JP2003056618A - 衝撃エネルギ吸収用複合部材 - Google Patents
衝撃エネルギ吸収用複合部材Info
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Abstract
十分な衝撃エネルギ吸収能を発揮することのできる複合
部材を提供する。 【解決手段】 複合部材は,合成樹脂よりなるマトリッ
クスと,そのマトリックスに分散する複数の炭素繊維と
を備えている。そのマトリックスは,衝撃速度5m/s
以上の動的衝撃荷重により延性破壊を惹起する合成樹脂
より構成されている。
Description
用複合部材,特に,合成樹脂よりなるマトリックスと,
そのマトリックスに分散する複数の炭素繊維とを備えた
ものの改良に関する。 【0002】 【従来の技術】従来,この種の複合部材としては,マト
リックスをエポキシ樹脂より構成したものが知られてい
る(特開平7−224874号公報参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながらエポキシ
樹脂マトリックスは衝撃荷重により脆性破壊を惹起する
ので,従来のものは,公報にも記載されているように衝
撃エネルギ速度10mm/min (約0.16mm/s)程度
の衝撃荷重,つまり静的衝撃荷重に対しては十分な衝撃
エネルギ吸収能を発揮するが,車両の衝突時のような衝
撃速度5m/s以上の衝撃荷重,つまり動的衝撃荷重に
対しては,動的に増したエネルギが大き過ぎてエネルギ
吸収能が不十分である,という問題があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は,車両の衝突時
のような動的衝撃荷重に対して十分な衝撃エネルギ吸収
能を発揮することのできる前記衝撃エネルギ吸収用複合
部材を提供することを目的とする。 【0005】前記目的を達成するため本発明によれば,
合成樹脂よりなるマトリックスと,そのマトリックスに
分散する複数の炭素繊維とを備えた衝撃エネルギ吸収用
複合部材において,前記マトリックスを,衝撃速度5m
/s以上の動的衝撃荷重により延性破壊を惹起する合成
樹脂より構成した衝撃エネルギ吸収用複合部材が提供さ
れる。 【0006】前記のように構成すると,車両の衝突時の
ような衝撃速度5m/s以上といった動的衝撃荷重が複
合部材に作用したとき,合成樹脂マトリックスが延性破
壊を惹起して片状化され,これにより,その衝撃エネル
ギを十分に吸収することができる。 【0007】 【発明の実施の形態】図1,2において,衝撃エネルギ
吸収用複合部材1は貫通孔1aを持つ円筒状をなし,一
端部に円錐台形の被衝撃部1bを有する。その被衝撃部
1bの小径端の外径は貫通孔1aの内径にほぼ等しく,
またテーパ角度は90°であり,したがって傾斜角αは
α=45°である。複合部材1は合成樹脂よりなるマト
リックス2と,そのマトリックス2に分散する複数の炭
素繊維3とを備え,そのマトリックス2は,衝撃速度5
m/s以上の動的衝撃荷重により延性破壊を惹起する合
成樹脂より構成されている。この種の合成樹脂として
は,PC(ポリカーボネート),TPI(サーモプラス
チック・ポリイミド)等の熱可塑性合成樹脂が用いられ
る。 【0008】この複合部材1は,実施例では積層構造を
有するもので,主筒状部6と,その内周側に在る内側筒
状部7と,その外周側に在る外側筒状部8とよりなる。
主筒状部6は,図3に示すように複数の炭素繊維3を一
方向に配列させた板材9を,各炭素繊維3が軸線方向に
並ぶように円筒状に曲げ,この単層材を複数積層したも
のである。図中,10は合せ目を示す。一方,内,外側
筒状部7,8は,それぞれ図4に示すように前記板材9
を,各炭素繊維3が周方向に並ぶように円筒状に曲げた
単層材を用いて形成されたものである。被衝撃部1bは
等径部分に切削加工を施して形成される。 【0009】図5に示すように,複合部材1を,その被
衝撃部1bを上方に向けて基台11上に立設し,その被
衝撃部1bに短円柱状重錘12を落下させて,車両の衝
突時と同様の衝撃速度5m/s以上といった動的衝撃荷
重を作用させると,図6に示すように,被衝撃部1bに
おける合成樹脂マトリックス2の伸びに起因した潰れ,
その伸びの限界による合成樹脂マトリックス2の圧縮破
壊が連続的に発生し,このような延性破壊の現出により
前記動的衝撃荷重に伴う衝撃エネルギを十分に吸収する
ことができる。この延性破壊は,合成樹脂マトリックス
2の伸びを伴う現象であることから,破壊により生じた
樹脂片は細長いものとなり,またその量は,破壊により
生じた樹脂片総数の50%以上となる。 【0010】一方,合成樹脂マトリックス2がエポキシ
樹脂より構成されている場合には,図7に示すように,
衝撃速度5m/s以上といった動的衝撃荷重が被衝撃部
1bに作用すると,その合成樹脂マトリックス2は,伸
びを伴わない破壊,つまり脆性破壊を惹起し,そのため
前記動的衝撃荷重に伴う衝撃エネルギの吸収は小とな
る。この脆性破壊により合成樹脂マトリックスはほぼ粒
状化され,その粒状樹脂13のうちの約7割が部材1の
外側に,また3割が部材1の内側へそれぞれ落下する。 【0011】つまり,延性破壊性を持つ合成樹脂マトリ
ックスにおいては,衝撃エネルギが大となる程,そのエ
ネルギを受ける範囲が広がるため単位時間当りの衝撃エ
ネルギの分散・吸収力は衝撃エネルギが大になる程大と
なるが,脆性破壊性を持つ合成樹脂マトリックスは衝撃
エネルギの大小に拘らず,常に狭い範囲でその衝撃エネ
ルギを受けているので,衝撃エネルギが大になっても単
位時間当りの衝撃エネルギの分散・吸収力は変わらない
のである。 【0012】以下,具体例について説明する。 【0013】A.複合部材の製造 〔例−I〕引張強さ5.7GPa,引張弾性率290G
PaのPAN系炭素繊維と,合成樹脂マトリックスを構
成する比重1.2,引張強さ64MPa,伸び120%
のPCを用いて,PAN系炭素繊維のVfが60%で,
且つその繊維を一方向に配列させた厚さ約0.14mmの
シートを成形した。 【0014】このシートから14枚の板材を切出して,
積層・加熱・切削作業を行うことにより図1〜4に示し
た複合部材1を得た。この場合,主筒状部6における板
材9の積層枚数は12に,また加熱温度は260℃に,
さらに複合部材1の寸法は,外径約54mm,内径約50
mm,等径部の長さ98mmに,被衝撃部1bの長さ(高
さ)2mmにそれぞれ設定された。この複合部材1を実施
例(1)とする。 【0015】〔例−II〕例−IのPCを,比重1.3,
引張強さ88MPa,伸び50%のTPIに代え,また
加熱温度を420℃に設定したということ以外は例−I
と同様の方法で実施例(1)と同一寸法の複合部材1を
得た。この複合部材1を実施例(2)とする。 【0016】〔例−III 〕例−IのPCを,比重1.
2,引張強さ80MPa,伸び4%のエポキシ樹脂に代
え,また硬化温度を130℃に設定したということ以外
は例−Iと同様の方法で実施例(1)と同一寸法の複合
部材1を得た。この複合部材1を比較例(1)とする。 【0017】〔例−IV〕例−IのPCを,比重1.3,
引張強さ65MPa,伸び2%のPI(ポリイミド)に
代え,また硬化温度を310℃に設定したということ以
外は例−Iと同様の方法で実施例(1)と同一寸法の複
合部材1を得た。この複合部材1を比較例(2)とす
る。 【0018】B.複合部材の衝撃吸収性能 図5に示した場合と同様の方法で,基台11上に立設さ
れた複合部材1の被衝撃部1bに重錘12によって所定
の衝撃速度の静的または動的衝撃荷重を加え,その衝撃
速度に対応する衝撃エネルギ吸収量を算出した。この算
出はEs=1/V・ρ∫Pdu(P:荷重;V:複合部
材の破壊された部分の体積;ρ:複合部材の密度)の式
を用いて行った。したがって,衝撃エネルギ吸収量Es
は単位質量当りの吸収エネルギ吸収量に相当する。 【0019】表1は実施例1等の衝撃吸収性能を示す。 【0020】 【表1】 【0021】図8は表1をグラフ化したものであり,実
施例(1),(2)は,比較例(1),(2)に比べ
て,衝撃速度5m/s以上の動的衝撃荷重に対する衝撃
エネルギ吸収能が高いことが判る。実施例(1),
(2)において,衝撃速度5m/s未満の静的衝撃荷重
に対する衝撃エネルギ吸収能が低いのは,この衝撃速度
範囲では実施例(1),(2)において曲げと層間剥離
が生じているからである。 【0022】 【発明の効果】本発明によれば前記のように構成するこ
とによって,車両の衝突時のような動的衝撃荷重に対し
て十分な衝撃エネルギ吸収能を発揮することが可能な複
合部材を提供することができる。
況を示す拡大断面図である。 【図7】比較例における合成樹脂マトリックスの破壊状
況を示す拡大断面図である。 【図8】衝撃速度と衝撃エネルギ吸収量との関係を示す
グラフである。 【符号の説明】 1………複合部材 2………マトリックス 3………炭素繊維
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 合成樹脂よりなるマトリックス(2)
と,そのマトリックス(2)に分散する複数の炭素繊維
(3)とを備えた衝撃エネルギ吸収用複合部材におい
て,前記マトリックス(2)を,衝撃速度5m/s以上
の動的衝撃荷重により延性破壊を惹起する合成樹脂より
構成したことを特徴とする衝撃エネルギ吸収用複合部
材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001244471A JP2003056618A (ja) | 2001-08-10 | 2001-08-10 | 衝撃エネルギ吸収用複合部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001244471A JP2003056618A (ja) | 2001-08-10 | 2001-08-10 | 衝撃エネルギ吸収用複合部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003056618A true JP2003056618A (ja) | 2003-02-26 |
Family
ID=19074390
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001244471A Pending JP2003056618A (ja) | 2001-08-10 | 2001-08-10 | 衝撃エネルギ吸収用複合部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003056618A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014034585A1 (ja) * | 2012-08-27 | 2014-03-06 | 東レ株式会社 | エネルギー吸収部材およびその製造方法 |
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-
2001
- 2001-08-10 JP JP2001244471A patent/JP2003056618A/ja active Pending
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