用樹脂組成物は、1GHz以上の周波数および25℃の温度において、比誘電率εが5以下であり、誘電正接tanδが5×10−4以下であることを特徴とする誘電体用樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
次に、本発明による誘電体用樹脂組成物に含まれる各材料について、詳しく説明する。
本発明による誘電体用樹脂組成物は、無機物質として、異方性酸化マグネシウム粒子を含み、前記異方性酸化マグネシウム粒子は、柱状、針状またはそれらの束状の粒子形状である。
本発明では、誘電体用樹脂組成物に使用される樹脂材料として、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂が使用される。
本発明による誘電体用樹脂組成物に使用される熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂の種類は、最終的に得られる誘電体用樹脂組成物が前述の比誘電率εおよび誘電正接(tanδ)を満たす限り、特に限られない。
本発明による誘電体用樹脂組成物は、前述の樹脂材料中に、異方性酸化マグネシウム粒子を分散させることにより製造される。
本発明による誘電体用樹脂組成物は、1GHz以上の周波数帯域で使用される各種高周波誘電体デバイスに適用することができる。
本発明において、異方性酸化マグネシウム粒子は、前述の非特許文献1を参考に調製した。まず、1Mの塩化マグネシウム水溶液中に1Mの炭酸ナトリウム水溶液を加え、5時間攪拌した。得られた合成物は蒸留水とエタノールを用いて洗浄し、乾燥器中にて80℃、5時間、乾燥を行い、前駆体となる異方性炭酸マグネシウム粒子を得た。その後、合成した異方性炭酸マグネシウム粒子を、電気炉中にて1200℃、5時間焼成し、異方性酸化マグネシウム粒子Aを得た。以下、異方性酸化マグネシウム粒子Aを「粒子A」と称する。
前述の異方性酸化マグネシウム粒子Aと同様の方法で、異方性酸化マグネシウム粒子Bの合成を行った。ただし、異方性酸化マグネシウム粒子Bでは、異方性炭酸マグネシウム粒子を、電気炉中にて1600℃、1分間、焼成し異方性酸化マグネシウム粒子Bを得た。以下、異方性酸化マグネシウム粒子Bを「粒子B」と称する。粒子Bの評価・観察は粒子Aと同様の方法で行なった。
以下の方法で、誘電体用樹脂組成物の製造(以下、「サンプル1」と称する)、およびその特性を評価した。
熱可塑性樹脂として、アイソタクティックポリプロピレン(商品名:ノバテックPP MA3、日本ポリケム株式会社製)(以下、「iPP」と称する)を準備し、異方性酸化マグネシウム粒子には上記粒子Aを準備した。まず、5.0gのiPPを、150℃に加温した50mLのキシレンに溶解した。次に、この溶液中に2.25g(10vol%に相当)の粒子Aを投入し、1時間攪拌した。その後、混合物からキシレンを留去して固形物を得た。次に、真空加熱プレス成形機(井元製作所IMC−11FA型)を用いて、固形物を直径60mm×厚さ1mmの寸法にプレス成形した。これにより、板状試験片(サンプル1と称する)が製作された。以下の表1の「サンプル1」の欄には、例1において使用された樹脂、異方性酸化マグネシウム粒子の混合比をまとめて示した。
得られたサンプル1を用いて、比誘電率ε、誘電正接tanδ、比誘電率の温度係数、共振周波数の温度係数、熱膨張係数、および熱伝導率の各種特性を評価した。誘電特性(比誘電率ε、誘電正接tanδ、比誘電率の温度係数、共振周波数の温度係数)の測定はJIS R 1641に準拠し、12GHzの空洞共振器をネットワークアナライザ(Agilent社製8720ES Sパラメータ・ベクトル・ネットワーク・アナライザ)に接続し、空洞共振器で測定した。
前述の例1の場合と同様の方法で、誘電体用樹脂組成物(以下、「サンプル2」と称する)を製造し、その特性を評価した。ただし、この例2では、粒子Aの混合量は、全体に対して20vol%とした。その他の製造条件は、例1の場合と同様である。得られたサンプル2を用いて、例1の場合と同様の方法で、比誘電率ε、誘電正接tanδ、比誘電率の温度係数、共振周波数の温度係数、熱膨張係数、および熱伝導率の各種特性を評価した。前述の表2の「サンプル2」の欄には、サンプル2の各種評価結果をまとめて示した。
前述の例1の場合と同様の方法で、誘電体用樹脂組成物(以下、「サンプル3」と称する)を製造し、その特性を評価した。ただし、この例3では、粒子Aの混合比は、全体に対して30vol%とした。その他の製造条件は、例1の場合と同様である。得られたサンプル3を用いて、例1の場合と同様の方法で、比誘電率ε、誘電正接tanδ、比誘電率の温度係数、共振周波数の温度係数、熱膨張係数、および熱伝導率の各種特性を評価した。前述の表2の「サンプル3」の欄には、サンプル3の各種評価結果をまとめて示した。
前述の例1の場合と同様の方法で、誘電体用樹脂組成物(以下、「サンプル4」と称する)を製造し、その特性を評価した。ただし、この例4では、粒子Aの混合量は、全体に対して40vol%とした。その他の製造条件は、例1の場合と同様である。得られたサンプル4を用いて、例1の場合と同様の方法で、比誘電率ε、誘電正接tanδ、比誘電率の温度係数、共振周波数の温度係数、熱膨張係数、および熱伝導率の各種特性を評価した。前述の表2の「サンプル4」の欄には、サンプル4の各種評価結果をまとめて示した。
前述の例1の場合と同様の方法で、誘電体用樹脂組成物(以下、「サンプル5」と称する)を製造し、その特性を評価した。ただし、この例4では、異方性酸化マグネシウム粒子として、粒子Bを用いた。粒子Bの混合量は、全体に対して10vol%とした。また、得られたサンプル5を用いて、例1の場合と同様の方法で、比誘電率ε、誘電正接tanδ、比誘電率の温度係数、共振周波数の温度係数、熱膨張係数、および熱伝導率の各種特性を評価した。前述の表2の「サンプル5」の欄には、サンプル5の各種評価結果をまとめて示した。
前述の例5の場合と同様の方法で、誘電体用樹脂組成物(以下、「サンプル6」と称する)を製造し、その特性を評価した。ただし、この例6では、粒子Bの混合量は、全体に対して20vol%とした。その他の製造条件は、例5の場合と同様である。得られたサンプル6を用いて、例1の場合と同様の方法で、比誘電率ε、誘電正接tanδ、比誘電率の温度係数、共振周波数の温度係数、熱膨張係数、および熱伝導率の各種特性を評価した。前述の表2の「サンプル6」の欄には、サンプル6の各種評価結果をまとめて示した。
前述の例5の場合と同様の方法で、誘電体用樹脂組成物(以下、「サンプル7」と称する)を製造し、その特性を評価した。ただし、この例7では、粒子Bの混合量は、全体に対して30vol%とした。その他の製造条件は、例5の場合と同様である。得られたサンプル7を用いて、例1の場合と同様の方法で、比誘電率ε、誘電正接tanδ、比誘電率の温度係数、共振周波数の温度係数、熱膨張係数、および熱伝導率の各種特性を評価した。前述の表2の「サンプル7」の欄には、サンプル7の各種評価結果をまとめて示した。
前述の例5の場合と同様の方法で、誘電体用樹脂組成物(以下、「サンプル8」と称する)を製造し、その特性を評価した。ただし、この例8では、粒子Bの混合量は、全体に対して40vol%とした。その他の製造条件は、例5の場合と同様である。得られたサンプル8を用いて、例1の場合と同様の方法で、比誘電率ε、誘電正接tanδ、比誘電率の温度係数、共振周波数の温度係数、熱膨張係数、および熱伝導率の各種特性を評価した。前述の表2の「サンプル8」の欄には、サンプル8の各種評価結果をまとめて示した。
110 導体
120 導体
180 誘電体用樹脂組成物
200 伝送線路
210a〜210c 上部導体
220 下部導体
280 誘電体用樹脂組成物
300 伝送線路
310a、310b 上部導体
320 下部導体
380 誘電体用樹脂組成物
400 誘電体フィルタ
410a〜410d 上部導体
420 下部導体
480 誘電体用樹脂組成物
500 誘電体アンテナ
510 上部導体
515 給電点
520 下部導体
580 誘電体用樹脂組成物
600 誘電体共振器
610 リング導体
620 下部導体
680 誘電体用樹脂組成物
700 キャパシタ
710a、710b 櫛形導体
780 誘電体用樹脂組成物
800 インダクタ
810a 導体
880 誘電体用樹脂組成物
900 多層基板
910a、910b 配線
950 半導体部品
980a〜980d 誘電体用樹脂組成物
Claims (12)
- 熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂中に分散された異方性酸化マグネシウム粒子を含む誘電体用樹脂組成物であって、
前記異方性酸化マグネシウム粒子は、柱状、針状、またはそれらの束状の粒子形状であり、
当該誘電体用樹脂組成物は、1GHz以上の周波数および25℃の温度において、比誘電率εが5以下であり、誘電正接tanδが5×10−4以下であることを特徴とする誘電体用樹脂組成物。 - 前記異方性酸化マグネシウム粒子は、平均アスペクト比が2以上500以下であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体用樹脂組成物。
- 前記異方性酸化マグネシウム粒子は、100nm以上50μm以下の平均長軸寸法を有することを特徴とする請求項1または2に記載の誘電体用樹脂組成物。
- 異方性酸化マグネシウム粒子は、X線回折分析において、(200)に帰属されるピークの半価幅が0.15°以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の誘電体用樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、ポリ環状オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、5−メチルペンテン樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フッ素化ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、サーモトロピック液晶ポリマー系樹脂、芳香族ポリサルホン系樹脂、および芳香族ポリエーテル系樹脂からなる群から選定された少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の誘電体用樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂は、トリアジン系樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル類、多官能スチレン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、エポキシ系樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選定された少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の誘電体用樹脂組成物。
- 0℃〜80℃の温度範囲において、比誘電率の温度依存性が±100ppm/℃の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の誘電体用樹脂組成物。
- 熱膨張係数が5ppm/℃〜90ppm/℃の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の誘電体用樹脂組成物。
- 熱伝導率が0.1W/m・K〜5.0W/m・Kの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の誘電体用樹脂組成物。
- 1GHz以上の周波数帯域において使用される高周波誘電体デバイスであって、
当該高周波誘電体デバイスは、回路基板、伝送線路、誘電体フィルタ、誘電体アンテナ、誘電体共振器、キャパシタ、インダクタ、埋設デバイス、およびマルチチップモジュールのいずれか一つであり、
当該高周波誘電体デバイスは、請求項1乃至9のいずれか一つに記載の誘電体用樹脂組成物を含むことを特徴とする高周波誘電体デバイス。 - さらに導体を有し、
該導体は、前記誘電体用樹脂組成物の表面または内部に配置されることを特徴とする請求項10に記載の高周波誘電体デバイス。 - 1GHz以上の周波数帯域において使用される高周波誘電体デバイスであって、
当該高周波誘電体デバイスは、凸レンズ、フレネルレンズ、および凹レンズのいずれかであり、
当該高周波誘電体デバイスは、請求項1乃至9のいずれか一つに記載の誘電体用樹脂組成物を含むことを特徴とする高周波誘電体デバイス。
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