JP2015164894A - 板ガラス製造のためのフュージョン法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融ジルコニア溶融容器を使用するフュージョン法を用いて生産される板ガラスのジルコニアに基づく欠陥のレベルを低減する溶融ガラスの清澄方法を提供する。
【解決手段】清澄容器115、清澄容器115と攪拌チャンバ120の間の接続管122、及び攪拌チャンバ120を通過するガラスの温度プロファイルを調節して、ガラス内に拡散するジルコニアの量と、攪拌チャンバ120において溶液から生じる二次的ジルコニアに基づく欠陥の量の両方を最小限に抑える工程を有してなるジルコニア溶融ユニットを用いる欠陥の形成を抑制する清澄方法。
【選択図】図1

Description

本開示は、板ガラスの製造のためのフュージョン法に関し、具体的には、溶融ジルコニア溶融容器を採用するフュージョン法に関する。さらに具体的には、本開示は、溶融ジルコニア溶融容器を採用するフュージョン法によって生産される板ガラスにおけるジルコニアに基づく欠陥の形成の抑制に関する。
本明細書に開示される技術は、AMLCDなどの液晶ディスプレイの製造用基板として使用するガラスシートの製造にフュージョン法が採用される場合に、特に有用である。
フュージョン法は、板ガラスを製造するためのガラス製造の分野で用いられる基本的な技術の1つである。例えば、非特許文献1を参照のこと。当技術分野で周知の他の方法、例えばフロート法およびスロット・ドロー法と比較して、フュージョン法は、表面に優れた平面性および滑らかさを有するガラスシートを製造する。結果として、フュージョン法は、液晶ディスプレイ(LCD)の製造に使用するガラス基板の生産において、特に重要となっている。
フュージョン法、特に、オーバーフロー・ダウンドロー・フュージョン法は、本発明の譲受人に譲渡された、Stuart M. Dockertyの特許文献1および2の主題である。これら特許の方法の概略図を図1に示す。図示されるように、溶融ガラスは、「アイソパイプ」として知られる耐火性の本体に形成されるトラフに供給される。
ひとたび定常状態運転に達すると、溶融ガラスは、トラフの上面から両側を伝って溢れ出て、下方に流れ、その後、アイソパイプの外表面に沿って内向きに流れる、2枚のガラスシートを形成する。2枚のシートは、アイソパイプの底面またはルートで接触し、そこで融合して単一のシートになる。次いで、単一のシートは、ドロー装置(図1にガラスプリングロールとして示す)に供給され、この装置は、ルートからシートをドローする速度によってシートの厚さを調節する。単一のシートが装置と接触する前に、冷却し、硬化するように、ドロー装置はルートから十分下流に配置される。
最終的なガラスシートの外表面は、工程のいずれの間もアイソパイプの外表面のいずれの部分とも接触しない。それどころか、これらの表面は、周囲雰囲気にのみ触れるに過ぎない。最終的なシートを形成する2枚の半シートの内表面はアイソパイプと接触するが、これらの内表面はアイソパイプのルートで融合して最終的なガラス本体に埋もれてしまう。このようにして、最終的なシートの外表面の優れた特性が達成される。
成形装置の上流には、典型的には、ガラス溶融容器、ガラス清澄容器、清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管、攪拌チャンバ、攪拌チャンバとボウルの間の接続管、および供給容器が備わっている。
米国特許第3,338,696号明細書 米国特許第3,682,609号明細書
Varshneya, Arun K., "Flat Glass," Fundamentals of Inorganic Glasses, Academic Press, Inc., Boston, 1994, Chapter 20, Section 4.2., 534-540
本開示は、溶融ジルコニア溶融容器を採用するフュージョン法を用いて生産される板ガラスのジルコニアに基づく欠陥のレベルを低減する方法を提供する。本方法は、生じるジルコン欠陥のタイプを究明し、また、必要に応じて、攪拌装置の上流にある装置(清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管、攪拌チャンバ、および溶融容器)の温度を上昇させることを含む。
平らなガラスシートを製造するための代表的なオーバーフロー・ダウンドロー・フュージョン法を例証する概略図。 図1のガラス製造システムに使用することができる典型的な成形装置の斜視図。 さまざまな異なる温度で溶融したガラスにおける二次的ジルコン欠陥の光学顕微鏡写真。 さまざまな異なる温度で溶融したガラスにおける二次的ジルコン欠陥の光学顕微鏡写真。 さまざまな異なる温度で溶融したガラスにおける二次的ジルコン欠陥の光学顕微鏡写真。 さまざまな異なる温度で溶融したガラスにおける二次的ジルコン欠陥の光学顕微鏡写真。 さまざまな異なる温度で溶融したガラスにおける二次的ジルコン欠陥の光学顕微鏡写真。 さまざまな異なる温度で溶融したガラスにおける二次的ジルコン欠陥の光学顕微鏡写真。 本開示に従って温度上昇させた後の二次的ジルコン欠陥の低減を示すグラフ。 一連のジルコニア濃度に対する、典型的なガラス濃度についてのジルコン失透温度を示すグラフ。
図1を参照すると、ガラス基板105を製造するためのフュージョン法を使用することができる典型的なガラス製造システム100が図示されている。図1に示すように、ガラス製造システム100は、溶融容器110、清澄容器115、混合容器120(例えば攪拌チャンバ120)、供給容器125(例えばボウル125)、成形装置135(例えばアイソパイプ135)、およびプリングロール組立体140(例えばドロー装置140)を備えている。溶融容器110は、ガラスバッチ材料を矢印112に示すように導入し、溶融し、溶融ガラス126を形成するところである。溶融容器の温度(Tm)は、特定のガラス組成に基づいて変化するが、1500℃〜1650℃の範囲でありうる。LCDに使用するためのディスプレイガラスでは、溶融温度は1500℃、1550℃を超え、一部のガラスでは1650℃を超えることもある。冷却用の耐火管113は、随意的に存在して差し支えなく、溶融容器を清澄容器115と接続する。この冷却用の耐火管113は、溶融容器110の温度よりも0℃〜15℃低い温度(Tc)を有しうる。清澄容器115(例えば清澄管115)は、溶融容器110から溶融ガラス126(図示せず)を受け入れる高温処理領域を有し、ここで、溶融ガラス126から泡が取り除かれる。清澄容器の温度(Tf)は、一般に、粘度を低下させ、かつ、溶融ガラスからの気体の除去を促進するため、溶融容器の温度(Tm)と同等であるかそれより高い。一部の実施の形態では清澄容器の温度は1600℃〜1720℃であり、一部の実施の形態では、溶融容器の温度を20℃〜70℃またはそれ以上、上回る。清澄容器115は、清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管122によって混合容器120(例えば攪拌チャンバ120)に接続される。この接続管122の内部では、ガラス温度は、清澄容器温度(Tf)から攪拌チャンバ温度(Ts)へと継続的かつ着実に低下し、典型的には、150℃〜300℃の温度低下を示す。混合容器120は、攪拌チャンバとボウルの間の接続管127によって供給容器125に接続される。混合容器120は、ガラス溶融物を均質化し、コード欠陥を生じうる、ガラス内部の濃度差を除去する働きをする。供給容器125は、下降管130を通じて溶融ガラス126を流入口132へと供給し、さらに成形装置135(例えばアイソパイプ135)へと供給する。成形装置135は、溶融ガラスを受け入れる流入口136を備え、溶融ガラスはトラフ137内に流入し、そこを溢れ出て、トラフの両側138’および138”を伝って流れ落ち、その後、ルート139として知られる箇所で融合する(図2参照)。ルート139は、両側138’および138”が一体となり、溶融ガラス216の2枚の溢れ出た壁が再結合(例えば再融合)するところであり、その後、溶融ガラスはプリングロール組立体140の2つのロールの間で下方にドローされて、ガラス基板105が形成される。
フュージョン法によるガラス基板の製造に用いられる溶融容器は、極めて高い温度および実質的な機械的負荷に晒される。これらの要件に耐えられるようにするため、溶融容器を作る耐火性のブロックは、典型的には、キャスト溶融ジルコニアでできている。溶融ジルコニアのブロックは摩耗に対して非常に抵抗性であり、一般に、最終的なガラス基板製品中の内包物を低い割合に抑える。特に、ブロックは、ZrO2粉末を黒鉛坩堝または鋳型内に入れ、次いでアーク炉に入れることによって作られる。アーク炉は、ジルコニア材料を溶融し、鋳造形状へと融合するために、電位を利用して、2000℃を超える温度を生じる。
LCD基板として使用するための板ガラスの製造における損失の主な原因は、ガラスが製造工程で使用するジルコンのアイソパイプを通過する結果、ガラス内にジルコンの結晶が存在すること(ここでは、「二次的ジルコン結晶」または「二次的ジルコン欠陥」と称される)である。
本願と同一出願人による米国特許出願公開第2003/0121287号明細書には、この二次的ジルコン結晶欠陥の形成に対処するための幾つかの手段、すなわち、下記:
(a)トラフおよびアイソパイプの上部において、溶液内に入るジルコニアを少なくする、および/または、
(b)溶液を出てシリカと結合し、アイソパイプの底部で二次的ジルコン結晶を形成するジルコニアを少なくする(この溶液から出ることを、失透および/またはジルコン結晶の沈殿に関与するとみなして差し支えない)、
を生じる条件下で、フュージョン法を動作させる手段が詳細に記載されている。
これら条件に取り組む動作パラメータとして、
(a)アイソパイプの最上部(トラフおよび堰の領域)における動作温度(特にガラス温度)を低下させること、または
(b)アイソパイプの底部(ルート領域)における動作温度(特にガラス温度)を上昇させること、または
(c)アイソパイプの最上部における動作温度を低下させ、かつ、アイソパイプの底部における動作温度を上昇させること、
が挙げられる。
本開示によれば、成形装置(例えばアイソパイプ)のかなり上流のメカニズムに起因して、別のタイプの二次的ジルコンの結晶化が生じることが判明した。これらの欠陥は、溶融容器110の溶融ジルコニアの耐火壁の摩耗の結果としてジルコニアが混じり、溶融ガラスに溶解することに関連すると考えられる。これらの欠陥は、清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管122の領域内にそれらが二次的ジルコンとして、しかも、二次的ジルコニアとしては極めて高濃度で存在すると考えられる。清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管に関連する欠陥は、ジルコニア(すなわち、ZrO2および/またはZr+4+2O2-)が、溶融容器自体の温度および粘度において、溶融ガラスに溶解する結果、最終的に生じる。溶融ユニットのジルコニア耐火ブロックが溶融ガラスに曝露される結果、ゆっくりとではあるが、かなりの量の継続的浸食がブロックに生じる。溶融容器において、ジルコニアは溶融容器の壁からゆっくりと浸食される際に「ジルコニア・スラッジ」または「ジルコニア・ストーン」と呼ばれる比較的高濃度のジルコニアのポケットを作り出す。時折、これらのジルコニア・ストーンまたはジルコニア・スラッジは、溶融容器から清澄容器へ、および、溶融容器または清澄容器よりも温度が低いと考えられる清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管へと、その工程において下流へと移動する。また、ガラスが清澄容器から攪拌チャンバへと移動する際に、冷却が生じることから、ガラスの粘度は増大する。
溶融ガラス中のジルコニアの溶解度および拡散率は、ガラスの温度および粘度の関数である(すなわち、ガラスの温度が低下し粘度が増大すると、溶液中に保持されるジルコニアは減少し、その拡散率は低下する)。ガラスが攪拌容器に近づき、温度が低下すると、ジルコニア・スラッジの領域はジルコニアで過飽和になる。その結果、ジルコン結晶ZrSiO4(すなわち、二次的ジルコン結晶)の核が生成し、典型的には白金または白金合金で作られた清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管の内部で成長する。たいていの場合、核生成は、流れが幾分弱まり、ジルコニアの相対的重量がより高い濃度を生じやすい、ガラスと白金の接触面で生じる。恐らくは、白金自体が、多くの欠陥のための核生成剤として作用すると思われる。特に高濃度のジルコニアでは、結晶ジルコニアZrO2(すなわち、二次的ジルコニア結晶)も観察することができる。二次的ジルコン欠陥と二次的ジルコニア欠陥は、集合的に、二次的ジルコニア系欠陥と称されうる。
最終的には、これらの結晶は、攪拌チャンバ内へと流れ、ガラス溶融物全体に混合されて、ガラスシートにおける欠陥として存在することとなる。典型的には、ジルコニアが豊富なスラッジの増加は、溶融容器の壁が相当量浸食されないかぎり、問題にはならない。これには、例えば3カ月以上の連続運転など、長期間を要しうる。
本開示は、溶融ジルコニアの耐火性溶融容器に重点を置いてきたが、高ジルコニア含量の耐火材料でできた溶融容器の場合には、いずれも同じ問題が存在する可能性がある。耐火物中に含まれるジルコニアのレベルが高いほど、耐火物の摩耗によって二次的ジルコニア系欠陥の問題が生じる可能性が大きい。二次的ジルコニア系欠陥は、溶融容器の十分に加熱されない領域に存在しうることも、理論化された。溶融容器のある特定の領域において温度が冷却されると(例えばジルコンの失透温度未満)、溶融容器自体が二次的ジルコニア系欠陥の形成のための位置となる可能性が高くなる。しかしながら、溶融容器内で生じる多くの二次的ジルコニア系欠陥は、清澄容器の比較的高い温度で溶解するであろう。
1つの実施の形態では、本開示は、溶融容器を作るジルコニア耐火物の劣化によって生じる、二次的ジルコニア系結晶の形成メカニズムについて説明する。このような事例では、攪拌チャンバの上流のガラス供給システムのある特定の構成要素の温度を上昇させることによって、清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管における二次的ジルコニア系欠陥の問題を低減することができる。1つの実施の形態では、清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管の温度を上昇させる。別の実施の形態では、攪拌チャンバの上流の溶融、清澄、および供給システムの部分の温度を上昇させる。さらに別の実施の形態では、清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管の温度は、ジルコンの失透温度を上回る温度まで上昇させる。ジルコンの失透温度は、特定のガラス組成に応じて変化するが、LCD基板として用いられる典型的なガラスでは、ジルコンの失透温度は、ガラスに溶解するジルコニアの濃度に応じて、だいたい1150℃〜1550℃である。別の実施の形態では、攪拌チャンバの上流の溶融、清澄、および供給システムの部分の温度は、ジルコニアの失透温度を上回る温度で継続的に維持される。
面白いことに、本発明者らは、ある特定の種類の結晶が形成されやすい温度に起因して、特定の二次的ジルコニア系欠陥の発生源を突き止めることができることに気付いた。例えば、1400℃未満の温度では、ジルコン結晶欠陥は一般に、樹枝状の形状および形態をしている。1400℃以上では、結晶パターンは角柱になりやすい。図3は、実験的な白金坩堝内の勾配ボートで溶融したEagleAG(商標)ガラス(Corning Incorporated(登録商標)社から販売されている。米国特許出願公開第2006/0293162号明細書参照)のさまざまなサンプルの光学顕微鏡写真を示している。代表的なガラスは、実験開始時には溶解したジルコニアは全く含まれていなかったが、10体積%の破砕した固形のジルコニア耐火物が混じっていた。ガラスと耐火物の混合物を、約1100℃〜1600℃の温度勾配で、白金ボートに入れた。実験の間、耐火物に由来するジルコニアは溶融物に溶解し、シリカと結合し、ジルコンの形態で結晶化した。図3A〜図3Fの光学顕微鏡写真に見られるように、得られたガラス中に形成された結晶のタイプによって、それらの起源が区別される。顕微鏡写真は、1200℃〜1450℃から50℃の増加における結晶形成を表している。温度が典型的には1350℃未満のアイソパイプまたはその周辺で形成される結晶は、温度が典型的には1400℃よりも十分に高い上流の工程(例えば、溶融容器、清澄容器、または清澄容器から攪拌容器への接続管)で生じた結晶と容易に区別することができる。これらの識別可能な結晶の特徴は、ガラスのジルコニア濃度にかかわらず、再現されることが判明した。図5は、ガラス中のジルコニア濃度の変化に伴う「EagleXG」ガラスにおけるジルコンの失透温度を示している。図示するように、白金接触面におけるガラスの失透温度は、ガラス内部または空気界面における温度よりも低い。ほとんどのLCDガラスの製造は、清澄容器及び清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管には白金系耐火物を利用していることから、それらのシステムは、少なくとも、白金接触面について示唆されるジルコン失透温度より高い温度を維持しなければならない。ジルコンの結晶が形成される最高温度は、ガラス中の溶解ジルコニア濃度の増大に伴って上昇し、所定の温度における結晶の大きさは、ガラス中に溶解するジルコニアの量と共に増大する。しかしながら、ジルコン結晶の形態は、ガラス中の溶解ジルコニアの量によっては影響を受けず、結晶化の際に存在する熱的条件のみに影響を受ける。ガラス中の溶解ジルコニアの量が7重量%以上に達すると、ジルコニアもまた結晶化し始める。8重量%を超えると、ジルコニアの結晶のみが形成され、ジルコンの結晶は生じない。フュージョン製法の様々な構成要素の温度は変化しうることから、この観察は、所定の欠陥が、工程内のどこに由来すると考えられるかを正確に突き止めるのに極めて有用である。特定後は、影響を受ける領域の温度を、欠陥を排除するのに十分なだけ変化させて差し支えない。1つの実施の形態では、角柱の結晶欠陥が検出された場合、攪拌チャンバの上流の製造システムのすべての構成要素の温度を、ガラスのジルコン失透温度を上回る温度に調整する。
攪拌チャンバ120より前の工程における任意の箇所の温度を上昇させることは、ジルコニアの溶解性を増大させるという有益な効果を有し、また、ガラス溶融容器から流れに入った可能性があるジルコニア・スラッジまたはジルコニア・ストーンを効果的に溶解させることができる低粘度ガラスも生じる。実際には、最終的なガラスにおける二次的ジルコニア系欠陥のレベルが市販可能なレベル、例えば、最終的なガラス1ポンド(453.592g)当たり0.1未満の欠陥レベルになるまで、温度を調整するという実証的アプローチが用いられる。別の実施の形態では、温度は、1ポンド(453.592g)当たり0.01未満の欠陥レベルになるまでガラスの欠陥レベルが低下するように調整される。さらに別の実施の形態では、ガラスの欠陥レベルは、1ポンド(453.592g)当たり0.0067未満に低減される。さらに別の実施の形態では、ガラスの欠陥レベルは、1ポンド(453.592g)当たり0.001未満に低減される。一般論として、また、一部の実施の形態において、清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管、および攪拌チャンバより上流の組立体の他の部分の温度は、ガラスのジルコン失透温度またはそれ以上のレベルまで上昇させるべきである。
本開示は、溶融ガラス製造工程において生じる二次的ジルコニア系欠陥を対象としてきたが、ジルコニア系溶融容器をプロセス用設備の一部として用いる他のガラス製造法/工程にも同様に適用して差し支えない。
本発明の特定の実施の形態
図4は、得られた基板ガラスにおける、1ポンド(453.592g)当たり約0.0067から1ポンド(453.592g)当たり約0.0005への二次的ジルコン欠陥のレベルの低減、すなわち、欠陥数の92%の低減を達成するように設計された動作温度における代表的な変化を示すグラフである。この例では、アルカリ、ヒ素、バリウム、およびアンチモンを含まない、代表的な市販のガラス組成物(「Corning Incorporated」社から市販される「EagleAG」ガラス。米国特許出願公開第2006/0293162号明細書参照)をバッチ化し、実験的な商業用の溶融システムで形成した。清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管の最低温度を、約1430℃から約1490度まで上昇させた。図4のグラフに見られるように、温度上昇の効果を生じるための時間の経過後、二次的ジルコン内包物の劇的な低下が記録された。
上述の実験的活動は特定のガラス組成物について行われたが、他のガラスのための適切な動作温度(ガラス温度)は、本開示から容易に決定することができる。用いられる特定の温度は、ガラス組成、ガラスの流速、および熱の印加を強化する正確な位置などの変数に応じて決まるであろう。したがって、実際には、最終的なガラスにおける二次的ジルコン欠陥のレベルが市販可能なレベル、例えば、最終的なガラス1ポンド(453.592g)当たり0.0067未満の欠陥レベルになるまで、温度を調整するという実証的アプローチが用いられる。ジルコニア溶融容器に関する欠陥を完全に排除するため、攪拌チャンバの上流のすべての領域の温度は、ジルコンの失透温度(例えば「EagleAG」ガラスにおける6重量%のジルコニアではおよそ1580℃)よりも高く上昇させることが必要とされるであろう。

Claims (3)

  1. 溶融ガラスが、所定の温度でジルコニア溶融容器から清澄容器へと供給され、所定の温度で清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管へ、さらには攪拌チャンバから成形装置へと供給される、フュージョン法によるガラスシートを製造する方法において、
    有意な量のジルコニアが溶液から出ず、前記溶融ガラスが前記攪拌チャンバに入る前に二次的ジルコニア系欠陥を形成しないように、白金系耐火物で作られた前記清澄容器と攪拌チャンバの間の接続管の温度を調整することにより、前記ガラスシートにおける二次的ジルコニア系欠陥の形成を調節し、前記ガラスシートにおける前記欠陥のレベルが、3ヶ月の期間にわたる前記方法の連続運転の後で、1ポンド(453.592g)当たり0.1未満になるようにすること、を特徴とする方法。
  2. Tfが前記清澄容器の温度であり、Tmが前記溶融容器の温度であり、Tcが前記溶融容器と前記清澄容器の間の接続管の温度であり、
    Tf>Tm>Tcであり、
    Tf、Tm、Tcのすべてが、前記ガラスにおけるジルコンの失透温度を上回ることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 最終的なガラスシートにおける前記2次的ジルコニアに基づく欠陥レベルが、1ポンド(453.592g)当たり0.0067以下であることを特徴とする請求項1記載の方法。
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