JP2015159478A - 音再生装置及び音再生方法 - Google Patents

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【課題】簡便に構成され、外部スピーカシステムから良好な特性の音を再生させることができる音再生装置及び音再生方法を提供する。【解決手段】本発明に係る音再生装置10は、複数のスピーカ160及び161を備える外部スピーカシステム110に音信号を送信する通信部80と、互いに離間して配置される2つのマイク60及び61と、スピーカ毎に再生される音をマイク60及び61を介して取得し、スピーカ毎に取得した音の特性に基づいて、外部スピーカシステム110に送信する音信号の制御内容を決定する制御部90とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、自らキャリブレーションを行って、外部スピーカシステムから良好な特性の音を再生させることができる音再生装置及び音再生方法に関するものである。
従来、自ら集音した結果に基づいて音の特性を制御し、制御した音をスピーカから再生するスピーカシステムが知られている。例えば、特許文献1には、マイクロフォンにより集音した結果に基づいて、スピーカから再生する音に用いる効果パラメータを制御する電子ピアノ等の演奏装置が記載されている。
特開2003−202861号公報
近年では、再生する音の音信号を生成する音再生装置と、実際に音を再生するスピーカシステムとが、それぞれ独立している場合がある。例えばスマートフォン等の電子機器が記憶された音楽の音信号を生成し、該信号に基づいて外部スピーカシステムが音を再生する場合がある。しかし、外部スピーカシステムの性能、設置される場所及び周囲の環境等は、外部スピーカシステム毎に異なるため、必ずしも良好な特性の音が再生されるものではない。外部スピーカシステムには、アンプやイコライザ等の機能を有するものも存在するが、一般のユーザが、再生させる音を適正に調整をすることは困難であり、また、調整可能であるとしても煩雑である。
かかる観点に鑑みてなされた本発明の目的は、簡便に構成され、外部スピーカシステムから良好な特性の音を再生させることができる音再生装置及び音再生方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明に係る音再生装置は、
複数のスピーカを備える外部スピーカシステムに音信号を送信する通信部と、
互いに離間して配置される2つのマイクと、
前記スピーカ毎に再生される音を前記マイクを介して取得し、前記スピーカ毎に取得した音の特性に基づいて、前記外部スピーカシステムに送信する音信号の制御内容を決定する制御部とを備える。
前記制御部は、前記スピーカ毎に取得した音の位相特性及び周波数特性に基づいて、前記制御内容を決定してもよい。
前記制御部は、前記外部スピーカシステムを識別する識別情報に対応付けて、前記決定した制御内容を記憶部に記憶させてもよい。
前記制御部は、接続された外部スピーカシステムの前記識別情報を取得し、取得した該識別情報に対応する前記決定した制御内容に基づく制御を、前記外部スピーカシステムに送信する音信号に対して行ってもよい。
前記識別情報を表示する表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記表示部を介して選択された識別情報に対応する前記決定した制御内容を、前記外部スピーカシステムに送信する音信号に対して行ってもよい。
前記外部スピーカシステムは車載スピーカシステムであってもよい。
前記2つのマイクは、3cm以上30cm以下の間隔で互いに離間して配置されていてもよい。
前記通信部が送信する前記音信号は、
右耳用の音信号と、左耳用の音信号とが合成された信号であってもよい。
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
例えば、本発明に係る音再生方法は、
互いに離間して配置される2つのマイクを備える音再生装置における音再生方法であって、
複数のスピーカを備える外部スピーカシステムに音信号を送信するステップと、
前記2つのマイクから、前記スピーカ毎に再生される音を取得するステップと、
前記スピーカ毎に取得した音の特性に基づいて、前記外部スピーカシステムに送信する音信号の制御内容を決定するステップとを含む。
上記のように構成された本発明に係る音再生装置及び音再生方法によれば、簡便に構成され、外部スピーカシステムから良好な特性の音を再生させることができる。
本発明の一実施の形態に係る音再生装置の外観斜視図である。 スピーカとユーザとの位置の一例を模式的に示す図である。 図1の音再生装置及び外部スピーカシステムの要部の機能ブロック図である。 図1の音再生装置が外部スピーカシステムを用いて行うキャリブレーションの動作の一例を示すシーケンス図である。 キャリブレーションを行うときの図1の音再生装置の位置の一例を示す図である。 位相特性に基づくキャリブレーションの一例を示す図である。 周波数特性に基づくキャリブレーションの一例を示す図である。 スピーカを6つ有する外部スピーカシステムの一例を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る音再生装置の外観斜視図である。本実施の形態に係る音再生装置は、スマートフォン等の携帯電話機10により構成される。携帯電話機10は、外観形状が概略長方形状を成す筐体20を備える。筐体20には、携帯電話機10の前面側にパネル30、入力部40、第1のマイク60及び第2のマイク61が配置されている。また、パネル30の下側には、図1にパネル30の一部を切り欠いて示すように、表示部50が保持されている。筐体20の裏面側は、バッテリパックやカメラユニット等が搭載されて、バッテリリッド21で覆われている。
パネル30は、接触を検出するタッチパネル、又は表示部50を保護するカバーパネル等からなり、例えばガラス、又はアクリル等の合成樹脂により形成される。パネル30は、例えば長方形状である。パネル30は、平板であってもよいし、表面が滑らかに傾斜する曲面パネルであってもよい。パネル30は、タッチパネルである場合、利用者の指、ペン、又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチパネルの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式を用いることができる。本実施の形態では、説明の便宜上、パネル30は、タッチパネルとする。
入力部40は、利用者からの操作入力を受け付けるものであり、例えば、操作ボタン(操作キー)から構成される。なお、パネル30も利用者からの接触を検出することにより、利用者からの操作入力を受け付けることができる。
表示部50は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は無機ELディスプレイ等の表示デバイスである。
第1のマイク60及び第2のマイク61は、互いに離間して配置される。第1のマイク60と第2のマイク61との間隔は、例えば3cm以上30cm以下の距離とすることができる。この第1のマイク60と第2のマイク61との間隔は、例えば、人間の両耳間の間隔に近い距離であっても良い。第1のマイク60及び第2のマイク61は、外部スピーカシステムが再生する音を取得する。第1のマイク60及び第2のマイク61における音の取得の詳細は、後述する。また、例えば第1のマイク60は、通話中は利用者の音声を検出する。
携帯電話機10は、複数のスピーカを備える外部スピーカシステムに音信号を送信し、外部スピーカシステムは、受信した音信号に基づいて、スピーカから音を再生する。外部スピーカシステムは、音再生装置である携帯電話機10と通信して音信号を受信可能な任意のシステムである。以下、外部スピーカシステムとして、車に備えられた車載スピーカシステムを例にとって説明する。
図2は、車載スピーカシステムにおける、スピーカと、音を聞くユーザとの位置の一例を模式的に示した図である。本実施の形態において、車200は、例えば、車内の前部右側、前部左側、後部右側及び後部左側に、それぞれ乗車用の座席210乃至213を備える。また、車200は、前部右側の座席210の前方の第1のスピーカ160と、前部左側の座席211の前方に第2のスピーカ161とを備える。第1のスピーカ160及び第2のスピーカ161は、例えば図示しないダッシュボードに備えられるダッシュボードスピーカである。また、本実施の形態においては、ユーザ220は、前部右側の座席210に座って、第1のスピーカ160及び第2のスピーカ161から再生される音を聞くとする。
図3は、図1の音再生装置と外部スピーカシステムとの要部の機能ブロック図である。音再生装置である携帯電話機10と、車載スピーカシステム110とは、それぞれが有する通信部80及び180を介して互いに通信可能に接続される。
携帯電話機10は、上述した入力部40、表示部50、第1のマイク60及び第2のマイク61の他に、記憶部70、通信部80、制御部90及びデジタルシグナルプロセッサ(DSP)91を備える。入力部40、表示部50、第1のマイク60、第2のマイク61及び記憶部70は、制御部90に接続される。また、通信部80は、DSP91を介して制御部90に接続される。
記憶部70は、例えば半導体メモリなどで構成することができ、各種情報や携帯電話機10を動作させるためのプログラムなどを記憶する。記憶部70は、例えば外部スピーカシステムのスピーカから再生する音(音楽コンテンツ等)を記憶する。また、記憶部70は、制御部90が外部スピーカシステムから再生させる音の音信号に対して決定した制御内容を、外部スピーカシステムを識別する識別情報に対応付けて記憶する。例えば、携帯電話機10が、図3のように車載スピーカシステム110のスピーカから音を再生させる場合において、記憶部70は、車載スピーカシステム110に送信する音信号に対して決定した制御内容を、車載スピーカシステム110の識別情報と対応付けて記憶する。
通信部80は、車載スピーカシステム110と接続して通信を行い、車載スピーカシステム110に音信号を送信する。通信部80は、例えば有線又はBluetooth(登録商標)等の無線により車載スピーカシステム110と接続する。
制御部90は、携帯電話機10の全体の動作を制御するプロセッサである。制御部90は、第1のマイク60及び第2のマイク61において受信する、車載スピーカシステム110のスピーカから再生される試験音の特性に基づき、車載スピーカシステム110に送信する音信号の制御内容を決定する。また、制御部90は、車載スピーカシステム110を識別する識別情報に対応付けて、車載スピーカシステム110に対して決定した制御内容を記憶部70に記憶させる。そして、制御部90は、携帯電話機10が車載スピーカシステム110と接続して、車載スピーカシステム110の識別情報を取得したとき、記憶部70を参照することによって、取得した識別情報に対応する制御内容を、車載スピーカシステム110に送信する音信号に対して行う。なお、本実施の形態においては、制御部90は、音信号を2つのチャンネルで車載スピーカシステム110に送信し、車載スピーカシステム110の2つのスピーカにそれぞれ異なるデジタル信号である音信号を送信できるとする。また、制御部90は、ユーザ220の右耳に入る右耳用の音信号と左耳に入る左耳用の音信号とを生成し、これらを合成して2つのチャンネルの音信号とする。
DSP91は、制御部90が生成したデジタル信号である音信号に対して、イコライジング処理、D/A変換処理、昇圧処理、フィルタ処理等の所要の信号処理を行い、通信部80を介して車載スピーカシステム110に送信する。
車載スピーカシステム110は、第1のスピーカ160、第2のスピーカ161、通信部180及び制御部190を備える。第1のスピーカ160、第2のスピーカ161及び通信部180は、制御部190に接続される。
第1のスピーカ160及び第2のスピーカ161は、例えば、ダイナミックスピーカやコンデンサスピーカ等の音出力デバイスである。第1のスピーカ160及び第2のスピーカ161は、携帯電話機10から車載スピーカシステム110に送信された音信号に基づき、音を出力する。
通信部180は、携帯電話機10と接続して通信を行い、携帯電話機10が送信した音信号を受信する。
制御部190は、車載スピーカシステム110の全体の動作を制御するプロセッサである。制御部190は、通信部180を介して受信した音信号を第1のスピーカ160及び第2のスピーカ161に印加する。
次に、携帯電話機10の制御部90が行う制御について説明する。図2に示すように車内の前部右側の座席210にユーザ220が位置した状態において、同一の音信号を第1のスピーカ160及び第2のスピーカ161に印加して、音を再生させるとする。この場合、ユーザ220は第2のスピーカ161よりも第1のスピーカ160に近いため、ユーザ220には、第1のスピーカ160から再生された音が第2のスピーカ161から再生された音よりも早く聞こえる。すなわち、ユーザ220には、両スピーカから再生された音がずれて聞こえる。また、ユーザ220は第2のスピーカ161よりも第1のスピーカ160に近いため、ユーザ220には、第2のスピーカ161から再生された音が第1のスピーカ160から再生された音よりも小さく聞こえる。
さらに、本実施の形態における車200においては、天井や窓ガラスなどの反射面が存在し、かかる反射面においてエコーや倍音が生成される。特に、本実施の形態のように、ユーザ220が前部右側の座席210に位置する場合、ユーザ220の右耳に近い位置に窓ガラスが存在している。そのため、例えば、本来ユーザ220の左耳に入るべき第2のスピーカ161の音が、車200の右側の窓ガラスの反射により、ユーザ220の右耳に入ることがあり、ユーザ220は音の指向性が認識しづらい。また、例えばHi−Fi録音がされた音(音楽コンテンツ等)をかかる条件下で再生しても、ユーザ220が臨場感を得ることはできない。そこで、このような不都合を解消して良好な特性の音を得るために、携帯電話機10は、第1のスピーカ160及び第2のスピーカ161から再生される音のキャリブレーションを行う。
図4は、携帯電話機10が車載スピーカシステム110を用いて行うキャリブレーションの動作の一例を示すシーケンス図である。図4を参照しながら、携帯電話機10が行うキャリブレーションについて説明する。
まず、携帯電話機10では、制御部90が、第1のスピーカ160に印加する試験音の音信号を生成する(ステップS101)。この音信号は、例えば純音スイープ信号とすることができる。
携帯電話機10は、生成した音信号を通信部80を介して車載スピーカシステム110に送信する(ステップS102)。
車載スピーカシステム110では、通信部180が音信号を受信し、制御部190が第1のスピーカ160に音信号を印加する(ステップS103)。
そして、車載スピーカシステム110は、第1のスピーカ160から、印加された音信号に対応する試験音を再生する(ステップS104)。
携帯電話機10では、第1のマイク60及び第2のマイク61が、再生された試験音を取得する(ステップS105)。試験音の取得は、ユーザ220が、携帯電話機10の長手方向を水平にした状態で保持することにより行う。試験音の取得において、ユーザ220は、車内において音を聞く両耳の位置に、第1のマイク60及び第2のマイク61が配置されるように携帯電話機10を保持することが好ましい。図5は、キャリブレーションを行うときの携帯電話機10の位置の一例を示す図である。ユーザ220が図5の点線で示す位置において音を聞く場合、キャリブレーションにおいて、ユーザ220は、図5に示すように、第1のマイク60及び第2のマイク61が両耳の位置に近くなるように携帯電話機10を保持することが好ましい。携帯電話機10の第1のマイク60及び第2のマイク61の間隔が人間の両耳間の幅と同程度であるため、携帯電話機10をかかる位置に保持してキャリブレーションを行うことにより、両マイクを人間の両耳に模して、音を取得することができる。そのため、人間が両耳で聞いている環境に近い状態で、高精度のキャリブレーションを行うことができる。なお、本実施の形態では、第1のマイク60が右耳に対応するマイク(右耳用のマイク)、第2のマイク61が左耳に対応するマイク(左耳用のマイク)とする。
なお、図5のように両マイクが両耳の位置に近くなるように携帯電話機10を保持することが困難である場合には、ユーザ220は、例えば、携帯電話機10を額に当てるなどして保持するとよい。
携帯電話機10では、制御部90が、取得した試験音を記憶部70に記憶させる(ステップS106)。具体的には、制御部90は、試験音の周波数特性及び印加した試験音と取得した試験音との時間差等、試験音の特性を記憶させる。
次に、第2のスピーカ161について、ステップS101からステップS106で行った処理と同様の処理を行う。すなわち、携帯電話機10では、制御部90が、第2のスピーカ161に印加する試験音の音信号を生成する(ステップS107)。そして、携帯電話機10は、通信部80を介して生成した音信号を車載スピーカシステム110に送信する(ステップS108)。車載スピーカシステム110では、通信部180が音信号を受信し、制御部190が第2のスピーカ161に音信号を印加する(ステップS109)。そして、車載スピーカシステム110は、第2のスピーカ161から、印加された音信号に対応する試験音を再生する(ステップS110)。携帯電話機10では、第1のマイク60及び第2のマイク61が、再生された試験音を取得する(ステップS111)。そして、制御部90が、取得した試験音を記憶部70に記憶させる(ステップS112)。
次に、制御部90は、記憶部70に記憶した試験音の特性に基づいて、車載スピーカシステム110に送信する音信号の制御内容を決定する(ステップS113)。
制御部90は、例えば、取得した音の位相特性に基づいて、右耳用の音信号及び左耳用の音信号のそれぞれに対する制御内容を決定する。図6は、位相特性に基づくキャリブレーションの一例を示す図であり、縦軸は音の強さ、横軸は時間の推移を示す。ここでは、図6は、右耳用の第1のマイク60が取得した音の位相特性に基づくキャリブレーションの一例を示すとする。図6(a)において、波形600は、携帯電話機10が車載スピーカシステム110に送信した試験音の波形を示し、波形660は、第1のスピーカ160から再生され、ステップS105において第1のマイク60で取得された音(以下「第1スピーカ音」という)の波形を示し、波形661は、第2のスピーカ161から再生され、ステップS111において第1のマイク60で取得された音(以下「第2スピーカ音」という)の波形を示す。図6(a)に示すように、第1のマイク60で取得される第2スピーカ音の位相は、第1スピーカ音の位相よりも遅れている。また、第2スピーカ音の強さは、第1スピーカ音の強さよりも減衰して弱くなっている。そこで、制御部90は、第1のスピーカ160及び第2のスピーカ161がそれぞれ再生し、第1のマイク60に取得される音の位相及び強さが揃うように、右耳用の音信号への制御内容を決定する。
図6(b)は、携帯電話機10の制御部90によるキャリブレーション後の音の波形の一例を示す図である。制御部90は、第1スピーカ音の波形670の位相と第2スピーカ音の波形671の位相とが一致するように、第1のスピーカ160に印加する右耳用の音信号の位相を遅らせる制御を行うことを決定する。また、制御部90は、第2スピーカ音の強さが、第1のマイク60において第1スピーカ音の強さと同等となるように、第2のスピーカ161に印加する右耳用の音信号を制御することを決定する。かかる制御により、図6(b)の波形670及び671が重なり、第1のマイク60において、同じ位相かつ同じ強さの第1スピーカ音及び第2スピーカ音が得られる。なお、制御部90は、左耳用の第2のマイク61が取得した音の位相特性に基づいて、同様にキャリブレーションを行い、左耳用の音信号の制御内容を決定することができる。
また、制御部90は、例えば、取得した音の周波数特性に基づいて、音信号に対する制御内容を決定する。図7は、携帯電話機10が取得した音の周波数特性の一例を示す図であり、縦軸は音の強さ、横軸は周波数を示す。ここでは、図7は、右耳用の第1のマイク60が取得した音の周波数特性に基づくキャリブレーションの一例を示すとする。図7(a)において、波形700は、携帯電話機10が車載スピーカシステム110に送信した試験音の周波数特性を示し、波形760は、第1のマイク60で取得される第1スピーカ音又は第2スピーカ音の周波数特性を示す。図7(a)に示すように、取得された周波数特性の波形760は、スピーカの性能や、部屋の吸音又は反射等により、音圧が周波数毎にばらついている。
図7(b)は、携帯電話機10の制御部90によるキャリブレーション後の周波数特性の一例を示す図である。制御部90は、例えば図7(b)の波形770に示すように、周波数毎の音圧のばらつきを低減するように、車載スピーカシステム110に送信する右耳用の音信号の制御内容を決定することができる。なお、制御部90が決定する制御内容は、波形770のように音圧のばらつきを低減するものに限定されず、例えば、特定の周波数帯の音圧を上昇させることにより該周波数帯における音を強調したりするように制御内容を決定してもよい。かかる制御により、各周波数帯全体にわたって音圧のバランスがよくなるとともに、ユーザ220は、例えば音圧が不足することにより聞くことができなかった音を、聞くことができるようになる。なお、制御部90は、左耳用の第2のマイク61が取得した音の周波数特性に基づいて、同様にキャリブレーションを行い、左耳用の音信号の制御内容を決定することができる。
なお、制御部90が決定する制御内容は、上述の位相特性又は周波数特性に基づくものに限られない。例えば、制御部90は、マイクから取得する音に含まれる定常波のノイズを検出した場合、ノイズの逆位相の信号を音信号に付加するという制御内容を決定することができる。これにより、定常波のノイズがキャンセルされるため、ユーザ220に対して、車載スピーカシステム110から良好な特性の音を再生することができる。
また、第1のスピーカ160から再生される音がユーザ220の右耳に入り、第2のスピーカ161から再生される音がユーザ220の左耳に入ることで、ユーザが良好な特性の音を聞くことができるようなHi−Fi録音に基づいて音信号が作成されている場合を想定する。この場合において、例えば、ユーザ220の左耳に入る音を検出する第2のマイク61が、右耳用の第1のスピーカ160から再生される音を取得したとする。これは、本来ユーザ220の左耳に入るべき音が右耳に入っていることを示す。そこで、制御部90は、第2のマイク61により取得された音をキャンセルするように、逆位相の音を、第1のスピーカ160に印加する音信号に付加するという制御内容を決定ことができる。かかる制御を左右の音について行うことにより、車載スピーカシステム110は、ユーザ220が、右耳用及び左耳用に作成された音を、それぞれ右耳及び左耳から聞くことができるようになるという、良好な特性の音を再生することができる。
また、制御部90は、複数のスピーカから再生される音又は車内の反射音による音の多重化をキャンセルするように、逆位相の音を音信号に付加するという制御内容を決定することができる。このようにして、車載スピーカシステム110は、ユーザ220に対して、良好な特性の音を再生することができる。
再び図4を参照すると、制御部90は、音信号に対して行う制御内容を決定したとき、決定した制御内容を、車載スピーカシステム110を識別する識別情報に対応付けて記憶部70に記憶させる(ステップS114)。ここで、識別情報は、車載スピーカシステム110を一意に識別できる任意の情報とすることができる。例えば、携帯電話機10と車載スピーカシステム110とがBleutoothにより無線通信を行う場合、Bluetoothの通信が可能な車載スピーカシステム110のIMEI(International Mobile Equipment Identity)番号を識別情報とすることができる。すなわち、このとき、制御部90は、IMEI番号と決定した制御内容とを対応付けて記憶部70に記憶させる。
このように識別番号と制御内容とを対応付けて記憶させることにより、携帯電話機10は、一度制御内容を決定した車載スピーカシステム110に対して、再びキャリブレーションを行うことなく、制御を行った音信号を送信することができ、車載スピーカシステム110から良好な特性の音を再生させることができる。具体的には、制御部90が、車載スピーカシステム110において行う制御内容を決定し、かかる制御内容を記憶部70に記憶させたとする。そして、ユーザ220が、携帯電話機10と車載スピーカシステム110との通信を切断する。次にユーザ220が携帯電話機10と車載スピーカシステム110との通信を確立させたとき、携帯電話機10の制御部90は、接続された車載スピーカシステム110のIMEI番号を特定することにより、IMEI番号に対応付けられた制御内容に基づく制御を音信号に対して行い、通信部80を介して車載スピーカシステム110に送信することができる。
また、携帯電話機10と車載スピーカシステム110とが有線により接続される場合、識別情報は、例えばユーザ220により入力部40を介して選択されるものであってもよい。この場合、制御部90は、音信号の制御内容を決定したときに、車載スピーカシステム110を識別する、例えば文字列等の識別情報の入力を指示する画面を表示部50に表示させる。そして、ユーザ220は、入力部40を使用して、例えば「車200」等、車載スピーカシステム110を一意に識別できる識別情報を入力する。すると、制御部90は、入力された識別情報としての文字列と決定した制御内容とを対応付けて記憶部70に記憶させる。その後、携帯電話機10と車載スピーカシステム110との通信が一度切断された後に、再び通信が確立されたとき、制御部90は、接続した機器をユーザ220に選択させる画面を表示部50に表示させる。ユーザ220が、入力部40を使用して、例えば「車200」という表示を選択したとき、制御部90は、ユーザ220の入力に応じて、選択された識別情報に対応する制御内容に基づく制御を音信号に対して行い、通信部80を介して車載スピーカシステム110に送信する。
このように、本実施の形態に係る音再生装置は、ユーザ220が音を聞く場所において外部スピーカシステムから再生される音のキャリブレーションを行い、音信号の制御を行うため、ユーザ220に対して、外部スピーカシステムから良好な特性の音を発生させることができる。しかも、本実施の形態のように、音再生装置を携帯電話機10で実現することにより、ユーザ220は、音再生装置に適切な位置で簡便にキャリブレーションを行わせることができる。また、音発生装置は、決定した制御内容と識別情報とを対応付けて記憶することにより、音発生装置と外部スピーカシステムとの通信を確立するたびにキャリブレーションを行うことなく、音信号の制御を行って、外部スピーカシステムから良好な特性の音を発生させることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形又は変更が可能である。例えば、外部スピーカシステムは、車200に限定されない。外部スピーカシステムは、例えば、室内のオーディオコンポ等であってもよい。外部スピーカシステムとして室内のオーディオコンポを使用する場合、ユーザ220は、室内の音を聞く位置において、携帯電話機10にキャリブレーションを行わせて、オーディオコンポに送信する音信号の制御内容を決定させる。
また、携帯電話機10は、複数の外部スピーカシステムについて、各外部スピーカシステムに対して決定した制御内容を、それぞれの識別情報に対応付けて、記憶部70に記憶させることができる。例えば、携帯電話機10は、ユーザ220が所有する車200の車載スピーカシステム110の他、室内のオーディオコンポ等の各外部スピーカシステムについて、キャリブレーションに基づいて決定した制御内容を、各外部スピーカシステムの識別情報に対応付けて、記憶部70に記憶させる。この場合、携帯電話機10は、外部スピーカシステムと通信が確立されたとき、外部スピーカシステムの識別情報に基づいて、音信号の制御を行う。また、例えばユーザ220が複数台の車を所有する場合、車内の環境により音の特性が変化するため、複数の車それぞれの車載スピーカシステムについて、キャリブレーションを行うことが好ましい。
また、ユーザ220は、図2で示した座席210以外に、座席211、座席212又は座席213において音を聞く場合、該座席においてキャリブレーションを実施することができる。また、ユーザ220は、予め4つの座席全てにおいてキャリブレーションを行い、各座席における音信号の制御内容を各座席の識別情報に対応付けて携帯電話機10の記憶部70に記憶させてもよい。この場合、ユーザ220は、自分が座った座席の位置に対応する識別情報を選択することにより、座席に応じた音信号の制御内容に基づく制御を携帯電話機10に行わせることができる。
ユーザ220は、運転席に該当する座席210以外の座席でキャリブレーションを行う場合、車200の走行中にキャリブレーションを行ってもよい。走行中にはエンジン音、タイヤの音及び風切り音等のノイズが発生する。携帯電話機10の2つのマイクは、このノイズを含んだ音を取得するため、ノイズのうち定常波のノイズについては、その逆位相の信号を音信号に付加するという制御内容を決定することができる。これにより、定常波のノイズがキャンセルされるため、ユーザ220は、車200の走行中において、より良好な特性の音を聞くことができる
また、上述の実施の形態の説明において、車載スピーカシステム110は、スピーカを2つ備えるとして説明したが、スピーカの個数は2つに限定されない。すなわち、スピーカの個数は3つ以上の複数個であっても良い。例えば、図8に示すように、車200は、ダッシュボードスピーカである第1のスピーカ160及び第2のスピーカ161の他に、左右のフロントドアスピーカ162と、左右のリアドアスピーカ163とを備える。なお、図8においては、各スピーカから再生されてユーザ220の右耳に届く音のみを示し、左耳に届く音の記載は省略している。
図8に示す6つのスピーカを有する車載スピーカシステム110に対し、音信号を6つのチャンネルで制御可能な携帯電話機10の制御部90は、各スピーカに順次試験音を再生させて、キャリブレーションを行う。そして、制御部90は、各スピーカの試験音の特性に基づき、各スピーカに対する音信号の制御内容を決定して、記憶部70に記憶させる。制御部90がかかる制御内容に基づく制御を行うことにより、ユーザ220に対して、複数のスピーカから良好な特性の音が再生される。
また、上記実施の形態では、音再生装置を携帯電話機10により実現したが、音再生装置は、携帯電話機に限られない。例えば、携帯型ミュージックプレイヤ等の任意の電子機器により音再生装置を実現させることができる。
10 携帯電話機(音再生装置)
20 筐体
21 バッテリリッド
30 パネル
40 入力部
50 表示部
60 第1のマイク
61 第2のマイク
70 記憶部
80 通信部
90 制御部
91 DSP
110 車載スピーカシステム(外部スピーカシステム)
160 第1のスピーカ
161 第2のスピーカ
180 通信部
190 制御部
200 車
210、211、212、213 座席
220 ユーザ

Claims (9)

  1. 複数のスピーカを備える外部スピーカシステムに音信号を送信する通信部と、
    互いに離間して配置される2つのマイクと、
    前記スピーカ毎に再生される音を前記マイクを介して取得し、前記スピーカ毎に取得した音の特性に基づいて、前記外部スピーカシステムに送信する音信号の制御内容を決定する制御部と
    を備える音再生装置。
  2. 前記制御部は、前記スピーカ毎に取得した音の位相特性及び周波数特性に基づいて、前記制御内容を決定する、請求項1に記載の音再生装置。
  3. 前記制御部は、前記外部スピーカシステムを識別する識別情報に対応付けて、前記決定した制御内容を記憶部に記憶させる、請求項1又は請求項2に記載の音再生装置。
  4. 前記制御部は、接続された外部スピーカシステムの前記識別情報を取得し、取得した該識別情報に対応する前記決定した制御内容に基づく制御を、前記外部スピーカシステムに送信する音信号に対して行う、請求項3に記載の音再生装置。
  5. 前記識別情報を表示する表示部をさらに備え、
    前記制御部は、前記表示部を介して選択された識別情報に対応する前記決定した制御内容を、前記外部スピーカシステムに送信する音信号に対して行う、請求項3に記載の音再生装置。
  6. 前記外部スピーカシステムは車載スピーカシステムである、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の音再生装置。
  7. 前記2つのマイクは、3cm以上30cm以下の間隔で互いに離間して配置される、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の音再生装置。
  8. 前記通信部が送信する前記音信号は、
    右耳用の音信号と、左耳用の音信号とが合成された信号である、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の音再生装置。
  9. 互いに離間して配置される2つのマイクを備える音再生装置における音再生方法であって、
    複数のスピーカを備える外部スピーカシステムに音信号を送信するステップと、
    前記2つのマイクから、前記スピーカ毎に再生される音を取得するステップと、
    前記スピーカ毎に取得した音の特性に基づいて、前記外部スピーカシステムに送信する音信号の制御内容を決定するステップと
    を含む音再生方法。

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