JP2015148282A - 樹脂製衝撃吸収部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化樹脂材料からなり、外筒部と中空部とからなる中空構造の衝撃吸収部を有する樹脂製衝撃吸収部材であって、前記強化繊維は平均繊維長が1〜100mmであり、前記熱可塑性樹脂は破壊伸度が10%以上であり、前記繊維強化樹脂材料は圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであり、前記衝撃吸収部は、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値が40以下であることを特徴とする樹脂製衝撃吸収部材を提供する。
【選択図】図1
Description
(1)強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化樹脂材料からなり、外筒部と中空部とからなる中空構造の衝撃吸収部を有する樹脂製衝撃吸収部材であって、前記強化繊維は平均繊維長が1〜100mmであり、前記熱可塑性樹脂は破壊伸度が10%以上であり、前記繊維強化樹脂材料は圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであり、前記衝撃吸収部は、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値が40以下であることを特徴とする樹脂製衝撃吸収部材。
(2)前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が多角形であり、かつ該多角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値が40以下である、上記(1)に記載の樹脂製衝撃吸収部材。
(3)前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が、衝撃吸収方向全域に渡って一様な形状である、上記(1)または上記(2)のいずれかに記載の樹脂製衝撃吸収部材。
(4)前記衝撃吸収部が単一の繊維強化樹脂材料からなる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂製衝撃吸収部材。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂製衝撃吸収部材から構成される車両用部品。
上述したような安定した衝撃吸収性能を得るためには、圧壊現象時に生じる座屈現象のピッチ(以下、「座屈ピッチ」という。)を小さくすることが必要である。座屈ピッチが大きい場合、座屈に伴って衝撃荷重が急激に低下してしまうために、所望の衝撃エネルギー量の吸収に要する変位が大きくなってしまう。そのため、安定した衝撃吸収性能を得るためには、小さい座屈ピッチを繰り返し、衝撃荷重の急低下が発生しないような設計が必要である。本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、上述した特定の繊維強化樹脂材料からなり、かつ特定の中空構造を有する衝撃吸収部を用いることで、座屈ピッチを小さくすることを実現し、これによって安定した衝撃吸収性能を実現するものである。
本発明における衝撃吸収部は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化樹脂材料からなり、外筒部と中空部とからなる中空構造を有するものであり、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値が40以下であるものである。ここで、上記中空部とは、上記外筒部内の空間を指すものである。また、本発明に用いられる衝撃吸収部は、上記強化繊維の平均繊維長が1〜100mmであり、上記熱可塑性樹脂の破壊伸度が10%以上であり、上記繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであるものである。以下、このような本発明に用いられる衝撃吸収部について説明する。なお、衝撃吸収部に用いられる繊維強化樹脂材料については、後述する。
次に、本発明に用いられる繊維強化樹脂材料について説明する。本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は、所望の衝撃吸収性能を得るために、少なくとも強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有するものである、より具体的には、本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有するものであり、上記強化繊維は平均繊維長が1〜100mmであり、上記熱可塑性樹脂は破壊伸度が10%以上であり、上記繊維強化樹脂材料は圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであることを特徴とするものである。
上記強化繊維の種類は、熱可塑性樹脂の種類や衝撃吸収部に付与する衝撃吸収特性の程度に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。このため、本発明に用いられる強化繊維としては無機繊維又は有機繊維のいずれであっても好適に用いることができる。
臨界単糸数=600/D (1)
(ここでDは炭素繊維の平均繊維径(μm)である)
0.6×104/D2<N<1×105/D2 (2)
(ここでDは炭素繊維の平均繊維径(μm)である)
次に本発明に用いられる熱可塑性樹脂について説明する。本発明に用いられる熱可塑性樹脂の破壊伸度は10%以上であることを特徴とするものである。本発明の衝撃吸収部材を構成する衝撃吸収部は、小さい座屈ピッチにより圧壊されることで、安定した衝撃吸収性能を得ることができるが、衝撃吸収部を構成する繊維強化樹脂材料中の熱可塑性樹脂の破壊伸度が10%未満の場合、衝撃吸収部の圧壊が脆性的な破壊モードとなってしまい、圧壊が不安定となったり、座屈ピッチが大きくなったりするために、衝撃荷重の急低下が起こる可能性がある。本発明に用いられる熱可塑性樹脂の破壊伸度のより好ましい範囲は30%以上であり、さらに好ましい範囲は50%以上である。熱可塑性樹脂の破壊伸度とは、引張試験時の破壊伸度のことであり、例えば、JIS K7162に記載された方法によって測定することができる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等を挙げることができる。
上記ポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等を挙げることができる。上記ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6樹脂(ナイロン6)、ポリアミド11樹脂(ナイロン11)、ポリアミド12樹脂(ナイロン12)、ポリアミド46樹脂(ナイロン46)、ポリアミド66樹脂(ナイロン66)、ポリアミド610樹脂(ナイロン610)等を挙げることができる。上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル等を挙げることができる。上記(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレートを挙げることができる。上記変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、例えば、変性ポリフェニレンエーテル等を挙げることができる。上記熱可塑性ポリイミド樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等を挙げることができる。上記ポリスルホン樹脂としては、例えば、変性ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等を挙げることができる。上記ポリエーテルケトン樹脂としては、例えば、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂を挙げることができる。上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は、圧縮弾性率が10GPa以上であることを特徴とするものである。繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率が10GPa未満の場合、衝撃吸収部を構成する外筒部の形状剛性が不足し、座屈ピッチが大きくなるために、衝撃荷重の急低下が起こる可能性がある。圧縮弾性率のより好ましい範囲は15GPa以上であり、さらに好ましい範囲は20GPa以上である。本発明に用いられる繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率を上記範囲内にするには、例えば、繊維強化樹脂材料中の強化繊維の含有率を調整したり、繊維長を調整したり、また、強化繊維または/及び熱可塑性樹脂の種類を変更する等の方法により達成される。より具体的には、強化繊維の含有率を上げる、繊維長を長くする、また、より圧縮弾性率の大きい強化繊維または/及び熱可塑性樹脂を用いることで、圧縮弾性率を大きくすることができる。また、これらの逆の調整をすれば圧縮弾性率を小さくすることができる。
上述したように、本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は少なくとも強化繊維と熱可塑性樹脂とを含むものであるが、本発明の目的を損なわない範囲内であれば、必要に応じて各種添加剤を含んでもよい。上記各種添加剤は、繊維強化樹脂材料の用途等に応じて、繊維強化樹脂材料に所望の機能又は性質等を付与できるものであれば特に限定されるものではない。本発明に用いられる各種添加剤としては、例えば、溶融粘度低下剤、帯電防止剤、顔料、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、導電性粒子、フィラー、カーボンブラック、カップリング剤、発泡剤、滑剤、腐食防止剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、着色防止剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、滑剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、流動改質剤、無機および有機の抗菌剤、防虫剤、光触媒系防汚剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤等を挙げることができる。
本発明に用いられる繊維強化樹脂材料中における強化繊維の体積含有率は、10〜70Vol%であることが好ましい。繊維強化樹脂材料中における強化繊維の体積含有率が10Vol%未満の場合、所望の圧縮弾性率または圧縮強度を得られない場合がある。一方、70Vol%を超える場合、圧縮強度が高くなり過ぎたり、繊維強化樹脂材料の流動性が低下してしまい、成形時に所望の形状を得られない場合がある。繊維強化樹脂材料中における強化繊維の体積含有率のより好ましい範囲は20〜60Vol%であり、さらに好ましい範囲は30〜50Vol%である。
次に本発明に用いられる繊維強化樹脂材料の製造方法について説明する。本発明に用いられる繊維強化樹脂材料は、一般的に公知の方法を用いて製造することができる。例えば、1.強化繊維をカットする工程、2.カットされた強化繊維を開繊させる工程、3.開繊させた強化繊維と繊維状又は粒子状の熱可塑性樹脂を混合した後、加熱圧縮してプリプレグを得る工程により製造することができるが、この限りではない。なお、この方法の場合、前記プリプレグが繊維強化樹脂材料である。
上述したように、本発明の樹脂製衝撃吸収部材は少なくとも上記衝撃吸収部を有するものであるが、本発明の目的を損なわない範囲で、当該衝撃吸収部以外の他の構成を有していてもよい。本発明に用いられる他の構成としては、本発明の樹脂製衝撃吸収部材の用途等に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、周辺の部品と接続するためのフランジ部や、樹脂製衝撃吸収部材を補強するための部品等を挙げることができる。
次に本発明の樹脂製衝撃吸収部材の製造方法について説明する。本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、上述した衝撃吸収部を製造することによって得ることができる。本発明における衝撃吸収部は、一般的に公知の方法を用いて製造することができ、例えば、強化繊維樹脂材料を予め軟化点以上の温度に加熱し、次いで強化繊維樹脂材料を構成する熱可塑性樹脂の軟化点未満の温度を有する金型でコールドプレスする方法が適用できる。また、強化繊維樹脂材料を、熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度を有する金型内に投入してプレスした後に、熱可塑性樹脂の軟化点未満の温度まで冷却するホットプレス法も適用できるが、この限りではない。
本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、外筒部と中空部とからなる中空構造の衝撃吸収部を有する樹脂製衝撃吸収部材であり、樹脂製衝撃吸収部材の一端に入力された衝撃エネルギーを衝撃吸収部で吸収することにより、他端側への衝撃を抑制するために使用されるものである。本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、所謂、軸圧縮方向に対する衝撃吸収を想定したものであり、衝撃吸収部の中空構造の貫通方向と同軸方向に受ける衝撃に対するものである。また、本発明の樹脂製衝撃吸収部材は、簡易な構造のために様々な車両用部品に適用できる。
本発明の車両用部品は、上述した本発明の樹脂製衝撃吸収部材から構成されるものである。本発明の車両用部品としては、本発明の樹脂製衝撃吸収部材が用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば、クラッシュボックス、フロントサイドメンバ、リアサイドメンバ、フロントホイールハウスアッパメンバ、ロアメンバ等が挙げられる。
(1)強化繊維の平均繊維長
維強化樹脂材料中の強化繊維の平均繊維長は、繊維強化樹脂材料を500℃の炉内にて1時間加熱して、熱可塑性樹脂を除去した後、無作為に抽出した強化繊維100本の長さをノギスで1mm単位まで測定し、その平均値とした。平均繊維長が1mmを下回る場合は、光学顕微鏡下で0.1mm単位まで測定した。なお、熱硬化性の繊維強化樹脂材料中の強化繊維の平均繊維長を測定する場合は、繊維強化樹脂材料を500℃の炉内にて3時間加熱して、熱硬化性樹脂を除去した後、同様の方法で測定した。
(2)繊維強化樹脂材料中の強化繊維の体積含有率
繊維強化樹脂材料中の強化繊維の体積含有率は、水中置換法により繊維強化樹脂材料の密度を求め、予め測定した強化繊維単独の密度と樹脂単独の密度との関係から、強化繊維の体積含有率を算出した。
(3)繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率及び圧縮強度
繊維強化樹脂材料の圧縮弾性率及び圧縮強度は、事前に80℃真空下で24時間乾燥させた試験片をJIS K7076に準拠して測定した。
(4)熱可塑性樹脂の破壊伸度
熱可塑性樹脂の破壊伸度は、事前に80℃真空下で24時間乾燥させた試験片をJIS K7162に準拠して測定した。
(5)樹脂製衝撃吸収部材の衝撃吸収性能
樹脂製衝撃吸収部材の衝撃吸収性能の評価は、IMATEK社製落錐衝撃試験機IM10を使用して、樹脂製衝撃吸収部材の中空構造の貫通方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与した際の、初期衝撃荷重と衝撃吸収に要した変位を測定することで行った。なお、初期衝撃荷重及び衝撃吸収に要した変位共に小さい方が、衝撃吸収性能は優れているといえる。
強化繊維として、平均繊維長20mmにカットした東邦テナックス社製の炭素繊維「テナックス(登録商標)」STS40−24KS(平均繊維径7μm)を使用し、熱可塑性樹脂として、ユニチカ社製のナイロン6樹脂A1030(破壊伸度50%)を使用して、面内方向に炭素繊維が2次元ランダム配向し、かつ、繊維強化樹脂材料全体に対する繊維体積含有率が35Vol%となるように混合し、280℃に加熱したプレス装置にて、圧力2.0MPaで5分間加熱圧縮することで繊維強化樹脂材料Aを作製した。得られた繊維強化樹脂材料Aの平均繊維長は約20mmであり、繊維体積含有率は約35Vol%であり、圧縮弾性率は25GPaであり、圧縮強度は300MPaであった。
強化繊維を平均繊維長が約0.5mmとなるように粉砕し、繊維体積含有率を15Vol%とした以外は、参考例1と同様の方法で、繊維強化樹脂材料Bを作製した。得られた繊維強化樹脂材料Bの平均繊維長は約0.5mmであり、繊維体積含有率は約15Vol%であり、圧縮弾性率は7GPaであり、圧縮強度は110MPaであった。
強化繊維の平均繊維長を200mmにカットした以外は、参考例1と同様の方法で、繊維強化樹脂材料Cを作製した。得られた繊維強化樹脂材料Cの平均繊維長は約200mmであり、繊維体積含有率は約35Vol%であり、圧縮弾性率は35GPaであり、圧縮強度は620MPaであった。
強化繊維として、平均繊維長20mmにカットした、東邦テナックス社製の炭素繊維「テナックス(登録商標)」STS40−24KS(平均繊維径7μm)と、熱硬化性樹脂として、三菱化学社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER(登録商標)」828(破断伸度5%)とを加熱混合し、次いで、硬化剤として、三菱化学社製の変性芳香族アミン系硬化剤「jERキュア(登録商標)」Wを追加混練し、得られた組成物をコーターにて平板状に引き延ばすことで、熱硬化性繊維強化樹脂プリプレグを得た。なお、繊維強化樹脂材料中の強化繊維の繊維体積含有率が35Vol%となるように、強化繊維及び樹脂の比率を調整した。得られたプリプレグを金型にセットし、加熱温度180℃、圧力1.0MPaの条件下で4時間硬化させることにより、繊維強化樹脂材料Dを作成した。前記繊維強化樹脂材料Dの平均繊維長は約20mmであり、繊維体積含有率は約35Vol%であり、圧縮弾性率は23GPaであり、圧縮強度は280MPaであった。
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図9に示すような六角形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。なお、図9(b)は、同図(a)に示す衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状を示すものである。本実施例における各部の寸法は、a=44mm、b=31mm、c=15mm、d=105度、e=200mm、外筒部の厚みt1は2.0mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は19であり、六角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は22である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は105kN、衝撃吸収に要した変位は45mmであった。
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図10に示すような円形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。なお、図10(b)は、同図(a)に示す衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状を示すものである。本実施例における各部の寸法は、a=34mm、b=200mm、外筒部の厚みt1は2.0mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は16である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は108kN、衝撃吸収に要した変位は41mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は1.03、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は0.91であり、実施例1と略同等の衝撃吸収性能を示した。
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図11に示すような四角形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。なお、図11(b)は、同図(a)に示す衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状を示すものである。本実施例における各部の寸法は、a=90mm、b=20mm、c=90度、d=200mm、外筒部の厚みt1は2.0mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は23であり、四角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は45である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は110kN、衝撃吸収に要した変位は66mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は1.05、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は1.47であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位がやや大きい結果であった。
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図9に示すような六角形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。本実施例における各部の寸法は、a=66mm、b=49.5mm、c=22.5mm、d=105度、e=200mm、外筒部の厚みt1は1.5mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は38であり、六角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は44である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は113kN、衝撃吸収に要した変位は69mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は1.08、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は1.53であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位がやや大きい結果であった。
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図9に示すような六角形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。本比較例における各部の寸法は、a=88mm、b=62mm、c=15mm、d=105度、e=200mm、外筒部の厚みt1は1.0mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は76であり、六角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は88である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は105kN、衝撃吸収に要した変位は180mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は1.00、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は4.00であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位が4倍も大きい結果であった。
参考例1の繊維強化樹脂材料Aを280℃まで加熱し、コールドプレス成形を行い、さらにフランジ部を振動溶着することにより、図9に示すような六角形型の衝撃吸収部からなる樹脂製衝撃吸収部材を作製した。本比較例における各部の寸法は、a=66mm、b=49.5mm、c=22.5mm、d=105度、e=200mm、外筒部の厚みt1は1.2mm均一であり、衝撃吸収方向全域に渡って、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状は一様である。前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値は47.5であり、六角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値は55である。
作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は102kN、衝撃吸収に要した変位は104mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は0.97、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は2.31であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位が2.31倍も大きい結果であった。
参考例2の繊維強化樹脂材料Bを使用して、実施例1と同様の方法で、同形状の樹脂製衝撃吸収部材を作製した。作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は38kN、衝撃吸収に要した変位は165mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は0.36、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は3.67であり、実施例1と比較して、衝撃荷重は0.36倍であり良好である一方、衝撃吸収に要した変位は3.67倍も大きい結果であった。
参考例3の繊維強化樹脂材料Cを使用して、実施例1と同様の方法で、同形状の樹脂製衝撃吸収部材を作製した。作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は220kN、衝撃吸収に要した変位は28mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は2.10、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は0.62であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位は0.62倍であり良好である一方、初期衝撃荷重は2.10倍も大きい結果であった。
参考例4で得られた、熱硬化性繊維強化樹脂プリプレグを金型にセットし、加熱温度180℃、圧力1.0MPaの条件下で4時間硬化させることにより、実施例1と同形状の熱硬化性樹脂製衝撃吸収部材を作製した。作製した樹脂製衝撃吸収部材を落錐衝撃試験機に、衝撃吸収方向が鉛直となるようにセットし、衝撃吸収方向と同軸方向に2500Jの衝撃エネルギーを付与したところ、初期衝撃荷重は99kN、衝撃吸収に要した変位は91mmであった。また、実施例1の初期衝撃荷重に対する初期衝撃荷重比は0.94、実施例1の衝撃吸収に要した変位に対する変位比は2.02であり、実施例1と比較して、衝撃吸収に要した変位が2.02倍も大きい結果であった。
2 外筒部
3 中空部
4 衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面
5 任意の断面4上の外筒部上の点
6 任意の断面4上の重心
7 任意の断面4上の外筒部の辺
X 衝撃吸収方向
Claims (5)
- 強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化樹脂材料からなり、外筒部と中空部とからなる中空構造の衝撃吸収部を有する樹脂製衝撃吸収部材であって、
前記強化繊維は平均繊維長が1〜100mmであり、前記熱可塑性樹脂は破壊伸度が10%以上であり、前記繊維強化樹脂材料は圧縮弾性率が10GPa以上であり、かつ圧縮強度が150〜500MPaであり、
前記衝撃吸収部は、衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状における重心位置から同一断面における外筒部までの距離L1と、該外筒部の厚みt1との比L1/t1の最大値が40以下であることを特徴とする樹脂製衝撃吸収部材。 - 前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が多角形であり、かつ該多角形の各辺における辺長L2と該辺を構成する前記外筒部の平均厚みt2との比L2/t2の最大値が40以下である、請求項1に記載の樹脂製衝撃吸収部材。
- 前記衝撃吸収部の衝撃吸収方向に直交する方向の断面形状が、衝撃吸収方向全域に渡って一様な形状である、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の樹脂製衝撃吸収部材。
- 前記衝撃吸収部が単一の繊維強化樹脂材料からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂製衝撃吸収部材。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂製衝撃吸収部材から構成される車両用部品。
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