JP2015151489A - 塗料組成物、塗膜および塗膜付き光学物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無機酸化物微粒子、重合性有機ケイ素化合物、シアナミド骨格を有する硬化触媒および溶媒を含む塗料組成物であって、前記無機酸化物粒子として、平均粒子径が5〜50nmの範囲にあるシリカ系微粒子と、平均粒子径が5〜50nmの範囲にありTi、Zn、SnおよびZrから選ばれる1種または2種以上の金属成分を含むコアシェル型の結晶性無機酸化物微粒子とを、質量比([シリカ微粒子]/[結晶性無機酸化物微粒子])=0.4〜2.4の割合で含む塗料組成物。
【選択図】なし
Description
[1]
無機酸化物微粒子、重合性有機ケイ素化合物、シアナミド骨格を有する硬化触媒および溶媒を含む塗料組成物であって、
前記無機酸化物粒子として、平均粒子径が5〜50nmの範囲にあるシリカ系微粒子と、平均粒子径が5〜50nmの範囲にありTi、Zn、SnおよびZrから選ばれる1種または2種以上の金属成分を含むコアシェル型の結晶性無機酸化物微粒子とを、質量比([シリカ微粒子]/[結晶性無機酸化物微粒子])=0.4〜2.4の割合で含む
塗料組成物。
前記シリカ系微粒子が、ケイ素およびアルミニウムを酸化物換算のモル比(Al2O3/SiO2)で0.0001〜0.02の割合で含む複合酸化物からなる微粒子であるか、またはシリカからなる核粒子とこれを覆う前記複合酸化物からなる被覆層とを有するコアシェル型微粒子である、上記[1]に記載の塗料組成物。
前記結晶性無機酸化物微粒子が、Ti、Zn、SnおよびZrから選ばれる1種または2種以上の金属成分を含む結晶性無機酸化物からなる核粒子と、前記核粒子を覆う、前記核粒子とは異なる組成の被覆層とからなるコアシェル型微粒子である、上記[1]または[2]に記載の塗料組成物。
前記結晶性無機酸化物微粒子としての前記コアシェル型微粒子の被覆層が、Si、ZrおよびSbからなる選ばれる1種または2種以上の金属の酸化物である、上記[3]に記載の塗料組成物。
前記結晶性無機酸化物微粒子が、表面にエポキシ基を有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の塗料組成物。
前記重合性有機ケイ素化合物がエポキシ基を有する上記[1]〜[5]のいずれかに記載の塗料組成物。
前記結晶性無機酸化物微粒子の量が、前記無機酸化物微粒子および前記重合性有機ケイ素化合物の合計100質量部に対し、5〜20質量部である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の塗料組成物。
上記[1]〜[7]のいずれかに記載の塗料組成物を硬化させて得られる塗膜。
前記塗膜の屈折率が1.50〜1.66の範囲にある上記[8]に記載の塗膜。
光学基材と、前記光学基材の表面に設けられた上記[8]または[9]に記載の塗膜とを有する塗膜付き光学物品。
前記光学基材と前記塗膜との間に中間層を有する上記[10]に記載の塗膜付き光学物品。
前記光学基材がフォトクロミック物質を含む上記[11]に記載の塗膜付き光学物品。
前記中間層がフォトクロミック物質を含む上記[11]に記載の塗膜付き光学物品。
本発明に係る塗料組成物は、無機酸化物微粒子(A)、重合性有機ケイ素化合物(B)および溶媒(C)を含む。
無機酸化物微粒子は、シリカ系微粒子と結晶性無機酸化物微粒子からなり、その粒子形状は、球状、鎖状、異形状、金平糖状などを用いることができ、特に規定されるものではない。
本発明に係る塗料組成物には、平均粒子径が5〜50nmの範囲にあるシリカ系微粒子(A1)が含まれるため、この塗料組成物を硬化させて形成される塗膜(たとえば、ハードコート層)は、高い耐擦傷性、透明性を有する。
前記核粒子としては、前記シリカ微粒子(i)を用いることができる。
前記コアシェル型微粒子(iii)を構成する核粒子と被覆層との質量比(被覆層/核粒子)は、好ましくは0.0001〜0.05であり、より好ましくは0.001〜0.02である。前記質量比がこの範囲にあると、複合酸化物微粒子(ii)は分散液および塗料組成物中で安定性に優れ、この分散液塗料組成物を用いると、均一で安定な塗膜を形成できる。
前記コアシェル型微粒子(iii)は、たとえば特開2011−26183号公報または特開2012−162426号公報に記載された方法により製造することができる。
前記シリカ微粒子(i)の分散液としては、市販のシリカゾルを用いることができる。
本発明に係る塗料組成物には平均粒子径が5〜50nmの範囲にありTi、Zn、SnおよびZrから選ばれる1種または2種以上の金属成分を含むコアシェル型の結晶性無機酸化物微粒子(A2)が含まれる。前記結晶性無機酸化物微粒子(A2)は紫外線吸収能を有するため、前記塗料組成物を硬化させて形成される塗膜(たとえば、ハードコート層)は、紫外線を吸収し、フォトクロミック性を有する光学基材等の表面に前記塗膜が設けられた場合であれば、フォトクロミック性の耐候劣化を防ぐことができる。
紫外線吸収能が高いことからは、前記結晶性無機酸化物微粒子(A2)は、その大半(例えば80質量%以上)または全部がTi、Zn、Snから選ばれる金属元素を含む微粒子であることが好ましい。
前記コアシェル型微粒子(v)を構成する核粒子と被覆層との質量比(被覆層/核粒子)は、好ましくは5〜100であり、より好ましくは10〜80である。前記質量比がこの範囲にあると、前記コアシェル型微粒子(v)は分散液中で安定性に優れ、この分散液を用いると、均一で安定な塗膜を形成できるだけでなく、核粒子に光活性点が存在したとき、被覆層でその性質を抑制する効果も奏される。
ケイ素酸化物層を有すると、コアシェル型微粒子の屈折率を調整することができるほか、得られる塗膜の耐光性、耐候性、密着性を向上させることができる。
前記結晶性無機酸化物微粒子(A2)の比表面積は、好ましくは60〜400m2/g、より好ましくは100〜300m2/gの範囲にある。
前記結晶性無機酸化物微粒子(A2)は、たとえば特開2000−204301号公報、特開2002−363442号公報、特開2010-168266号公報などに記載された方法により製造することができる。
本発明に係る塗料組成物に含まれる前記結晶性無機酸化物微粒子(A2)の量は、後述する重合性有機ケイ素化合物(B)の量を100質量部とすると、分散液および塗料組成物中での前記結晶性無機酸化物微粒子(A2)の安定性に優れ、この塗料組成物を用いると、均一で安定でかつ膜強度を有する塗膜を得られることから、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上であり、分散液および塗料組成物中での前記結晶性無機酸化物微粒子(A2)の安定性に優れ、この塗料組成物を用いると、均一で安定な透明塗膜を得られることから、好ましくは20質量部以下、より好ましくは18質量部以下である。
本発明に係る塗料組成物は、無機酸化物微粒子(A)として、前記シリカ系微粒子(A1)と前記結晶性無機酸化物微粒子(A2)とを、質量比([シリカ系微粒子]/[結晶性無機酸化物微粒子])で0.4〜2.4、好ましくは0.6〜2.0の割合で含んでいる。本発明に係る塗料組成物は、前記シリカ系微粒子(A1)と前記結晶性無機酸化物微粒子(A2)とをこのような質量比で含んでいるため、前記塗料組成物を用いて、フォトクロミック性を有する光学基材または後述する中間層の上に塗膜を形成すると、フォトクロミック性の耐候劣化を防止しつつフォトクロミック性を発現させることができる。
前記重合性有機ケイ素化合物(B)は、重合することにより、本発明に係る塗料組成物から形成される塗膜の中で、前記無機酸化物微粒子(A)のバインダーとして機能する。
R1 aR2 bSi(OR3)4-(a+b) (I)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、
R2は炭素数3以下のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリル基であり、
R3は炭素数3以下のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。
また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
本発明の塗料組成物を調製する際には、前記重合性有機ケイ素化合物(B)は、無溶媒下またはアルコール等の極性有機溶媒中で、酸および水の存在下で部分加水分解または加水分解した後に、前記無機酸化物微粒子(A)と混合することが好ましい。ただし、前記重合性有機ケイ素化合物(B)は、前記無機酸化物微粒子(A)と混合した後に、部分加水分解または加水分解してもよい。
前記溶媒としては、水および有機溶媒が挙げられる。前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセルソルブ類などが挙げられる。これらの中でも、メタノール等の低級アルコールや水が好ましい。これらの溶媒は1種単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
本発明に係る塗料組成物は、硬化触媒(D)としてグアニジン、グアニジン有機酸、グアニジン無機酸塩、アルキルグアニジン、アミノグアニジン、ジシアンジアミド等のシアナミド骨格を有する化合物を含む。
前記他の硬化触媒としては、アジピン酸、イタコン酸、リンゴ酸、無水トリメリト酸、無水ピロメリト酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の有機カルボン酸;トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)などの一般式:M(CH2COCH2COCH3)n(ここで、Mは金属元素であり、nは金属元素Mの価数である。)で示される金属アセチルアセトナート;チタンアルコキシド、ジルコアルコキシド等の金属アルコキシド;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属有機カルボン酸塩;過塩素酸リチウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類などを挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る塗料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤、光増感剤、安定剤等の添加剤が含まれていてもよい。
本発明に係る塗料組成物は、上記の各成分を公知の方法で混合することにより調製できる。混合の際に、前記無機酸化物微粒子(A)は、前記溶媒(C)を溶媒(分散媒)とするゾルの形態で供されてもよい。
本発明に係る塗膜は、上述した本発明に係る塗料組成物を硬化させて得られる塗膜である。
前記光学基材としては、公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等が挙げられる。中でも樹脂系基材は好適に用いることができる。
本発明に係る塗膜は、耐擦傷性および透明性に優れるため、光学基材に設けられるハードコート層として好ましい。また、光学基材がフォトクロミック性を有する基材である場合または後述する中間層がフォトクロミック性を有する場合には、本発明に係る塗膜により、フォトクロミック性(着色性)を充分に発現させつつ、フォトクロミック性の耐侯劣化を抑えることができる。
塗布方法としては、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法などの周知の方法が挙げられる。
本発明に係る塗膜付き光学物品において、前記塗膜は、好ましくは1.50〜1.66の屈折率を有する。屈折率がこの範囲にあると1.53〜1.66である。前記屈折率は、前記結晶性無機酸化物微粒子の種類、割合等を調節することにより、調節することができる。
前記光学基材と前記塗膜(ハードコート層)との間には、光学基材と前記塗膜との接着性の向上、塗膜付き光学物品の耐衝撃性の向上などを目的として光学基材とハードコート層等の塗膜との間に従来設けられていた中間層(プライマー層、アンダーコート層などともいう。)が設けられてもよい。
また前記中間層は、フォトクロミック性を有していてもよい。フォトクロミック性を有する中間層は、前記中間層を形成するため塗料組成物として、フォトクロミック性を有する化合物が配合されたものを使用することにより、形成することができる。
前記中間層の厚さは、たとえば0.1〜200μm、さらに好ましくは0.5〜100μmである。
本発明に係る塗膜付き光学物品において、前記塗膜(ハードコート層)の表面にはさらに反射防止膜が設けられていてもよい。前記反射防止膜を形成する方法としては、公知の方法を使用することができる。
本発明に係る塗膜付き光学物品における積層構成の例としては、
ハードコート層/光学基材、
ハードコート層/光学基材/ハードコート層、
ハードコート層/中間層/光学基材、
ハードコート層/中間層/光学基材/ハードコート層、
反射防止膜/ハードコート層/光学基材、
反射防止膜/ハードコート層/光学基材/ハードコート層、
反射防止膜/ハードコート層/中間層/光学基材、
反射防止膜/ハードコート層/中間層/光学基材/ハードコート層
などが挙げられ、中間層および光学基材は、それぞれフォトクロミック性を有するものであってもよい。
[測定方法および評価試験方法]
本発明の実施例その他で使用された測定方法および評価試験方法は以下の通りである。
(1)平均粒子径の測定方法
無機酸化物微粒子(シリカ系微粒子および結晶性無機酸化物微粒子の平均粒子径は、次のように測定した。まず、無機酸化物微粒子を含む分散液(または混合液)を水分散ゾルの場合は蒸留水で、メタノール分散ゾルの場合はメタノールにて約1,000倍希釈してコロジオン膜付金属グリッド(応研商事(株))に塗布し250Wランプにて30分間照射して溶媒を飛散し測定用サンプルを調製した。この測定用サンプルを用いて、高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテクノロジーズ製S−5500)を用いて、加速電圧30kVの条件下、倍率25万倍でSEM写真を撮影し、この写真に撮影された任意の100個以上の無機酸化物微粒子の粒子径についてそれぞれ目視で観察し、それらの平均をとることにより求めた。
無機酸化物微粒子を含む分散液を乾燥させて得られた粉体を磁製ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間乾燥後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、粒子の比表面積(m2/g)をBET法にて測定した。
<チタニウム、ケイ素、スズの含有量>
固形分濃度10重量%の無機酸化物微粒子を含む水分散液3gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取し、乾燥(200℃、20分)させ、焼成(700℃、5分)した後、Na2O2 2gおよびNaOH 1gを加えて15分間溶融した。さらに、HCl 50mlと水200mlを加えて溶解したのち、純水で500mlになるよう希釈して試料とした。得られた試料について、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて、チタニウム、スズ、ケイ素の含有量を酸化物換算基準(TiO2、SnO2、SiO2)で測定した。
固形分濃度10重量%の無機酸化物微粒子を含む水分散液9gを容量100mlの白金皿に採取し、サンドバス上で200℃、20分間加熱して乾燥させた後、バーナーで700℃、5分間加熱して有機物を除去後、HF 10mlおよびH2SO4 5mlを加えて白煙が出るまで加熱した。さらに、これを100mlとなるように純水で希釈した後、アルミニウムジルコニウムはICP装置((株)島津製作所製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて酸化物換算基準(Al2O3、ZrO2)で測定し、ナトリウムおよびカリウムは原子吸光装置((株)日立製作所製、Z−5300、ソフトウェアZ−2000)を用いて酸化物換算基準(Na2O、K2O)で測定した。
試料50mlを入れたセルに、25℃の温度に保たれた恒温槽中で、pH4、7および9の標準液で更正が完了したpHメータ(堀場製作所製、F22)のガラス電極を挿入して、pH値を測定した。
無機酸化物微粒子の分散液を磁製ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、110℃で12時間加熱して乾燥させた後、デシケータに入れて室温まで冷却した。次に、冷却物を乳鉢で15分間粉砕した後、X線回折装置(理学電気(株)製、RINT−2100、Cu−Kα線、40kV、30mA)を用いて結晶形態を測定した。なお、本発明でいう結晶形態は、この測定結果から判定された形態(たとえば、ルチル型など)を示す。
(5)塗膜の膜硬度(Bayer値)の測定方法
磨耗試験機BTM(米コルツ社製)およびヘーズ値測定装置(NIPPON DENSHOKU製NDH2000)を使用し、プラスチックレンズ基板(後述する試験片。以下「被試験レンズ」ともいう。)と基準レンズとのヘーズ値の変化に基づいてBayer値を算出した。基準レンズとしては、市販のプラスチックレンズ基材CR−39基材(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、PPG社製モノマー使用、基材の屈折率1.60)を使用した。
R=[D(stdf)−D(std0)]/[D(testf)−D(test0)]
内壁が黒色である箱の中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック(株)製、三波長型昼白色蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の光をプラスチックレンズ基板(後述する試験片)のハードコート層または反射防止膜表面で反射させ、光の干渉による虹模様(干渉縞)の発生を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
S:干渉縞が殆ど無い
A:干渉縞が目立たない
B:干渉縞が認められるが、許容範囲にある
C:干渉縞が目立つ
D:ぎらつきのある干渉縞がある。
内壁が黒色である箱の中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック(株)製、三波長型昼白色蛍光灯)を取り付け、プラスチックレンズ基板(後述する試験片)を蛍光灯の直下に、ハードコート層側または反射防止膜側を蛍光灯に向けて置き、これらの透明度(曇りの程度)をヘーズメーター(NIPPON DENSHOKU製NDH2000)にて確認し、以下の基準で評価した。
A:ヘーズ値が0.3%未満
B:ヘーズ値が0.3%以上〜1.0%未満
C:ヘーズ値が1.0%以上〜5.0%未満
D:ヘーズ値が5.0%以上
プラスチックレンズ基板(後述する試験片)のハードコート層側または反射防止膜側の表面を、#0000スチールウール(日本スチールウール(株)製)を用い、荷重1kg/cm2で幅1cm、3cmの距離を50往復/100秒の条件で擦った後、スチールウール摺動面積に対する傷自体の面積の割合を目視にて判定し、以下の基準で評価した。
評価基準:
A:2%未満
B:2%以上〜30%未満
C:30%以上〜60%未満
D:60%以上
プラスチックレンズ基板(後述する試験片)のハードコート層側または反射防止膜側の表面に、ナイフで縦横1mmの間隔でそれぞれ11本の平行な傷を付けて100個の升目を作り、これにセロハンテープを接着し、次いで、セロハンテープを90度方向へ急激に引っ張り、この操作を合計5回行い、塗膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の2段階に分類することによって密着性を評価した。
評価基準:
残存升目の数95個以上 :○
残存升目の数95個未満 :×
プラスチックレンズ基板(後述する試験片)をキセノンウエザーメーター(スガ試験機(株)製X−75型)で曝露試験した後、外観の確認および前記の密着性の評価と同様の評価を行い、以下の基準で評価した。なお、曝露時間は、反射防止膜を有している基板は250時間、反射防止膜を有していない基板は50時間とした。
○:剥離していないマス目の数が95個以上
×:剥離していないマス目の数が95個未満。
プラスチックレンズ基板(後述する試験片)に退色試験用水銀ランプ(東芝(株)製H400−E)により紫外線を50時間照射し、照射前後に塗膜プラスチックレンズ基板の透過率測定(日本電子(株)製、V−550)を行い、照射前後での透過率変化((照射前の透過率−照射後の透過率)/照射前の透過率×100(%))を以下の基準で耐光性を評価した。なお、ランプと塗膜プラスチックレンズ基板との距離は、70mmとし、ランプの出力は、塗膜プラスチックレンズ基板の表面温度が45±5℃となるように調整した。また、この試験は、反射防止膜をハードコート層の表面に設けた塗膜プラスチックレンズ基板を対象として行った。
○:透過率変化が5%未満
△:透過率変化が5%以上〜10%未満
×:透過率変化が10%以上
顕微分光測定機(OLYMPUS製USPM−RU)を用いて、プラスチック基板の反射率から、塗膜の膜厚および屈折率を測定した。
プラスチックレンズ基板(後述する試験片)に色試験用紫外線ランプ(アズワン製SLUV−6)により紫外線を5分間照射し、照射前後にプラスチックレンズ基板の透過率測定(富士光電工業(株)製、STS−4)を行い、照射前後での透過率変化((照射前の透過率−照射後の透過率)/照射前の透過率×100(%))を以下の基準で評価した。なお、ランプとプラスチックレンズ基板との距離は、100mmとした。さらに、耐光性試験前後のプラスチックレンズ基板についても上記と同様な評価を実施しフォトクロミック性が保持されているかを評価した。
○:透過率変化が50%以上
△:透過率変化が20%以上〜50%未満
×:透過率変化が20%未満
シリカ系微粒子の水分散液(AS−1)の調製
珪素成分の含有量をSiO2換算基準で表し、ナトリウム成分の含有量をNa2O換算基準で表し、アルミニウム成分の含有量をAl2O3換算基準で表したとき、SiO224.0重量%、SiO2/Na2Oモル比3.0、Al2O3/SiO2モル比0.0006のケイ酸ソーダ溶液(AGCエスアイテック社製3号ケイ酸ソーダ)を、イオン交換水で希釈して、珪素成分をSiO2換算基準で4.8重量%含む希ケイ酸ソーダ溶液を調製した。
シリカ系微粒子の水分散液(AS−2)の調製
前述の「シリカ系微粒子の水分散液(AS−1)の調製」において、アルミン酸ソーダ溶液(Al2O3として1.0重量%、Na2Oとして0.77重量%)5.4kgを一定流量で15時間かけて添加するかわりに、アルミン酸ソーダ溶液(Al2O3として1.0重量%、Na2Oとして0.77重量%)2.43kgを一定流量で15時間かけて添加して、珪素成分の含有量がSiO2換算基準で20重量%含む酸性シリカゾル(シリカ系微粒子の水分散液)(AS−2)を得た。
シリカ系微粒子の水分散液(AS−3)の調製
工程(1)
球状のコロイド状シリカ微粒子が分散した市販のアルカリ性シリカゾル(商品名カタロイド(登録商標)SI−40、日揮触媒化成(株)製、SiO2濃度40重量%、Na2O濃度0.40重量%、pH9.5、平均粒子径17nm、Al2O3/SiO2(モル比)=0.0006)4000gを撹拌機と加熱装置を備えた内容積13リットルのSUS製反応容器に供して、温度25℃で撹拌しながらAl2O3換算基準で0.9重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液2712gを1.0時間かけて一定速度で添加して混合溶液を得た。この時、Al2O3/SiO2(混合モル比)は0.009であり、アルミン酸ナトリウム水溶液の添加速度は1.5×10-2g/Hrであった。
得られた混合溶液を攪拌しながら、95℃に加熱したのち、温度を95℃に保ちながら6.0時間撹拌を続けた。この混合液のpHは10.9、SiO2換算基準の固形分濃度は24.2重量%、Al2O3換算基準の固形分濃度は0.36重量%であった。
上記工程で得られた混合溶液に陽イオン交換樹脂(三菱化学(株) ダイヤイオン SK1BH)を投入してそのpHを9に調整した。
上記工程で得られた混合溶液から樹脂を分離除去したのち、オートクレーブにて165℃で1時間加熱処理して、アルカリ性のシリカ系微粒子の水分散ゾルを得た。
次いで、上記工程により得られたアルカリ性のシリカ系微粒子の水分散ゾルを室温まで冷却した後に、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株) ダイヤイオン SK1BH)を投入して、そのpH3.5に調整した後、樹脂を分離せず、攪拌下で80℃に保ちながら7時間熟成した。
上記で得られたシリカ系微粒子水分散ゾルを、限外ろ過膜を用いて濃縮し、固形分濃度30重量%のシリカ系微粒子の水分散液(ゾル)(AS−3)5400gを得た。該ゾル中に含まれるシリカ系微粒子の平均粒子径は17nmであった。さらに、該シリカ系微粒子は、シリカ成分をSiO2で表し、アルミニウム成分をAl2O3で表したとき、Al2O3/SiO2モル比が0.0084となるような割合でアルミニウム成分を含んでいた。
結晶性無機酸化物微粒子のメタノール分散液(MP−1)の調製
<工程(1)>
(操作1.1)チタニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の調製
四塩化チタン(大阪チタニウムテクノロジーズ(株)製)をTiO2換算基準で7.75重量%含む四塩化チタン水溶液93.7kgと、アンモニアを15重量%含むアンモニア水(宇部興産(株)製)36.3kgとを混合し、pH9.5の白色スラリー液を調製した。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、固形分含有量が10重量%の含水チタン酸ケーキ72.6kgを得た。
オキシ塩化ジルコニウム(太陽鉱工(株)製)をZrO2換算基準で2重量%含むオキシ塩化ジルコニウム水溶液26.3kgに、アンモニアを15重量%含むアンモニア水を撹拌下で徐々に添加して、pH8.5のスラリー液を得た。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、ジルコニウム成分をZrO2に換算基準で10重量%含むケーキ5.26kgを得た。
次に、上記操作1.1で得られた、チタニウムを主成分とするコア粒子を含む水分散液(C−1)3.0kgに純水12.0kgを加えて固形分含有量を2重量%としたものを90℃の温度に加熱した後、これに前記過酸化ジルコン酸水溶液(1)3.7kgおよび珪酸水溶液(1)2.8kgを同時に徐々に添加し、添加終了後、さらに90℃の温度に保ちながら攪拌下で1時間熟成を行い、混合液(1c)を得た。ここで、過酸化ジルコン酸水溶液(1)中に含まれるジルコン酸をZrO2で表し、珪酸水溶液(1)中に含まれる珪酸をSiO2で表したとき(以下の重量比の式では「SiO2-(1)」と表す。)、これらのモル比(ZrO2/SiO2-(1))は14/86であった。また、混合液(1c)中の無機酸化物微粒子に含まれる金属の重量を酸化物(TiO2、SnO2、SiO2(以下の重量比の式では「SiO2-(2)」と表す。))の重量に換算すると、重量比((ZrO2+SiO2-(1))/(TiO2+SnO2+SiO2-(2)))は25/100であった。
次いで、この混合液(1c)をオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、50L)に入れて、160℃の温度で18時間、加熱処理を行なったのち、室温まで冷却して、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて固形分含有量10重量%に濃縮することにより、チタニウムを主成分とするコア粒子の表面を、ジルコニウムおよびケイ素を含む複合酸化物からなるシェルで被覆してなる結晶性無機酸化物微粒子(1)の透明乳白色水分散液(以下、「P−1」ともいう。)3.8gを調製した。
この結晶性無機酸化物微粒子(1)のX線回折では結晶性ピークが検出され、結晶構造はルチル型であった。
上記操作1.2で得られた結晶性無機酸化物微粒子の水分散液(P−1)1470gに陽イオン交換樹脂を混合して脱イオン処理した後、前記イオン交換樹脂を分離して得られた分散液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)2940gに表面処理剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materals Inc.製SILQUEST A−186 SILANE)133.6gを溶解させたメタノール溶液を撹拌下で添加した後、60℃の温度で20時間、加熱した。
この無機酸化物微粒子の平均粒子径は12nmであり、この微粒子の比表面積は220m2/gであった。以下、上記分散液(MP−1)を「結晶性無機酸化物微粒子のメタノール分散液(MP−1)」ともいう。
結晶性無機酸化物微粒子のメタノール分散液(MP−2)の調製
(コア粒子の調製)
四塩化チタン(大阪チタニウムテクノロジ-ズ(株)製)をTiO2換算基準で7.75重量%含む四塩化チタン水溶液12.1kgと、アンモニアを15重量%含むアンモニア水(宇部興産(株)製)4.7kgとを混合し、pH9.5の白色スラリー液を調製した。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、固形分含有量が10重量%の含水チタン酸ケーキ9.9kgを得た。
次に、得られたチタン系微粒子の焼成粉体0.17kgを純水250.4gに分散させ、これに10重量%濃度の水酸化カリウム水溶液24.8gを添加してpH11.0に調整した。次いで、この混合水溶液に粒子径0.1mmのアルミナビーズ(大明化学工業(株)製 高純度アルミナビーズ)1.27kgを加えて、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記チタン系微粒子の粉砕処理を行った。その後、石英ビーズを目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、さらに純水840.0gを添加して撹拌し、固形分含有量が11重量%の水分散ゾル1.17kgを得た。
(コアシェル型結晶性無機酸化物微粒子のメタノール分散液(MP−2)の調製)
製造例4の<工程2>において、チタニウムを主成分とするコア粒子を含む水分散液(C−1)3.0kgを用いる代わりに、上記のチタン系微粒子(コア粒子)を含む水分散液(C−2)15.0kgを用いた以外は製造例4と同様の操作を行い、固形分濃度20.5重量%のコアシェル型結晶性無機酸化物微粒子のメタノール分散液(MP−2)を得た。
コアシェル型でない結晶性無機酸化物微粒子のメタノール分散液(MF−1)の調製
製造例4の(操作1.3)において、結晶性無機酸化物微粒子の水分散液(P−1)1470gを使用するかわりに、製造例4の(操作1.1)で得られたチタニウムを主成分とするコア粒子を含む水分散液(C−1)1470gを使用した以外は製造例4の(操作1.3)と同様の操作を行い、コアシェル型でない結晶性無機酸化物微粒子のメタノール分散液(MF−1)を調製した。
ハードコート層形成用塗料組成物(H1)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materals Inc.製SILQUEST A−186 SILANE)160.1g、トリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)30.7gの混合液中に、混合液を攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液110.6gを滴下した。更に、この混合液を液温10℃で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
ハードコート層形成用塗料組成物(H2)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materals Inc.製SILQUEST A−186 SILANE)160.1g、トリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)30.7gの混合液中に、混合液を攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液110.6gを滴下した。更に、この混合液を液温10℃で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
ハードコート層形成用塗料組成物(H3)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materals Inc.製SILQUEST A−186 SILANE)160.1g、トリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)30.7gの混合液中に、混合液を攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液110.6gを滴下した。更に、この混合液を液温10℃で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
ハードコート層形成用塗料組成物(H4)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materals Inc.製SILQUEST A−186 SILANE)160.1g、トリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)30.7gの混合液中に、混合液を攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液110.6gを滴下した。更に、この混合液を液温10℃で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
ハードコート層形成用塗料組成物(H5)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materals Inc.製SILQUEST A−186 SILANE)160.1g、トリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)30.7gの混合液中に、混合液を攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液110.6gを滴下した。更に、この混合液を液温10℃で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
ハードコート層形成用塗料組成物(H6)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materals Inc.製SILQUEST A−186 SILANE)160.1g、トリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)30.7gの混合液中に、混合液を攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液110.6gを滴下した。更に、この混合液を液温10℃で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
ハードコート層形成用塗料組成物(C1)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materals Inc.製SILQUEST A−186 SILANE)160.1g、トリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)30.7gの混合液中に、混合液を攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液110.6gを滴下した。更に、この混合液を液温10℃で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
ハードコート層形成用塗料組成物(C2)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materals Inc.製SILQUEST A−186 SILANE)160.1g、トリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)30.7gの混合液中に、混合液を攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液110.6gを滴下した。更に、この混合液を液温10℃で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
ハードコート層形成用塗料組成物(C3)の調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance Materals Inc.製SILQUEST A−186 SILANE)160.1g、トリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)30.7gの混合液中に、混合液を攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液110.6gを滴下した。更に、この混合液を液温10℃で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行い、加水分解液を得た。
(フォトクロミック層形成用塗料組成物の調製)
メラミン・ホルムアルデヒド重縮合体水溶液(昭和電工(株)製ミルベンレジンSM850)195.6gおよびポリオールポリエステルポリマー(日本ポリウレタン工業(株)製ニッポラン131)244.5gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製ダワノールPM)525.3gに添加し撹拌した。ついで、その溶液にp−トルエンスルホン酸・一水和物(東京化成工業(株)製)6.3g、レベリング剤としてのシリコーン系界面活性剤を10重量%に調整したメタノール溶液(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)6.3gを加え、室温で一昼夜攪拌した後、市販のフォトクロミック化合物(東京化成工業(株)製、1,3,3−トリメチルインドリノ−6‘−ニトロベンゾピリロピラン)13.2gを添加し撹拌しながら超音波分散させフォトクロミック化合物含有塗料組成物(U1)を調製した。
<プラスチックレンズ基板(試験片)の作製>
(1)プラスチックレンズ基材の前処理
市販のプラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−8」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.60)を、40℃に保った10重量%濃度のKOH水溶液に2分間浸漬してエッチング処理を行った。更に、これらを取り出して水洗したのち、十分に乾燥させた。
前処理を行ったプラスチックレンズ基材の凸面にスピンコート法でフォトクロミック層形成用塗料組成物を塗布して塗膜を形成した。
このようにして形成された前記フォトクロミック層の予備硬化後の膜厚は、概ね10〜20μmであった。
前記前処理を行ったプラスチックレンズ基材、またはフォトクロミック層を形成したプラスチックレンズ基材の表面に、ハードコート層形成用の塗料組成物を塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法を用いて行った。
このようにして形成された前記ハードコート層の硬化後の膜厚は、概ね3.0〜3.5μmであった。
前記ハードコート層の表面に、以下に示す構成の無機酸化物成分を真空蒸着法によって蒸着させた。ここでは、ハードコート層側から大気側に向かって、SiO2:0.06λ、ZrO2:0.15λ、SiO2:0.04λ、ZrO2:0.25λ、SiO2:0.25λの順序で積層された反射防止膜の層を形成した。また、設計波長λは、520nmとした。
実施例1〜6、比較例1〜3で得られたハードコート層形成用の塗料組成物H1〜H6、C1〜C3と、フォトクロミック層形成用塗料組成物U1とを用いて、表6に示す組み合わせで、前処理を行ったプラスチックレンズ基材上にプライマー層膜およびハードコート層を形成して試験片1〜16を作製した。
Claims (13)
- 無機酸化物微粒子、重合性有機ケイ素化合物、シアナミド骨格を有する硬化触媒および溶媒を含む塗料組成物であって、
前記無機酸化物粒子として、平均粒子径が5〜50nmの範囲にあるシリカ系微粒子と、平均粒子径が5〜50nmの範囲にありTi、Zn、SnおよびZrから選ばれる1種または2種以上の金属成分を含むコアシェル型の結晶性無機酸化物微粒子とを、質量比([シリカ微粒子]/[結晶性無機酸化物微粒子])=0.4〜2.4の割合で含む
塗料組成物。 - 前記シリカ系微粒子が、ケイ素およびアルミニウムを酸化物換算のモル比(Al2O3/SiO2)で0.0001〜0.02の割合で含む複合酸化物からなる微粒子であるか、またはシリカからなる核粒子とこれを覆う前記複合酸化物からなる被覆層とを有するコアシェル型微粒子である、請求項1に記載の塗料組成物。
- 前記結晶性無機酸化物微粒子が、Ti、Zn、SnおよびZrから選ばれる1種または2種以上の金属成分を含む結晶性無機酸化物からなる核粒子と、前記核粒子を覆う、前記核粒子とは異なる組成の被覆層とからなるコアシェル型微粒子である、請求項1または2に記載の塗料組成物。
- 前記結晶性無機酸化物微粒子としての前記コアシェル型微粒子の被覆層が、Si、ZrおよびSbからなる選ばれる1種または2種以上の金属の酸化物である、請求項3に記載の塗料組成物。
- 前記結晶性無機酸化物微粒子が表面にエポキシ基を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の塗料組成物。
- 前記重合性有機ケイ素化合物がエポキシ基を有する請求項1〜5のいずれかに記載の塗料組成物。
- 前記結晶性無機酸化物微粒子の量が、前記無機酸化物微粒子および前記重合性有機ケイ素化合物の合計100質量部に対し、5〜20質量部である、請求項1〜6のいずれかに記載の塗料組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の塗料組成物を硬化させて得られる塗膜。
- 前記塗膜の屈折率が1.50〜1.66の範囲にある請求項8に記載の塗膜。
- 光学基材と、前記光学基材の表面に設けられた請求項8または9に記載の塗膜とを有する塗膜付き光学物品。
- 前記光学基材と前記塗膜との間に中間層を有する請求項10に記載の塗膜付き光学物品。
- 前記光学基材がフォトクロミック物質を含む請求項11に記載の塗膜付き光学物品。
- 前記中間層がフォトクロミック物質を含む請求項11に記載の塗膜付き光学物品。
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