JP2015163740A - キャリア付銅箔、プリント配線板、プリント回路板、銅張積層板、及び、プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】極薄銅層表面の回路形成性が良好なキャリア付銅箔の提供。【解決手段】キャリア、中間層、極薄銅層、粗化処理層をこの順に有する。極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が85%以上であり、極薄銅層はキャリアから引き剥がしにより剥離可能であるキャリア付銅箔。【選択図】図1

Description

本発明は、キャリア付銅箔、プリント配線板、プリント回路板、銅張積層板、及び、プリント配線板の製造方法に関し、特に、ファインパターン用のプリント配線基板の製造時に用いるキャリア付銅箔、プリント配線板、プリント回路板、銅張積層板、及び、プリント配線板の製造方法に関する。
プリント配線板はここ半世紀に亘って大きな進展を遂げ、今日ではほぼすべての電子機器に使用されるまでに至っている。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められており、特にプリント配線板上にICチップを載せる場合、L(ライン)/S(スペース)=20μm/20μm以下のファインピッチ化が求められている。
プリント配線板はまず、銅箔とガラスエポキシ基板、BT樹脂、ポリイミドフィルムなどを主とする絶縁基板を貼り合わせた銅張積層体として製造される。貼り合わせは、絶縁基板と銅箔を重ね合わせて加熱加圧させて形成する方法(ラミネート法)、または、絶縁基板材料の前駆体であるワニスを銅箔の被覆層を有する面に塗布し、加熱・硬化する方法(キャスティング法)が用いられる。
ファインピッチ化に伴って銅張積層体に使用される銅箔の厚みも9μm、さらには5μm以下になるなど、箔厚が薄くなりつつある。ところが、箔厚が9μm以下になると前述のラミネート法やキャスティング法で銅張積層体を形成するときのハンドリング性が極めて悪化する。そこで、厚みのある金属箔をキャリアとして利用し、これに剥離層を介して極薄銅層を形成したキャリア付銅箔が登場している。キャリア付銅箔の一般的な使用方法としては、特許文献1等に開示されているように、極薄銅層の表面を絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後に、キャリアを、剥離層を介して剥離する。
キャリア付銅箔を用いたプリント配線板の作製において、キャリア付銅箔の典型的な使用方法は、まず、キャリア付銅箔を絶縁基板へ積層した後に極薄銅層からキャリアを剥離する。次に、キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上に光硬化性樹脂で形成されためっきレジストを設ける。次に、めっきレジストの所定領域に対して露光することで当該領域を硬化させる。続いて、非露光領域の硬化されていないめっきレジストを除去した後、当該レジスト除去領域に電解めっき層を設ける。次に、硬化しためっきレジストを除去することで、回路が形成された絶縁基板が得られ、これを用いてプリント配線板を作製する。
特開2006−022406号公報
このようなプリント配線板の製造方法において、絶縁基板上に形成される回路は、露光により硬化させためっきレジストの形状に対応する。そのため、硬化させためっきレジストの形状が不良であると、回路の形状も不良となり、ファインピッチ回路の形成が困難となる。また、キャリア付銅箔の極薄銅層の表面に回路めっきを形成し、当該形成した回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)極薄銅層上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、樹脂層の所定位置に穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成して積層体の複数の層間で回路や配線を導通させる、いわゆる埋め込み法を用いたプリント配線板の作製においては、各層間での回路の位置に求められる精度が非常に高く、所望の形状や位置に正確に回路を形成することが必要である。
しかしながら、極薄銅層表面にめっきレジストを設け、めっきレジストの所定領域に対して露光すると、通常めっきレジストは光透過性であるため、光がめっきレジストを透過して極薄銅層表面で反射する。このときの反射光には、通常、極薄銅層表面に垂直な方向に反射する正反射光と、垂直に反射せずに広がって反射する拡散反射光とがある。このうち、拡散反射光はめっきレジストの硬化させたい領域以外の領域にも進入してしまい、硬化させたい領域以外にあるめっきレジストも硬化してしまう。このため、従来、めっきレジストの硬化させたい領域を精度良く加工することが困難であり、対応する回路形状を精度良く形成することが困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、極薄銅層表面の回路形成性が良好なキャリア付銅箔を提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、本発明者は鋭意研究を重ねたところ、キャリア付銅箔の極薄銅層表面の光吸収性を制御することが、極薄銅層表面の回路形成性の向上に極めて効果的であることを見出した。
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に有するキャリア付銅箔であって、前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が85%以上であり、前記極薄銅層は前記キャリアから引き剥がしにより剥離可能であるキャリア付銅箔である。
本発明のキャリア付銅箔は一実施形態において、前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が87%以上である。
本発明のキャリア付銅箔は別の一実施形態において、前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が90%以上である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が91%以上である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が92%以上である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が93%以上である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が95%以上である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層の表面を、JIS B0601−1994に準拠してレーザー顕微鏡で測定したとき、前記表面の粗さRzの平均値が1.7μm以下である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記キャリアが電解銅箔または圧延銅箔で形成されている。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層及び前記キャリアの少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に粗化処理層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層が、銅、ニッケル、コバルト、リン、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層の表面に、樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層及び前記キャリアの少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層の上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記樹脂層が接着用樹脂である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記樹脂層が半硬化状態の樹脂である。
本発明は別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント配線板である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント回路板である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を用いて製造した銅張積層板である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔と感光性絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路を形成する工程(スクリーン印刷によりエッチングレジストを塗布して回路を形成する工程およびスクリーン印刷により導電性ペーストを塗布して回路を形成する工程を除く)、前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアを剥離させる工程、及び、前記キャリアを剥離させた後に、前記極薄銅層を除去することで、前記極薄銅層側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
また、本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路をめっきにより形成する工程、前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアを剥離させる工程、及び、前記キャリアを剥離させた後に、前記極薄銅層を除去することで、前記極薄銅層側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明のプリント配線板の製造方法は一実施形態において、前記樹脂層上に回路を形成する工程が、前記樹脂層上に別のキャリア付銅箔を極薄銅層側から貼り合わせ、前記樹脂層に貼り合わせたキャリア付銅箔を用いて前記回路を形成する工程である。
本発明のプリント配線板の製造方法は別の一実施形態において、前記樹脂層上に貼り合わせる別のキャリア付銅箔が、本発明のキャリア付銅箔である。
本発明のプリント配線板の製造方法は更に別の一実施形態において、前記樹脂層上に回路を形成する工程が、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法の何れかの方法によって行われる。
本発明のプリント配線板の製造方法は更に別の一実施形態において、キャリアを剥離する前に、キャリア付銅箔のキャリア側表面に基板を形成する工程を更に含む。
本発明によれば、極薄銅層表面の回路形成性が良好なキャリア付銅箔を提供することができる。
A〜Cは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、回路めっき・レジスト除去までの工程における配線板断面の模式図である。 D〜Fは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、樹脂及び2層目キャリア付銅箔積層からレーザー穴あけまでの工程における配線板断面の模式図である。 G〜Iは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、ビアフィル形成から1層目のキャリア剥離までの工程における配線板断面の模式図である。 J〜Kは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、フラッシュエッチングからバンプ・銅ピラー形成までの工程における配線板断面の模式図である。 実施例に係るサンプルシートの測定箇所を示す模式図である。
<キャリア付銅箔>
本発明のキャリア付銅箔は、キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に有する。キャリア付銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板、プリント回路板、又は、銅張積層板等を製造することができる。
<キャリア>
本発明に用いることのできるキャリアは典型的には金属箔または樹脂フィルムであり、例えば銅箔、銅合金箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔、鉄箔、鉄合金箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、絶縁樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、LCDフィルムの形態で提供される。
本発明に用いることのできるキャリアは典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)や無酸素銅(JIS H3100 合金番号C1020またはJIS H3510 合金番号C1011)といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできるキャリアの厚さについても特に制限はないが、キャリアとしての役目を果たす上で適した厚さに適宜調節すればよく、例えば12μm以上とすることができる。但し、厚すぎると生産コストが高くなるので一般には35μm以下とするのが好ましい。従って、キャリアの厚みは典型的には12〜300μmであり、より典型的には12〜150μmであり、より典型的には12〜70μmであり、より典型的には18〜35μmである。
<中間層>
キャリアの片面又は両面上には中間層を設ける。銅箔キャリアと中間層との間に他の層を設けてもよい。本発明で用いる中間層は、キャリア付銅箔が絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離し難い一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離可能となるような構成であれば特に限定されない。例えば、本発明のキャリア付銅箔の中間層はCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Zn、これらの合金、これらの水和物、これらの酸化物、有機物からなる群から選択される一種又は二種以上を含んでも良い。また、中間層は複数の層であっても良い。
また、例えば、中間層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素からなる合金層を形成し、その上にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素の水和物または酸化物または有機物からなる層を形成することで構成することができる。
また、例えば中間層は、キャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znの元素群の内何れか一種の元素からなる単一金属層、あるいはCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znの元素群から選択された一種以上の元素からなる合金層、その次にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znの元素群の内何れか一種の元素からなる単一金属層、あるいはCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znの元素群から選択された一種以上の元素からなる合金層で構成することができる。また、他の層には中間層として用いることができる層構成を用いてもよい。
中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。なお、中間層をクロメート処理や亜鉛クロメート処理やめっき処理で設けた場合には、クロムや亜鉛など、付着した金属の一部は水和物や酸化物となっている場合があると考えられる。
また、例えば、中間層は、キャリア上に、ニッケル、ニッケル−リン合金又はニッケル−コバルト合金と、クロムとがこの順で積層されて構成することができる。ニッケルと銅との接着力はクロムと銅の接着力よりも高いので、極薄銅層を剥離する際に、極薄銅層とクロムとの界面で剥離するようになる。また、中間層のニッケルにはキャリアから銅成分が極薄銅層へと拡散していくのを防ぐバリア効果が期待される。中間層におけるニッケルの付着量は好ましくは100μg/dm2以上40000μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上4000μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上2500μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上1000μg/dm2未満であり、中間層におけるクロムの付着量は5μg/dm2以上100μg/dm2以下であることが好ましい。中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。
<ストライクめっき>
中間層の上には極薄銅層を設ける。その前に極薄銅層のピンホールを低減させるために銅−リン合金によるストライクめっきを行ってもよい。ストライクめっきにはピロリン酸銅めっき液などが挙げられる。
<極薄銅層>
中間層の上には極薄銅層を設ける。なお、中間層と極薄銅層との間には他の層を設けてもよい。
極薄銅層は、硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等の電解浴を利用した電気めっきにより形成することができ、一般的な電解銅箔で使用され、高電流密度での銅箔形成が可能であることから硫酸銅浴が好ましい。極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.5〜12μmであり、より典型的には1.5〜5μmであり、より典型的には2〜5μmである。なお、極薄銅層はキャリアの両面に設けてもよい。また、他の層には中間層として用いることができる構成の層を用いてもよい。
<粗化処理>
極薄銅層の表面には、例えば絶縁基板との密着性を良好にすること等のために粗化処理を施すことで粗化処理層を設けてもよい。
また、キャリアの表面粗化処理を施すことで粗化処理層を設けてもよい。このような構成によれば、本発明のキャリア付銅箔をキャリア側から樹脂基板に積層する処理を行うとき、キャリアと樹脂基板との密着性が向上し、プリント配線板の製造工程においてキャリアと樹脂基板とが剥離し難くなる。
粗化処理は、例えば、銅又は銅合金で粗化粒子を形成することにより行うことができる。粗化処理は微細なものであっても良い。粗化処理層は、銅、ニッケル、コバルト、リン、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層などであってもよい。また、銅又は銅合金で粗化粒子を形成した後、更にニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で二次粒子や三次粒子を設ける粗化処理を行うこともできる。その後に、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層または防錆層を形成しても良く、更にその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。または粗化処理を行わずに、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層又は防錆層を形成し、さらにその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。すなわち、粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよく、極薄銅層及びキャリアの少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよい。なお、上述の耐熱層、防錆層、クロメート処理層、シランカップリング処理層はそれぞれ複数の層で形成されてもよい(例えば2層以上、3層以上など)。なお、これらの表面処理は極薄銅層の表面粗さにほとんど影響を与えない。
粗化処理は、例えば、銅又は銅合金で粗化粒子を形成することにより行うことができる。粗化処理層は、ファインピッチ形成の観点から微細な粒子で構成されるのが好ましい。粗化粒子を形成する際の電気めっき条件について、電流密度を高く、めっき液中の銅濃度を低く、又は、クーロン量を大きくすると粒子が微細化する傾向にある。
本発明のキャリア付銅箔の極薄銅層の粗化処理方法は、具体的には以下の(1)〜(4)のいずれかによって行うことができる。
(1)粗化処理の際の電流密度を高くする。これによって、極薄銅層表面の凹凸が微細となり、表面の凹凸が増加するため、光が吸収されやすくなる。
(2)粗化処理の際のクーロン量を大きくする。これによって、極薄銅層表面の凹凸、粒子の積み重なりが多くなるため、光が吸収されやすくなる。
(3)粗化処理の際の粗化処理時間を長くする。これによって、極薄銅層表面の凹凸、粒子の積み重なりが多くなるため、光が吸収されやすくなる。
(4)粗化処理粒子が小さくなるような添加元素(例えばNi、Co、W、As等)を処理液に添加する。これによって、極薄銅層表面の凹凸が微細となり、表面の凹凸が増加するため、光が吸収されやすくなる。
上述の、本発明のキャリア付銅箔の極薄銅層の粗化処理方法をより具体的に以下に説明する。
・粗化処理が銅合金粗化めっき(めっき液中の銅濃度が、その他の元素の濃度と同程度の値であるか、その他の元素の濃度の数十分の1倍から数十倍、好ましくは数倍から数十倍であるめっき浴で行う粗化めっき。)である場合:
(A)下地の粗化処理が無い場合(以下の(a)、(b)のいずれか1つ以上を満たせばよい)
(a)当該銅合金粗化めっきのめっき条件において、電流密度を40〜60A/dm2に制御する。また、粗化処理時間を1〜10秒に制御し、クーロン量を45〜300As/dm2に制御する。
(b)当該銅合金粗化めっきのめっき条件において、クーロン量を200〜300As/dm2に制御する。また、粗化処理時間を1〜10秒に制御し、電流密度を30〜45As/dm2に制御する。
(B)下地の粗化処理が有る場合(以下の(c)〜(e)のいずれか2つ以上を満たせばよい)
(c)当該銅合金粗化めっきのめっき条件において、電流密度を52〜65A/dm2に制御する。
(d)当該銅合金粗化めっきのめっき条件において、粗化処理時間を6〜16秒に制御する。
(e)当該銅合金粗化めっきのめっき条件において、クーロン量を60〜80As/dm2に制御する。
・粗化処理が銅粗化めっき(めっき液中の銅濃度がその他の元素の濃度よりも100倍以上高いめっき浴で行う粗化めっき。)である場合:
銅粗化めっき1、その後の銅粗化めっき2の少なくとも二段の粗化処理を行う。このとき、以下の(f)、(g)のいずれかを満たすように粗化処理を行う。
(f)一段目の粗化処理のクーロン量を600As/dm2以上に制御する。
(g)二段目の粗化処理の電流密度を0.5〜13A/dm2に制御し、クーロン量を0.05〜1000As/dm2に制御する。また、このとき、好ましくは粗化処理時間を0.1〜20秒とする。
(表面粗さRz)
前記極薄銅層の表面を、JIS B0601−1994に準拠してレーザー顕微鏡で測定したとき、前記表面の粗さRz(十点平均粗さ)を1.7μm以下とすることで、当該表面に形成する回路のマイグレーションの発生を良好に抑制することができ、ファインピッチ形成の観点で極めて有利となる。Rzの平均値は好ましくは1.6μm以下であり、より好ましくは1.5μm以下であり、より好ましくは1.4μm以下であり、より好ましくは1.3μm以下であり、より好ましくは1.2μm以下であり、より好ましくは1.0μm以下であり、より好ましくは0.8μm以下である。但し、Rzの平均値は、小さくなりすぎると樹脂との密着力が低下することから、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上が更により好ましく、0.5μm以上が最も好ましい。
なお、本発明において極薄銅層の表面粗さ(Rz)は、極薄銅層が表面処理されている場合は、当該表面処理された側の表面の粗さを示す。なお、プリント配線板または銅張積層板など、極薄銅層表面に樹脂などの絶縁基板が接着されている場合においては、絶縁基板を溶かして除去することで、銅回路または銅箔表面について、前述の表面粗さ(Rz)を測定することができる。
(光の吸収率)
本発明のキャリア付銅箔は、極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が85%以上に制御されている。キャリア付銅箔は、極薄銅層側から絶縁基板に積層させ、キャリアを剥がした後、露出した極薄銅層表面に回路を形成する。このとき、まず極薄銅層表面(本発明において、極薄銅層の表面に粗化処理等の表面処理がされている場合には、「極薄銅層表面」は極薄銅層の表面処理された後の表面をいう)にめっきレジストを設け、めっきレジストの所定領域に対して露光するが、通常、めっきレジストは光透過性であるため、光がめっきレジストを透過して極薄銅層表面で反射する。このときの反射光には、通常、極薄銅層表面に垂直な方向に反射する正反射光と、垂直に反射せずに広がって反射する拡散反射光とがある。このうち、拡散反射光はめっきレジストの硬化させたい領域以外の領域にも進入してしまい、硬化させたい領域以外にあるめっきレジストも硬化してしまうおそれがある。これに対し、本発明では、極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が85%以上に制御されているため、露光の際にめっきレジストを透過した光を極薄銅層表面で吸収することで、極薄銅層表面での光の反射を抑制することができる。このため、不必要なめっきレジストの硬化を抑制することができ、めっきレジストの硬化させたい領域を精度良く加工することができ、それによって対応する回路形状を精度良く形成することができる。極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率は、好ましくは87%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更により好ましくは91%以上であり、更により好ましくは92%以上であり、更により好ましくは93%以上であり、更により好ましくは95%以上である。極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率の上限は100%であり、典型的には99.9%以下、典型的には99.5%以下、99.3%以下である。
<プリント配線板、プリント回路板及び銅張積層板>
キャリア付銅箔を極薄銅層側から絶縁樹脂板に貼り付けて熱圧着させ、キャリアを剥がすことで銅張積層板を作製することができる。また、その後、極薄銅層部分をエッチングすることにより、プリント配線板やプリント回路板の銅回路を形成することができる。ここで用いる絶縁樹脂板はプリント配線板やプリント回路板に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、リジッドPWB用に紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等を使用し、FPC用にポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等を使用する事ができる。このようにして作製したプリント配線板、プリント回路板、銅張積層板は、搭載部品の高密度実装が要求される各種電子部品に搭載することができる。
また、キャリア付銅箔は、極薄銅層上に粗化処理層を備えても良く、前記粗化処理層上に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層、およびシランカップリング処理層からなる群のから選択された層を一つ以上備えても良い。
また、前記極薄銅層上に粗化処理層を備えても良く、前記粗化処理層上に、耐熱層、防錆層を備えてもよく、前記耐熱層、防錆層上にクロメート処理層を備えてもよく、前記クロメート処理層上にシランカップリング処理層を備えても良い。
また、前記キャリア付銅箔は前記極薄銅層上、あるいは前記粗化処理層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいはクロメート処理層、あるいはシランカップリング処理層の上に樹脂層を備えても良い。
前記樹脂層は接着用樹脂、すなわち接着剤であってもよく、接着用の半硬化状態(Bステージ状態)の絶縁樹脂層であってもよい。半硬化状態(Bステージ状態)とは、その表面に指で触れても粘着感はなく、該絶縁樹脂層を重ね合わせて保管することができ、更に加熱処理を受けると硬化反応が起こる状態のことを含む。
また前記樹脂層は熱硬化性樹脂を含んでもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。また、前記樹脂層は熱可塑性樹脂を含んでもよい。前記樹脂層は公知の樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでよい。また、前記樹脂層は例えば国際公開番号WO2008/004399、国際公開番号WO2008/053878、国際公開番号WO2009/084533、特開平11−5828号、特開平11−140281号、特許第3184485号、国際公開番号WO97/02728、特許第3676375号、特開2000−43188号、特許第3612594号、特開2002−179772号、特開2002−359444号、特開2003−304068号、特許第3992225号、特開2003−249739号、特許第4136509号、特開2004−82687号、特許第4025177号、特開2004−349654号、特許第4286060号、特開2005−262506号、特許第4570070号、特開2005−53218号、特許第3949676号、特許第4178415号、国際公開番号WO2004/005588、特開2006−257153号、特開2007−326923号、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、特開2009−67029号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、特開2009−173017号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、国際公開番号WO2008/114858、国際公開番号WO2009/008471、特開2011−14727号、国際公開番号WO2009/001850、国際公開番号WO2009/145179、国際公開番号WO2011/068157、特開2013−19056号に記載されている物質(樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等)および/または樹脂層の形成方法、形成装置を用いて形成してもよい。
また、前記樹脂層は、その種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、ポリマレイミド化合物、マレイミド系樹脂、芳香族マレイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン、ポリエーテルサルフォンともいう)、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルサルホン、ポリエーテルサルフォンともいう)樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、ゴム性樹脂、ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミドイミド樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、カルボキシル基変性アクリロニトリル-ブタジエン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンオキサイド樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボン酸の無水物、多価カルボン酸の無水物、架橋可能な官能基を有する線状ポリマー、ポリフェニレンエーテル樹脂、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、リン含有フェノール化合物、ナフテン酸マンガン、2,2−ビス(4−グリシジルフェニル)プロパン、ポリフェニレンエーテル−シアネート系樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、シアノエステル樹脂、フォスファゼン系樹脂、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂、イソプレン、水素添加型ポリブタジエン、ポリビニルブチラール、フェノキシ、高分子エポキシ、芳香族ポリアミド、フッ素樹脂、ビスフェノール、ブロック共重合ポリイミド樹脂およびシアノエステル樹脂の群から選択される一種以上を含む樹脂を好適なものとして挙げることができる。
また前記エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであって、電気・電子材料用途に用いることのできるものであれば、特に問題なく使用できる。また、前記エポキシ樹脂は分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましい。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブロム化(臭素化)エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ゴム変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン化合物、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物、リン含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、の群から選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができ、又は前記エポキシ樹脂の水素添加体やハロゲン化体を用いることができる。
前記リン含有エポキシ樹脂として公知のリンを含有するエポキシ樹脂を用いることができる。また、前記リン含有エポキシ樹脂は例えば、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂であることが好ましい。
この9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドにナフトキノンやハイドロキノンを反応させて、以下の化1(HCA−NQ)又は化2(HCA−HQ)に示す化合物とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂を反応させてリン含有エポキシ樹脂としたものである。
上述の化合物を原料として得られた前記E成分であるリン含有エポキシ樹脂は、以下に示す化3〜化5のいずれかに示す構造式を備える化合物の1種又は2種を混合して用いることが好ましい。半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いためである。
また、前記ブロム化(臭素化)エポキシ樹脂として、公知のブロム化(臭素化)されているエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、前記ブロム化(臭素化)エポキシ樹脂は分子内に2以上のエポキシ基を備えるテトラブロモビスフェノールAからの誘導体として得られる化6に示す構造式を備える臭素化エポキシ樹脂、以下に示す化7に示す構造式を備える臭素化エポキシ樹脂の1種又は2種を混合して用いることが好ましい。
前記マレイミド系樹脂または芳香族マレイミド樹脂またはマレイミド化合物またはポリマレイミド化合物としては、公知のマレイミド系樹脂または芳香族マレイミド樹脂またはマレイミド化合物またはポリマレイミド化合物を用いることができる。例えばマレイミド系樹脂または芳香族マレイミド樹脂またはマレイミド化合物またはポリマレイミド化合物としては4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン並びに上記化合物と、上記化合物またはその他の化合物とを重合させたポリマー等の使用が可能である。また、前記マレイミド系樹脂は、分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂であってもよく、分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂とポリアミンまたは芳香族ポリアミンとを重合させた重合付加物であってもよい。
前記ポリアミンまたは芳香族ポリアミンとしては、公知のポリアミンまたは芳香族ポリアミンを用いることができる。例えば、ポリアミンまたは芳香族ポリアミンとして、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、2,6−ジアミノピリジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3−メチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、1,3−ビス[4−アミノフェノキシ]ベンゼン、3−メチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジクロロ−4−アミノフェニル)プロパン、ビス(2,3−ジメチル−4−アミノフェニル)フェニルエタン、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン並びに上記化合物と、上記化合物またはその他の化合物とを重合させたポリマー等を用いることができる。また、公知のポリアミンおよび/または芳香族ポリアミンまたは前述のポリアミンまたは芳香族ポリアミンを一種または二種以上用いることができる。
前記フェノキシ樹脂としては公知のフェノキシ樹脂を用いることができる。また、前記フェノキシ樹脂として、ビスフェノールと2価のエポキシ樹脂との反応により合成されるものを用いることができる。エポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂および/または前述のエポキシ樹脂を用いることができる。
前記ビスフェノールとしては、公知のビスフェノールを使用することができ、またビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、HCA(9,10−Dihydro−9−Oxa−10−Phosphaphenanthrene−10−Oxide)とハイドロキノン、ナフトキノン等のキノン類との付加物として得られるビスフェノール等を使用することができる。
前記架橋可能な官能基を有する線状ポリマーとしては、公知の架橋可能な官能基を有する線状ポリマーを用いることができる。例えば、前記架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは水酸基、カルボキシル基等のエポキシ樹脂の硬化反応に寄与する官能基を備えることが好ましい。そして、この架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、沸点が50℃〜200℃の温度の有機溶剤に可溶であることが好ましい。ここで言う官能基を有する線状ポリマーを具体的に例示すると、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等である。
前記樹脂層は架橋剤を含んでもよい。架橋剤には、公知の架橋剤を用いることができる。架橋剤として例えばウレタン系樹脂を用いることができる。
前記ゴム性樹脂は公知のゴム性樹脂を用いることができる。例えば前記ゴム性樹脂とは、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム(アクリル酸エステル共重合体)、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム等がある。更に、形成する樹脂層の耐熱性を確保する際には、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、芳香族ポリアミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂と反応して共重合体を製造するようにするため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、CTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリル)を用いることが有用である。また、アクリロニトリルブタジエンゴムの中でも、カルボキシル変性体であると、エポキシ樹脂と架橋構造を取り、硬化後の樹脂層のフレキシビリティを向上させることができる。カルボキシル変性体としては、カルボキシ基末端ニトリルブタジエンゴム(CTBN)、カルボキシ基末端ブタジエンゴム(CTB)、カルボキシ変性ニトリルブタジエンゴム(C‐NBR)を用いることができる。
前記ポリアミドイミド樹脂としては公知のポリイミドアミド樹脂を用いることができる。また、前記ポリイミドアミド樹脂としては例えば、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物及びビトリレンジイソシアネートをN−メチル−2−ピロリドン又は/及びN,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤中で加熱することで得られる樹脂や、トリメリット酸無水物、ジフェニルメタンジイソシアネート及びカルボキシル基末端アクリロニトリル−ブタジエンゴムをN−メチル−2−ピロリドン又は/及びN,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤中で加熱することで得られるものを用いることができる。
前記ゴム変成ポリアミドイミド樹脂として、公知のゴム変成ポリアミドイミド樹脂を用いることができる。ゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものである。ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて用いるのは、ポリアミドイミド樹脂そのものの柔軟性を向上させる目的で行う。すなわち、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させ、ポリアミドイミド樹脂の酸成分(シクロヘキサンジカルボン酸等)の一部をゴム成分に置換するのである。ポリアミドイミド樹脂には公知のポリアミドイミド樹脂を用いることができる。また、ゴム性樹脂には公知のゴム性樹脂または前述のゴム性樹脂を用いることができる。ゴム変成ポリアミドイミド樹脂を重合させる際に、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂との溶解に使用する溶剤には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、ニトロエタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン等を、1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
前記フォスファゼン系樹脂として、公知のフォスファゼン系樹脂を用いることができる。フォスファゼン系樹脂は、リン及び窒素を構成元素とする二重結合を持つフォスファゼンを含む樹脂である。フォスファゼン系樹脂は、分子中の窒素とリンの相乗効果により、難燃性能を飛躍的に向上させることができる。また、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体と異なり、樹脂中で安定して存在し、マイグレーションの発生を防ぐ効果が得られる。
前記フッ素樹脂として、公知のフッ素樹脂を用いることができる。また、フッ素樹脂として例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化))、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化))、ポリアリルスルフォン、芳香族ポリスルフィドおよび芳香族ポリエーテルの中から選ばれるいずれか少なくとも1種の熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とからなるフッ素樹脂等を用いてもよい。
また、前記樹脂層は樹脂硬化剤を含んでもよい。樹脂硬化剤としては公知の樹脂硬化剤を用いることができる。例えば樹脂硬化剤としてはジシアンジアミド、イミダゾール類、芳香族アミン等のアミン類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA等のフェノール類、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のノボラック類、無水フタル酸等の酸無水物、ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂等を用いることができる。また、前記樹脂層は前述の樹脂硬化剤の1種又は2種以上を含んでもよい。これらの硬化剤はエポキシ樹脂に特に有効である。
前記ビフェニル型フェノール樹脂の具体例を化8に示す。
また、前記フェノールアラルキル型フェノール樹脂の具体例を化9に示す。
イミダゾール類としては、公知のものを用いることができ、例えば、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられ、これらを単独若しくは混合して用いることができる。
また、中でも、以下の化10に示す構造式を備えるイミダゾール類を用いる事が好ましい。この化10に示す構造式のイミダゾール類を用いることで、半硬化状態の樹脂層の耐吸湿性を顕著に向上でき、長期保存安定性に優れる。イミダゾール類は、エポキシ樹脂の硬化に際して触媒的な働きを行うものであり、硬化反応の初期段階において、エポキシ樹脂の自己重合反応を引き起こす反応開始剤として寄与するからである。
前記アミン類の樹脂硬化剤としては、公知のアミン類を用いることができる。また、前記アミン類の樹脂硬化剤としては例えば前述のポリアミンや芳香族ポリアミンを用いることが出来、また、芳香族ポリアミン、ポリアミド類及びこれらをエポキシ樹脂や多価カルボン酸と重合或いは縮合させて得られるアミンアダクト体の群から選ばれた1種又は2種以上を用いてもよい。また、前記アミン類の樹脂硬化剤としては、4,4’−ジアミノジフェニレンサルフォン、3,3’−ジアミノジフェニレンサルフォン、4,4−ジアミノジフェニレル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンまたはビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]サルフォンのいずれか一種以上を用いることが好ましい。
前記樹脂層は硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤としては公知の硬化促進剤を用いることができる。例えば、硬化促進剤としては、3級アミン、イミダゾール、尿素系硬化促進剤等を用いることができる。
前記樹脂層は反応触媒を含んでもよい。反応触媒としては公知の反応触媒を用いることができる。例えば反応触媒として微粉砕シリカ、三酸化アンチモン等を用いることができる。
前記多価カルボン酸の無水物はエポキシ樹脂の硬化剤として寄与する成分であることが好ましい。また、前記多価カルボン酸の無水物は、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テトラヒドロキシ無水フタル酸、ヘキサヒドロキシ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロキシ無水フタル酸、ナジン酸、メチルナジン酸であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂はエポキシ樹脂と重合可能なアルコール性水酸基以外の官能基を有する熱可塑性樹脂であってもよい。
前記ポリビニルアセタール樹脂は酸基および水酸基以外のエポキシ樹脂またはマレイミド化合物と重合可能な官能基を有してもよい。また、前記ポリビニルアセタール樹脂はその分子内にカルボキシル基、アミノ基または不飽和二重結合を導入したものであってもよい。
前記芳香族ポリアミド樹脂ポリマーとしては、芳香族ポリアミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものが挙げられる。ここで、芳香族ポリアミド樹脂とは、芳香族ジアミンとジカルボン酸との縮重合により合成されるものである。このときの芳香族ジアミンには、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−キシレンジアミン、3,3’−オキシジアニリン等を用いる。そして、ジカルボン酸には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸等を用いる。
前記芳香族ポリアミド樹脂と反応させる前記ゴム性樹脂とは、公知のゴム性樹脂または前述のゴム性樹脂を用いることができる。
この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーは、銅張積層板に加工した後の銅箔をエッチング加工する際に、エッチング液によりアンダーエッチングによる損傷を受けないことを目的に用いたものである。
また、前記樹脂層は銅箔側(すなわちキャリア付銅箔の極薄銅層側)から順に硬化樹脂層(「硬化樹脂層」とは硬化済みの樹脂層のことを意味するとする。)と半硬化樹脂層とを順次形成した樹脂層であってもよい。前記硬化樹脂層は、熱膨張係数が0ppm/℃〜25ppm/℃のポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、これらの複合樹脂のいずれかの樹脂成分で構成されてもよい。
また、前記硬化樹脂層上に、硬化した後の熱膨張係数が0ppm/℃〜50ppm/℃の半硬化樹脂層を設けてもよい。また、前記硬化樹脂層と前記半硬化樹脂層とが硬化した後の樹脂層全体の熱膨張係数が40ppm/℃以下であってもよい。前記硬化樹脂層は、ガラス転移温度が300℃以上であってもよい。また、前記半硬化樹脂層は、マレイミド系樹脂または芳香族マレイミド樹脂を用いて形成したものであってもよい。前記半硬化樹脂層を形成するための樹脂組成物は、マレイミド系樹脂、エポキシ樹脂、架橋可能な官能基を有する線状ポリマーを含むことが好ましい。エポキシ樹脂は公知のエポキシ樹脂または本明細書に記載のエポキシ樹脂を用いることができる。また、マレイミド系樹脂、芳香族マレイミド樹脂、架橋可能な官能基を有する線状ポリマーとしては公知のマレイミド系樹脂、芳香族マレイミド樹脂、架橋可能な官能基を有する線状ポリマー又は前述のマレイミド系樹脂、芳香族マレイミド樹脂、架橋可能な官能基を有する線状ポリマーを用いることができる。
また、立体成型プリント配線板製造用途に適した、樹脂層を有するキャリア付銅箔を提供する場合、前記硬化樹脂層は硬化した可撓性を有する高分子ポリマー層であることが好ましい。前記高分子ポリマー層は、はんだ実装工程に耐えられるように、150℃以上のガラス転移温度をもつ樹脂からなるものが好適である。前記高分子ポリマー層は、ポリアミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、アラミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂のいずれか1種又は2種以上の混合樹脂からなることが好ましい。また、前記高分子ポリマー層の厚さは3μm〜10μmであることが好ましい。
また、前記高分子ポリマー層は、エポキシ樹脂、マレイミド系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂のいずれか1種又は2種以上を含むことが好ましい。また、前記半硬化樹脂層は厚さが10μm〜50μmのエポキシ樹脂組成物で構成されていることが好ましい。
また、前記エポキシ樹脂組成物は以下のA成分〜E成分の各成分を含むものであることが好ましい。
A成分: エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂。
B成分: 高耐熱性エポキシ樹脂。
C成分: リン含有エポキシ系樹脂、フォスファゼン系樹脂のいずれか1種又はこれらを混合した樹脂であるリン含有難燃性樹脂。
D成分: 沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶な性質を備える液状ゴム成分で変成したゴム変成ポリアミドイミド樹脂。
E成分: 樹脂硬化剤。
B成分は、所謂ガラス転移点Tgの高い「高耐熱性エポキシ樹脂」である。ここで言う「高耐熱性エポキシ樹脂」は、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。
C成分のリン含有エポキシ樹脂として、前述のリン含有エポキシ樹脂を用いることができる。また、C成分のフォスファゼン系樹脂として前述のフォスファゼン系樹脂を用いることができる。
D成分のゴム変成ポリアミドイミド樹脂として、前述のゴム変成ポリアミドイミド樹脂を用いることができる。E成分の樹脂硬化剤として、前述の樹脂硬化剤を用いることができる。
以上に示した樹脂組成物に溶剤を加えて樹脂ワニスとして用い、プリント配線板の接着層として熱硬化性樹脂層を形成する。当該樹脂ワニスは、上述の樹脂組成物に溶剤を加えて、樹脂固形分量が30wt%〜70wt%の範囲に調製し、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが5%〜35%の範囲にある半硬化樹脂膜の形成が可能である。溶剤には、公知の溶剤または前述の溶剤を用いることができる。
前記樹脂層は銅箔側から順に第1熱硬化性樹脂層と、当該第1熱硬化性樹脂層の表面に位置する第2熱硬化性樹脂層とを有する樹脂層であって、第1熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解しない樹脂成分で形成されたものであり、第2熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解し洗浄除去可能な樹脂を用いて形成したものであってもよい。前記第1熱硬化性樹脂層は、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンオキサイドのいずれか一種又は2種以上を混合した樹脂成分を用いて形成したものであってもよい。前記第2熱硬化性樹脂層は、エポキシ樹脂成分を用いて形成したものであってもよい。前記第1熱硬化性樹脂層の厚さt1(μm)は、キャリア付銅箔の粗化面粗さをRz(μm)とし、第2熱硬化性樹脂層の厚さをt2(μm)としたとき、t1は、Rz<t1<t2の条件を満たす厚さであることが好ましい。
前記樹脂層は骨格材に樹脂を含浸させたプリプレグであってもよい。前記骨格材に含浸させた樹脂は熱硬化性樹脂であることが好ましい。前記プリプレグは公知のプリプレグまたはプリント配線板製造に用いるプリプレグであってもよい。
前記骨格材はアラミド繊維又はガラス繊維又は全芳香族ポリエステル繊維を含んでもよい。前記骨格材はアラミド繊維又はガラス繊維又は全芳香族ポリエステル繊維の不織布若しくは織布であることが好ましい。また、前記全芳香族ポリエステル繊維は融点が300℃以上の全芳香族ポリエステル繊維であることが好ましい。前記融点が300℃以上の全芳香族ポリエステル繊維とは、所謂液晶ポリマーと称される樹脂を用いて製造される繊維であり、当該液晶ポリマーは2−ヒドロキシル−6−ナフトエ酸及びp−ヒドロキシ安息香酸の重合体を主成分とするものである。この全芳香族ポリエステル繊維は、低誘電率、低い誘電正接を持つため、電気的絶縁層の構成材として優れた性能を有し、ガラス繊維及びアラミド繊維と同様に使用することが可能なものである。
なお、前記不織布及び織布を構成する繊維は、その表面の樹脂との濡れ性を向上させるため、シランカップリング剤処理を施す事が好ましい。このときのシランカップリング剤は、使用目的に応じて公知のアミノ系、エポキシ系等のシランカップリング剤または前述のシランカップリング剤を用いることができる。
また、前記プリプレグは公称厚さが70μm以下のアラミド繊維又はガラス繊維を用いた不織布、あるいは、公称厚さが30μm以下のガラスクロスからなる骨格材に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグであってもよい。
(樹脂層が誘電体(誘電体フィラー)を含む場合)
前記樹脂層は誘電体(誘電体フィラー)を含んでもよい。
上記いずれかの樹脂層または樹脂組成物に誘電体(誘電体フィラー)を含ませる場合には、キャパシタ層を形成する用途に用い、キャパシタ回路の電気容量を増大させることができるのである。この誘電体(誘電体フィラー)には、BaTiO3、SrTiO3、Pb(Zr−Ti)O3(通称PZT)、PbLaTiO3・PbLaZrO(通称PLZT)、SrBi2Ta2O9(通称SBT)等のペブロスカイト構造を持つ複合酸化物の誘電体粉を用いる。
誘電体(誘電体フィラー)は粉状であってもよい。誘電体(誘電体フィラー)が粉状である場合、この誘電体(誘電体フィラー)の粉体特性は、まず粒径が0.01μm〜3.0μm、好ましくは0.02μm〜2.0μmの範囲のものである必要がある。ここで言う粒径は、粉粒同士がある一定の2次凝集状態を形成しているため、レーザー回折散乱式粒度分布測定法やBET法等の測定値から平均粒径を推測するような間接測定では精度が劣るものとなるため用いることができず、誘電体(誘電体フィラー)を走査型電子顕微鏡(SEM)で直接観察し、そのSEM像を画像解析し得られる平均粒径を言うものである。本件明細書ではこの時の粒径をDIAと表示している。なお、本件明細書における走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察される誘電体(誘電体フィラー)の粉体の画像解析は、旭エンジニアリング株式会社製のIP−1000PCを用いて、円度しきい値10、重なり度20として円形粒子解析を行い、平均粒径DIAを求めたものである。
上述の実施の形態により、当該内層コア材の内層回路表面と誘電体を含む樹脂層との密着性を向上させ、低い誘電正接を備えるキャパシタ回路層を形成するための誘電体を含む樹脂層を有するキャリア付銅箔を提供することができる。
前述の樹脂層に含まれる樹脂および/または樹脂組成物および/または化合物を例えばメチルエチルケトン(MEK)、シクロペンタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶剤に溶解して樹脂液(樹脂ワニス)とし、これを前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング剤層の上に、例えばロールコータ法などによって塗布し、ついで必要に応じて加熱乾燥して溶剤を除去しBステージ状態にする。乾燥には例えば熱風乾燥炉を用いればよく、乾燥温度は100〜250℃、好ましくは130〜200℃であればよい。前記樹脂層の組成物を、溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分3wt%〜70wt%、好ましくは、3wt%〜60wt%、好ましくは10wt%〜40wt%、より好ましくは25wt%〜40wt%の樹脂液としてもよい。なお、メチルエチルケトンとシクロペンタノンとの混合溶剤を用いて溶解することが、環境的な見地より現段階では最も好ましい。なお、溶剤には沸点が50℃〜200℃の範囲である溶剤を用いることが好ましい。
また、前記樹脂層はMIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが5%〜35%の範囲にある半硬化樹脂膜であることが好ましい。
本件明細書において、レジンフローとは、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して、樹脂厚さを55μmとした樹脂付銅箔から10cm角試料を4枚サンプリングし、この4枚の試料を重ねた状態(積層体)でプレス温度171℃、プレス圧14kgf/cm2、プレス時間10分の条件で張り合わせ、そのときの樹脂流出重量を測定した結果から数1に基づいて算出した値である。
前記樹脂層を備えたキャリア付銅箔(樹脂付きキャリア付銅箔)は、その樹脂層を基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着して該樹脂層を熱硬化せしめ、ついでキャリアを剥離して極薄銅層を表出せしめ(当然に表出するのは該極薄銅層の中間層側の表面である)、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
この樹脂付きキャリア付銅箔を使用すると、多層プリント配線基板の製造時におけるプリプレグ材の使用枚数を減らすことができる。しかも、樹脂層の厚みを層間絶縁が確保できるような厚みにしたり、プリプレグ材を全く使用していなくても銅張積層板を製造することができる。またこのとき、基材の表面に絶縁樹脂をアンダーコートして表面の平滑性を更に改善することもできる。
なお、プリプレグ材を使用しない場合には、プリプレグ材の材料コストが節約され、また積層工程も簡略になるので経済的に有利となり、しかも、プリプレグ材の厚み分だけ製造される多層プリント配線基板の厚みは薄くなり、1層の厚みが100μm以下である極薄の多層プリント配線基板を製造することができるという利点がある。
この樹脂層の厚みは0.1〜120μmであることが好ましい。
樹脂層の厚みが0.1μmより薄くなると、接着力が低下し、プリプレグ材を介在させることなくこの樹脂付きキャリア付銅箔を内層材を備えた基材に積層したときに、内層材の回路との間の層間絶縁を確保することが困難になる場合がある。一方、樹脂層の厚みを120μmより厚くすると、1回の塗布工程で目的厚みの樹脂層を形成することが困難となり、余分な材料費と工数がかかるため経済的に不利となる場合がある。
なお、樹脂層を有するキャリア付銅箔が極薄の多層プリント配線板を製造することに用いられる場合には、前記樹脂層の厚みを0.1μm〜5μm、より好ましくは0.5μm〜5μm、より好ましくは1μm〜5μmとすることが、多層プリント配線板の厚みを小さくするために好ましい。
また、樹脂層が誘電体を含む場合には、樹脂層の厚みは0.1〜50μmであることが好ましく、0.5μm〜25μmであることが好ましく、1.0μm〜15μmであることがより好ましい。
また、前記硬化樹脂層、半硬化樹脂層との総樹脂層厚みは0.1μm〜120μmであるものが好ましく、5μm〜120μmであるものが好ましく、10μm〜120μmであるものが好ましく、10μm〜60μmのものがより好ましい。そして、硬化樹脂層の厚みは2μm〜30μmであることが好ましく、3μm〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。また、半硬化樹脂層の厚みは3μm〜55μmであることが好ましく、7μm〜55μmであることが好ましく、15〜115μmであることがより望ましい。総樹脂層厚みが120μmを超えると、薄厚の多層プリント配線板を製造することが難しくなる場合があり、5μm未満では薄厚の多層プリント配線板を形成し易くなるものの、内層の回路間における絶縁層である樹脂層が薄くなりすぎ、内層の回路間の絶縁性を不安定にする傾向が生じる場合があるためである。また、硬化樹脂層厚みが2μm未満であると、銅箔粗化面の表面粗度を考慮する必要が生じる場合がある。逆に硬化樹脂層厚みが20μmを超えると硬化済み樹脂層による効果は特に向上することがなくなる場合があり、総絶縁層厚は厚くなる。
なお、前記樹脂層の厚みを0.1μm〜5μmとする場合には、樹脂層とキャリア付銅箔との密着性を向上させるため、極薄銅層の上に耐熱層および/または防錆層および/またはクロメート処理層および/またはシランカップリング処理層を設けた後に、当該耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング処理層の上に樹脂層を形成することが好ましい。
なお、前述の樹脂層の厚みは、任意の10点において断面観察により測定した厚みの平均値をいう。
更に、この樹脂付きキャリア付銅箔のもう一つの製品形態としては、前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング処理層の上に樹脂層で被覆し、半硬化状態とした後、ついでキャリアを剥離して、キャリアが存在しない樹脂付き銅箔の形で製造することも可能である。
更に、この樹脂付きキャリア付銅箔のもう一つの製品形態としては、前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング処理層の上に樹脂層で被覆し、半硬化状態とした後、ついでキャリアを剥離して、キャリアが存在しない樹脂付き銅箔の形で製造することも可能である。
<プリント配線板の製造方法>
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを極薄銅層側が絶縁基板と対向するように積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、モディファイドセミアディティブ法、パートリーアディティブ法及びサブトラクティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含む。絶縁基板は内層回路入りのものとすることも可能である。
本発明において、セミアディティブ法とは、絶縁基板又は銅箔シード層上に薄い無電解めっきを行い、パターンを形成後、電気めっき及びエッチングを用いて導体パターンを形成する方法を指す。
従って、セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂の表面について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、モディファイドセミアディティブ法とは、絶縁層上に金属箔を積層し、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより回路形成部の銅厚付けを行った後、レジストを除去し、前記回路形成部以外の金属箔を(フラッシュ)エッチングで除去することにより、絶縁層上に回路を形成する方法を指す。
従って、モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストを設けた後に、電解めっきにより回路を形成する工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストを除去することにより露出した極薄銅層をフラッシュエッチングにより除去する工程、
を含む。
モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、パートリーアディティブ法とは、導体層を設けてなる基板、必要に応じてスルーホールやバイアホール用の孔を穿けてなる基板上に触媒核を付与し、エッチングして導体回路を形成し、必要に応じてソルダレジストまたはメッキレジストを設けた後に、前記導体回路上、スルーホールやバイアホールなどに無電解めっき処理によって厚付けを行うことにより、プリント配線板を製造する方法を指す。
従って、パートリーアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について触媒核を付与する工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して露出した前記絶縁基板表面に、ソルダレジストまたはメッキレジストを設ける工程、
前記ソルダレジストまたはメッキレジストが設けられていない領域に無電解めっき層を設ける工程、
を含む。
本発明において、サブトラクティブ法とは、銅張積層板上の銅箔の不要部分を、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する方法を指す。
従って、サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面に、電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層および前記電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面にマスクを形成する工程、
マスクが形成されていない前記無電解めっき層の表面に電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
スルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、及びその後のデスミア工程は行わなくてもよい。
ここで、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
まず、図1−Aに示すように、表面に粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔(1層目)を準備する。
次に、図1−Bに示すように、極薄銅層の粗化処理層上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングする。
次に、図1−Cに示すように、回路用のめっきを形成した後、レジストを除去することで、所定の形状の回路めっきを形成する。
次に、図2−Dに示すように、回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)極薄銅層上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別のキャリア付銅箔(2層目)を極薄銅層側から接着させる。
次に、図2−Eに示すように、2層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図2−Fに示すように、樹脂層の所定位置にレーザー穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成する。
次に、図3−Gに示すように、ブラインドビアに銅を埋め込みビアフィルを形成する。
次に、図3−Hに示すように、ビアフィル上に、上記図1−B及び図1−Cのようにして回路めっきを形成する。
次に、図3−Iに示すように、1層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図4−Jに示すように、フラッシュエッチングにより両表面の極薄銅層を除去し、樹脂層内の回路めっきの表面を露出させる。
次に、図4−Kに示すように、樹脂層内の回路めっき上にバンプを形成し、当該はんだ上に銅ピラーを形成する。このようにして本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板を作製する。
上記別のキャリア付銅箔(2層目)は、本発明のキャリア付銅箔を用いてもよく、従来のキャリア付銅箔を用いてもよく、さらに通常の銅箔を用いてもよい。また、図3−Hに示される2層目の回路上に、さらに回路を1層或いは複数層形成してもよく、それらの回路形成をセミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行ってもよい。
また、前記1層目に用いられるキャリア付銅箔は、当該キャリア付銅箔のキャリア側表面に基板を有してもよい。当該基板または樹脂層を有することで1層目に用いられるキャリア付銅箔は支持され、しわが入りにくくなるため、生産性が向上するという利点がある。なお、前記基板には、前記1層目に用いられるキャリア付銅箔を支持する効果するものであれば、全ての基板を用いることが出来る。例えば前記基板として本願明細書に記載のキャリア、プリプレグ、樹脂層や公知のキャリア、プリプレグ、樹脂層、金属板、金属箔、無機化合物の板、無機化合物の箔、有機化合物の板、有機化合物の箔を用いることができる。
キャリア側表面に基板を形成するタイミングについては特に制限はないが、キャリアを剥離する前に形成することが必要である。特に、前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程の前に形成することが好ましく、キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路を形成する工程の前に形成することがより好ましい。
本発明に係るキャリア付銅箔は、極薄銅層表面の色差が以下(1)を満たすように制御されていることが好ましい。本発明において「極薄銅層表面の色差」とは、極薄銅層の表面の色差、又は、粗化処理等の各種表面処理が施されている場合はその表面処理層表面の色差を示す。すなわち、本発明に係るキャリア付銅箔は、極薄銅層または粗化処理層または耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング層の表面の色差が以下(1)を満たすように制御されていることが好ましい。
(1)極薄銅層または粗化処理層または耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング処理層の表面のJIS Z8730に基づく色差ΔE*abが45以上である。
ここで、色差ΔL、Δa、Δbは、それぞれ色差計で測定され、黒/白/赤/緑/黄/青を加味し、JIS Z8730に基づくL*a*b表色系を用いて示される総合指標であり、ΔL:白黒、Δa:赤緑、Δb:黄青として表される。また、ΔE*abはこれらの色差を用いて下記式で表される。
上述の色差は、極薄銅層形成時の電流密度を高くし、メッキ液中の銅濃度を低くし、メッキ液の線流速を高くすることで調整することができる。
また上述の色差は、極薄銅層の表面に粗化処理を施して粗化処理層を設けることで調整することもできる。粗化処理層を設ける場合には銅およびニッケル、コバルト、タングステン、モリブデンからなる群から選択される一種以上の元素とを含む電界液を用いて、従来よりも電流密度を高く(例えば40〜60A/dm2)し、処理時間を短く(例えば0.1〜1.3秒)することで調整することができる。極薄銅層の表面に粗化処理層を設けない場合には、Niの濃度をその他の元素の2倍以上としたメッキ浴を用いて、極薄銅層または耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング処理層の表面にNi合金メッキ(例えばNi−W合金メッキ、Ni−Co−P合金メッキ、Ni−Zn合金めっき)を従来よりも低電流密度(0.1〜1.3A/dm2)で処理時間を長く(20秒〜40秒)設定して処理することで達成できる。
極薄銅層表面のJIS Z8730に基づく色差ΔE*abが45以上であると、例えば、キャリア付銅箔の極薄銅層表面に回路を形成する際に、極薄銅層と回路とのコントラストが鮮明となり、その結果、視認性が良好となり回路の位置合わせを精度良く行うことができる。極薄銅層表面のJIS Z8730に基づく色差ΔE*abは、好ましくは50以上であり、より好ましくは55以上であり、更により好ましくは60以上である。
極薄銅層または粗化処理層または耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング層の表面の色差が上記のようの制御されている場合には、回路めっきとのコントラストが鮮明となり、視認性が良好となる。従って、上述のようなプリント配線板の例えば図3−Cに示すような製造工程において、回路めっきを精度良く所定の位置に形成することが可能となる。また、上述のようなプリント配線板の製造方法によれば、回路めっきが樹脂層に埋め込まれた構成となっているため、例えば図4−Jに示すようなフラッシュエッチングによる極薄銅層の除去の際に、回路めっきが樹脂層によって保護され、その形状が保たれ、これにより微細回路の形成が容易となる。また、回路めっきが樹脂層によって保護されるため、耐マイグレーション性が向上し、回路の配線の導通が良好に抑制される。このため、微細回路の形成が容易となる。また、図4−J及び図4−Kに示すようにフラッシュエッチングによって極薄銅層を除去したとき、回路めっきの露出面が樹脂層から凹んだ形状となるため、当該回路めっき上にバンプが、さらにその上に銅ピラーがそれぞれ形成しやすくなり、製造効率が向上する。
なお、埋め込み樹脂(レジン)には公知の樹脂、プリプレグを用いることができる。例えば、BT(ビスマレイミドトリアジン)レジンやBTレジンを含浸させたガラス布であるプリプレグ、味の素ファインテクノ株式会社製ABFフィルムやABFを用いることができる。また、前記埋め込み樹脂(レジン)には本明細書に記載の樹脂層および/または樹脂および/またはプリプレグを使用することができる。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
1.キャリア付銅箔の製造
実施例1〜10及び比較例1〜15として、以下の銅箔バルク層(生箔)を準備した。
・一般電解生箔
銅濃度80〜120g/L、硫酸濃度80〜120g/L、塩化物イオン濃度30〜100ppm、ニカワ濃度1〜5ppm、電解液温度57〜62℃の硫酸銅電解液を電解銅メッキ浴とし、アノードとカソード(銅箔用電着用金属製ドラム)の間を流れる電解液の線速度を1.5〜2.5m/秒、電流密度70A/dm2で厚み18μm(重量厚み143g/m2)の一般電解生箔を作製した。
・キャリア付銅箔
前述の一般電解生箔製造条件で、厚み18μmの一般電解生箔を作製した。これを銅箔キャリアとして、以下の方法により、中間層、厚み1.5、2、3、5μmの極薄銅層を形成し、キャリア付き極薄銅箔を得た。
(1)Ni層(中間層:下地メッキ1)
銅箔キャリアのS面に対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続メッキラインで電気メッキすることにより1000μg/dm2の付着量のNi層を形成した。具体的なメッキ条件を以下に記す。
硫酸ニッケル:270〜280g/L
塩化ニッケル:35〜45g/L
酢酸ニッケル:10〜20g/L
ホウ酸:30〜40g/L
光沢剤:サッカリン、ブチンジオール等
ドデシル硫酸ナトリウム:55〜75ppm
pH:4〜6
浴温:55〜65℃
電流密度:10A/dm2
(2)Cr層(中間層:下地メッキ2)
次に、(1)にて形成したNi層表面を水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続メッキライン上でNi層の上に11μg/dm2の付着量のCr層を以下の条件で電解クロメート処理することにより付着させた。
重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0g/L
pH:7〜10
液温:40〜60℃
電流密度:2A/dm2
(3)極薄銅層
次に、(2)にて形成したCr層表面を水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続メッキライン上で、Cr層の上に厚み1.5、2、3、5μmの極薄銅層を以下の条件で電気メッキすることにより形成し、キャリア付極薄銅箔を作製した。
銅濃度:80〜120g/L
硫酸濃度:80〜120g/L
塩化物イオン濃度:30〜100ppm
レベリング剤1(ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド):10〜30ppm
レベリング剤2(アミン化合物):10〜30ppm
なお、レベリング剤2として下記のアミン化合物を用いた。
(上記化学式中、R1及びR2はヒドロキシアルキル基、エーテル基、アリール基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。)
電解液温度:50〜80℃
電流密度:100A/dm2
次に、極薄銅層の表面に粗化処理、バリヤー処理、防錆処理、シランカップリング剤塗布の各表面処理をこの順で施した。各処理条件を以下に示す。
〔粗化処理〕
先に記した各種生箔表面に、表1に記載の条件で粗化処理を行った。表1において、粗化処理1及び粗化処理2の記載がいずれもあるものは、粗化処理1及び粗化処理2をこの順で行ったことを示している。
また、表1における粗化処理条件(1)〜(9)は、表2及び3に記載の各粗化処理条件を示している。
〔バリヤー(耐熱)処理〕
実施例1、2、4〜7、10、比較例1、3、4、8、9、13、14については、バリヤー(耐熱)処理を下記の条件で行い、真鍮メッキ層又は亜鉛・ニッケル合金メッキ層を形成した。
実施例1、4、6、10、比較例1、3、8、13のバリヤー層(真鍮メッキ)形成条件:
銅濃度50〜80g/L、亜鉛濃度2〜10g/L、水酸化ナトリウム濃度50〜80g/L、シアン化ナトリウム濃度5〜30g/L、温度60〜90℃の真鍮メッキ浴を用い、電流密度5〜10A/dm2(多段処理)でメッキ電気量30As/dm2を、粗化処理層を形成した面に付与した。
実施例2、5、7、比較例4、9、14のバリヤー層(亜鉛・ニッケルメッキ)形成条件:
Ni:10g/L〜30g/L、Zn:1g/L〜15g/L、 硫酸(H2SO4):1g/L〜12g/L、塩化物イオン:0g/L〜5g/Lを添加したメッキ浴を用い、電流密度1.3A/dm2でメッキ電気量5.5As/dm2を、粗化処理層を形成した面に付与した。
〔防錆処理〕
実施例1、2、4〜7、10、比較例1、3、4、8、9、13、14については、防錆処理(クロメート処理)を下記の条件で行い、防錆処理層を形成した。
(クロメート条件) CrO3:2.5g/L、Zn:0.7g/L、Na2SO4:10g/L、pH4.8、54℃のクロメート浴で0.7As/dm2の電気量を付加。
〔シランカップリング処理〕
実施例1、2、4〜7、10、比較例1、3、4、8、9、13、14については、シランカップリング剤処理を下記の条件で行い、シランカップリング処理層を形成した。
銅箔の粗化処理した側の面に、0.2〜2%のアルコキシシランを含有量するpH7〜8の水溶液を噴霧することで、シランカップリング剤の塗布処理を行った。
なお、実施例10と比較例1については、防錆処理、シランカップリング処理剤塗布の後、更に下記の条件で樹脂層の形成も行った。
(樹脂合成例)
ステンレス製の碇型攪拌棒、窒素導入管とストップコックのついたトラップ上に、玉付冷却管を取り付けた還流冷却器を取り付けた2リットルの三つ口フラスコに、3,4、3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物117.68g(400mmol)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン87.7g(300mmol)、γ−バレロラクトン4.0g(40mmol)、ピリジン4.8g(60mmol)、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと記す)300g、トルエン20gを加え、180℃で1時間加熱した後室温付近まで冷却した後、3,4、3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(100mmol)、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン82.12g(200mmol)、NMP200g、トルエン40gを加え、室温で1時間混合後、180℃で3時間加熱して、固形分38%のブロック共重合ポリイミドを得た。このブロック共重合ポリイミドは、下記に示す一般式(1):一般式(2)=3:2であり、数平均分子量:70000、重量平均分子量:150000であった。
合成例で得られたブロック共重合ポリイミド溶液をNMPで更に希釈し、固形分10%のブロック共重合ポリイミド溶液とした。このブロック共重合ポリイミド溶液にビス(4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-H、ケイ・アイ化成)を固形分重量比率35、ブロック共重合ポリイミドの固形分重量比率65として(即ち、樹脂溶液に含まれるビス(4-マレイミドフェニル)メタン固形分重量:樹脂溶液に含まれるブロック共重合ポリイミド固形分重量=35:65)60℃、20分間溶解混合して樹脂溶液とした。その後、実施例28では銅箔のM面(高光沢面)に、実施例8では銅箔の極薄銅表面に、リバースロール塗工機を用いて前記樹脂溶液を塗工し、窒素雰囲気下で、120℃で3分間、160℃で3分間乾燥処理後、最後に300℃で2分間加熱処理を行い、樹脂層を備える銅箔を作製した。なお、樹脂層の厚みは2μmとした。
得られた樹脂層を有するキャリア付銅箔を、当該樹脂層側から厚み100μmの三菱ガス化学株式会社製のBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂の両面に張り合わせた。そして、キャリア付銅箔のキャリアを剥離し、両面銅張積層板を作成した。その後、露出した極薄銅層表面側からパルスレーザーの照射を行い、スルーホールを形成した。その結果、実施例10のキャリア付銅箔を用いて作製した両面銅張積層板の方が、スルーホールを形成するために必要であったレーザーのパルス回数(ショット数)が、比較例1のキャリア付銅箔を用いて作製した両面銅張積層よりも少なかった。そのため、実施例10のキャリア付銅箔を用いて作製した両面銅張積層板の方が、生産性が高いと考えられる。
2.キャリア付銅箔の評価
上記のようにして得られたキャリア付銅箔について、以下の方法で各評価を実施した。
<極薄銅層の表面粗さ>
極薄銅層の表面粗さRz(レーザー)を、JIS B0601−1994に準拠して、オリンパス社製レーザー顕微鏡OLS4000にて測定した。Rz(レーザー)を任意に10箇所測定し、そのRz(レーザー)の10箇所の平均値をRz(レーザー)の値とした。
なお、Rzについて、極薄銅層及びキャリア表面の倍率1000倍観察において評価長さ647μm、カットオフ値ゼロの条件で、キャリアとして用いた電解銅箔の製造装置における電解銅箔の進行方向と垂直な方向(TD)の測定で、それぞれ値を求めた。レーザー顕微鏡による表面のRzの測定環境温度は23〜25℃とした。
<マイグレーション>
各キャリア付銅箔(実施例10と比較例1については樹脂層を形成する前のキャリア付銅箔)(550mm×550mmの正方形)の極薄銅層表面上に、DF(ドライフィルム、日立化成社製、商品名RY−3625)をラミネート塗布した。15mJ/cm2の条件で露光し、現像液(炭酸ナトリウム)を用いて38℃で1分間液噴射揺動し、ラインアンドスペース(L/S)=7.5μm/7.5μmでレジストパターンを形成した。次いで、硫酸銅めっき(荏原ユージライト製CUBRITE21)を用いて7.5μmめっきUPしたのち、剥離液(水酸化ナトリウム)でDFを剥離して、極薄銅層表面に、一つ当たり55mm×55mmの大きさの領域毎に、ラインアンドスペース(L/S)=7.5μm/7.5μmの銅めっき配線を形成した。その後、前記形成した銅めっき配線を埋め込むように樹脂(BT(ビスマレイミドトリアジン)レジン)を極薄銅層表面に積層し、更に前記樹脂の上にJX日鉱日石金属株式会社製の電解銅箔JTC箔(厚み18μm)を光沢面側から積層した。その後加圧下で220℃で2時間加熱し、キャリア付銅箔と樹脂と電解銅箔との積層体を作製した。その後、キャリア付銅箔のキャリアを積層体から除去した後、露出した極薄銅層を硫酸−過酸化水素系のエッチャントでエッチング除去してL/S=7.5μm/7.5μmの配線を形成した。得られた配線基板から、上述した一つ当たり55mm×55mmの大きさの領域に従って配線基板を100個切り出した。
得られた各配線基板に対して、マイグレーション測定機(IMV製 MIG−9000)を用いて、以下の測定条件で、配線パターン間の絶縁劣化の有無を評価した。100個の配線基板についてマイグレーションが発生した基板の数を評価することで、短絡(マイグレーション)発生率〔=(マイグレーション発生数/100個)×100〕(%)を算出した。
・測定条件
閾値:初期抵抗60%ダウン
測定時間:1000h
電圧:60V
温度:85℃
相対湿度:85%RH
<光吸収性>
光吸収性は以下の様に測定した。
各キャリア付銅箔の極薄銅層表面の、波長が400nmである光の全反射率を測定し、以下の式により波長が400nmである光の吸収率を測定した。なお、本発明において光の波長が400nmである場合の、光の吸収率を測定している理由は、銅めっき回路を形成する際の銅めっきレジストとなるドライフィルムを露光する際に用いられる光の波長が概ね400nm程度であるためである。
〔波長が400nmである光の吸収率〕(%)=100(%)−〔波長が400nmである光の全反射率〕(%)
ここで、光の全反射率の測定は200nm〜2600nmについて行い、波長が400nmである場合の、光の全反射率の測定値を採用した。
なお、上記光の全反射率の測定は、各キャリア付銅箔のサンプルシートの長辺方向において、両端から50mm以内の領域内の各1箇所、中央部の50mm×50mmの領域内の1箇所の合計3箇所について行った。当該3箇所の測定箇所を図5に示す。
そして、3箇所で測定した波長が400nmである光の全反射率の値の算術平均の値を、当該サンプルシートの波長が400nmである光の全反射率とした。なお、サンプルの大きさが小さい場合には、上述の両端から50mm以内の領域ならびに中央部の50mm×50mmの領域は重なってもよい。
<測定装置>
U−4100(日立製作所製、紫外可視近赤外分光光度計(固体))
<測定条件>
測定方法:全反射法(リファレンス:酸化アルミニウム製標準白板)
モード:全反射
測定モード:波長スキャン
データモード:%R
測定開始波長:2600.00nm
測定終了波長:200.00nm
サンプリング間隔:1.00nm
入射角:上記測定装置の推奨する設定(10°)とした。
検出器:積分球/光電子倍増管 (200nm〜850nm)
:積分球/PbS (850nm〜2600nm)
検出器切換波長:850nm
ホトマル電圧:自動1
光源切換モード:自動切換
光源切換波長:340.00nm
ベースライン設定:上記測定装置の推奨する設定とした。
高分解能測定:OFF
減光板減衰率:減光板未使用
セル長:10.0mm
・紫外可視領域(波長:200nm〜850nm)
スキャンスピード:300nm/min
スリット幅:6.00nm(固定)
・近赤外領域(波長:850nm〜2600nm)
スキャンスピード:750nm/min
スリット幅:自動制御
PbS感度:2
検出器切換補正:補正なし
光量制御モード:固定
<回路形成性(回路脱落率)>
各キャリア付銅箔(実施例10と比較例1については樹脂層を形成する前のキャリア付銅箔)(550mm×550mmの正方形)の極薄銅層表面上に、DF(ドライフィルム、日立化成社製、商品名RY−3625)をラミネート塗布した。15mJ/cm2の条件で露光し、現像液(炭酸ナトリウム)を用いて38℃で1分間液噴射揺動し、ラインアンドスペース(L/S)=7.5μm/7.5μmでレジストパターンを形成した。次いで、硫酸銅めっき(荏原ユージライト製CUBRITE21)を用いて7.5μmめっきUPしたのち、剥離液(水酸化ナトリウム)でDFを剥離して、極薄銅層表面に、一つ当たり55mm×55mmの大きさの領域毎に、ラインアンドスペース(L/S)=7.5μm/7.5μmの銅めっき配線を形成した。そして、前述の55mm×55mmの大きさの領域に従ってサンプルを100個切り出した。そして得られたサンプルについてAOI検査を行い、銅めっき配線が脱落しているサンプルの個数を測定した。そして以下の式を用いて回路脱落率を評価した。
回路脱落率(%)=銅めっき配線が脱落しているサンプルの数(個)/100(個)×100(%)
試験条件及び評価結果を表1〜3に示す。
(評価結果)
実施例1〜10はいずれも極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が85%以上であるため、回路形成性が良好であった。
比較例1〜15はいずれも極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が85%未満であるため、回路形成性が不良であった。

Claims (28)

  1. キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に有するキャリア付銅箔であって、
    前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が85%以上であり、
    前記極薄銅層は前記キャリアから引き剥がしにより剥離可能であるキャリア付銅箔。
  2. 前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が87%以上である請求項1に記載のキャリア付銅箔。
  3. 前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が90%以上である請求項2に記載のキャリア付銅箔。
  4. 前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が91%以上である請求項3に記載のキャリア付銅箔。
  5. 前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が92%以上である請求項4に記載のキャリア付銅箔。
  6. 前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が93%以上である請求項5に記載のキャリア付銅箔。
  7. 前記極薄銅層表面の波長が400nmである光の吸収率が95%以上である請求項6に記載のキャリア付銅箔。
  8. 前記極薄銅層の表面を、JIS B0601−1994に準拠してレーザー顕微鏡で測定したとき、前記表面の粗さRzの平均値が1.7μm以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  9. 前記キャリアが電解銅箔または圧延銅箔で形成されている請求項1〜8のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  10. 前記極薄銅層及び前記キャリアの少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に粗化処理層を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  11. 前記粗化処理層が、銅、ニッケル、コバルト、リン、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層である請求項10に記載のキャリア付銅箔。
  12. 前記粗化処理層の表面に、樹脂層を備える請求項10又は11に記載のキャリア付銅箔。
  13. 前記粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する請求項10又は11に記載のキャリア付銅箔。
  14. 前記極薄銅層及び前記キャリアの少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  15. 前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層の上に樹脂層を備える請求項13又は14に記載のキャリア付銅箔。
  16. 前記極薄銅層上に樹脂層を備える請求項1〜15のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  17. 前記樹脂層が接着用樹脂である請求項12、15及び16のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  18. 前記樹脂層が半硬化状態の樹脂である請求項12、15〜17のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント配線板。
  20. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント回路板。
  21. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造した銅張積層板。
  22. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔と感光性絶縁基板とを準備する工程、
    前記キャリア付銅箔と前記絶縁基板とを積層する工程、
    前記キャリア付銅箔と前記絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
    その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法。
  23. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路を形成する工程(スクリーン印刷によりエッチングレジストを塗布して回路を形成する工程およびスクリーン印刷により導電性ペーストを塗布して回路を形成する工程を除く)、
    前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアを剥離させる工程、及び、
    前記キャリアを剥離させた後に、前記極薄銅層を除去することで、前記極薄銅層側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  24. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路をめっきにより形成する工程、
    前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアを剥離させる工程、及び、
    前記キャリアを剥離させた後に、前記極薄銅層を除去することで、前記極薄銅層側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  25. 前記樹脂層上に回路を形成する工程が、前記樹脂層上に別のキャリア付銅箔を極薄銅層側から貼り合わせ、前記樹脂層に貼り合わせたキャリア付銅箔を用いて前記回路を形成する工程である請求項23又は24に記載のプリント配線板の製造方法。
  26. 前記樹脂層上に貼り合わせる別のキャリア付銅箔が、請求項1〜18のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔である請求項25に記載のプリント配線板の製造方法。
  27. 前記樹脂層上に回路を形成する工程が、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法の何れかの方法によって行われる請求項23〜26の何れか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
  28. キャリアを剥離する前に、キャリア付銅箔のキャリア側表面に基板を形成する工程を更に含む請求項23〜27の何れか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
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