JP2015154305A - 音響処理装置、音響処理方法及び音響処理プログラム - Google Patents

音響処理装置、音響処理方法及び音響処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】聴取環境に応じて発生する共振音を音圧を低下させることなく好適に抑えることが難しい。【解決手段】音響処理装置を、所定のスピーカを介して再生される所定の測定信号の測定結果に基づき、スピーカより出力される音の共振帯域を検出する共振帯域検出手段と、測定信号の測定結果を解析する解析手段と、解析手段による解析結果に基づいて、共振帯域検出手段により検出された共振帯域を制御するための制御パラメータを生成する制御パラメータ生成手段と、所定のオーディオ信号再生装置より入力されるオーディオ信号による再生音の共振帯域成分が時間軸上で短く抑えられるように、制御パラメータ生成手段により生成された制御パラメータに基づいてオーディオ信号を制御するオーディオ信号制御手段とにより構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、音響処理装置、音響処理方法及び音響処理プログラムに関する。
車両の天井基材に取り付けられる車載用スピーカが知られている(例えば特許文献1参照)。この種の車載用スピーカは、天井基材に取り付けられた本体部が振動子として機能し、天井基材やドアトリム等の内装材を振動版として振動させることにより、音を出力する。
特開2005−22546号公報 特開2013−207689号公報
特許文献1に例示されるスピーカは、本体部が振動して音を伝達させる構成であるため、オーディオ信号の入力レベルに応じて本体部の振動が変化する。オーディオ信号の入力レベルを増加させると、特に低域再生時に振動が大きくなる。このとき、過大な振動音によって異音が発生するだけでなく、スピーカの取り付け部やスピーカの周辺部品が共振することによって歪音(共振音)が発生する虞がある。この種の共振音が発生する周波数帯域は、例えば、スピーカの取り付け方や取り付け位置、車種等によって異なる。
共振音が発生する周波数帯域を低減する音響装置の具体的構成例が特許文献2に記載されている。特許文献2に記載の音響装置は、スピーカに流れる電流の高調波歪みの周波数特性から共振音が発生する周波数帯域を検出し、検出された周波数帯域のゲインを低下させる構成となっている。共振音が発生する周波数帯域のゲインを低下させることで確かに共振音を低減させることができる。しかし、共振音とともに音圧も低下するという不都合が避けられない。また、スピーカに流れる電流の高調波歪みの周波数特性では、スピーカ自体の特性(歪みや共振)が検出されるだけに留まる。すなわち、特許文献2に記載の構成では、聴取環境(例えば、スピーカの取り付け方や取り付け位置、車種、周辺部品の共振等の種々の因子)によって変動する共振音の周波数帯域を精度良く検出することができない。そのため、ある聴取環境において発生する共振音を好適に抑えることができない。
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ある聴取環境において発生する共振音を音圧を低下させることなく好適に抑えることが可能な音響処理装置、音響処理方法及び音響処理プログラムを提供することである。
本発明の実施形態の音響処理装置は、所定のスピーカを介して再生される所定の測定信号の測定結果に基づき、スピーカより出力される音の共振帯域を検出する共振帯域検出手段と、測定信号の測定結果を解析する解析手段と、解析手段による解析結果に基づいて、共振帯域検出手段により検出された共振帯域を制御するための制御パラメータを生成する制御パラメータ生成手段と、所定のオーディオ信号再生装置より入力されるオーディオ信号による再生音の共振帯域成分が時間軸上で短く抑えられるように、制御パラメータ生成手段により生成された制御パラメータに基づいてオーディオ信号を制御するオーディオ信号制御手段とを備える。
また、本発明の実施形態の音響処理装置は、所定のスピーカを介して再生される所定の測定信号の測定結果に基づき、スピーカより出力される音の共振帯域を検出する共振帯域検出手段と、各入力レベルの測定信号の測定結果を解析する解析手段と、解析手段による解析結果に基づいて、共振帯域検出手段により検出された共振帯域を制御するための制御パラメータであって、測定信号の各入力レベルに応じたものを生成する制御パラメータ生成手段と、制御パラメータ生成手段により生成された各入力レベルに応じた制御パラメータを保持する制御パラメータ保持手段と、所定のオーディオ信号再生装置より入力されるオーディオ信号による再生音の共振帯域成分が時間軸上で短く抑えられるように、制御パラメータ保持手段からオーディオ信号の入力レベルに応じた制御パラメータを選択し、選択された制御パラメータに基づいてオーディオ信号を制御するオーディオ信号制御手段とを備える。
測定信号は、例えば所定のスイープ信号を含む。この場合、共振帯域検出手段は、スイープ信号のリファレンスとスイープ信号の測定結果とを用いてスピーカ歪み特性を検出し、検出されたスピーカ歪み特性に基づいて共振帯域を検出する。
また、測定信号は、所定のTSP信号(Time Stretched Pulse)を含む。この場合、解析手段は、TSP信号のリファレンスとTSP信号の測定結果とを用いて聴取環境のインパルス応答を計算し、計算されたインパルス応答に基づいて測定結果を解析する。
制御パラメータは、例えば、共振帯域のゲインを制御する制御ゲインと、共振帯域の残響時間を制御する制御時間を含む。
共振帯域検出手段は、各入力レベルについて、スイープ信号のリファレンスとスイープ信号の測定結果とを用いたスピーカ歪み特性の検出を行う構成としてもよい。この場合、制御パラメータ生成手段は、各共振帯域について、各入力レベルのスピーカ歪み特性に基づいて所定の基準入力レベルを設定し、測定信号の入力レベルでのスピーカ応答特性の減衰傾きと、基準入力レベルでのスピーカ応答特性の減衰傾きとの比率に基づいて制御ゲインを計算する。また、制御パラメータ生成手段は、各共振帯域について、測定信号の入力レベルでの残響時間と、基準入力レベルでの残響時間との比率に基づいて制御時間を計算する構成としてもよい。
本発明の実施形態の音響処理方法は、所定のスピーカを介して再生される所定の測定信号の測定結果に基づき、該スピーカより出力される音の共振帯域を検出する共振帯域検出ステップと、測定信号の測定結果を解析する解析ステップと、解析ステップでの解析結果に基づいて、共振帯域検出ステップにて検出された共振帯域を制御するための制御パラメータを生成する制御パラメータ生成ステップと、所定のオーディオ信号再生装置より入力されるオーディオ信号による再生音の共振帯域成分が時間軸上で短く抑えられるように、制御パラメータ生成ステップにて生成された制御パラメータに基づいてオーディオ信号を制御するオーディオ信号制御ステップとを含む。
また、本発明の実施形態の音響処理方法は、所定のスピーカを介して再生される所定の測定信号の測定結果に基づき、スピーカより出力される音の共振帯域を検出する共振帯域検出ステップと、各入力レベルの測定信号の測定結果を解析する解析ステップと、解析ステップでの解析結果に基づいて、共振帯域検出ステップにて検出された共振帯域を制御するための制御パラメータであって、測定信号の各入力レベルに応じたものを生成する制御パラメータ生成ステップと、制御パラメータ生成ステップにて生成された各入力レベルに応じた制御パラメータを所定の記憶媒体に保持させる制御パラメータ保持ステップと、所定のオーディオ信号再生装置より入力されるオーディオ信号による再生音の共振帯域成分が時間軸上で短く抑えられるように、記憶媒体に保持された制御パラメータの中からオーディオ信号の入力レベルに応じた制御パラメータを選択し、選択された制御パラメータに基づいてオーディオ信号を制御するオーディオ信号制御ステップとを含む。
本発明の実施形態の音響処理プログラムは、上記の音響処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本発明の実施形態によれば、ある聴取環境において発生する共振音を音圧を低下させることなく好適に抑えることが可能な音響処理装置、音響処理方法及び音響処理プログラムが提供される。
本発明の実施形態の音響処理装置の構成を示すブロック図である。 入力レベルが0dB時の立下り累積スペクトルを示す図である。 入力レベル毎(0dB〜−20dBの範囲内で2dB刻みの各レベル)のスピーカ歪み特性を示す図である。 本発明の実施形態の音響処理装置に備えられる制御パラメータ生成部の構成を示すブロック図である。 図2に示される立下り累積スペクトルのうち100Hzのスピーカ応答特性を示す図である。 入力レベル毎の100Hzのスピーカ応答特性の減衰傾きを示す図である。 100Hzの共振帯域における入力レベルに応じたスピーカ歪み率を示す図である。 100Hzの周波数帯域における入力レベルに応じた制御ゲインを示す図である。 入力レベルが0dBである場合のスムージング処理前後の制御ゲインを示す図である。 入力レベルに応じた各周波数帯域の制御ゲインを示す図である。 入力レベルが0dBである場合のスムージング処理前後の制御時間を示す図である。 本発明の実施形態の音響処理装置に備えられる周波数スペクトル領域フィルタリング部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の音響処理装置に備えられるFFT部に入力されるオーディオ信号を示す図である。 本発明の実施形態の音響処理装置に備えられるIFFT部より出力されるオーディオ信号を示す図である。 共振帯域が抑制された入力レベルが0dB時の測定信号(TSP信号)に対して制御パラメータを施したときの立下り累積スペクトルを示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として、車両内のドアトリムに埋設されたスピーカを備える音響処理装置を例に取り説明する。
[音響処理装置1の構成]
オーディオ信号の入力レベルを増加させるほど、スピーカ自体の振動が大きくなりスピーカの取り付け部やスピーカの周辺部品が共振してスピーカの応答が長くなるため、共振音が発生する。そこで、本実施形態の音響処理装置は、入力レベル毎にスピーカ応答特性を測定してスピーカの歪み特性とインパルス応答を求める。本実施形態の音響処理装置は、求められたスピーカの歪み特性に基づいて共振音の発生する周波数帯域(以下、「共振帯域」と記す。)を検出し、検出された共振帯域及びインパルス応答から求まる立下り累積スペクトルに基づいてスピーカの応答を制御するための制御パラメータを生成する。本実施形態の音響処理装置は、生成された制御パラメータを用いてオーディオ信号の入力レベルに応じたスピーカの応答制御を行う。これにより、車両内という聴取環境において発生する共振音を、音圧を低下させることなく好適に抑えることができる。
なお、以下に説明される音響処理装置1による処理は、音響処理装置1に備えられるソフトウェアとハードウェアとが協働することにより実行される。音響処理装置1のソフトウェアのうち少なくともOS(Operating System)部分は、組み込み系システムとして提供されるが、それ以外の部分、例えば、制御パラメータを生成しこれを用いてオーディオ信号の入力レベルに応じたスピーカの応答制御を行うソフトウェアモジュールについては、ネットワーク上で配布可能なアプリケーションとして提供されてもよい。
[入力レベル毎の再生音の測定]
図1は、本実施形態の音響処理装置1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、音響処理装置1は、測定信号再生部102、入力レベル選択部104、スピーカ106、マイクロフォン108及び測定信号保持部110を備えている。
測定信号再生部102は、測定信号としてスイープ信号(Sweep signal)及びTSP信号(Time Stretched Pulse)を出力する。スイープ信号は、正弦波を40Hz〜300Hzの範囲でスイープさせた信号である。TSP信号は、パルス信号の位相が周波数の2乗に比例した信号である。入力レベル選択部104は、測定信号再生部102より入力されるスイープ信号及びTSP信号のレベルを変化させる。
スピーカ106は、入力レベル選択部104により入力レベルが変化されたスイープ信号及びTSP信号を再生する。測定信号保持部110は、マイクロフォン108によって収音された再生音(スイープ信号、TSP信号)を測定結果(以下、それぞれを「測定スイープ信号」、「測定TSP信号」と記す。)として保持すると共に、保持された測定結果のリファレンスとして、測定信号再生部102より入力されるスイープ信号及びTSP信号を保持する。測定信号保持部110には、入力レベル選択部104により変化された入力レベル毎の(入力レベルに応じた)測定結果が保持される。なお、入力レベル選択部104による入力レベルは、例えば、0dB〜−20dBの範囲内であり、2dB刻みで変化される。
[立下り累積スペクトルの算出]
図1に示されるように、音響処理装置1は、立下り累積スペクトル算出部112を備えている。立下り累積スペクトル算出部112は、測定信号保持部110に保持されているリファレンスのTSP信号と測定TSP信号を用いて、スピーカ106とマイクロフォン108間のインパルス応答を計算する。インパルス応答は、測定TSP信号とリファレンスのTSP信号の逆特性をフーリエ変換して周波数上で乗算し、乗算された値を逆フーリエ変換することで求まる。立下り累積スペクトル算出部112は、求められた各入力レベルのインパルス応答を解析して、各入力レベルに対する立下り累積スペクトルを算出する。
なお、立下り累積スペクトルは、従来より、スピーカの特性を観察するための立下り累積スペクトル法に用いられている。立下り累積スペクトル法は、イギリスのKEF社のFinchamらがスピーカシステムの過度特性を評価する時間周波数分析手法として提案した手法である。立下り累積スペクトル法によれば、スピーカとマイクロフォン間にて測定されたインパルス応答波形が解析され、解析結果に基づき時間経過に対する周波数特性の変化が把握可能である。
図2は、入力レベルが0dB時の立下り累積スペクトルを示す図である。図2に示されるように、立下り累積スペクトルは、振幅レベル(Power(単位:dB))、周波数(Frequency(単位:Hz))、時間(Time(単位:sec))の3軸のグラフで表される。Powerは、振幅を自乗したものである。また、人間の聴覚特性は、周波数に対して対数的である。横軸の周波数は、人間の聴覚特性に合わせて対数表示となっている。
スピーカ106は、車両内のドアトリムに埋設されているため、入力レベルが高いほどその周辺部品等を長く共振させる。図2に示される立下り累積スペクトルを参照すると、スピーカ応答特性が100Hz当たりの比較的低い周波数帯域で長く、100Hz当たりで共振が発生していることが判る。
[入力レベル毎の共振帯域の検出]
図1に示されるように、音響処理装置1は、スピーカ歪み特性算出部114及び共振帯域検出部116を備えている。スピーカ歪み特性算出部114は、測定信号保持部110に保持されているリファレンスのスイープ信号と測定スイープ信号を用いて入力レベル毎のスピーカ歪み特性を算出する。具体的には、スピーカ歪み特性算出部114は、入力レベル毎に、測定スイープ信号からリファレンスのスイープ信号を差し引く。これにより、正弦波以外の成分(高調波歪み及びノイズ)が求まり、入力レベル毎のスピーカ歪み特性が算出される。ここで、スピーカ歪み特性は、基本波となる成分(測定スイープ信号)に対して不要な成分(高調波歪み及びノイズ)がどの程度含まれているかの割合(単位:%)を示す。
図3は、入力レベル毎(0dB〜−20dBの範囲内で2dB刻みの各レベル)のスピーカ歪み特性を示す図である。図3中、縦軸は、スピーカ歪み率(Distortion Rate(単位:%))を示し、横軸は、周波数(Frequency(単位:Hz))を示す。
共振帯域検出部116は、スピーカ歪み特性算出部114により算出されたスピーカ歪み特性に基づいて入力レベル毎の共振帯域を検出する。一例として、図2に示される立下り累積スペクトルと、図3において入力レベルが0dBのグラフとを比較すると、スピーカ歪み率が高いほど共振が発生し、スピーカ応答特性が長いことが判る。そこで、共振帯域検出部116は、スピーカ歪み率が第1の閾値を超える周波数帯域を共振帯域として検出する。なお、一般に、聴取者は、スピーカ歪み率が3%〜5%であるときに歪みを感じるといわれている。そのため、本実施形態において第1の閾値は3%に設定されている。図3の例では、45Hz〜50Hz当たり、75Hz〜210Hz当たり及び250Hz〜300Hz当たりが共振帯域として検出される。
[制御パラメータ(制御ゲイン・制御時間)の生成]
図1に示されるように、音響処理装置1は、制御パラメータ生成部118を備えている。図4は、制御パラメータ生成部118の構成を示すブロック図である。図4に示されるように、制御パラメータ生成部118は、基準入力レベル設定部118A、傾き算出部118B、制御パラメータ算出部118C、dB変換部118D、平均化処理部118E及び118Fを備えている。制御パラメータ生成部118は、共振帯域検出部116にて検出された共振帯域において、スピーカ歪み特性算出部114により算出されたスピーカ歪み率が第2の閾値を超える場合に、スピーカの応答を制御する制御パラメータ(制御ゲイン・制御時間)を算出する。
基準入力レベル設定部118Aは、共振帯域検出部116にて検出された共振帯域において、スピーカ歪み特性算出部114により算出されたスピーカ歪み特性に基づき、スピーカ歪み率が第2の閾値以下となる入力レベルを基準入力レベルとして設定する。第2の閾値は、第1の閾値以下の値(ここでは1.5%)であり、ユーザ操作により任意に設定可能である。
図3を用いて基準入力レベルの設定について説明する。例えば入力レベルが0dB時に共振帯域として検出された100Hzでは、図3に示されるように、入力レベルが−10dB時にスピーカ歪み率が第2の閾値(1.5%)以下となる。そのため、スピーカ歪み率が第2の閾値を超える入力レベル(0dB、−2dB、−4dB、−6dB、−8dB)については、各入力レベルに対する基準入力レベルとして−10dBが設定される。また、入力レベルが−10dB以下の場合は、スピーカ歪み率が既に第2の閾値以下である。そのため、−10dB以下の各入力レベルに対しては、基準入力レベルが設定されない。このような処理が各共振帯域の各入力レベルに対して行われると、各共振帯域について入力レベル毎の基準入力レベルが設定される(又は設定されない)。
図5は、図2に示される立下り累積スペクトル(入力レベル:0dB)のうち100Hzの特性(スピーカ応答特性)を示す図である。図5中、縦軸は、振幅レベル(Power(単位:dB))を示し、横軸は、時間(Time(単位:sec))を示す。
傾き算出部118Bは、各共振帯域について、入力レベル毎のスピーカ応答特性の傾きを算出する。図5の例では、傾き算出部118Bは、100Hzの周波数帯域について、立下り累積スペクトル算出部112により算出された立下り累積スペクトルに基づいてスピーカ応答特性を取得し、取得されたスピーカ応答特性の近似直線を1次の回帰関数により計算する。図5に示されるように、スピーカ応答特性は、時間経過に伴い減衰する。そのため、スピーカ応答特性を近似的に表現する近似直線は、マイナス符号の傾きを持つ。
下記に、傾き算出部118Bにより計算される近似直線の式を示す。

y=ax+b

y:振幅レベル(近似値)
a:スピーカ応答特性の減衰傾き
x:残響時間
b:0ms時の振幅レベル(近似値)
なお、残響時間とは、音源が音を発しなくなってから残響音がある一定ゲイン減衰するまでにかかる時間をいう。
図6は、入力レベル毎(0dB、−2dB、−4dB、−6dB、−8dB、−10dB)の100Hzのスピーカ応答特性の減衰傾きaを示す図である。図6中、縦軸は、振幅レベル(Power(単位:dB))を示し、横軸は、時間(Time(単位:sec))を示す。図6では、説明の便宜上、各入力レベルの0ms時の振幅レベルbを同一の値に揃えている。図6を参照すると、入力レベルが低いほど、スピーカ応答特性の減衰傾きaがマイナス方向に大きくなりスピーカの応答が時間軸上で短くなることが判る。
制御パラメータ算出部118Cは、各共振帯域について、基準入力レベル決定部118Aにより決定された基準入力レベルでのスピーカ応答特性の減衰傾きa(以下、「基準減衰傾きa」と記す。)に対する、入力レベル毎のスピーカ応答特性の減衰傾きaの比率R1を計算する。dB変換部118Dは、計算された比率R1をリニアスケール値からデシベルスケール値に変換し、変換された比率R1(デシベルスケール値)を制御パラメータ(制御ゲイン)として得る。このようにして得られた制御ゲインは、入力レベルに応じてスピーカ応答特性の減衰傾きaを基準減衰傾きaに一致又は近似させることにより、スピーカ応答特性を減衰させて共振音の発生を抑える効果を持つ。
図7は、100Hzの共振帯域における入力レベルに応じたスピーカ歪み率を示す図である。図7中、縦軸は、スピーカ歪み率(Distortion Rate(単位:%))を示し、横軸は、入力レベル(Input Level(単位:dB))を示す。図3中、100Hzのスピーカ歪み率を抽出すると、図7に示されるグラフが得られる。図7に示されるように、100Hzの周波数帯域において、スピーカ歪み率は、入力レベルが−10dB以下のときには低く、−10dBを超えると急激に高くなる。
100Hzの共振帯域に対する制御ゲインを算出する場合を考える。この場合、制御パラメータ算出部118Cは、100Hzの共振帯域について、スピーカ歪み率が1.5%以下となる基準入力レベル(−10dB)での基準減衰傾きaに対する、入力レベル毎の減衰傾きaの比率R1を計算する。比率R1は、x軸の増加量に対するy軸の増加量、すなわちPower(dB)/Time(sec)により算出される。図6を参照すると、入力レベルが0dB、−10dBであるとき、減衰傾きaはそれぞれ、−62.96(=−17(dB)/0.27(sec))、−237.5(=−19(dB)/0.08(sec))である。この場合、比率R1は、0.265(=−62.96/−237.5)となる。比率R1は、dB変換部118Dによってデシベルスケール値へ変換されると、−11.53(dB)となる。−11.53(dB)は、入力レベルが0dB時の100Hzのスピーカ応答特性に対する制御ゲインである。同様の計算が0dB以外の入力レベルに対しても行われると、100Hzの共振帯域について入力レベル毎の制御ゲインが得られる。更に、100Hz以外の共振帯域についても同様の計算が行われると、各共振帯域について入力レベル毎の制御ゲインが得られる。
図8は、100Hzの周波数帯域における入力レベルに応じた制御ゲインを示す図である。図8中、縦軸は、制御ゲイン(Control Gain(単位:dB))を示し、横軸は、入力レベル(Input Level(単位:dB))を示す。図8に示されるように、入力レベルが−10dB以下の場合は、スピーカ歪み率が1.5%以下であり基準入力レベルも決定されないため、制御パラメータを用いた制御の対象外である。そのため、制御ゲインも0dBである。また、入力レベルが−10dBを超える場合は、入力レベルが大きいほど制御ゲインがマイナス方向に大きな値を取る。
平均化処理部118Eは、dB変換部118Dより出力される制御ゲインに対し、対数平均化処理により周波数領域でのスムージング処理を施す。図9は、入力レベルが0dBである場合のスムージング処理前後の制御ゲインを示す図である。図9中、縦軸は、制御ゲイン(Control Gain(単位:dB))を示し、横軸は、周波数(Frequency(単位:Hz))を示す。また、図9中、correct gainのグラフがスムージング処理前の制御ゲインを示し、smoothingがスムージング処理後の制御ゲインを示す。制御ゲインは、周波数領域での調整ゲインである。対数平均化処理では、フーリエ変換長が4096サンプルであるときの制御ポイント(約10.76Hz刻み=サンプリング周波数44100Hz/フーリエ変換長4096サンプル)を半分の2048サンプル分とし、聴覚の周波数分解能として知られている1/3オクターブバンド幅で制御ゲインをスムージングする。
図10は、入力レベルに応じた各周波数帯域の制御ゲインを示す図である。図10中、縦軸は、制御ゲイン(Control Gain(単位:dB))を示し、横軸は、周波数(Frequency(単位:Hz))を示す。入力レベルが大きいほどスピーカの応答が長く共振音が発生しやすいため、図10に示されるように、制御ゲインがマイナス方向に大きな値を取ることが判る。
制御パラメータ算出部118Cは、各共振帯域について、基準入力レベル決定部118Aにより決定された基準入力レベルでのスピーカ応答特性の残響時間(以下、「基準残響時間」と記す。)に対する、入力レベル毎のスピーカ応答特性の残響時間の比率R2を計算し、計算された比率Rを制御パラメータ(制御時間)として得る。このようにして得られた制御時間は、共振帯域におけるスピーカの応答特性を時間軸上で短く抑えることにより、共振音の発生を抑える効果を持つ。
100Hzの共振帯域に対する制御時間を算出する場合を考える。この場合、制御パラメータ算出部118Cは、100Hzの共振帯域について、スピーカ歪み率が1.5%以下となる基準入力レベル(−10dB)での基準残響時間に対する、入力レベル毎の残響時間の比率R2を計算する。図6を参照すると、入力レベルが0dB、−10dBであるとき、残響時間はそれぞれ、0.2786sec、0.0885secである。この場合、比率R2(制御時間)は、3.1475sec(=0.2786/0.0885)となる。同様の計算が0dB以外の入力レベルに対しても行われると、100Hzの共振帯域について入力レベル毎の制御時間が得られる。更に、100Hz以外の共振帯域についても同様の計算が行われると、各共振帯域について入力レベル毎の制御時間が得られる。
平均化処理部118Fは、制御パラメータ算出部118Cより出力される制御時間に対し、対数平均化処理により周波数領域でのスムージング処理を施す。図11は、入力レベルが0dBである場合のスムージング処理前後の制御時間を示す図である。図11中、縦軸は、制御時間(Correct Time(単位:sec))を示し、横軸は、周波数(Frequency(単位:Hz))を示す。また、図11中、correct timeのグラフがスムージング処理前の制御時間を示し、smoothingがスムージング処理後の制御時間を示す。対数平均化処理では、フーリエ変換長が4096サンプルであるときの制御ポイント(約10.76Hz刻み=サンプリング周波数44100Hz/フーリエ変換長4096サンプル)を半分の2048サンプル分とし、聴覚の周波数分解能として知られている1/3オクターブバンド幅で制御時間をスムージングする。なお、図11に示されるように、共振帯域以外の制御時間は、便宜上、最小値(例えば0.1sec)に設定される。
[制御パラメータを用いたスピーカ応答制御]
図1に示されるように、音響処理装置1は、FFT(Fast Fourier Transform)部120、レベル検出部122、制御パラメータ選択部124、周波数スペクトル領域フィルタリング部126及びIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部128を備えている。
図示省略されたオーディオ信号再生装置により再生されるオーディオ信号は、FFT部120に入力される。FFT部120は、入力されたオーディオ信号に対してオーバラップ処理と窓関数により重み付けを行った後、短時間フーリエ変換(STFT:Short-Term Fourier Transform)により、時間領域から周波数領域に変換して、実数と虚数の周波数スペクトルを求める。FFT部120は次いで、求められた周波数スペクトルを振幅スペクトル信号と位相スペクトル信号に変換する。FFT部120は、振幅スペクトル信号をレベル検出部122及び周波数スペクトル領域フィルタリング部126に出力し、位相スペクトル信号をIFFT部128に出力する。
レベル検出部122は、FFT部120より入力される振幅スペクトル信号をデシベルスケール値に変換して周波数帯域毎に最大値を検出し、ホールド処理を行う。レベル検出部122は、ホールド処理された信号を制御パラメータ選択部124に出力する。
制御パラメータ選択部124は、制御パラメータ生成部118にて生成された入力レベルに応じた各周波数帯域の制御パラメータ(制御ゲイン・制御時間)を保持している。制御パラメータ選択部124は、レベル検出部122より入力された最大値ホールド信号に基づき、オーディオ信号の入力レベルに応じた各周波数帯域の制御ゲイン(例えば入力レベルが0dBの場合は図9のスムージング処理後の制御ゲイン)及び制御時間(例えば入力レベルが0dBの場合は図11のスムージング処理後の制御時間)を選択して、周波数スペクトル領域フィルタリング部126に出力する。
図12は、周波数スペクトル領域フィルタリング部126の構成を示すブロック図である。図12に示されるように、周波数スペクトル領域フィルタリング部126は、共振制御部126A、加算器126B及びリミッタ部126Cを備えている。周波数スペクトル領域フィルタリング部126は、FFT部120より入力されるオーディオ信号(振幅スペクトル信号)に対して振幅スペクトル毎にフィルタリング処理や振幅制限処理、制御ゲインによる振幅重み付け処理を行うものであり、オーディオ信号(位相スペクトル信号)については処理を行わない。
共振制御部126Aは、HPF(High Pass Filter)部126Aa、振幅反転部126Ab、リミッタ部126Ac及び乗算器126Adを備えている。
HPF部126Aaには、FFT部120より振幅スペクトル信号が入力される。また、HPF部126Aaのフィルタ係数は、制御パラメータ選択部124より入力される制御パラメータ(制御時間)を用いて予め又はフィルタリング処理の際に計算される。HPF部126Aaは、FFT部120より入力される振幅スペクトル信号に対し、振幅スペクトル毎に、制御パラメータ(制御時間)を用いて計算されたフィルタ係数に基づくハイパスフィルタリング処理、すなわち微分処理を行う。
振幅反転部126Abは、HPF部126Aaによりフィルタリング処理された振幅スペクトル信号に−1を乗算して振幅を反転させる。
リミッタ部126Acは、振幅が反転された振幅スペクトル信号のマイナス側の振幅を制限してゼロに設定する。これにより、振幅スペクトル毎の信号の立ち下がり成分、すなわち余韻(共振)成分が検出される。
ここで、HPF部126Aaは、一次のバターワースフィルタである。HPF部126Aaにおいて設定されるカットオフ周波数の値が大きくなるほど共振の制御時間が短くなり、カットオフ周波数の値が小さくなるほど共振の制御時間が長くなる。カットオフ周波数を調整することにより、制御パラメータ(制御時間)に基づく共振の制御時間の調整が行われ、共振の抑制度合い(スピーカ応答特性の低減度合い)が変化する。なお、カットオフ周波数の逆数は、共振の制御時間である。本実施形態において、設定可能なカットオフ周波数の範囲は、0.2Hz〜10.0Hz(調整可能な制御時間の範囲:0.1sec〜5.0sec)である。
乗算器126Adは、リミッタ部126Acにより検出された各振幅スペクトル信号の共振成分に対して重み付け(乗算)を行い加算器126Bに出力する。各振幅スペクトル信号に対する重み付け値は、制御パラメータ選択部124より入力される各周波数帯域の制御パラメータ(制御ゲイン)に基づいて決定される。
加算器126Bは、もとの振幅スペクトル信号(FFT部120より直接入力される、共振成分の音響処理が行われていない振幅スペクトル信号)と、乗算器126Adより入力される振幅スペクトル信号(共振成分の音響処理が行われた振幅スペクトル信号)とを合成する。制御パラメータ(制御ゲイン)に基づく重み付け値は、マイナスである。共振帯域は、重み付け値がマイナスである場合に時間軸上で短く抑えられる。加算器126Bは、合成処理後の振幅スペクトル信号をリミッタ部126Cに出力する。
リミッタ部126Cは、加算器126Bより入力される合成処理後の振幅スペクトル信号(共振制御部126Aにより共振成分の調整が行われた振幅スペクトル信号)の振幅がマイナスの値にならないようにマイナス側の振幅を制限してゼロに設定する。
このように、周波数スペクトル領域フィルタリング部126では、FFT部120より入力される各周波数帯域の振幅スペクトル信号に対して制御パラメータ(制御ゲイン・制御時間)に基づく共振成分の抑制が行われる。共振成分の抑制が行われた振幅スペクトル信号は、リミッタ部126CよりIFFT部128へ出力する。なお、共振成分を抑制(余韻成分を調整)する技術については、例えば特開2013−190470号公報にて参照することができる。
IFFT部128は、周波数スペクトル領域フィルタリング部126にて処理された振幅スペクトル信号及びFFT部120より入力される位相振幅スペクトル信号に基づいて、当該信号を実数と虚数の周波数スペクトルに変換する。IFFT部128は次いで、変換された周波数スペクトルに対して窓関数により重み付けを行い、短時間逆フーリエ変換処理とオーバラップ加算とを行うことにより、周波数領域から時間領域に信号を変換する。周波数領域から時間領域へと変換されたオーディオ信号は、スピーカ106より再生される。
本実施形態では、オーディオ信号再生装置により再生されるオーディオ信号に対し、その入力レベルに応じた適切な制御パラメータ(制御ゲイン・制御時間)に基づく共振成分の抑制が行われる。これにより、スピーカ応答特性の長い帯域、すなわち共振帯域(例えばスピーカ106の取り付け部やスピーカ106の周辺部品が共振する帯域)についてスピーカ応答特性が時間軸上で短く抑えられ、音圧低下を伴うことなく共振音が好適に抑えられる。周波数帯域や入力レベルによって歪みが少なく実質的に共振音が発生しない成分については、制御パラメータに基づくスピーカ応答特性の抑制が行われない。更に、本実施形態によれば、共振音だけなく、例えば車両内でいつまでも鳴り響くことで違和感のある音声や音楽についても音圧低下を伴うことなくその余韻が好適に抑えられる。この結果、車両内という聴取環境下であっても音質が向上し、音の明瞭度が向上する。
[具体的処理例]
次に、図13〜図15を用いて、本実施形態の音響処理装置1による具体的処理例を説明する。図13は、FFT部120に入力されるオーディオ信号を示す図である。図14(a)〜図14(c)は、IFFT部128より出力されるオーディオ信号を示す図である。図13及び図14(a)〜図14(c)中、縦軸は、振幅レベル(Amplitude(正規化されているため単位なし))を示し、横軸は、時間(Time(単位:sec))を示す。なお、オーディオ信号は、サンプリング周波数が44.1kHzであり、周波数成分が100Hzである。また、FFT部120は、フーリエ変換長が4096サンプルであり、オーバラップ長Mがフーリエ変換長の15/16倍となる3、840サンプルであり、窓関数がブラックマン、振幅スペクトルのサンプリング周波数が172Hz(44,100/(4,096−3,840)≒172)である。
具体的処理例において、FFT部120には、図13に示されるように、段階的に増幅された(−20dB、−15dB、−10dB、−5dB、0dBの入力レベルを持つ)100Hzの正弦波パルス信号が順に入力される。これにより、図14(a)に示される正弦波パルス信号がIFFT部128より出力される。
ここで、図14(b)に、入力レベルが−20dBのオーディオ信号について、FFT部120に入力される時の波形と、IFFT部128から出力される時の波形とを重ねて示す。また、図14(c)に、入力レベルが0dBのオーディオ信号について、FFT部120に入力される時の波形と、IFFT部128から出力される時の波形とを重ねて示す。図14(b)に示されるように、入力レベルが−20dBであるとき(入力レベルが低く実質的に共振音が発生しないとき)には、制御パラメータ(制御ゲイン・制御時間)に基づく共振成分の抑制が行われない。そのため、入力時の波形と出力時の波形とが実質同一である。一方、図14(c)に示されるように、入力レベルが0dBであるとき(入力レベルが高く共振音が発生するとき)には、制御パラメータ(制御ゲイン・制御時間)に基づいて共振成分が抑制されることにより、出力時の波形が入力時の波形よりも時間軸上で短く抑えられていることが判る。
図15は、共振成分が抑制された入力レベルが0dB時の測定信号(TSP信号)に対して制御パラメータを施したときの立下り累積スペクトルを示す図である。なお、図15に対し、共振成分を抑制しない場合の立下り累積スペクトルが図2に示されるものとなる。図2と図15とを比較すると、特に80Hz〜100Hzの共振帯域において音圧(power(dB))が低下されることなくスピーカ応答特性が時間軸上で短く抑えられていることが判る。このように、本実施形態によれば、制御パラメータ(制御ゲイン・制御時間)に基づいてオーディオ信号の共振成分が時間軸上で短く抑えられることにより、本実施形態の聴取環境下で発生し得る共振音が音圧低下を伴うことなく好適に抑えられる。
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施例等又は自明な実施例等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
1 音響処理装置
102 測定信号再生部
104 入力レベル選択部
106 スピーカ
108 マイクロフォン
110 測定信号保持部
112 立下り累積スペクトル算出部
114 スピーカ歪み特性算出部
116 共振帯域検出部
118 制御パラメータ生成部
120 FFT部
122 レベル検出部
124 制御パラメータ選択部
126 周波数スペクトル領域フィルタリング部
128 IFFT部

Claims (15)

  1. 所定のスピーカを介して再生される所定の測定信号の測定結果に基づき、該スピーカより出力される音の共振帯域を検出する共振帯域検出手段と、
    前記測定信号の測定結果を解析する解析手段と、
    前記解析手段による解析結果に基づいて、前記共振帯域検出手段により検出された共振帯域を制御するための制御パラメータを生成する制御パラメータ生成手段と、
    所定のオーディオ信号再生装置より入力されるオーディオ信号による再生音の共振帯域成分が時間軸上で短く抑えられるように、前記制御パラメータ生成手段により生成された制御パラメータに基づいて該オーディオ信号を制御するオーディオ信号制御手段と、
    を備える、
    音響処理装置。
  2. 所定のスピーカを介して再生される所定の測定信号の測定結果に基づき、該スピーカより出力される音の共振帯域を検出する共振帯域検出手段と、
    各入力レベルの前記測定信号の測定結果を解析する解析手段と、
    前記解析手段による解析結果に基づいて、前記共振帯域検出手段により検出された共振帯域を制御するための制御パラメータであって、前記測定信号の各入力レベルに応じたものを生成する制御パラメータ生成手段と、
    前記制御パラメータ生成手段により生成された各入力レベルに応じた制御パラメータを保持する制御パラメータ保持手段と、
    所定のオーディオ信号再生装置より入力されるオーディオ信号による再生音の共振帯域成分が時間軸上で短く抑えられるように、前記制御パラメータ保持手段から該オーディオ信号の入力レベルに応じた制御パラメータを選択し、選択された制御パラメータに基づいて該オーディオ信号を制御するオーディオ信号制御手段と、
    を備える、
    音響処理装置。
  3. 前記測定信号は、
    所定のスイープ信号を含み、
    前記共振帯域検出手段は、
    前記スイープ信号のリファレンスと該スイープ信号の測定結果とを用いてスピーカ歪み特性を検出し、
    検出されたスピーカ歪み特性に基づいて前記共振帯域を検出する、
    請求項1又は請求項2に記載の音響処理装置。
  4. 前記測定信号は、
    所定のTSP信号(Time Stretched Pulse)を含み、
    前記解析手段は、
    前記TSP信号のリファレンスと該TSP信号の測定結果とを用いて聴取環境のインパルス応答を計算し、計算されたインパルス応答に基づいて該測定結果を解析する、
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載の音響処理装置。
  5. 前記制御パラメータは、
    前記共振帯域のゲインを制御する制御ゲインと、該共振帯域の残響時間を制御する制御時間を含む、
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載の音響処理装置。
  6. 前記共振帯域検出手段は、
    前記各入力レベルについて、前記スイープ信号のリファレンスと該スイープ信号の測定結果とを用いたスピーカ歪み特性の検出を行い、
    前記制御パラメータ生成手段は、
    各前記共振帯域について、
    前記各入力レベルのスピーカ歪み特性に基づいて所定の基準入力レベルを設定し、
    前記測定信号の入力レベルでのスピーカ応答特性の減衰傾きと、前記基準入力レベルでのスピーカ応答特性の減衰傾きとの比率に基づいて前記制御ゲインを計算する、
    請求項3を引用する請求項5に記載の音響処理装置。
  7. 前記制御パラメータ生成手段は、
    各前記共振帯域について、
    前記測定信号の入力レベルでの残響時間と、前記基準入力レベルでの残響時間との比率に基づいて前記制御時間を計算する、
    請求項6に記載の音響処理装置。
  8. 所定のスピーカを介して再生される所定の測定信号の測定結果に基づき、該スピーカより出力される音の共振帯域を検出する共振帯域検出ステップと、
    前記測定信号の測定結果を解析する解析ステップと、
    前記解析ステップでの解析結果に基づいて、前記共振帯域検出ステップにて検出された共振帯域を制御するための制御パラメータを生成する制御パラメータ生成ステップと、
    所定のオーディオ信号再生装置より入力されるオーディオ信号による再生音の共振帯域成分が時間軸上で短く抑えられるように、前記制御パラメータ生成ステップにて生成された制御パラメータに基づいて該オーディオ信号を制御するオーディオ信号制御ステップと、
    を含む、
    音響処理方法。
  9. 所定のスピーカを介して再生される所定の測定信号の測定結果に基づき、該スピーカより出力される音の共振帯域を検出する共振帯域検出ステップと、
    各入力レベルの前記測定信号の測定結果を解析する解析ステップと、
    前記解析ステップでの解析結果に基づいて、前記共振帯域検出ステップにて検出された共振帯域を制御するための制御パラメータであって、前記測定信号の各入力レベルに応じたものを生成する制御パラメータ生成ステップと、
    前記制御パラメータ生成ステップにて生成された各入力レベルに応じた制御パラメータを所定の記憶媒体に保持させる制御パラメータ保持ステップと、
    所定のオーディオ信号再生装置より入力されるオーディオ信号による再生音の共振帯域成分が時間軸上で短く抑えられるように、前記記憶媒体に保持された制御パラメータの中から該オーディオ信号の入力レベルに応じた制御パラメータを選択し、選択された制御パラメータに基づいて該オーディオ信号を制御するオーディオ信号制御ステップと、
    を含む、
    音響処理方法。
  10. 前記測定信号は、
    所定のスイープ信号を含み、
    前記共振帯域検出ステップにて、
    前記スイープ信号のリファレンスと該スイープ信号の測定結果とを用いてスピーカ歪み特性が検出され、
    検出されたスピーカ歪み特性に基づいて前記共振帯域が検出される、
    請求項8又は請求項9に記載の音響処理方法。
  11. 前記測定信号は、
    所定のTSP信号を含み、
    前記解析ステップにて、
    前記TSP信号のリファレンスと該TSP信号の測定結果とを用いて聴取環境のインパルス応答が計算され、計算されたインパルス応答に基づいて該測定結果が解析される、
    請求項8から請求項10の何れか一項に記載の音響処理方法。
  12. 前記制御パラメータは、
    前記共振帯域のゲインを制御する制御ゲインと、該共振帯域の残響時間を制御する制御時間を含む、
    請求項8から請求項11の何れか一項に記載の音響処理方法。
  13. 前記共振帯域検出ステップにて、
    前記各入力レベルについて、前記スイープ信号のリファレンスと該スイープ信号の測定結果とを用いたスピーカ歪み特性の検出が行われ、
    前記制御パラメータ生成ステップにて、
    各前記共振帯域について、
    前記各入力レベルのスピーカ歪み特性に基づいて所定の基準入力レベルが設定され、
    前記測定信号の入力レベルでのスピーカ応答特性の減衰傾きと、前記基準入力レベルでのスピーカ応答特性の減衰傾きとの比率に基づいて前記制御ゲインが計算される、
    請求項10を引用する請求項12に記載の音響処理方法。
  14. 前記制御パラメータ生成ステップにて、
    各前記共振帯域について、
    前記測定信号の入力レベルでの残響時間と、前記基準入力レベルでの残響時間との比率に基づいて前記制御時間が計算される、
    請求項13に記載の音響処理方法。
  15. 請求項8から請求項14の何れか一項に記載の音響処理方法をコンピュータに実行させるための音響処理プログラム。
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