JP2017027419A - エネルギー変換手段の特性の時間変化を表現する方法及び装置 - Google Patents

エネルギー変換手段の特性の時間変化を表現する方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る装置又は上記装置から発生した電気エネルギーを集約した発電システムにおける特性の長期間にわたる時間変化を少数のパラメータを含む1つの数式によって表現する方法を提供する。
【解決手段】自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る装置又は上記装置から発生した電気エネルギーを集約する発電システムにおける特性の時間変化を表現する方法であって、連続型確率分布における信頼度、すなわち、上記確率分布から定義される累積分布関数を1より引いた関数で表現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自然エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換手段の特性の時間変化を表現する方法及び装置に関するものである。
従来から、太陽光や風力など再生可能な自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る発電システムが利用されてきた。その中でも、太陽光発電は発電システムの最有力候補として世界中で盛んに導入されてきた。日本国内では、住宅用のみならず、広大な敷地に多数の太陽電池モジュールを配して大量の発電を行うメガソーラと呼ばれる発電システムが運営されるようになってきた。
このため、太陽電池モジュールは、設計上期待される期間中に故障や顕著な特性低下を起こすことなく稼働し続けることが求められてきた。一般的に、太陽電池モジュールは太陽光が照射されることで電力を発生する電子素子である太陽電池セルを複数平面状に配置し、この太陽電池セルから発生した電力を集約して所定の電力を発生するように製造されたもので、太陽光発電システムを構成する最小単位である。
しかし、太陽電池セルは一般に湿度や機械的衝撃などの外的劣化要因に弱く、容易にその特性が劣化して発生電力が損なわれてしまう。このため、太陽電池モジュールは個々の太陽電池セルを外的劣化要因から保護するよう堅牢に設計されており、少なくとも製造者の設定した設計期間中はその特性を損なわないように製造されている。
一般的に、自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る装置(以下、「発電装置」ともいう。)の最も重要な特性の一つである最大発生電力(以下、「最大出力」ともいう。)を含む各種特性は、構成部品の劣化等に影響して稼働時間と共に変化していく。稼働時間に対する特性の変化挙動を知るためには、実際に稼動している発電装置から収集したデータを用いるのが望ましいものの、発電装置は数十年間稼動するものであり、収集すべきデータ量は膨大となる。その上、例えば太陽光発電の場合、太陽電池モジュールは次々に新製品が開発されている。したがって、これら新製品に対して個々に長期間にわたり稼働実績のデータを要求することは事実上不可能である。
ここで、例えば発電装置の最大出力を予測する方法として、パワーコンディショナの制御回路の電力特性による不整合が太陽光発電システムの発電効率の見積に影響を与えることに鑑み、太陽電池アレイの環境条件ごとに設定されるアレイ出力―電力特性データの電力値から、制御回路の消費電力特性である制御回路電力―電圧特性データの電力値を差し引くことにより、電力変換部の入力点での電力変換部入力電力―電圧特性データを求める手順と、電力変換部入力電力―電圧特性データから電圧変換部最大電力値を求める手順とを有する発想(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。すなわち、特許文献1は、パワーコンディショナの最大出力点追尾機能の最適化に関するものである。
また、発電量予測システムとしては、太陽電池モジュールのエネルギー源量である日射量を予測することで太陽電池モジュールの発電量を精度よく予測する手法に関し、実測地点のデータを含む実測水平面日射量データベースと、衛星写真日射量データを含む推定水平面日射量データベースとを備え、太陽電池の発電量を推定しようとする推定地点の日射量は、推定水平面日射量データベースから読み出された水平面日射量データに基づいて算出され、太陽電池の発電量は、算出された推定地点の日射量に基づいて推定される発想(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
また、自然エネルギーから得られる単位時間当たりのエネルギー量の予測値を精度よく計算できる自然エネルギー量予測装置を提供するものとしては、制御装置は、入力部と、第1パラメータ計算部と、第2パラメータ計算部と、確率密度関数計算部と、最頻値計算部と、信頼区間計算部と、誤予測確率計算部と、出力部とからなる予測処理部を備えている。これにより、処理部においては、第2パラメータ計算部が説明変数を用いて非対称な分布の拡がりに関連するパラメータを求め、確率密度関数計算部がこのパラメータを用いて予測日射量の確率密度分布を計算する。そして、最頻値計算部は分布に基づいて日射量の最頻値を計算し、信頼区間計算部はこの最頻値を含む信頼区間を計算し、誤予測確率計算部は、日射量に反する誤予測が発生する誤予測確率を計算する発想(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。
また、製品のサービス事象の時期を予測するシステムと方法に関するもので、データベースが製品に対する複数個のサービス情報及び性能情報を持っており、統計解析器が複数個の処理されたサービス情報を解析して、複数個の区分故障情報を決定し、性能劣化率解析器が複数個のサービス情報及び性能情報から、製品の性能劣化率を解析し、シミュレータが複数個の区分故障情報及び性能劣化率解析に従って、製品のサービス事象の分布をシミュレートする発想(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。すなわち、予測のために複数個の製品に対して性能をデータとして収集し、劣化率曲線を推定した後に故障時期を予測する。劣化率曲線は多変数回帰及び/又は相関統計解析を使って決定する。
特開2005−252172号公報 特開2006−210750号公報 特開2014−21555号公報 特許第4846923号公報
しかしながら、上述した従来における特許文献1では、時々刻々変化する日射量や気温に対応するもので、短い時間範囲を対象としている。稼働前の発電装置及び発電システムの複数の候補に対する信頼性比較だけでなく、稼働中の発電装置及び発電システムの特性の将来予測を目的とする場合、数年から数十年間といった非常に長期間にわたる時間範囲を対象としている。このため、特許文献1ではこのような長期間にわたる稼働時間に対する特性の変化挙動を表現する手法に関して述べたものではない。
さらに、特許文献2においても、時々刻々変化する日射量に対応した短い時間範囲を対象としており、長期間にわたる稼働時間に対する特性の変化挙動を表現する手法に関して述べたものではない。
さらに、特許文献3においても、時々刻々変化するエネルギー源量である自然エネルギー量変化を精度よく予測することであり、信頼性比較や将来予測のような長期間にわたる特性変化を対象としたものではない。
また、特許文献4においては、モデルは単純な直線近似であり、太陽電池モジュール及び太陽光発電システムにおける稼働時間に対する特性の低下挙動のように、実際は数年から数十年間といった非常に長期間にわたる時間範囲では時間に対して非線形変化する特性の挙動を示すための具体的な手法については何ら開示されていない。また、製品の故障が定義されていることが前提であり、その故障状態となる時期を予測することが目的である。
以上のことから、発電装置において、稼働時間に対する特性の変化挙動をどのように表現するかは重要な課題である。また、太陽電池モジュールは、従来よりも過酷な環境下で高い信頼性を要求されるようになっている。例えば、太陽光発電において、新規に太陽光発電システムを構築しようとしている発電事業者にとっては、導入する太陽電池モジュール及び太陽光発電システムの候補に対してそれぞれの信頼性の高さを比較する手法があれば望ましい。このとき、それぞれの候補に対して稼働時間に対する特性の変化挙動を比較する手法であればさらに望ましい。
ここで、発電装置及び発電システムにおける稼働時間に対する特性の変化挙動が、少数のパラメータを含む1つの数式によって長い時間範囲にわたって表現できれば、それらパラメータ同士を比較することで稼働時間に対する特性の変化挙動そのものを比較することができる。
そこで本発明の目的は、自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る装置又は上記装置から発生した電気エネルギーを集約した発電システムにおける特性の長期間にわたる時間変化を少数のパラメータを含む1つの数式によって表現する方法を提供することである。
上記課題を解決する本発明の特徴は、自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る装置又は上記装置から発生した電気エネルギーを集約する発電システムにおける特性の時間変化を表現する方法であって、連続型確率分布における信頼度、すなわち、上記確率分布から定義される累積分布関数を1より引いた関数で表現することにある。
上記自然エネルギーが光エネルギーであり、上記自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る装置が太陽電池モジュール又は太陽電池セルであり、上記装置から発生した電気エネルギーを集約する発電システムが太陽光発電システムであることが望ましい。
また換言すると、本発明は自然エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換手段の特性の時間変化を表現する方法であって、上記エネルギー変換手段の特性の実測値を所定の連続型確率分布から定義される信頼度関数でパラメータを含む数式でフィッティングし、上記フィッティングで決定したパラメータによって確定した関数を用いることを特徴とする。
上記自然エネルギーは、光エネルギーで、上記エネルギー変換手段は、太陽電池モジュール又は太陽電池モジュールを搭載した太陽光発電システムであることが望ましい。すなわち、上記自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る装置は、上記エネルギー変換手段を意味する。
上記連続型確率分布がワイブル分布のとき、この分布から定義される信頼度関数は下記数式のように表され、下記数式でフィッティングしてパラメータα及びパラメータβを決定し、上記パラメータα及びパラメータβを下記数式に代入して関数を確定することが望ましい。
Figure 2017027419
ただし、
P:特性
:特性の初期値
t:時間
α:形状パラメータ
β:尺度パラメータ
すなわち、任意の時間における特性をP、試験前又は稼動前の特性をPとしたとき、規格化された特性をP/P0、時間t、形状パラメータをα、尺度パラメータをβとして上記数式1を表すことができる。
さらに、本発明におけるエネルギー変換手段の特性の時間変化を表現する装置は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換手段であって、光が照射され電圧を変化させた上記エネルギー変換手段における電圧値及び電流値から上記エネルギー変換手段の特性を算出する演算手段と、上記演算手段で算出した上記エネルギー変換手段の特性を所定の連続型確率分布から定義される信頼度関数でパラメータを含む数式でフィッティングするパラメータフィッティング手段と、上記パラメータフィッティング手段が決定したパラメータによって確定した関数を導く関数導出手段とを具備することを特徴とする。
ここで、「自然エネルギー」とは、自然の力で定常的に補充されるエネルギー資源を示し、例えば、太陽光(光エネルギー)、風力、波力・潮力、流水・潮汐、地熱、バイオマスが該当する。
「エネルギー変換手段」とは、自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る装置を示し、例えば、太陽光発電システム、太陽電池アレイ、太陽電池モジュール及び太陽電池セルが該当する。なお、エネルギー変換手段のサイズや機能に限定はない。
「特性」とは、エネルギー変換手段が出力する具体的なエネルギーを意味し、「エネルギー変換手段の特性」としては、例えば、電力(単位:W又はkW)及び発電量(単位:kWh)が該当し、このエネルギー変換手段の特性の最大値を「最大出力」ともいい、エネルギー変換手段の種類に応じて異なってもよい。「実測値」とは、所定の特性を実際に計測した値を意味し、例えば、屋内での試験(例えば、高温試験や温度サイクル試験)を想定してエネルギー変換手段の特性を計測した値や屋外での実稼動を想定してエネルギー変換手段の特性を計測した値でもよい。
「連続型確率分布」とは、例えば、正規分布、t分布、F分布、カイ二乗分布、ベータ分布、ガンマ分布、ワイブル分布、ガンベル分布、指数分布、レイリー分布、アーラン分布、パレート分布、コーシー分布(「ローレンツ分布」ともいう。)、ラプラス分布(「二重指数分布」又は「両側指数分布」ともいう。)、ロジスティック分布が該当し、本発明においては、ワイブル分、ガンベル分布又はガンマ分布がより望ましい。
「信頼度関数」とは、連続型確率分布から定義される累積分布関数を1より引いた関数を示し、詳細には、連続型確率分布から定義される確率密度関数を時間0から時間tまで積分して得られる関数を、1より引いた関数として表現される関数である。
なお、上記数式1は、連続型確率分布としてワイブル分布を採用した場合の数式であるが、上記連続型確率分布における信頼度関数も同様に用いることができる。さらに、複数の連続型確率分布による信頼度関数を線形結合して作成した数式も用いることができる。ここで、「線形結合」とは、複数の連続型確率分布による信頼度の関数に定数を乗じて、それらを足し合わせることである。また、複数の連続型確率分布による信頼度関数を乗じて定数を掛けることで作成した数式も同様に用いることができる。
エネルギー変換手段の特性の時間変化を表現する装置を構成する手段のうち、「演算手段」、「パラメータフィッティング手段」及び「関数導出手段」は、CPU、メモリ若しくはマザーボードその他一般的なコンピュータ端末に搭載される機器に所定のアルゴリズムを有するプログラムが組み込まれたものでもよく、それぞれ別々のコンピュータ端末に搭載されていても同一のコンピュータ端末に搭載されていてもよい。「演算手段」は、エネルギー変換手段に電気配線を介して接続され電圧変化の設定可能な所定の電源機器に接続された所定の記録手段と電気配線を介して接続されていてもよく、上記記録手段とインターネットを介して接続されていてもよく、上記記録手段から上記エネルギー変換手段における電圧値及び電流値を移行若しくは複写した別の記録手段と電気的に接続可能でもよく、同一のコンピュータ端末内に搭載された所定の記録手段と電気信号で接続可能でもよい。
本発明によるエネルギー変換手段の特性の時間変化を表現する方法は、エネルギー変換手段から収集した実測値を所定の連続型確率分布から定義される信頼度関数でパラメータを含む数式でフィッティングして決定したパラメータにより確定した関数を当てはめることで、外挿によってエネルギー変換手段における将来的な特性を予測することができる。
すなわち、エネルギー変換手段における稼働時間に対する特性の変化挙動を少数のパラメータを含む1つの数式によって長い時間範囲にわたって表現する方法は、稼働前のエネルギー変換手段における複数の候補に対する信頼性比較だけでなく、稼働中のエネルギー変換手段の特性における将来予測にも有用な方法となり得る。
本発明の一実施形態におけるエネルギー変換手段の特性の時間変化を表現する方法を実行する装置のブロック図である。
以下、図1を参照しつつ、本発明の一実施形態におけるエネルギー変換手段の特性の時間変化を表現する方法を実行する装置(以下、「本装置」ともいう。)を説明する。
さて、図1に示すように、本装置は、所定の光源手段から照射される光エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換手段にかかる電圧を変化させる電源手段の電圧値及び電流値を記録する記録手段と電気配線を介して接続されており、この電圧値及び電流値からこのエネルギー変換手段の特性を算出する演算手段1と、この演算手段で算出したこのエネルギー変換手段の特性を所定の連続型確率分布から定義される信頼度関数でパラメータを含む数式でフィッティングするパラメータフィッティング手段2と、このパラメータフィッティング手段が決定したパラメータによって確定した関数を導く関数導出手段3とを備えていてもよい。
ここで、エネルギー変換手段は、太陽電池モジュールでもよい。エネルギー変換手段の特性は、電流−電圧特性(以下、「IV特性」ともいう。)を測定後、IV特性から演算手段1が算出してもよい。このとき、電流−電圧特性測定に関する規格として、IEC60904−1「Measurement of photovoltaic current−voltage characteristics」(以下、「IEC60904−1規格」ともいう。)を用いてもよい。光源装置の規格として、IEC60904−9「Solar simulator performance requirements」(以下、「IEC60904−9規格」ともいう。)を用いてもよい。
パラメータフィッティング手段2は、フィッティグする連続型確率分布から定義される信頼度関数はワイブル分布における下記数式でパラメータα及びパラメータβを決定し、関数導出手段3は、決定したパラメータα及びパラメータβを下記数式に代入して関数を導いてもよい。
Figure 2017027419
ただし、
P:特性
:特性の初期値
t:時間
α:形状パラメータ
β:尺度パラメータ
ここから、本装置を用いて表現した時間変化における太陽電池モジュールの特性の実施例について説明する。
まず、本装置にて太陽電池モジュールの特性を時間毎に計測するための試験規格、試験機及び試験環境(室内高温高湿試験、室内温度サイクル試験、曝露試験及び太陽光発電システム)について説明する。
≪各試験で用いる規格(共通)≫
IEC60904−1規格
IEC60904−9規格
≪試験機(共通)≫
光源手段:ソーラシミュレータ(ワコム社製)及び/又は自然光
電源手段:IVテスターとバイポーラ電源(ハリソン東芝ライティング社製)又は生産ライン用IVメータ4601(エーディーシー社製)
記録手段、演算手段、パラメータフィッティング手段、関数導出手段:全てを搭載した市販のコンピュータ端末(1台)
≪試験環境1:室内高温高湿試験≫
JISC8990「地上設置の結晶シリコン太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認及び形式認証のための要求事項」(以下、「JISC8990規格」ともいう。)に則り、所定の試験槽に取り付けられた太陽電池モジュール(A社製、B社製及びC社製)に対し、槽内温度85℃、槽内湿度85%で所定時間(JISC8990規格では1000時間)保持する。そして、各太陽電池モジュールは架台から取り外され、ソーラシュミレータによって最大出力をはじめとする各種特性が評価される。
≪試験環境2:室内温度サイクル試験≫
JISC8990規格に則り、温度サイクル試験が可能な所定の試験槽に取り付けられた太陽電池モジュールに対し、槽内温度を85℃から−40℃の間で周期的に変化させると共に、この太陽電池モジュール(A社製、B社製及びC社製)に外部電源から電流を流しながら所定のサイクル数(JISC8990規格では200サイクル)保持する。そして、太陽電池モジュールが架台から取り外され、ソーラシュミレータによって最大出力をはじめとする各種特性が評価される。
≪試験環境3:曝露試験≫
屋外用の架台に取り付けられた所定の太陽電池モジュールに対し、太陽光を直接照射させる。太陽電池モジュールの配線は、抵抗を介して結線されて回路を形成しており、太陽光が照射している間は太陽電池モジュールと抵抗の間で電流が流れ続けている。そして、太陽電池モジュールは定期的に架台から取り外され、ソーラシミュレータによって最大出力をはじめとする各種特性が評価される。
なお、その他の条件としては、建造物などの影が太陽電池モジュールにかからないようにする。また、国際規格では、光源として屋外自然光及び屋内疑似光のいずれも用いてよいと既定されており、日本国内においては屋外自然光で試験環境を達成するのが困難なため、ソーラシミュレータを用いることとする。
≪試験環境4:太陽光発電システム試験≫
一般的に、太陽光発電システムは、複数の太陽電池モジュールをつないで太陽電池アレイとし、単数又は複数の太陽電池アレイはパワーコンディショナに接続されている。パワーコンディショナには、太陽電池アレイが太陽光照射時に最大の電力を出力するように電圧を制御する機能(以下、「最大出力点追尾機能」又は「MPPT機能」ともいう。)及び太陽電池アレイの電力を直流から交流に交換する機能を有する。パワーコンディショナから出力される電力は交流であり、商業電力系統につながっている。
次に、上記試験環境1〜4の結果を、以下の表1〜表4に示す。
Figure 2017027419
表1は、試験環境1(室内高温高湿試験)の結果を示す。試験環境1では、表上の試験時間にて、時間毎の最大出力P(電力(単位:W))を算出する(実測値の左列部分)。そして、最大出力の初期値をP0として、このP0で最大出力を除算する(実測値の右列部分)。この値をワイブル分布の信頼度を示す式でパラメータフィッティングし、決定したパラメータによって関数を確定する。このように確定した関数を用いて、太陽電池モジュールの時間毎の特性を計算する(計算値)。この計算値が実測値の右列部分の値と近いほど、時間変化を正確に表現できていることになるが、結果は表に示すとおりである。また、直線近似にて表現した時間変化における太陽電池モジュールの特性を比較例(計算値)としてあげている。
なお、各太陽電池モジュールにて決定したパラメータは以下である。
(実施例)
A社製:形状パラメータα=1.5、尺度パラメータ=44000(時間)
B社製:形状パラメータα=6、尺度パラメータ=3100(時間)
C社製:形状パラメータα=4.5、尺度パラメータ=5500(時間)
(比較例)
A社製:傾き=−5.74E−06、切片=1.000
B社製:傾き=−1.76E−04、切片=1.105
C社製:傾き=−2.01E−05、切片=1.011
Figure 2017027419
表2は、試験環境2(室内温度サイクル試験)の結果を示す。試験環境2では、表上の試験時間にて、時間毎の最大出力P(電力(単位:W))を算出する(実測値の左列部分)。そして、最大出力の初期値をP0として、このP0で最大出力を除算する(実測値の右列部分)。この値をワイブル分布の信頼度を示す式でパラメータフィッティングし、決定したパラメータによって関数を確定する。このように確定した関数を用いて、太陽電池モジュールの時間毎の特性を計算する(計算値)。この計算値が実測値の右列部分の値と近いほど、時間変化を正確に表現できていることになるが、結果は表に示すとおりである。
なお、各太陽電池モジュールにて決定したパラメータは以下である。
A社製:形状パラメータα=1.1、尺度パラメータ=30000(回)
B社製:形状パラメータα=0.4、尺度パラメータ=2900000(回)
C社製:形状パラメータα=0.7、尺度パラメータ=100000(回)
Figure 2017027419
表3は、試験環境3(曝露試験:北海道北見市)の結果を示す。試験環境3では、表上の経過日数にて、時間毎の最大出力P(電力(単位:W))を算出する(実測値の左列部分)。そして、最大出力の初期値をP0として、このP0で最大出力を除算する(実測値の右列部分)。この値をワイブル分布の信頼度を示す式でパラメータフィッティングし、決定したパラメータによって関数を確定する。このように確定した関数を用いて、太陽電池モジュールの時間毎の特性を計算する(計算値)。この計算値が実測値の右列部分の値と近いほど、時間変化を正確に表現できていることになるが、結果は表に示すとおりである。
なお、試験環境3の太陽電池モジュールにて決定したパラメータは以下である。
形状パラメータα=1.2、尺度パラメータ=26000(日)
Figure 2017027419
表4は、試験環境4(太陽光発電システム試験:静岡県)の結果として、平成25年度新エネルギー技術フィールドテスト事業太陽光発電新技術等フィールドテスト事業に関する運転データ分析評価等業務発電性能等の分析・評価報告書第36頁・図表7−1・サイト番号2の値を用いたものである。また、試験環境4では、表上の経過年数にて、時間毎の発電量(単位:kWh)を算出する(実測値の左列部分)。そして、最大出力の初期値を経過年数1年に該当する14762kWhをP0として採用し、このP0で最大出力を除算する(実測値の右列部分)。この値をワイブル分布の信頼度を示す式でパラメータフィッティングし、決定したパラメータによって関数を確定する。このように確定した関数を用いて、太陽電池モジュールの時間毎の特性を計算する(計算値)。この計算値が実測値の右列部分の値と近いほど、時間変化を正確に表現できていることになるが、結果は表に示すとおりである。
なお、試験環境4の太陽電池モジュールにて決定したパラメータは以下である。
形状パラメータα=1.2、尺度パラメータ=14.5(年)
上述した実施形態及び実施例から、本発明によるエネルギー変換手段の特性の時間変化を表現する方法又はこの方法を実行する装置は、エネルギー変換手段(例えば、太陽電池モジュール)から収集した実測値(例えば、電圧値及び電流値)を所定の連続型確率分布から定義される信頼度関数(例えば、ワイブル分布)でパラメータを含む数式でフィッティングして決定したパラメータにより確定した関数を当てはめることで、外挿によってエネルギー変換手段における将来的な特性を予測することができる。
すなわち、エネルギー変換手段における稼働時間に対する特性の変化挙動を少数のパラメータを含む1つの数式によって長い時間範囲にわたって表現する方法は、稼働前のエネルギー変換手段における複数の候補に対する信頼性比較だけでなく、稼働中のエネルギー変換手段の特性における将来予測にも有用な方法となり得る。
1 演算手段
2 パラメータフィッティング手段
3 関数導出手段

Claims (2)

  1. 自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る装置又は当該装置から発生した電気エネルギーを集約する発電システムにおける特性の時間変化を表現する方法であって、
    連続型確率分布における信頼度、すなわち、当該確率分布から定義される累積分布関数を1より引いた関数で表現する方法。
  2. 請求項1に記載の表現方法であって、
    自然エネルギーが光エネルギーであり、
    自然エネルギーを利用して電気エネルギーを得る装置が太陽電池モジュール又は太陽電池セルであり、当該装置から発生した電気エネルギーを集約する発電システムが太陽光発電システムであることを特徴とする方法。
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