JP2015165211A - 荷電粒子ビーム装置、校正用部材及び荷電粒子ビームの測定方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム装置、校正用部材及び荷電粒子ビームの測定方法 Download PDF

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Yoshinori Nakayama
義則 中山
道夫 波田野
Michio Hatano
道夫 波田野
志剛 王
Jikang Wang
志剛 王
早田 康成
Yasunari Hayata
康成 早田
百代 圓山
Momoyo Maruyama
百代 圓山
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Abstract

【課題】寸法管理対象が更に微細化かつ平滑化した場合であっても、測長および内部構造の測定を高精度で行う荷電粒子ビーム装置、校正用部材及び荷電粒子ビームの測定方法を提供する。【解決手段】電子ビーム10を偏向させることにより、校正用部材1の校正パターン部表面9を走査する荷電粒子ビーム装置において、校正用部材1は、密度の異なる第1の材料と第2の材料を交互に積層した複数の層の端部が露出する校正パターンを有し、第1の材料と第2の材料の各層は電子ビーム10の照射方向に対して所定の角度で傾斜し、電子ビーム10を照射して校正用部材1の校正パターンを走査して信号波形から層の端部の実測値を校正する校正値を演算し、複数の校正用部材1のそれぞれの校正値と信号波形を保持し、試料の表面を走査した信号波形と校正値記憶部の信号波形とを比較して校正値を取得し、信号波形に基づく値を校正値で校正する。【選択図】図1A

Description

本発明は、走査電子顕微鏡等の荷電粒子ビーム装置で、試料の内部に埋め込まれた構造の測定および形状を測定する荷電粒子ビーム装置および測定を行うための校正用部材およびそれを用いた荷電粒子ビーム測定方法に関する。
近年、半導体素子やハードディスク素子(記憶媒体)は微細化が益々進んでおり、これらの素子や記憶媒体の製造には、より高精度な寸法管理が必要となる。そこで、半導体素子やハードディスク素子を製造する現場では、走査電子顕微鏡を基にした電子ビーム測長装置を用いた寸法管理が行われている。しかし、半導体素子を製造するプロセスの微細化に伴い測定対象の薄膜化や、ハードディスク素子のように表面が平滑化されかつ異なる材料が埋め込まれた試料の測定が必要になりこれらの試料に対応するために、試料からの二次電子や反射電子信号を用いる測定法が用いられている(例えば、特許文献1)。
特開平8−94346号公報
半導体素子やハードディスク素子(記憶媒体)の微細化に対して、電子ビーム測長装置で高精度に寸法校正を行うことについては上記特許文献1に示した特開平8−94346号公報の多層積層の断面を用いた校正試料を用いることが考えられる。
しかし、発明者等が検討した結果、今後の更なる微細化の進展および表面が平滑化された試料の測定を考慮した場合、以下の課題を有する。
半導体素子の微細化に伴い測定対象の薄膜化やハードディスク素子のような表面が平滑化された試料では、表面のパターンの凹凸がほとんど無く、回路などのパターンを構成する材料の物質の差だけが測定上の情報となる。
しかしながら上記特許文献1の試料では、基板内部でパターンの構成材料が表面に対して垂直、換言すれば電子ビームと平行に配置されている場合のみが開示されている。これに対して、試料の内部の形状(パターン)が電子ビームに対して平行以外の角度を備える場合、換言すれば、構成材料が試料の端面に対して垂直以外の傾斜で有する場合がある。この試料に対し電子ビームを走査すると、試料の内部の形状や境界から得られる二次電子や反射電子信号には、入射した電子ビームが試料の表面下に埋め込まれた材料からの二次電子や反射電子信号が含まれるために高精度な測長が出来ない、という問題があった。すなわち、特許文献1では異種の材料による積層構造の断面は端面に対して垂直であることが前提となっているために、試料の内部構造が傾斜していることを考慮できないので十分な校正が出来ない、という問題があった。また、試料の表面下部(内部)の構造を得ることも測定上および素子特性上重要な測定となるが、上記従来の電子ビーム測長装置ではこの機能が無い。
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、寸法管理対象が更に微細化かつ平滑化した場合であっても、電子顕微鏡等の荷電粒子ビーム装置で行う測長および内部構造の測定を高精度で行うことを目的とする。
本発明は、荷電粒子ビームを偏向させることにより、試料または校正用部材の表面を走査する荷電粒子ビーム装置であって、前記校正用部材は、密度の異なる第1の材料と第2の材料とを交互に積層した複数の層の端部が露出する校正パターンを有し、前記第1の材料と前記第2の材料の各層は前記荷電粒子ビームの照射方向に対して所定の角度で傾斜し、前記荷電粒子ビーム装置は、前記荷電粒子ビームを照射して前記校正用部材の前記校正パターンまたは前記試料の表面を走査して、反射電子または二次電子を検出する検出器と、前記検出された反射電子または二次電子を信号波形として記憶する演算処理部と、を有し、前記演算処理部は、前記校正用部材の前記校正パターンを走査して、前記信号波形から前記層の端部の実測値を校正する校正値を演算する校正値演算部と、複数の前記校正用部材のそれぞれの前記校正値と前記信号波形を対応付けて保持する校正値記憶部と、前記試料の表面を走査した信号波形と前記校正値記憶部の信号波形とを比較して前記校正値を取得し、前記信号波形に基づく値を校正値で校正する測定値演算部と、を有する。
本発明によれば、微細かつ平滑化された素子に対して測長および素子構造の測定を高精度で行うことのできる荷電粒子ビーム装置および校正用部材並びにそれを用いた測定方法を提供することができる。
本発明の第1の実施例を示し、校正用部材の校正パターン部を拡大した部分断面図を示す。 本発明の第1の実施例を示し、校正用部材を保持ホルダに取り付けたときの断面図を示す。 本発明の第1の実施例を示し、校正用部材の成膜後の多層膜基板断面図である。 本発明の第1の実施例を示し、多層膜成膜基板から垂直に切り出したチップを研磨して校正用部材を形成する断面図である。 本発明の第1の実施例を示し、校正用部材の部分断面図であり、研磨後の端面にコーティングを施した図である。 本発明の第1の実施例を示し、校正パターンの表面の角度が異なる校正用部材の断面図を示す。 本発明の第1の実施例を示し、測定する試料の断面図である。 本発明の第1の実施例を示し、走査電子顕微鏡の概略を示す斜視図である。 本発明の第1の実施例を示し、走査電子顕微鏡の構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施例を示し、測定処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施例を示し、測定方法を説明するためのグラフであり、校正用部材の校正パターンを電子ビームで走査したときの信号波形を示す。 本発明の第1の実施例を示し、測定方法を説明するためのグラフであり、各校正用部材の校正パターンでタングステン1層分を電子ビームで走査したときの信号波形をそれぞれ示す。 本発明の第1の実施例を示し、本発明の測定方法を用いて測定対象の試料の表面を電子ビームで走査したときの信号波形のグラフである。 本発明の第2の実施例を示し、校正用部材の断面図である。 本発明の第2の実施例を示し、校正方法を説明するためのグラフであり、校正用部材の校正パターンを電子ビームで走査したときの信号波形を示す。 本発明の第3の実施例を示し、走査電子顕微鏡の構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施例を示し、校正用部材の部分断面拡大図を示す。 本発明の第3の実施例を示し、校正用部材を保持ホルダに取り付けたときの断面図を示す。 本発明の第3の実施例を示し、測定処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施例を示し、本発明の測定方法を用いて測定対象の試料の表面を電子ビームで走査したときの信号波形のグラフである。 本発明の第4の実施例を示し、校正用部材の部分断面拡大図を示す。 本発明の第4の実施例を示し、校正用部材のタングステン1層分を傾斜した電子ビームで走査したときの信号波形を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明では異なる材料である重金属(タングステンなど)と軽元素(シリコン)の密度差のある薄膜が少なくとも各々2層以上交互に積層された校正用部材を用いて、走査電子顕微鏡で試料の形状を測定する。
校正用部材の断面は、校正パターンを有する平坦な断面からなり、その断面の表面が成膜方向に対し垂直から一定の角度を有する。校正用部材に入射した電子ビームに対して、校正パターンから発生する反射電子を走査電子顕微鏡で検出することにより既知の傾斜角度を内在した基準反射電子波形が得られる。そして、この波形を基準として微細化かつ平滑化した素子からの電子波形を推定することで精度の高い測定とが可能となる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各実施例では荷電粒子ビーム装置として主に電子ビームを用いる走査電子顕微鏡を例に説明するが、これに限定されるものではない。
図1から図10を用いて、本発明の第1の実施例を説明する。なお、同一の符号は同一の構成要素を示す。また、M−a〜M−c等の「−」を含む符号は、符号Mが構成要素の総称を示し、「−a」〜「−c」が個々の構成要素を特定する符号として用いる。
まず、図1A、図1Bは、本実施例1に係る校正用部材1の概略を示す断面図である。図1Aは校正用部材1の校正パターン2を拡大した部分断面図を示す。図1Bは、校正用部材を走査電子顕微鏡の保持ホルダに取り付けたときの断面図を示す。
校正用部材1は、図2に示す多層膜基板(または多層膜チップ)11から作製する。多層膜基板11はシリコン基板5上に、重金属であるタングステン層6と、軽元素であるシリコン層7とが交互に平行して積層された断面を有しており、その最表面(図中上端面)にはシリコン層8が成膜されている。なお、図2において、各層は水平方向で平行して配置される。
多層膜基板11の成膜後に、基板内の複数箇所で膜厚の測定を行う。この膜厚の測定は、公知ないし周知の手法を採用することができる。測定の結果、例えば、4層のタングステン層6の厚さの平均が50.2nmであり、4層のシリコン層7の厚さ平均が49.6nmで、上記4組のタングステン層6とシリコン層7の層間ピッチ(距離または幅)Pの平均値が99.8nmである例を示す。この層間ピッチPは、校正用部材1に角度θを付与する以前の複数の層で校正される一組の間隔として扱う。
次に、図3A、図3B、図3Cで示すように、多層膜基板11から切り出した部分から校正用部材1を作製する。
図3Aは、多層膜基板11から垂直に切り出した部分を研磨して校正用部材を形成する断面図である。図3Bは、校正用部材1の部分断面図であり、研磨後の表面を水平面とした図である。図3Cは校正用部材の概略を示し、図1A、図1Bに示した校正パターン2を含む校正パターン部表面9の角度θが異なる各校正用部材1−a〜1−cの断面図を示す。なお、角度θは、図1Bで示すように校正パターン部表面9を電子ビーム10の照射方向と直交する方向に配置した場合、図1Aで示すように、電子ビーム10の照射方向に対して各層の部材が所定の角度で傾斜する。なお、この例では、図6でも示すように、電子銃24から直線的に電子ビーム10を照射するものとする。
まず、図2に示した多層膜基板11を図中垂直方向に切断して複数の部材に分割する。次に、分割した多層膜基板11の側面を所定の角度θで研磨して、校正パターン2として用いる傾斜した表面(9A)を形成する。すなわち、図2に示した多層膜基板11の側面(図中右側面、または左側面)を上方に向け、図3Aに示す所定の角度θで研磨して、傾斜面9Aを形成する。
換言すれば、図2に示した多層膜基板11の垂直断面を水平面として、この水平面を一定角度θで斜めに研磨する。本実施例1では、図3Cで示すように、θ=10°の校正用部材1−aと、θ=20°の校正用部材1−bと、θ=30°の校正用部材1−cと、を用いる例を示す。
研磨した傾斜面9Aが校正パターン2を有する校正パターン部表面9であり、校正パターン部表面9を上方に向けて、かつ、水平にした断面図を図3Bに示す。図3Bで示すように、校正用部材1の校正パターン部表面9では、校正パターン2が、タングステン層6の端面と、シリコン層7の端面が水平方向で交互に露出した平面となっている。
次に、図1Bで示すように、校正用部材1は、固定用基板4と接着剤でアルミ製の保持ホルダ3に校正パターン部表面9が上面で、かつ水平になるように搭載されている。校正用部材1は、上述のように密度差の大きなシリコン層7とタングステン層6の二つの材料による積層構造からなる校正パターン2を含んでいる。この校正パターン2の拡大図は図1Aに示したように、タングステン層6とシリコン層7の二つの材料からなる積層構造が、鉛直方向(電子ビーム10の照射方向)に対し一定の角度θで傾斜し、各積層の上端部が校正パターン部表面9の水平面に露出している。
なお、図3Aで示すように、タングステン層6とシリコン層7の層間ピッチPは、所定の角度θで研磨した後の傾斜面9A上では、角度θに応じた層間ピッチP’に拡大する。
次に、校正用部材1−a〜1−c(図3C)と試料21を、走査電子顕微鏡に搭載して測定および構造測定を行った例について説明する。
図4は本発明の測定方法を説明する断面図で、測定用の試料21の断面図である。図5は、走査電子顕微鏡の概略を示す斜視図である。図6は、走査電子顕微鏡の構成の一例を示すブロック図である。図7は、走査電子顕微鏡の測定処理の一例を示すフローチャートである。図8は、測定方法を説明するためのグラフであり、校正用部材の校正パターンを電子ビームで走査したときの信号波形を示す。図9は、測定方法を説明するためのグラフであり、各校正用部材1の校正パターン2でタングステン1層分を電子ビームで走査したときの信号波形をそれぞれ示す。図10は、本発明の測定方法を用いて測定対象の試料21の表面を電子ビーム10で走査したときの信号波形のグラフである。
本実施例では、校正用部材1を、図5に示す保持ホルダ3a〜3cにそれぞれ固定して、走査電子顕微鏡のステージ22に搭載して、走査電子顕微鏡の校正測定を行う。なお、このステージ22上には、図3Cに示した校正用部材1−a〜1−cと、図4、図5、図6に示した測定対象の試料21が搭載される。
図5において、光学顕微鏡18は千倍以下の低倍率で測定位置の検出を行うものである。図5に示す符号19および符号20は、電子ビーム鏡筒23の内部に収容された電子銃24より照射される電子ビーム10により発生する二次電子25を検出する検出器および反射電子26を検出する検出器である。
ここで、図5、図6により、本実施例の測定方法が適用される走査電子顕微鏡の全体的な構成の一例について簡単に説明する。
走査電子顕微鏡は、電子ビーム10を放出する電子銃(電子源)24と、電子ビーム10を試料上で走査するための走査偏向器27、測定対象の試料21上における電子ビームの分解能を調整するためのレンズ28、電子ビームの焦点などを調整するためのレンズ29、1次電子線照射により試料より発生する二次電子25を検出するための検出器19、1次電子線照射により試料より発生する反射電子26を検出するための検出器20、情報処理装置を含むSEM(Scanning Electron Microscope)制御部30等を備えている。
SEM制御部30は、レンズ28、29を制御するレンズ制御部31、33と、1次電子線の走査偏向を走査偏向器27により制御するビーム偏向制御部32と、二次電子検出器19および反射電子検出器20からの出力信号を処理する信号処理部34と、測定対象の試料21または校正用部材1が搭載されるステージ22の移動を制御するステージ制御部35と、低倍率での試料観察位置を特定するための光学顕微鏡18と光学イメージから特定された測定位置を電子ビーム偏向領域内に移動するためのステージ22および電子ビーム偏向位置制御を行う光学画像処理部36になどにより構成される。
SEM制御部30を構成する情報処理装置は、SEM制御部30から入力される各情報ないし制御信号を演算処理するためのCPUによる演算処理部300を含む。演算処理部300は、図示しないCPUとメモリ及びストレージを有する。
演算処理部300は、波形演算部37と、信号波形比較演算部40と、角度および測長値演算部(図中角度・測長値演算部)41と、校正値等の記憶部38と、角度および測長値記憶部(図中角度・測長値記憶部)42とにより構成されている。情報処理装置を含むSEM制御部30には、更に、CPUによる情報処理結果が表示される表示部(波形および画像等の表示部39)や、情報処理に必要な情報を情報処理装置に入力するための情報入力手段(図示省略)等が接続されている。
波形演算部37と、信号波形比較演算部40と、角度および測長値演算部41と、測長値演算部41と、記憶部38と、角度および測長値記憶部42等の各機能部はプログラムとしてメモリにロードされる。なお、測長値は測定した長さや幅や角度などの測定値を含む。
CPUは、各機能部のプログラムに従って処理することによって、所定の機能を提供する機能部として稼働する。例えば、CPUは、信号波形比較演算プログラムに従って処理することで信号波形比較演算部40として機能する。他のプログラムについても同様である。さらに、CPUは、各プログラムが実行する複数の処理のそれぞれの機能を提供する機能部としても稼働する。計算機及び計算機システムは、これらの機能部を含む装置及びシステムである。
演算処理部300の各機能を実現するプログラム、テーブル等の情報は、ストレージサブシステムや不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
次に、走査電子顕微鏡の動作について、図5、図6により簡単に説明する。SEM制御部30は、後述する位置決めの後に、電子銃(電子源)24から放出された電子ビーム10を、レンズ28、29および走査偏向器27により、校正用部材1及び試料21上で走査する。電子ビーム10による走査は、校正用部材1を後述するように走査してから試料21を走査する。あるいは、SEM制御部30は、試料21を電子ビーム10で走査した後、校正用部材1を後述するように走査してもよい。
ステージ22上には、測定対象の試料21が搭載されている。SEM制御部30は、まず低倍率で試料観察位置あるいは同試料上に形成された位置座標基準マーク70(図5参照)を、光学顕微鏡18で観察して光学画像処理部36により測定位置を特定する。SEM制御部30は、光学画像処理部36で撮像した光学イメージによって特定された試料21の測定位置を記憶しておく。
次に、SEM制御部30は、光学イメージから特定された測定位置あるいは位置座標基準マーク70の座標を基に、ステージ制御部35およびビーム偏向制御部32の制御により測定箇所を電子ビーム10で走査可能な電子ビーム偏向領域内に移動させる。
SEM制御部30は、次に、校正用部材1上で電子ビーム10の照射により発生する反射電子26を検出する検出器20からの信号に基づいて、レンズ制御部31、33によるレンズ28、焦点調整レンズ29の制御により分解能と焦点の調整を行う。この調整の後に、反射電子像ないし反射電子信号波形の表示および測定、傾斜角の測定などを行う。
またSEM制御部30は、測定する試料21上で電子ビーム10の照射により発生する二次電子25を検出する二次電子検出器19からの信号に基づいて、二次電子像ないし二次電子信号波形の表示および測定、ビーム径の測定などを行う。
SEM制御部30は、校正および測定のときのステージ22の位置は、ステージ制御部35にて検知、制御される。
ここで、図6では、信号処理部34、演算部37、40、41、制御部31、32、33、35、光学画像処理部36、表示部39、記憶部38、42等は情報処理装置を含むSEM制御部30に含まれた形態であるが、必ずしも情報処理装置を含むSEM制御部30に含まれていなくてもよい。換言すれば、演算処理部300がSEM制御部30から独立していても良い。
次に、図1A、図1B、図5、図6および図7のフローチャートに沿って、SEM制御部30が測定を行う処理の手順を説明する。
まず、SEM制御部30は、校正用部材1を搭載したステージ22の移動により光学顕微鏡18の下に校正用部材1−bを移動し、第1の所定の倍率、例えば五百倍等の低倍率で図1Bに示す校正用部材1−b上の校正パターン2を検出し、校正場所を特定し光学画像処理部36に校正用部材1−bの座標を記憶する(ステップS200)。
次に、ステージ制御部35は、校正用部材1−bの座標を基に校正場所(校正パターン2)を電子ビーム10の直下に移動する。なお、ステージ制御部35は、校正用部材1−a、1−cについても同様の処理を行う。
次に、図1Bの校正パターン2に、図6に示したステージ制御部35またはビーム偏向制御部32の制御により電子ビーム10の偏向中心を移動させる。このように上記の手順でステージ制御部35とビーム偏向制御部32により図1Bに示したタングステン層6とシリコン層7の積層構造部の校正パターン2を電子ビーム10の直下に位置させる(ステップS201)。SEM制御部30は、このとき校正に用いる校正用部材1の校正パターン2の位置座標を記憶部38に記憶しておく。
次に、SEM制御部30は、図1Bに示したように校正パターン部表面9上で電子ビーム10を所定の方向へ走査する。走査方向は、例えば、図1Bの水平方向(左右方向)である。
SEM制御部30は、この電子ビーム10の走査により発生した反射電子26(または二次電子信号)を反射電子検出器20で検出し、波形演算部37(図6)で処理して得られた反射信号波形を表示部39(図6)で表示し、図8に示すような反射電子信号波形43を測定する(ステップS202)。
次に、SEM制御部30は、上記反射電子信号波形43を校正用の参照値として角度θに対応付けて記憶部38に記憶する(ステップS203)。ここで、角度θが異なる校正パターン部表面9を有する校正用部材1−a、1−c(図3C)を、図5に示すステージ22上の異なる位置に配置した保持ホルダ3−a、3−cに予め設置しておく。そして、SEM制御部30は、上記と同様にステップS201からステップS203の処理を行い、校正用部材1−a、1−cの校正パターン部表面9の電子ビーム10の走査で得られた反射電子信号波形46、47を、校正用の参照値として角度θに対応付けて記憶部38(図6)に記憶する。
図5の例では、保持ホルダ3−aにθ=10°の校正用部材1−aを保持させ、保持ホルダ3−bにθ=20°の校正用部材1−bを保持させ、保持ホルダ3−cにθ=30°の校正用部材1−cを保持させた例を示す。
さらに、SEM制御部30は、上記信号波形のタングステン層間ピッチP’(図3B参照)およびタングステン層6の線幅X(図3B参照)の実測値と、タングステン層6の幅の設計値Xbから校正パターン部表面9の角度θに応じた校正用のオフセット幅ΔXを、角度および測長値演算部41により算出し、角度および測長値記憶部42に記憶する(ステップS204)。なお、角度および測長値演算部41は、校正値演算部として機能し、前記角度および測長値記憶部42は校正値記憶部として機能する。また、校正値記憶部は、校正値と信号波形を対にして記憶するようにしてもよい。
また、タングステン層6の線幅Xは、校正パターン2の表面に露出した層の厚さまたは幅の実測値を示す。
なお、オフセット幅ΔXは、タングステン層6の線幅の実測値Xを校正する値(校正値)として後述すように演算される。また、上記では、校正パターン2を有する校正用部材1として、角度θが10度、20度、30度の10度間隔で3つの校正用部材1−a〜1−cを用いる例を示したが、好ましくは、1度間隔の角度θで形成した校正用部材1で、オフセット幅ΔXを算出し、角度および測長値記憶部42に格納しておく。
ここで、SEM制御部30は、算出したオフセット幅ΔXと角度θを対にして角度および測長値記憶部42へ格納する。さらに、SEM制御部30は、記憶部38に格納された反射電子信号波形45〜47と、角度θの対応関係を保持しておく。
SEM制御部30は、図4で示すように、ステージ22を駆動して測定対象の試料21上の測定箇所へ電子ビーム10を移動してから、電子ビーム10を所定の方向に走査して反射電子信号52(または二次電子信号)を測定する(ステップS205)。電子ビーム10の走査は図4に示すように、試料21の表面の水平方向とする。
図4は、測定対象の試料21の断面構造を示す。測定対象の試料21は、台形断面のタングステン部13がシリコン部12に埋め込まれた断面形状をしており図中上面には厚さ2nmのカーボン薄膜14が形成されている。台形断面のタングステン部13は、短辺をカーボン薄膜14側の上面に有し、長辺を試料の下面側に有する。
試料21の内部では、台形断面のタングステン部13の側面が、シリコン部12との境界面となっており、タングステン部13の側方の境界面の傾斜角度(境界面傾斜角度)αは20度から30度の間の所定の角度で作製されている。本実施例では、シリコン部12に埋め込まれたタングステン部13の上面(短辺)側を電子ビーム10で走査し、境界面傾斜角度αと、タングステン部13の上面の幅を線幅15として測定する例を示す。
SEM制御部30は、試料21を走査して得られた信号波形と、校正パターン2の走査から得られた信号波形と比較して、試料21の境界面傾斜角度αを信号波形比較演算部40で演算する(ステップS206)。信号波形比較演算部40で行われる演算については後述する。
次に、SEM制御部30は、得られた境界面傾斜角度αに基づいてオフセット幅ΔXを決定し、測定対象の試料21の線幅15を角度および測長値演算部41で算出し、得られた境界面傾斜角度αと実測値としての線幅15を角度および測長値記憶部42に記憶する(ステップS207)。
上記フローチャートに従ってSEM制御部30が処理を行った例を以下に示す。なお、電子ビーム10の加速電圧は3kVである。
まず、SEM制御部30は、校正パターン部表面9を走査した反射電子信号波形43から校正値を求める。
図3Cに示すような校正パターン部表面9の角度θ=20度(設計値)の校正用部材1−bに対して、SEM制御部30は、上記図7のステップS201からステップS203の処理を行って、図8に示すような4層分のタングステン層6の反射電子信号波形43が得た。
図8において、この4層分のタングステン層6の周期波形と、図中50%スライスレベル44の交点から、タングステン層6の平均層間ピッチP’として106.2nmが得られた。ここで、50%スライスレベル44は、測定された信号波形の強度の最大値を100%とし、最小値を0%としたときの中央値である。この50%スライスレベル44は、演算処理部300で決定することができる。また、層間ピッチP’を測定するためのスライスレベルの信号強度(%)は、校正用部材1を形成する材料や形状などに応じて予め設定した値である。
次に、校正用部材1−a〜1−cの元となった多層膜基板11の成膜後(研磨前)に、基板内の複数箇所で膜厚測定を行って得られた各層の膜厚は、図2に示した通りで、4層のタングステン層6の厚さ平均50.2nm、4層のシリコン層7の厚さ平均49.6nmおよび上記4組のタングステン層6とシリコン層7の層間ピッチPの平均値99.8nmが得られている。
ことから、図3Aで示したように、下記の(1)式を用いて実際の校正用部材1−bの校正パターン部表面9の角度θ=20.0度が得られた。
cos θ = P / P’ ………(1)
同様に1度以内の精度で任意の角度の校正用部材の加工が可能であり、図5に示すステージ22上の異なる位置に用意した保持ホルダ3−a、3−c上の校正用部材1−a、1−cにおいて実測で校正パターン部表面9の角度θ=10.0度および30.0度の校正パターン部表面9の角度θが得られた。
なお、校正パターン部表面9の角度θ=10.0度の校正用部材1−aの場合、SEM制御部30は、4層分のタングステンの反射電子信号波形43と50%スライスレベル44の交点から層間ピッチP’として101.3nmが得られた。成膜後のピッチPの平均値99.8nmと上記(1)式から校正パターン部表面9の角度θ=10.0度を得る。
また、校正パターン部表面9の角度θθ=30.0度の校正用部材1−cの場合、SEM制御部30は、4層分のタングステン層6の反射電子信号波形43と50%スライスレベル44の交点から層間ピッチP’として115.2nmが得られた。成膜後のピッチPの平均値99.8nmと上記(1)式から校正パターン部表面9の角度θ=30.0度を得る。
次に校正パターン部表面9の角度θが10°〜30°の各校正用部材1−a〜1−cを用いて校正用部材1上の校正パターン2のシリコン層7及びタングステン層6の組を1組分だけ電子ビーム10で走査したときの信号波形45、46、47を図9に示す。
図9において、信号波形45は、校正パターン部表面9の角度θ=30.0度の場合の校正用部材を示し、信号波形46は、校正パターン部表面9の角度θ=20.0度の場合の校正用部材を示し、信号波形47は、校正パターン部表面9の角度θ=10.0度の場合の校正用部材を示す。
SEM制御部30は、これらの実測した信号波形45〜47から上記図8と同様に50%スライスレベル48を求め、各信号波形45〜47と50%スライスレベル48の交点間の距離からタングステン層6の実測線幅Xとして、次のような値が得られた。
角度θ=30.0;実測線幅X(49)= 60.0nm
角度θ=20.0;実測線幅X(50)= 54.4nm
角度θ=10.0;実測線幅X(51)= 51.5nm
図2に示した多層膜基板11の成膜後のタングステン層6の測定厚さ平均値Xa=50.2nmから、角度θの異なる各校正用部材1の校正パターン部表面9におけるタングステン層6の線幅の設計値Xbはそれぞれ58.0、53.4、51.0nmとなる。つまり、上記(1)式と同様に、
Xa/Xb = cos θ
であるから、角度θ=30.0では、
Xb=50.2/cos30°=58.0nm
角度θ=20.0では、
Xb=50.2/cos20°=53.4nm
角度θ=10.0では、
Xb=50.2/cos10°=51.0nm
となる。
上記実測した校正パターン部表面9のタングステン層6の実測線幅Xと、上記タングステン層6の線幅の設計値Xbから、校正用部材1のオフセット幅ΔX(スライスレベル50%での実測値と、試料21の表面での線幅15の差を校正するオフィス値)は、
ΔX=X−Xb
で算出する。したがって、異なる角度θでは、それぞれ、
角度θ=30.0では、
ΔX=60.0−58.0=2.0nm
角度θ=20.0では、
ΔX=54.4−53.4=1.0nm
角度θ=10.0では、
ΔX=51.5−51.0=0.0nm
となる。
上記より、信号波形45〜47と50%スライスレベル48の交点間の距離(X)から、角度θに応じたオフセット幅ΔXを差し引いた値が、タングステン層6の校正パターン部表面9上の幅の推定値Xeとなる。
以上のように、SEM制御部30は、異なる角度θを有する複数の校正用部材1−a〜1−cを走査して、オフセット幅ΔXを求めて角度および測長値記憶部42に角度θに対応付けて格納しておく。そして、試料21の走査の後に、角度および測長値演算部41が試料21の境界面傾斜角度αに応じた角度θのオフセット幅ΔXを参照して、試料21の表面側の部材の幅の推定値Xeを算出する。
次に、SEM制御部30で、上記図4に示した試料21を電子ビーム10で走査してタングステン部13の上面の線幅15を測定する例を示す。
対象の試料21の断面構造は、上記図4に示したとおりである。測定対象の試料21はタングステン部13がシリコン部12に埋め込まれた断面形状をしており、最表面には厚さ2nmのカーボン薄膜14で覆われている。断面構造においてタングステン部13の、側方の境界面傾斜角度αは20度から30度の間で作製されているが、その角度は電子ビーム10が照射される表面からは判別できない。
図4に示した試料21の表面に沿って電子ビーム10を図4の水平方向(矢示方向)へ走査したときに、検出器19、20で測定した反射電子信号52を図10に示す。図10は、電子ビーム10の操作位置と反射電子信号52の強度の関係を示すグラフである。図10において、50%スライスレベル54は、上述したように反射電子信号52の波形の信号強度の最大値を100%、最小値を0%としたきの中央値である。そして、実測線幅(X)52は、反射電子信号52の波形と50%スライスレベル54の交点間の距離である。
この反射電子信号52の波形だけでは、図4に示したような試料21の内部の境界面傾斜角度αが分からない。この状態では、試料21の内部に埋め込まれたタングステン部13からの反射電子信号52による線幅Xを校正するためのオフセット幅ΔXがわからないので、測定したい線幅15の測定誤差が大きくなる。
そこで、上記図7のステップS206により、SEM制御部30の信号波形比較演算部40は、角度θが異なる複数の校正用部材1の校正パターン2から得られた信号波形45〜47と、試料21の実測値とである反射電子信号52の波形の比較を行い、反射電子信号52の波形に一致または近似する信号波形45〜47を選択し、試料21の内部の境界面傾斜角度αを推定する。この推定は、例えば、反射電子信号52の波形と一致(または近似)する信号波形45〜47に対応する校正パターン部表面9の角度θを、試料21の内部の境界面傾斜角度αとして設定する。
例えば、タングステン部13の端部(試料21の表面)からの反射電子信号52の波形と、図9に示した校正パターン部表面9の角度θ=20.0度の校正用部材1−bの信号波形46が一致する場合、SEM制御部30の信号波形比較演算部40は、信号波形46に対応する角度θを角度および測長値記憶部42または(記憶部38)から取得して、図4に示した測定対象の試料21の内部の境界面傾斜角度αは20.0度である、と推定する。なお、信号波形45〜47と、試料21の実測値とである反射電子信号52の波形の比較は、公知または周知のパターンマッチングの手法を適用すれば良いので、ここでは詳述しない。あるいは、信号波形45〜47と、試料21の実測値とである反射電子信号52の波形の比較はSEM制御部30のオペレータが選択あるいは入力しても良い。
SEM制御部30は、境界面傾斜角度αに対応する角度θを推定すると、角度および測長値記憶部42から角度θに応じたオフセット幅ΔXを、角度および測長値記憶部42から取得する。この例では、角度θ=20度から、オフセット幅ΔX=1.0nmに設定される。
次に、測定対象の試料21を電子ビーム10で走査した結果、試料21の実測値の線幅15は反射電子信号52と、50%スライスレベル54との交点間の距離であり、図10に示す実測値の線幅55が102nmであった例について説明する。
上記推定した境界面傾斜角度α=角度θ=20.0度に対応するオフセット幅ΔXは1.0nmであり、図4で示したように、境界の傾斜面が左右の両側に存在するので、実測値の線幅55に対するオフセット幅ΔXは、1.0nm×2=2.0nmである。
したがって、求める線幅15(推定値Xe)は、実測値の線幅55 − オフセット幅=102nm−2.0nm=100nmとなる。
前記従来例の走査電子顕微鏡では、測定対象の試料21の内部で異種部材の境界が形成する傾斜面の角度および表面の線幅(推定値Xe)を正確に求められなかったのに対し、本発明の走査電子顕微鏡では高精度な形状の測定と線幅の測定が実現できるのである。本実施例1では、校正用部材1の校正パターン部表面9の角度θとして、10、20、30度などの10度間隔で用意した例を示したが、試料21内で異種部材の境界が形成する傾斜面の角度が予想される範囲で複数用意しておけば測定対象の試料21の内部に含まれる傾斜面の角度が全く不明な場合でも、校正用のパターン2を内挿することで1度程度の精度で測定することが可能となる。
また、加速電圧に応じて電子ビーム10の物質への侵入深さが変化するが、上記測定ではどの加速電圧に対しても高精度な測定が可能である。本実施例1では検出信号として反射電子信号を用いた例を示したが、図5、図6に示す二次電子25を二次電子検出器19で得られた検出信号を用いた場合も、上記と同様の効果が得られる。
以上のように実施例1によれば、校正用部材1の校正パターン部表面9に対して所定の角度θで傾斜した異なる材料で形成された板状(または膜状)の層を、内部で交互に積層して複数組の層を形成し、これらの層が露出する端面を校正パターン2とする。校正パターン2を有する校正用部材1の表面を校正パターン部表面9として、走査電子顕微鏡の校正を行うために電子ビーム10を照射する表面とする。
そして、異なる材料で形成された板状の層の傾斜角度θが異なる校正用部材1−a〜1−cを複数用意しておく。すなわち、図2で示したように、異なる材料の膜を交互に積層した多層膜基板11の側面を、それぞれの角度θで研磨することで校正用部材1−a〜1−cを形成する。ここで、成膜が完了して研磨する以前に、複数組の層間ピッチPを測定し、SEM制御部30に設定する。なお、ひとつの多層膜基板11から複数の校正用部材1−a〜1−cを作製した場合には、ひとつの層間ピッチPを測定してえおけばよい。層間ピッチPの測定は、公知または周知の手法を用いればよい。
SEM制御部30では、異なる角度θごとに測定対処の層(上記ではタングステン層6)の端面の走査方向の幅である線幅Xを測定し、タングステン層6の線幅の設計値Xbと実測値Xから、校正するためのオフセット幅ΔXを校正値として算出する。そして、SEM制御部30は、角度θ毎にオフセット幅ΔXと信号波形を角度および測長値記憶部42に記憶しておく。なお信号波形は、1組の層を走査した信号波形を記憶しておく。
この校正値を求める際には、校正パターン2を電子ビーム10で走査することで得られた異なる材料で校正された複数組の層の信号波形から、複数組の層の間隔の平均値を層間ピッチP’としてSEM制御部30が算出する。そして、上記(1)式より、研磨後の角度θの実際の値が算出される。この値により、校正パターン部表面9の角度θを校正することができる。
そして、試料21の表面であるカーボン薄膜14側を電子ビーム10で走査した信号波形と、角度および測長値記憶部42に記憶された信号波形とを比較し、一致または近似する信号波形を角度および測長値記憶部42から選択する。そして、選択した信号波形に対応するオフセット幅ΔXを用いて、試料21の信号波形から算出する線幅の推定値Xeを校正することができる。
本発明の第2の実施例について図11および図12を用いて校正用部材1を用いた走査電子顕微鏡における電子ビーム10による測定の例を説明する。
図11は、本発明の第2の実施例を示し、校正用部材1’の断面図である。校正用部材1’は、本発明の実施例1で用いた図1に示す校正用部材1において、シリコン基板5、シリコン層7、8を表面から所定の深さhまでエッチングして、タングステン層6の斜面を校正パターン部表面9から所定の角度θで突出させたものである。エッチングには水酸化テトラメチルアンモニウムを用い、校正パターン部表面9から突出したタングステン層6の高さhは約100nmとした。
また、校正用部材1’の校正パターン部表面9に露出したシリコン層7の端面7Aと、校正パターン部表面9から突出したタングステン層6の端面6Aは相互に平行であり、端面6A、7Aと校正パターン部表面9も平行である。
上記のような図11の校正用部材1’を実施例1と同様に図5、図6に示した走査電子顕微鏡のステージ22に搭載し、タングステン層6のパターン間のピッチP’を測定し、図2に示した成膜後の多層膜基板11の既知のタングステン層6間のピッチPから、上記(1)式より、タングステン層6の所定の角度θ、が例えば、10.0度であることを得る。
次に、図11に示すように、シリコン基板5、シリコン層7、8から突出したタングステン層6上で電子ビーム10の走査により発生する反射電子26(図6)を検出器20(図6)で検出する。SEM制御部30は、検出器20から得られた反射電子信号波形に基づいて、信号波形の信号強度とコントラストが最大になるようにレンズ制御部31、33(図6)によるレンズ28(図6)、焦点調整レンズ29(図6)の制御により分解能と焦点調整を行う。
上記調整後に、SEM制御部30は、再度図11に示すタングステン層6上の校正パターン2で電子ビーム10を所定の方向へ走査し、発生した反射電子26(図6)を検出器20(図6)で検出する。
図12は、検出器20から得られた反射電子信号波形56を示す。SEM制御部30は、前記実施例1と同様に、反射電子信号波形56の信号強度の最大値を100%とし、最小値を0%としたときに、80%のスライスレベル57と、20%スライスレベル58を算出する。そして、SEM制御部30は、反射電子信号波形56と80%スライスレベル57の交点と、反射電子信号波形56と20%スライスレベル58の交点の走査位置方向の交点間隔(=ビーム直径)59を算出する。
SEM制御部30は、交点間隔59から電子ビーム10の直径1.0nmが0.1nmの精度で得ることができる。このような高精度な測定には電子ビーム10に対して斜面が露出しない鋭い直線状重金属端面が必要であるが、本発明の校正用部材1’を用いれば斜め研磨の角度制御により任意の角度θの重金属斜面が形成でき、その端部の直線性は多層膜成膜で実現できるので高精度な電子ビーム径の測定が可能である。
また、上記実施例2では試料21の測定に反射電子を検出する例を示したが、二次電子信号の検出で測定することも可能である。また上記実施例2では校正用の多層膜基板11の軽元素材料としてシリコンおよび重金属としてタングステンの例を示したが、軽元素材料としてはカーボン(原子番号;6)、ベリリウム(原子番号;4)やアルミニウム(原子番号;13)などがあり、重金属としてモリブデン(原子番号;42)やタンタル(原子番号;73)などでも同様の効果が得られる。
以上のように、実施例2では校正パターン部表面9から所定の角度θで突出したタングステン層6の端面6Aと、校正パターン部表面9に露出したシリコン層7の端面7Aが平行するように校正用部材1’を形成することで、校正用部材1’へ照射された電子ビーム10の直径(または半径)を測定することが可能となる。
上記実施例1、2においては、試料21に対して垂直な電子ビーム10を用いる場合を示した。本実施例2では、試料21に対して傾斜した電子ビーム100を用いる例を示す。
傾斜した電子ビーム100を用いて試料21を走査した結果を観察すると、試料21の側壁や、側壁と底面の間など、通常の垂直な電子ビーム10からは得ることができない情報を得ることができる。
傾斜した電子ビーム100によって観察を行う場合、特に試料21の寸法測定に用いる場合においては、試料21に対して電子ビーム100が到達する角度(入射角)を校正することが重要となる。そこで、本実施例3においては、前記実施例2で示したような校正用部材1’を用いて傾斜した電子ビーム100の試料21に到達する角度を校正する方法に関して述べる。
図13は、実施例3の走査電子顕微鏡の構成の一例を示すブロック図である。本実施例3においても、使用する走査電子顕微鏡の概略は前記実施例1の図5と同様である。
図13では、図6に示した実施例1の構成に加えて、傾斜した電子ビーム100を制御するための偏向器60と、偏向器60を制御するための傾斜制御部61が追加されたものである。その他の校正及び基本的な使用方法は前記実施例1の図6と同様であり、電子ビーム100が試料21に対して定められた角度で到達するように、傾斜制御部61により偏向器60が制御される。
図14Aは、本実施例3で傾斜した電子ビーム100の校正に用いる校正用部材1’の校正パターン2の部分断面拡大図を示す。図14Bは、本発明の第3の実施例を示し、校正用部材1’を保持ホルダ3に取り付けたときの断面図を示す。
図14A、図14Bにおいて、実施例2に示した図11と同様に、実施例1の図1に示した校正用部材1のシリコン基板5、シリコン層7、8を表面から選択的にエッチングして、図11に示すようにタングステン層6の斜面が校正パターン部表面9から突出させた。この校正用部材1’の作製方法は実施例2で示したとおりである。タングステン層6の斜面が、校正パターン部表面9から突出した高さをhとする。なお、上記実施例2で述べたように高さhは、シリコン基板5、シリコン層7、8をエッチングした深さに相当する。
いま、図14Aで示すように、校正パターン2を構成するタングステン層6の傾斜方向とは反対方向の傾斜角で、垂直(校正パターン部表面9の鉛直方向)に対して入射角φ(>0)だけ傾いて電子ビーム100が入射している。
電子ビーム100を校正用部材1’上で所定の方向へ走査した場合、タングステン層6の斜面部分が電子ビーム100に対して影を作り、校正パターン部表面9の表面のうち、画像として確認できる領域は、図14Aに示す底幅mの部分となる。すなわち、底幅mは、傾斜した電子ビーム100の反射電子から得られる見かけ上のシリコン層7の表面の幅となる。
底幅mと、実際の底幅、すなわちシリコン層の幅Lと、高さhと、校正パターン部表面9の鉛直方向に対した傾斜したタングステン層6の角度θと、電子ビーム100の入射角φには次式の関係が成立する。
L=h(tanθ + tanφ) + m ………(2)
この(2)式のうち、L、h、θはあらかじめ設定された既知の値であり、底幅mは校正用部材1’のSEM画像(反射電子波形など)を取得することから求めることができる。従って、(2)式より、底幅m内に照射可能な電子ビーム100の傾きである入射角φを求めることが可能である。
上記(2)式は、φ<0、すなわち、校正パターン2となるタングステン層6の斜面と同じ方向の傾斜角で試料21に到達する場合においても成立する。たとえば、図14Aにおいて、電子ビーム101のような場合である。本手法が使用できる範囲は、傾斜した電子ビーム100を用いたSEM像から底幅mが検出できる範囲、すなわち、0 ≦ m ≦ Lの範囲となる。
たとえば、ある校正用部材1’においては、シリコン層7の底幅Lが51.3nm、θ=15度として求められており、高さhが100nmであった。このとき、電子ビーム100で測定可能な入射角φは、−15度から13.5度に含まれる角度となる。
次に、図15は、測定処理の一例を示すフローチャートである。図14、図5、図13および図15のフローチャートに沿って、測定を行う処理の手順を説明する。
まず、SEM制御部30は、校正用部材1’を搭載したステージ22の移動により光学顕微鏡18の下に校正用部材1’を移動させる。SEM制御部30は、光学顕微鏡18を、第1の所定の倍率、例えば五百倍等の倍率で、図14Bに示した校正用部材1’上の多層膜パターン部(校正パターン)2を検出し、校正場所を特定し光学画像処理部36に校正パターン2の座標を記憶する(ステップS300)。
次にSEM制御部30は、校正パターン2の座標を基に電子ビーム100の直下に校正パターン2が対向するようにステージ22を制御して、校正用部材1’を移動させる。次に、SEM制御部30は、図13のステージ制御部35またはビーム偏向制御部32の制御により電子ビーム100の偏向中心を図14Bの校正パターン2に移動する。
このように上記の手順でSEM制御部30は、ステージ制御部35とビーム偏向制御部32により図14A、図14Bに示したタングステン層6とシリコン層7の積層構造部(校正パターン2)を電子ビーム100の直下に位置させる(ステップS301)。このとき校正パターン2の位置座標は記憶部38に記憶しておく。
次にSEM制御部30は、図14Aで示したように、校正パターン部表面9上に傾斜して照射した電子ビーム100(あるいは電子ビーム101)で走査する。走査方向は所定の方向で、例えば、図14A、図14Bの水平方向である。これにより発生した反射電子26を反射電子検出器20で検出し、波形演算部37(図13)を通して得られる反射信号波形を表示部39(図13)で表示し、図16に示すような反射電子信号波形62を取得する(ステップS302)。
次に、SEM制御部30は、上記反射電子信号波形62を波形および校正値を保持する記憶部38に記憶する(ステップS303)。
続いて、SEM制御部30は、あらかじめ角度および測長値記憶部42に保存されている成膜後のタングステン層6の層間ピッチP’と、真の底幅Lと、校正パターン部表面9から突出したタングステン層6の角度θを角度および測長値記憶部42から読み出し、ステップS303にて得られた上記反射電子信号波形62より底幅mを後述するように算出する(ステップS304)。
更に、SEM制御部30は、底幅m、真の底幅L、校正パターン部表面9から突出したタングステン層6の角度θに基づいて電子ビーム100の試料21に対する入射角φを角度および測長値演算部41により算出して角度および測長値記憶部42に記憶する(ステップS305)。
上記フローにチャート従って、SEM制御部30で処理した例を以下に示す。電子ビーム100の加速電圧は3kVである。
図14Aに示すように、校正用部材1’の斜め研磨角度θ=15度(設計値)で、エッチング高さh=100nmの校正用部材1’に対して、上記ステップS301からステップS303の処理を行い、図16に示すような4層分のタングステン層の反射電子信号波形62が得られた。
前記実施例1との図2で示したように、多層膜基板11の成膜後に基板面内の複数箇所で膜厚測定を行い、シリコン層7の厚さ平均49.6nm、およびタングステン層6とシリコン層7の層間ピッチPの平均値99.8nmが得られていることから、タングステン層6の層間ピッチP’及び真の底幅Lは、それぞれ103.3nm、51.3nmとして算出される。なお、タングステン層6の層間ピッチP’は前記実施例1と同様に求めれば良い。また、真の底幅Lは、次のように求めることができる。まず、タングステン層6の層間ピッチP’と、成膜後の層間ピッチPからタングステン層6の傾斜角度θの実測値を求める。そして、成膜後のシリコン層7の厚さ平均49.6nmと傾斜角度θの実測値からシリコン層7の実際の厚さを求め、この厚さを層間ピッチP’から差し引いた値が真の底幅Lとなる。
これは、図16に示した信号強度が所定の20%でシリコン層7の底幅mに相当する例を示し、上記(2)式を用いて電子ビーム100の入射角φとして9度が求められる。なお、シリコン層7からの反射電子信号波形62の信号強度は、校正用部材1’毎に事前に測定したものを用いればよく、図16の例では、信号強度の20%以下がシリコン層7からの反射電子信号波形62として測定された例を示している。
以上のように、本実施例3では、電子ビーム100で校正用部材1’を走査した反射電子信号波形62から電子ビーム100の実際の入射角φを算出し、走査電子顕微鏡の電子ビーム10の偏向角度を校正することができる。
上記実施例3においては、校正用部材1’や試料21への電子ビーム100の入射角φを傾斜ビーム形成用の偏向器60、傾斜制御部61により設定し、任意に設定された入射角を測定する手法に関して説明した。本実施例4では、前記実施例3で用いた校正用部材1’の校正パターン部表面9の角度θ(=タングステン層6の傾斜角度θ)と同じ角度で電子ビーム101の入射角φを設定する校正方法に関して説明する。
前記実施例3の図14Aにおいて、底幅mが最大(=真の底幅L)となるときを考えると、それは電子ビーム100がタングステン層6の傾斜角度θに沿って校正用部材1’に入射するときである。この様子を図17に示す。図17は、校正用部材1’の部分断面拡大図を示す。電子ビーム101がタングステン層6の傾斜角度θに沿ってシリコン層7へ入射する場合、図14Aにて定義した入射角φは、タングステン層6の傾斜角度θとは逆の符号となる。
また、電子ビーム101で校正用部材1’を走査した結果、測定される反射電子信号波形を図18に示す。図18は、校正用部材のタングステン1層分を傾斜した電子ビームで走査したときの信号波形を示すグラフである。
図18中には、底幅mが最大の場合の反射電子信号波形63のほかに、一般的な入射角φの場合の反射電子信号波形62を示した。すなわち、底幅mが最大となるとき、φ=−θであり、底幅m=Lとなる。
前記実施例3に示した図15のフローチャートと同様の手順により、校正用部材1’または試料21への電子ビーム101の入射角φを傾斜ビーム形成用の偏向器60、傾斜制御部61により変化させて繰り返し反射電子信号波形62を取得して底幅mを測定し、底幅mが最大となる、反射電子信号波形63が取得される条件(入射角φ)を探索する。これにより、電子ビーム101の入射角φを、校正用部材1’の角度に対応する−θに設定することができる。
<まとめ>
なお、本実施例1〜4で用いた校正用部材1、1’は、図5、図6に示した走査電子顕微鏡に限らず、他の荷電粒子ビーム装置にも応用できることは言うまでも無い。
以上、本実施例によれば、微細かつ平滑化された素子に対して測長および素子構造の測定を高精度で行うことのできる荷電粒子ビーム装置および校正用部材並びにそれを用いた測定方法を提供することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、本発明において説明した計算機等の構成、処理部及び処理手段等は、それらの一部又は全部を、専用のハードウェアによって実現してもよい。
また、本実施例で例示した種々のソフトウェアは、電磁的、電子的及び光学式等の種々の記録媒体(例えば、非一時的な記憶媒体)に格納可能であり、インターネット等の通信網を通じて、コンピュータにダウンロード可能である。
1、1’ 校正用部材
2 校正パターン
3−a〜3−c 保持ホルダ
5 シリコン基板
6 タングステン層
7、8 シリコン層
9 校正パターン部表面
10、100、101 電子ビーム
11 多層膜基板チップ
12 シリコン部
13 タングステン部
14 カーボン薄膜
15 線幅
18 光学顕微鏡
19 二次電子検出器
20 反射電子検出器
21 試料
22 ステージ
23 電子ビーム鏡筒
24 電子銃
25 二次電子
26 反射電子
27 走査偏向器
28 レンズ
29 焦点調整レンズ
30 SEM制御部
31 レンズ制御部
32 ビーム偏向制御部
33 レンズ制御部
34 信号処理部
35 ステージ制御部
36 光学画像処理部
37 波形演算部
38 記憶部
39 表示部
40 信号波形比較演算部
41 角度および測長値演算部
42 角度および測長値記憶部

Claims (15)

  1. 荷電粒子ビームを偏向させることにより、試料または校正用部材の表面を走査する荷電粒子ビーム装置であって、
    前記校正用部材は、
    密度の異なる第1の材料と第2の材料とを交互に積層した複数の層の端部が露出する校正パターンを有し、前記第1の材料と前記第2の材料の各層は前記荷電粒子ビームの照射方向に対して所定の角度で傾斜し、
    前記荷電粒子ビーム装置は、
    前記荷電粒子ビームを照射して前記校正用部材の前記校正パターンまたは前記試料の表面を走査して、反射電子または二次電子を検出する検出器と、
    前記検出された反射電子または二次電子を信号波形として記憶する演算処理部と、
    を有し、
    前記演算処理部は、
    前記校正用部材の前記校正パターンを走査して、前記信号波形から前記層の端部の実測値を校正する校正値を演算する校正値演算部と、
    複数の前記校正用部材のそれぞれの前記校正値と前記信号波形を対応付けて保持する校正値記憶部と、
    前記試料の表面を走査した信号波形と前記校正値記憶部の信号波形とを比較して前記校正値を取得し、前記信号波形に基づく値を校正値で校正する測定値演算部と、
    を有することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  2. 請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置であって、
    前記校正値記憶部は、
    前記第1の材料と前記第2の材料の各層の前記角度が異なる複数の前記校正用部材の前記校正値と前記信号波形を対応付けて保持することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  3. 請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置であって、
    前記試料は、
    異なる材料の境界で形成される傾斜部を内部に有し、
    前記測定値演算部は、
    前記校正値記憶部の信号波形の中から前記試料の表面を走査した信号波形に対応する前記校正値記憶部の信号波形を選択し、当該信号波形に対応する前記校正値を取得し、前記試料の表面を走査した信号波形に基づく値を前記取得した校正値で校正することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  4. 請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置であって、
    前記校正値演算部は、
    前記校正用部材に前記角度を付与する以前の前記複数の層のピッチを第1の層間ピッチとして予め設定し、前記校正用部材の前記校正パターンを走査して、前記信号波形から前記複数の層の層間ピッチを第2の層間ピッチとして算出し、前記第1の層間ピッチと第2の層間ピッチとから前記第1の材料と前記第2の材料の各層の角度を校正することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  5. 請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置であって、
    前記校正用部材は、
    前記第2の材料が前記第1の材料から所定量だけ突出し、前記第2の材料の端面と前記第1の材料の端面が平行して形成されたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  6. 請求項5に記載の荷電粒子ビーム装置であって、
    前記校正値演算部は、
    前記校正用部材の前記校正パターンを走査して、前記信号波形から前記校正用部材に照射された荷電粒子ビームの径を測定することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  7. 請求項5に記載の荷電粒子ビーム装置であって、
    前記荷電粒子ビーム装置は、
    前記校正用部材に入射する荷電粒子ビームの入射角度を制御する傾斜制御部を含み、
    前記校正値演算部は、
    前記校正用部材の前記校正パターンを走査して、前記信号波形から前記校正用部材に入射する実際の入射角度を算出することを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかひとつに記載の荷電粒子ビーム装置であって、
    前記荷電粒子ビームは、電子ビームであることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  9. 密度の異なる第1の材料と第2の材料とを交互に積層した複数の層の端部が露出する校正パターンを有し、
    前記第1の材料と前記第2の材料の各層は、前記校正パターンを含む表面に対して所定の角度で傾斜したことを特徴とする校正用部材。
  10. 請求項9に記載の校正用部材であって、
    荷電粒子ビームを偏向させて前記表面を走査し、反射電子信号により校正を行う荷電粒子ビーム装置に搭載されることを特徴とする校正用部材。
  11. 請求項9に記載の校正用部材であって、
    前記第2の材料が前記第1の材料から所定量だけ突出し、前記第2の材料の端面と前記第1の材料の端面が平行して形成されたことを特徴とする校正用部材。
  12. 請求項9に記載の校正用部材であって、
    前記第1の材料は、シリコンを含み、
    前記第2の材料は、タングステンまたはモリブデンを含むことを特徴とする校正用部材。
  13. 荷電粒子ビーム装置が荷電粒子ビームを偏向させて試料または校正用部材の表面を走査する荷電粒子ビームの測定方法であって、
    前記校正用部材は、
    密度の異なる第1の材料と第2の材料とを交互に積層した複数の層の端部が露出する校正パターンを有し、前記第1の材料と前記第2の材料の各層は前記荷電粒子ビームの照射方向に対して所定の角度で傾斜し、
    前記測定方法は、
    前記荷電粒子ビーム装置が、前記荷電粒子ビームを照射して前記校正用部材の前記校正パターンの表面を走査して、反射電子または二次電子を検出し、前記検出された反射電子または二次電子を信号波形として記憶する第1のステップと、
    前記荷電粒子ビーム装置が、前記信号波形から前記層の端部の実測値を校正する校正値を演算する第2のステップと、
    前記荷電粒子ビーム装置が、複数の前記校正用部材のそれぞれの前記校正値と前記信号波形を保持する第3のステップと、
    前記荷電粒子ビーム装置が、前記荷電粒子ビームを照射して前記試料の表面を走査して、反射電子または二次電子を検出し、前記検出された反射電子または二次電子を信号波形として記憶する第4のステップと、
    前記荷電粒子ビーム装置が、前記試料の表面を走査した信号波形と、前記校正値に対応付けて保持した複数の信号波形とを比較して前記校正値を取得し、前記信号波形に基づく値を前記校正値で校正する第5のステップと、
    を含むことを特徴とする荷電粒子ビームの測定方法。
  14. 請求項13に記載の荷電粒子ビームの測定方法であって、
    前記第3のステップは、
    前記第1の材料と前記第2の材料の各層の前記角度が異なる複数の前記校正用部材の前記校正値と前記信号波形を対応付けて保持することを特徴とする荷電粒子ビームの測定方法。
  15. 請求項13に記載の荷電粒子ビームの測定方法であって、
    前記試料は、
    異なる材料の境界で形成される傾斜部を内部に有し、
    前記第5のステップは、
    前記校正値に対応付けた信号波形の中から前記試料の表面を走査した信号波形に対応する前記信号波形を選択し、当該信号波形に対応する前記校正値を取得し、前記試料の表面を走査した信号波形に基づく値を前記取得した校正値で校正することを特徴とする荷電粒子ビームの測定方法。
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