JP2015166504A - 芯鞘中空複合繊維 - Google Patents

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【課題】後溶出型の中空繊維を得る際に、優れたアルカリ溶出性と、アルカリ溶出排水中への重金属含有量の低減が可能な芯鞘中空複合繊維を提供する。【解決手段】ポリアミドを鞘成分とし、チタン化合物を触媒として全酸成分に対して金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が3モル%以上15モル%以下共重合されたポリエステルを芯成分とし、芯成分:鞘成分の複合比率は30:70〜60:40重量%であり、かつ繊維断面において中空率が5%以上20%以下の中空部分を有することを特徴とする芯鞘中空複合繊維。【選択図】図1

Description

本発明は、後溶出型の中空繊維を得る際に、優れたアルカリ溶出性と、アルカリ溶出排水中への重金属含有量の低減が可能な芯鞘中空複合繊維に関するものである。
従来から、ポリアミド、ポリエステルおよびアクリル等の高分子化合物からなる合成繊維は、編物、織物、不織布、植毛等家庭用品および産業用品に広く利用されている。これらの合成繊維は、大部分がカードを通過させて各繊維を梳き揃え、例えば紡績用途や不織布等に使用されている。
しかしながら、合成繊維は元来その表面と内部構造が均一かつ単純であることから、単なる丸断面糸では冷たい触感であり、冬期の衣料としての暖かさや保温性が不十分という欠点がある。これらの問題を解決すべく、特許文献1のような繊維内部に中空層を持つ中空繊維により軽量性、保温性といった機能を高める技術が提案されている。
ところが、これらの中空繊維は紡糸口金の形状、ポリマー粘度などの工夫以外は通常の溶融紡糸により製造されるため、中空率を高くすることが困難であり、しかも、ポリマー自体のモジュラスが低いことから後加工工程において中空部が潰れ易いといった問題が発生していた。また、これらの問題を改善するために単糸を太繊度とするしかなく、布帛の風合いが粗硬なものとなっていた。
また、特許文献2にはポリエステルとポリアミドとの芯鞘複合糸を用いて布帛とした後に芯部のポリエステルの一部をアルカリ溶出処理することによる軽量・保温性布帛が提案されている。しかしながら通常のポリエステルではアルカリ溶出速度が遅く、溶出に時間が掛かり、一部が溶出しきれずにムラとなり製品欠点が生じていた。
そのため、特許文献3のように芯部に中空部を設けることで、溶出するポリマー量の低減と繊維内部へのアルカリ溶液の浸透を促進し、アルカリ溶出時間の短縮を図る芯鞘中空型複合繊維が提案されている。
また、特許文献4には、ポリエステルよりもアルカリ減量速度の速いポリ乳酸を使用することを提案しているが、融点の高いポリアミドとの複合繊維を製造する場合は、溶融紡糸の際にポリ乳酸が熱分解の発生や、溶融粘度が著しく低下するなどの問題があり、安定した生産が困難であるといった問題があった。
特開平9−217225号公報 特公平8−19607号公報 特開2005−307378号公報 特開2004−300655号公報
ここで、特許文献2のように通常のポリエステルではアルカリ溶出速度が遅く、溶出に時間が掛かり、一部が溶出しきれずにムラとなり製品欠点が生じるものであった。また、一般的なポリエステルは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは、ポリマー中のアンチモン触媒残査が比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって紡糸パックフィルターの濾圧上昇の原因となったり、アルカリ溶出の際、アルカリ水溶液中にアンチモン化合物が溶出してしまうため、環境に好ましくない影響を与える可能性があった。
そこで本発明の目的は、かかる従来技術の課題を克服し、後溶出型の中空繊維構造体を得る際に、優れたアルカリ溶出性と、アルカリ溶出排水中への重金属含有量の低減が可能な芯鞘中空複合繊維を得ることにある。
前述した本発明の目的は、ポリアミドを鞘成分とし、チタン化合物を触媒として全酸成分に対して金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が3モル%以上15モル%以下共重合されたポリエステルを芯成分とし、芯成分:鞘成分の複合比率は30:70〜60:40重量%であり、かつ繊維断面において中空率が5%以上20%以下の中空部分を有することを特徴とする芯鞘中空複合繊維によって達成することができる。
本発明によれば、後溶出型の中空繊維構造体を得る際に、優れたアルカリ溶出性と、アルカリ溶出排水中への重金属含有量の低減が可能な芯鞘中空複合繊維が得られる。
(a)〜(d)は、本発明にかかる芯鞘中空複合繊維の一実施例を示す断面図である。
本発明の芯鞘中空複合繊維の鞘成分はポリアミドからなる。ここで挙げるポリアミドとは、アミド結合を有する熱可塑性重合体のことをいうが、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン56、ナイロン510、ナイロン610などを挙げることができる。また、前記ポリマーのブレンド物や共重合ポリマーであってもよいが、なかでも繊維形成性、製造コスト、汎用性および芯部のポリエステルとの融点が近いことなどからナイロン66が好ましい。
本発明の芯鞘中空複合繊維の鞘部を形成するポリアミドには、機能材料が含まれてもよい。ここでいう機能材料とは、繊維内部に存在することにより、導電、抗菌、吸湿、蓄熱保温、接触冷感、防透けといった繊維によって有用な付加機能を発現せしめる化学物質のことであり、単一の化合物である場合や複数の化合物の混合物である場合もある。
機能材料は大別して無機機能材料と有機機能材料に分けられる。無機機能材料としては、艶消し効果を持つ酸化チタン、遠赤外線放射機能を持つアルミナ系粒子、カーボンブラック、抗菌機能をもつ銀ゼオライト、マイナスイオン放射機能を持つ微量放射性天然鉱石、トルマリン鉱石などが挙げられる。有機機能材料としては、吸放湿性を高めるポリビニルピロリドン化合物、有機系抗カビ、抗菌剤などが挙げられる。例えば遠赤外線放射機能を持つ機能材料を含有させると、遠赤外線放射による輻射熱と中空部による保温性との相乗効果によって、暖かさを実感できる快適性に優れた布帛を製造することが可能となる。
ここで、機能材料の含有量は0.01重量%以上10重量%以下である必要がある。0.01重量%未満であると添加量が少なすぎて十分な付加機能の発現が得られない。また、10重量%を超えると、繊維の機械特性が著しく低下し、実用に適さない。好ましくは0.2重量%以上7重量%以下である。
機能材料を含有せしめる方法としては、ポリアミドの重合前または重合中の段階で原料または反応系へ機能材料を添加する方法、重合後のポリアミドへ機能材料を添加し分散する方法、溶融状態のポリアミドへ機能材料を添加し混練する方法、ポリアミドチップへ機能材料をブレンドし溶融する方法、ポリアミドチップへ高濃度の機能材料を含有するマスタペレットをブレンドし溶融する方法などが挙げられるが、両者が均一に混ざり、それぞれの特性を阻害しない方法であればいかなる方法でもよい。
本発明の芯鞘中空複合繊維の芯成分は易溶出性の共重合ポリエステルからなる。ここで挙げる易溶出性の共重合ポリエステルとは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体からなるポリエステルに、全酸成分に対して金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が3モル%以上15モル%以下共重合されたポリエステルである。
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体からなるポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、
ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明はなかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体において好適である。
また、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分とは、スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、ホスホニウム塩、さらにそれらの誘導体のことを指し、具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−(テトラアルキル)ホスホニウムスルホイソフタル酸、およびその誘導体などが挙げられる。金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分としてホスホニウム塩およびその誘導体を用いる時は、含有量によって重合触媒活性を失活させる場合がある。好ましくは5−ナトリウムスルホイソフタル酸およびその誘導体である。
金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分の共重合量は、共重合ポリエステルを構成する全酸成分に対して3モル%以上15モル%以下共重合されていることが必須である。金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分の共重合量が多いほどアルカリ溶出性は向上するが、それと同時にポリエステルの増粘が引き起こされ、成形加工性、製糸性が低下するため、15モル%を超えて添加することは困難である。一方、3モル%未満では十分な溶出性が得られない。7モル%以上13モル%以下であるとアルカリ溶出性と成形加工性の両者が良好になり好ましく、特に好ましくは8モル%以上10モル%以下である。
本発明の共重合ポリエステルの製造方法は、チタン化合物を重縮合触媒として用いることが必須である。通常、ポリエステルを製造する際の重合用触媒としては、アンチモン化合物およびリン化合物が一般的であるが、本発明のアルカリ易溶出性共重合ポリエステルは、アルカリ溶出時の溶出排水中への重金属低減を考慮し、チタン化合物と組み合わされる重縮合触媒としては、リン化合物が好まししい。
チタン化合物としては特に限定されず、ポリエステルの重縮合触媒として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタンやテトラ−n−ブトキシチタンなどが挙げられ、得られるポリエステルに対してチタン原子換算で0.5ppm以上150ppm以下含有されていることが好ましく、1ppm以上100ppm以下であるとポリマーの熱安定性がより良好となる。
リン化合物としては特に限定されないが、リン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系のいずれか1種または2種であることが好ましく、リンがポリエステルに対してリン原子換算で0.1ppm以上200ppm以下含有されていることが好ましく、さらに好ましくは3ppm以上100ppm以下である。
チタン化合物及びリン化合物を添加する方法としては、ポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予めエチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じてチタン化合物またはリン化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期はエステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて添加する方法がある。また、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。この場合、チタン化合物とリン化合物が接触することによる触媒の失活を抑制するために、異なる反応槽に添加する方法や、同一の反応槽においてチタン化合物とリン化合物の添加間隔を1〜15分とする方法や添加位置を離す方法がある。
また、得られるポリマーの耐熱性を向上させる目的で、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アルミニウム化合物などを添加してもよい。
ポリエステルは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウムなどの化合物やアンチモン化合物などを触媒として用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
本発明で用いるポリエステルの製造方法は、(1)または(2)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(1)または(2)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、重縮合触媒として前述のチタン化合物を添加し重縮合反応を行い、高分子量のポリエステルを得るというものである。
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式に適応し得る。
本発明の芯鞘中空複合繊維は、芯鞘構造で中空部を要していれば、外径は丸断面、多角断面、多葉断面、その他公知の断面形状のいずれでもよく、特に限定されるものではない。例えば、芯部分と鞘部分、あるいは中空部が相対的に変心している図1(b)のような断面形状や、三角形、四角形、五角形またはそれ以上の多角形や、十字型、雲形等のいずれかの形状でも採用することができる。また中空部を複数個有する図1(c)、(d)のような断面形状であってもよい。
かかる芯鞘中空複合繊維の中空率は5%以上20%以下であることが必要である。中空率が5%未満であると、繊維内部へのアルカリ溶液の浸透を促進するという効果がわずかとなり易溶出化のメリットが得られない。また、20%を超えると製糸工程や紡績工程にて中空部が潰れてしまうため好ましくない。
また、芯鞘中空複合繊維の芯成分:鞘成分の複合比率は、30:70〜60:40重量%である必要がある。芯成分が20重量%未満であると、芯成分を溶出した後でも中空率が低いために軽量性、保温性といった中空繊維の特徴が不充分となる。また、芯成分が70重量%を超えると製糸性が不安定になるとともに、布帛とした後で中空部がつぶれやすくなり、保温性の効果が不充分となる。
上記の芯鞘中空複合繊維を常法によって紡績、製織した後、アルカリ溶出処理を行い芯部のポリエステルを除去することにより、生産工程および高次加工工程で受ける外力による中空つぶれを防ぐことができる。
次に、本発明の芯鞘中空複合繊維は、次のような複合溶融紡糸方法によって製造することができる。例えば、ポリアミドとポリエステルとをそれぞれ所定の紡糸温度で溶融紡糸し、同一の紡糸口金に導いて芯鞘中空構造となるように複合し、紡糸された繊維に、5〜20℃の温度の空気を40〜100m/分の流れで吹き付けて冷却させた後、紡糸油剤を付与し、引取速度500〜1500m/分で一旦、缶に納めることにより未延伸糸トウを得る。
次いで、得られた未延伸糸トウを2.5〜4.0倍の延伸倍率で、蒸気を付与しながら2段延伸を行った後、150〜230℃の定長熱処理を施し、クリンパーを用いて5%〜20%の捲縮率となる様、機械捲縮を付与し、50℃〜130℃の温度で5〜30分間乾燥し、長さ20〜150mmに切断することにより、芯鞘中空複合繊維を得ることができる。
紡績工程においては上述の原綿を100重量%で使用することが本発明の本来のねらいである保温性、軽量性などの特性を十分に発揮する上でより効果的であるが、他の原綿との混紡品であってもよい。ただし本発明ではポリエステルのアルカリ処理による溶出は高次加工後に行うため、アルカリに対して耐性のある素材を選択して使用し、組み合わせることが実際的である。
製織工程は、通常のスパン布帛と同様の工程で行うことができる。たとえば使用できる織機としては、エアジェット織機、レピア織機などや通常の織機などに十分対応、使用することが可能である。
本発明の加熱アルカリ処理に使用する薬剤としては、苛性アルカリ、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどを用いることができる。その処理条件は、芯鞘成分の複合比率や布帛を構成する該原綿の混用比率などによっても相違するが、好ましくは苛性アルカリ濃度は10〜80g/リットル、処理温度は60〜120℃の条件を用いることができる。また減量促進剤やポリアミド膨潤剤を添加してもよく、染色はポリアミド染着のための通常用いられる染料及び染色条件を採用すればよい。
本発明の芯鞘中空複合繊維について、次の実施例を用いて詳細に説明する。また、芯鞘中空複合繊維特性の測定は、次の方法により行った。
(測定方法)
A.中空率
顕微鏡付きカメラを用いて、芯鞘中空複合繊維の断面を約400倍の倍率で撮影し、出来上がった写真から下記式に従い算出した。
中空率(%)=( 中空部分の面積 / 繊維断面全体の面積 )×100
B.単繊維繊度
JIS L 1015(2010)に準じて芯鞘中空複合繊維原綿の単繊維繊度を測定した。
C.紡糸性
紡糸時の糸切れ発生回数により下記区分に当てはめた。
◎:0〜1回/日、 ○:2〜4回/日、 △:5〜8回/日、 ×:9回以上/日
D.溶出時間
重量が概知の芯鞘中空複合繊維布帛サンプルを、染色加工において、精錬、リラックス後、水酸化ナトリウム水溶液50g/リットルの濃度とし、処理温度110℃の溶出条件において、規定時間(30、45、60、75、90分)溶出処理を行い、速やかに水洗・乾燥した後の重量を測定し、サンプルの重量が理論上の鞘成分のみの重量まで減量された時間を溶出時間とした。
F.溶出排液中の真比重5.0以上の金属
芯部の共重合ポリエステルを溶出した水酸化ナトリウム水溶液を、理学電機工業株式会社製ICP発光分析装置(JY170ULTRACE)を用いて定性分析し、真比重5.0以上の金属元素の含有量を測定、検出の有無を確認した。
G.断面形状評価
単繊維繊度、芯鞘成分比率及び芯成分溶出前の中空率が概知の芯鞘中空複合繊維原綿を布帛として、芯成分が完全に溶出する条件にてアルカリ溶出処理を行った後、顕微鏡付きカメラを用いて、中空繊維構造体の断面を約400倍の倍率で撮影し、出来上がった写真から任意に定めた中空繊維構造体において中空部の最も短い外径(短径)を求め、下記式に従い変形率を算出し、下記区分に当てはめた。
変形率(%)=(1−(中空繊維構造体の中空部短径/単繊維繊度、成分比率及び中空率より算出した理論上の中空部外径))×100
◎:80%以上、 ○:60%以上、 △:40%以上、 ×:40%未満
H.目付
25cm×25cmの中空繊維構造体布帛試験片を採取し、平衡水分率以下となるまで十分に乾燥後、20℃、65%RHの室内に24時間放置し、水分平衡とした後に、その試験片の重量を測定する。得られた試験片の重量を1mあたりに換算し、布帛片2枚についての平均値で表す。
I.clo値(保温性)
50cm×50cmの中空繊維構造体布帛試験片を2枚採取し、ASTM保温性試験器を用いて熱板温度40℃の熱板に試験片を取り付けて60分間放置する。測定時間放置後の積算電力計の通電時間(b)、及び測定器の外気温度(t)を読みとり、下記式に従い算出した。
clo値=(6.54×(40−t))/b/0.18
(参考例1)チタン錯体1(チタンクエン酸キレート)の調整方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液に水酸化ナトリウム(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
(参考例2)チタン錯体2(チタントリメリット酸キレート)の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中にエチレングリコール(2200g)、トリメリット酸無水物(192g、1.00モル)を混合撹拌している溶液に滴下漏斗からチタンテトラブトキシド(170g、0.50モル)をゆっくり滴下し、透明なチタン化合物のエチレングリコール溶液(Ti含有量1.00重量%)を得た。
(参考例3)エステル化反応生成物の合成方法
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に高純度テレフタル酸82.5kgとエチレングリコール35.4kgのスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、エステル化反応生成物101.5kgを得た。
(実施例1)
参考例1で得られたチタン錯体1をチタン原子換算で得られるポリエステル組成物に対して2ppm、リン酸をリン原子換算で得られるポリエステル組成物に対して40ppm、酢酸リチウム4水和物をリチウム原子換算で得られるポリエステル組成物に対して400ppmをエチレングリコールを溶媒として用いて混合槽にて事前混合し、窒素雰囲気下25℃にて60分攪拌した後、参考例3で得られたエステル化反応生成物に添加した。5分後に共重合成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステルとエチレングリコールのエステル交換反応により合成したエステル交換反応率70%の40%エチレングリコール溶液を酸成分に対して8モル%となるように添加した。その後、低重合体を15rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から280℃ まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして共重合ポリエステルのペレットを得た。
複合溶融紡糸機を用いて、上記で得られた共重合ポリエステルペレットを芯部ポリマーとして280℃の温度で溶融し、ナイロン66ペレットを鞘部ポリマーとして280℃の温度でそれぞれ溶融し、単芯芯鞘・単孔中空用の吐出孔を300孔有する複合紡糸口金を使用して、成分比率は共重合ポリエステルを40重量%、ナイロン66を60重量%の割合として紡糸を行い、温度13℃の空気を60m/分の流れで紡出糸に当てて冷却させた後、紡糸油剤を付与し、引取速度1300m/分で一旦缶に納めることにより未延伸糸トウを得た。次いで、得られた未延伸糸トウを2.8倍の延伸倍率で、蒸気を付与しながら1段延伸を施し、180℃の温度で定長熱処理を行った後、クリンパーを用いて12%の捲縮率を付与し、100℃の温度で10分乾燥し、長さ44mmに切断して単繊維繊度が1.7dtex、中空率10%の芯鞘中空複合繊維を得た。
得られた芯鞘中空複合繊維を用いて通常の紡績方式で0.60番手の粗糸を作り、精紡ドラフト約11.8倍及び約10.0倍、撚数12.0t/インチ及び11.1t/インチ、綿番手7sと6sの複合中空紡績糸を製造した。この紡績糸を経糸と緯糸に使用して、織上密度タテ65本/インチ×ヨコ45本/インチ、織物組織を斜子織とし、エアジェットルームにて製織した。
こうして得られた生機を染色加工において、精錬、リラックス後、水酸化ナトリウム水溶液50g/リットルの濃度とし、処理温度110℃の溶出条件において、液流染色機を用いて規定時間(30、45、60、75、90分)溶出処理を行い、芯の共重合ポリエステル成分を除去し中空繊維構造体を得た。
(実施例2)
鞘部ポリマーとしてナイロン6ペレットを260℃の温度で溶融し用いた以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(実施例3)
芯部ポリマーとして5−ナトリウムスルホイソフタル酸の誘導体を酸成分に対して4モル%となるように添加した共重合ポリエステルペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(実施例4)
芯部ポリマーとして12モル%となるように添加した共重合ポリエステルペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(実施例5)
芯/鞘成分の複合比率を30/70へ変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(実施例6)
芯/鞘成分の複合比率を60/40へ変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(実施例7)
チタン鎖体を参考例2で得られたチタン錯体2へ変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(実施例8)
中空率を5%へ変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(実施例9)
中空率を20%へ変更した以外は、実施例1と同様にして中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(実施例10)
単芯芯鞘・扇形3孔中空用の吐出孔を300孔有する複合紡糸口金を使用して、中空形状を扇形3孔、中空率を15%へ変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例1)
通常の単芯芯鞘口金を用いた以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例2)
芯部ポリマーとして共重合成分を有さないポリエステルペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例3)
芯部ポリマーとして三酸化アンチモンを触媒とした共重合ポリエステルペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例4)
芯部ポリマーとして5−ナトリウムスルホイソフタル酸の誘導体を酸成分に対して2モル%となるように添加した共重合ポリエステルペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例5)
芯部ポリマーとして5−ナトリウムスルホイソフタル酸の誘導体を酸成分に対して20モル%となるように添加した共重合ポリエステルペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例6)
芯/鞘成分の複合比率を20/80へ変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例7)
芯/鞘成分の複合比率を70/30へ変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例8)
芯部ポリマーとしてポリ乳酸ペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例9)
中空率を2%へ変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例10)
中空率を25%へ変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘中空複合繊維および中空繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
(比較例11)
通常の単芯芯鞘口金を用いて、芯部のポリエステル成分のアルカリ溶出除去を行わない以外は、実施例1と同様にして芯鞘繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例1〜11はいずれか、又は複数の項目で十分な特性が得られなかったのに対し、実施例1〜10は全ての項目において優れた特性を示した。
Figure 2015166504
A:芯部ポリマー
B:鞘部ポリマー
C:中空部

Claims (2)

  1. ポリアミドを鞘1成分とし、チタン化合物を触媒として全酸成分に対して金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分が3モル%以上15モル%以下共重合されたポリエステルを芯成分とし、芯成分:鞘成分の複合比率は30:70〜60:40重量%であり、かつ繊維断面において中空率が5%以上20%以下の中空部分を有することを特徴とする芯鞘中空複合繊維。
  2. 芯成分が真比重が5.0以上の金属元素の含有量が0〜10重量ppmであるポリマーである請求項1記載の芯鞘中空複合繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021176828A1 (ja) * 2020-03-03 2021-09-10 株式会社カネカ 人工毛髪用芯鞘複合繊維、それを含む頭飾製品及びその製造方法

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