JP2015159688A - 太陽光発電システムにおける性能検査装置及びプログラム - Google Patents

太陽光発電システムにおける性能検査装置及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】性能検査目的の設備を別途設けることなく性能検査の実施単位となる単位発電手段の発電性能の良否を判定する。【解決手段】データ収集部11は、全てのストリング2がパワーコンディショナー5に接続されているときに、パワーコンディショナー5から直流電力、日射強度及び気温の各測定データを収集する。その後、性能検査対象のストリング2のみがパワーコンディショナー5から切り離されているときに、パワーコンディショナー5から同様に各測定データを収集する。その後、性能検査対象のストリング2が再接続された後、パワーコンディショナー5から同様に各測定データを収集する。判定処理部12は、各測定データに基づき算出した基準状態換算電力に基づき性能検査対象のストリング2の性能の良否判定を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光発電システムにおける性能検査装置及びプログラムに関する。
近年では、太陽光発電システムが普及してきているが、太陽光発電電力の全量買取制度やメーカーによるモジュールの長期出力保証制度の開始により、ストリング単位での発電性能のオンサイト検査が重要となってきた。
従来においては、その検査の手法として、例えば接続箱に各ストリングからの電力の測定器を予め組み込むように構成したり、I−Vカーブ測定器を接続箱に含まれる各ブレーカーに接続して、I−VカーブやP−Vカーブを監視できるように構成する場合があった。
また、切替器を接続して太陽電池単位で切り離し、切り離した太陽電池の発電電力を測定して、切り離した太陽電池の良否を判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平11−103537号公報 特開平7−177652号公報 特開2013−69974号公報
しかしながら、従来においては、発電性能の不良の太陽電池(群)を検出するためには、各種測定器や切替器などの装置や配線等検査の実施のための設備を必要としているので、コストの増加を招くことになる。
本発明は、性能検査目的の設備を別途設けることなく性能検査の実施単位となる単位発電手段の発電性能の良否を判定することを目的とする。
本発明に係る太陽光発電システムにおける性能検査装置は、性能検査の実施単位となる複数の単位発電手段を有する太陽光発電手段と、パワーコンディショナーと、前記太陽光発電手段に含まれる前記各単位発電手段からの複数の配線をまとめて前記パワーコンディショナーに接続し、前記複数の単位発電手段が個々に発電した電気をまとめて前記パワーコンディショナーへ送る接続箱と、を有する太陽光発電システムにおける性能検査装置において、前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを接続状態時データとして収集する第1収集手段と、前記複数の単位発電手段のうち性能検査対象の単位発電手段のみが前記パワーコンディショナーから切り離されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを非接続状態時データとして収集する第2収集手段と、接続状態時データと非接続状態時データとの差分を前記性能検査対象の単位発電手段からの電気に基づく発電電力とみなして当該単位発電手段の発電性能の良否を判定する判定手段と、を有するものである。
また、前記第1収集手段により接続状態時データが収集されてから前記第2収集手段により非接続状態時データが収集された後、前記性能検査対象の単位発電手段が再度接続されることにより前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを再接続状態時データとして収集する第3収集手段を有し、前記判定手段は、接続状態時データと非接続状態時データとの差分及び非接続状態時データと再接続状態時データとの差分に基づき当該単位発電手段の発電性能の良否を判定するものである。
また、前記各収集手段が収集した発電電力の測定データに基づき発電電力の変動具合を示す電力変動情報を算出する電力変動情報算出手段と、前記電力変動情報を出力する出力手段と、を有するものである。
また、前記各収集手段が発電電力の測定データと共に収集した日射強度の測定データに基づき日射強度の変動具合を示す日射変動情報を算出する日射変動情報算出手段と、前記日射変動情報を出力する出力手段と、を有するものである。
また、前記各収集手段は、予め決められた測定周期に従って前記パワーコンディショナーの発電電力が測定されている場合、その測定周期に合わせて当該データを順番に収集するものである。
本発明に係るプログラムは、性能検査の実施単位となる複数の単位発電手段を有する太陽光発電手段と、パワーコンディショナーと、前記太陽光発電手段と前記パワーコンディショナーとに接続され、前記複数の単位発電手段が個々に発電した電気をまとめて前記パワーコンディショナーへ送る接続箱と、を有する太陽光発電システムにおける性能検査に用いるコンピュータを、前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを接続状態時データとして収集する第1収集手段、前記複数の単位発電手段のうち性能検査対象の単位発電手段のみが前記パワーコンディショナーから切り離されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを非接続状態時データとして収集する第2収集手段、接続状態時データと非接続状態時データとの差分を前記性能検査対象の単位発電手段からの電気に基づく発電電力とみなして当該単位発電手段の発電性能の良否を判定する判定手段、として機能させるためのものである。
本発明によれば、性能検査目的の設備を別途設けることなく性能検査の実施単位となる単位発電手段の発電性能の良否を判定することができる。
また、接続状態時データと非接続状態時データとの差分及び非接続状態時データと再接続状態時データとの差分を用いることで単位発電手段の発電性能の良否判定の精度を向上することができる。
また、測定値の変動具合を示す情報を良否判定の結果の信頼性を確認させるための指標として提供することができる。
本発明に係る性能検査装置の一実施の形態を含む太陽光発電システムを示した構成図である。 本実施の形態におけるデータ収集装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。 本実施の形態におけるデータ記憶部に記憶される測定データのデータ構成例を示す図である。 本実施の形態において性能の良否判定を行う過程において算出する各データの例を示す図である。 本実施の形態における性能判定処理を示すフローチャートである。
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る性能検査装置の一実施の形態を含む太陽光発電システムを示した構成図である。図1には、太陽電池アレイ1、ストリング2、接続箱3、ブレーカー4、パワーコンディショナー5、日射計6、気温計7、受変電設備・構内配電設備8、電力会社9及びデータ収集装置10が示されている。
太陽電池アレイ1は、太陽光発電手段であり、太陽の光エネルギーを吸収して直接電気に変えるエネルギー変換器で、複数のストリング2を有している。ストリング2は、単位発電手段であり、本実施の形態においては性能検査の実施単位となる。ストリング2は、太陽電池の構成単位で、複数(例えば10〜20個)の太陽電池モジュール(ソーラーパネル)を直列で配線し、まとまった電力量を得られるように形成される。ストリング2をまとめて十分な出力を得られるようにし、かつ屋上などに設置する台などに取り付けられたのが太陽電池アレイ1である。
パワーコンディショナー5は、太陽電池アレイ1により発電された直流の電気を受変電設備や構内配電設備8に送信する際に交流に変換し、安定した電力を供給できるようにするための機器である。変換された電気は、生成された電力量によっては電力会社9に売電される。
接続箱3は、太陽電池アレイ1に含まれる各ストリング2からの配線をまとめてパワーコンディショナー5に接続する機器であり、各ストリング2が個々に発電した電気をまとめてパワーコンディショナー5に送る。接続箱3には、ストリング2それぞれを接続するブレーカー(遮断器)4が内蔵されており、ブレーカー4をオン/オフすることでパワーコンディショナー5への送電が制御される。なお、ブレーカー4は、基本的には人手によりオン/オフされ、本実施の形態でもこの手動タイプのブレーカー4を用いることを想定しているが、オン/オフを自動切り替えできるタイプのものを利用してもよい。
太陽電池アレイ1の近傍の所定の位置には、日射強度を測定する日射計6と気温を測定する気温計7が設置されており、パワーコンディショナー5は、太陽光発電システムの規格に従い6秒毎に各測定手段からの測定値(日射強度及び気温)を収集し、接続箱3を介して送られてくる電気に基づく直流電力の測定値と共に蓄積する。
データ収集装置10は、パワーコンディショナー5から発電電力(直流電力)、日射強度及び気温の各測定データを収集する。データ収集装置は、6秒毎に収集される測定データを全て蓄積していくと膨大なデータ量となるので、1分毎に集計、また平均値を算出するなどして1分データとして蓄積する場合もある。本実施の形態では、少なくとも性能検査時には6秒毎に測定データを収集する。
なお、パワーコンディショナー5が太陽電池アレイ1からの電気(直流)を受けて供給する電力(発電電力)を「直流電力」と称するので、本実施の形態では、「発電電力」と「直流電力」とを同義に用いる。
図2は、本実施の形態におけるデータ収集装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態におけるデータ収集装置10を形成するコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)等従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24を接続したHDDコントローラ25、入力手段として設けられたマウス26とキーボード27、及び表示装置として設けられたディスプレイ28をそれぞれ接続する入出力コントローラ29、通信手段として設けられたネットワークコントローラ30を内部バス31に接続して構成される。
図1に戻り、データ収集装置10は、データ収集部11、判定処理部12、情報提供部13及びデータ記憶部14を有している。データ収集部11は、第1収集手段、第2収集手段及び第3収集手段として設けられ、パワーコンディショナー5の発電電力、日射強度及び気温の各測定データをパワーコンディショナー5から6秒毎に収集する。判定処理部12は、判定手段として設けられ、詳細は後述するように接続状態時データと非接続状態時データとの差分を性能検査対象のストリング2からの電気に基づく発電電力とみなして当該ストリング2の発電性能の良否を判定する。情報提供部13は、判定処理部12による判定結果をディスプレイ28に表示するなどしてシステム管理等に情報提供する。また、情報提供部13は、ストリング2の性能の良否判定の妥当性を検証するための情報として電力変動判定及び日射変動判定という各指標データを算出、提供する。すなわち、情報提供部13は、データ収集部11が収集した発電電力(直流電力)の測定値に基づき発電電力の変動具合を示す電力変動情報を算出する電力変動情報算出手段、データ収集部11が発電電力の測定データと共に収集した日射強度の測定データに基づき日射強度の変動具合を示す日射変動情報を算出する日射変動情報算出手段、電力変動情報及び日射変動情報を出力する出力手段、として機能する。
図3は、本実施の形態におけるデータ記憶部14に記憶される測定データのデータ構成例を示す図である。データ記憶部14には、データ収集部11により収集された測定データが逐次格納される。
データ収集装置10における各構成要素11〜13は、データ収集装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、データ記憶部14は、データ収集装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
次に、本実施の形態における性能の判定処理について図5に示したフローチャートを用いて説明する。本実施の形態では、ストリング2を順番に性能検査対象とする。性能検査対象とする順番は特に定める必要はないので、本実施の形態では、識別番号の若い順に性能検査対象としていくことにする。
まず、初期の状態として、太陽電池アレイ1に含まれる全てのストリング2を接続箱3を介してパワーコンディショナー5に接続する。つまり、検査作業員は、ストリング2が接続された全てのブレーカー4をオン状態にする。これにより、性能検査対象の識別番号が1のストリング2もオン状態になる。「オン状態(ON状態)」というのは、当該ストリング2に対応するブレーカ4をオンにすることで、当該ストリング2がパワーコンディショナー5に接続されている状態のことをいう。これにより、当該ストリング2からの電気はパワーコンディショナー5に送られる。一方、「オフ状態(OFF状態)」というのは、当該ストリング2に対応するブレーカ4をオフにすることで、当該ストリング2がパワーコンディショナー5から切り離された状態のことをいう。これにより、当該ストリング2からの電気はパワーコンディショナー5に送られない。
パワーコンディショナー5は、太陽光発電システムの規格に従い6秒毎に、直流電力と、日射計6が測定した日射強度及び気温計7が測定した気温を収集するが、第1収集手段として機能しているデータ収集部11は、全てのストリング2がパワーコンディショナー5に接続されているときに、パワーコンディショナー5から太陽電池アレイ1からの電気に基づく直流電力、日射強度及び気温の各測定データを収集し、データ記憶部14に保存する(ステップ110)。測定データに対応させて設定される測定時刻は、パワーコンディショナー5の時計又はデータ収集装置10の時計により計時された時刻を用いればよい。更に、測定データには、パワーコンディショナー5に接続された接続箱3及び性能検査対象のストリング2の識別番号が対応付けされるが、これは、データ収集部11が、予め設定されている接続箱3及びストリング2の識別番号に対応する記憶領域に、収集した各測定値を格納するようにしてもよい。図3の例によると、識別番号が1のストリング2の場合、10:50:00に日射強度785W/m2、気温5.3℃、直流電力22350Wという各測定データが接続状態時データとして収集されたことがわかる。
続いて、検査作業員は、接続状態時データが収集されてから太陽光発電システムの規格に合わせて6秒経過後、全てのストリング2のうち性能検査対象の識別番号が1のストリング2が接続されたブレーカー4のみをオフ状態にする。つまり、性能検査対象のストリング2のみがパワーコンディショナー5から切り離されている状態になるが、このとき、パワーコンディショナー5は、前回収集してから6秒経過したことに伴い直流電力と、日射計6が測定した日射強度及び気温計7が測定した気温を収集する。第2収集手段として機能するデータ収集部11は、性能検査対象のストリング2のみがパワーコンディショナー5から切り離されているときに、太陽電池アレイ1からの電気に基づく直流電力、日射強度及び気温の各測定データを収集し、データ記憶部14に保存する(ステップ120)。測定データに対応させて保存する測定時刻、接続箱3及び性能検査対象のストリング2の識別番号に関しては、上記と同じなので説明を省略する。図3の例によると、識別番号が1のストリング2の場合、10:50:06に日射強度787W/m2、気温5.3℃、直流電力20820Wという各測定データが非接続状態時データとして収集されたことがわかる。
続いて、検査作業員は、非接続状態時データが収集されてから太陽光発電システムの規格に合わせて6秒経過後、性能検査対象の識別番号が1のストリング2に対応するブレーカー4を再度接続することでオン状態に戻す。つまり、太陽電池アレイ1に含まれる全てのストリング2が接続箱3を介してパワーコンディショナー5に接続された状態になるが、このとき、パワーコンディショナー5は、前回収集してから6秒経過したことに伴い直流電力と、日射計6が測定した日射強度及び気温計7が測定した気温を収集する。第3収集手段として機能するデータ収集部11は、全てのストリング2がパワーコンディショナー5に接続されているときに、太陽電池アレイ1からの電気に基づく直流電力、日射強度及び気温の各測定データを収集し、データ記憶部14に保存する(ステップ130)。測定データに対応させて保存する測定時刻、接続箱3及び性能検査対象のストリング2の識別番号に関しては、上記と同じなので説明を省略する。図3の例によると、識別番号が1のストリング2の場合、10:50:12に日射強度787W/m2、気温5.3℃、直流電力22360Wという各測定データが再接続状態時データとして収集されたことがわかる。
性能検査対象の識別番号が1のストリング2に対しては、以上説明したように、パワーコンディショナー5に接続された状態で測定データを収集し、その後、パワーコンディショナー5から切り離した状態で測定データを収集し、そしてパワーコンディショナー5に再度接続された状態で測定データを収集することになる。他のストリング2を性能検査対象としたときでも同様に直流電力、日射強度及び気温の各測定データを収集し、データ記憶部14に保存することになる。
なお、ブレーカー4のオン/オフ切替直後の電力は安定していない場合があるので、検査作業員は、良否判定の精度低下を回避するために、太陽光発電システムの規格に従いパワーコンディショナー5が測定データを取得するタイミングより少し(数秒程度)前のタイミングでブレーカー4を切り替えるようにするのが望ましい。
ところで、性能検査対象のストリング2がパワーコンディショナー5に接続された状態で測定された直流電力と、性能検査対象のストリング2のみがパワーコンディショナー5から切り離された状態で測定された直流電力との差分は、性能検査対象のストリング2からの電気に基づく発電電力を表しているとも考えられる。本実施の形態では、この差分を性能検査対象のストリング2からの電気に基づく発電電力とみなして当該ストリング2の発電性能の良否を判定することを特徴としている。図4には、上記説明において収集されたデータに基づき良否判定を行う際に算出される値が示されているが、以下、各算出値を説明しながら、性能検査対象のストリング2の発電性能の良否を判定する処理(ステップ140)について説明する。
図3に示した測定データと図4に示した算出値は、接続箱3及びストリング2の各識別番号にて対応付けられている。なお、図4に示した各値を測定値データに対応させてデータ記憶部14に登録してもよい。あるいは図示しない別個の記憶手段に保存してもよい。
図4において、「平均日射強度」は、オン状態からオフ状態に、そしてまたオン状態に戻す間の日射強度の平均で、各時間における日射強度の平均値である。識別番号が1のストリング2の場合、各時間における日射強度は785,787,787なので、この平均値は786(小数点四捨五入)となる。
「平均気温」は、オン状態からオフ状態に、そしてまたオン状態に戻す間の気温の平均で、各時間におけるの平均値である。識別番号が1のストリング2の場合、各時間における気温は5.3,5.3,5.3なので、この平均値は5.3となる。
「差分電力1」は、最初のオン状態のときの直流電力とオフ状態のときの直流電力との差分(絶対値)である。識別番号が1のストリング2の場合、最初のオン状態のときの直流電力は22350W、オフ状態のときの直流電力は20820Wなので、その差分は1530Wである。
「差分電力2」は、オフ状態のときの直流電力とオン状態に戻したときの直流電力との差分(絶対値)である。識別番号が1のストリング2の場合、オフ状態のときの直流電力は20820W、オン状態に戻したときの直流電力は22360Wなので、その差分は1540Wである。
「平均差分電力」は、差分電力1と差分電力2の平均値である。本実施の形態においては、差分電力1は1530W、差分電力2は1540Wなので、その平均値は1535Wである。
なお、「日射変動判定」と「電力変動判定」については、後述する。
「モジュール温度推定値」は、計算により求めた当該ストリング2の推定温度である。モジュール温度推定値は、例えばJIS C8907:2005の付属書3の式(3.2)を用いて算出してもよい。なお、計算式の入力として日射強度及び気温が必要になるが、本実施の形態では、日射強度として平均日射強度と気温として平均気温を用いる。
「基準状態換算電力」は、モジュール温度推定値が図4の例のように例えば19.8℃であるストリング2を、日射強度が1000W/m2でモジュール温度が25℃という基準状態(JIS8918の標準状態)に換算したときの電力kWである。本実施の形態では、基準状態換算電力を平均差分電力×(1000/平均日射強度)×温度係数×(25−モジュール温度推定値)という式にて算出する。なお、温度係数はストリング固有の値である。もちろん、この式で求めることに限定する必要はなく、アンダーソン法等の他の計算式を採用してもよい。
基準状態換算電力は、ストリング2の性能の良否判定を行う際に閾値と比較される値であるが、この基準状態換算電力を算出する過程において、日射変動判定と電力変動判定を除く平均日射強度からモジュール温度推定値までの各値が以上のようにして算出される。
本実施の形態におけるストリング2の定格電力は2kWであることを想定している。そして、定格電力の9割程度、すなわち基準状態換算電力が1.8kWという閾値以上の数値を示せば合格(良)と判定する。なお、9割というのは適宜設定してもよい。前述した性能検査対象の識別番号が1であるストリング2における基準状態換算電力は22360Wなので、判定処理部12は、このストリング2の性能は良と判定する。図4には、その判定結果を合わせて示している。
以上説明した判定処理部12における判定処理を識別番号が1のストリング2に対して行うと、続いて、性能検査対象を識別番号が2のストリング2に移行する。すなわち、検査作業員は、識別番号が2のストリング2が接続されたオン状態であるブレーカー4をオフ状態、そして6秒後にオン状態に戻すという操作を行い、判定処理部12は、ブレーカー4の各状態時に収集された測定データに基づき基準状態換算電力を算出し、閾値(1.8kW)と比較することで良否判定を行う。この判定処理部12における判定処理を全てのストリング2に対して繰り返し実行することでストリング2毎に性能の良否判定を行う。情報提供部13は、その判定結果をデータ記憶部14などの記憶手段に保存したり、データ収集装置10のディスプレイ28に表示する。あるいは、ネットワーク経由で他のコンピュータへ送信してもよい。
なお、判定処理部12による判定処理は、測定データが収集される度に実行してもよいし、全てのストリング2に対する測定データが収集された後にまとめて実施してもよい。
本実施の形態においては、以上のようにして各ストリング2の性能の良否判定を行う。仮に、性能が否と判定されたストリング2に対しては、否と判定された原因を突き止めるために測定器等を用いて詳細な検査を実施するようにしてもよい。本実施の形態の場合、詳細な性能検査を性能が否と判定されたストリング2に対してのみ実施すればよいので、性能検査に要するコストを大幅に削減することが可能になる。
ここで、「日射変動判定」及び「電力変動判定」について説明する。
「日射変動判定」は、日射強度の最大値と最小値との差分を最小値で除算して求められる値である。識別番号が1であるストリング2の場合、日射強度の最大値は787、最小値は785なので、(787−785)/785×100=0.25%(小数点第2位を四捨五入)となる。
「電力変動判定」は、オン状態のときの直流電力の最大値と最小値との差分を最小値で除算して求められる値である。識別番号が1であるストリング2の場合、オン状態のときの直流電力の最大値は22360、最小値は22350なので、(22360−22350)/22350×100=0.04%(小数点第2位を四捨五入)となる。
日射変動判定というのは、日射強度の変動の程度を示す指標値である。日射変動判定の値が大きいということは、計測期間(12秒間)の間に雲が出たことなどにより日射強度の変化量が大きかったということを示している。日射強度の変化が大きいと、同じ環境下で日射強度が測定されなかったということで性能の良否判定の精度が低下するとも考えられる。
また、電力変動判定というのは、オン状態時に性能検査対象のストリング2からの電気に基づく直流電力の変動の程度を示す指標値である。本来であれば、同じオン状態時であることから直流電力の測定値は同値となるべきである。つまり、この電力変動判定の値が大きいということは、同じ環境下で直流電力が測定されなかったということで性能の良否判定の精度が低下するとも考えられる。
このように、日射変動判定及び電力変動判定は、基準状態換算電力の算出の際に参照されない値であるが、良否判定の結果の信頼性を確認するための指標値となり得る。
情報提供部13は、以上のことから日射変動判定及び電力変動判定を算出し、その算出値をデータ記憶部14などの記憶手段に保存したり、データ収集装置10のディスプレイ28に表示する。あるいは、ネットワーク経由で他のコンピュータへ送信してもよい。
本実施の形態においては、ストリング2が接続された接続箱3のブレーカー4の中から性能検査対象のストリング2が接続されたブレーカー4のみを順次切り離しながら直流電力等の測定データを収集するようにして性能検査を実施する。従って、データ収集装置10に収集される測定データに対応付けして記録される収集時刻(図3における「時刻」)と、検査作業員がストリング2を切り離す時刻とを関連付ける必要がある。これは、検査作業員が性能検査の計画書に従った時刻を参照して、該当するストリング2を切り離すようにしたり、検査作業員がストリング2を切り離した時刻を事後報告して、データ収集装置10に収集された測定データと対応付けるようにしてもよい。いずれにしても、本実施の形態においては、測定器などの性能検査の実施にだけ用いる機器を用意する必要がないので、コストの増加を招くことなく各ストリング2の性能検査を実施することができる。
ところで、日射は時々刻々と変化する。本実施の形態では、日射変動判定及び電力変動判定を良否判定の結果の信頼性を確認するための指標値として提供するものの、日射等の環境の変化の影響を受けにくくするためには1つのストリング2に対する測定は短時間で実施した方がよい。従って、本実施の形態では、太陽光発電システムのデータ収集の規格(データ収集周期)に合わせてブレーカー4を6秒毎に切り替えるようにした。ただ、この太陽光発電システムの規格に合わせてブレーカー4を切り替え測定データを収集することに限定するものではない。例えば、ブレーカー4のオン/オフ切替後に電力が安定するのに要する時間がパワーコンディショナー5の種類に依存するため、ブレーカー4を12秒毎に切り替えることもあり得る。なお、ストリング間の測定データの収集のインターバル(例えば、識別番号が1のストリング2における計測時間と識別番号が2のストリング2における計測時間との間)は、特に限定する必要はない。つまり、データ収集装置10は、各ストリング2の測定データを連続して収集する必要はない。
また、本実施の形態では、基準状態換算電力を算出する際に、オン状態のブレーカー4をオフ状態にし、その後オン状態に戻すことで、オン状態時の測定データ(接続状態時データ)とオフ状態時の測定データ(非接続状態時データ)との差分及び非接続状態時データとオン状態に戻した時の測定データ(再接続状態時データ)との差分をそれぞれ求め、そして差分の平均値(平均差分電力)を求めることで、性能の良否判定結果の精度の向上に努めるようにした。ただ、平均値を必ずしも求めなくても、最低限オン状態とオフ状態のときの測定データをそれぞれ収集して差分を得るようにしてもよい。この際、ブレーカ4をオン状態からオフ状態にしたときの測定データそれぞれ収集しても、オフ状態からオン状態にしたときの測定データそれぞれ収集してもよい。
一方、性能の判定精度の向上のためにブレーカ4のオン状態とオフ状態を繰り返し実行し、差分値を数多く得るようにすることも考えられる。ただ、1つのストリング2に対する測定データの収集に時間をかけることで測定時の環境に変化が起きると却って正確な判定結果が得られないことにもなりかねない。そこで、本実施の形態では、1つのストリング2につき短時間で判定処理するためにオン状態のブレーカー4をオフ状態にし、更にオン状態に戻すまでに留めるようにした。
なお、本実施の形態では、既存のデータ収集装置10を性能検査装置として利用するようにしたが、性能検査装置を、検査作業員が携帯しうるタブレット端末等別のコンピュータにて実現するようにしてもよい。この場合、データ収集装置10には、測定データを送信する機能を持たせ、一方、別のコンピュータには、測定データを受信する機能を持たせるよう構成する。
また、本実施の形態では、接続箱3を1台で構成した太陽光発電システムを例示したが、システムの規模に応じて、つまりストリング2の数によって、例えば複数の接続箱3を設けてもよい。この場合、複数の接続箱3とパワーコンディショナー5との間に、接続箱3をそれぞれ接続するブレーカーを有し、複数の接続箱3からの出力をまとめる集電箱を設置するよう構成してもよい。ストリング2が200個程度の大規模になると、200個のストリング2を個々にブレーカ4から切り離して199個のストリング2から収集された直流電力を参照しても、ストリング2を切り離したことで低下した分の直流電力が目立たない可能性がある。そこで、集電箱を設置する場合、集電箱のブレーカーを順番にオフ状態にして接続箱3単位に性能の良否判定を行い、更に性能が否と判定された接続箱3が存在する場合、今度はその接続箱3のブレーカーを順番にオフ状態にすることで、前述したようにストリング2の性能の良否判定を行うようにする。このように、システム規模によっては、階層的に良否判定を行うようにしてもよい。
また、本実施の形態では、ストリング2を性能検査の実施単位としたが、接続箱又は集電箱の接続形態によっては、例えば太陽電池モジュール等異なる単位で性能検査を行う場合に適用してもよい。
また、本実施の形態では、データ収集装置10が日射計6と気温計7の測定値をパワーコンディショナー5を介して収集するようにしたが、直接取得するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、日射強度及び気温を用いてモジュール温度を推定するようにしたが、モジュール温度計を設置して、その測定値をデータ収集装置10に収集させるようにしてもよい。
1 太陽電池アレイ、2 ストリング、3 接続箱、4 ブレーカー、5 パワーコンディショナー、6 日射計、7 気温計、8 受変電設備・構内配電設備、9 電力会社、10 データ収集装置、11 データ収集部、12 判定処理部、13 情報提供部、14 データ記憶部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 ハードディスクドライブ(HDD)、25 HDDコントローラ、26 マウス、27 キーボード、28 ディスプレイ、29 入出力コントローラ、30 ネットワークコントローラ、31 内部バス。
本発明に係る太陽光発電システムにおける性能検査装置は、性能検査の実施単位となる複数の単位発電手段を有する太陽光発電手段と、パワーコンディショナーと、前記太陽光発電手段に含まれる前記単位発電手段それぞれを接続する遮断器を内蔵し、前記遮断器を介した前記各単位発電手段からの複数の配線をまとめて前記パワーコンディショナーに接続し、前記複数の単位発電手段が個々に発電した電気をまとめて前記パワーコンディショナーへ送る接続箱と、を有する太陽光発電システムにおける性能検査装置において、前記遮断器の全てがオン状態にされることによって前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを接続状態時データとして収集する第1収集手段と、前記複数の単位発電手段のうち性能検査対象の単位発電手段が接続された前記遮断器がオフ状態にされることによって当該性能検査対象の単位発電手段のみが前記パワーコンディショナーから切り離されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを非接続状態時データとして収集する第2収集手段と、接続状態時データと非接続状態時データとの差分を前記性能検査対象の単位発電手段からの電気に基づく発電電力とみなして当該単位発電手段の発電性能の良否を判定する判定手段と、を有するものである。
また、前記第1収集手段により接続状態時データが収集されてから前記第2収集手段により非接続状態時データが収集された後、前記性能検査対象の単位発電手段が接続された前記遮断器がオン状態にされることによって再度接続されることにより前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを再接続状態時データとして収集する第3収集手段を有し、前記判定手段は、接続状態時データと非接続状態時データとの差分及び非接続状態時データと再接続状態時データとの差分に基づき当該単位発電手段の発電性能の良否を判定するものである。
本発明に係るプログラムは、性能検査の実施単位となる複数の単位発電手段を有する太陽光発電手段と、パワーコンディショナーと、前記太陽光発電手段と前記パワーコンディショナーとに接続され、前記複数の単位発電手段が個々に発電した電気をまとめて前記パワーコンディショナーへ送る接続箱と、を有する太陽光発電システムにおける性能検査に用いるコンピュータを、前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを接続状態時データとして収集する第1収集手段、前記複数の単位発電手段のうち性能検査対象の単位発電手段のみが前記パワーコンディショナーから切り離されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを非接続状態時データとして収集する第2収集手段、接続状態時データと非接続状態時データとの差分を前記性能検査対象の単位発電手段からの電気に基づく発電電力とみなして当該単位発電手段の発電性能の良否を判定する判定手段、として機能させるためのものである。


Claims (6)

  1. 性能検査の実施単位となる複数の単位発電手段を有する太陽光発電手段と、パワーコンディショナーと、前記太陽光発電手段に含まれる前記各単位発電手段からの複数の配線をまとめて前記パワーコンディショナーに接続し、前記複数の単位発電手段が個々に発電した電気をまとめて前記パワーコンディショナーへ送る接続箱と、を有する太陽光発電システムにおける性能検査装置において、
    前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを接続状態時データとして収集する第1収集手段と、
    前記複数の単位発電手段のうち性能検査対象の単位発電手段のみが前記パワーコンディショナーから切り離されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを非接続状態時データとして収集する第2収集手段と、
    接続状態時データと非接続状態時データとの差分を前記性能検査対象の単位発電手段からの電気に基づく発電電力とみなして当該単位発電手段の発電性能の良否を判定する判定手段と、
    を有することを特徴とする太陽光発電システムにおける性能検査装置。
  2. 前記第1収集手段により接続状態時データが収集されてから前記第2収集手段により非接続状態時データが収集された後、前記性能検査対象の単位発電手段が再度接続されることにより前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを再接続状態時データとして収集する第3収集手段を有し、
    前記判定手段は、接続状態時データと非接続状態時データとの差分及び非接続状態時データと再接続状態時データとの差分に基づき当該単位発電手段の発電性能の良否を判定することを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電システムにおける性能検査装置。
  3. 前記各収集手段が収集した発電電力の測定データに基づき発電電力の変動具合を示す電力変動情報を算出する電力変動情報算出手段と、
    前記電力変動情報を出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電システムにおける性能検査装置。
  4. 前記各収集手段が発電電力の測定データと共に収集した日射強度の測定データに基づき日射強度の変動具合を示す日射変動情報を算出する日射変動情報算出手段と、
    前記日射変動情報を出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電システムにおける性能検査装置。
  5. 前記各収集手段は、予め決められた測定周期に従って前記パワーコンディショナーの発電電力が測定されている場合、その測定周期に合わせて当該データを順番に収集することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電システムにおける性能検査装置。
  6. 性能検査の実施単位となる複数の単位発電手段を有する太陽光発電手段と、パワーコンディショナーと、前記太陽光発電手段と前記パワーコンディショナーとに接続され、前記複数の単位発電手段が個々に発電した電気をまとめて前記パワーコンディショナーへ送る接続箱と、を有する太陽光発電システムにおける性能検査に用いるコンピュータを、
    前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを接続状態時データとして収集する第1収集手段、
    前記複数の単位発電手段のうち性能検査対象の単位発電手段のみが前記パワーコンディショナーから切り離されているときに、前記太陽光発電手段からの電気に基づく前記パワーコンディショナーの発電電力の測定データを非接続状態時データとして収集する第2収集手段、
    接続状態時データと非接続状態時データとの差分を前記性能検査対象の単位発電手段からの電気に基づく発電電力とみなして当該単位発電手段の発電性能の良否を判定する判定手段、
    として機能させるためのプログラム。
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