JP2015158383A - 往復運動試験装置、往復運動試験方法及びプログラム - Google Patents

往復運動試験装置、往復運動試験方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構成で多様な条件の試験を適正に行うことのできる往復運動試験装置等を提供する。
【解決手段】往復運動試験装置1は、界磁マグネット112がコイルユニット111に沿って往復直線運動するリニアモータ110と、界磁マグネット112の運動方向の延長線上に固定された第1支持体121及び第2支持体122と、を備える。第1支持体121及び第2支持体122それぞれには、界磁マグネット112が直線運動後に衝突したときの動力を吸収し反発させる第1ばね131と第2ばね132と、を備える。第1位置変更部133、第2位置変更部134は、往復直線運動の速度又は変位量等の試験条件に応じて、第1ばね131、第2ばね132の位置を変更する。
【選択図】図1

Description

本発明は、往復運動による試験を行う往復運動試験装置、往復運動試験方法及びプログラムに関する。
自動車、産業機械、繊維等の各種製品の耐久性や信頼性の試験として往復摺動試験、屈曲試験等が行われている。これらの試験は、往復直線運動をする試験装置により行われることがあるが、往復直線運動は、クランク機構による回転から直線運動への変換や油圧サーボシリンダーによる直動機構等を用いて実現されていた。しかし、これらの往復直線運動を行う試験装置は、高速運動時には駆動による振動、騒音が大きくなり、また高速運動により運動機構の耐久時間が短くなるという問題があった。
そこで、高速の往復直線運動が可能な試験装置として、リニアモータを使用する装置が近年注目されている。リニアモータは他の機構と比較して摺動部分が少ないため高速運動に適している。
リニアモータは、試験装置のみならず、半導体製造装置等の加工装置にも多く利用されている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載のステージ装置は、リニアモータにより可動ステージが往復運動するものである。
特開2005−268335号公報
リニアモータにより往復直線運動を行う装置において、高速運転時には反転する箇所で急激に減速し加速させるために大電流を流す必要があり、発熱量が大きくなる。
これに対し、特許文献1に記載のステージ装置は、可動ステージの往復運動ストロークの端部に可動ステージを撥ね返す弾発手段を設けることで、急激な減速が可能となりまた弾発手段からの推力によりリニアモータの負荷を低減できると説明している。
リニアモータを用いた試験装置の場合、被検物の特性、品質基準によって、リニアモータによる往復運動の速度や変位量が大きく異なる場合がある。特許文献1に記載の弾発手段を有する構成においては、試験条件によって適正に試験ができない場合があった。
例えば、往復運動の速度や変位量が大きい場合には、弾発手段が最大限に収縮した状態で一時停止するなど、運動曲線が歪み適正な評価ができないという問題があった。また、往復運動の速度や変位量が小さく、弾発手段の収縮に余裕を残した状態で運動方向が反転する場合、反発力が小さいためリニアモータに供給する電流を大きくする必要がある。この場合、消費電力が大きくなるとともに発熱量も大きくなるため、リニアモータが高温で正常に動作しなくなるという問題があった。
また、最適な構成の試験装置を製造する場合、試験条件毎に試験装置を製造する必要があり、試験のコストが高くなるという問題もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で多様な条件の試験を適正に行うことのできる往復運動試験装置等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る往復運動試験装置は、
直線状に複数の電機子コイルを配列したコイルユニットと、直線状に極性を交互に変えた界磁マグネットと、を有し、前記コイルユニット及び前記界磁マグネットのいずれか一方からなる可動部が、他方からなる固定部に沿って往復直線運動するリニアモータと、
前記可動部が直線運動後に運動方向を反転するときに、前記可動部の動力を吸収し反発させる第1弾発部材及び第2弾発部材と、
前記可動部の前記往復直線運動の速度又は変位量に応じて、前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材の前記固定部に対する位置を変更する位置変更部と、
を備えることを特徴とする。
前記可動部の運動方向の延長線上に固定された第1支持体及び第2支持体と、を更に備え、
前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材は、それぞれ前記第1支持体及び前記第2支持体に、互いに向かい合う方向に固定され、
前記位置変更部は、前記可動部の前記往復直線運動の速度又は変位量に応じて、第1弾発部材の前記第1支持体に対する位置及び第2弾発部材の前記第2支持体に対する位置を変更するようにしてもよい。
前記可動部に被検物及び試験部材のいずれか一方を備え、他方を前記固定部に対して位置関係が固定された位置に備え、
前記被検物と前記試験部材が互いに接触した状態で前記可動部が往復直線運動する試験を行ってもよい。
前記位置変更部は、前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材の前記固定部に対する位置を変えて、前記可動部が前記往復直線運動するときの前記電機子コイルの消費電力を測定し、前記消費電力が最小となる位置に、前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材の位置を変更して固定するようにしてもよい。
前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材は、ばね、エアシリンダ及び磁石のいずれか1つであってもよい。
また、本発明の第2の観点に係る往復運動試験方法は、
直線状に複数の電機子コイルを配列したコイルユニットと、直線状に極性を交互に変えた界磁マグネットと、を有し、前記コイルユニット及び前記界磁マグネットのいずれか一方からなる可動部が、他方からなる固定部に沿って往復直線運動するリニアモータを用いた往復運動試験方法であって、
前記可動部が直線運動後に運動方向を反転するときに前記可動部の動力を吸収し反発させる第1弾発部材及び第2弾発部材の前記固定部に対する位置を、前記可動部の前記往復直線運動の速度又は変位量に応じて変更する位置変更ステップと、
前記位置変更ステップで変更した位置に前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材を固定した状態で、前記可動部を前記固定部に沿って往復直線運動するように制御する往復直線運動制御ステップと、
を有することを特徴とする。
また、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
直線状に複数の電機子コイルを配列したコイルユニットと、直線状に極性を交互に変えた界磁マグネットと、を有し、前記コイルユニット及び前記界磁マグネットのいずれか一方からなる可動部が、他方からなる固定部に沿って往復直線運動するリニアモータと、前記可動部が直線運動後に運動方向を反転するときに前記可動部の動力を吸収し反発させる第1弾発部材及び第2弾発部材と、を備えた往復運動試験装置を制御するコンピュータを、
前記可動部の前記往復直線運動の速度又は変位量に応じて、前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材の前記固定部に対する位置を変更する位置変更部、
前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材の位置を前記位置変更部で変更して固定した状態で、前記可動部を前記固定部に対して往復直線運動するように制御する往復直線運動制御部、
として機能させることを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成で多様な条件の試験を適正に行うことが可能となる。
実施の形態1に係る往復運動試験装置の前面図である。 実施の形態1に係る往復運動試験装置の上面図である。 界磁マグネットの運動曲線を示す図である。 制御部の構成を示すブロック図である。 位置設定処理を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る往復運動試験装置の前面図である。 実施の形態2に係る往復運動試験装置の上面図である。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1において、紙面右方向をX方向、紙面上方向をZ方向、紙面に対して垂直方向をY方向とする。図2において、紙面右方向をX方向、紙面上方向をY方向、紙面に対して垂直方向をZ方向とする。X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直上向き方向である。
本実施の形態に係る往復運動試験装置1は、図1、2に示すように、直線状に複数の電機子コイルを配列したコイルユニット111と、直線状に極性を交互に変えた界磁マグネット112と、を有するリニアモータ110と、界磁マグネット112の両端に備えた端板113と、2つの端板113に両端を固定したガイド軸114と、ガイド軸114を移動可能に支持する軸受け部115と、を備える。
また、界磁マグネット112の延在方向の延長線上に位置する第1支持体121、第2支持体122を備える。リニアモータ110のコイルユニット111、第1支持体121、第2支持体122は、試験台125に固定されている。
また、往復運動試験装置1は、第1支持体121、第2支持体122それぞれに、互いに向かい合う方向に固定された第1ばね131と第2ばね132を備える。また、第1ばね131の第1支持体121に対する位置を変更する第1位置変更部133と、第2ばね132の第2支持体122に対する位置を変更する第2位置変更部134を備える。
さらに、往復運動試験装置1の動作の制御を行う制御部140を備える。制御部140は、リニアモータ110に供給する電流を制御すると共にその電流を供給する。また、第1位置変更部133、第2位置変更部134に対して第1ばね131、第2ばね132の位置を決定し変更させる制御を行う。
試験台125には被検物151を支持する被検物支持体152も搭載されている。また、界磁マグネット112の両端に備えられた端板113には試験部材153を備えている。例えば、被検物151の摺動試験を行う場合には、被検物151に試験部材153が接触した状態で摺動することとなる。
往復運動試験装置1の各構成部について詳細に説明する。
リニアモータ110はフラットタイプのコア付きリニアモータである。コイルユニット111は複数の電機子コイルを直線状(X方向)に配列した電機子板1111を2つ上下(Z方向)に所定間隔を空けて配置したものである。界磁マグネット112は、長手方向に極性を交互に変えた長板形状のマグネットであり、例えば、複数の矩形マグネットをN極同士、S極同士を接合した状態で、直線状(X方向)に配列したものである。界磁マグネット112はコイルユニット111の2つの電機子板1111の間に挿入されている。
コイルユニット111の電機子コイルに電流を供給することにより、界磁マグネット112は2つの電機子板1111の間を、いずれの電機子板1111にも接触することなくスライドする。つまり、本実施の形態では、界磁マグネット112が可動部となる。ここでコア付きの電機子板1111を用いることで、界磁マグネット112に対して高い推力を与えることができる。また、2つのコア付きの電機子板1111を互いに対向して配置することにより、電機子板1111と界磁マグネット112間の磁気吸着力をキャンセルすることができ、界磁マグネット112のZ方向の位置を高精度に安定させることができる。
界磁マグネット112は両端に2つの端板113を備えている。また、図2に示すように、2つの端板113に両端を固定したガイド軸114を、界磁マグネット112のY方向の両サイドに備えている。2つのガイド軸114は、試験台125に固定された4つの軸受け部115の貫通穴を通っている。軸受け部115はガイド軸114と非接触を保てるものが望ましく、例えば、貫通穴の内壁から空気を吹出するエアーブッシュタイプのものを用いる。
コイルユニット111の電機子コイルには、制御部140から電流を供給する。電流を供給して電機子板1111に発生する移動磁界の向きを変えることで界磁マグネット112の進行方向を変えることができる。また、電流の強さを変えることで界磁マグネット112の速度(周波数)を変えることができる。また、電流を強さや供給時間を変えることで界磁マグネット112の変位量(振幅)を変えることができる。
第1支持体121、第2支持体122は、界磁マグネット112の進行方向(X方向)の延長線上に、水平な試験台125上に固定されている。第1支持体121と第2支持体122は、コイルユニット111のX方向の端面から等しい距離に位置する。
第1ばね131及び第2ばね132は、コイルばね等の弾発部材である。第1ばね131は第1支持体121のコイルユニット111に向かう方向に固定されている。また、第2ばね132は第2支持体122のコイルユニット111に向かう方向に固定されている。第1ばね131と第2ばね132の付勢方向は界磁マグネット112の延在方向と平行である。
界磁マグネット112が電流供給により−X方向に直線運動した後、界磁マグネット112の端板113は第1ばね131に衝突し、そのときの界磁マグネット112の動力により第1ばね131は収縮する。その後、第1ばね131の反発力により界磁マグネット112は付勢され、さらに電流供給により+X方向に直線運動する。
また、界磁マグネット112が+X方向に直線運動した後、界磁マグネット112の端板113は第2ばね132に衝突し、そのときの界磁マグネット112の動力により第2ばね132は収縮する。その後第2ばね132の反発力により界磁マグネット112は付勢され、さらに電流供給により−X方向に直線運動する。
第1位置変更部133、第2位置変更部134は、第1ばね131、第2ばね132の位置をそれぞれ変更し固定する。位置の変更方法及び固定方法は従来の方法でよい。例えば、第1ばね131にねじ切りされた支持棒1311を接続し、第1支持体121の貫通穴の内壁をねじ切りする。支持棒1311のねじと第1支持体121の貫通穴の内壁のねじとが勘合した状態で、支持棒1311は第1支持体121を貫通する。そして、支持棒1311を回転させることにより、第1ばね131の第1支持体121に対する位置を変更する。
同様に、第2ばね132にねじ切りされた支持棒1321を接続し、第2支持体122の貫通穴の内壁をねじ切りする。支持棒1321のねじと第2支持体122の貫通穴の内壁のねじとが勘合した状態で、支持棒1321は第2支持体122を貫通する。そして、支持棒1321を回転させて、第2ばね132の第2支持体122に対する位置を変更する。
支持棒1311、1321には、第1支持体121、第2支持体122を挟んでナットを嵌めておき、ナットを第1支持体121、第2支持体122の両側から締め付けることにより、第1ばね131、第2ばね132の位置を固定させることができる。
第1位置変更部133、第2位置変更部134は、界磁マグネット112の往復直線運動の速度(周波数)、変位量(振幅)によって第1ばね131、第2ばね132の位置を変更する必要がある。
界磁マグネット112の往復直線運動の軌跡は理想的には図3の実線のようになる。A区間における界磁マグネット112の位置は線形に変化する。B区間では界磁マグネット112は減速後、運動方向を反転し、その後加速する。しかし、界磁マグネット112の速度、変位量が大きく、第1ばね131、第2ばね132が最大限に収縮してもなお、界磁マグネット112が運動エネルギーを持っている場合は、往復直線運動の軌跡は図3の破線のように歪みが生じる。この様に歪みが生じた往復直線運動による試験では、界磁マグネット112の停止時間が発生し適正な評価ができない。
一方、界磁マグネット112の往復直線運動の速度、変位量が小さく、第1ばね131、第2ばね132の収縮に余裕を残した状態で運動方向が反転する場合、第1ばね131、第2ばね132の反発力が小さいために電機子コイルに供給する電流量を大きくする必要がある。この場合、消費電力が大きくなるとともに発熱量も大きくなるため、往復運動試験装置1の故障に繋がる可能性がある。よって、往復運動試験装置1の速度又は変位量等の試験条件に応じて、第1ばね131、第2ばね132の位置を最適化する必要がある。
制御部140は、図4に示すように、電流供給部141、CPU(Central Processing Unit)142、記憶部143、操作部144を備える。CPU142は、記憶部143に記憶されているプログラムを実行することにより、電流制御部1421、消費電力算出部1422、位置設定部1423を含む各機能部として機能する。
電流制御部1421は、操作者が操作部144に入力した試験条件を取得し、それに対応する、電流供給値、電流供給時間等の電流の制御情報を記憶部143から取得する。そして、電流制御部1421は、電流供給部141に対して電流制御信号を出力することにより、電流供給部141から出力する電流の制御を行う。電流供給部141は、電流制御信号に基づいてリニアモータ110のコイルユニット111に電流を供給する。
消費電力算出部1422は、電流供給部141が供給する電流の情報を電流制御部1421より取得し、当該情報から消費電力を算出する。ここで、第1ばね131、第2ばね132の張力は、界磁マグネット112の運動方向の反転に寄与しているが、第1ばね131、第2ばね132の位置により、その寄与度が異なり、それに応じてコイルユニット111に供給する電流も異なる。このため、第1ばね131、第2ばね132の位置によって消費電力が異なる。
位置設定部1423は、試験開始前の往復運動試験装置1の調整時に、第1位置変更部133、第2位置変更部134を制御することにより第1ばね131、第2ばね132の位置を複数の位置に変更する。位置設定部1423は、第1ばね131、第2ばね132をそれぞれの位置に固定しているときの消費電力を消費電力算出部1422より取得する。そして、第1ばね131、第2ばね132の位置と消費電力との関係を求め、当該関係に基づいて最適な位置を決定する。その後、位置設定部1423は、第1位置変更部133、第2位置変更部134に対して、第1ばね131、第2ばね132の位置を決定した位置に設定するように位置制御信号を出力する。
記憶部143は、試験条件に対応する電流供給値、電流供給時間等の電流の制御情報や、消費電力算出部1422が算出した第1ばね131、第2ばね132の各位置に対応する消費電力のデータを記憶する。その他、位置設定部1423が往復運動試験装置1の調整時に設定する第1ばね131、第2ばね132の位置の情報や、位置設定部1423が試験時に設定する第1ばね131、第2ばね132の位置の情報等の各種データを記憶する。また、CPU142が位置設定処理等の処理を実行するためのプログラムを記憶する。
被検物支持体152に支持された被検物151と、界磁マグネット112の端板113に備えられた試験部材153は、往復運動試験装置1による試験の内容によって異なる。例えば、往復運動試験装置1をブレーキ材の摩耗試験に用いる場合は、被検物151がブレーキ材であり、試験部材153が所定の硬度を有した接触子である。試験部材153である接触子が被検物151であるブレーキ材に対して所定の圧力をかけて接触した状態で摺動し、摩耗状態を検出する。
被検物151や試験部材153の配置は、被検物151や試験部材153の形状及び所望する摺動方向に応じて任意に設定する。
以上のように構成された往復運動試験装置1の動作について説明する。まず、往復運動試験装置1の試験前の調整時に実行する位置設定処理について、図5のフローチャートに沿って説明する。
調整時に位置設定処理が開始されると、まず、電流制御部1421が、操作部144に入力された速度(周波数)や変位量(振幅)を含む試験条件を取得する(ステップS101)。次に、整数nに初期値0を代入する(ステップS102)。そして、位置設定部1423がnの値に対応する第1ばね131、第2ばね132の位置Pnを記憶部より取得し、第1位置変更部133、第2位置変更部134の設定位置をPnにする(ステップS103)。ここで、第1ばね131と第1支持体121との距離と、第2ばね132と第2支持体122との距離は互いに同じであり、第1位置変更部133、第2位置変更部134の位置変更量も互いに同じであるとする。
その後、電流制御部1421は、ステップS101で取得した速度と変位量に対応した電流の制御情報を記憶部143から取得し、その制御情報に基づいて、電流供給部141に対して電流制御信号を出力する。電流供給部141は入力された電流制御信号に基づいてコイルユニット111に電流を供給し、これにより、コイルユニット111は往復運動を実行する(ステップS104)。消費電力算出部1422は、電流制御部1421が電流供給部141に対して出力する電流制御信号に基づいて、往復運動実行時の消費電力を算出し、記憶部143に記憶する(ステップS105)。
次にnを1増やし(ステップS106)、nがn以上でない場合は(ステップS107:No)、ステップS103に戻る。そしてnがn以上とならない限り、ステップS103〜S107の処理を繰り返す。
ステップS107でnがn以上であった場合は(ステップS107:Yes)、ステップS105で記憶部143に保存した消費電力を取得し、消費電力が最小になるときの第1ばね131、第2ばね132の位置Pnを選択する(ステップS108)。
位置設定部1423は、第1位置変更部133、第2位置変更部134に対して、ステップS108で選択したPnに設定するように位置制御信号を出力して(ステップS109)処理を終了する。
以上のようにして、位置設定処理を実行して第1ばね131、第2ばね132の位置を決定し固定する。その後、被検物支持体152に被検物151をセットし、また、試験部材153を端板113に固定する。そして、制御部140の電流制御部1421が、位置設定処理のステップS101で取得した試験条件である速度と変位量に対応した電流の制御情報を記憶部143から取得し、その制御情報に基づいて、電流供給部141に対して電流制御信号を出力する。電流供給部141が入力された電流制御信号に基づいてコイルユニット111に電流を供給することにより、コイルユニット111は往復直線運動を実行する。これにより、試験部材153は被検物151に所定の圧力をかけて接触した状態で摺動し、試験を行う。
以上説明したように、本実施の形態においては、往復運動試験装置1が、コイルユニット111に沿って界磁マグネット112が往復直線運動するリニアモータ110と、界磁マグネット112の運動方向の延長線上に位置する第1支持体121及び第2支持体122それぞれに、界磁マグネット112が直線運動後に衝突したときの動力を吸収し反発させる第1ばね131と第2ばね132と、を備える。そして、往復直線運動の速度又は変位量等の試験条件に応じて、第1ばね131及び第2ばね132の位置を変更可能とした。これにより、簡易な構成で多様な条件の往復運動試験を適正に行うことが可能となる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図6において、紙面右方向をX方向、紙面上方向をZ方向、紙面に対して垂直方向をY方向とする。図7において、紙面右方向をX方向、紙面上方向をY方向、紙面に対して垂直方向をZ方向とする。X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直上向き方向である。
本実施の形態に係る往復運動試験装置2は、図6、7に示すように、直線状に複数の電機子コイルを配列したコイルユニット211と、直線状に極性を交互に変えた界磁マグネット212と、を有するリニアモータ210を備える。界磁マグネット212は、試験台125に固定されている。試験台125には、界磁マグネット212の延在方向において界磁マグネット212の両端から等距離の位置に第1支持体121、第2支持体122を備える。
また、往復運動試験装置2は、第1支持体121、第2支持体122それぞれに、互いに向かい合う方向に固定された第1ばね131と第2ばね132を備える。更に、第1ばね131の第1支持体121に対する位置を変更する第1位置変更部133と、第2ばね132の第2支持体122に対する位置を変更する第2位置変更部134を備える。
さらに、往復運動試験装置2の動作の制御を行う制御部140を備える。制御部140は、リニアモータ110に供給する電流を制御すると共にその電流を供給する。また、第1位置変更部133、第2位置変更部134に対して第1ばね131、第2ばね132の位置を決定し変更させる制御を行う。
試験台125には被検物151を支持する被検物支持体152も搭載されている。また、リニアモータ210のコイルユニット211は、上部に試験部材153を備えている。例えば、被検物151の摺動試験を行う場合には、被検物151に試験部材153が接触した状態で摺動することとなる。
往復運動試験装置2の各構成部について詳細に説明する。
リニアモータ210はフラットタイプのコア付きリニアモータであり、矩形状のコイルユニット211がX方向に延在した界磁マグネット212に沿って直線運動する。つまり、本実施の形態では実施の形態1と異なり、コイルユニット211が可動部となる。界磁マグネット212は長手方向に極性を交互に変えた長板形状のマグネットであり、例えば、複数の矩形のマグネットがN極同士、S極同士を接合した状態のマグネット列が2つ直線状(X方向)に配列している。2つのマグネット列は、コイルユニット211のY方向における両端の下方に位置する。コイルユニット211の電機子コイルに電流を供給することにより、コイルユニット211は界磁マグネット212に沿って直線運動する。電機子コイルには、コイルユニット211の往復運動にも追従可能な導線213が接続されている。制御部140内の電流供給部141は導線213を介して電機子コイルに電流を供給する。
ここで、コイルユニット211の電機子コイルに、制御部140から電流を供給してコイルユニット211に発生する移動磁界の向きを変えることでコイルユニット211の進行方向を変えることができる。また、電流の強さを変えることでコイルユニット211の速度(周波数)を変えることができる。また、電流を強さや供給時間を変えることでコイルユニット211の変位量(振幅)を変えることができる。
界磁マグネット212は、2つのマグネット列と平行の方向にガイドレール等のガイド部を有する。つまり、ガイド部の延在方向が界磁マグネット212の延在方向と平行になる。コイルユニット211は、界磁マグネット212のガイド部に嵌合する嵌合部を底面又は側面に有し、コイルユニット211の嵌合部が界磁マグネット212のガイド部と嵌合した状態で、コイルユニット211が界磁マグネット212に沿って摺動する。このガイド部を有する構成により、コイルユニット211は歪みなく直線運動することができる。ここで、コイルユニット211の往復運動の中心位置は第1支持体121と第2支持体122のちょうど中間位置である。
第1支持体121、第2支持体122は、コイルユニット211の進行方向(X方向)の延長線上に、水平な試験台125上に固定されている。第1支持体121と第2支持体122は、界磁マグネット212のX方向の端面から等しい距離に位置する。
第1ばね131及び第2ばね132は、コイルばね等の弾発部材である。第1ばね131は第1支持体121のコイルユニット211に向かう方向に固定されている。また、第2ばね132は第2支持体122のコイルユニット211に向かう方向に固定されている。第1ばね131と第2ばね132の付勢方向は界磁マグネット212の延在方向と平行である。
コイルユニット211が電流供給により−X方向に直線運動した後、コイルユニット211の端面は第1ばね131に衝突し、そのときのコイルユニット211の動力により第1ばね131は収縮する。その後、第1ばね131の反発力によりコイルユニット211は付勢され、電流供給により+X方向に直線運動する。
また、コイルユニット211が+X方向に直線運動した後、コイルユニット211の端面は第2ばね132に衝突し、そのときのコイルユニット211の動力により第2ばね132は収縮する。その後第2ばね132の反発力によりコイルユニット211は付勢され、さらに電流供給により−X方向に直線運動する。
第1位置変更部133、第2位置変更部134、制御部140の構成及び動作は実施の形態1と同様であり、往復運動試験装置2の試験条件に応じて、第1ばね131、第2ばね132の位置を最適化するように、第1位置変更部133、第2位置変更部134、制御部140は動作する。また、被検物151、被検物支持体152、試験部材153の構成も実施の形態1と同様である。
制御部140は実施の形態1と同様に、往復運動試験装置2の調整時に図5のフローチャートに示した位置設定処理を実行して第1ばね131、第2ばね132の位置を決定し固定する。その後、被検物支持体152に被検物151をセットし、また、試験部材153をコイルユニット211に固定する。そして、制御部140の電流制御部1421が、試験条件である速度と変位量に対応した電流の制御情報を記憶部143から取得し、その制御情報に基づいて、電流供給部141に対して電流制御信号を出力する。電流供給部141が入力された電流制御信号に基づいてコイルユニット211に電流を供給することにより、コイルユニット211は往復運動を実行する。これにより、試験部材153は被検物151に所定の圧力をかけて接触した状態で摺動し、試験を行うことができる。
以上説明したように、本実施の形態においては、往復運動試験装置2が、界磁マグネット212に沿ってコイルユニット211が往復直線運動するリニアモータ210と、コイルユニット211の運動方向の延長線上に位置する第1支持体121及び第2支持体122それぞれに、コイルユニット211が直線運動後に衝突したときの動力を吸収し反発させる第1ばね131と第2ばね132と、を備える。そして、往復直線運動の速度又は変位量等の試験条件に応じて、第1ばね131及び第2ばね132の位置を変更可能とした。これにより、コイルユニット211が往復直線運動するリニアモータ210を用いた構成で多様な条件の往復運動試験を適正に行うことが可能となる。
このように本発明は、コイルユニット及び界磁マグネットのいずれか一方からなる可動部が、他方からなる固定部に沿って往復直線運動するリニアモータと、可動部が直線運動後に運動方向を反転させるときに、可動部の動力を吸収し反発させる第1弾発部材及び第2弾発部材と、を備えた往復運動試験装置において、可動部の往復直線運動の速度又は変位量に応じて、第1弾発部材及び第2弾発部材の前記界磁マグネットに対する位置を変更することとした。これにより、簡易な構成で多様な条件の試験を適正に行うことができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
例えば、界磁マグネット112又はコイルユニット211からなる可動部が直線運動した後、第1ばね131、第2ばね132に衝突し、衝突時の動力を吸収し反発するとしたが、第1ばね131、第2ばね132を他の弾発部材に置き換えてもよい。例えば、エアシリンダに置き換えてもよい。また、第1支持体121及び第2支持体122と、界磁マグネット112又はコイルユニット211と、に磁石を互いに反発するように取り付けて、運動方向の反転時に磁石の反発が生じるようにしてもよい。
また、第1位置変更部133、第2位置変更部134の位置変更を制御部140の制御により自動で変更するようにしたが、制御部140の位置設定部1423が決定した位置情報に基づいて手動で位置変更及び位置固定をするようにしてもよい。
また、調整時に消費電力が最も小さくなる位置に第1ばね131、第2ばね132の位置を変更し固定するとしたが、往復運動に関する他の情報も位置決定の判断要素に加えてもよい。例えば、界磁マグネット112又はコイルユニット211の運動軌跡を取得し、軌跡に歪みが無い時の第1ばね131、第2ばね132の位置を選択してもよい。また、運動方向が反転する箇所の温度を測定し、温度が低くなる時の第1ばね131、第2ばね132の位置を選択してもよい。
また、リニアモータ110、210は、コア付きタイプのものを使用するとしたが、高推力を要求されない場合や、コギングの抑制を必要とする試験を行う場合にはコアレスタイプのものを使用してもよい。
また、リニアモータ110、210は、フラットタイプのものを使用するとしたが、界磁マグネット112、212とコイルユニット111、211のいずれか一方が円筒形状の固定軸となり、他方が当該円筒形状の軸を取り囲む矩形状の可動部となるシャフトタイプであってもよい。
また、試験台125上に固定した被検物支持体152に被検物151を固定し、往復運動する可動部(界磁マグネット112又はコイルユニット211)に試験部材153を備えるとしたが、試験部材153を試験台125上に固定し、往復運動する可動部に被検物151を固定してもよい。
また、位置設定処理のプログラムを、任意の配布方法で配布してもよい。例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
1、2…往復運動試験装置
110、210…リニアモータ
111、211…コイルユニット
1111…電機子板
112、212…界磁マグネット
113…端板
114…ガイド軸
115…軸受け部
121…第1支持体
122…第2支持体
125…試験台
131…第1ばね
1311…支持棒
132…第2ばね
1321…支持棒
133…第1位置変更部
134…第2位置変更部
140…制御部
141…電流供給部
142…CPU
1421…電流制御部
1422…消費電力算出部
1423…位置設定部
143…記憶部
144…操作部
151…被検物
152…被検物支持体
153…試験部材
213…導線

Claims (7)

  1. 直線状に複数の電機子コイルを配列したコイルユニットと、直線状に極性を交互に変えた界磁マグネットと、を有し、前記コイルユニット及び前記界磁マグネットのいずれか一方からなる可動部が、他方からなる固定部に沿って往復直線運動するリニアモータと、
    前記可動部が直線運動後に運動方向を反転するときに、前記可動部の動力を吸収し反発させる第1弾発部材及び第2弾発部材と、
    前記可動部の前記往復直線運動の速度又は変位量に応じて、前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材の前記固定部に対する位置を変更する位置変更部と、
    を備える往復運動試験装置。
  2. 前記可動部の運動方向の延長線上に固定された第1支持体及び第2支持体と、を更に備え、
    前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材は、それぞれ前記第1支持体及び前記第2支持体に、互いに向かい合う方向に固定され、
    前記位置変更部は、前記可動部の前記往復直線運動の速度又は変位量に応じて、第1弾発部材の前記第1支持体に対する位置及び第2弾発部材の前記第2支持体に対する位置を変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の往復運動試験装置。
  3. 前記可動部に被検物及び試験部材のいずれか一方を備え、他方を前記固定部に対して位置関係が固定された位置に備え、
    前記被検物と前記試験部材が互いに接触した状態で前記可動部が往復直線運動する試験を行う、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の往復運動試験装置。
  4. 前記位置変更部は、前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材の前記固定部に対する位置を変えて、前記可動部が前記往復直線運動するときの前記電機子コイルの消費電力を測定し、前記消費電力が最小となる位置に、前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材の位置を変更して固定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の往復運動試験装置。
  5. 前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材は、ばね、エアシリンダ及び磁石のいずれか1つである、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の往復運動試験装置。
  6. 直線状に複数の電機子コイルを配列したコイルユニットと、直線状に極性を交互に変えた界磁マグネットと、を有し、前記コイルユニット及び前記界磁マグネットのいずれか一方からなる可動部が、他方からなる固定部に沿って往復直線運動するリニアモータを用いた往復運動試験方法であって、
    前記可動部が直線運動後に運動方向を反転するときに前記可動部の動力を吸収し反発させる第1弾発部材及び第2弾発部材の前記固定部に対する位置を、前記可動部の前記往復直線運動の速度又は変位量に応じて変更する位置変更ステップと、
    前記位置変更ステップで変更した位置に前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材を固定した状態で、前記可動部を前記固定部に沿って往復直線運動するように制御する往復直線運動制御ステップと、
    を有する往復運動試験方法。
  7. 直線状に複数の電機子コイルを配列したコイルユニットと、直線状に極性を交互に変えた界磁マグネットと、を有し、前記コイルユニット及び前記界磁マグネットのいずれか一方からなる可動部が、他方からなる固定部に沿って往復直線運動するリニアモータと、前記可動部が直線運動後に運動方向を反転するときに前記可動部の動力を吸収し反発させる第1弾発部材及び第2弾発部材と、を備えた往復運動試験装置を制御するコンピュータを、
    前記可動部の前記往復直線運動の速度又は変位量に応じて、前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材の前記固定部に対する位置を変更する位置変更部、
    前記第1弾発部材及び前記第2弾発部材の位置を前記位置変更部で変更して固定した状態で、前記可動部を前記固定部に対して往復直線運動するように制御する往復直線運動制御部、
    として機能させるプログラム。
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