JP2015162589A - 赤外光検出器、赤外顕微鏡、および、赤外分光器 - Google Patents

赤外光検出器、赤外顕微鏡、および、赤外分光器 Download PDF

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Abstract

【課題】1つの検出器で複数の波長の光を高感度で検知可能なCSIPを実現すること。【解決手段】単一の検知器でn色(nは2以上の整数)の光(波長:λ1、λ2、・・・λn)を検知するために、基底サブバンド(ε0)と第1励起サブバンドのエネルギー準位(ε1)の差Δεが異なる上部量子井戸をn層重ねる。つまり、第1電子層を多重量子井戸層とする。n=2の場合、入射赤外光の入射面側の第1の量子井戸とその下方の第2の量子井戸を設け、第1の量子井戸の基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δε1と、第2の量子井戸の基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δε2を、Δε1>Δε2となるように設計する。このような構成とすることで、例えば、第1の量子井戸により9μmの波長の光が、第2の量子井戸により15μmの波長の光が検出され、1つの検出器で複数の波長の光が高感度で検知できる。【選択図】図3

Description

本発明は赤外光計測技術に係り、特に、赤外領域の複数の波長の光を高感度で検知することを可能とする赤外光検出器、並びに、それを用いた赤外顕微鏡および赤外分光器に関する。
生体活動や分子運動などの観察等において非常に重要となるスペクトル領域を多く含む中赤外〜遠赤外波長帯(5μm〜100μm)は、可視領域や近赤外領域と比べて光子エネルギーが極端に小さく、また、膨大な背景輻射に晒される領域でもあるため、微弱光を検出することが非常に困難である。
従来から赤外検出器として使われているものとしては、光伝導型または光起電力型のMCT(Mercury Cadmium Telluride)や量子井戸型のQWIP(Quantum Well Infrared Photodetector)などがある。しかし、それらの検出器では、1光子(単一光子)により励起される電子が最大で1つであるために増幅効果がなく、その結果、検出感度には限界がある。
このような問題に鑑み、本発明者らは、GaAs/AlGaAs二重量子井戸構造による超高感度のテラヘルツ(THz)検出器(CSIP:Charge-Sensitive Infrared Phototransistor)の研究開発を行ってきている。
本願発明者により次に説明する現象を利用した赤外光検出器が提案されている(たとえば、特許文献1を参照)。すなわち、赤外光がマイクロストリップ・アンテナ等によって量子ドット等、周囲から電気的に孤立した2次元電子層に集中される。これにより孤立2次元電子層に垂直な振動電場が生成される。そして、孤立2次元電子層における電子がこの振動電場により励起されて基底サブバンドから励起サブバンドに遷移し、さらに孤立2次元電子層からその直下に配置された電荷敏感トランジスタのソース電極等に脱出する。これにより孤立2次元電子層が正に帯電する。そして、孤立2次元電子層から脱出する電子数が徐々に増加することにより孤立2次元電子層の帯電量も徐々に増加し、さらには電荷敏感トランジスタの電気伝導度も増加する。
当該現象を利用した赤外光検出器によれば、単一の赤外光子がアンテナに入射されたことが電荷敏感トランジスタの電流変化に基づいて検知されうるので、赤外光が高感度で検出されうる。
つまり、本発明者らの開発によるCSIPは、ゲート電圧によって電気的に孤立した量子井戸(Isolated QW)である上部量子井戸(U-QW)と、伝導層としての下部量子井戸(L-QW)を備えている。
ゲート電圧によって電気的に孤立した上部量子井戸(U-QW)に光子が入射すると、サブバンド間遷移によって電子が励起される。この励起された電子は、上部量子井戸(U-QW)から下部量子井戸(L-QW)へと傾斜するエネルギーバンドに従って下部量子井戸(L-QW)へと移動する。
このとき、上部量子井戸(U-QW)は電子を失った状態にあるため、正に帯電する。換言すれば、上部量子井戸(U-QW)は正孔が蓄積された状態となる。下部量子井戸(L-QW)はその帯電状態を感じ取り、ゲート電圧によって電気的に孤立した上部量子井戸(U-QW)が正に帯電している間は、下部量子井戸(L-QW)へと電流が流れ続けることとなる。
上部量子井戸(U-QW)の正孔のライフタイムは1時間を超えるため、その間は下部量子井戸(L-QW)へと電流が流れ続けることとなり、CSIPに入射した光子1個により、上部量子井戸(U-QW)から下部量子井戸(L-QW)へと流れる電子は1億個を超え、莫大な増幅率が得られる。
なお、光子が入射し続けると、通常、数10msで上部量子井戸(U-QW)の正孔が飽和してしまうが、リセットゲートに周期的に正のパルス(0.1Hz〜10KHz)を加えて孤立量子井戸(Isolated QW)を中和させることとすれば、半永久的な検知が可能である。
このようなCSIPの検出感度を、雑音等価パワー(NEP: Noise Equivalent Power)で評価すると、検出波長14.5μm、動作温度4.2Kにおいて、7×10-20W/Hz1/2であり、MCTやQWIPと比較して、2〜4桁も高い感度を示す。このような高感度性のため、本発明者らの実験によれば、CSIPにより単一光子検出が可能であることが確認されている。
なお、CSIPの構造の詳細については、本発明者らによる既に出願済みの特許明細書(特許文献2〜5)も参照されたい。
国際公開公報WO2006/006469A1 特許第4281094号明細書 特許第5123889号明細書 特許第5240748号明細書 国際公開公報WO2010/137423A1
このように、極めて高い感度を有する検出器であるCSIPであるが、従来の構成のものは、「単一波長のみ」の検出に留まっているという問題がある。上述したように、CSIPは、半導体量子井戸中の2次元サブバンド間遷移を利用している。このため、検出波長は量子井戸幅に強く依存し、帯域幅も10%程度と狭い。例えば、検出波長が15μmのCSIPであれば、その帯域幅は1.5μm程度である。
仮に多色型のCSIP検出器が実現すれば、その高感度性と相俟って、バイオ、医療、化学、製薬などの様々な分野での強力な研究開発ツールとなることが期待される。加えて、CSIP検出器は波長30μm以上の領域もカバーするため、宇宙分野において、例えば、天体観測衛星の宇宙線検出器としての利用も期待できる。
さらに、斯かる多色型のCSIP検出器を近接場顕微鏡等に応用すれば、超高感度・超高分解能パッシブ型のTHz近接場顕微鏡も実現されることとなり、当該THz近接場顕微鏡は試料表面の電磁場や熱揺らぎをナノスケールで観察できる性質上、物性物理分野のみならず、バイオ、医療、化学、工学など様々な分野での応用が期待できる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、1つの検出器で複数の波長の光を高感度で検知可能なCSIPを実現することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る赤外光検出器は、2次元電子層としての第1電子層と、入射赤外光に応じて前記第1電子層に垂直な振動電場成分を生成することにより、前記第1電子層における電気的な孤立領域の電子を励起し、前記孤立領域に形成されている量子井戸のサブバンドの間で遷移させる光結合機構と、前記光結合機構により励起された電子が前記孤立領域から流出した結果として前記孤立領域の帯電量が変化することによって電気伝導度が変化する、前記第1電子層の下方に中間絶縁層を介して配置された第2電子層と、前記孤立領域が外部電子系から電気的に遮断されている遮断状態と、前記外部電子系と電気的に接続されている接続状態とを切り替える状態制御機構とを備え、前記第1電子層には、少なくとも、前記入射赤外光の入射面側に設けられた第1の量子井戸と、前記第2電子層側に設けられた第2の量子井戸の2つの量子井戸が設けられており、前記第1の量子井戸の基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δε1と、前記第2の量子井戸の基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δε2は、Δε1>Δε2となるように設計されており、前記第2電子層の電気伝導度の変化を検出することにより、前記入射赤外光を検出することを特徴とする。
好ましくは、前記第1の量子井戸と前記第2の量子井戸の間に設けられるポテンシャル障壁層の幅WBは、m*を電子の有効質量、UBを該ポテンシャル障壁層のポテンシャル・エネルギー、ε0を前記第1の量子井戸の基底サブバンド、hをプランク定数としたときに、λp=(h/2π)/[2m*(UB−ε0)]1/2で表される電子の侵入長λpの4乃至6倍(WB=k・λp、k=4〜6)に設計される。
本発明に係る赤外光検出器は、前記状態制御機構が、前記第1電子層の上方において前記孤立領域と、前記第1電子層における前記外部電子系との接続領域とを区分するように形成された第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極に印加されるバイアス電圧を制御することにより、前記第1電子層において前記孤立領域と前記接続領域との間に形成される電位障壁の高低を調節する第1の電圧制御装置とを備えている、態様としてもよい。
また、本発明に係る赤外光検出器は、前記状態制御機構が、前記中間絶縁層とともに前記第1電子層を挟む上部絶縁層の上面において、前記電気的な孤立領域を横断するように設けられた複数の第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極に印加されるバイアス電圧を制御する第2の電圧制御装置を備え、それぞれの前記第2のゲート電極にバイアス電圧が印加されて前記第1電子層に電位障壁が形成されることにより、前記電気的な孤立領域が相互に電気的に独立している複数の孤立領域に分割される、態様としてもよい。
好ましくは、前記状態制御機構が、前記第2電子層または前記第2電子層に接続されているオーミックコンタクトを前記外部電子系として、前記遮断状態と前記接続状態とを赤外光検出時に切り替える態様とする。
また、好ましくは、前記状態制御機構が、前記遮断状態における前記第2電子層の電気伝導度の変化態様に基づいて前記遮断状態を前記接続状態に切り替える態様とする。
さらに、本発明に係る赤外光検出器は、前記状態制御機構が、前記孤立領域の真上に設けられた第3のゲート電極であって、前記孤立領域が上方に投影された形状の第3のゲート電極と、前記第3のゲート電極に印加されるバイアス電圧を制御することにより、前記第1電子層に設けられた前記第1の量子井戸を孤立化させる第3の電圧制御装置とを備えている、態様としてもよい。
好ましくは、前記第3のゲート電極は、10nm以下の厚みのNiCr膜からなる。
本発明に係る赤外顕微鏡および赤外分光器は何れも、上述の赤外光検出器を備えている。
本発明に係る赤外光検出器は、サブバンド間遷移を起こす上部量子井戸を複数層設けることとし、入射赤外光の入射面側に設けられた量子井戸の基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δεが、その下方に設けられた量子井戸のΔεよりも大きくなるように配置することとした。
これにより、上記それぞれの量子井戸のΔεに相当するエネルギー(波長)の光を、単一の検出器で、高感度で検知することが可能となる。
また、前記状態制御機構が、前記第1のゲート電極と前記第1の電圧制御装置とを備えている態様とすれば、外部電子系から孤立領域に電子が流出し当該電子が孤立領域にたまっていた正電荷と結合することにより孤立領域の帯電量が速やかに0にリセットされて信号の飽和を解消することができることに加え、特定の量子井戸のみをリセットすることにより、複数の波長の光のうちの特定波長の光に起因する信号を区別することができる。
さらに、前記状態制御機構が、前記第2のゲート電極と、前記第2の電圧制御装置とを備えている態様とすることによっても、特定の量子井戸のみを孤立化させることにより、複数の波長の光のうちの特定波長の光に起因する信号を区別することができる。
本発明に係る赤外光検出器の主要部の構成の一例を説明するための図である。 図2(a)は図1のIIa−IIa線断面図であり、図2(b)は図1のIIb−IIb線断面図である。 図3(a)は遮断状態の初期における基板の深さ方向(−z方向)のエネルギーダイヤグラムである。図3(b)は第1電子領域の帯電量増加が停止して飽和した状態の基板の深さ方向(−z方向)のエネルギーダイヤグラムである。 本発明の赤外光検出器の光結合機構の構成説明図である。 本件発明の赤外光検出器が備える第1電子層(多重量子井戸層)のエネルギーダイヤグラムの一例を示す図である。 第1電子層の第1の量子井戸を孤立化させるための第3のゲート電極を設ける態様の赤外光検出器の主要部の構成の一例を説明するための図である。 第3のゲート電極に負のバイアス電圧を印加した際に、第1の量子井戸(QW1)のみが空乏化して「孤立化」した結果、波長9μmの光に起因する信号が消え、波長15μmの光に起因する信号のみが検出される様子を示した図である。 9μmの波長の光を検出するためのQW1と15μmの波長の光を検出するためのQW2を備えた、実施例に示した赤外光検出器の主要部の層構造を説明するための図である。 図8に示した層構造のバンドダイヤグラムである。 第1の量子井戸QW1により9μmの波長の光が、第2の量子井戸QW2により15μmの波長の光が検出されていることを示す図である。
以下に、図面を参照して、本発明に係る赤外光検出器について具体的に説明する。
[赤外光検出器の主要部の構成例]
図1は、本発明に係る赤外光検出器の主要部の構成の一例を説明するための図である。赤外光検出器100は、第1電子層102と、第2電子層104と、光結合機構110と、第1ゲート電極111と、第2ゲート電極112と、第1電圧制御装置(またはパルスジェネレータ)113と、第2電圧制御装置114とを備えている。説明の便宜のために図1に示されているようにx軸、y軸およびz軸を定義する。
後述するように、本発明に係る赤外光検出器は、2次元電子層としての第1電子層と、入射赤外光に応じて前記第1電子層に垂直な振動電場成分を生成することにより、前記第1電子層における電気的な孤立領域の電子を励起し、前記孤立領域に形成されている量子井戸のサブバンドの間で遷移させる光結合機構と、前記光結合機構により励起された電子が前記孤立領域から流出した結果として前記孤立領域の帯電量が変化することによって電気伝導度が変化する、前記第1電子層の下方に中間絶縁層を介して配置された第2電子層と、前記孤立領域が外部電子系から電気的に遮断されている遮断状態と、前記外部電子系と電気的に接続されている接続状態とを切り替える状態制御機構とを備え、前記第1電子層には、少なくとも、前記入射赤外光の入射面側に設けられた第1の量子井戸と、前記第2電子層側に設けられた第2の量子井戸の2つの量子井戸が設けられており、前記第1の量子井戸の基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δε1と、前記第2の量子井戸の基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δε2は、Δε1>Δε2となるように設計されており、前記第2電子層の電気伝導度の変化を検出することにより、前記入射赤外光を検出する。
図2(a)は図1のIIa−IIa線断面図であり、図2(b)は図1のIIb−IIb線断面図である。赤外光検出器100は、たとえば特許文献1に開示されている構成の半導体多層ヘテロエピタキシャル成長基板から作成されているので、図2(a)および図2(b)に示されているような層構造を有している。
当該基板は、上部絶縁層(GaAs層+Si−Al0.3Ga0.7As層)101、2次元電子層としての第1電子層(GaAs層)102、中間層(AlxGa1-xAs層)103、第1電子層102に対して平行に配置されている他の2次元電子層としての第2電子層(GaAs層)104、下部絶縁層(Al0.3Ga0.7As層+Si−Al0.3Ga0.7As層+Al0.3Ga0.7As層)105およびn型GaAs基板106が上から順にヘテロ接合された構造となっている。
図3(a)は遮断状態の初期における基板の深さ方向(−z方向)のエネルギーダイヤグラムである。
中間層103の組成比xは、遮断状態の初期において基板の深さ方向(−z方向)について図3(a)に示されているようなエネルギーダイヤグラムが形成されるように調節されている。
第1電子層102は図1に示されているようにx方向に伸びる帯状領域の中腹部から4本の線状領域が延設されている形状に形成されている。
第2ゲート電極112は中間絶縁層103とともに第1電子層102を挟む上部絶縁層101の上面において、第1電子層102に形成される電気的な孤立領域を横断するように設けられており、第2電圧制御装置114により第2ゲート電極112に印加されるバイアス電圧が制御される。このバイアス電圧制御により、第1電子層102に電位障壁が形成され、電気的な孤立領域が相互に電気的に独立している複数の孤立領域に分割される。
つまり、図1に示した構成の赤外光検出器は、前記状態制御機構が、前記中間絶縁層とともに前記第1電子層を挟む上部絶縁層の上面において、前記電気的な孤立領域を横断するように設けられた複数の第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極に印加されるバイアス電圧を制御する第2の電圧制御装置を備え、それぞれの前記第2のゲート電極にバイアス電圧が印加されて前記第1電子層に電位障壁が形成されることにより、前記電気的な孤立領域が相互に電気的に独立している複数の孤立領域に分割される。
その結果、第1電子層102には、電気的に遮断されている複数の孤立2次元電子領域(第1電子領域)がx方向に配列して形成される。複数の第1電子領域のそれぞれにおいて、遮断状態の初期段階では図3(a)に示されているように−z方向に量子井戸が形成され、基底サブバンド(エネルギー順位ε0)および励起サブバンド(エネルギー準位ε1(>ε0))が形成されている。
第2電子層104は第1電子層102とほぼ同じ形状に形成され、第1電子層102の下方に同じ姿勢で配置されている。すなわち、第2電子層104は第1電子層102がそのまま下方(−z方向)に投影されたような形状に形成されている。第2電子層104には、z方向について複数の第1電子領域に対向するとともにx方向に延びる伝導チャネル120が形成されている。伝導チャネル120は、図3(a)に示されているように−z方向について遮断状態の初期段階における第1電子領域に形成されている量子井戸の励起サブバンドよりも低いエネルギーレベルを有する。なお、この際、伝導チャネル120において第1電子領域に対向する第2電子領域のそれぞれのフェルミ準位(電気化学ポテンシャル)は、対応する第1電子領域のそれぞれのフェルミ準位(電気化学ポテンシャル)に等しい。
第1電子層102および第2電子層104は、x方向の一方の端部において第1オーミックコンタクト(ドレイン電極)122に接続され、x方向の他方の端部において第2オーミックコンタクト(ソース電極)124に接続されている。第1オーミックコンタクト122および第2オーミックコンタクト124に接続された電流計128によって伝導チャネル120のx方向(指定方向)の電流または電気伝導度が測定される。また、第1電子層102および第2電子層104は、複数の線状領域のそれぞれの先端部において第3オーミックコンタクト126に接続されている。これにより、x方向(指定方向)に配列されている複数の孤立2次元電子領域(第1電子領域)のそれぞれが、伝導チャネル120において第1電子領域に対向する第2電子領域に第3オーミックコンタクト126を通じて電気的に接続されうる。
光結合機構110は図2(a)(b)に示されているように上部絶縁層101の上側に設けられている金属薄膜により構成されている。金属薄膜の厚さは約0.1[μm]である。
金属薄膜には図4(a)に示されているように相互に離れている複数の窓が形成されている。複数の窓は少なくともx方向およびy方向のそれぞれについて並進対称性を有するような姿勢で周期的に配列されている。入射赤外光の波長λと、第1電子層102を含む基板(上部絶縁層101など)の屈折率nとに基づき、複数の窓の配列周期pが0.70〜0.90(λ/n)の範囲に収まるように設定されている。たとえば、窓の配列周期pは基板(屈折率n≒3.57)における赤外線の波長λ/n≒4.1[μm]に基づいて約3.5[μm]に設定されている。なお、窓の配列周期pはx方向およびy方向のそれぞれについて同一であっても異なっていてもよい。
窓のそれぞれは内角の一部が鈍角である多角形状に形成されている。たとえば、図4(b)に示されているように窓(黒部分)は四隅に角(好ましくは直角)を有する2本の直線分が相互に中央で直交しているような形状、すなわち、十字形状に形成されている。複数の窓の配列方向について、各窓のサイズlが0.60〜0.80pの範囲に収まるように設定されている。たとえば、x方向に延びる線分およびy方向に延びる線分のそれぞれの長さlは約2.3[μm]に設定されている。当該線分の幅wは約0.5[μm]に設定されている。
光結合機構110は第1電子領域に赤外光子を集中させて第1電子層102に垂直な振動電場成分を生成することにより第1電子領域の電子を励起して基底サブバンドから励起サブバンドに遷移させる。なお、光結合機構110としては、マイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)、グレーティングまたは基板(たとえば上部絶縁層101)に形成された傾斜角度45°の傾斜面等、入射赤外光から第1電子層102に垂直な電場成分を生成するためのさまざまな機構が採用されてもよい。
[上記構成の赤外光検出器の機能]
続いて、上記構成の赤外光検出器の機能について説明する。
第1ゲート電極111に負のバイアス電圧V1Gが印加されることにより、第1ゲート電極111の下方に電位障壁が形成される。また、第2ゲート電極112のそれぞれに負のバイアス電圧V2Gが印加されることにより、第2ゲート電極112のそれぞれの下方に電位障壁が形成される。5つの第2ゲート電極112のうち両端にある一対の第2ゲート電極112により形成された電位障壁によって、単一の第1電子領域(孤立2次元電子領域)が形成される。内側にある3つの第2ゲート電極112による電位障壁によって、当該単一の第1電子領域が、相互に電気的に独立した4つの第1電子領域に分割される。
赤外光検出器100に赤外光が入射すると、光結合機構110により複数の第1電子領域のそれぞれに垂直な方向(z方向)に振動電場が形成される。その結果、第1電子領域のそれぞれにおいて、前記のように電子が励起された上で量子井戸から脱出するとともに、伝導チャネル120に流入する(図3(a)参照)。そして、遮断状態における第1電子領域のそれぞれと、伝導チャネル120における第2電子領域のそれぞれとが中間層103を挟んだコンデンサとして機能し、第1電子領域のそれぞれに正電荷が蓄えられる。
第1電子領域の正の帯電量ΔQが増加することにより、中間層103におけるエネルギー高低差が消失した状態になると、第1電子領域の帯電量増加が停止して飽和する(図3(b)参照)。
ここで、伝導チャネル120の電気伝導度の変化が飽和する前に、第1電圧制御装置113により第1ゲート電極111へ印加する負のバイアス電圧の絶対値が下げられる。例えば、第1ゲート電極111に「正」のパルスを入れて、一時的に第1ゲート電極111に印加するバイアス電圧を−0.6Vから−0.2Vとすることにより、第1電子領域と第3オーミックコンタクト126との間に存在した電位障壁が解消され、第1電子領域が遮断状態から接続状態に切り替えられる。そして、外部電子系としての第2電子領域から第1電子領域に電子が流入し、この電子が正電荷と結合することによって第1電子領域の帯電量が0に速やかにリセットされる。
その後、第1電子領域のそれぞれが接続状態から遮断状態に切り替えられた上で、前記のように伝導チャネル120の電気伝導度の変化が繰り返し検出される。これにより、電流計128の測定値に基づいて伝導チャネル120の電気伝導度の変化を検出することにより入射した赤外光の積分値が高感度で検出されうる。
つまり、上記態様においては、前記状態制御機構が、前記第2電子層または前記第2電子層に接続されているオーミックコンタクトを前記外部電子系として、前記遮断状態と前記接続状態とを赤外光検出時に切り替える。
斯かる構成とすることにより、遮断状態において第1電子層の孤立領域から第2電子層または第2電子層に接続されたオーミックコンタクトに電子を流出させることによって、前記のように孤立領域の帯電量および第2電子層の電気伝導度を変化させることができる。一方、接続状態において第2電子層または当前記オーミックコンタクトから第1電子層の孤立領域に電子を流入させることによって、前記のように孤立領域の帯電量を0にリセットすることができる。
また、上記態様においては、前記状態制御機構が、前記遮断状態における前記第2電子層の電気伝導度の変化態様に基づいて前記遮断状態を前記接続状態に切り替える。
斯かる構成とすることにより、遮断状態において第2電子層の電気伝導度の変化率が飽和する前に、遮断状態が接続状態に切り替えられるので、当前記飽和の影響を除去することによる赤外光の検出精度の向上が図られる。
[第1電子層(多重量子井戸層)]
次に、本件発明に係る赤外光検出器(CSIP)が備える第1電子層(多重量子井戸層)について説明する。
先ず、本件発明に係る赤外光検出器(CSIP)が備える第1電子層(多重量子井戸層)を設計するに際しての、基本的な考え方について説明する。
本発明では、単一の検知器でn色(nは2以上の整数)の光(波長:λ1、λ2、・・・λn)を検知するために、基底サブバンド(ε0)と第1励起サブバンドのエネルギー準位(ε1)の差Δεが異なる上部量子井戸(U-QW)をn層重ねる。つまり、第1電子層を多重量子井戸層とする。
上記波長がλ1<λ2<・・・<λnで、各波長の光のエネルギーがhν1>hν2>・・・>hνnだとすると、各波長のエネルギーに対応付けられるn個の量子井戸(Δε1>Δε2>・・・>Δεn)を、Δεが大きい順に、入射赤外光の入射面側から第2電子層(下部量子井戸)側へと重ねる。ここで、i番目の量子井戸のΔεiは、Δεi=hνiの関係を満足するように設計される。
その様子を図5に概念的に示した。図中、Wiはi番目の量子井戸の幅であり、WB iはi番目の量子井戸と(i+1)番目の量子井戸との間隔(ポテンシャル障壁の幅)である。なお、上記i番目の量子井戸の幅Wiは、公知の計算手法に基づき、hνiの値から求めることができる。また、各量子井戸の基底サブバンド(ε0)については、近似的に、何れの量子井戸のε0も等しい(ε0 1=ε0 2=・・・=ε0 n)としてバンド設計してよい。
上記ポテンシャル障壁の幅WB iは、i番目の量子井戸の基底状態(ε0 i)にある電子が、隣接する(i+1)番目の量子井戸の基底状態(ε0 i+1)にトンネル効果により移動することがないように、m*を電子の有効質量、UB iをi番目の量子井戸と(i+1)番目の量子井戸に挟まれたポテンシャル障壁層のポテンシャル・エネルギー、hをプランク定数としたときに、下式で表されるポテンシャル障壁への電子の侵入長(λp i)よりも充分に大きな値とすることが好ましい。例えば、侵入長λp iの4乃至6倍程度の値とする(WB i=k・λp i、k=4〜6)。
λp=(h/2π)/[2m*(UB−ε0)]1/2
量子井戸の母体となる結晶としては、Ga1-xAlxAsやInxGa1-xAsy1-yを例示することができる。Ga1-xAlxAsではAlの組成比xを適切に設定することにより所望のバンド構造を実現でき、InxGa1-xAsy1-yではInとAsの組成比xおよびyを適切に設定することにより所望のバンド構造を実現できる。
次に、上記第1電子層(多重量子井戸層)により、複数の波長を選択する(波長を区別する)手法について説明する。
複数の波長の選択(区別)の手法として、以下のような3つの方法を例示することができる。
最も簡単な手法は、検出器の前にフィルタ等を設け、予め分波された光をCSIPに入射させる方法である。例えば、第1電子層に2つの量子井戸を設け、光入射面側に波長9μmの光のエネルギーに対応する第1の量子井戸を設け、その下方に波長15μmの光のエネルギーに対応する第2の量子井戸を設けたCSIPを考えると、予め波長9μmの光のみをCSIPに入射させれば上記第1の量子井戸において励起された電子のみが検出信号に寄与し、その結果、波長9μmの光のみが検出される。同様に、予め波長15μmの光のみをCSIPに入射させれば上記第2の量子井戸において励起された電子のみが検出信号に寄与し、その結果、波長15μmの光のみが検出されることとなる。つまり、波長9μmの光と波長15μmの光を選択(区別)して検出することができる。
しかし、赤外光検出器としての実用性の観点からは、予め分波された光を入射させることなく、CSIP自身で複数の波長の光を高感度で検知可能であることが望ましい。
そのための手法のひとつとして、上述した第1のゲート電極(リセットゲート)に印加するバイアス電圧の掛け方を工夫する方法が考えられる。リセットゲートは、波長9μmの光のエネルギーに対応する第1の量子井戸(QW1)と波長15μmの光のエネルギーに対応する第2の量子井戸(QW2)の両方を電気的に孤立させることが可能である。
そこで、QW1とQW2の両方を開放する相対的に「強いリセット」を行う第1のリセット条件と、QW2のみを開放する相対的に「弱いリセット」を行う第2のリセット条件の2つの条件下で検出を行うこととし、両条件を例えば100ms毎に切り替えることとすると、第1のリセット条件下では波長9μmの光と波長15μmの光の両方に起因する信号が検出され、第2のリセット条件下では波長15μmの光に起因する信号のみが検出される。
そこで、第1のリセット条件下で検出された信号から、第2のリセット条件下で検出された信号を減算すれば、波長9μmの光に起因するはずの信号を得ることが可能である。
つまり、第1のゲート電極(リセットゲート)に印加するバイアス電圧の制御により、予め分波された光を入射させることなく、CSIP自身で複数の波長の光を高感度で検知可能となる。
もうひとつの手法として、上述のQW1を孤立化させるためのゲート電極を新たに設ける方法を例示することができる。
図6は、そのようなゲート電極を設けた態様の赤外光検出器の主要部の構成の一例を説明するための図である。図中に符号130で示したものが上記ゲート電極(第3のゲート電極)である。なお、この第3のゲート電極には、第3の電圧制御装置(不図示)から、第1電子層に設けられた第1の量子井戸の孤立化が可能な、制御されたバイアス電圧が印加される。
この態様では、前記状態制御機構が、前記孤立領域の真上に設けられた第3のゲート電極であって、前記孤立領域が上方に投影された形状の第3のゲート電極と、前記第3のゲート電極に印加されるバイアス電圧を制御することにより、前記第1電子層に設けられた前記第1の量子井戸を孤立化させる第3の電圧制御装置とを備えている。
第3のゲート電極は、例えば、NiCrを6nm程度の厚みで蒸着した薄い層であって、検出領域の真上に設けられている。NiCr膜は、THz波の透過率は高くないが、10nm以下程度の厚みであれば実質的にTHz波に対して「透明」として取り扱うこととして差し支えない。一方、このような厚みのNiCr膜であっても、電圧を印加するには十分である。
このような第3のゲート電極に所定の負のバイアス電圧を印加すると、上側に設けられた第1の量子井戸(QW1)のみを空乏化させて「孤立化」させることができるため、この状態で検知される信号は、波長15μmの光に起因する信号である。
そこで、第3のゲート電極にバイアス電圧を印加しない条件下で検出された信号、すなわち、波長9μmの光と波長15μmの光の両方に起因する信号から、上述の負のバイアス電圧印加条件下で検出された信号、すなわち、波長15μmの光に起因する信号を減算すれば、波長9μmの光に起因するはずの信号を得ることが可能である。
図7は、このような第3のゲート電極に負のバイアス電圧を印加した際に、第1の量子井戸(QW1)のみが空乏化して「孤立化」した結果、波長9μmの光に起因する信号が消え、波長15μmの光に起因する信号のみが検出される様子を示した図である。
図7(a)に示したように、第3のゲート電極に印加するバイアス電圧を0Vから−0.6Vまで変化させると、印加した負電圧値が高くなるにつれて波長9μmの光に起因する信号と波長15μmの光に起因する信号は何れも、減少する。これは、上側に設けられた第1の量子井戸(QW1)のみならず、その下方に設けられている第2の量子井戸(QW2)もまた、負のポテンシャルの影響を受けるためである。
しかし、上記の負のポテンシャルの影響は、第2の量子井戸(QW2)よりも第1の量子井戸(QW1)において大きい。このことは、図7(b)に示したように、波長9μmの光に起因する信号および波長15μmの光に起因する信号のそれぞれの減少率の、印加バイアス電圧依存性から確認できる。
そのため、所定の負のバイアス電圧(この例では−0.6V)を印加すると、上側に設けられた第1の量子井戸(QW1)のみが空乏化して「孤立化」するが、第2の量子井戸(QW2)においては斯かる空乏化には至らず「孤立化」することがなく、波長15μmの光に起因する信号のみが検出されることとなる。
本発明に係る赤外顕微鏡や赤外分光器では、上述したCSIPを、赤外顕微鏡や赤外分光器の検知部として用いる。その結果、本発明に係るCSIP検出器の高感度性のゆえに、バイオ、医療、化学、製薬などの様々な分野での強力な研究開発ツールとなることが期待される。特に、このCSIP検出器を近接場顕微鏡等に応用すれば、超高感度・超高分解能パッシブ型のTHz近接場顕微鏡が実現され、当該THz近接場顕微鏡は試料表面の電磁場や熱揺らぎをナノスケールで観察できる性質上、物性物理分野のみならず、バイオ、医療、化学、工学など様々な分野での応用が期待できる。
図8は、本実施例の赤外光検出器の主要部の層構造を説明するための図で、図9はそのバンドダイヤグラムである。この構造では、第1電子層には第1の量子井戸と第2の量子井戸が形成されている。第1の量子井戸は9μmの波長の光を検出するためのQW1であり、Siを5.0×1017cm-3ドープしたGaAsからなり、その幅は7nmとされ、基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δε1は129.8meVに設計されている。また、第2の量子井戸は15μmの波長の光を検出するためのQW2であり、Siを3.2×1017cm-3ドープしたGaAsからなり、その幅は9nmとされ、基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δε2は76.0meVに設計されている。
図10は、このような2つの量子井戸を設けたCSIPを用いて赤外光検出した際の、リセット電圧の印加(図10(a))および検出信号のスペクトル(図10(b))であり、第1の量子井戸QW1により9μmの波長の光が、第2の量子井戸QW2により15μmの波長の光が検出されていることが確認できる。
なお、以上の説明においては、上部量子井戸層(第1電子層)に、基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δεが異なる2つの量子井戸を設けた態様とし、2つの波長を区別して検出する例を示したが、第1電子層に形成される量子井戸の数は2に限られるものではなく、Δεが異なる3つ以上のn個の量子井戸を設けることとし、n個の波長を区別して検出することが可能であることは言うまでもない。
本発明により、1つの検出器で複数の波長の光を高感度で検知可能なCSIPが提供される。
100 赤外光検出器
101 上部絶縁層
102 第1電子層
103 中間層
104 第2電子層
105 下部絶縁層
106 n型GaAs基板
110 光結合機構
111 第1ゲート電極
112 第2ゲート電極
113 第1電圧制御装置
114 第2電圧制御装置
120 伝導チャネル
122第1オーミックコンタクト(ドレイン電極)
124 第2オーミックコンタクト(ソース電極)
126 第3オーミックコンタクト
128 電流計
130 第3ゲート電極

Claims (10)

  1. 2次元電子層としての第1電子層と、
    入射赤外光に応じて前記第1電子層に垂直な振動電場成分を生成することにより、前記第1電子層における電気的な孤立領域の電子を励起し、前記孤立領域に形成されている量子井戸のサブバンドの間で遷移させる光結合機構と、
    前記光結合機構により励起された電子が前記孤立領域から流出した結果として前記孤立領域の帯電量が変化することによって電気伝導度が変化する、前記第1電子層の下方に中間絶縁層を介して配置された第2電子層と、
    前記孤立領域が外部電子系から電気的に遮断されている遮断状態と、前記外部電子系と電気的に接続されている接続状態とを切り替える状態制御機構とを備え、
    前記第1電子層には、少なくとも、前記入射赤外光の入射面側に設けられた第1の量子井戸と、前記第2電子層側に設けられた第2の量子井戸の2つの量子井戸が設けられており、
    前記第1の量子井戸の基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δε1と、前記第2の量子井戸の基底サブバンドと励起サブバンドのエネルギー準位の差Δε2は、Δε1>Δε2となるように設計されており、
    前記第2電子層の電気伝導度の変化を検出することにより、前記入射赤外光を検出することを特徴とする、赤外光検出器。
  2. 前記第1の量子井戸と前記第2の量子井戸の間に設けられるポテンシャル障壁層の幅WBは、m*を電子の有効質量、UBを該ポテンシャル障壁層のポテンシャル・エネルギー、ε0を前記第1の量子井戸の基底サブバンド、hをプランク定数としたときに、λp=(h/2π)/[2m*(UB−ε0)]1/2で表される電子の侵入長λpの4乃至6倍(WB=k・λp、k=4〜6)に設計されている、請求項1に記載の赤外光検出器。
  3. 前記状態制御機構が、
    前記第1電子層の上方において前記孤立領域と、前記第1電子層における前記外部電子系との接続領域とを区分するように形成された第1のゲート電極と、
    前記第1のゲート電極に印加されるバイアス電圧を制御することにより、前記第1電子層において前記孤立領域と前記接続領域との間に形成される電位障壁の高低を調節する第1の電圧制御装置とを備えている、請求項1又は2に記載の赤外光検出器。
  4. 前記状態制御機構が、
    前記中間絶縁層とともに前記第1電子層を挟む上部絶縁層の上面において、前記電気的な孤立領域を横断するように設けられた複数の第2のゲート電極と、
    前記第2のゲート電極に印加されるバイアス電圧を制御する第2の電圧制御装置を備え、
    それぞれの前記第2のゲート電極にバイアス電圧が印加されて前記第1電子層に電位障壁が形成されることにより、前記電気的な孤立領域が相互に電気的に独立している複数の孤立領域に分割される、請求項1〜3の何れか1項に記載の赤外光検出器。
  5. 前記状態制御機構が、前記第2電子層または前記第2電子層に接続されているオーミックコンタクトを前記外部電子系として、前記遮断状態と前記接続状態とを赤外光検出時に切り替える、請求項1〜4の何れか1項に記載の赤外光検出器。
  6. 前記状態制御機構が、前記遮断状態における前記第2電子層の電気伝導度の変化態様に基づいて前記遮断状態を前記接続状態に切り替える、請求項1〜5の何れか1項に記載の赤外光検出器。
  7. 前記状態制御機構が、
    前記孤立領域の真上に設けられた第3のゲート電極であって、前記孤立領域が上方に投影された形状の第3のゲート電極と、
    前記第3のゲート電極に印加されるバイアス電圧を制御することにより、前記第1電子層に設けられた前記第1の量子井戸を孤立化させる第3の電圧制御装置とを備えている、請求項1〜6の何れか1項に記載の赤外光検出器。
  8. 前記第3のゲート電極は、10nm以下の厚みのNiCr膜からなる、請求項7に記載の赤外光検出器。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の赤外光検出器を備えている、赤外顕微鏡。
  10. 請求項1〜8の何れか1項に記載の赤外光検出器を備えている、赤外分光器。
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