JP2015148282A - 樹脂製衝撃吸収部材 - Google Patents

樹脂製衝撃吸収部材 Download PDF

Info

Publication number
JP2015148282A
JP2015148282A JP2014021453A JP2014021453A JP2015148282A JP 2015148282 A JP2015148282 A JP 2015148282A JP 2014021453 A JP2014021453 A JP 2014021453A JP 2014021453 A JP2014021453 A JP 2014021453A JP 2015148282 A JP2015148282 A JP 2015148282A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
fiber
impact
shock absorbing
shock
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014021453A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6290641B2 (ja
Inventor
周平 尾上
Shuhei Onoe
周平 尾上
正 山路
Tadashi Yamaji
正 山路
航平 岡
Kohei Oka
航平 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2014021453A priority Critical patent/JP6290641B2/ja
Priority to EP15747039.4A priority patent/EP3104036B1/en
Priority to US15/116,582 priority patent/US10428894B2/en
Priority to PCT/JP2015/053274 priority patent/WO2015119206A1/ja
Publication of JP2015148282A publication Critical patent/JP2015148282A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6290641B2 publication Critical patent/JP6290641B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Body Structure For Vehicles (AREA)
  • Vibration Dampers (AREA)

Abstract

【課題】簡易な構造で安定した衝撃吸収性能を持つ樹脂製衝撃吸収部材を提供する。
【解決手段】強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化樹脂材料からなり、外筒部と中空部とからなる中空構造の衝撃吸収部を有する樹脂製衝撃吸収部材であって、前記強化繊維は平均繊維長が1〜100mmであり、前記熱可塑性樹脂は破壊伸度が10%以上であり、前記繊維強化樹脂材料は圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであり、前記衝撃吸収部は、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値が40以下であることを特徴とする樹脂製衝撃吸収部材を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化樹脂材料からなる樹脂製衝撃吸収部材に関するものであり、より詳しくは特定の平均繊維長を持つ強化繊維と、特定の破壊伸度を持つ熱可塑性樹脂とを含有し、特定の圧縮弾性率及び圧縮強度を持つ繊維強化樹脂材料からなり、衝撃吸収に適した特定形状の中空構造を有する樹脂製衝撃吸収部材に関するものである。
車両の前方や後方には、衝突時の衝撃が人員に直接的に伝わることを防止するために、例えば、クラッシュボックスやフロントサイドメンバ、リアサイドメンバ等の衝撃吸収部材が設けられることが多い。衝撃吸収部材は従来から金属材料で構成されることが一般的であったが、近年では、燃費向上等を目的として車両の軽量化が望まれており、衝撃吸収部材を樹脂で構成する研究が盛んに行われている。
樹脂製の衝撃吸収部材においては、安定した衝撃吸収性能を得るために、衝撃吸収部材の構造を、変形に対して衝撃吸収部材が受ける荷重が一定となるように設計することが行われている。例えば、特許文献1には、テーパ角を持ったテーパ外筒面を有する受け部材と、筒状部材とを摩擦係合可能に嵌合した衝撃吸収部材が開示されている。また、特許文献2には、衝撃吸収方向と直交する方向の断面形状を衝撃吸収方向に向かって変化させる繊維強化樹脂製の衝撃吸収部材が開示されている。さらに、特許文献3には、衝撃入力側の部材厚みよりも反対側の部材厚みを大きくし、かつ、入力部の先端を外周面よりも外側に突出させる、繊維強化樹脂製の衝撃吸収部材が開示されている。しかしながら、これらの各特許文献に開示された衝撃吸収部材は特殊で複雑な構造となることが多く、製造方法が煩雑になったり、用途が限定されたりする場合がある。
一方で、衝撃吸収部材の構造の適正化では無く、衝撃吸収部材を構成する樹脂材料の適正化により、安定した衝撃吸収性能を得る研究も行われている。例えば、特許文献4には、強化繊維束の配列密度を衝撃吸収方向の入力側から他方側へ次第に高くなるように配列する、繊維強化樹脂製の衝撃吸収部材が開示されている。しかしながら、この場合も特殊な製造方法が必要となり、製造工程が煩雑になる場合がある。
特開2012−87849号公報 特開2005−195155号公報 特開平6−264949号公報 特開2005−193755号公報
上述したように、樹脂製衝撃吸収部材において安定した衝撃吸収性能を得るためには、衝撃吸収部材の構造や衝撃吸収部材を構成する樹脂材料が複雑化したり、衝撃吸収部材の製造方法が煩雑になったり、さらには衝撃吸収部材の用途が限定されたりする問題点があった。本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な構造で安定した衝撃吸収性能を持つ樹脂製衝撃吸収部材を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の(1)〜(5)の手段を提供する。
(1)強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化樹脂材料からなり、外筒部と中空部とからなる中空構造の衝撃吸収部を有する樹脂製衝撃吸収部材であって、前記強化繊維は平均繊維長が1〜100mmであり、前記熱可塑性樹脂は破壊伸度が10%以上であり、前記繊維強化樹脂材料は圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであり、前記衝撃吸収部は、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値が40以下であることを特徴とする樹脂製衝撃吸収部材。
(2)前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が多角形であり、かつ該多角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値が40以下である、上記(1)に記載の樹脂製衝撃吸収部材。
(3)前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が、衝撃吸収方向全域に渡って一様な形状である、上記(1)または上記(2)のいずれかに記載の樹脂製衝撃吸収部材。
(4)前記衝撃吸収部が単一の繊維強化樹脂材料からなる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂製衝撃吸収部材。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂製衝撃吸収部材から構成される車両用部品。
本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、簡易な構造で安定した衝撃吸収性能を発揮させることができる。また、本発明の樹脂製衝撃吸収部材は簡易な構造であるため、複雑な製造工程を用いることなく製造することができる。さらに、本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、様々な用途に使用できる。
本発明の樹脂製衝撃吸収部材における衝撃吸収部の一例(真円形型)を示す概略図である。 本発明の樹脂製衝撃吸収部材における衝撃吸収部の一例(楕円形型)を示す概略図である。 本発明の樹脂製衝撃吸収部材における衝撃吸収部の一例(四角形型)を示す概略図である。 本発明の樹脂製衝撃吸収部材における衝撃吸収部の一例(六角形型)を示す概略図である。 本発明の樹脂製衝撃吸収部材における衝撃吸収部の一例(円形+多角形複合型)を示す概略図である。 本発明の樹脂製衝撃吸収部材における衝撃吸収部の一例(フランジ付六角形型)を示す概略図である。 図6に例示した衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面図(L1、t1の説明)を示す概略図である。 図6に例示した衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面図(L2、t2の説明)を示す概略図である。 実施例1の樹脂製衝撃吸収部材における衝撃吸収部の概略図である。 実施例2の樹脂製衝撃吸収部材における衝撃吸収部の概略図である。 実施例3の樹脂製衝撃吸収部材における衝撃吸収部の概略図である。 衝撃荷重F−変位S曲線の概念図(不安定な衝撃吸収の例)である。 衝撃荷重F−変位S曲線の概念図(安定した衝撃吸収の例)である。
本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化樹脂材料からなり、外筒部と中空部とからなる中空構造の衝撃吸収部を有するものであって、前記強化繊維は平均繊維長が1〜100mmであり、前記熱可塑性樹脂は破壊伸度が10%以上であり、前記繊維強化樹脂材料は圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであり、前記衝撃吸収部は衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値が40以下であることを特徴とするものである。
本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、樹脂製衝撃吸収部材の一端に入力された衝撃エネルギーを衝撃吸収部で吸収することにより、他端側への衝撃を抑制するために使用されるものである。また、本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、所謂、軸圧縮方向に対する衝撃吸収を想定したものであり、衝撃吸収部の中空構造の貫通方向と同軸方向に受ける衝撃を吸収させるために用いるものである。以下、この「衝撃吸収部の中空構造の貫通方向と同軸方向」を「衝撃吸収方向」という。
本発明の樹脂製衝撃吸収部材の一端から入力された衝撃エネルギーは衝撃吸収部で吸収されるが、その衝撃吸収機構は、衝撃吸収方向の衝撃吸収部の圧壊現象を利用したものである。すなわち、通常、衝撃吸収部に衝撃が加わると、図12に例示するように、衝撃荷重Fを吸収しながら、圧壊現象により変位Sが生じ、この衝撃荷重F−変位S曲線に囲まれた面積が吸収された衝撃エネルギー量となる。圧壊現象は衝撃吸収方向の圧縮破壊と、それに伴い発生する座屈現象からなるものであるが、座屈現象により、図12に示すように、初期衝撃荷重以降に加わる荷重は初期衝撃荷重よりも低くなるため、所望の衝撃吸収を達成するためには変位が大きくなってしまう。変位が大きくなると、その分、衝撃吸収部も大きくする必要があるため好ましくない。また、衝撃吸収時の衝撃荷重が大きいと、衝突時に人員が受ける衝撃が大きくなるため好ましくない。よって、衝撃吸収部は図13に例示するように、最大衝撃荷重及び変位が小さくなるように、変位に対して衝撃荷重が一定となるように設計することが好ましい。
本発明でいう「安定した衝撃吸収性能」とは、この図13に例示するような現象を示すものであり、本発明は、衝撃吸収部を複雑な構造にすることなく、簡易な構造で安定した衝撃吸収性能を示す樹脂製衝撃吸収部材を提供することを主目的とする。
上述したような安定した衝撃吸収性能を得るためには、圧壊現象時に生じる座屈現象のピッチ(以下、「座屈ピッチ」という。)を小さくすることが必要である。座屈ピッチが大きい場合、座屈に伴って衝撃荷重が急激に低下してしまうために、所望の衝撃エネルギー量の吸収に要する変位が大きくなってしまう。そのため、安定した衝撃吸収性能を得るためには、小さい座屈ピッチを繰り返し、衝撃荷重の急低下が発生しないような設計が必要である。本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、上述した特定の繊維強化樹脂材料からなり、かつ特定の中空構造を有する衝撃吸収部を用いることで、座屈ピッチを小さくすることを実現し、これによって安定した衝撃吸収性能を実現するものである。
[衝撃吸収部]
本発明における衝撃吸収部は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化樹脂材料からなり、外筒部と中空部とからなる中空構造を有するものであり、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値が40以下であるものである。ここで、上記中空部とは、上記外筒部内の空間を指すものである。また、本発明に用いられる衝撃吸収部は、上記強化繊維の平均繊維長が1〜100mmであり、上記熱可塑性樹脂の破壊伸度が10%以上であり、上記繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであるものである。以下、このような本発明に用いられる衝撃吸収部について説明する。なお、衝撃吸収部に用いられる繊維強化樹脂材料については、後述する。
本発明に用いられる衝撃吸収部について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の樹脂製衝撃吸収部材を構成する衝撃吸収部1の代表的な例を示す概略図である。図1に例示するように本発明に用いられる衝撃吸収部1は、外筒部2と中空部3から構成されるものである。また、図1中の点線矢印Xは、衝撃吸収部1の衝撃吸収方向を示すものである。
図1では、本発明における衝撃吸収部の例として、衝撃吸収方向に対して垂直方向の断面形状が真円形型である例を示したが、本発明における衝撃吸収部はこのような形状のものに限定されるものではなく、上記断面形状をあらゆる形状にすることができる。このため、例えば、上記断面形状が楕円型(例えば、図2)、四角形型(例えば、図3)、又は六角形(例えば、図4)等の多角形であってもよく、或いは当該断面形状が円形型と多角形型を組み合わせた形状(例えば、図5)であってもよい。また、本発明における衝撃吸収部は、図6に例示するようなフランジ部を持つハット型を組み合わせたものでもよい。なお、図2から図6における符号は、図1と同様である。
本発明の樹脂製衝撃吸収部材を構成する衝撃吸収部は、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値が40以下であることを特徴とするものである。この点について図を参照しながら説明する。図7は、図6に例示した衝撃吸収部を例として、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における上記「重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1」、及び上記「該外筒部の厚みt1」を説明する説明図である。図7に図説するように、上記「該外筒部の厚みt1」とは衝撃吸収方向に直交する任意の断面4における任意の点5の外筒部の厚みである。また、上記「重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1」とは、任意の断面4における重心位置6から、任意の点5までの距離である。なお、任意の点5は厚み方向の中間点である。
上記L1/t1は、上記「重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1」を上記「該外筒部の厚みt1」で除した値であり、L1とt1は同一単位系とする。このL1/t1は衝撃吸収部の形状剛性を示す値であり、その値が小さいほど圧縮荷重に対する形状剛性が大きいことを示す。本発明における衝撃吸収部は、このL1/t1の最大値が40以下であることを特徴とするものである。L1/t1の最大値が40を超えると、衝撃吸収部の形状剛性が小さくなり、座屈ピッチが大きくなるために衝撃荷重の急低下が起こってしまう。L1/t1の最大値のより好ましい範囲は30以下であり、さらに好ましい範囲は20以下である。ここで、L1/t1の最大値とは、本発明における衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の任意断面における外筒部において各点ごとに算出したL1/t1の値のうち最も大きな値である。断面形状が衝撃吸収方向全域あるいは一部に渡って変化する形状の場合は、各断面にてL1/t1の最大値を算出し、その最大値をL1/t1の最大値とする。
なお、上記L1及びt1の各値は上記L1/t1の最大値を40以下にできる範囲内であれば特に限定されるものではなく、本発明の樹脂製衝撃吸収部材の用途等に応じて適宜調整することができる。
本発明の樹脂製衝撃吸収部材を構成する衝撃吸収部は、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が多角形であり、かつ該多角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値が40以下であることが好ましい。前述したように、本発明の衝撃吸収部の断面形状は特に限定されるものではなく、円形型でも多角形型の何れでもよいが、例えば、車両用の衝撃吸収部材は周辺の部品との接合性、配置等の観点から多角形型とされることが多い。また、特に角数が多い多角形型の衝撃吸収部材は、円形型よりも座屈ピッチが小さくなる傾向となり、衝撃吸収性能の観点からも、本発明の衝撃吸収部の断面形状は多角形型であり、さらには角数が多い多角形型であることが好ましい。多角形型の場合、本発明の衝撃吸収部の、衝撃吸収方向に直交する方向の多角形断面の、各辺における辺長L2と該辺を構成する外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は40以下であることが好ましい。
この点について図を参照しながら説明する。図8は、図6に例示した衝撃吸収部を例として、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における上記「各辺における辺長L2」、及び上記「該辺を構成する外筒部の平均厚みt2」について説明する説明図である。図8に図説するように、上記「各辺における辺長L2」とは、衝撃吸収方向に直交する、任意の断面4における、外筒部の任意の辺7の長さである。また、上記「該辺を構成する外筒部の平均厚みt2」とは、任意の辺7を構成する外筒部の平均厚みである。
上記L2/t2は、上記「各辺における辺長L2」を上記「該辺を構成する外筒部の平均厚みt2」で除した値であり、L2とt2は同一単位系とする。なお、辺の端点が曲部となっている場合の辺長L2は、曲部が無いと仮定した場合に隣接する辺と交わる点を端点としたときの辺長とする。L2/t2の最大値とは、任意の断面の外筒部において各辺について算出したL2/t2の値のうち最も大きな値である。断面形状が衝撃吸収方向に渡って変化する形状の場合は、各断面にてL2/t2の最大値を算出し、その最大値をL2/t2の最大値とする。L2/t2は、多角形型衝撃吸収部の外筒部を構成する面の形状剛性を示す値であり、その値が小さいほど形状剛性が大きいことを示すものである。本発明におけるL2/t2の最大値は40以下であることが好ましい。L2/t2の最大値が40を超えると、多角形型衝撃吸収部の外筒部を構成する面の形状剛性が小さくなり、座屈ピッチが大きくなるために、衝撃荷重の急低下が起こってしまう場合があるからである。L2/t2の最大値のより好ましい範囲は35以下であり、さらに好ましい範囲は30以下である。
なお、上記L2及びt2の各値については、該衝撃吸収部のL2/t2の最大値が40以下となる範囲内であれば特に限定されるものではなく、本発明の樹脂製衝撃吸収部材の用途等に応じて適宜調整することができる。
本発明の樹脂製衝撃吸収部材を構成する衝撃吸収部は、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が、衝撃吸収方向全域に渡って一様な形状であることが好ましい。なお、断面形状が「衝撃吸収方向全域に渡って一様である」とは、衝撃吸収部の、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が、どの断面も同一形状であるということである。安定した衝撃吸収性能を得るために、特許文献3のように外筒部の厚みを衝撃吸収方向に渡って変化させることも行われるが、外筒部の厚みを変化させる場合、樹脂材料を金型に配置する工程が煩雑になる等の問題が生じることがある。本発明に用いられる衝撃吸収部は、前述した手段により、衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が、衝撃吸収方向に渡って一様な形状であっても安定した衝撃吸収性能を得ることができる。
本発明の樹脂製衝撃吸収部を構成する衝撃吸収部は、単一の繊維強化樹脂材料からなることが好ましい。ここでいう「単一の繊維強化樹脂材料」とは、複数種の繊維強化樹脂材料を使用したり、あるいは使用する繊維強化樹脂材料が一種であっても、その繊維配向を衝撃吸収部の部位毎に意図的に変化させたりせずに、任意の一種の繊維強化樹脂材料からなり、かつ繊維配向を衝撃吸収部の部位毎に意図的に変化させないことを意味する。安定した衝撃吸収性能を得るために、複数種の繊維強化樹脂材料を使用したり、あるいは使用する繊維強化樹脂材料が一種であっても、その繊維配向を衝撃吸収部の部位毎に意図的に変化させたりすることが行われるが、製造工程が煩雑になったり、材料の境界部分の圧縮強度及び耐座屈強度が弱くなったりすることがある。本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、前述した手段により、衝撃吸収部が単一の繊維強化樹脂材料からなるものであっても、安定した衝撃吸収性能を得ることができる。
本発明における衝撃吸収部は、外筒部の断面形状が衝撃吸収方向全域に渡って、同一であってもよく又は異なっていてもよいが、同一であることにより本発明の樹脂製衝撃吸収部材の製造工程を簡易にすることができるという利点がある。なお、上記断面形状が衝撃吸収方向において異なっている態様としては、例えば、断面形状を衝撃吸収方向に渡って連続的に変化させたり、衝撃吸収部に補強用のリブ等を設置する態様を挙げることできる。このように、断面形状に変化を持たせる場合は、製造工程が複雑にならない範囲とすることが望ましい。
なお、本発明における衝撃吸収部の高さ、幅、及び中空部の断面積等、衝撃吸収部の具体的な大きさ等については、上記L1/t1を上記範囲内にできる範囲であれば特に限定されるものではなく、本発明の樹脂製衝撃吸収部材の用途等に応じて適宜決定することができる。
[繊維強化樹脂材料]
次に、本発明に用いられる繊維強化樹脂材料について説明する。本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は、所望の衝撃吸収性能を得るために、少なくとも強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有するものである、より具体的には、本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有するものであり、上記強化繊維は平均繊維長が1〜100mmであり、上記熱可塑性樹脂は破壊伸度が10%以上であり、上記繊維強化樹脂材料は圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであることを特徴とするものである。
(強化繊維)
上記強化繊維の種類は、熱可塑性樹脂の種類や衝撃吸収部に付与する衝撃吸収特性の程度に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。このため、本発明に用いられる強化繊維としては無機繊維又は有機繊維のいずれであっても好適に用いることができる。
上記無機繊維としては、例えば、炭素繊維、活性炭繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、タングステンカーバイド繊維、シリコンカーバイド繊維(炭化ケイ素繊維)、セラミックス繊維、アルミナ繊維、天然繊維、玄武岩などの鉱物繊維、ボロン繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ホウ素繊維、及び金属繊維等を挙げることができる。上記金属繊維としては、例えば、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維を挙げることができる。上記ガラス繊維としては、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、石英ガラス繊維、ホウケイ酸ガラス繊維等からなるものを挙げることができる。
上記有機繊維としては、例えば、ポリベンザゾール、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート等の樹脂材料からなる繊維を挙げることができる。
本発明に用いられる強化繊維は1種類であってもよく、又は2種類以上であってもよい。本発明において2種類以上の強化繊維を用いる場合は、複数種の無機繊維を併用してもよく、複数種の有機繊維を併用してもよく、無機繊維と有機繊維とを併用してもよい。複数種の無機繊維を併用する態様としては、例えば、炭素繊維と金属繊維とを併用する態様、炭素繊維とガラス繊維を併用する態様等を挙げることができる。一方、複数種の有機繊維を併用する態様としては、例えば、アラミド繊維と他の有機材料からなる繊維とを併用する態様等を挙げることができる。さらに、無機繊維と有機繊維を併用する態様としては、例えば、炭素繊維とアラミド繊維とを併用する態様を挙げることができる。
本発明においては、上記強化繊維として炭素繊維を用いることが好ましい。炭素繊維は、軽量でありながら強度に優れた繊維強化樹脂材料を得ることができるからである。上記炭素繊維としては、一般的にポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、気相成長系炭素繊維などが知られているが、本発明においてはこれらのいずれの炭素繊維であっても好適に用いることができる。
本発明に用いられる強化繊維は、表面にサイジング剤が付着しているものであってもよい。サイジング剤が付着している強化繊維を用いる場合、当該サイジング剤の種類は、強化繊維及び熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。
本発明に用いられる強化繊維の平均繊維長は1〜100mmである。平均繊維長が1mm未満の場合、繊維強化樹脂材料の圧縮強度が所望の範囲よりも不足することがあり、衝撃吸収時の衝撃吸収部の変位が大きくなってしまうことがある。また、平均繊維長が100mmを超える場合、繊維強化樹脂材料の圧縮強度が所望の範囲よりも大きくなり過ぎて、初期の衝撃荷重が大きくなったり、繊維長が長過ぎることにより、座屈ピッチが大きくなり過ぎて、衝撃荷重の急低下を招いたりすることがある。本発明に用いられる強化繊維の平均繊維長は上記範囲内であれば特に限定されるものではないが、より好ましい範囲は5〜75mmであり、さらに好ましい範囲は10〜50mmである。ここで、強化繊維の平均繊維長(La)は、例えば、繊維強化樹脂材料から無作為に抽出した100本の繊維の繊維長(Li)を、ノギス等を用いて1mm単位まで測定し、下記式に基づいて求めることができる。繊維強化樹脂材料からの強化繊維の抽出は、例えば、繊維強化樹脂材料に対し、500℃×1時間程度の加熱処理を施し、炉内にて樹脂を除去することによって行うことができる。 La=ΣLi/100
本発明に用いられる強化繊維の平均繊維径は、強化繊維の種類等に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、強化繊維として炭素繊維が用いられる場合、平均繊維径は、通常、3μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、4μm〜12μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜8μmの範囲内であることがさらに好ましい。一方、強化繊維としてガラス繊維を用いる場合、平均繊維径は、通常、3μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。ここで、上記平均繊維径は、強化繊維の単糸の直径を指すものとする。したがって、強化繊維が繊維束状である場合は、繊維束の径ではなく、繊維束を構成する強化繊維(単糸)の直径を指すことになる。強化繊維の平均繊維径は、例えば、JIS R7607に記載された方法によって測定することができる。
本発明に用いられる強化繊維は、その種類に関わらず単糸からなる単糸状であってもよく、複数の単糸からなる繊維束状であってもよい。また、本発明に用いられる強化繊維は、単糸状のもののみであってもよく、繊維束状のもののみであってもよく、両者が混在していてもよい。繊維束状のものを用いる場合、各繊維束を構成する単糸の数は、各繊維束においてほぼ均一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。本発明に用いられる強化繊維が繊維束状である場合、各繊維束を構成する単糸の数は特に限定されるものではないが、通常、1000本〜10万本の範囲内とされる。
一般的に、炭素繊維は、数千〜数万本のフィラメントが集合した繊維束状となっている。強化繊維として炭素繊維を用いる場合に、炭素繊維をこのまま使用すると、繊維束の交絡部が局部的に厚くなり薄肉の繊維強化材料を得ることが困難になる場合がある。このため、強化繊維として炭素繊維を用いる場合は、繊維束を拡幅したり、又は開繊したりして使用するのが通常である。
炭素繊維束を開繊して用いる場合、開繊後の炭素繊維束の開繊程度は特に限定されるものではないが、繊維束の開繊程度を制御し、特定本数以上の炭素繊維からなる炭素繊維束と、それ未満の炭素繊維(単糸)又は炭素繊維束を含むことが好ましい。この場合、具体的には、下記式(1)で定義される臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)と、それ以外の開繊された炭素繊維、すなわち単糸の状態または臨界単糸数未満で構成される繊維束とからなることが好ましい。
臨界単糸数=600/D (1)
(ここでDは炭素繊維の平均繊維径(μm)である)
さらに、本発明においては、繊維強化樹脂材料中の炭素繊維全量に対する炭素繊維束(A)の割合が0Vol%超99Vol%未満であることが好ましく、20Vol%以上99Vol未満であることがより好ましく、30Vol%以上95Vol%未満であることがさらに好ましく、50Vol%以上90Vol%未満であることが最も好ましい。このように特定本数以上の炭素繊維からなる炭素繊維束と、それ以外の開繊された炭素繊維又は炭素繊維束を特定の比率で共存させることで、繊維強化樹脂材料中の炭素繊維の存在量、すなわち繊維体積含有率(Vf)を高めることが可能となるからである。
炭素繊維の開繊程度は、繊維束の開繊条件を調整することにより目的の範囲内とすることができる。例えば、繊維束に空気を吹き付けて繊維束を開繊する場合は、繊維束に吹き付ける空気の圧力等をコントロールすることにより開繊程度を調整することができる。この場合、空気の圧力を強くすることにより、開繊程度が高く(各繊維束を構成する単糸数が少なく)なり、空気の圧力を弱くすることより開繊程度が低く(各繊維束を構成する単糸数が多く)なる傾向がある。
本発明において強化繊維として炭素繊維を用いる場合、炭素繊維束(A)中の平均繊維数(N)は本発明の目的を損なわない範囲で適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではない。炭素繊維の場合、上記Nは通常1<N<12000の範囲内でとされるが、下記式(2)を満たすことがより好ましい。
0.6×10/D<N<1×10/D (2)
(ここでDは炭素繊維の平均繊維径(μm)である)
(熱可塑性樹脂)
次に本発明に用いられる熱可塑性樹脂について説明する。本発明に用いられる熱可塑性樹脂の破壊伸度は10%以上であることを特徴とするものである。本発明の衝撃吸収部材を構成する衝撃吸収部は、小さい座屈ピッチにより圧壊されることで、安定した衝撃吸収性能を得ることができるが、衝撃吸収部を構成する繊維強化樹脂材料中の熱可塑性樹脂の破壊伸度が10%未満の場合、衝撃吸収部の圧壊が脆性的な破壊モードとなってしまい、圧壊が不安定となったり、座屈ピッチが大きくなったりするために、衝撃荷重の急低下が起こる可能性がある。本発明に用いられる熱可塑性樹脂の破壊伸度のより好ましい範囲は30%以上であり、さらに好ましい範囲は50%以上である。熱可塑性樹脂の破壊伸度とは、引張試験時の破壊伸度のことであり、例えば、JIS K7162に記載された方法によって測定することができる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、破壊伸度が上述した範囲内のものであれば特に限定されるものではない。本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、通常、軟化点が180℃〜350℃の範囲内のものが用いられるが、これに限定されるものではない。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等を挙げることができる。
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等を挙げることができる。
上記ポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等を挙げることができる。上記ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6樹脂(ナイロン6)、ポリアミド11樹脂(ナイロン11)、ポリアミド12樹脂(ナイロン12)、ポリアミド46樹脂(ナイロン46)、ポリアミド66樹脂(ナイロン66)、ポリアミド610樹脂(ナイロン610)等を挙げることができる。上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル等を挙げることができる。上記(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレートを挙げることができる。上記変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、変性ポリフェニレンエーテル等を挙げることができる。上記熱可塑性ポリイミド樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等を挙げることができる。上記ポリスルホン樹脂としては、例えば、変性ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等を挙げることができる。上記ポリエーテルケトン樹脂としては、例えば、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂を挙げることができる。上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。2種類以上の熱可塑性樹脂を併用する態様としては、例えば、相互に軟化点又は融点が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様や、相互に平均分子量が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様等を挙げることができるが、この限りではない。
(繊維強化樹脂材料)
本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は、圧縮弾性率が10GPa以上であることを特徴とするものである。繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率が10GPa未満の場合、衝撃吸収部を構成する外筒部の形状剛性が不足し、座屈ピッチが大きくなるために、衝撃荷重の急低下が起こる可能性がある。圧縮弾性率のより好ましい範囲は15GPa以上であり、さらに好ましい範囲は20GPa以上である。本発明に用いられる繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率を上記範囲内にするには、例えば、繊維強化樹脂材料中の強化繊維の含有率を調整したり、繊維長を調整したり、また、強化繊維または/及び熱可塑性樹脂の種類を変更する等の方法により達成される。より具体的には、強化繊維の含有率を上げる、繊維長を長くする、また、より圧縮弾性率の大きい強化繊維または/及び熱可塑性樹脂を用いることで、圧縮弾性率を大きくすることができる。また、これらの逆の調整をすれば圧縮弾性率を小さくすることができる。
また、本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は、圧縮強度が150〜500MPaであることを特徴とするものである。繊維強化樹脂材料の圧縮強度が150MPa未満の場合、所望の衝撃エネルギーを吸収するために必要な変位が大きくなってしまうことがある。一方、圧縮強度が500MPaを超える場合、初期の衝撃荷重が大きくなり過ぎることがある。圧縮強度のより好ましい範囲は200〜450MPaであり、さらに好ましい範囲は250〜400MPaである。本発明に用いられる繊維強化樹脂材料の圧縮弾強度を上記範囲内にするには、例えば、繊維強化樹脂材料中の強化繊維の含有率を調整したり、繊維長を調整したり、また、強化繊維または/及び熱可塑性樹脂の種類を変更する等の方法により達成される。より具体的には、強化繊維の含有率を上げる、繊維長を長くする、また、より圧縮強度の大きい強化繊維または/及び熱可塑性樹脂を用いることで、圧縮強度を大きくすることができる。また、これらの逆の調整をすれば圧縮強度を小さくすることができる。
なお、繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率及び圧縮強度は、例えば、JIS K7076に記載された方法によって測定することができる。
上述したように、本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は少なくとも強化繊維と熱可塑性樹脂とを含むものであるが、本発明の目的を損なわない範囲内であれば、必要に応じて各種添加剤を含んでもよい。上記各種添加剤は、繊維強化樹脂材料の用途等に応じて、繊維強化樹脂材料に所望の機能又は性質等を付与できるものであれば特に限定されるものではない。本発明に用いられる各種添加剤としては、例えば、溶融粘度低下剤、帯電防止剤、顔料、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、導電性粒子、フィラー、カーボンブラック、カップリング剤、発泡剤、滑剤、腐食防止剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、着色防止剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、滑剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、流動改質剤、無機および有機の抗菌剤、防虫剤、光触媒系防汚剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤等を挙げることができる。
本発明に用いられる繊維強化樹脂材料中における熱可塑性樹脂の存在量は、熱可塑性樹脂の種類や強化繊維の種類等に応じて適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではないが、通常、強化繊維100質量部に対して3質量部〜1000質量部の範囲内とされる。
本発明に用いられる繊維強化樹脂材料中における強化繊維の体積含有率は、10〜70Vol%であることが好ましい。繊維強化樹脂材料中における強化繊維の体積含有率が10Vol%未満の場合、所望の圧縮弾性率または圧縮強度を得られない場合がある。一方、70Vol%を超える場合、圧縮強度が高くなり過ぎたり、繊維強化樹脂材料の流動性が低下してしまい、成形時に所望の形状を得られない場合がある。繊維強化樹脂材料中における強化繊維の体積含有率のより好ましい範囲は20〜60Vol%であり、さらに好ましい範囲は30〜50Vol%である。
また、繊維強化樹脂材料中の強化繊維の存在状態は特に限定されるものではなく、例えば、一方向に配列した状態であってもよく、又はランダムに配列した状態であってもよい。中でも本発明においては、樹脂製衝撃吸収部材中の形状剛性や強度の均一性の観点から、強化繊維の長軸方向が繊維強化樹脂材料の面内方向においてランダムに配列した、2次元ランダム配列の状態であることが好ましい。ここで、繊維強化樹脂材料内における炭素繊維の2次元ランダム配列は、例えば、繊維強化樹脂材料の任意の方向、及びこれと直行する方向を基準とする引張試験を行い、引張弾性率を測定した後、測定した引張弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った比(Eδ)を測定することで確認できる。弾性率の比が2未満である場合に、炭素繊維が2次元ランダム配列していると評価でき、弾性率の比が1.3未満の場合には、優れた2次元ランダム配列と評価される。
(繊維強化樹脂材料の製造方法)
次に本発明に用いられる繊維強化樹脂材料の製造方法について説明する。本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は、一般的に公知の方法を用いて製造することができる。例えば、1.強化繊維をカットする工程、2.カットされた強化繊維を開繊させる工程、3.開繊させた強化繊維と繊維状又は粒子状の熱可塑性樹脂を混合した後、加熱圧縮してプリプレグを得る工程により製造することができるが、この限りではない。なお、この方法の場合、前記プリプレグが繊維強化樹脂材料である。
[衝撃吸収部以外の構成]
上述したように、本発明の樹脂製衝撃吸収部材は少なくとも上記衝撃吸収部を有するものであるが、本発明の目的を損なわない範囲で、当該衝撃吸収部以外の他の構成を有していてもよい。本発明に用いられる他の構成としては、本発明の樹脂製衝撃吸収部材の用途等に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、周辺の部品と接続するためのフランジ部や、樹脂製衝撃吸収部材を補強するための部品等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる他の構成は樹脂材料からなるものでもよく、又は鉄やアルミ等の金属材料からなるものでもよい。上記他の構成が樹脂材料からなる場合、当該他の構成は、例えば、衝撃吸収部と一体物としてプレス成形してもよく、衝撃吸収部とは別部品として、衝撃吸収部に溶着や接着、リベット止め等の方法で接合してもよい。一方、上記他の構成が金属材料からなる場合は、通常、インサート成形や接着、ネジ止め等の方法で衝撃吸収部に接合される。
[樹脂製衝撃吸収部の製造方法]
次に本発明の樹脂製衝撃吸収部材の製造方法について説明する。本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、上述した衝撃吸収部を製造することによって得ることができる。本発明における衝撃吸収部は、一般的に公知の方法を用いて製造することができ、例えば、強化繊維樹脂材料を予め軟化点以上の温度に加熱し、次いで強化繊維樹脂材料を構成する熱可塑性樹脂の軟化点未満の温度を有する金型でコールドプレスする方法が適用できる。また、強化繊維樹脂材料を、熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度を有する金型内に投入してプレスした後に、熱可塑性樹脂の軟化点未満の温度まで冷却するホットプレス法も適用できるが、この限りではない。
[樹脂製衝撃吸収部材の用途]
本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、外筒部と中空部とからなる中空構造の衝撃吸収部を有する樹脂製衝撃吸収部材であり、樹脂製衝撃吸収部材の一端に入力された衝撃エネルギーを衝撃吸収部で吸収することにより、他端側への衝撃を抑制するために使用されるものである。本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、所謂、軸圧縮方向に対する衝撃吸収を想定したものであり、衝撃吸収部の中空構造の貫通方向と同軸方向に受ける衝撃に対するものである。また、本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、簡易な構造のために様々な車両用部品に適用できる。
[車両用部品]
本発明の車両用部品は、上述した本発明の樹脂製衝撃吸収部材から構成されるものである。本発明の車両用部品としては、本発明の樹脂製衝撃吸収部材が用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば、クラッシュボックス、フロントサイドメンバ、リアサイドメンバ、フロントホイールハウスアッパメンバ、ロアメンバ等が挙げられる。
また、本発明の車両用部品は上述した本発明の樹脂製衝撃吸収部材が用いられていればよいものであるため、例えば、本発明の樹脂製衝撃吸収部材のみからなるものであってもよく、或いは本発明の樹脂製衝撃吸収部材が他の部品と組み合わされたものであってもよい。なお、当該他の部品は、本発明の車両用部品の用途に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではない。また、当該他の部品を構成する材料についても、本発明の車両用部品の用途に応じて適宜決定すればよく、任意の樹脂材料或いは任意の金属材料を用いることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる態様であっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示すことにより、本発明についてさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は以下の実施例の態様に限定されるものではない。
本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)強化繊維の平均繊維長
維強化樹脂材料中の強化繊維の平均繊維長は、繊維強化樹脂材料を500℃の炉内にて1時間加熱して、熱可塑性樹脂を除去した後、無作為に抽出した強化繊維100本の長さをノギスで1mm単位まで測定し、その平均値とした。平均繊維長が1mmを下回る場合は、光学顕微鏡下で0.1mm単位まで測定した。なお、熱硬化性の繊維強化樹脂材料中の強化繊維の平均繊維長を測定する場合は、繊維強化樹脂材料を500℃の炉内にて3時間加熱して、熱硬化性樹脂を除去した後、同様の方法で測定した。
(2)繊維強化樹脂材料中の強化繊維の体積含有率
繊維強化樹脂材料中の強化繊維の体積含有率は、水中置換法により繊維強化樹脂材料の密度を求め、予め測定した強化繊維単独の密度と樹脂単独の密度との関係から、強化繊維の体積含有率を算出した。
(3)繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率及び圧縮強度
繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率及び圧縮強度は、事前に80℃真空下で24時間乾燥させた試験片をJIS K7076に準拠して測定した。
(4)熱可塑性樹脂の破壊伸度
熱可塑性樹脂の破壊伸度は、事前に80℃真空下で24時間乾燥させた試験片をJIS K7162に準拠して測定した。
(5)樹脂製衝撃吸収部材の衝撃吸収性能
樹脂製衝撃吸収部材の衝撃吸収性能の評価は、IMATEK社製落錐衝撃試験機IM10を使用して、樹脂製衝撃吸収部材の中空構造の貫通方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与した際の、初期衝撃荷重と衝撃吸収に要した変位を測定することで行った。なお、初期衝撃荷重及び衝撃吸収に要した変位共に小さい方が、衝撃吸収性能は優れているといえる。
[参考例1]
強化繊維として、平均繊維長20mmにカットした東邦テナックス社製の炭素繊維「テナックス(登録商標)」STS40−24KS(平均繊維径7μm)を使用し、熱可塑性樹脂として、ユニチカ社製のナイロン6樹脂A1030(破壊伸度50%)を使用して、面内方向に炭素繊維が2次元ランダム配向し、かつ、繊維強化樹脂材料全体に対する繊維体積含有率が35Vol%となるように混合し、280℃に加熱したプレス装置にて、圧力2.0MPaで5分間加熱圧縮することで繊維強化樹脂材料Aを作製した。得られた繊維強化樹脂材料Aの平均繊維長は約20mmであり、繊維体積含有率は約35Vol%であり、圧縮弾性率は25GPaであり、圧縮強度は300MPaであった。
[参考例2]
強化繊維を平均繊維長が約0.5mmとなるように粉砕し、繊維体積含有率を15Vol%とした以外は、参考例1と同様の方法で、繊維強化樹脂材料Bを作製した。得られた繊維強化樹脂材料Bの平均繊維長は約0.5mmであり、繊維体積含有率は約15Vol%であり、圧縮弾性率は7GPaであり、圧縮強度は110MPaであった。
[参考例3]
強化繊維の平均繊維長を200mmにカットした以外は、参考例1と同様の方法で、繊維強化樹脂材料Cを作製した。得られた繊維強化樹脂材料Cの平均繊維長は約200mmであり、繊維体積含有率は約35Vol%であり、圧縮弾性率は35GPaであり、圧縮強度は620MPaであった。
[参考例4]
強化繊維として、平均繊維長20mmにカットした、東邦テナックス社製の炭素繊維「テナックス(登録商標)」STS40−24KS(平均繊維径7μm)と、熱硬化性樹脂として、三菱化学社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER(登録商標)」828(破断伸度5%)とを加熱混合し、次いで、硬化剤として、三菱化学社製の変性芳香族アミン系硬化剤「jERキュア(登録商標)」Wを追加混練し、得られた組成物をコーターにて平板状に引き延ばすことで、熱硬化性繊維強化樹脂プリプレグを得た。なお、繊維強化樹脂材料中の強化繊維の繊維体積含有率が35Vol%となるように、強化繊維及び樹脂の比率を調整した。得られたプリプレグを金型にセットし、加熱温度180℃、圧力1.0MPaの条件下で4時間硬化させることにより、繊維強化樹脂材料Dを作成した。前記繊維強化樹脂材料Dの平均繊維長は約20mmであり、繊維体積含有率は約35Vol%であり、圧縮弾性率は23GPaであり、圧縮強度は280MPaであった。
[実施例1]
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図9に示すような六角形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。なお、図9(b)は、同図(a)に示す衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状を示すものである。本実施例における各部の寸法は、a=44mm、b=31mm、c=15mm、d=105度、e=200mm、外筒部の厚みt1は2.0mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は19であり、六角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は22である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は105kN、衝撃吸収に要した変位は45mmであった。
[実施例2]
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図10に示すような円形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。なお、図10(b)は、同図(a)に示す衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状を示すものである。本実施例における各部の寸法は、a=34mm、b=200mm、外筒部の厚みt1は2.0mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は16である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は108kN、衝撃吸収に要した変位は41mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は1.03、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は0.91であり、実施例1と略同等の衝撃吸収性能を示した。
[実施例3]
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図11に示すような四角形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。なお、図11(b)は、同図(a)に示す衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状を示すものである。本実施例における各部の寸法は、a=90mm、b=20mm、c=90度、d=200mm、外筒部の厚みt1は2.0mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は23であり、四角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は45である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は110kN、衝撃吸収に要した変位は66mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は1.05、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は1.47であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位がやや大きい結果であった。
[実施例4]
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図9に示すような六角形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。本実施例における各部の寸法は、a=66mm、b=49.5mm、c=22.5mm、d=105度、e=200mm、外筒部の厚みt1は1.5mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は38であり、六角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は44である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は113kN、衝撃吸収に要した変位は69mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は1.08、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は1.53であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位がやや大きい結果であった。
[比較例1]
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図9に示すような六角形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。本比較例における各部の寸法は、a=88mm、b=62mm、c=15mm、d=105度、e=200mm、外筒部の厚みt1は1.0mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は76であり、六角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は88である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は105kN、衝撃吸収に要した変位は180mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は1.00、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は4.00であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位が4倍も大きい結果であった。
[比較例2]
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図9に示すような六角形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。本比較例における各部の寸法は、a=66mm、b=49.5mm、c=22.5mm、d=105度、e=200mm、外筒部の厚みt1は1.2mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は47.5であり、六角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は55である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は102kN、衝撃吸収に要した変位は104mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は0.97、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は2.31であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位が2.31倍も大きい結果であった。
[比較例3]
参考例2の繊維強化樹脂材料Bを使用して、実施例1と同様の方法で、同形状の樹脂製衝撃吸収部材を作製した。作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は38kN、衝撃吸収に要した変位は165mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は0.36、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は3.67であり、実施例1と比較して、衝撃荷重は0.36倍であり良好である一方、衝撃吸収に要した変位は3.67倍も大きい結果であった。
[比較例4]
参考例3の繊維強化樹脂材料Cを使用して、実施例1と同様の方法で、同形状の樹脂製衝撃吸収部材を作製した。作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は220kN、衝撃吸収に要した変位は28mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は2.10、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は0.62であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位は0.62倍であり良好である一方、初期衝撃荷重は2.10倍も大きい結果であった。
[比較例5]
参考例4で得られた、熱硬化性繊維強化樹脂プリプレグを金型にセットし、加熱温度180℃、圧力1.0MPaの条件下で4時間硬化させることにより、実施例1と同形状の熱硬化性樹脂製衝撃吸収部材を作製した。作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は99kN、衝撃吸収に要した変位は91mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は0.94、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は2.02であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位が2.02倍も大きい結果であった。
本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、一端に入力された衝撃エネルギーを衝撃吸収部で吸収することにより、他端側への衝撃を抑制するために使用されるものであり、例えば、車両等の衝撃吸収装置に用いることができる。
1 衝撃吸収部
2 外筒部
3 中空部
4 衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面
5 任意の断面4上の外筒部上の点
6 任意の断面4上の重心
7 任意の断面4上の外筒部の辺
X 衝撃吸収方向

Claims (5)

  1. 強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化樹脂材料からなり、外筒部と中空部とからなる中空構造の衝撃吸収部を有する樹脂製衝撃吸収部材であって、
    前記強化繊維は平均繊維長が1〜100mmであり、前記熱可塑性樹脂は破壊伸度が10%以上であり、前記繊維強化樹脂材料は圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであり、
    前記衝撃吸収部は、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値が40以下であることを特徴とする樹脂製衝撃吸収部材。
  2. 前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が多角形であり、かつ該多角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値が40以下である、請求項1に記載の樹脂製衝撃吸収部材。
  3. 前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が、衝撃吸収方向全域に渡って一様な形状である、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の樹脂製衝撃吸収部材。
  4. 前記衝撃吸収部が単一の繊維強化樹脂材料からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂製衝撃吸収部材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂製衝撃吸収部材から構成される車両用部品。
JP2014021453A 2014-02-06 2014-02-06 樹脂製衝撃吸収部材 Active JP6290641B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014021453A JP6290641B2 (ja) 2014-02-06 2014-02-06 樹脂製衝撃吸収部材
EP15747039.4A EP3104036B1 (en) 2014-02-06 2015-02-05 Resin shock-absorbing member and vehicle component
US15/116,582 US10428894B2 (en) 2014-02-06 2015-02-05 Resin-made impact absorption member and vehicular component
PCT/JP2015/053274 WO2015119206A1 (ja) 2014-02-06 2015-02-05 樹脂製衝撃吸収部材及び車両用部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014021453A JP6290641B2 (ja) 2014-02-06 2014-02-06 樹脂製衝撃吸収部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015148282A true JP2015148282A (ja) 2015-08-20
JP6290641B2 JP6290641B2 (ja) 2018-03-07

Family

ID=53891804

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014021453A Active JP6290641B2 (ja) 2014-02-06 2014-02-06 樹脂製衝撃吸収部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6290641B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017003068A (ja) * 2015-06-15 2017-01-05 本田技研工業株式会社 エネルギー吸収部材
KR20180062701A (ko) * 2016-12-01 2018-06-11 한화첨단소재 주식회사 크래쉬박스
JP6493646B1 (ja) * 2017-10-20 2019-04-03 日東紡績株式会社 エネルギー吸収部材
WO2019078236A1 (ja) * 2017-10-20 2019-04-25 日東紡績株式会社 エネルギー吸収部材
WO2020129227A1 (ja) * 2018-12-20 2020-06-25 帝人株式会社 衝撃吸収部材の製造方法
JP2021501257A (ja) * 2017-10-30 2021-01-14 テイジン カーボン ユーロップ ゲー・エム・ベー・ハーTeijin Carbon Europe GmbH 衝撃力を吸収するための構成部材

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06264949A (ja) * 1993-03-15 1994-09-20 Toyota Autom Loom Works Ltd エネルギー吸収部材
JPH07269622A (ja) * 1994-03-30 1995-10-20 Toyobo Co Ltd 樹脂製衝撃吸収部材及びそれを用いた衝撃吸収ブロック
JP2001088235A (ja) * 1999-09-20 2001-04-03 Sekisui Chem Co Ltd 熱可塑性樹脂多孔体
JP2001293829A (ja) * 2000-02-10 2001-10-23 Sekisui Chem Co Ltd ポリオレフィン系樹脂複合積層体
JP2005195155A (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Toyota Industries Corp エネルギー吸収体
JP2005193755A (ja) * 2004-01-06 2005-07-21 Toyota Industries Corp エネルギー吸収体及びその製造方法
JP2006519908A (ja) * 2003-03-12 2006-08-31 ペトリテック、インコーポレイテッド 構造材料及びその他の複合材料、及びその製造方法
JP2012087849A (ja) * 2010-10-18 2012-05-10 Toray Ind Inc 衝撃吸収構造体
WO2013024883A1 (ja) * 2011-08-17 2013-02-21 昭和電工株式会社 衝撃吸収部材
WO2013027559A1 (ja) * 2011-08-22 2013-02-28 トヨタ車体株式会社 衝撃吸収部材のハウジングと、このハウジングを用いた車両用衝撃吸収具

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06264949A (ja) * 1993-03-15 1994-09-20 Toyota Autom Loom Works Ltd エネルギー吸収部材
JPH07269622A (ja) * 1994-03-30 1995-10-20 Toyobo Co Ltd 樹脂製衝撃吸収部材及びそれを用いた衝撃吸収ブロック
JP2001088235A (ja) * 1999-09-20 2001-04-03 Sekisui Chem Co Ltd 熱可塑性樹脂多孔体
JP2001293829A (ja) * 2000-02-10 2001-10-23 Sekisui Chem Co Ltd ポリオレフィン系樹脂複合積層体
JP2006519908A (ja) * 2003-03-12 2006-08-31 ペトリテック、インコーポレイテッド 構造材料及びその他の複合材料、及びその製造方法
JP2005193755A (ja) * 2004-01-06 2005-07-21 Toyota Industries Corp エネルギー吸収体及びその製造方法
JP2005195155A (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Toyota Industries Corp エネルギー吸収体
JP2012087849A (ja) * 2010-10-18 2012-05-10 Toray Ind Inc 衝撃吸収構造体
WO2013024883A1 (ja) * 2011-08-17 2013-02-21 昭和電工株式会社 衝撃吸収部材
WO2013027559A1 (ja) * 2011-08-22 2013-02-28 トヨタ車体株式会社 衝撃吸収部材のハウジングと、このハウジングを用いた車両用衝撃吸収具

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017003068A (ja) * 2015-06-15 2017-01-05 本田技研工業株式会社 エネルギー吸収部材
KR20180062701A (ko) * 2016-12-01 2018-06-11 한화첨단소재 주식회사 크래쉬박스
KR102149543B1 (ko) 2017-10-20 2020-08-28 니토 보세키 가부시기가이샤 에너지 흡수부재
WO2019078236A1 (ja) * 2017-10-20 2019-04-25 日東紡績株式会社 エネルギー吸収部材
KR20190092586A (ko) * 2017-10-20 2019-08-07 니토 보세키 가부시기가이샤 에너지 흡수부재
JP6493646B1 (ja) * 2017-10-20 2019-04-03 日東紡績株式会社 エネルギー吸収部材
US11739807B2 (en) 2017-10-20 2023-08-29 Nitto Boseki Co., Ltd. Energy absorption member
JP2021501257A (ja) * 2017-10-30 2021-01-14 テイジン カーボン ユーロップ ゲー・エム・ベー・ハーTeijin Carbon Europe GmbH 衝撃力を吸収するための構成部材
JP7428651B2 (ja) 2017-10-30 2024-02-06 テイジン カーボン ユーロップ ゲー・エム・ベー・ハー 衝撃力を吸収するための構成部材
WO2020129227A1 (ja) * 2018-12-20 2020-06-25 帝人株式会社 衝撃吸収部材の製造方法
CN113227603A (zh) * 2018-12-20 2021-08-06 帝人株式会社 冲击吸收部件的制造方法
JPWO2020129227A1 (ja) * 2018-12-20 2021-09-30 帝人株式会社 衝撃吸収部材の製造方法
US20220072811A1 (en) * 2018-12-20 2022-03-10 Teijin Limited Method for manufacturing impact-absorbing member

Also Published As

Publication number Publication date
JP6290641B2 (ja) 2018-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6290641B2 (ja) 樹脂製衝撃吸収部材
JP6277259B2 (ja) 樹脂製衝撃吸収部材
WO2015119206A1 (ja) 樹脂製衝撃吸収部材及び車両用部品
JP6343094B2 (ja) 樹脂製構造体及び車両用部品
JP5855802B1 (ja) 中空構造体及び車両用部品
JP5981679B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形体
WO2013080975A1 (ja) 耐衝撃部材
KR20220138401A (ko) 내충격 구조물
JP2015175430A (ja) 樹脂製衝撃吸収部材
Alshahrani et al. Development of efficient energy absorption components for crashworthiness applications: an experimental study
JP6321412B2 (ja) 樹脂製衝撃吸収部材及び車両用部品
US20140339036A1 (en) Shock Absorption Member
Chenghong et al. Impact damage modes and residual flexural properties of composites beam
JP5864038B1 (ja) かしめ部を有する繊維強化樹脂接合体、及びその製造方法
CN209010824U (zh) 一种uhmwpe短纤纱增强环氧树脂复合材料
Paruka et al. Crush Zone Morphology of Epoxy-Glass Fiber-Aluminium Composite Columnar Tube due to Longitudinal Crushing Force
JP2003056618A (ja) 衝撃エネルギ吸収用複合部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170905

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20171102

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6290641

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150