JP2015153820A - Cmp用研磨液、貯蔵液及び研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨できるCMP用研磨液を提供すること。
【解決手段】アルミニウム系材料を含む基体を研磨するためのCMP用研磨液であって、砥粒と、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種と、液状媒体と、を含む、CMP用研磨液。
【選択図】なし
【解決手段】アルミニウム系材料を含む基体を研磨するためのCMP用研磨液であって、砥粒と、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種と、液状媒体と、を含む、CMP用研磨液。
【選択図】なし
Description
本発明は、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing。以下、「CMP」と記す。)に使用するためのCMP用研磨液、当該CMP研磨液を得るための貯蔵液、及び、これらを使用する研磨方法に関する。
鉄道車両、航空機部品、自動車部品、電子機器筐体等の材質としては、耐食性、強度等に優れるという理由から、鉄と他の金属(クロム、ニッケル等)との合金であるステンレス鋼が用いられることが多い。しかしながら、ステンレス鋼の密度は例えば7.64〜8.06g/cm3程度であり、ステンレス鋼では、近年の材料の軽量化への要求に対応するには限界がある。
そのため、密度が例えば2.64〜2.82g/cm3程度(ステンレス鋼の約1/3)であるアルミニウム系材料が、代替材質として注目されている。アルミニウム系材料としては、純アルミニウム(1000系)、Al−Cu(2000系)、Al−Mn(3000系)、Al−Si(4000系)、Al−Mg(5000系)、Al−Mg−Si(6000系)、Al−Zn−Mg(7000系)等が知られている。
前記アルミニウム系材料のうち、純アルミニウム(1000系)の強度はやや低めであるが、アルミニウム合金は、ステンレス鋼と同様に耐食性、強度等に優れることに加え、加工性等にも優れる。また、ステンレス鋼を用いた材料のほとんどが、クロムに由来するやや黒味がかった銀色を呈しているのに対し、アルミニウム系材料は、白銀色とすることが可能であり、見た目にも明るく美しくできる。
前記のような美しい白銀色を得るために、アルミニウム系材料の表面を充分に平滑化することが求められる場合がある。アルミニウム系材料を平滑化するための研磨方法としては、機械的研磨と化学的研磨とが挙げられる。
機械的研磨によって仕上げたアルミニウム系材料の表面形態としては、アルミニウムの特徴の一つである金属光沢が消失しているもの(例えば、方向性のない模様があるもの、方向性のある筋模様があるもの)が多い。また、比較的平滑化が可能なバフ研磨を用いた場合であっても、充分に平滑な表面が得られるとはいえない。機械的研磨の中には、ある程度の金属光沢を得られる方法があるが、機械的研磨で得られる光沢には限界がある。このように、アルミニウム系材料の研磨において充分に平滑な表面が求められる場合、従来の機械的研磨ではその要求を満たすことが難しい。
一方、平滑なアルミニウム系材料の表面を得る場合には、化学的研磨が用いられることがある。化学的研磨のみによる平滑化処理は工程に時間がかかるため、前記機械的研磨による処理を施した表面に、再度、化学的研磨による処理を施すことがある。
化学的研磨方法としては、リン酸と硝酸を主成分とした浴液を加熱し、そこへアルミニウムを浸漬する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、硝酸に代えて、リン酸と硫酸を用いる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。これらの研磨は、単に、アルミニウム系材料の表面を溶解させ、化学的な作用のみで表面の凸部を除去して平滑化するものである。
このように、従来、充分に平滑なアルミニウム系材料の表面を得るためには、機械的研磨と化学的研磨との2ステップでの研磨が必要とされることが多く、作業効率が低下し、コストの増大が避けられないという問題があり、また、高濃度の酸を高温で用いることが必要となるため、プロセス管理が難しいという問題がある。
近年、アルミニウム系材料をCMPにより研磨することも検討されている。アルミニウム系材料を研磨するためのCMP用研磨液(以下、「研磨液」と記す場合もある。)はいくつか知られているが(例えば、特許文献3参照)、その種類は豊富とはいえない。
ここで、CMPとは、機械的作用と化学的作用の両方を利用した研磨のことである。具体的には、化学的な作用でアルミニウム系材料を軟化又は溶解させながら、同時に、アルミニウム系材料と砥粒との摩擦による機械的な作用でアルミニウム系材料の表面の凸部を除去して平滑化する。
しかしながら、CMPによる表面粗さの低減及び作業効率の向上は、未だ充分であるとはいえないのが現状である。
本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨できるCMP用研磨液、及び当該研磨液を得るための貯蔵液を提供することを目的とする。また、本発明は、アルミニウム系材料を含む基体を、平滑且つ高速に、簡便に研磨できる研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、CMP用研磨液が、砥粒と、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種とを含むことにより、アルミニウム系材料の研磨後の平滑性が向上し(すなわち、表面粗さが低減し)、且つ、研磨速度が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の実施形態に係るCMP用研磨液は、アルミニウム系材料を含む基体を研磨するためのCMP用研磨液であって、砥粒と、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種と、液状媒体と、を含む。
前記CMP用研磨液のpHは、7.5〜11.5であることが好ましい。
また、前記CMP用研磨液は、酸化剤を更に含むことが好ましい。
前記CMP用研磨液において、前記1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の含有量は、前記CMP用研磨液の全質量を基準として、0.010〜1.0質量%であることが好ましい。
また、前記CMP用研磨液において、前記砥粒の円形度は、0.95以下が好ましい。
更に、前記CMP用研磨液において、前記砥粒の真球度は、0.30以上0.95以下が好ましい。
前記CMP用研磨液は、平均表面粗さ(Ra)が10.0nm以上である基体を、平均表面粗さ(Ra)が6.0nm未満となるように研磨するために用いられてもよい。
また、本発明の実施形態に係る貯蔵液は、前記CMP用研磨液を得るための貯蔵液であって、当該貯蔵液を液状媒体で希釈することにより前記CMP用研磨液が得られる。
更に、本発明の実施形態に係る研磨方法は、前記CMP用研磨液を用いて、アルミニウム系材料を含む基体を研磨する工程を備える。
また、本発明の実施形態に係る研磨方法は、前記貯蔵液を液状媒体で希釈することにより得られるCMP用研磨液を用いて、アルミニウム系材料を含む基体を研磨する工程を備える。
前記研磨方法において、基体の研磨前における平均表面粗さ(Ra)が10.0nm以上であり、基体の研磨後における平均表面粗さ(Ra)が6.0nm未満であってもよい。
本発明の実施形態によれば、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨できるCMP用研磨液、及び当該研磨液を得るための貯蔵液を提供できる。また、本発明の実施形態によれば、アルミニウム系材料を含む基体を、平滑且つ高速に、簡便に研磨できる研磨方法を提供できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[CMP用研磨液]
本実施形態に係るCMP用研磨液(アルミニウム用研磨液)は、アルミニウム系材料を含む基体を研磨するための研磨液である。本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒と、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、「HEDP又はその塩」と記す場合もある。)と、液状媒体と、を含むことを特徴とする。
本実施形態に係るCMP用研磨液(アルミニウム用研磨液)は、アルミニウム系材料を含む基体を研磨するための研磨液である。本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒と、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、「HEDP又はその塩」と記す場合もある。)と、液状媒体と、を含むことを特徴とする。
本発明者らは、砥粒と併用することにより平滑性と研磨速度とを向上させる化学成分を検討するにあたり、アルミニウム系材料の表面と何らかの相互作用をすることが第一条件として望まれると考えた。相互作用をする化学成分の一つとして、アルミニウムを含む金属材に対して防錆作用を示す成分が知られている。しかし、従来の考えに従えば、防錆とは表面を保護して腐食を防ぐことであるため、防錆作用を示す化学成分(防錆剤)の使用により、金属材表面に保護層が形成され、研磨速度は低下することになる。これに対し、本発明者らは、防錆作用を示す化学成分は、一般的に、空気中又は液中に静置した状況下での使用が想定されているために表面の保護層が保たれるのであって、もし相互作用によって生成する金属材表面の保護層が、研磨時の機械的な力が加わった状況下で脆弱な性質を示すのであれば、平滑性及び研磨速度が向上する可能性があると考えた。本実施形態に係るCMP用研磨液は、この着想に基づき、防錆作用を示す化学成分を検討することによって得られたものである。
防錆作用を示す化学成分としては、種々の無機酸、有機酸、アミン等が知られている(例えば、特許第4149708号公報、特開2001−31966号公報、国際公開2007/037045号、及び特開昭61-147887号公報参照)。本発明者らは、これらの種々の成分をCMP用研磨液に添加し、表面粗さ及び研磨速度を評価した結果、HEDP又はその塩を添加した場合に、良好な平滑性と共に高い研磨速度が得られることを見出した。
一般的には、どのような砥粒を用いたとしても、良好な平滑性を有しながら研磨速度を高くすること、すなわち、良好な平滑性と高い研磨速度との両立が難しいというトレードオフの問題があることが知られている。例えば、研磨速度を大きくするために砥粒の粒径を大きくすると、表面粗さが悪化してしまう傾向があり、逆に、砥粒の粒径を小さくすると、表面粗さが小さくなるものの研磨速度が低下してしまう傾向がある。これに対し、HEDP又はその塩によれば、その両立が可能となる。研磨速度が高くなることにより、全体の作業時間が短くなる(スループットが向上し、コストが低下する)という効果も得られる。
また、従来のCMP用研磨液は、多くが純アルミニウムのみを研磨対象とし、アルミニウム合金を研磨対象としておらず、アルミニウム合金の研磨に適したCMP用研磨液は知られていなかった。HEDP又はその塩によれば、アルミニウム合金を含む基体の研磨において、良好な平滑性が得られ、高い研磨速度が得られる。
その理由は定かではないが、HEDP又はその塩を用いることによって、アルミニウム合金の表面のうち、アルミニウム合金部分(固溶相)と、異種元素が多く含まれた部分(不純物析出相)とを、同等に研磨できるためであると推察される。
以下、CMP用研磨液に含まれる各成分について、説明する。
(砥粒)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒を含む。砥粒としては、フュームドシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ(酸化珪素);フュームドアルミナ、コロイダルアルミナ等のアルミナ(酸化アルミニウム);焼成セリア、コロイダルセリア等のセリア(酸化セリウム);ジルコニア(酸化ジルコニウム)などが挙げられる。中でも、アルミニウム系材料に対する表面の平滑化と、高い研磨速度との両立を図りやすい観点から、シリカが好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。また、CMP用研磨液は、一種又は二種以上の砥粒を含むことができる。二種以上の砥粒を用いる場合は、シリカを必須成分として用いることが好ましく、コロイダルシリカを必須成分として用いることがより好ましい。
(砥粒)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒を含む。砥粒としては、フュームドシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ(酸化珪素);フュームドアルミナ、コロイダルアルミナ等のアルミナ(酸化アルミニウム);焼成セリア、コロイダルセリア等のセリア(酸化セリウム);ジルコニア(酸化ジルコニウム)などが挙げられる。中でも、アルミニウム系材料に対する表面の平滑化と、高い研磨速度との両立を図りやすい観点から、シリカが好ましく、コロイダルシリカがより好ましい。また、CMP用研磨液は、一種又は二種以上の砥粒を含むことができる。二種以上の砥粒を用いる場合は、シリカを必須成分として用いることが好ましく、コロイダルシリカを必須成分として用いることがより好ましい。
{円形度}
砥粒の円形度は、0.95以下であることが好ましい。円形度が0.95以下であることにより、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨しやすくなり、充分に平滑な被研磨面を短時間で効率よく得やすくなる。同様の観点から、前記円形度は0.90以下がより好ましく、0.87以下が更に好ましい。また、前記円形度は、研磨速度が更に優れる観点から、0.85以下が好ましく、0.83以下がより好ましく、0.80以下が更に好ましい。砥粒の円形度の下限は、例えば0.10である。一実施形態において、砥粒の円形度は、好ましくは0.10〜0.95である。
砥粒の円形度は、0.95以下であることが好ましい。円形度が0.95以下であることにより、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨しやすくなり、充分に平滑な被研磨面を短時間で効率よく得やすくなる。同様の観点から、前記円形度は0.90以下がより好ましく、0.87以下が更に好ましい。また、前記円形度は、研磨速度が更に優れる観点から、0.85以下が好ましく、0.83以下がより好ましく、0.80以下が更に好ましい。砥粒の円形度の下限は、例えば0.10である。一実施形態において、砥粒の円形度は、好ましくは0.10〜0.95である。
本実施形態に係るCMP用研磨液では、円形度が0.95以下である少なくとも一種の砥粒を用いることが好ましい。円形度が0.95以下である砥粒のみが用いられてもよく、円形度が0.95以下である砥粒と、円形度が0.95を超える砥粒とが併用されていてもよい。併用する場合、円形度が0.95以下である砥粒の使用量は、砥粒の全質量を基準として、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が極めて好ましく、98質量%以上が非常に好ましい。一実施形態において、円形度が0.95以下である砥粒の使用量は、砥粒の全質量を基準として、好ましくは30〜100質量%である。
砥粒の円形度は、砥粒の粒子形状(すなわち、粒子表面の凹凸状態)を反映する指標である。円形度が1.00に近いほど、粒子投影図が、凹凸のない真円に近いことを意味する。
砥粒の円形度は、例えば、下記の手順により求めることができる。
・走査型電子顕微鏡により写真撮影し、複数の粒子が含まれる写真投影図(粒子投影図)を得る。
・写真投影図における任意の80個の粒子を選択する。
・写真投影図における粒子の周囲長Lに対する、写真投影図における粒子の面積に等しい面積を有する真円の周囲長(外周)L’の比(L’/L)を各粒子について求める(例えば、図1(a)に示す粒子1の周囲長Lに対する、粒子1の面積Sに等しい面積を有する図1(b)に示す真円1aの周囲長L’の比(L’/L)を求める)。
・80個の粒子の比L’/Lの平均値を「円形度」として算出する。
・走査型電子顕微鏡により写真撮影し、複数の粒子が含まれる写真投影図(粒子投影図)を得る。
・写真投影図における任意の80個の粒子を選択する。
・写真投影図における粒子の周囲長Lに対する、写真投影図における粒子の面積に等しい面積を有する真円の周囲長(外周)L’の比(L’/L)を各粒子について求める(例えば、図1(a)に示す粒子1の周囲長Lに対する、粒子1の面積Sに等しい面積を有する図1(b)に示す真円1aの周囲長L’の比(L’/L)を求める)。
・80個の粒子の比L’/Lの平均値を「円形度」として算出する。
砥粒の円形度が0.95以下であることにより、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨しやすくなる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、砥粒の円形度が0.95以下であると、粒子表面に凹凸が存在するようになり、表面が滑らかな真球状の粒子と比較して表面積が増加し、砥粒とアルミニウム系材料との接触面積が大きくなり、摩擦が生じやすくなるため、高い研磨速度が得られると推察される。同時に、アルミニウム系材料と砥粒との接触面積が大きくなると、真球状の砥粒と比較して、被研磨面の深さ方向ではなく、水平方向の研磨の進行が速くなると推察される。これにより、被研磨面の凹凸のうち、凸部の研磨速度が選択的に速くなり、平滑性が向上すると推察される。
{真球度}
砥粒の真球度は、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨しやすくなる観点から、0.30以上が好ましく、0.35以上がより好ましく、0.40以上が更に好ましく、0.45以上が特に好ましく、0.50以上が極めて好ましい。砥粒の真球度は、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨しやすくなる観点から、0.95以下が好ましい。前記真球度は、研磨速度が更に優れる観点から、0.90以下がより好ましく、0.85以下が更に好ましく、0.80以下が特に好ましい。真球度が0.30未満の場合は、砥粒が細長い形状となる。真球度が0.95を超える場合は、砥粒が真球に近い状態となる。なお、円形度が0.95以下である砥粒と、円形度が0.95を超える砥粒とを併用する場合、円形度が0.95以下である砥粒が、前記真球度を有することが好ましい。一実施形態において、砥粒の真球度は、好ましくは0.30〜0.95である。
砥粒の真球度は、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨しやすくなる観点から、0.30以上が好ましく、0.35以上がより好ましく、0.40以上が更に好ましく、0.45以上が特に好ましく、0.50以上が極めて好ましい。砥粒の真球度は、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨しやすくなる観点から、0.95以下が好ましい。前記真球度は、研磨速度が更に優れる観点から、0.90以下がより好ましく、0.85以下が更に好ましく、0.80以下が特に好ましい。真球度が0.30未満の場合は、砥粒が細長い形状となる。真球度が0.95を超える場合は、砥粒が真球に近い状態となる。なお、円形度が0.95以下である砥粒と、円形度が0.95を超える砥粒とを併用する場合、円形度が0.95以下である砥粒が、前記真球度を有することが好ましい。一実施形態において、砥粒の真球度は、好ましくは0.30〜0.95である。
砥粒の真球度は、走査型電子顕微鏡により砥粒を写真撮影して得られる写真投影図において、粒子の長径に対する、当該長径に直交する短径の長さの比(短径の長さ/長径の長さ)の平均値を意味する。砥粒の真球度は、例えば、下記の手順により求めることができる。
・走査型電子顕微鏡により写真撮影し、複数の粒子が含まれる写真投影図(粒子投影図)を得る。
・写真投影図における任意の80個の粒子を選択する。
・選択した粒子が例えば図2に示すような形状であった場合、粒子1に外接する長方形(外接長方形)2を、当該長方形2の長辺の長さDLが最も長くなるように導く。
・粒子1について、長方形2の長辺の長さDLを粒子の長径、及び、短辺の長さDSを粒子の短径であると定義し、長さDLに対する長さDSの比(DS/DL)を求める。
・他の粒子についても、図2に示す形状を有する粒子と同様の方法で、比(DS/DL)を求める。
・80個の粒子の比DS/DLの平均値を「真球度」として算出する。
・走査型電子顕微鏡により写真撮影し、複数の粒子が含まれる写真投影図(粒子投影図)を得る。
・写真投影図における任意の80個の粒子を選択する。
・選択した粒子が例えば図2に示すような形状であった場合、粒子1に外接する長方形(外接長方形)2を、当該長方形2の長辺の長さDLが最も長くなるように導く。
・粒子1について、長方形2の長辺の長さDLを粒子の長径、及び、短辺の長さDSを粒子の短径であると定義し、長さDLに対する長さDSの比(DS/DL)を求める。
・他の粒子についても、図2に示す形状を有する粒子と同様の方法で、比(DS/DL)を求める。
・80個の粒子の比DS/DLの平均値を「真球度」として算出する。
砥粒の真球度が0.30以上0.95以下であることにより、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨しやすくなる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、砥粒の真球度が0.95以下であると、被研磨面に接触する砥粒の表面積が充分に確保されるため、被研磨面及び砥粒の摩擦が生じやすくなって研磨速度が向上すると推察される。また、砥粒の真球度が0.30以上であると、粒子形状が棒状に近くなる真球度が0.30未満の場合と比較して、砥粒の運動方向の制限が抑制されるため研磨速度が向上すると推察される。
{一次粒径}
砥粒の一次粒径は、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨しやすくなる観点から、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上が更に好ましく、20nm以上が特に好ましい。砥粒の一次粒径は、表面平滑性が効率よく向上する観点から、150nm以下が好ましく、120nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、80nm以下が特に好ましく、60nm以下が極めて好ましい。一実施形態において、砥粒の一次粒径は、好ましくは5〜150nmである。
砥粒の一次粒径は、アルミニウム系材料を含む基体を平滑且つ高速に研磨しやすくなる観点から、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上が更に好ましく、20nm以上が特に好ましい。砥粒の一次粒径は、表面平滑性が効率よく向上する観点から、150nm以下が好ましく、120nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、80nm以下が特に好ましく、60nm以下が極めて好ましい。一実施形態において、砥粒の一次粒径は、好ましくは5〜150nmである。
砥粒の一次粒径は、走査型電子顕微鏡により砥粒を写真撮影して得られる写真投影図において、粒子の長径と、当該長径に直交する短径の長さとの積の平方根(二軸平均粒径)の平均値を意味する。砥粒の一次粒径は、例えば、下記の手順により求めることができる。
・走査型電子顕微鏡により写真撮影し、複数の粒子が含まれる写真投影図(粒子投影図)を得る。
・写真投影図における任意の80個の粒子を選択する。
・選択した粒子が例えば図2に示すような形状であった場合、粒子1に外接する長方形(外接長方形)2を、当該長方形2の長辺の長さDLが最も長くなるように導く。
・粒子1について、長方形2の長辺の長さDLを粒径の長径、及び、短辺の長さDSを粒子の短径であると定義し、二軸平均粒径(√(DL×DS))を求める。
・他の粒子についても、図2に示す形状を有する粒子と同様の方法で、二軸平均粒径(√(DL×DS))を求める。
・80個の粒子の二軸平均粒径の平均値を「一次粒径」として算出する。
・走査型電子顕微鏡により写真撮影し、複数の粒子が含まれる写真投影図(粒子投影図)を得る。
・写真投影図における任意の80個の粒子を選択する。
・選択した粒子が例えば図2に示すような形状であった場合、粒子1に外接する長方形(外接長方形)2を、当該長方形2の長辺の長さDLが最も長くなるように導く。
・粒子1について、長方形2の長辺の長さDLを粒径の長径、及び、短辺の長さDSを粒子の短径であると定義し、二軸平均粒径(√(DL×DS))を求める。
・他の粒子についても、図2に示す形状を有する粒子と同様の方法で、二軸平均粒径(√(DL×DS))を求める。
・80個の粒子の二軸平均粒径の平均値を「一次粒径」として算出する。
CMP用研磨液における砥粒の含有量は、研磨液が砥粒を含まない場合の研磨速度に対して充分に有意差がある研磨速度を達成しやすい観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、1.0質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましく、5.0質量%以上が更に好ましく、7.0質量%以上が特に好ましく、10質量%以上が極めて好ましい。CMP用研磨液における砥粒の含有量は、含有量に応じた研磨速度の向上効果が得られやすい観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、17.5質量%以下が特に好ましい。また、良好な平滑性を効率よく得る観点からも上記の砥粒の含有量が好ましい。一実施形態において、砥粒の含有量は、CMP用研磨液の全質量を基準として、好ましくは1.0〜30質量%である。
(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)及びその塩)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する。これにより、アルミニウム系材料を含む基体の表面の平滑性及び研磨速度が向上する。HEDPの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられ、具体的には、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸テトラナトリウム、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸テトラカリウム、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸ジカルシウム等が挙げられる。なお、前記塩は部分塩であってもよい。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する。これにより、アルミニウム系材料を含む基体の表面の平滑性及び研磨速度が向上する。HEDPの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられ、具体的には、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸テトラナトリウム、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸テトラカリウム、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸ジカルシウム等が挙げられる。なお、前記塩は部分塩であってもよい。
CMP用研磨液がHEDP又はその塩を含有することによりアルミニウム系材料を含む基体の表面の平滑性が向上する理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、HEDP又はその塩がアルミニウム系材料の表面に結合し保護層が形成される。この時、凸部に結合したHEDP又はその塩は、研磨パッド(研磨布)により負荷される荷重によって除去される。一方、凹部に結合したHEDP又はその塩は除去されず、凹部は保護され続ける。これらにより、凹凸が効果的に解消されると推察される。
HEDP又はその塩の含有量(HEDPとその塩とを用いる場合は、これらを合計した含有量)は、アルミニウム系材料(特にアルミニウム合金)の凹凸を更に効果的に解消し、また、研磨速度を更に向上させる観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、0.010質量%以上が好ましく、0.030質量%以上がより好ましく、0.050質量%以上が更に好ましく、0.070質量%以上が特に好ましい。HEDP又はその塩の含有量(HEDPとその塩とを用いる場合は、これらを合計した含有量)は、含有量に応じた効果が得られやすい観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、1.0質量%以下が好ましく、0.80質量%以下がより好ましく、0.50質量%以下が更に好ましく、0.30質量%以下が特に好ましい。一実施形態において、HEDP又はその塩の含有量は、CMP用研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.010〜1.0質量%である。
(酸化剤)
本実施形態に係るCMP用研磨液は酸化剤を含むことが好ましい。これにより、例えばAl−Mg−Si系合金(6000系合金)の一種であるA6063合金等のアルミニウム合金を研磨した際、凹凸が生じることを抑制できる傾向がある。酸化剤を用いない研磨液を用いた場合、この凹凸は、アルミニウム系材料の表面において、周辺のアルミニウム合金部分(固溶相)に比べ、Mg、Si、Fe等の元素が多く含まれた部分(不純物析出相)の研磨速度が遅い傾向があるために生じると考えられる。一方、酸化剤を用いた研磨液では、研磨後に凹凸の小さな表面が得られ、アルミニウム系材料の研磨速度も向上する傾向がある。この理由は定かではないが、アルミニウム系材料の表面における固溶相と不純物析出相の両方に酸化剤が同程度に作用するためと推察される。CMP用研磨液が酸化剤を含むことによって、更に研磨後の平滑性を向上させ、高い研磨速度が得られる。
本実施形態に係るCMP用研磨液は酸化剤を含むことが好ましい。これにより、例えばAl−Mg−Si系合金(6000系合金)の一種であるA6063合金等のアルミニウム合金を研磨した際、凹凸が生じることを抑制できる傾向がある。酸化剤を用いない研磨液を用いた場合、この凹凸は、アルミニウム系材料の表面において、周辺のアルミニウム合金部分(固溶相)に比べ、Mg、Si、Fe等の元素が多く含まれた部分(不純物析出相)の研磨速度が遅い傾向があるために生じると考えられる。一方、酸化剤を用いた研磨液では、研磨後に凹凸の小さな表面が得られ、アルミニウム系材料の研磨速度も向上する傾向がある。この理由は定かではないが、アルミニウム系材料の表面における固溶相と不純物析出相の両方に酸化剤が同程度に作用するためと推察される。CMP用研磨液が酸化剤を含むことによって、更に研磨後の平滑性を向上させ、高い研磨速度が得られる。
酸化剤としては、過酸化水素、過硫酸塩(例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウム)、硝酸、過ヨウ素酸塩(例えば過ヨウ素酸アンモニウム、過ヨウ素酸ナトリウム及び過ヨウ素酸カリウム)、次亜塩素酸、オゾン等が挙げられ、中でも、過酸化水素が好ましい。これらは水溶液として用いることができる。酸化剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。過酸化水素は、通常、過酸化水素水として入手できるため、他の成分の希釈液として使用できる。
酸化剤の含有量は、アルミニウム系材料(例えばアルミニウム合金)の表面の凹凸を更に効果的に解消する観点、及び、アルミニウム系材料(例えばアルミニウム合金)を充分に酸化し、研磨速度を向上させる観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、0.010質量%以上が好ましく、0.020質量%以上がより好ましく、0.050質量%以上が更に好ましい。酸化剤の含有量は、研磨速度が更に優れる観点から、CMP用研磨液の全質量を基準として、0.10質量%以上が好ましく、0.20質量%以上がより好ましく、0.25質量%以上が更に好ましい。酸化剤の含有量は、被研磨面に荒れ又は研磨傷が生じることを防ぐ観点から、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下が更に好ましく、3.0質量%以下が特に好ましく、1.0質量%以下が極めて好ましい。なお、酸化剤として酸化剤の水溶液(例えば、過酸化水素水)を使用する場合、CMP用研磨液において酸化剤(例えば、過酸化水素)が最終的に前記範囲になるように換算して酸化剤の水溶液を配合する。一実施形態において、酸化剤の含有量は、好ましくは0.010〜30質量%である。
(液状媒体)
本実施形態に係るCMP用研磨液における液状媒体は、特に制限はないが、脱イオン水、超純水等の水が好ましい。液状媒体の含有量は、他の構成成分の含有量を除いた研磨液の残部でよく、特に限定されない。
本実施形態に係るCMP用研磨液における液状媒体は、特に制限はないが、脱イオン水、超純水等の水が好ましい。液状媒体の含有量は、他の構成成分の含有量を除いた研磨液の残部でよく、特に限定されない。
(任意成分)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、界面活性剤等の任意の成分を更に含有できる。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、界面活性剤等の任意の成分を更に含有できる。
(pH)
本実施形態に係るCMP用研磨液のpHは、7.0〜12.0であることが好ましく、7.5〜11.5であることがより好ましい。なお、pHは液温25℃におけるpHと定義する。pHが7.5以上であることにより、アルミニウム系材料を含む基体の表面の平滑性を更に向上させることができる傾向がある。同様の観点から、pHは、8.0以上が好ましく、8.5以上がより好ましく、9.0以上が更に好ましい。pHが11.5以下であると、アルミニウム系材料の基体が腐食して表面粗さが増大することを抑制できる傾向がある。同様の観点から、pHは、11.0以下が好ましく、10.5以下がより好ましく、10.3以下が更に好ましい。
本実施形態に係るCMP用研磨液のpHは、7.0〜12.0であることが好ましく、7.5〜11.5であることがより好ましい。なお、pHは液温25℃におけるpHと定義する。pHが7.5以上であることにより、アルミニウム系材料を含む基体の表面の平滑性を更に向上させることができる傾向がある。同様の観点から、pHは、8.0以上が好ましく、8.5以上がより好ましく、9.0以上が更に好ましい。pHが11.5以下であると、アルミニウム系材料の基体が腐食して表面粗さが増大することを抑制できる傾向がある。同様の観点から、pHは、11.0以下が好ましく、10.5以下がより好ましく、10.3以下が更に好ましい。
CMP用研磨液のpHは、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の酸成分;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、イミダゾール等のアルカリ成分などによって調整できる。また、pHを安定化させるため、CMP用研磨液に緩衝液を添加してもよい。このような緩衝液としては、例えば、酢酸塩緩衝液及びフタル酸塩緩衝液が挙げられる。
CMP用研磨液のpHは、pHメーター(例えば、電気化学計器株式会社製「PHL−40」)で測定できる。pHの測定値としては、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液 pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、ホウ酸塩pH緩衝液 pH:9.18(25℃))を用いて、3点校正した後、電極をCMP用研磨液に入れて、2分以上経過して安定した後の値を採用できる。
(アルミニウム系材料を含む基体)
本実施形態に係るCMP用研磨液は、少なくともアルミニウム系材料を含む基体のCMPに適している。アルミニウム系材料としては、純アルミニウム(1000系);Al−Cu(2000系)、Al−Mn(3000系)、Al−Si(4000系)、Al−Mg(5000系)、Al−Mg−Si(6000系)、Al−Zn−Mg(7000系)等のアルミニウム合金などが挙げられる。なお、純アルミニウムとは、意図的に異種元素を添加していないアルミニウムをいう。これらのアルミニウム系材料の名称は、日本工業規格(JIS)又は国際アルミニウム合金名に準じるものである。
本実施形態に係るCMP用研磨液は、少なくともアルミニウム系材料を含む基体のCMPに適している。アルミニウム系材料としては、純アルミニウム(1000系);Al−Cu(2000系)、Al−Mn(3000系)、Al−Si(4000系)、Al−Mg(5000系)、Al−Mg−Si(6000系)、Al−Zn−Mg(7000系)等のアルミニウム合金などが挙げられる。なお、純アルミニウムとは、意図的に異種元素を添加していないアルミニウムをいう。これらのアルミニウム系材料の名称は、日本工業規格(JIS)又は国際アルミニウム合金名に準じるものである。
また、本実施形態に係るCMP用研磨液は、純アルミニウムよりも硬い部分を有するアルミニウム合金の研磨に適している。純アルミニウムよりも硬い部分を有するアルミニウム合金の具体例としては、Al−Cu(2000系)、Al−Mn(3000系)、Al−Si(4000系)、Al−Mg(5000系)、Al−Mg−Si(6000系)、Al−Zn−Mg(7000系)等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態に係るCMP用研磨液の特性を活かしやすい観点から、Al−Mg−Si(A6063系)又はAl−Mg(A5052)が好ましい。
アルミニウム系材料を含む基体としては、特に制限はないが、半導体基板等の基板、航空機部品、自動車部品等の部品、鉄道車両等の車両、電子機器、携帯型電子機器等の筐体などが挙げられる。本実施形態に係るCMP用研磨液を用いた研磨によれば、前記アルミニウム系材料(例えばアルミニウム合金)を含む基体の表面を充分に平滑に研磨できる。このような研磨によって、美しい白銀色を呈する基体の表面が得られる。また、表面に塗装等の着色処理を行った場合も、美しい外観となる。従って、本実施形態に係るCMP用研磨液は、美しい外観が要求される基体(例えば筐体)の研磨に特に好適である。本実施形態に係るCMP用研磨液は、例えば、研磨前における平均表面粗さ(Ra)が10.0nm以上である基体を、研磨後における平均表面粗さ(Ra)が6.0nm未満となるように研磨するために用いられてもよく、平均表面粗さ(Ra)が5.0nm未満となるように研磨するために用いられてもよく、平均表面粗さ(Ra)が4.5nm未満となるように研磨するために用いられてもよい。基体の平均表面粗さ(Ra)は、平滑な表面を得やすくなる観点から、研磨前において50.0nm以下が好ましく、30.0nm以下がより好ましく、20.0nm以下が更に好ましい。
基体の平均表面粗さ(Ra)は、JIS B 0601:2001に準拠して評価できる。測定には、非接触表面形状測定機を用いることができ、非接触表面形状測定機として、走査型白色干渉法を利用したZygo社製「NewView7200」等が挙げられる。光源には、白色LED等を用いることができ、例えば、測定範囲0.70mm×0.53mm、対物レンズ×10(10倍)のモードで基体中央の平均表面粗さ(Ra)を3点測定し、得られた値の平均値を採用することができる。
[貯蔵液]
本発明の実施形態に係る貯蔵液は、前記実施形態に係るCMP用研磨液を得るための貯蔵液であり、液状媒体で希釈する(例えば、質量基準で2倍以上に希釈する)ことにより前記実施形態に係るCMP用研磨液が得られる。CMP用研磨液は、貯蔵、運搬、保管等に係るコストを抑制する観点から、使用時に水等の液状媒体で希釈されて使用される貯蔵液として保管できる。本実施形態では、研磨の直前に液状媒体で貯蔵液を希釈してCMP用研磨液を調製してもよい。また、プラテン(研磨定盤)上に貯蔵液と液状媒体を供給し、プラテン上でCMP用研磨液を調製してもよい。
本発明の実施形態に係る貯蔵液は、前記実施形態に係るCMP用研磨液を得るための貯蔵液であり、液状媒体で希釈する(例えば、質量基準で2倍以上に希釈する)ことにより前記実施形態に係るCMP用研磨液が得られる。CMP用研磨液は、貯蔵、運搬、保管等に係るコストを抑制する観点から、使用時に水等の液状媒体で希釈されて使用される貯蔵液として保管できる。本実施形態では、研磨の直前に液状媒体で貯蔵液を希釈してCMP用研磨液を調製してもよい。また、プラテン(研磨定盤)上に貯蔵液と液状媒体を供給し、プラテン上でCMP用研磨液を調製してもよい。
貯蔵液の希釈倍率(質量基準)の下限としては、倍率が高いほど貯蔵、運搬、保管等に係るコストの抑制効果が高い観点から、2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。また、希釈倍率の上限としては、特に制限はないが、10倍以下が好ましく、7倍以下がより好ましく、5倍以下が更に好ましい。このような希釈倍率の上限値である場合、貯蔵液に含まれる成分の含有量が高くなり過ぎることが抑制され、保管中の貯蔵液の安定性を維持しやすい傾向がある。なお、希釈倍率がd倍であるとき、貯蔵液中の各成分の含有量は、CMP用研磨液中の各成分の含有量のd倍である。
[研磨方法]
本発明の実施形態に係る研磨方法は、前記実施形態に係るCMP用研磨液を用いて、アルミニウム系材料を含む基体を研磨する研磨工程を備えていてもよく、前記実施形態に係る貯蔵液を液状媒体で希釈する(例えば質量基準で2倍以上に希釈する)ことにより得られるCMP用研磨液を用いて、アルミニウム系材料を含む基体を研磨する研磨工程を備えていてもよい。前者の研磨方法によれば、アルミニウム系材料を含む基体を、平滑且つ高速に、簡便に研磨できる。また、後者の研磨方法によれば、CMP用研磨液の貯蔵、運搬、保管等に係るコストを抑制できるため総合的な製造コストを更に低減できると共に、アルミニウム系材料を含む基体を、平滑且つ高速に、簡便に研磨できる。
本発明の実施形態に係る研磨方法は、前記実施形態に係るCMP用研磨液を用いて、アルミニウム系材料を含む基体を研磨する研磨工程を備えていてもよく、前記実施形態に係る貯蔵液を液状媒体で希釈する(例えば質量基準で2倍以上に希釈する)ことにより得られるCMP用研磨液を用いて、アルミニウム系材料を含む基体を研磨する研磨工程を備えていてもよい。前者の研磨方法によれば、アルミニウム系材料を含む基体を、平滑且つ高速に、簡便に研磨できる。また、後者の研磨方法によれば、CMP用研磨液の貯蔵、運搬、保管等に係るコストを抑制できるため総合的な製造コストを更に低減できると共に、アルミニウム系材料を含む基体を、平滑且つ高速に、簡便に研磨できる。
研磨工程において、基体の研磨前における表面粗さ(Ra)は例えば10.0nm以上であり、基体の研磨後における表面粗さ(Ra)は例えば6.0nm未満である。すなわち、研磨工程は、例えば、CMP用研磨液を用いて、10.0nm以上の表面粗さ(Ra)を有する基体を研磨して、6.0nm未満の表面粗さ(Ra)を有する基体を得る工程であってもよく、5.0nm未満の表面粗さ(Ra)を有する基体を得る工程であってもよく、4.5nm未満の表面粗さ(Ra)を有する基体を得る工程であってもよい。基体の表面粗さ(Ra)は、平滑な表面を得やすくなる観点から、研磨前において50.0nm以下が好ましく、30.0nm以下がより好ましく、20.0nm以下が更に好ましい。
本実施形態に係る研磨方法では、公知の研磨装置を広く用いることができる。例えば、研磨装置としては、基体を保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けたプラテンとを有する一般的な研磨装置が挙げられる。プラテンには、例えば、プラテンの回転数を変更するためのモータ等が取り付けられていてもよい。
研磨パッドとしては、特に限定されないが、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等が挙げられる。これらの研磨パッドの表面には、CMP用研磨液が溜まるような溝が形成されていることが好ましい。基体の研磨条件に制限はないが、基体の飛び出しを防止しやすい観点から、プラテンの回転数は200min−1(rpm)以下であることが好ましい。研磨後の基体表面における傷の発生を抑制しやすい観点から、研磨荷重は34.5kPa(5psi)以下であることが好ましい。
本実施形態に係る研磨方法では、例えば、プラテンに貼り付けられた研磨パッドに、アルミニウム系材料を含む基体を押圧した状態で、CMP用研磨液を基体と研磨パッドとの間にポンプ等により供給すると共に、基体とプラテンとを相対的に動かす。これらの操作により、基体表面に対する化学機械研磨を行う。CMP用研磨液を研磨装置に供給する方法は、研磨の間、CMP用研磨液を研磨パッドに連続的に供給できる方法であることが好ましい。CMP用研磨液の供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常にCMP用研磨液で覆われていることが好ましい。貯蔵液と、水等の液状媒体とを基体と研磨パッドとの間に供給し、プラテン上で貯蔵液を希釈(例えば質量基準で2倍以上に希釈)しながら研磨を行ってもよい。
研磨終了後の基体は、水、エタノール、イソプロピルアルコール等で洗浄後、基体上に付着した液滴(例えば水滴)をスピンドライヤ等により払い落としてから乾燥させることが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<砥粒の一次粒径、円形度、真球度の測定>
以下の手順で、実施例で用いたコロイダルシリカA〜C(砥粒)を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製「S−4800型」)で観察し、一次粒径、円形度及び真球度を測定した。
以下の手順で、実施例で用いたコロイダルシリカA〜C(砥粒)を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製「S−4800型」)で観察し、一次粒径、円形度及び真球度を測定した。
まず、水と、水に分散させた測定対象の砥粒とを含む分散液を、適量、容器に量り取った。次に、シリコンウエハを2cm角に切って得られたチップを容器中の分散液に約30秒浸した。その後、純水の入った容器にチップを移して約30秒間すすぎを行い、チップを窒素ブロー乾燥した。その後、走査型電子顕微鏡観察用の試料台にチップを載せ、加速電圧10kVの条件で、20万倍にて粒子を観察すると共に投影画像を撮影した。
得られた投影画像から任意の80個の粒子を選択した。次に、粒子ごとに、上述の方法に従って、長方形の長辺の長さDL、及び、長辺に直交する短辺の長さDSに基づき、二軸平均粒径(√(DL×DS))を算出した。この作業を任意の80個の粒子に対して実施し、得られた値を平均して一次粒径を得た。
また、粒子ごとに、上述の方法に従って、面積S及び周囲長Lを測定し、周囲長L’を求め、周囲長Lに対する周囲長L’の比(L’/L)を算出した。この作業を任意の80個の粒子に対して実施し、得られた値を平均して円形度を得た。
更に、粒子ごとに、上述の方法に従って、長方形の長辺の長さDLに対する短辺の長さDSの比(DS/DL)を算出した。この作業を任意の80個の粒子について実施し、得られた値を平均して真球度を得た。
投影画像における粒子の前記面積S及び前記周囲長Lは、画像解析ソフト(アメリカ国立衛生研究所製「ImageJ」)を用いて測定した。
コロイダルシリカA〜Cの一次粒径、円形度及び真球度の測定結果は、表1及び表2に示すとおりであった。
<HEDPの影響>
(実施例1)
脱イオン水に、添加剤としてHEDPと、砥粒としてコロイダルシリカAとを添加した後、30質量%過酸化水素水を添加し、実施例1のCMP用研磨液1に対応する貯蔵液1を作製した。この貯蔵液1の調製工程では、HEDPの含有量が貯蔵液1の全質量を基準として0.20質量%であり、コロイダルシリカAの含有量が貯蔵液1の全質量を基準として30質量%であり、過酸化水素の含有量が貯蔵液1の全質量を基準として0.60質量%(30質量%過酸化水素水として2.0質量%)であるように、HEDP、コロイダルシリカA及び過酸化水素水を添加して貯蔵液1を調製した。
(実施例1)
脱イオン水に、添加剤としてHEDPと、砥粒としてコロイダルシリカAとを添加した後、30質量%過酸化水素水を添加し、実施例1のCMP用研磨液1に対応する貯蔵液1を作製した。この貯蔵液1の調製工程では、HEDPの含有量が貯蔵液1の全質量を基準として0.20質量%であり、コロイダルシリカAの含有量が貯蔵液1の全質量を基準として30質量%であり、過酸化水素の含有量が貯蔵液1の全質量を基準として0.60質量%(30質量%過酸化水素水として2.0質量%)であるように、HEDP、コロイダルシリカA及び過酸化水素水を添加して貯蔵液1を調製した。
貯蔵液1を水で2倍に希釈する(貯蔵液を、貯蔵液と同質量の脱イオン水と混合する)ことによってCMP用研磨液1を調製した。すなわち、研磨液1において、HEDPの含有量が貯蔵液1の全質量を基準として0.10質量%であり、コロイダルシリカAの含有量が研磨液1の全質量を基準として15質量%であり、過酸化水素の含有量が研磨液1の全質量を基準として0.30質量%であった。研磨液1のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。なお、pHの測定は、電気化学計器株式会社製「PHL−40」を用い、上述の方法に従って行った。
(比較例1)
比較例1では、添加剤を添加しないこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液1X及び研磨液1Xを作製した。研磨液1XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例2)
比較例2では、添加剤としてオルトリン酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液2X及び研磨液2Xを作製した。研磨液2XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例3)
比較例3では、添加剤としてピロリン酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液3X及び研磨液3Xを作製した。研磨液3XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例4)
比較例4では、添加剤として安息香酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液4X及び研磨液4Xを作製した。研磨液4XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例5)
比較例5では、添加剤として亜硝酸ナトリムを添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液5X及び研磨液5Xを作製した。研磨液5XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例6)
比較例6では、添加剤としてトルイル酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液6X及び研磨液6Xを作製した。研磨液6XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例7)
比較例7では、添加剤としてグルコン酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液7X及び研磨液7Xを作製した。研磨液7XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例8)
比較例8では、添加剤としてサリチル酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液8X及び研磨液8Xを作製した。研磨液8XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例9)
比較例9では、添加剤としてp−トルエンスルホン酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液9X及び研磨液9Xを作製した。研磨液9XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例10)
比較例10では、添加剤としてモルホリンを添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液10X及び研磨液10Xを作製した。研磨液10XのpHは硫酸で10.0に調整した。
(比較例11)
比較例11では、添加剤としてジシクロヘキシルアミンを添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液11X及び研磨液11Xを作製した。研磨液11XのpHは硫酸で10.0に調整した。
比較例1では、添加剤を添加しないこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液1X及び研磨液1Xを作製した。研磨液1XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例2)
比較例2では、添加剤としてオルトリン酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液2X及び研磨液2Xを作製した。研磨液2XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例3)
比較例3では、添加剤としてピロリン酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液3X及び研磨液3Xを作製した。研磨液3XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例4)
比較例4では、添加剤として安息香酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液4X及び研磨液4Xを作製した。研磨液4XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例5)
比較例5では、添加剤として亜硝酸ナトリムを添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液5X及び研磨液5Xを作製した。研磨液5XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例6)
比較例6では、添加剤としてトルイル酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液6X及び研磨液6Xを作製した。研磨液6XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例7)
比較例7では、添加剤としてグルコン酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液7X及び研磨液7Xを作製した。研磨液7XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例8)
比較例8では、添加剤としてサリチル酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液8X及び研磨液8Xを作製した。研磨液8XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例9)
比較例9では、添加剤としてp−トルエンスルホン酸を添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液9X及び研磨液9Xを作製した。研磨液9XのpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(比較例10)
比較例10では、添加剤としてモルホリンを添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液10X及び研磨液10Xを作製した。研磨液10XのpHは硫酸で10.0に調整した。
(比較例11)
比較例11では、添加剤としてジシクロヘキシルアミンを添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液11X及び研磨液11Xを作製した。研磨液11XのpHは硫酸で10.0に調整した。
以上の手順により、研磨液の全質量を基準としてコロイダルシリカA、添加剤、及び酸化剤を含む研磨液1及び研磨液2X〜11X、並びに添加剤を含まない研磨液1Xを作製した。表1に組成及びpHを示す。
[CMP方法及び研磨特性の評価方法]
以下の手順で、研磨装置を用いてCMP用研磨液による基体の化学機械研磨(CMP)及び評価を行った。
以下の手順で、研磨装置を用いてCMP用研磨液による基体の化学機械研磨(CMP)及び評価を行った。
プラテンに貼り付けられた研磨パッドに下記の基体を押圧した状態で、CMP用研磨液を基体と研磨パッドとの間にポンプにより供給しながら、プラテンを回転させた。これらの操作により、基体表面のCMPを行った。
研磨する基体としては、Al−Mg−Si系合金の板であるA6063を使用した。板のサイズは横30mm×縦30mm×厚さ5mmであった。CMP前の板の表面には傷(初期凹凸)があった。この初期凹凸に起因して板の表面は完全に曇っており、充分に物体を映し出すことができない状態であった。
研磨装置として、株式会社ナノファクター製「FACT−200」を用いた。研磨パッドとして、独立気泡を有する発泡ポリウレタン樹脂(フジボウ愛媛株式会社製)を用いた。研磨条件は以下の通りであった。
(研磨条件)
研磨圧力:9.0kPa(1.3psi)
プラテンの回転数:150min−1(rpm)
CMP用研磨液の流量(供給量):3mL/min
研磨時間:10min
研磨圧力:9.0kPa(1.3psi)
プラテンの回転数:150min−1(rpm)
CMP用研磨液の流量(供給量):3mL/min
研磨時間:10min
(基体表面の平均表面粗さ)
平均表面粗さ(Ra)をJIS B 0601:2001に準拠して評価した。各研磨液を用いたCMP後の各基体の平均表面粗さ(Ra)を、非接触表面形状測定機を用いて測定した。非接触表面形状測定機として、走査型白色干渉法を利用したZygo社製「NewView7200」を用い、対物レンズ×10(10倍)のモードで基体中央の粗さを3点測定し、得られた値の平均値を採用した。測定範囲は0.70mm×0.53mm、光源は白色LEDとした。なお、CMP前の基体の平均表面粗さ(Ra)は10.3nmであった。実施例1及び比較例1〜11についての評価結果を表1に示す。
平均表面粗さ(Ra)をJIS B 0601:2001に準拠して評価した。各研磨液を用いたCMP後の各基体の平均表面粗さ(Ra)を、非接触表面形状測定機を用いて測定した。非接触表面形状測定機として、走査型白色干渉法を利用したZygo社製「NewView7200」を用い、対物レンズ×10(10倍)のモードで基体中央の粗さを3点測定し、得られた値の平均値を採用した。測定範囲は0.70mm×0.53mm、光源は白色LEDとした。なお、CMP前の基体の平均表面粗さ(Ra)は10.3nmであった。実施例1及び比較例1〜11についての評価結果を表1に示す。
(研磨速度)
各研磨液を用いたCMP前後の基体の質量を測定することにより、研磨された質量を求めた。基体の被研磨面の面積と密度の値(基体を純アルミニウムと仮定し密度2.70g/cm3の値を使用)を用いて、研磨された質量を膜厚に換算し、研磨時間で除することにより研磨速度を算出した。実施例1及び比較例1〜11についての評価結果を表1に示す。
各研磨液を用いたCMP前後の基体の質量を測定することにより、研磨された質量を求めた。基体の被研磨面の面積と密度の値(基体を純アルミニウムと仮定し密度2.70g/cm3の値を使用)を用いて、研磨された質量を膜厚に換算し、研磨時間で除することにより研磨速度を算出した。実施例1及び比較例1〜11についての評価結果を表1に示す。
[評価結果]
表1から明らかなように、CMP用研磨液がHEDPを含む実施例1では、CMP用研磨液がHEDPを含まない比較例1及びHEDP以外の添加剤を含む比較例2〜11と比較して、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が良好であった。
表1から明らかなように、CMP用研磨液がHEDPを含む実施例1では、CMP用研磨液がHEDPを含まない比較例1及びHEDP以外の添加剤を含む比較例2〜11と比較して、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が良好であった。
<砥粒の影響>
(実施例2)
実施例2では、砥粒としてコロイダルシリカBを添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液2及び研磨液2を作製した。研磨液2のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(実施例3)
実施例3では、砥粒としてコロイダルシリカCを添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液3及び研磨液3を作製した。研磨液3のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(実施例2)
実施例2では、砥粒としてコロイダルシリカBを添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液2及び研磨液2を作製した。研磨液2のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(実施例3)
実施例3では、砥粒としてコロイダルシリカCを添加したこと以外は実施例1と同様に、貯蔵液3及び研磨液3を作製した。研磨液3のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
以上の手順により、砥粒、HEDP、及び酸化剤を含み、砥粒の種類が異なる研磨液2及び3を作製した。表2に組成及びpHを示す。
[CMP方法及び研磨特性の評価方法]
実施例2及び3について、実施例1と同様にCMPを行い、平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度を評価した。実施例1の結果と合わせて、評価結果を表2に示す。
実施例2及び3について、実施例1と同様にCMPを行い、平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度を評価した。実施例1の結果と合わせて、評価結果を表2に示す。
[評価結果]
表2から明らかなように、砥粒の円形度が0.95以下であるCMP用研磨液では、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が良好であった。また、砥粒の真球度が0.30以上0.95以下であるCMP用研磨液では、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が良好であった。
表2から明らかなように、砥粒の円形度が0.95以下であるCMP用研磨液では、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が良好であった。また、砥粒の真球度が0.30以上0.95以下であるCMP用研磨液では、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が良好であった。
<pHの影響>
(実施例4)
実施例4では、実施例3の貯蔵液3と同様に作製した貯蔵液4を水で2倍に希釈し、水酸化カリウムでpHを7.0に調整することにより研磨液4を作製した。
(実施例5)
実施例5では、実施例3の貯蔵液3と同様に作製した貯蔵液5を水で2倍に希釈し、水酸化カリウムでpHを12.0に調整することにより研磨液5を作製した。
(実施例4)
実施例4では、実施例3の貯蔵液3と同様に作製した貯蔵液4を水で2倍に希釈し、水酸化カリウムでpHを7.0に調整することにより研磨液4を作製した。
(実施例5)
実施例5では、実施例3の貯蔵液3と同様に作製した貯蔵液5を水で2倍に希釈し、水酸化カリウムでpHを12.0に調整することにより研磨液5を作製した。
以上の手順により、砥粒、HEDP、及び酸化剤を含み、pHが異なる研磨液4及び5を作製した。表3に組成及びpHを示す。
[CMP方法及び研磨特性の評価方法]
実施例4及び5について、実施例1と同様にCMPを行い、平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度を評価した。実施例3の結果と合わせて、評価結果を表3に示す。
実施例4及び5について、実施例1と同様にCMPを行い、平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度を評価した。実施例3の結果と合わせて、評価結果を表3に示す。
[評価結果]
表3から明らかなように、pHが7.0〜12.0の範囲にあるCMP用研磨液では、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が良好であった。また、pHが7.5〜11.5の範囲にあるCMP用研磨液では、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が更に良好であった。
表3から明らかなように、pHが7.0〜12.0の範囲にあるCMP用研磨液では、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が良好であった。また、pHが7.5〜11.5の範囲にあるCMP用研磨液では、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が更に良好であった。
<酸化剤の影響>
(実施例6)
実施例6では、過酸化水素の含有量が貯蔵液6の全質量を基準として0.10質量%(30質量%過酸化水素水として0.33質量%)であるように過酸化水素を添加したこと以外は実施例3と同様に、貯蔵液6及び研磨液6を作製した。研磨液6のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(実施例6)
実施例6では、過酸化水素の含有量が貯蔵液6の全質量を基準として0.10質量%(30質量%過酸化水素水として0.33質量%)であるように過酸化水素を添加したこと以外は実施例3と同様に、貯蔵液6及び研磨液6を作製した。研磨液6のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(実施例7)
実施例7では、過酸化水素の含有量が貯蔵液7の全質量を基準として1.5質量%(30質量%過酸化水素水として5.0質量%)であるように過酸化水素を添加したこと以外は実施例3と同様に、貯蔵液7及び研磨液7を作製した。研磨液7のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
実施例7では、過酸化水素の含有量が貯蔵液7の全質量を基準として1.5質量%(30質量%過酸化水素水として5.0質量%)であるように過酸化水素を添加したこと以外は実施例3と同様に、貯蔵液7及び研磨液7を作製した。研磨液7のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
(実施例8)
実施例8では、過酸化水素水を添加しなかったこと以外は、実施例3と同様の手順により貯蔵液8及び研磨液8を作製した。研磨液8のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
実施例8では、過酸化水素水を添加しなかったこと以外は、実施例3と同様の手順により貯蔵液8及び研磨液8を作製した。研磨液8のpHは水酸化カリウムで10.0に調整した。
以上の手順により、研磨液の全質量を基準として砥粒、HEDP、及び酸化剤0〜0.75質量%を含む研磨液6〜8を作製した。表4に組成及びpHを示す。
[CMP方法及び研磨特性の評価方法]
実施例6〜8について、実施例1と同様に平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度を評価した。実施例3の結果と合わせて、評価結果を表4に示す。
実施例6〜8について、実施例1と同様に平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度を評価した。実施例3の結果と合わせて、評価結果を表4に示す。
[評価結果]
表4から明らかなように、CMP用研磨液が砥粒及びHEDPを含有することで、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が良好であるという結果が得られ、また、CMP用研磨液が酸化剤を更に含有することで、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が更に良好であるという結果が得られた。
表4から明らかなように、CMP用研磨液が砥粒及びHEDPを含有することで、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が良好であるという結果が得られ、また、CMP用研磨液が酸化剤を更に含有することで、研磨後の基体の平均表面粗さ(Ra)及び研磨速度が更に良好であるという結果が得られた。
以上の結果より、本実施形態に係るCMP用研磨液は、アルミニウム系材料に異種元素が添加されている場合(本実施例ではMg(0.45〜0.90質量%)、Si(0.2〜0.60質量%))であっても、アルミニウム系材料を含む基体の表面を、平滑且つ高速に研磨できることが確認された。
本発明の実施形態に係るCMP用研磨液、貯蔵液及びこれらを用いた研磨方法は、半導体基板等の基板、航空機部品、自動車部品等の部品、鉄道車両等の車両、電子機器、携帯型電子機器等の筐体などのCMPに好適である。
1 粒子
1a 粒子1と同面積の真円
2 外接長方形
L 粒子1の周囲長
L’ 真円1aの周囲長
S 面積
DS 長辺
DL 短辺
1a 粒子1と同面積の真円
2 外接長方形
L 粒子1の周囲長
L’ 真円1aの周囲長
S 面積
DS 長辺
DL 短辺
Claims (11)
- アルミニウム系材料を含む基体を研磨するためのCMP用研磨液であって、砥粒と、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種と、液状媒体と、を含む、CMP用研磨液。
- pHが7.5〜11.5である、請求項1に記載のCMP用研磨液。
- 酸化剤を更に含む、請求項1又は2に記載のCMP用研磨液。
- 前記1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の含有量が、0.010〜1.0質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
- 前記砥粒の円形度が0.95以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
- 前記砥粒の真球度が0.30以上0.95以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
- 平均表面粗さ(Ra)が10.0nm以上である基体を、平均表面粗さ(Ra)が6.0nm未満となるように研磨するために用いられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のCMP用研磨液。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のCMP用研磨液を得るための貯蔵液であって、液状媒体で希釈することにより前記CMP用研磨液が得られる、貯蔵液。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のCMP用研磨液を用いて、アルミニウム系材料を含む基体を研磨する工程を備える、研磨方法。
- 請求項8に記載の貯蔵液を液状媒体で希釈することにより得られるCMP用研磨液を用いて、アルミニウム系材料を含む基体を研磨する工程を備える、研磨方法。
- 前記基体の研磨前における平均表面粗さ(Ra)が10.0nm以上であり、前記基体の研磨後における平均表面粗さ(Ra)が6.0nm未満である、請求項9又は10に記載の研磨方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014024463A JP2015153820A (ja) | 2014-02-12 | 2014-02-12 | Cmp用研磨液、貯蔵液及び研磨方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2015153820A true JP2015153820A (ja) | 2015-08-24 |
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Family Applications (1)
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-
2014
- 2014-02-12 JP JP2014024463A patent/JP2015153820A/ja active Pending
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