JP2015167551A - 細胞内への外来物質の導入方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上面に集光剤からなる薄膜2がコーティングされたカバーグラス1の薄膜2上に細胞7を静置し、導入する外来物質6を含有する液体を細胞7に接触させ、細胞7に近接した薄膜2に対してレーザー光を照射して薄膜2又は細胞7の細胞膜3にレーザー光を集光させることにより細胞膜3に細孔5を形成し、細孔5から外来物質6を細胞7内へ導入する。
【選択図】図1
Description
(カーボンからなる薄膜がコーティングされたカバーグラスの作製)
真空蒸着装置JEOL JEE-400(日本電子社製)を用いて厚さ0.17mmのカバーグラスNo.1(松浪硝子工業社製)の上面に、カーボンを5秒間蒸着し、カーボンからなる薄膜(以下、「カーボンコート」ともいう)がコーティングされたカバーグラスを作製した。蒸着したカーボンコートの厚さは、約20nmであった。
図2に示すように、プラスチックディッシュ8の底に直径12mmの穴をあけ、カバーグラス1のカーボンコート17をコーティングした側を内側(上側)になるように接着剤で貼付け、ガラスボトムディッシュ9を作製した。
細胞性粘菌の一種であるキイロタマホコリカビ(Dictyostelium discoideum)を含む培養液を滅菌したガラスボトムディッシュ9に加えることによって、キイロタマホコリカビをカーボンコート上に静置した。なお、静置されたキイロタマホコリカビの周りには培養液があるため、キイロタマホコリカビは生育可能な状態にある。
FDSS532-Qパルスレーザー光照射装置(Crylas社製)を用いて、カバーグラスの下面から薄膜に対してパルスレーザー光を照射する方法を図3に示す。レーザー10から導入したパルスレーザー光11は1/10NDフィルター12、レンズ13、シャッター14、ダイクロミックミラー15、対物レンズ16を通過してガラスボトムディッシュ9に貼付けたカバーグラス1の下面からカーボンコート17に対して照射する。細胞7に細孔5を形成する場合は、細胞7の直下に近接している領域のカーボンコート17に対してレーザー光11をカバーグラス1の下面から照射し、細胞7に細孔を形成しない場合は、カバーグラス1の下面から細胞が近接していない領域のカーボンコート17に対してレーザー光11を照射する。ガラスボトムディッシュ9は倒立顕微鏡のステージを動かすことで水平方向にスライドさせることでき、細胞7の位置とパルスレーザー光11の集光の位置を調整することや、細胞7を観察しながらパルスレーザー光11を照射することが可能である。照射時間はシャッター14によって制御し、パルスレーザー光11の出力は1/10に減光される1/10NDフィルター12で制御した。細胞7に細孔5を形成する場合は、1/10NDフィルターを用い、焦点の調整の際には、1/10NDフィルターを除いて照射した。1回のレーザー照射時間は1/125秒とした。なお、倒立顕微鏡の代わりに正立顕微鏡を用いる場合には、カバーグラスの上面から、上記と同様の流れでパルスレーザー光を照射すればよい。
倒立顕微鏡(IX70I オリンパス社製)のステージに、上述のキイロタマホコリカビを静置し、培養したガラスボトムディッシュ9を設置し、対物レンズ16(60X)の焦点をカバーグラス1の表面に合わせた。次に、細胞膜が近接していない領域のカーボンコート17に対してカバーグラス1の下面からパルスレーザー光11(532nm,15mW, 1nsec pulse, 4.8 KHz)を照射し、カーボンコート17が剥がれる位置を指標として、パルスレーザー光11の照射の焦点をカーボンコート17に合わせた。
ガラスボトムディッシュ9中の培養液に外来物質として蛍光色素18(FITC-dextran、シグマアルドリッチ社製)を1mg/mlとなるように加えて、細胞膜3に蛍光色素18を含有する液体を接触させ、細胞7に近接している領域のカーボンコート17の一部に対して図3に示す方法でパルスレーザー光11(532nm, 15mW, 1nsec pulse, 4.8 KHz)を2回(1回目のレーザー光照射を行った時間を0.0秒として0.0秒後、37.0秒後)照射した。パルスレーザー光を照射した細胞数は130であった。照射の際には1/10NDフィルターを用いて出力を1.5mWに減光させ、1回の照射時間は1/125秒とした。コントロールとして、カーボンコートをコーティングしていないカバーグラス1を貼付けたプラスチックディッシュ9を用い、上記と同様にキイロタマホコリカビのカーボンコート17上への静置から、細胞7に近接している領域のカーボンコート17の一部に対するパルスレーザー光11の照射までの工程を行った。細胞7の観察やパルスレーザー光11の照射の観察は、接眼レンズ19を通して肉眼で行なうか、別ポートにカメラ(ORCA-ER 浜松ホトニクス社製)を接続してコンピューターに画像を取得して行なった。
図4、5に示すように、レーザー光を照射した0.0秒、3.7秒の後に細胞内の蛍光量が増加していた。一方、図に示していないが、コントロールにおいては細胞膜に細孔が全く形成されず、細胞内での蛍光量に変化はなかった。また、レーザー光を照射した130細胞中、129細胞において細胞内での蛍光が観察された。さらに、レーザー光照射の前後の細胞の動きを顕微鏡で観察した結果、レーザー光照射後の細胞の形態変化はレーザー光照射前の正常な細胞の形態変化と差はみられなかった。
(パルスレーザー光照射)
実施例1に記載の方法と同様で、倒立顕微鏡(IX70I オリンパス社製)のステージにキイロタマホコリカビを静置し、培養したガラスボトムディッシュを設置し、対物レンズ(60X)の焦点をカバーグラスの表面に合わせ、パルスレーザー光照射の焦点をカーボンコートに合わせた。次に、ガラスボトムディッシュ中の培養液に外来物質として本発明者らがpBIG expression vector(Ruppel et al., Journal of Biological Chemistry, 269:18773-187780, 1994)をバックボーンとして作製したGFP-actinプラスミド(Uchida and Yumura, Journal of Cell Science, 117:1443-1455, 2004)を0.5mg/mlとなるように加えて細胞膜にGFP-actinプラスミドを含有する液体を接触させ、その後、細胞に近接している領域のカーボンコートの一部に対して図3に示す方法でパルスレーザー光(532nm, 15mW, 1nsec pulse, 4.8 KHz)を照射した。パルスレーザー光を照射した細胞数は12であった。照射の際には1/10NDフィルターを用いて出力を1.5mWに減光させ、1回の照射時間は1/125秒とした。パルスレーザー光照射によりGFP-actinプラスミドを細胞内に導入して1週間後に、GFP-actinの発現を蛍光顕微鏡IX71(オリンパス社製)で観察した。GFP-actinプラスミドを導入した12細胞のうち1細胞の1週間後の観察結果を図6に示す。図6中、(a)は位相差顕微鏡写真、(b)は同視野の蛍光顕微鏡写真である。
図6に示すように、1つの細胞が10細胞以上まで分裂しており、また、蛍光顕微鏡写真においてすべての細胞で蛍光が観察された。図に示していないが、GFP-actinプラスミドを細胞内に導入した他の11細胞も同様の結果であった。したがって、本発明の細胞内への外来物質の導入方法により細胞膜に細孔が形成され、細胞内に遺伝子が高効率で導入されていることが明らかとなった。また、1つの細胞が10細胞以上にまで分裂していたことや、図6の矢印で示した細胞のように細胞分裂が観察されたことから、本発明の細胞内への外来物質の導入方法においては正常細胞と同様に細胞分裂能力を有し、細胞への損傷による影響が少ないことが確認された。
1細胞レベルで外来物質を導入するためには、細胞の大きさと比較して非常に狭い範囲にパルスレーザー光を集光する必要がある。そこで、上面に集光剤からなる薄膜がコーティングされたカバーグラスの下面から薄膜に対してパルスレーザー光を照射した場合の集光レベルを調べた。
実施例1に記載の方法と同様でガラスボトムディッシュを作製し、キイロタマホコリカビをカバーグラスのカーボンコート上に静置した後、倒立顕微鏡(IX70I オリンパス社製)のステージにガラスボトムディッシュを設置した。次に、対物レンズ(60X)の焦点をカバーグラスの表面に合わせ、パルスレーザー光照射の焦点をカーボンコートに合わせた後、倒立顕微鏡に設置したガラスボトムディッシュをスライドしてパルスレーザー光照射の焦点付近に細胞を近づけた。その後、1/10NDフィルターを用いずに図3に示す方法でパルスレーザー光(532nm, 15mW, 1nsec pulse, 4.8 KHz)を1/125秒間照射した。レーザー光照射後の倒立顕微鏡によるカバーグラスの観察結果を図7に示す。図7中、矢印はパルスレーザー光を集光させた位置を表す。
図7において、矢印で示すパルスレーザー光を集光させた位置のみにカーボンコートが剥がれ、近接する細胞には何ら損傷はみられなかった。したがって、上面に集光剤からなる薄膜がコーティングされたカバーグラスの薄膜に対してパルスレーザー光を照射した場合には、非常に狭い範囲にパルスレーザー光が集光しており、集光レベルが高いことが明らかとなった。
2 薄膜
3 細胞膜
4 細胞が近接している領域
5 細孔
6 外来物質
7 細胞
8 プラスチックディッシュ
9 ガラスボトムディッシュ
10 レーザー
11 パルスレーザー光
12 1/10NDフィルター
13 レンズ
14 シャッター
15 ダイクロミックミラー
16 対物レンズ
17 カーボンコート
18 蛍光色素
19 接眼レンズ
Claims (5)
- 細胞内への外来物質の導入方法であって、上面に集光剤からなる薄膜がコーティングされたカバーグラスの前記薄膜上に細胞を静置し、導入する外来物質を含有する液体を前記細胞に接触させ、前記細胞に近接した薄膜に対してレーザー光を照射して前記薄膜又は前記細胞の細胞膜にレーザー光を集光させることにより前記細胞膜に細孔を形成し、前記細孔から前記外来物質を前記細胞内へ導入することを特徴とする細胞内への外来物質の導入方法。
- カバーグラスの下面から細胞に近接した薄膜に対してレーザー光を照射することを特徴とする請求項1記載の細胞内への外来物質の導入方法。
- 集光剤がカーボンであることを特徴とする請求項1又は2記載の細胞内への外来物質の導入方法。
- 外来物質がDNA、RNA、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、糖類、脂質、薬剤、蛍光色素のいずれか1以上の物質であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の細胞内への外来物質の導入方法。
- 請求項1〜4のいずれか記載の細胞内への外来物質の導入方法に用いるための、上面に集光剤からなる薄膜がコーティングされたカバーグラス。
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JPS55500053A (ja) * | 1978-01-16 | 1980-01-31 | ||
JPH0549483A (ja) * | 1991-08-08 | 1993-03-02 | Hitachi Ltd | 生細胞レ−ザ照射方法 |
JP2008017739A (ja) * | 2006-07-11 | 2008-01-31 | Hokkaido Univ | レーザー照射型外来物質導入デバイス |
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JPWO2018105748A1 (ja) * | 2016-12-09 | 2019-10-24 | 国立大学法人山口大学 | レーザーを用いた細胞内への外来物質の導入方法 |
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