以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態1)
<流量センサの回路構成>
まず、流量センサの回路構成を説明する。図1は、本実施の形態1における流量センサの回路構成を示す回路ブロック図である。図1において、本実施の形態1における流量センサは、まず、流量センサを制御するためのCPU(Central Processing Unit)1を有し、さらに、このCPU1に入力信号を入力するための入力回路2、および、CPU1からの出力信号を出力するための出力回路3を有している。そして、流量センサにはデータを記憶するメモリ4が設けられており、CPU1は、メモリ4にアクセスして、メモリ4に記憶されているデータを参照できるようになっている。
次に、CPU1は、出力回路3を介して、トランジスタTrのベース電極と接続されている。そして、このトランジスタTrのコレクタ電極は電源PSに接続され、トランジスタTrのエミッタ電極は発熱抵抗体HRを介してグランド(GND)に接続されている。したがって、トランジスタTrは、CPU1によって制御されるようになっている。すなわち、トランジスタTrのベース電極は、出力回路3を介してCPU1に接続されているので、CPU1からの出力信号がトランジスタTrのベース電極に入力される。
この結果、CPU1からの出力信号(制御信号)によって、トランジスタTrを流れる電流が制御されるように構成されている。CPU1からの出力信号によってトランジスタTrを流れる電流が大きくなると、電源PSから発熱抵抗体HRに供給される電流が大きくなり、発熱抵抗体HRの加熱量が大きくなる。
一方、CPU1からの出力信号によってトランジスタTrを流れる電流が少なくなると、発熱抵抗体HRへ供給される電流が少なくなり、発熱抵抗体HRの加熱量は減少する。
このように本実施の形態1における流量センサでは、CPU1によって発熱抵抗体HRを流れる電流量が制御され、これによって、発熱抵抗体HRからの発熱量がCPU1によって制御されるように構成されていることがわかる。
続いて、本実施の形態1における流量センサでは、CPU1によって発熱抵抗体HRを流れる電流を制御するため、ヒータ制御ブリッジHCBが設けられている。このヒータ制御ブリッジHCBは、発熱抵抗体HRから放散される発熱量を検知し、この検知結果を入力回路2へ出力するように構成されている。この結果、CPU1は、ヒータ制御ブリッジHCBからの検知結果を入力することができ、これに基づいて、トランジスタTrを流れる電流を制御する。
具体的に、ヒータ制御ブリッジHCBは、図1に示すように、参照電圧Vref1とグランド(GND)との間にブリッジを構成する抵抗体R1〜抵抗体R4を有している。このように構成されているヒータ制御ブリッジHCBでは、発熱抵抗体HRで加熱された気体が吸気温度よりもある一定温度(ΔT、例えば、100℃)だけ高い場合に、ノードAの電位とノードBの電位の電位差が0Vとなるように、抵抗体R1〜抵抗体R4の抵抗値が設定されている。つまり、ヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1〜抵抗体R4は、抵抗体R1と抵抗体R3を直列接続した構成要素と、抵抗体R2と抵抗体R4を直列接続した構成要素とが、参照電圧Vref1とグランド(GND)との間に並列接続されるようにしてブリッジが構成されている。そして、抵抗体R1と抵抗体R3の接続点がノードAとなっており、抵抗体R2と抵抗体R4の接続点がノードBとなっている。
このとき、発熱抵抗体HRで加熱された気体は、ヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1に接触するようになっている。したがって、発熱抵抗体HRからの発熱量によって、ヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1の抵抗値が主に変化することになる。このように抵抗体R1の抵抗値が変化すると、ノードAとノードBとの間の電位差が変化する。このノードAとノードBとの電位差は、入力回路2を介してCPU1に入力されるので、CPU1は、ノードAとノードBとの電位差に基づいて、トランジスタTrを流れる電流を制御する。
具体的に、CPU1は、ノードAとノードBとの電位差が0VとなるようにトランジスタTrを流れる電流を制御して、発熱抵抗体HRからの発熱量を制御するようになっている。すなわち、本実施の形態1における流量センサでは、CPU1がヒータ制御ブリッジHCBの出力に基づいて、発熱抵抗体HRで加熱された気体が吸気温度よりもある一定温度(ΔT、例えば、100℃)だけ高い一定値に保持するようにフィードバック制御するように構成されていることがわかる。
続いて、本実施の形態1における流量センサは、気体の流量を検知するための温度センサブリッジTSBを有している。この温度センサブリッジTSBは、参照電圧Vref2とグランド(GND)との間にブリッジを構成する4つの測温抵抗体から構成されている。この4つの測温抵抗体は、2つの上流測温抵抗体UR1、UR2と、2つの下流測温抵抗体BR1、BR2から構成されている。
つまり、図1の矢印の方向は、気体が流れる方向を示しており、この気体が流れる方向の上流側に上流測温抵抗体UR1、UR2が設けられ、下流側に下流測温抵抗体BR1、BR2が設けられている。これらの上流測温抵抗体UR1、UR2および下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRまでの距離が同じになるように配置されている。
温度センサブリッジTSBでは、参照電圧Vref2とグランド(GND)の間に上流測温抵抗体UR1と下流測温抵抗体BR1が直列接続されており、この上流測温抵抗体UR1と下流測温抵抗体BR1の接続点がノードCとなっている。
一方、グランド(GND)と参照電圧Vref2の間に上流測温抵抗体UR2と下流測温抵抗体BR2が直列接続されており、この上流測温抵抗体UR2と下流測温抵抗体BR2の接続点がノードDとなっている。そして、ノードCの電位とノードDの電位は、入力回路2を介してCPU1に入力されるように構成されている。そして、矢印方向に流れる気体の流量が零である無風状態のとき、ノードCの電位とノードDの電位との差電位が0Vとなるように、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2の各抵抗値が設定されている。
具体的に、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRからの距離が等しく、かつ、抵抗値も等しくなるように構成されている。このため、温度センサブリッジTSBでは、発熱抵抗体HRの発熱量にかかわらず、無風状態であれば、ノードCとノードDの差電位は0Vとなるように構成されていることがわかる。
<流量センサの動作>
本実施の形態1における流量センサは上記のように構成されており、以下に、その動作について図1を参照しながら説明する。まず、CPU1は、出力回路3を介してトランジスタTrのベース電極に出力信号(制御信号)を出力することにより、トランジスタTrに電流を流す。すると、トランジスタTrのコレクタ電極に接続されている電源PSから、トランジスタTrのエミッタ電極に接続されている発熱抵抗体HRに電流が流れる。このため、発熱抵抗体HRは発熱する。そして、発熱抵抗体HRからの発熱で暖められた気体がヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1を加熱する。
このとき、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)だけ高くなっている場合、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBの差電位が0Vとなるように、抵抗体R1〜R4の各抵抗値が設定されている。このため、例えば、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)だけ高くなっている場合、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBとの間の差電位は0Vとなり、この差電位(0V)が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、ヒータ制御ブリッジHCBからの差電位が0Vであることを認識したCPU1は、出力回路3を介してトランジスタTrのベース電極に、現状の電流量を維持するための出力信号(制御信号)を出力する。
一方、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)からずれている場合、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBとの間に0Vではない差電位が発生し、この差電位が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、ヒータ制御ブリッジHCBからの差電位が発生していることを認識したCPU1は、出力回路3を介してトランジスタTrのベース電極に、差電位が0Vになるような出力信号(制御信号)を出力する。
例えば、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)よりも高くなる方向の差電位が発生している場合、CPU1は、トランジスタTrを流れる電流が減少するような制御信号(出力信号)を、トランジスタTrのベース電極へ出力する。これに対し、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)よりも低くなる方向の差電位が発生している場合、CPU1は、トランジスタTrを流れる電流が増加するような制御信号(出力信号)を、トランジスタTrのベース電極へ出力する。
以上のようにして、CPU1は、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBとの間の差電位が0V(平衡状態)になるように、ヒータ制御ブリッジHCBからの出力信号に基づいて、フィードバック制御する。このことから、本実施の形態1における流量センサでは、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度となるように制御されることがわかる。
次に、本実施の形態1における流量センサでの気体の流量を測定する動作について説明する。まず、無風状態の場合について説明する。矢印方向に流れる気体の流量が零である無風状態のとき、温度センサブリッジTSBのノードCの電位とノードDの電位との差電位が0Vとなるように、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2の各抵抗値が設定されている。
具体的に、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRからの距離が等しく、かつ、抵抗値も等しくなるように構成されている。このため、温度センサブリッジTSBでは、発熱抵抗体HRの発熱量にかかわらず、無風状態であれば、ノードCとノードDの差電位は0Vとなり、この差電位(0V)が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、温度センサブリッジTSBからの差電位が0Vであることを認識したCPU1は、矢印方向に流れる気体の流量が零であると認識し、出力回路3を介して気体流量Qが零であることを示す出力信号が本実施の形態1における流量センサから出力される。
続いて、図1の矢印方向に気体が流れている場合を考える。この場合、図1に示すように、気体の流れる方向の上流側に配置されている上流測温抵抗体UR1、UR2は、矢印方向に流れる気体によって冷却される。このため、上流測温抵抗体UR1、UR2の温度は低下する。これに対し、気体の流れる方向の下流側に配置されている下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRで暖められた気体が下流測温抵抗体BR1、BR2に流れてくるので温度が上昇する。この結果、温度センサブリッジTSBのバランスが崩れ、温度センサブリッジTSBのノードCとノードDとの間に零ではない差電位が発生する。
この差電位が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、温度センサブリッジTSBからの差電位が零ではないことを認識したCPU1は、矢印方向に流れる気体の流量が零ではないことを認識する。その後、CPU1はメモリ4にアクセスする。メモリ4には、差電位と気体流量を対応づけた対比表(テーブル)が記憶されているので、メモリ4にアクセスしたCPU1は、メモリ4に記憶されている対比表から気体流量Qを算出する。このようにして、CPU1で算出された気体流量Qは出力回路3を介して、本実施の形態1における流量センサから出力される。以上のようにして、本実施の形態1における流量センサによれば、気体の流量を求めることができることがわかる。
<流量センサのレイアウト構成>
次に、本実施の形態1における流量センサのレイアウト構成について説明する。例えば、図1に示す本実施の形態1における流量センサは、2つの半導体チップに形成される。具体的には、発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジHCBおよび温度センサブリッジTSBが1つの半導体チップに形成され、CPU1、入力回路2、出力回路3およびメモリ4などが別の半導体チップに形成される。以下では、発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジHCBおよび温度センサブリッジTSBが形成されている半導体チップのレイアウト構成について説明する。
図2は、本実施の形態1における流量センサの一部を構成した半導体チップCHP1のレイアウト構成を示す平面図である。まず、図2に示すように、半導体チップCHP1が矩形形状をしており、この半導体チップCHP1の左側から右側に向って(矢印方向)、気体が流れるようになっている。そして、図2に示すように、矩形形状をした半導体チップCHP1の裏面側に矩形形状のダイヤフラムDFが形成されている。ダイヤフラムDFとは、半導体チップCHP1の厚さを薄くした薄板領域のことを示している。つまり、ダイヤフラムDFが形成されている領域の厚さは、その他の半導体チップCHP1の領域の厚さよりも薄くなっている。
このようにダイヤフラムDFが形成されている裏面領域に相対する半導体チップCHP1の表面領域には、図2に示すように、流量検出部FDUが形成されている。具体的に、この流量検出部FDUの中央部には、発熱抵抗体HRが形成されており、この発熱抵抗体HRの周囲にヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R1が形成されている。そして、流量検出部FDUの外側にヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R2〜R4が形成されている。このように形成された抵抗体R1〜R4によってヒータ制御ブリッジが構成される。
特に、ヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R1は、発熱抵抗体HRの近傍に形成されているので、発熱抵抗体HRからの発熱で暖められた気体の温度を抵抗体R1に精度良く反映させることができる。
一方、ヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R2〜R4は、発熱抵抗体HRから離れて配置されているので、発熱抵抗体HRからの発熱の影響を受けにくくすることができる。
したがって、抵抗体R1は発熱抵抗体HRで暖められた気体の温度に敏感に反応するように構成することができるとともに、抵抗体R2〜R4は発熱抵抗体HRの影響を受けにくく抵抗値を一定値に維持しやすく構成することができる。このため、ヒータ制御ブリッジの検出精度を高めることができる。
さらに、流量検出部FDUに形成されている発熱抵抗体HRを挟むように、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2が配置されている。具体的に、気体が流れる矢印方向の上流側に上流測温抵抗体UR1、UR2が形成され、気体が流れる矢印方向の下流側に下流測温抵抗体BR1、BR2が形成されている。
このように構成することにより、気体が矢印方向に流れる場合、上流測温抵抗体UR1、UR2の温度を低下させることができるとともに、下流測温抵抗体BR1、BR2の温度を上昇させることができる。このように流量検出部FDUに配置されている上流測温抵抗体UR1、UR2および下流測温抵抗体BR1、BR2により温度センサブリッジが形成される。
上述した発熱抵抗体HR、上流測温抵抗体UR1、UR2および下流測温抵抗体BR1、BR2は、例えば、白金(プラチナ)などの金属膜やポリシリコン(多結晶シリコン)などの半導体薄膜をスパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などの方法で形成した後、イオンエッチングなどの方法でパターニングすることにより形成することができる。
このように構成されている発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R1〜R4、および、温度センサブリッジを構成する上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2は、それぞれ、配線WL1と接続されて、半導体チップCHP1の下辺に沿って配置されているパッドPD1に引き出されている。
以上のようにして、本実施の形態1における流量センサの一部を構成する半導体チップCHP1がレイアウト構成されている。実際の流量センサは、発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジHCBおよび温度センサブリッジTSBが形成された1つの半導体チップと、CPU1、入力回路2、出力回路3およびメモリ4などが形成されたもう1つの半導体チップとを有し、これらの半導体チップを基板上に実装した構造をしている。
以下では、このように実装構成された本実施の形態1における流量センサについて説明する。
<実施の形態1における流量センサの実装構成>
図3は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す図であり、樹脂で封止する前の構成を示す図である。特に、図3(a)は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す平面図である。図3(b)は、図3(a)のA−A線で切断した断面図であり、図3(c)は半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。
まず、図3(a)に示すように、本実施の形態1における流量センサFS1は、例えば、銅材からなるリードフレームLFを有している。このリードフレームLFは、外枠体を構成するダムバーDMで囲まれた内部にチップ搭載部TAB1とチップ搭載部TAB2を有している。そして、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載され、チップ搭載部TAB2上に半導体チップCHP2が搭載されている。
半導体チップCHP1は、矩形形状をしており、ほぼ中央部に流量検出部FDUが形成されている。そして、流量検出部FDUと接続する配線WL1が半導体チップCHP1上に形成されており、この配線WL1は、半導体チップCHP1の一辺に沿って形成された複数のパッドPD1と接続されている。すなわち、流量検出部FDUと複数のパッドPD1とは配線WL1で接続されていることになる。これらのパッドPD1は、リードフレームLFに形成されているリードLD1と、例えば、金線からなるワイヤW1を介して接続されている。リードフレームLFに形成されているリードLD1は、さらに、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2と、例えば、金線からなるワイヤW2を介して接続されている。
半導体チップCHP2には、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子や配線からなる集積回路が形成されている。具体的には、図1に示すCPU1、入力回路2、出力回路3、あるいは、メモリ4などを構成する集積回路が形成されている。これらの集積回路は、外部接続端子として機能するパッドPD2やパッドPD3と接続されている。そして、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3は、リードフレームLFに形成されているリードLD2と、例えば、金線からなるワイヤW3を介して接続されている。このようにして、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1と、制御回路が形成されている半導体チップCHP2は、リードフレームLFに形成されているリードLD1を介して接続されていることがわかる。なお、図3には図示していないが、半導体チップCHP1の最外表面には、後述するように、接着する樹脂との応力緩衝、表面保護、絶縁などを目的として、ポリイミド膜が形成されていてもよい。
続いて、図3(b)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1が形成されており、このチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載されている。この半導体チップCHP1は、接着材ADH1によってチップ搭載部TAB1と接着している。半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDF(薄板部)が形成されており、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には、流量検出部FDUが形成されている。一方、ダイヤフラムDFの下方に存在するチップ搭載部TAB1の底部には開口部OP1が形成されている。ここでは、ダイヤフラムDFの下方に存在するチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されている例を示したが、本実施の形態1における技術的思想は、これに限定されるものではなく、開口部OP1が形成されていないリードフレームLFを使用することもできる。
さらに、図3(b)に示すように、半導体チップCHP1の表面(上面)には、流量検出部FDUの他に、流量検出部FDUと接続されたパッドPD1が形成されており、このパッドPD1は、リードフレームLFに形成されたリードLD1とワイヤW1を介して接続されている。そして、リードフレームLFには、半導体チップCHP1の他に半導体チップCHP2も搭載されており、半導体チップCHP2は、接着材ADH2によってチップ搭載部TAB2に接着している。さらに、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2と、リードフレームLFに形成されているリードLD1がワイヤW2を介して接続されている。また、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3と、リードフレームLFに形成されているリードLD2は、ワイヤW3を介して電気的に接続されている。
半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1とを接着している接着材ADH1や、半導体チップCHP2とチップ搭載部TAB2とを接着している接着材ADH2は、例えば、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を成分とした接着材、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂やフッ素樹脂などの熱可塑性樹脂を成分とした接着材を使用することができる。
例えば、半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1の接着は、図3(c)に示すように接着材ADH1や銀ペーストなどを塗布することや、シート状の接着材により行うことができる。図3(c)は、半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。図3(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1が塗布されている。なお、図3(c)では、ダイヤフラムDFを四角形形状に囲むように接着材ADH1を塗布する例を示しているが、これに限らず、例えば、ダイヤフラムDFを楕円形状などの任意の形状で囲むように接着材ADH1を塗布してもよい。
さらに、本実施の形態1では、図3(a)および図3(b)に示すように、半導体チップCHP1の一部上に枠体FBが形成されている。この枠体FBは、例えば、矩形形状をしており、内部に開口部OP(FB)が形成されている。この枠体FBは、開口部OP(FB)から半導体チップCHP1の主面上に形成された流量検出部FDUが露出するように配置されており、かつ、枠体FBの外側に半導体チップCHP1に形成されている複数のパッドPD1が露出するように配置されている。
以下に、この枠体FBの構成について説明する。図4は、枠体FBの構成を示す図である。図4(a)は、枠体FBの構成を示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A線で切断した断面図である。また、図4(c)は、図4(a)のB−B線で切断した断面図である。
図4(a)に示すように、枠体FBは、矩形形状をしており、枠部FPの内部に開口部OP(FB)が形成されていることがわかる。そして、図4(b)や図4(c)に示すように、枠体FBには、半導体チップCHP1の側面に並行する壁部WPが形成されている。そして、図3(b)に示すように、この壁部WPを半導体チップCHP1に密着させることにより、半導体チップCHP1に位置合わせされた状態で枠体FBを半導体チップCHP1上に配置することができる。このとき、枠体FBは、半導体チップCHP1と接着していてもよいし、あるいは、半導体チップCHP1と接着されていなくてもよい。特に、枠体FBが半導体チップCHP1と接着されている場合には、枠体FBの位置ずれを防止できる効果を得ることができる。なお、枠体FBに形成されている壁部WPは、半導体チップCHP1の少なくとも1つの側面に対応して設けられていればよい。
ここで、本実施の形態1における枠体FBの特徴は、枠体FBを構成する材質の弾性係数が、半導体チップCHP1を構成する材質の弾性係数よりも小さい点にある。このとき、弾性係数とは、枠体FBおよび半導体チップCHP1の弾性率をいうものとする。弾性率とは、弾性体内の応力とひずみが互いに比例するというフックの法則を、「応力がひずみに比例する」という形に表したときの比例定数をいう。
例えば、枠体FBの弾性係数と、半導体チップCHP1の弾性係数の比較は、温度25℃(室温)で比較することが望ましい。また、弾性係数の比較は、枠体FBの弾性係数と、半導体チップCHP1を構成する基材の弾性係数の間で行なうことができる。例えば、半導体チップCHP1を構成する基材がシリコン単結晶から形成されている場合には、シリコン単結晶よりも室温で弾性係数が小さい材質から枠体FBを構成することができる。
以上では、枠体FBと半導体チップCHP1の弾性係数の比較について説明したが、その基本理念は、半導体チップCHP1よりも硬さが柔らかい枠体FBを使用する点にある。ここでいう硬さは、例えば、室温でのビッカース硬さ、マイクロビッカース硬さ、ブリネル硬さ、あるいは、ロックウェル硬さのいずれかで比較することができる。
具体的に、半導体チップCHP1よりも硬さが柔らかい枠体FBは、PBT樹脂、ABS樹脂、PC樹脂、ナイロン樹脂、PS樹脂、フッ素樹脂などを成分とした熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを成分とした熱硬化性樹脂、テフロン(登録商標)、ウレタン、フッ素などを成分としたゴム材料、エラストマーなどの高分子材料を使用することができる。
枠体FBとしては、射出成形やトランスファ成形法で金型内に樹脂を充填してモールド成形することにより形成したり、上述した材料から形成されるフィルム品やシート形状品を使用することができる。
また、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム材料、エラストマーなどの高分子材料から形成される枠体FBは、枠体FB自体が接着性を有する接着材としても用いることができ、さらには、ガラス、シリカ、マイカ、タルクなどの無機フィラーやカーボンなどの有機フィラーを充填することもできる。
なお、真鍮、アルミニウム合金、銅合金などのシリコンよりも弾性係数が小さい金属材料をプレス加工、ロール加工、あるいは、鋳造で成形することにより、枠体FBを構成することもできる。
本実施の形態1における流量センサFS1において、樹脂で封止する前の流量センサFS1の実装構成は上記のように構成されており、以下に、樹脂で封止した後の流量センサFS1の実装構成について説明する。
図5は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す図であり、樹脂で封止した後の構成を示す図である。特に、図5(a)は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す平面図である。図5(b)は、図5(a)のA−A線で切断した断面図であり、図5(c)は図5(a)のB−B線で切断した断面図である。
本実施の形態1における流量センサFS1では、図5(a)に示すように、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを枠体FBに形成されている開口部OP(FB)から露出した状態で、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全体が樹脂MRで覆われた構造をしている(第1特徴点)。つまり、本実施の形態1では、流量検出部FDUが形成されている領域および枠体FBが搭載されている領域を除く半導体チップCHP1の領域および半導体チップCHP2の全領域を一括して樹脂MRで封止している。
上述した樹脂MRは、例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を使用することができるとともに、樹脂中にガラスやマイカなどの充填材を混入させることもできる。
この樹脂MRによる封止は、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を樹脂MRで封止することができるのである。このことは、本実施の形態1における流量センサFS1によれば、各流量センサFS1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全領域を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。
この結果、本実施の形態1によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置を各流量センサFS1で一致させることができるため、各流量センサFS1において気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
続いて、本実施の形態1における流量センサFS1では、図5(b)に示すように、露出している流量検出部FDUを囲んだ両側における枠体FBの高さ、あるいは、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっている(第2特徴点)。つまり、露出している流量検出部FDUは、周囲を枠体FBで囲まれ、かつ、流量検出部FDUを囲む枠体FBの高さが流量検出部FDUの高さよりも高くなっている。このような本実施の形態1における第2特徴点によれば、部品の取り付け組み立て時などに部品が露出している流量検出部FDUにぶつかることを防止できるので、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の破損を防止できる。すなわち、露出している流量検出部FDUの高さよりも流量検出部FDUを囲んでいる枠体FBの高さが高くなっている。このため、部品が接触する際、まず、高さの高い枠体FBに接触するので、高さの低い流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の露出面(XY面)が部品に接触して、半導体チップCHP1が破損することを防止できる。
特に、本実施の形態1では、半導体チップCHP1の一部上に枠体FBが配置されており、この枠体FBの弾性係数が半導体チップCHP1の弾性係数よりも小さくなっている。言い換えれば、枠体FBは、半導体チップCHP1よりも硬さの柔らかい材料から構成されている。したがって、部品が枠体FBに接触した場合、比較的硬さの柔らかな枠体FBの変形で衝撃を吸収することができるため、枠体FBの下に配置されている半導体チップCHP1に衝撃が伝達されることを抑制することができ、これによって、半導体チップCHP1の破損を効果的に防止することができる。
なお、枠体FBおよび樹脂MR(封止体)の高さは、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高ければよく、枠体FBの高さは、樹脂MR(封止体)の高さよりも高くても低くてもよいし、面一であってもよい。
また、本実施の形態1では、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提としている。そして、図5(b)および図5(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1を形成し、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2を設けている。
これにより、本実施の形態1による流量センサFS1によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS1の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS1の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
以上のようにして、本実施の形態1における流量センサFS1が実装構成されているが、実際の流量センサFS1では、樹脂MRで封止した後、リードフレームLFの外枠体を構成するダムバーDMが除去される。図6は、ダムバーDMを除去した後の流量センサFS1の実装構成を示す平面図である。図6に示すように、ダムバーDMを切断することにより、複数の電気信号を複数のリードLD2から独立して取り出すことができることがわかる。
<本実施の形態1における流量センサの製造方法>
本実施の形態1における流量センサFS1は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について、図7〜図14を参照しながら説明する。図7〜図14は、図5(a)のA−A線で切断した断面における製造工程を示している。
まず、図7に示すように、例えば、銅材からなるリードフレームLFを用意する。このリードフレームLFには、チップ搭載部TAB1、チップ搭載部TAB2、リードLD1およびリードLD2が一体的に形成されており、チップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されている。
続いて、図8に示すように、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を搭載し、チップ搭載部TAB2上に半導体チップCHP2を搭載する。具体的には、リードフレームLFに形成されたチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を接着材ADH1で接続する。このとき、半導体チップCHP1に形成されているダイヤフラムDFがチップ搭載部TAB1の底部に形成されている開口部OP1と連通するように、半導体チップCHP1がチップ搭載部TAB1上に搭載される。なお、半導体チップCHP1には、通常の半導体製造プロセスによって流量検出部FDU、配線(図示せず)およびパッドPD1が形成される。そして、例えば、異方性エッチングにより、半導体チップCHP1の表面に形成された流量検出部FDUと相対する裏面の位置にダイヤフラムDFが形成されている。また、リードフレームLFに形成されているチップ搭載部TAB2上に、接着材ADH2によって半導体チップCHP2も搭載されている。この半導体チップCHP2には、予め、通常の半導体製造プロセスによって、MISFETなどの半導体素子(図示せず)や配線(図示せず)、パッドPD2、パッドPD3が形成されている。
次に、図9に示すように、半導体チップCHP1に形成されているパッドPD1と、リードフレームLFに形成されているリードLD1とをワイヤW1で接続する(ワイヤボンディング)。同様に、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2をリードLD1とワイヤW2で接続し、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3をリードLD2とワイヤW3で接続する。ワイヤW1〜W3は、例えば、金線から形成される。
その後、図10に示すように、半導体チップCHP1上に枠体FBを搭載する。具体的に、枠体FBは、内部に形成された開口部OP(FB)内に、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUが内包され、かつ、枠体FBの外側に半導体チップCHP1に形成されている複数のパッドPD1が配置されるように搭載される。これにより、流量検出部FDUおよび複数のパッドPD1を露出させながら、枠体FBを半導体チップCHP1上に搭載することができる。
このとき、本実施の形態1における枠体FBは、壁部WPを有しているため、この壁部WPを半導体チップCHP1の一側面に密着させながら、枠体FBを半導体チップCHP1上に配置することができる。これにより、半導体チップCHP1上に搭載される枠体FBの位置決め精度を向上させることができ、確実に枠体FBに形成されている開口部OP(FB)から流量検出部FDUを露出させることができるとともに、枠体FBとパッドPD1との接触を防止することができる。
ここで、枠体FBと半導体チップCHP1とは接着してもよいし、接着しなくてもよい。ただし、半導体チップCHP1上に搭載された枠体FBの位置ずれを抑制する観点からは、枠体FBを半導体チップCHP1に接着させることが望ましい。
その後、図11に示すように、パッドPD1が形成されている近傍領域における半導体チップCHP1の表面、ワイヤW1、リードLD1、ワイヤW2、半導体チップCHP2の主面全面、ワイヤW3およびリードLD2の一部を樹脂MRで封止する(モールド工程)。具体的には、図11に示すように、枠体FBを搭載した半導体チップCHP1および半導体チップCHP2を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで第2空間を介して挟み込む。その後、加熱下において、この第2空間に樹脂MRを流し込むことにより、パッドPD1が形成されている近傍領域における半導体チップCHP1の表面、ワイヤW1、リードLD1、ワイヤW2、半導体チップCHP2の主面全面、ワイヤW3およびリードLD2の一部を樹脂MRで封止する。このとき、図11に示すように、ダイヤフラムDFの内部空間は、接着材ADH1によって、上述した第2空間と隔離されているので、第2空間を樹脂MRで充填する際にも、ダイヤフラムDFの内部空間へ樹脂MRが侵入することを防止できる。
さらに、本実施の形態1では、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を、枠体FBを介して金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を樹脂MRで封止することができる。このことは、本実施の形態1における流量センサFS1の製造方法によれば、各流量センサの位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全領域を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態1によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置を各流量センサで一致させることができるため、各流量センサにおいて気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
ここで、本実施の形態1における流量センサFS1の製造方法の特徴は、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの高さよりも高い枠体FBに弾性体フィルムLAFを介して上金型UMを押し当てながら、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを下金型BMと上金型UMで挟み込むことにある。
これにより、本実施の形態1によれば、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUおよびその近傍領域を囲む第1空間SP1(密閉空間)を確保しながら、例えばパッド形成領域に代表される半導体チップCHP1の表面領域を封止することができる。すなわち、本実施の形態1によれば、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUおよびその近傍領域を露出させつつ、パッド形成領域に代表される半導体チップCHP1の表面領域を封止することができる。
このように、枠体FBの本質的機能は、枠体FBに上金型UMを押し当てた際に、流量検出部FDUおよびその近傍領域を囲む第1空間SP1(密閉空間)を確保することにあり、この本質的機能を実現するために、半導体チップCHP1上に枠体FBを配置した場合、枠体FBの高さが流量検出部FDUの高さよりも高くする構成が取られているのである。つまり、枠体FBの高さを流量検出部FDUの高さよりも高くする構成は、製造方法の観点から、流量検出部FDUおよびその近傍領域を囲む第1空間SP1(密閉空間)を確保する目的で採用される構成であり、この構成により、流量検出部FDUおよびその近傍領域を露出させつつ、パッド形成領域に代表される半導体チップCHP1の表面領域を封止することができるのである。さらに言えば、本実施の形態1では、半導体チップCHP1上に、高さが流量検出部FDUよりも高い枠体FBを設けることにより、枠体FBの開口部OP(FB)から露出する流量検出部FDUを上金型UMのクランプ力から保護することができるとも言える。
一方、枠体FBの高さを流量検出部FDUの高さよりも高くする構成は、流量センサFS1の構造の観点から見れば、部品の取り付け組み立て時などに部品が露出している流量検出部FDUにぶつかることを防止できる構造とも捉えることができ、これによって、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の破損を防止できる利点が得られる。すなわち、枠体FBの高さを流量検出部FDUの高さよりも高くするという構成は、製造方法の観点と構造の観点の両方から顕著な効果を奏する構成ということができるのである。
さらに、本実施の形態1における枠体FBは、半導体チップCHP1よりも硬さが柔らかい材質から構成されており、この構成によって、枠体FBは、別の機能も有していることになる。以下では、この枠体FBの別の機能について説明する。
本実施の形態1における流量センサFS1の製造方法の特徴は、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを、上金型UMと下金型BMで挟み込む際、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFと上金型UMとの間に枠体FBと弾性体フィルムLAFを介在させる点にある。
例えば、個々の半導体チップCHP1の厚さには寸法バラツキが存在するため、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも薄い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、隙間が生じ、この隙間から流量検出部FDU上に樹脂MRがもれ出てしまう。
一方、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、半導体チップCHP1に加わる力が大きくなり、半導体チップCHP1が破断するおそれがある。
そこで、本実施の形態1では、上述した半導体チップCHP1の厚さバラツキに起因した流量検出部FDU上への樹脂漏れ、あるいは、半導体チップCHP1の破断を防止するため、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFと上金型UMとの間に弾性体フィルムLAFと枠体FBを介在させる工夫を施している。これにより、例えば、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも薄い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、隙間が生じるが、この隙間を弾性体フィルムLAFで充填できるため、半導体チップCHP1上への樹脂漏れを防止できる。
一方、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、弾性体フィルムLAFおよび枠体FBは、半導体チップCHP1よりも柔らかいため、半導体チップCHP1の厚さを吸収するように弾性体フィルムLAFおよび枠体FBの厚さ方向の寸法が変化する。これにより、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚くても、必要以上に半導体チップCHP1へ力が加わることを防止することができ、この結果、半導体チップCHP1の破断を防止することができる。
つまり、本実施の形態1における流量センサの製造方法によれば、弾性体フィルムLAFおよび枠体FBを介して半導体チップCHP1が上金型UMで押さえ付けられている。このため、半導体チップCHP1、接着材ADH1、リードフレームLFの厚さバラツキに起因する部品の実装バラツキを弾性体フィルムLAFおよび枠体FBの厚さ変化により吸収することができるのである。
特に、本実施の形態1では、部品の厚さ方向(Z方向)の実装バラツキが大きく、半導体チップCHP1、接着材ADH1、リードフレームLFの厚さバラツキに起因する部品の実装バラツキを弾性体フィルムLAFの厚さ変化によって吸収することができない場合であっても、半導体チップCHP1よりも弾性係数の小さい枠体FBの厚さ方向(Z方向)の変形によって、半導体チップCHP1に加わるクランプ力を緩和することができる。この結果、本実施の形態1によれば、半導体チップCHP1の割れ、欠け、あるいは、ひび割れなどに代表される破損を防止することができる。
ここで、弾性体フィルムLAFおよび枠体FBは、部品の実装バラツキを吸収するために、半導体チップCHP1よりも弾性係数が小さいことが重要である。これにより、部品の実装バラツキがある場合であっても、半導体チップCHP1に加わる上金型UMからのクランプ力を弾性体フィルムLAFの厚さ変化と枠体FBの変形によって効果的に緩和することができる。すなわち、本実施の形態1において、弾性体フィルムLAFおよび枠体FBの弾性係数は、半導体チップCHP1の弾性係数よりも小さければよく、弾性体フィルムLAFと枠体FBの弾性係数の組合せは自由である。例えば、枠体FBの弾性係数は、弾性体フィルムLAFの弾性係数よりも大きくても小さくてもよく、あるいは、同じであってもよい。なお、弾性体フィルムLAFとしては、例えば、テフロン(登録商標)やフッ素樹脂などの高分子材料を使用することができる。
以上のように本実施の形態1における枠体FBの別の機能は、部品の実装バラツキに起因する半導体チップCHP1への上金型UMからのクランプ力の増大を抑制する機能である。そして、この機能を実現するため、本実施の形態1では、枠体FBの弾性係数を半導体チップCHP1の弾性係数よりも小さくなるように構成している。これにより、部品の実装バラツキが存在する場合であっても、半導体チップCHP1よりも弾性係数の小さい枠体FBの厚さ方向(Z方向)の変形によって、半導体チップCHP1に加わるクランプ力を緩和することができる。この結果、本実施の形態1によれば、半導体チップCHP1の割れ、欠け、あるいは、ひび割れなどに代表される破損を防止することができるのである。
続いて、本実施の形態1のさらなる特徴について説明する。図11に示すように、本実施の形態1では、リードフレームLFの裏面側にも樹脂MRが流れ込む。したがって、チップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されているため、この開口部OP1からダイヤフラムDFの内部空間へ樹脂MRが流れ込むことが懸念される。
そこで、本実施の形態1では、リードフレームLFを挟み込む下金型BMの形状に工夫を施している。具体的には、図11に示すように、下金型BMに突起状の入れ駒IP1を形成し、上金型UMと下金型BMでリードフレームLFを挟み込む際、下金型BMに形成されている突起状の入れ駒IP1がチップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1に挿入されるように構成している。これにより、開口部OP1に入れ駒IP1が隙間無く挿入されるので、開口部OP1からダイヤフラムDFの内部空間への樹脂MRの侵入を防止することができる。つまり、本実施の形態1では、下金型BMに突起状の入れ駒IP1を形成し、樹脂封止の際、この入れ駒IP1をチップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1に挿入している。
さらに、本実施の形態1では、入れ駒IP1の形状に工夫を施している。具体的に、本実施の形態1において、入れ駒IP1は、開口部OP1に挿入する挿入部と、この挿入部を支持する台座部から構成されており、挿入部の断面積よりも台座部の断面積が大きくなっている。これにより、入れ駒IP1は、挿入部と台座部の間に段差部が設けられる構造となり、この段差部がチップ搭載部TAB1の底面に密着することになる。
このように入れ駒IP1を構成することにより、以下に示す効果が得られる。例えば、入れ駒IP1の形状を上述した挿入部だけから構成する場合、挿入部は開口部OP1に挿入されるため、入れ駒IP1の挿入部の径は、開口部OP1の径よりもわずかに小さくなっている。したがって、入れ駒IP1を挿入部だけから構成する場合、入れ駒IP1の挿入部を開口部OP1に挿入した場合であっても、挿入した挿入部と開口部OP1の間にわずかな隙間が存在すると考えられる。この場合、隙間から樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入するおそれがある。
そこで、本実施の形態1において、入れ駒IP1を挿入部よりも断面積の大きな台座部上に挿入部を形成する構成をとっている。この場合、図11に示すように、開口部OP1の内部に入れ駒IP1の挿入部が挿入されるとともに、入れ駒IP1の台座部がチップ搭載部TAB1の底面に密着するようになる。この結果、入れ駒IP1の挿入部と開口部OP1の間にわずかな隙間が生じても、台座部がチップ搭載部TAB1の裏面にしっかり押し付けられているので、樹脂MRが開口部OP1内へ侵入することを防止できるのである。つまり、本実施の形態1では、入れ駒IP1を挿入部よりも断面積の大きな台座部上に挿入部を設けるように構成しているので、台座部によって、樹脂MRが開口部OP1にまで達することはないという点と、台座部と挿入部との間に形成される段差部がチップ搭載部TAB1に押し付けられるという点との組み合わせにより、樹脂MRが開口部OP1を介してダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを効果的に防止することができるのである。
以上のようにして、本実施の形態1では、枠体FBを搭載した半導体チップCHP1と半導体チップCHP2とを搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで第2空間を介して挟み込む。その後、加熱下において、この第2空間に樹脂MRを流し込むことにより、パッドPD1が形成されている近傍領域における半導体チップCHP1の表面、ワイヤW1、リードLD1、ワイヤW2、半導体チップCHP2の主面全面、ワイヤW3およびリードLD2の一部を樹脂MRで封止する。
その後、図12に示すように、樹脂MRが硬化した段階で、半導体チップCHP1および半導体チップCHP2を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMから取り外す。これにより、本実施の形態1における流量センサFS1を製造することができる。
なお、本実施の形態1における樹脂封止工程(モールド工程)では、80℃以上の高温度の上金型UMと下金型BMを使用しているため、加熱された上金型UMと下金型BMから第2空間に注入された樹脂MRに短時間で熱が伝わる。この結果、本実施の形態1における流量センサFS1の製造方法によれば、樹脂MRの加熱・硬化時間を短縮することができる。
例えば、発明が解決しようとする課題の欄で説明したように、ポッティング樹脂による金線(ワイヤ)の固定だけを行なう場合、ポッティング樹脂は、加熱による硬化の促進を行っていないので、ポッティング樹脂が硬化するまでの時間が長くなり、流量センサの製造工程におけるスループットが低下してしまう問題点が顕在化する。
これに対し、本実施の形態1における樹脂封止工程では、上述したように、加熱された上金型UMと下金型BMを使用しているため、加熱された上金型UMと下金型BMから樹脂MRへの短時間での熱伝導が可能となり、樹脂MRの加熱・硬化時間を短縮することができる。この結果、本実施の形態1によれば、流量センサFS1の製造工程におけるスループットを向上させることができる。
本実施の形態1では、例えば、図11に示すように、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを、上金型UMと下金型BMで挟み込む際、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFと上金型UMとの間に枠体FBと弾性体フィルムLAFを介在させる例について説明した。ただし、本実施の形態1における技術的思想は、これに限らず、例えば、図13に示すように、弾性体フィルムLAFを使用せずに、枠体FBだけを介在させて、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFに上金型UMを押し付けるように構成してもよい。
この場合であっても、枠体FBの弾性係数を半導体チップCHP1の弾性係数よりも小さくなるように構成することにより、部品の実装バラツキが存在する場合であっても、半導体チップCHP1よりも弾性係数の小さい枠体FBの厚さ方向(Z方向)の変形によって、半導体チップCHP1に加わるクランプ力を緩和することができる。この結果、本実施の形態1によれば、半導体チップCHP1の割れ、欠け、あるいは、ひび割れなどに代表される破損を防止することができる。
<枠体の有用性>
次に、本実施の形態1における流量センサFS1で採用している枠体FBの有用性についてさらに詳述する。
(1)図14は、枠体FBを使用しないで樹脂封止する関連技術の一例を示す図である。図14に示すように、関連技術では、流量検出部FDUを樹脂封止しないように構成するため、上金型UMに突起形状をしたシール部SLが設けられている。そして、このシール部SLによって流量検出部FDUが囲まれることにより、流量検出部FDUを囲むように第1空間SP1(密閉空間)を形成することができる。すなわち、関連技術では、上金型UMに設けられたシール部SLによって流量検出部FDUを囲むことにより、流量検出部FDUを樹脂封止しないようになっている。
このように構成されている関連技術では、上金型UMに突起形状をしたシール部SLを設けるという特別な工夫をする必要がある。つまり、流量検出部FDUを露出した流量センサを製造するために、流量センサの製造に特化した特別な上金型UMを用意する必要がある。このことから、シール部SLを有する特別な上金型UMを用意する必要があることになる。
これに対し、本実施の形態1では、例えば、図13に示すように、半導体チップCHP1上に枠体FBを配置し、この枠体FBに密着するように上金型UMを押し付けている。このとき、本実施の形態1では、半導体チップCHP1上に枠体FBを配置した場合、枠体FBの高さが流量検出部FDUの高さよりも高くする構成が取られている。つまり、枠体FBの高さを流量検出部FDUの高さよりも高くすることにより、流量検出部FDUおよびその近傍領域を囲む第1空間SP1(密閉空間)が必然的に確保される。したがって、本実施の形態1によれば、流量検出部FDUおよびその近傍領域を露出させつつ、パッド形成領域に代表される半導体チップCHP1の表面領域を封止することができる。
すなわち、本実施の形態1では、枠体FBに設けられている開口部OP(FB)内に流量検出部FDUが内包されるように、枠体FBを半導体チップCHP1上に配置し、かつ、枠体FBの高さを流量検出部FDUの高さよりも高くなるようにしている。この結果、キャビティ内にある上金型UMの表面を平坦にした状態でも、必然的に、流量検出部FDUを囲む第1空間SP1(密閉空間)を確保することができる。つまり、本実施の形態1によれば、例えば、関連技術のように上金型UMにシール部SLを設けるという特別な工夫をすることなく、流量検出部FDUを囲む第1空間SP1(密閉空間)を確保できるのである。
このことは、本実施の形態1によれば、特別な構造の上金型UMを使用する必要がなく、キャビティ内の全体を樹脂封止するための一般的な上金型UM(汎用品)を使用することができることを意味し、汎用品である一般的な上金型UMを使用して流量検出部FDUを露出した流量センサFS1を製造することができることを意味している。したがって、本実施の形態1によれば、特別な工夫を施した流量センサ専用の上金型UMを用意する必要がなく、広く一般的に使用される汎用構造の上金型UMで、流量検出部FDUを露出した流量センサを製造することができる。
(2)次に、図14に示す関連技術においては、半導体チップCHP1に直接上金型UMに形成されているシール部SLが接触している。したがって、上金型UMに形成されているシール部SLから半導体チップCHP1にクランプ力が伝達される。
ここで、例えば、個々の半導体チップCHP1の厚さには寸法バラツキが存在するため、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、シール部SLから半導体チップCHP1に加わるクランプ力が大きくなり、半導体チップCHP1が破断するおそれがある。
これに対し、本実施の形態1では、上金型UMを直接半導体チップCHP1に押し当てているのではなく、上金型UMと半導体チップCHP1の間に枠体FBを介在させている。そして、本実施の形態1では、枠体FBの弾性係数が半導体チップCHP1よりも小さくなる材質を使用している。このことから、枠体FBは、半導体チップCHP1よりも柔らかいため、上金型UMを枠体FBに押し付ける場合、半導体チップCHP1の厚さバラツキを吸収するように枠体FBの厚さ方向の寸法が変化する。これにより、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚くても、必要以上に半導体チップCHP1へクランプ力が加わることを防止することができる。この結果、本実施の形態1によれば、半導体チップCHP1の破断を防止することができるのである。
(3)さらに、図14に示す関連技術においては、上金型UMに形成されているシール部SLと半導体チップCHP1との接触面積が小さい。このため、上金型UMから押し付けられるクランプ力は、シール部SLと半導体チップCHP1の接触領域に集中する。したがって、シール部SLと半導体チップCHP1との接触部分に加えられる圧力は大きくなり、これによって、半導体チップCHP1が破損しやすくなる。特に、図14に示す関連技術においては、シール部SLと半導体チップCHP1の接触領域がダイヤフラムDFと平面的に重なる領域に形成されている。このことは、半導体チップCHP1の厚さが薄い領域に、シール部SLと半導体チップCHP1の接触領域が存在することを意味する。半導体チップCHP1の厚さが薄い領域は割れやすいことから、図14に示す関連技術においては、シール部SLと半導体チップCHP1の接触面積が小さいことに起因した圧力集中と、接触領域が半導体チップCHP1の厚さの薄い領域に平面視において重なるように配置されていることに起因して、半導体チップCHP1が破損しやすくなる。
これに対し、本実施の形態1では、例えば、図13に示すように、枠体FBと半導体チップCHP1の接触面積は、図14に示す関連技術よりも大きくなっている。このため、上金型UMから枠体FBに加えられるクランプ力は、枠体FBと半導体チップCHP1との接触面積が大きいことから分散される。したがって、本実施の形態1によれば、枠体FBを介して上金型UMから半導体チップCHP1に加えられるクランプ力の局所集中を緩和することができ、これによって、半導体チップCHP1の破損を抑制することができる。さらには、例えば、図13に示すように、枠体FBと半導体チップCHP1の接触領域は、平面視において、ダイヤフラムDFと重ならないようになっている。つまり、本実施の形態1においては、枠体FBと半導体チップCHP1の接触領域が、ダイヤフラムDFが形成された半導体チップCHP1の厚さの薄い領域に形成されているのではなく、その他の半導体チップCHP1の厚さの厚い領域に形成されている。以上のことから、本実施の形態1によれば、枠体FBと半導体チップCHP1との接触面積の増大に起因してクランプ力の分散される点と、接触領域が半導体チップCHP1の厚さの厚い領域に形成されている点の相乗効果により、半導体チップCHP1の破損を効果的に抑制することができる。
(4)また、上述したように、図14に示す関連技術においては、シール部SLと半導体チップCHP1の接触領域が小さいことから、注入された樹脂が流量検出部FDUを囲む第1空間SP1(密閉空間)に漏れ込むおそれが高まる。
これに対し、本実施の形態1では、枠体FBと半導体チップCHP1の接触面積が大きくなっていることから、流量検出部FDUを囲む第1空間SP1(密閉空間)に漏れ込むおそれを低減することができる。
以上のように、本実施の形態1によれば、流量検出部FDUの高さよりも高さが高く、かつ、半導体チップCHP1よりも弾性係数が小さい枠体FBを使用することにより、上述した(1)〜(4)に示す有用性を得ることができる。
<変形例1>
続いて、前記実施の形態1における流量センサFS1の変形例1について説明する。前記実施の形態1では、例えば、図4に示すように、枠体FBが壁部WPを有している例について説明したが、本変形例1では、枠体FBに壁部WPが設けられていない例について説明する。
図15(a)は、本変形例1における流量センサFS1を示す平面図である。また、図15(b)は、図15(a)のA−A線で切断した断面図であり、図15(c)は、図15(a)のB−B線で切断した断面図である。
図15(b)および図15(c)に示すように、半導体チップCHP1上に配置されている枠体FBには、壁部が形成されていない。このように壁部が形成されていない枠体FBを使用する場合であっても、枠体FBの高さが流量検出部FDUの高さよりも高く、かつ、枠体FBの弾性係数が半導体チップCHP1よりも小さければ、前記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
ただし、本変形例1における枠体FBにおいては、壁部による位置決め精度の向上を図りにくくなることから、半導体チップCHP1上に枠体FBを確実に固定する観点から、本変形例1における枠体FBは、半導体チップCHP1と接着されていることが望ましい。このとき、枠体FBと半導体チップCHP1との接着は、例えば、接着材を使用することもできるし、接着作用を有する材料から枠体FBを構成するようにしてもよい。
また、例えば、枠体FBの外形寸法が半導体チップCHP1の外形寸法よりも大きい場合には、樹脂封止工程(モールド工程)における樹脂圧力によって、枠体FBの位置がずれる場合がある。そこで、例えば、枠体FBの外形寸法は、半導体チップCHP1の外形寸法よりも小さいことが望ましい。言い換えれば、平面視において、枠体FBが半導体チップCHP1に内包されるように形成されていることが望ましいということができる。更に言い換えれば、枠体FBは、半導体チップCHP1の上面の投影面よりも外形寸法が小さいということもできる。このように構成することにより、樹脂封止工程における樹脂圧力に起因する枠体FBの位置ずれを抑制することができる。
図16は、本変形例1における流量センサの一断面を示す図である。図16に示すように、枠体FBが半導体チップCHP1に内包されていることがわかる。具体的には、図16において、半導体チップCHP1の幅をL1、枠体の幅をL2とした場合、L1>L2の関係があらゆる断面において成立している場合に、枠体FBが半導体チップCHP1に内包されているということができる。
<変形例2>
次に、前記実施の形態1における流量センサFS1の変形例2について説明する。前記実施の形態1では、例えば、図5(b)や図5(c)に示すように、チップ搭載部TAB1上に接着材ADH1を介して搭載した半導体チップCHP1上に枠体FBを配置する例について説明した。本変形例2では、半導体チップCHP1とリードフレームLFの間に板状構造体PLTを挿入する例について説明する。
図17は、本変形例2において、樹脂封止前の流量センサの構造を示す平面図である。図18は、図17のA−A線で切断した断面図であり、図19は、図17のB−B線で切断した断面図である。
図17に示すように、本変形例2における流量センサFS1は、半導体チップCHP1の下層および半導体チップCHP2の下層にわたって板状構造体PLTが形成されていることがわかる。この板状構造体PLTは、例えば、矩形形状をしており、平面視において、半導体チップCHP1および半導体チップCHP2を内包するような外形寸法を有していることがわかる。
具体的に、図18や図19に示すように、チップ搭載部TAB1およびチップ搭載部TAB2を含むリードフレームLF上に板状構造体PLTが配置されている。この板状構造体PLTは、例えば、接着材ADH3を用いてリードフレームLFに接着されているが、ペースト材料を使用して接合することもできる。そして、この板状構造体PLT上には、接着材ADH1を介して半導体チップCHP1が搭載されているとともに、接着材ADH2を介して半導体チップCHP2が搭載されている。このとき、板状構造体PLTが金属材料から形成されている場合には、半導体チップCHP1とワイヤW1で接続することができるとともに、半導体チップCHP2とワイヤW2で接続することもできる。なお、リードフレームLF上には、上述した板状構造体PLTの他にコンデンサやサーミスタなどの部品を搭載することもできる。
上述した板状構造体PLTは、主に、流量センサFS1の剛性向上や外部からの衝撃に対する緩衝材として機能する。さらに、板状構造体PLTが導電材料から構成される場合には、半導体チップCHP1(パッドPD1)や半導体チップCHP2(パッドPD2)と電気的に接続し、グランド電位(基準電位)の供給に使用することもできるし、グランド電位の安定化を図ることもできる。
板状構造体PLTは、例えば、PBT樹脂、ABS樹脂、PC樹脂、ナイロン樹脂、PS樹脂、PP樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂から構成することができる。この場合、板状構造体PLTは、主に、外部の衝撃から半導体チップCHP1や半導体チップCHP2を保護する緩衝材として機能させることができる。
一方、板状構造体PLTは、鉄合金、アルミニウム合金、あるいは、銅合金などの金属材料をプレス加工することにより形成することもできるし、ガラス材料から形成することもできる。特に、板状構造体PLTを金属材料から形成する場合には、流量センサFS1の剛性を高めることができる。さらには、板状構造体PLTを半導体チップCHP1や半導体チップCHP2と電気的に接続し、板状構造体PLTをグランド電位の供給やグランド電位の安定化に利用することもできる。
このように構成されている変形例2における流量センサFS1においても、例えば、図17〜図19に示すように、半導体チップCHP1上に枠体FBが配置されている。そして、枠体FBの内部には、開口部OP(FB)が形成されており、この開口部OP(FB)から半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUが露出している。本変形例2においても、枠体FBの高さを流量検出部FDUの高さよりも高くし、かつ、枠体FBの弾性係数を半導体チップCHP1よりも小さくすることにより、前記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、例えば、図5(b)に示すように、半導体チップCHP1と半導体チップCHP2を備える2チップ構造の流量センサFS1を例に挙げて説明したが、本発明の技術的思想は、これに限らず、例えば、流量検出部と制御部(制御回路)を一体的に形成した1つの半導体チップを備える1チップ構造の流量センサにも適用することができる。本実施の形態2では、本発明の技術的思想を1チップ構造の流量センサに適用する場合を例に挙げて説明する。
<実施の形態2における流量センサの実装構成>
図20は、本実施の形態2における流量センサFS2の実装構成を示す図であり、樹脂で封止する前の構成を示す図である。特に、図20(a)は、本実施の形態2における流量センサFS2の実装構成を示す平面図である。図20(b)は、図20(a)のA−A線で切断した断面図であり、図20(c)は、図20(a)のB−B線で切断した断面図である。また、図20(d)は半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。
まず、図20(a)に示すように、本実施の形態2における流量センサFS2は、例えば、銅材からなるリードフレームLFを有している。このリードフレームLFは、外枠体を構成するダムバーDMで囲まれた内部にチップ搭載部TAB1を有している。そして、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載されている。
半導体チップCHP1は、長方形形状をしており、ほぼ中央部に流量検出部FDUが形成されている。そして、流量検出部FDUと接続する配線WL1Aが半導体チップCHP1上に形成されており、この配線WL1Aは、半導体チップCHP1に形成された制御部CUと接続されている。この制御部CUには、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子や配線からなる集積回路が形成されている。具体的には、図1に示すCPU1、入力回路2、出力回路3、あるいは、メモリ4などを構成する集積回路が形成されている。そして、制御部CUは、半導体チップCHP1の長辺に沿って形成された複数のパッドPD1やパッドPD2と配線WL1Bで接続されている。すなわち、流量検出部FDUと制御部CUとは配線WL1Aで接続され、制御部CUは、配線WL1BによってパッドPD1、パッドPD2と接続されていることになる。パッドPD1は、リードフレームLFに形成されているリードLD1と、例えば、金線からなるワイヤW1を介して接続されている。一方、パッドPD2は、リードフレームLFに形成されているリードLD2と、例えば、金線からなるワイヤW2を介して接続されている。なお、半導体チップCHP1の最外表面(素子形成面)には、接着する樹脂との応力緩衝機能、表面保護機能、あるいは、絶縁保護機能などを目的としてポリイミド膜が形成されていても良いものとする。
リードLD1およびリードLD2は、気体の流れるY方向と直交するX方向に延在するように配置されており、外部回路との入出力を行なう機能を有している。一方、リードフレームLFのY方向に沿って、突出リードPLDが形成されている。この突出リードPLDは、チップ搭載部TAB1と接続されているが、半導体チップCHP1に形成されているパッドPD1、PD2とは接続されていない。つまり、突出リードPLDは、上述した入出力端子として機能するリードLD1やリードLD2とは異なる。
ここで、本実施の形態2においては、長方形形状した半導体チップCHP1の長辺が気体の流れる方向(矢印方向、Y方向)に並行するように、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載されている。そして、半導体チップCHP1の長辺には、長辺方向に沿って複数のパッドPD1、PD2が配置されている。これらの複数のパッドPD1のそれぞれと、複数のリードLD1のそれぞれが、半導体チップCHP1の長辺を跨ぐように配置された複数のワイヤW1で接続されている。同様に、複数のパッドPD2のそれぞれと、複数のリードLD2のそれぞれが、半導体チップCHP1の長辺を跨ぐように配置された複数のワイヤW2で接続されている。このように長方形形状の半導体チップCHP1の長辺に沿って複数のパッドPD1、PD2を配置しているので、半導体チップCHP1の短辺方向に複数のパッドPD1、PD2を配置する場合に比べて、多くのパッドPD1、PD2を半導体チップCHP1に形成することができる。特に、本実施の形態2では、半導体チップCHP1に制御部CUだけでなく流量検出部FDUも一緒に形成されているので、多数のパッドPD1、PD2を長辺方向に並べることにより、半導体チップCHP1上の領域を有効活用することができる。
さらに、本実施の形態2においては、半導体チップCHP1の一部上に枠体FBが形成されている。この枠体FBは、例えば、矩形形状をしており、内部に開口部OP(FB)が形成されている。この枠体FBは、開口部OP(FB)から半導体チップCHP1の主面上に形成された流量検出部FDUが露出するように配置されており、かつ、枠体FBの外側に半導体チップCHP1に形成されている複数のパッドPD1が露出するように配置されている。
続いて、図20(b)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1が形成されており、このチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載されている。この半導体チップCHP1は、接着材ADH1によってチップ搭載部TAB1と接着している。半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDF(薄板部)が形成されており、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には、流量検出部FDUが形成されている。一方、ダイヤフラムDFの下方に存在するチップ搭載部TAB1の底部には開口部OP1が形成されている。
さらに、図20(b)に示すように、半導体チップCHP1の表面(上面)には、流量検出部FDUの他に、パッドPD1やパッドPD2が形成されており、このパッドPD1は、リードフレームLFに形成されたリードLD1とワイヤW1を介して接続されている。同様に、パッドPD2は、リードフレームLFに形成されたリードLD2とワイヤW2を介して接続されている。そして、半導体チップCHP1上に枠体FBが配置されている。この枠体FBには、開口部OP(FB)が形成されており、この開口部OP(FB)から流量検出部FDUが露出している。
また、図20(c)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1と突出リードPLDが形成されており、チップ搭載部TAB1と突出リードPLDは一体的に形成されている。このチップ搭載部TAB1上には、接着材ADH1によって半導体チップCHP1が接着している。半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDF(薄板部)が形成されており、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には、流量検出部FDUが形成されている。一方、ダイヤフラムDFの下方に存在するチップ搭載部TAB1の底部には開口部OP1が形成されている。また、半導体チップCHP1の表面には、流量検出部FDUと並ぶように制御部CUが形成されている。同様に、半導体チップCHP1上に枠体FBが配置されている。この枠体FBには、開口部OP(FB)が形成されており、この開口部OP(FB)から流量検出部FDUが露出している。
半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1とを接着している接着材ADH1は、例えば、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を使用することができる。
例えば、半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1の接着は、図20(d)に示すように接着材ADH1を塗布することにより行うことができる。図20(d)は、半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。図20(d)に示すように、半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1が塗布されている。なお、図20(c)では、ダイヤフラムDFを四角形形状に囲むように接着材ADH1を塗布する例を示しているが、これに限らず、例えば、ダイヤフラムDFを楕円形状などの任意の形状で囲むように接着材ADH1を塗布してもよい。
本実施の形態2における流量センサFS2において、樹脂で封止する前の流量センサFS2の実装構成は上記のように構成されており、以下に、樹脂で封止した後の流量センサFS2の実装構成について説明する。
図21は、本実施の形態2における流量センサFS2の実装構成を示す図であり、樹脂で封止した後の構成を示す図である。特に、図21(a)は、本実施の形態2における流量センサFS2の実装構成を示す平面図である。図21(b)は、図21(a)のA−A線で切断した断面図であり、図21(c)は、図21(a)のB−B線で切断した断面図である。
本実施の形態2における流量センサFS2でも、図21(a)に示すように、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを枠体FBに形成されている開口部OP(FB)から露出した状態で、半導体チップCHP1の一部が樹脂MRで覆われた構造をしている。つまり、本実施の形態2では、流量検出部FDUが形成されている領域および枠体FBが搭載されている領域を除く半導体チップCHP1の領域を一括して樹脂MRで封止している。
この樹脂MRによる封止は、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止することができるのである。このことは、本実施の形態2における流量センサFS2によれば、各流量センサFS2の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。
この結果、本実施の形態2によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置を各流量センサFS2で一致させることができるため、各流量センサFS2において気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
続いて、本実施の形態2における流量センサFS2でも、図21(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを囲んだ両側における枠体FBの高さ、あるいは、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっている。つまり、露出している流量検出部FDUは、周囲を枠体FBで囲まれ、かつ、流量検出部FDUを囲む枠体FBの高さが流量検出部FDUの高さよりも高くなっている。このように構成されている本実施の形態2によれば、部品の取り付け組み立て時などに部品が露出している流量検出部FDUにぶつかることを防止できるので、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の破損を防止できる。すなわち、露出している流量検出部FDUの高さよりも流量検出部FDUを囲んでいる枠体FBの高さが高くなっている。このため、部品が接触する際、まず、高さの高い枠体FBに接触するので、高さの低い流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の露出面(XY面)が部品に接触して、半導体チップCHP1が破損することを防止できる。
特に、本実施の形態2では、半導体チップCHP1の一部上に枠体FBが配置されており、この枠体FBの弾性係数が半導体チップCHP1の弾性係数よりも小さくなっている。言い換えれば、枠体FBは、半導体チップCHP1よりも硬さの柔らかい材料から構成されている。したがって、部品が枠体FBに接触した場合、比較的硬さの柔らかな枠体FBの変形で衝撃を吸収することができるため、枠体FBの下に配置されている半導体チップCHP1に衝撃が伝達されることを抑制することができ、これによって、半導体チップCHP1の破損を効果的に防止することができる。
なお、本実施の形態2でも、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提としている。そして、図21(b)および図21(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1を形成し、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2を設けている。
これにより、本実施の形態2による流量センサFS2によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS2の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS2の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
以上のようにして、本実施の形態2における流量センサFS2が実装構成されているが、実際の流量センサFS2では、樹脂MRで封止した後、リードフレームLFの外枠体を構成するダムバーDMが除去される。図22は、ダムバーDMを除去した後の流量センサFS2の実装構成を示す平面図である。図22に示すように、ダムバーDMを切断することにより、複数の電気信号を複数のリードLD1およびリードLD2から独立して取り出すことができることがわかる。
<本実施の形態2における流量センサの製造方法>
本実施の形態2における流量センサFS2は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について、図23〜図26を参照しながら説明する。図23〜図26は、図21(a)のB−B線で切断した断面における製造工程を示している。
まず、図23に示すように、例えば、銅材からなるリードフレームLFを用意する。このリードフレームLFには、チップ搭載部TAB1、突出リードPLDが一体的に形成されており、チップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されている。
続いて、図24に示すように、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を搭載する。具体的には、リードフレームLFに形成されたチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を接着材ADH1で接続する。このとき、半導体チップCHP1に形成されているダイヤフラムDFがチップ搭載部TAB1の底部に形成されている開口部OP1と連通するように、半導体チップCHP1がチップ搭載部TAB1上に搭載される。なお、半導体チップCHP1には、通常の半導体製造プロセスによって流量検出部FDU、制御部CU、配線(図示せず)およびパッド(図示せず)が形成される。そして、例えば、異方性エッチングにより、半導体チップCHP1の表面に形成された流量検出部FDUと相対する裏面の位置にダイヤフラムDFが形成されている。
次に、半導体チップCHP1に形成されているパッド(図示されず)と、リードフレームLFに形成されているリード(図示されず)とをワイヤ(図示されず)で接続する(ワイヤボンディング)。ワイヤ(図示されず)は、例えば、金線から形成される。
その後、半導体チップCHP1上に枠体FBを搭載する。具体的に、枠体FBは、内部に形成された開口部OP(FB)内に、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUが内包され、かつ、枠体FBの外側に半導体チップCHP1に形成されている制御部CUが配置されるように搭載される。これにより、流量検出部FDUおよび制御部CUを露出させながら、枠体FBを半導体チップCHP1上に搭載することができる。
次に、図25に示すように、枠体FBを搭載した半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFに対し、弾性体フィルムLAFを介在させながら上金型UMと下金型BMで第2空間(キャビティ)を形成して挟み込む。その後、加熱下において、この第2空間に樹脂MRを流し込むことにより、制御部CUが形成されている近傍領域における半導体チップCHP1の表面、ワイヤ(図示されず)、突出リードPLDの一部を樹脂MRで封止する。
このような本実施の形態2における流量センサFS2の製造方法でも、例えば、図25に示すように、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの高さよりも高い枠体FBに弾性体フィルムLAFを介して上金型UMを押し当てながら、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを下金型BMと上金型UMで挟み込んでいる。
これにより、本実施の形態2によれば、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUおよびその近傍領域を囲む第1空間SP1(密閉空間)を確保しながら、例えば制御部形成領域に代表される半導体チップCHP1の表面領域を封止することができる。すなわち、本実施の形態2によれば、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUおよびその近傍領域を露出させつつ、制御部形成領域に代表される半導体チップCHP1の表面領域を封止することができる。
さらに、本実施の形態2における流量センサFS2の製造方法においても、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを、上金型UMと下金型BMで挟み込む際、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFと上金型UMとの間に枠体FBと弾性体フィルムLAFを介在させている。
これにより、部品の実装バラツキが存在する場合であっても、半導体チップCHP1よりも弾性係数の小さい枠体FBの厚さ方向(Z方向)の変形によって、半導体チップCHP1に加わるクランプ力を緩和することができる。この結果、本実施の形態2によれば、半導体チップCHP1の割れ、欠け、あるいは、ひび割れなどに代表される破損を防止することができる。
その後、図26に示すように、樹脂MRが硬化した段階で、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMから取り外す。これにより、本実施の形態2における流量センサFS2を製造することができる。このようにして製造された本実施の形態2における流量センサFS2においても、前記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
なお、前記実施の形態で説明した流量センサは、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の表面(上面)の一部にポリイミド膜、窒化シリコン膜、ポリシリコン膜、TEOS(Si(OC2H5)4)を原料とした酸化シリコン膜などの膜を形成してもよい。これにより、樹脂と密着する半導体チップCHP1の表面の一部において、接着強度の向上を図ることができる。
ポリイミド膜は、例えば、半導体チップCHP1への塗布によって形成し、必要に応じてフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を施すことによりパターニングすることができる。窒化シリコン膜、ポリシリコン膜、酸化シリコン膜は、プラズマCVD法、減圧CVD法、常圧CVD法などに代表される化学気相成長法、化学気相蒸着法、化学蒸着法、物理気相成長法、あるいは、物理蒸着法によって形成することができる。
半導体チップCHP1上に形成されたこれらの膜は、半導体チップCHP1を構成するシリコン(Si)上に形成される酸化シリコン膜の膜厚増加を防止して、樹脂MRと半導体チップCHP1の接着性を向上させることができる。
これらの膜は、樹脂MRで覆われる半導体チップCHP1の少なくとも一部に成膜されていればよい。
また、ポリイミド膜、窒化シリコン膜、ポリシリコン膜、TEOSを原料とした酸化シリコン膜などの膜厚は、約1μm〜約120μmを想定しているが、この膜厚に限定されるものではなく、半導体チップCHP1の表面領域のうち、樹脂MRで覆われる領域に、これらの膜が形成されていればよい。
上述した実施の形態で説明した流量センサは、気体の流量を測定するデバイスであるが、具体的な気体の種類は限定されるものではなく、空気、LPガス、炭酸ガス(CO2ガス)、フロンガスなどの任意の気体の流量を測定するデバイスに幅広く適用することができる。
また、上述した前記実施の形態では、気体の流量を測定する流量センサについて説明したが、本発明の技術的思想はこれに限定されるものではなく、湿度センサなどの半導体素子の一部を露出させた状態で樹脂封止する半導体装置にも幅広く適用することができる。