JP2015145779A - 空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】本体高さや設置スペースの制約に対応して、本体の高さや奥行きを選択的に可変可能にする空気調和機を提供する。
【解決手段】本体31の二面に床置き面31C,31Dを設ける。一方の床置き面31Cを床に置いたときの本体31の高さである寸法S1が、他方の床置き面31Dを床に置いたときの本体31の高さである寸法S2と異なり、一方の床置き面31Cを床に置いたときの本体31の奥行きである寸法S2が、他方の床置き面31Dを床に置いたときの本体31の奥行きである寸法S1と異なるように、一方の床置き面31Cの辺の寸法S2と他方の床置き面31Dの辺の寸法S1を異なる長さに形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、空気清浄機能または加湿性能を有する空気調和機に関する。
この種の空気調和機として、例えば特許文献1には、ファンモータの吸込み方向である筐体の厚み方向に、集塵フィルタおよび脱臭フィルタとファンモータとを並列に配置し、必要最小限な空気清浄性能を得るようにしたものが知られている。
特開2002−263175号公報
しかし上述した空気調和機では、次のような課題があった。
筐体の厚み方向に、集塵フィルタや脱臭フィルタとファンモータとを並列に配置すると、製品サイズ(厚み)が大きくなる。そのため、高性能な空気調和機である程、製品サイズが大型化して、可搬性の悪化や部屋などでの設置場所の制限を生じていた。
空気調和機は単に空気清浄機能だけでなく、部屋の中に置く場合の設置スペースや、例えばソファーの高さが支障にならない程度の高さにするなどの本体高さの制約があり、機器を選択する必要があった。そのため、部屋の環境が変わったりすると、従来使用していた空気調和機が、前述の制約によって使えなくなる場合があった。
空気調和機には、加湿機能を備えたものがある。この場合の加湿装置は、加湿エレメントと送風ファンが厚み方向で同位置にはなく、主に送風ファンの上流吸い込みの位置に置かれていた。また、加湿エレメントと送風ファンが厚み方向に同位置にあっても、加湿エレメントは液体に浸されたディスクを風路中に配設してなるディスクタイプのものであった。そのため、加湿エレメントに重量があり、加湿効率も低く、しかも製品の薄型コンパクト化も図れなかった。
現状の空気調和機は空気の排出口が小さいため、大風量時に風速が大きくなって、ユーザが強い風による寒さを感じていた。
送風ファンの上流吸い込み位置には、厚み方向で手前側に集塵フィルタが配置される。しかし、加湿エレメントに加えて集塵フィルタを配置すると、製品の薄型コンパクト化が一層図りにくくなる。
従来の空気調和機では、ユーザが容易に送風ファンを着脱し、メンテナンスをすることができなかった。
本発明の第1の目的は、本体高さや設置スペースの制約に対応して、本体の高さや奥行きを選択的に可変可能にする空気調和機を提供することにある。
本発明の第2の目的は、製品の薄型コンパクト化を可能にし、加湿エレメントの軽量化を図ると共に、加湿効率を向上させることができる空気調和機を提供することにある。
本発明の第3の目的は、排出口の風速をある程度抑えることで、強い風による寒いという体感を和らげることが可能な空気調和機を提供することにある。
本発明の第4の目的は、集塵フィルタを配置した構成であっても、製品の薄型コンパクト化を容易に実現できる空気調和機を提供することにある。
本発明の第5の目的は、送風ファンが汚れた場合などに、送風ファンを簡単に着脱でき、洗浄などのメンテナンスを容易に行なうことが可能な空気調和機を提供することにある。
請求項1の発明では、部屋の中などに空気調和機を設置する際に、一方の床置き面または他方の床置き面の何れかを床に置くことで、本体の高さを選ぶことができる。また、設置面の奥行きに制約がある場合でも、同様に一方の床置き面または他方の床置き面の何れかを床に置くことで、本体の奥行き長さを選ぶことができる。
請求項2の発明では、どちらの床置き面を床に置いた場合でも、これらの床置き面に対向する本体の上面に吸気口または排気口が位置することになり、空気の吸気や排気に影響を与えることなく空気清浄機能を維持できる。
請求項3の発明では、どの床置き面を床に置いた場合でも、本体の上部に操作パネルを位置させることができ、表示の見やすさと操作のしやすさを維持しつつ、表示性や操作性の悪化を防止できる。
請求項4の発明では、どの床置き面を床に置いた場合でも、操作パネルの表示が上下逆にならないように、表示制御手段が操作パネルを制御することができ、操作パネルを一つにしたことによる表示性の悪化を改善できる。
請求項5の発明では、短い辺の長さを有する床置き面を床に置いたときに、本体の奥行きとなるその短い辺の寸法は、空気清浄フィルタの幅を目安に極力小さく形成する一方で、空気清浄フィルタの下方に電源ユニットを配置することで、本体の高さの寸法を奥行きの寸法よりも大きくし、本体の内部空間を有効に使用して、本体の縦横比を大きくすることができる。また、床に載置する床置き面を選択的に変えることで、本体の高さや奥行きを可変可能とする場合に、本体の縦横比が大きい程、その効果が高くなり、本体の高さと奥行きを大きく可変することができる。
請求項6の発明では、送風ファンにより本体の内部に吸引した空気を、送風ファンの外側にある空気清浄フィルタを通して排気する構造になっているので、送風ファンの前後両面から吸気が可能になり、環状の空気清浄フィルタの全周囲から排気が可能になり、本体の置かれる方向に影響を受けることなく、空気清浄機能を維持できる。
請求項7の発明では、送風ファンと厚み方向で同じ位置に加湿エレメントを配置できるので、製品の薄型コンパクト化が可能になる。また特に、加湿エレメントはディスクタイプではなく、繊維を編み込んだフィルタタイプであるので、加湿エレメントとしての重量や体積当たりの加湿効率が向上する。
請求項8の発明では、加湿エレメントとなるフィルタを立体的な構造とすることで、加湿能力を高めることができる。
請求項9の発明では、加湿エレメントとなるフィルタをプリーツ状に形成することで、加湿能力を高めることができる。
請求項10の発明では、プリーツ形状のフィルタを不織布とすることで、安価で大量生産に向く加湿機能を提供できる。
請求項11の発明では、プリーツ形状のフィルタをパルプなどの天然素材とすることで、その天然素材の特徴を活かした加湿機能を提供できる。
請求項12の発明では、空気清浄フィルタで清浄した空気が、排出口を通して三方向に分散して排出されるので、風量が大きくても吹出し面積が大きく、風速を下げることができる。このように、排出口の風速をある程度抑えることで、強い風による寒いという体感を和らげることができる。
請求項13の発明では、送風ファンをターボファンとすることで、ケーシングを無くし、送風ファンからの吹出し方向を多方向化することが可能になる。
請求項14の発明では、加湿エレメントや送風ファンと厚み方向で同じ位置に集塵フィルタを配置できるため、集塵フィルタを配置した構成であっても、製品の薄型コンパクト化を容易に実現できる。また、集塵フィルタのプリーツが、空気の通過する方向に置かれるため、空気中の塵埃などの微細粒子を効率的に除去できると共に、集塵フィルタは長期にわたりその形状を維持できる。
請求項15の発明では、塵埃などの微細粒子を捕捉する集塵フィルタに、抗菌効果を持たせることが可能になる。
請求項16の発明では、シール用部材を集塵フィルタに備えることで、集塵フィルタの前後側面を挟みようにシール用部材がセットされ、それにより空気をシールすることができる。
請求項17の発明では、送風ファンが汚れた場合などに、スピンナーにより送風ファンを簡単に着脱できるので、洗浄などのメンテナンスを容易に行なうことができる。
請求項18の発明では、送風ファンが汚れた場合などに、ワンタッチロック機構により送風ファンを簡単に着脱できるので、洗浄などのメンテナンスを容易に行なうことができる。
請求項1の発明によれば、本体高さや設置スペースの制約に対応して、本体の高さや奥行きを選択的に可変可能にする空気調和機を提供できる。
請求項2の発明によれば、空気の吸気や排気に影響を与えることなく空気清浄機能を維持できる。
請求項3の発明によれば、表示の見やすさと操作のしやすさを維持しつつ、表示性や操作性の悪化を防止できる。
請求項4の発明によれば、操作パネルを一つにしたことによる表示性の悪化を改善できる。
請求項5の発明によれば、本体の内部空間を有効に使用して、本体の縦横比を大きくすることができると共に、本体の高さと奥行きを大きく可変することができる。
請求項6の発明によれば、本体の置かれる方向に影響を受けることなく、空気清浄機能を維持できる。
請求項7の発明によれば、製品の薄型コンパクト化を可能にし、加湿エレメントの軽量化を図ると共に、加湿効率を向上させることができる空気調和機を提供できる。
請求項8の発明によれば、加湿能力を高めた空気調和機を提供できる。
請求項9の発明によれば、加湿能力を高めた空気調和機を提供できる。
請求項10の発明によれば、空気調和機として安価で大量生産に向く加湿機能を提供できる。
請求項11の発明によれば、空気調和機として天然素材の特徴を活かした加湿機能を提供できる。
請求項12の発明によれば、排出口の風速をある程度抑えることで、強い風による寒いという体感を和らげることが可能な空気調和機を提供できる。
請求項13の発明によれば、送風ファンからの吹出し方向を多方向化することが可能になる。
請求項14の発明によれば、集塵フィルタを配置した構成であっても、製品の薄型コンパクト化を容易に実現できる空気調和機を提供できる。しかも、空気中の塵埃などの微細粒子を効率的に除去できると共に、長期にわたり集塵フィルタの形状を維持できる。
請求項15の発明によれば、集塵フィルタに抗菌効果を持たせることが可能になる。
請求項16の発明によれば、シール用部を集塵フィルタに備えることで、空気をシールすることができる。
請求項17の発明によれば、送風ファンが汚れた場合などに、洗浄などのメンテナンスを容易に行なうことができる。
請求項18の発明によれば、ワンタッチロック機構により送風ファンを簡単に着脱できるので、洗浄などのメンテナンスを容易に行なうことができる。
本発明の第1実施例を示す空気調和機のカバーを開けた状態の全体斜視図である。 同上、空気調和機のカバーを開けた状態の側面図である。 本発明の第2実施例を示す空気調和機のカバーを開けた状態の側面図である。 同上、本体を縦置きした状態の斜視図である。 同上、本体を横置きした状態の斜視図である。 同上、操作パネルを別な位置に配設した別な変形例を示す斜視図である。 本発明の第3実施例を示す空気調和機のカバーを開けた状態の全体斜視図である。 同上、空気調和機のカバーを取付けた状態の全体斜視図である。 同上、別な例での空気調和機のカバーを開けた状態の全体斜視図である。 同上、集塵フィルタの一部部材を取り外した状態の側面図である。 同上、図10のA−A線断面図である。 同上、集塵フィルタの一部部材を取付けた状態の側面図である。 同上、集塵フィルタの一部部材を取付けた状態の正面図である。 同上、送風ファンの着脱構造を示すファンモータの斜視図である。 同上、別な例での送風ファンの着脱構造を示すファンモータの斜視図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における空気調和機の好ましい幾つかの実施例をそれぞれ説明する。なお、以下の各実施例において、共通する構成には共通する符号を付し、共通する箇所の説明は重複を避けるため極力省略する。
図1や図2は、本発明の第1実施例における空気調和機のカバー(図示せず)を開けた状態を示している。これらの各図において、1は空気調和機の外郭を形成する筐体であり、筐体1の内部には、ファンモータ3と、集塵フィルタや脱臭フィルタなどのフィルタ部4と、加湿装置5がそれぞれ組込まれる。また、ファンモータ3およびフィルタ部4を設けた上部空間6と、加湿装置5を設けた下部空間7とを部分的に区画するために、筐体1内には仕切り板8,9がそれぞれ設けられる。仕切り板8,9の間には、上部空間5と下部空間6との空気の流通を可能にする流通孔10が設けられる。
筐体1は、外形が縦長の略矩形状をなし、前述のカバーにより形成される前面1Aや、この前面1Aに対向する背面1Bの他に、前面1Aと背面1Bとの間の周縁に形成される側面として、床などに置かれる床置き面としての底面1Cと、この底面1Cの左右両端からそれぞれ立ち上がる垂直面1D,1Eと、垂直面1D,1Eの上端間に懸架する上面1Fと、を備えて構成される。また、筐体1の前面1Aを正面として見たときに、筐体1の前後方向の奥行きD1は、筐体1の上下方向の高さH1や左右方向の幅W1よりも小さな寸法で形成される。これにより、筐体1の前後方向の厚みを極力抑えた薄型コンパクト化を達成している。
筐体1は、前面側を広く開口したケーシング11と、このケーシング11の前面開口を覆うカバーと、ケーシング11の底面に装着される台座12とにより構成される。ケーシング11は、筐体1の背面1Bと、垂直面1D,1Eと、上面1Fを形成する一方で、台座12は、筐体1の底面1Cを形成し、筐体1を床面に載置したときに必要な強度を確保している。また、筐体1内部で清浄化した空気を筐体1の外部に排出するために、筐体1の垂直面1D,1Eと上面1Fには、上部空間6の外周側部と外周上部に対向して、筐体1の内外を連通する吹出し口としての排気口14がそれぞれ開口形成される。なお、図1に示す加湿装置5は、必要に応じて筐体1内に配置すればよく、加湿装置5を筐体1内に配置しない場合、筐体1の底面1Cにも下部空間7の外周下部に対向して、同様の排出口14を開口形成することで、筐体1からの排気量を向上させてもよい。
ファンモータ3は、駆動源としてのモータ17と、このモータ17の回転軸(図示せず)に取付けられ、外周方向(遠心方向)に複数の羽根18を有する回動自在なファン19とにより構成される。ファンモータ3は、いわゆる遠心ファンの構造を有し、モータ17の駆動力がファン19に伝達して、モータ17の回転軸を中心にファン19が回動すると、筐体1の前面1Aおよび/または背面1Bに設けた図示しない吸気口から筐体1の内部に空気を取り込み、モータ17の回転軸に直交する外周方向に空気を送り出す構成となっている。
フィルタ部4は、正面から見て略円形をなすファンモータ3を取り囲むように、モータ17の回転軸であるファンモータ3の中心軸に対して同心位置に設けられる。また、ファンモータ3とフィルタ部4は、共に筐体1の薄い厚さ方向である奥行きD1の方向と垂直な方向に設けられる。つまり、空気調和機としての薄型コンパクト化を図るために、ファンモータ3とドーナツ形のフィルタ部4の外周方向が、何れも筐体1の奥行きのD1の方向と垂直になるように、同心位置にあるファンモータ3とフィルタ部4を配置している。
フィルタ部4の具体的な例としては、空気を清浄化するための集塵フィルタや脱臭フィルタが挙げられる。集塵フィルタは、空気中のごみや塵埃を取り除くためのもので、例えばプリーツ加工されたHEPAフィルタや電気集塵装置などが適用できる。また、脱臭フィルタは空気中の臭気を取り除くためのもので、例えば光触媒や活性炭などを利用したものなどが適用できる。ここでは、集塵フィルタや脱臭フィルタの何れかをフィルタ部4とする代わりに、集塵フィルタと同心で、集塵フィルタの外周方向内側または外周方向外側に、脱臭フィルタを配置して、これらをフィルタ部4としてもよい。また、集塵フィルタと脱臭フィルタとを一体的な構造としたフィルタ部4でもよい。
21は、回転する羽根18がフィルタ部4に触れないように、ファンモータ3とフィルタ部4との間に設けられる円筒状のフレームである。このフレーム21は、ファンモータ3やフィルタ部4と同心に配置され、ファンモータ3からフィルタ部4に空気を流通する孔22が、ファン19の外周全体に対向して多数設けられている。
加湿装置5は、液体である水を貯留するタンク24と、直立状態にあるタンク24からの水を一定の液位に保つ有底状のトレイ25と、トレイ25内の水に浸され、フィルタ部4を通して清浄化された空気を加湿する加湿フィルタ26とにより構成される。加湿フィルタ26は、加湿した空気を上部空間6に導くために、流通孔10に臨んで設けられる。
また、本実施例では示していないが、加湿フィルタ26をドーナツ形にして、前述したフィルタ部4と同心位置で、筐体1の奥行きD1の方向と垂直な方向に設けてもよい。この場合の加湿フィルタ26も、フィルタ部4を通して清浄化された空気を加湿するために、当該フィルタ部4の外周方向外側に配置される。また、加湿フィルタ26の位置に拘わらず、その加湿フィルタ26から加湿した空気を、筐体1の底面1Cから排出する排出口を、当該筐体1の底面1Cに開口形成してもよい。
次に、上記構成についてその作用を説明する。図示しない運転ボタンを押動することにより、空気調和機の運転開始を指示すると、ファンモータ3を構成するモータ17に所定の電力が供給され、ファン19が回動する。これにより、筐体1の前面1Aおよび/または背面1Bに設けた吸込み口としての吸気口から、筐体1の内部に空気が取り込まれ、その空気はファン19の遠心力によって、ファン19の外周方向にあるフレーム21の孔22からフィルタ部4を通して、フィルタ部4の外周側に送り出される。
ここで、フィルタ部4に集塵フィルタとしての機能を有する場合、フィルタ部4に空気が通過する過程でごみや塵埃が除去され、フィルタ部4に脱臭フィルタとしての機能を有する場合、フィルタ部4に空気が通過する過程で臭い成分が除去され、フィルタ部4の外周側から筐体1の垂直面1D,1Eと上面1Fにそれぞれ設けた排出口14を通して、筐体1の上方向と左右方向の三方向から清浄化した空気がそれぞれ排出される。
また、筐体1の内部に加湿装置5を備えた空気調和機では、タンク24に所定量の水を投入して、このタンク24を直立状態でトレイ25に装着することにより、トレイ25を介して加湿フィルタ26を水分で浸すことで、当該加湿フィルタ26から気化した空気が発生する。図1に示すような、加湿フィルタ26を流通孔10に臨んで設けた場合には、フィルタ部4から発生する清浄した空気の流れに乗って、加湿フィルタ26からの加湿した空気が、流通孔10から排出口14を通して、筐体1の上方向と左右方向の三方向からそれぞれ排出される。また、フィルタ部4の外周方向外側に加湿フィルタ26を配置した場合は、フィルタ部4から発生する清浄した空気が、ほぼ均等に加湿フィルタ26を通過することになり、排出口14を通して筐体1の上方向と左右方向の三方向から、加湿した空気を万遍なく排出することができる。
以上のように本実施例では、フィルタ部4であるドーナツ形の集塵フィルタと、ファンモータ3とを、同心位置で、筐体1の薄い厚さ方向である奥行きD1の方向と垂直な方向に設けている。
また本実施例では、フィルタ部4であるドーナツ形の脱臭フィルタと、ファンモータ3とを、同心位置で、筐体1の薄い厚さ方向である奥行きD1の方向と垂直な方向に設けている。
これらの場合、集塵フィルタまたは脱臭フィルタとファンモータ3とを、筐体1の厚みのある方向(例えば、図1では高さH1の方向や幅W1の方向)はもとより、薄い厚さ方向である奥行きD1の方向にも並べて配置しないため、製品の薄型コンパクト化が可能になる。また、筐体1内の空きスペースである下部空間7に、例えば加湿装置5などの部品を水平配置するなどして、部品配置方法の自由度を向上させることができる。さらに構造上、ファンモータ3の外周方向から集塵フィルタまたは脱臭フィルタの全面積で、効率よく確実に通風可能になると共に、集塵フィルタまたは脱臭フィルタに万遍なく空気が通過することから、集塵フィルタまたは脱臭フィルタの長寿命化が図れる。
また、ドーナツ形の脱臭フィルタに加えて、ドーナツ形の集塵フィルタを、脱臭フィルタと同心位置で、筐体1の薄い厚さ方向である奥行きD1の方向と垂直な方向に設けてもよい。
こうすると、集塵フィルタと同心の円周内側方向または円周外側方向に、脱臭フィルタが配置され、これらの集塵フィルタや脱臭フィルタとファンモータ3とを、筐体1の厚みのある高さH1の方向や幅W1の方向はもとより、筐体1の薄い厚さ方向である奥行きD1の方向にも並べて配置しないため、集塵フィルタと脱臭フィルタを備えた構造でありながら、製品の薄型コンパクト化が可能になる。
また、これらの集塵フィルタと脱臭フィルタを一体構造にしてもよい。集塵フィルタと脱臭フィルタを一体構造にするため、製品のさらなる薄型コンパクト化が可能になる。
本実施例ではさらに、筐体1内に加湿装置5を組み込んで、加湿フィルタ26から加湿した空気を、筐体1の外部に排出できる構成を備えているが、特にドーナツ形の加湿フィルタ26を、脱臭フィルタおよび/または集塵フィルタからなるフィルタ部4と同心位置で、筐体1の奥行きD1の方向と垂直な方向に設けるのが好ましい。
この場合、集塵フィルタや脱臭フィルタと同心位置に、ドーナツ形の加湿フィルタ26が配置されるので、集塵フィルタや脱臭フィルタの他に、加湿フィルタ26を備えた構造でありながら、製品の薄型コンパクト化が可能になる。また、筐体1内に例えば他の加湿装置5の部品を水平配置するなどして、部品配置方法の自由度を向上させることができる。さらに構造上、ファンモータ3の外周方向から加湿フィルタ26に風を当てて、加湿フィルタ26を最適効率で使用でき、加湿フィルタ26の全面積で、効率よく確実に通風可能になると共に、加湿フィルタに万遍なく空気が通過することから、加湿フィルタの長寿命化が図れる。
また本実施例では、集塵フィルタおよび/または脱臭フィルタからなるフィルタ部4で清浄化した空気を、同心の円周外側方向へ排出する構成となっている。
この場合、集塵フィルタや脱臭フィルタで清浄化した空気が、集塵フィルタや脱臭フィルタの円周外側方向へ広範囲に排出されるため、空気調和機として室内清浄能力を高め、且つ製品設置場所の自由度を向上することが可能になる。
また、集塵フィルタや脱臭フィルタで清浄化した空気だけでなく、加湿フィルタ26で加湿した空気も、同心の円周外側方向へ排出する構成としてもよい。
この場合、加湿フィルタ26で加湿した空気が、加湿フィルタ26の円周外側方向へ広範囲に排出されるため、空気調和機として加湿能力を高め、且つ製品設置場所の自由度を向上することが可能になる。
本実施例では、清浄化した空気の排出口14を、筐体1の上下方向である底面1Cおよび上面1Fと、上下以外の側面方向であに設けている。
このようにすると、筐体1の底面1Cと、垂直面1D,1Eと、上面1Fから、集塵フィルタや脱臭フィルタで清浄化した空気をそれぞれ排出でき、製品設置場所の自由度を向上することが可能になる。
また、清浄化した空気の排出口14を、筐体1の下方向以外の例えば垂直面1D,1Eと上面1Fに設けてもよい。
このようにすると、筐体1の下方向以外の任意の方向から、集塵フィルタや脱臭フィルタで清浄化した空気を排出でき、やはり製品設置場所の自由度を向上することが可能になる。
さらに、加湿装置5を備えたものでは、加湿した空気の排出口を、筐体1の下方向である底面1Cに設けてもよい。
この場合、筐体1の下方向である底面1Cから、加湿フィルタ26による加湿した空気を排出することができる。
図3〜図6は、本発明の第2実施例を示す空気調和機を示している。図3は、第1実施例と同様に、空気調和機のカバーを開けた状態を示している。同図において、17Aは第1実施例で図示されていなかったモータ17の回転軸で、送風ファン19はこの回転軸17Aを中心に図中矢印方向に回動するようになっている。また、31は第1実施例の筐体1に相当する本体である。本体31の内部は、仕切り板8により上部空間6と下部空間7に区画されている。下部空間7には、空気調和機の各部に必要な電力を供給する電源ユニットや、各部を制御する制御装置などを含む電装部32が組み込まれる。本実施例では、電装部32の安全性を確保するために、上部空間6と下部空間7とを仕切り板8で隙間なく完全に区画している。それ以外の本体31の内部構成は、第1実施例で示したものと概ね共通している。
図4は、本体31を縦置きした状態の空気調和機を示し、図5は、本体31を横置きした状態の空気調和機を示している。図3〜図5の各図において、本体31は、一側を広く開口した有底状のケーシング11と、このケーシング11の一側開口を塞ぐカバー33とにより構成される。本体31は、外形が略矩形状をなし、カバー33により形成される一方の側面31Aや、この一方の側面31Aに対向する他方の側面31Bの他に、一方の側面31Aと他方の側面31Bとの間の周縁に形成される高さおよび奥行き面として、床などに置かれる2つの床置き面31C,31Dと、一方の床置き面31Cに対向する一方の排気口面31Eと、他方の床置き面31Eに対向する他方の排気口面31Fと、を備えて構成される。また、図4に示すように、本体31の一方の床置き面31Cを床に置いた縦置きの状態で、他方の排気口面31Fを正面として見たときに、本体31の上下方向の高さとなり、図5に示すように、本体31の一方の床置き面31Cを床に置いた横置きの状態で、一方の排気口面31Eを正面として見たときに、本体31の前後方向の高さとなる床置き面31Dの長辺の寸法S1は、図4に示す状態で本体31の前後方向の奥行きとなり、図5に示す状態で本体31の上下方向の高さとなる床置き面31Cの長辺の寸法S2よりも大きい。
つまり、どちらの床置き面31C,31Dを床に置いた場合でも、一方が本体31の高さとなり、他方が本体31の奥行きとなる寸法S1,S2は異なる長さに形成され、また一方の床置き面31Cを床に置いた場合、その床置き面31Cに対して垂直面となる本体31の高さ寸法S1と、他方の床置き面31Dを床に置いた場合、その床置き面31Dに対して垂直面となる本体31の高さ寸法S2は異なる長さに形成される。これによりユーザは、本体31の置き方によって、本体31の高さや奥行きを選択的に選ぶことができる。
本実施例では、本体31の一方の側面31Aと他方の側面31Bに、本体31へ空気を吸い込むための2つの吸気口34がそれぞれ設けられ、本体31の一方の排気口面31Eと他方の排気口面31Fに、本体31内で清浄化した空気を排出するための複数の排気口14がそれぞれ設けられており、少なくとも床置き面31C,31Dを除く四面の何れかまたは全てに、吸気口34や排気口14が設けられる。したがって、例えば排気口面31Eと他方の排気口面31Fに相当する床置き面31C,31Dの対向する二面に吸気口34を設け、側面31A,31Bに排気口14を設けてもよいし、床置き面31Cに対向する面に排気口14を設ける一方で、床置き面31Cに連接する面であって、床置き面31Dに対向する面に吸気口34を設け、これらの排気口14や吸気口34の近傍に位置して、側面31A,31Bにもそれぞれ排気口14や吸気口34を設けてもよい。この場合は、床置き面31C,31Dに対向する一面に、吸気口34または排気口14を設けることが可能になり、どの床置き面31C,31Dを床に置いた場合でも、空気清浄機能を効率的に維持できる。また、床置き面31C,31Dに連接する面とは、例えば一方の床置き面31Cを床に置いたときに、垂直な側面を形成する他方の排気口面31Fに相当する面であり、どの床置き面31C,31Dを床に置いた場合でも、吸気口34や排気口14が本体31の側面に位置するので、空気の吸気や排気に影響を与えることなく空気清浄機能を維持できる。
その他、一方の床置き面31Cを床に置いたときに本体31の正面を形成し、他方の床置き面31Cを床に置いたときに本体31の上面を形成する他方の排気口面31Fには、例えば空気調和機の運転状況を表示する表示部や、運転開始や停止などを操作する操作部などを備えた操作パネル35が設けられる。操作パネル35は、一方の床置き面31Cを床に置いたときに、この床置き面31Cに連接する面である他方の排気口面31Fの、本体31の上側に位置して設けられる。本体31の内部には、本体31の方向、すなわち本体31の床置き面31C,31Dのどちらが床に置かれたのかを判別する方向センサとしての検知手段36が内蔵されている。前述の電装部42を構成する制御装置には、検知手段36からの検知信号を受けて、床置き面31C,31Dのどちらが床に置かれた場合でも、操作パネル35の表示方向が上下逆にならないように変更する表示制御手段(図示せず)を備えている。
なお、図4や図5に示す空気調和機は、一方の床置き面31Cを床に置いた時に、本体31の上部に位置して、他方の排気口面31Fに操作部35を設けているが、図6に示すように、一方の排気口面31Eと他方の排気口面31Fとの間の隅部にC面取りされた面取り部37を形成し、この面取り部37に操作パネル35を好ましくは面一に設けてもよい。何れの場合も、1個の操作パネル35で、どの床置き面31C,31Dを床に置いた場合でも、本体31の上部に操作パネル35を位置させることができ、表示の見やすさと操作のしやすさを維持しつつ、表示性や操作性の悪化を防止できる。また、図6に示す変形例でも、上述した検知手段36や表示制御手段を備えることが好ましい。
次に上記構成について、その作用を説明する。操作パネル35の運転ボタンを押動することにより、空気調和機の運転開始を指示すると、ファンモータ3を構成するモータ17に所定の電力が供給され、ファン19が回動する。これにより、本体31の前面31Aおよび背面31Bに設けた吸気口34から本体31の内部に空気が取り込まれ、その空気はファン19の遠心力によって、ファン19の外周方向にあるフレーム21の孔22からフィルタ部4を通して、フィルタ部4の外周側に送り出される。
ここで、集塵フィルタおよび/または脱臭フィルタからなるフィルタ部4は、ごみや塵埃および/または臭い成分を除去するため、フィルタ部4の外周側から本体31の排気口面31E,31Fにそれぞれ設けた排出口14を通して、本体31の二方向から清浄化した空気がそれぞれ排出される。
本実施例における本体31の特徴は、2つの床置き可能な床置き面31C,31Dを有していて、一方の床置き面31Cを床に置いた場合と、他方の床置き面31Dを床に置いた場合に、本体31の高さと奥行きの寸法を変更できることにある。
吸気口34や排気口14を、複数の床置き面31C,31Dに各々対向する面に設けることで、どの床置き面31C,31Dを床に置いた場合でも、吸気口34または排気口14を本体31の上面に配置でき、本体31の背面に位置する吸気口や排気口が壁などに閉塞されることがない。したがって、必要な吸気特性や排気特性を維持でき、空気清浄機能を確保することができる。また、周辺にソファーやテーブルなどの障害物があった場合でも、本体31の上面から吸気や排気ができ、空気清浄機能を確保することができる。
なお、床置き面31C,31Dに連接する本体31の側面に吸気口34や排気口14を設けた場合、本体31の上面側に吸気口34や排気口14を位置させることで、本体31の周囲に前述のような障害物があった場合に、吸気口34や排気口14が閉塞しにくい構成とするのが好ましい。
また操作パネル35に関し、本実施例では、床に載置する床置き面31C,31Dを変えて、本体31の高さを変えた場合も、1個の操作パネル35でありながら、常に操作パネル35が本体31の上面、または側面上側(上面近傍)に位置する。従って、表示パネル35を通して表示が見やすく、操作スイッチの操作やすさも維持でき、表示性や操作性を悪化させる不具合が防止される。また、本体31の周囲に前述のような障害物があった場合でも、操作パネル35が隠れてしまう不具合を防止できる。さらに、検知手段36が本体31の載置される方向を検知し、その検知した方向に応じて、操作パネル35の表示をユーザが見やすい方向に変更するので、本体31の高さが変わる毎に、いちいち操作パネル35の見る方向を変える必要がない。したがって、操作パネル35を一つにしたことによる表示性の悪化を改善できる。
本体31の内部構成に関し、ここではフィルタ部4の下方に位置して、電源ユニットを含む電装部32が配置される。この場合、短い辺の長さを有する床置き面31Cを床に置いたときに、本体31の奥行きとなるその短い辺の寸法S2は、フィルタ部4の幅を目安に極力小さく形成する一方で、フィルタ部4の下方に電源ユニットを配置することを利用して、本体31の高さの寸法を奥行きの寸法よりも大きくする。これにより、本体31の内部空間を有効に使用でき、本体31の縦横比を大きくできる。また、床に載置する床置き面31C,31Dを選択的に変えることで、本体31の高さや奥行きを可変可能とする場合に、本体31の縦横比が大きい程、その効果が高くなるが、本実施例における本体31の内部構成では、本体31の高さと奥行きを大きく可変することができる。
さらに、環状のフィルタ部4の内側にファン19を配置することで、ファン19により本体31の内部に吸引した空気は、ファン19の外側にあるフィルタ部4を通して排気される。この場合、ファン19の前後両面に位置する本体31の側面31A,31Bから吸気が可能になると共に、環状のフィルタ部4の全周囲から排気が可能になり、本体31の置かれる方向に影響を受けることがない。この点でも、本実施例の空気調和機は、その空気清浄機能を良好に維持できる。
以上のように、上記実施例によれば、本体31の二面に床置き面31C,31Dを設け、一方の床置き面31Cを床に置いたときの本体31の高さである寸法S1が、他方の床置き面31Dを床に置いたときの本体31の高さである寸法S2と異なり、一方の床置き面31Cを床に置いたときの本体31の奥行きである寸法S2が、他方の床置き面31Dを床に置いたときの本体31の奥行きである寸法S1と異なるように、一方の床置き面31Cの辺の寸法S2と他方の床置き面31Dの辺の寸法S1を異なる長さに形成している。
この場合、部屋の中などに空気調和機を設置する際に、一方の床置き面31Cまたは他方の床置き面31Dの何れかを床に置くことで、本体31の高さを選ぶことができる。また、空気調和機を設置する面の奥行きに制約がある場合でも、同様に一方の床置き面31Cまたは他方の床置き面31Dの何れかを床に置くことで、本体31の奥行き長さを選ぶことができる。そのため、本体高さや設置スペースの制約に対応して、本体31の高さや奥行きを選択的に可変可能にすることができる。
また本実施例では、床置き面31C,31Dに対向する二面である排気口面31E,31Fに吸気口34または排気口14を設けている。
この場合、どちらの床置き面31C,31Dを床に置いた場合でも、これらの床置き面31,31Dに対向する本体31の上面に吸気口34または排気口14が位置することになり、空気の吸気や排気に影響を与えることなく空気清浄機能を維持できる。
また本実施例では、一方の床置き面31Cまたは他方の床置き面31Dを床に置いたときに、何れも本体31の上部に位置するように、床置き面31C,31Dを床に置いたときに、この床置き面31C,31Dに対向して、本体31の上面を形成する排気口面31E,31Fに、または床置き面31C,31Dに連接する面である排気口面31E,31Fの、本体31の上側に位置して操作パネル35を設けている。
この場合、どの床置き面31C,31Dを床に置いた場合でも、本体31の上部に操作パネル35を位置させることができ、表示の見やすさと操作のしやすさを維持しつつ、表示性や操作性の悪化を防止できる。
また本実施例では、本体31の載置方向を検知する検知手段36と、検知手段36からの出力を受けて、操作パネル35の表示方向を変更する表示制御手段とを備えている。
この場合、どの床置き面を床に置いた場合でも、操作パネル35の表示が上下逆にならないように、表示制御手段が操作パネル35を制御することができ、操作パネル35を一つにしたことによる表示性の悪化を改善できる。
また本実施例では、短い辺の長さを有する例えば一方の床置き面31Cを床に置いたときに、本体31内部の上方には、空気清浄フィルタであるフィルタ部4と、送風ファンであるファン19と、ファン19を駆動するモータ17が設けられ、本体31内部の下方には、フィルタ部4の下方に位置して、モータ17を駆動する電源ユニットを含む電装部32が配置される。
この場合、短い辺の長さを有する床置き面31Cを床に置いたときに、本体31の奥行きとなるその短い辺の寸法S2は、フィルタ部4の幅を目安に極力小さく形成する一方で、フィルタ部4の下方に電源ユニットを配置することで、本体31の高さの寸法を奥行きの寸法よりも大きくし、本体31の内部空間を有効に使用して、本体31の縦横比を大きくすることができる。また、床に載置する床置き面31C,31Dを選択的に変えることで、本体31の高さや奥行きを可変可能とする場合に、本体31の縦横比が大きい程、その効果が高くなり、本体31の高さと奥行きを大きく可変することができる。
また、本実施例のフィルタ部4は環状で、フィルタ部4の内側にファン19を配置している。
従来の空気調和機では、空気清浄フィルタと吸気や排気用に設けた送風ファンを、本体内部の前後または左右に重ねて配置しており、本体の前側にある空気清浄フィルタを通して空気を吸引し、清浄化した空気を本体の上方に排気する構造を有するため、本実施例のような本体31の置き方を変更できる空気調和機では、常に本体の上方から排気を行なうことができない。
それに対して本実施例では、フィルタ部4を環状に形成しそのフィルタ部4の内側に回動するファン19を配置して、ファン19により本体31の内部に吸引した空気を、ファン19の外側にあるフィルタ部4を通して排気する構造になっているので、ファン19の前後両面に位置する本体31の側面31A,31Bから吸気が可能になると共に、環状のフィルタ部4の全周囲から排気が可能になり、本体31の置かれる方向に影響を受けることなく、空気清浄機能を維持できる。
図7〜図15は、本発明の第3実施例における空気調和機を示している。空気調和機の全体構成を示す図7と図8において、ここでは加湿装置5を構成する環状の加湿フィルタ26が、正面から見て略円形をなすファンモータ3を取り囲むように、モータ17の回転軸であるファンモータ3の中心軸に対して同心位置に設けられる。また、ファンモータ3を構成する送風ファンとしてのファン19は、後ろ向きに反った羽根18を有し、外周がケーシングなどで囲まれていないターボファンとして、モータ17の回転軸に取付けられている。そして、モータ17の駆動力がファン19に伝達して、モータ17の回転軸を中心にファン19が回動すると、筐体1の前面1Aおよび/または背面1Bに設けた吸気口34から筐体1の内部に空気を取り込み、モータ17の回転軸に直交する外周方向に空気を送り出す構成となっている。
筐体1は、第1実施例と同様に外形が縦長の略矩形状をなし、前面1Aと、背面1Bと、底面1Cと、垂直面1D,1Eと、上面1Fと、を備えて構成される。筐体1の前面1Aを正面として見たときに、筐体1の前後方向の奥行きD1は、筐体1の上下方向の高さH1や左右方向の幅W1よりも小さな寸法で形成され、ここでも筐体1の前後方向の厚みを極力抑えた薄型コンパクト化を達成している。
筐体1は、前面側を広く開口したケーシング11と、このケーシング11の前面開口を覆うカバーと、ケーシング11の底面に装着される台座12とにより構成される。ケーシング11は、筐体1の背面1Bと、垂直面1D,1Eと、上面1Fを形成する一方で、台座12は、筐体1の底面1Cを形成し、筐体1を床面に載置したときに必要な強度を確保している。また、筐体1内部で字加湿した空気を筐体1の外部に排出するために、筐体1の垂直面1D,1Eと上面1Fには、加湿フィルタ26の外周面に対向して、筐体1の内外を連通する吹出し口としての排気口14がそれぞれ開口形成される。
加湿装置5は、加湿エレメントとしての加湿フィルタ26の他に、加湿フィルタ26に液体である水を浸す有底状のトレイ25や、トレイ25に水を供給するタンク(図示せず)などを備えている。この中で、トレイ25やタンクは、加湿フィルタ26に液体を供給する液体供給源として、筐体1に組み込まれている。また、保液機能を有する加湿フィルタ26は、それ自体の軽量化と単位体積当たりの加湿効率向上のために、繊維で編み込まれたフィルター式のものが採用される。好ましくは、加湿能力をさらに高めるために、加湿フィルタ26を立体構造の編物やプリーツ形状で形成してもよい。また、プリーツ形状の加湿フィルタ26では、生産性を考慮して不織布や、素材の特徴を生かしてパルプなどの天然素材を用いてもよい。その他、加湿装置5としての機能は、第1実施例で説明した通りである。
図7に示す例では、第1実施例で示した空気清浄フィルタとしてのフィルタ部4が設けられていないが、図9に示すように、ファンモータ3と加湿フィルタ26との間に環状のフィルタ部4を設けてもよい。このフィルタ部4も、ファンモータ3を取り囲むように、ファンモータ3の中心軸に対して同心位置に設けられる。また、図9に示す例では、筐体1に取付け固定されたモータ17の回転軸に対して、ファン19を簡単に着脱できるように、人の手で操作可能な着脱機構41が設けられる。この着脱機構41の詳細については、後程説明する。
図10〜図13は、本実施例で適用するフィルタ部4の詳細な構成を示している。図10と図11において、ここでのフィルタ部4は、正面から見て全体がドーナツ(円環)状に形成され、空気調和機に使用する集塵フィルタ43として構成される。集塵フィルタ43は、当該集塵フィルタ43の中心に位置するファンモータ3からの空気が、ドーナツ形をなす集塵フィルタ43の内側から外側方向へ通るように、円周方向にプリーツ(ひだ)を形成してなる。また、集塵フィルタ43の外側外周面である円周方向外側には、抗菌フィルタ44が配設される。この抗菌フィルタ44は、フィルタ部4に集塵効果だけでなく抗菌効果を持たせるのに設けられたもので、集塵フィルタ43の円周方向外側の少なくとも一部に設けてあればよい。
図10や図11に示すフィルタ部4は、さらに板状部材45やシール用部材46が取り付けられる。図12および図13は、これらの各部材を取付けた状態のフィルタ部4を示している。45は、集塵フィルタ43の対向する正面と背面の各側面にそれぞれ取付けられた板状部材である。この板状部材45は、硬い板や紙などの素材で集塵フィルタ43を両側から挟むことにより、集塵フィルタ43の形状を維持するように形成される。また、板状部材45の集塵フィルタ43に対向しない外面には、発泡ゴムやスポンジなどの弾性素材からなるシール用部材46が設けられる。このシール用部材46は、筐体1内にフィルタ部4を取付けたときに、筐体1の前後側面と集塵フィルタ43との間に挟まれるように装着され、筐体1の内部で、ファンモータ3からの空気が集塵フィルタ43を通らずに抜け出すのを防ぐシールの役割を果たしている。なお、図12や図13に示す例では、2枚の板状部材45のそれぞれにシール用部材46を設けているが、好くなくとも板状部材45の一方にシール用部材46を設けてあればよい。
図14および図15は、前述の着脱機構41の詳細を示したものである。図14は、ワンタッチロック機構による着脱機構41を備えた例を示しており、ここでの着脱機構41は、モータ17の回転軸先端に取付けられるキャップ51と、押動操作によりキャップ51とモータ17の回転軸との係合をワンタッチで解除するボタン52とを備えて構成される。また図示しないが、キャップ51の内部には、可動部材と、この可動部材をモータ17の回転軸に係合する方向に付勢する付勢部材が組み込まれている。
そして、空気調和機の使用時には、予めモータ17の回転軸にファン19を取付けた状態で、ファン19から突出したモータ17の回転軸の先端にキャップ51を押し込んで装着すると、付勢部材の付勢力によってモータ17の回転軸に可動部材が係合し、着脱機構41ひいてはファン19の外れ止めがなされる。一方、ファン19を単体で洗浄する場合などには、付勢部材の付勢力に抗してボタン52を図14の矢印方向Aに押動操作すると、キャップ51とモータ17の回転軸との係合を解除できる。その後、モータ17の回転軸方向に沿ってキャップ51を矢印方向Bに動かせば、着脱機構41をモータ17の回転軸から離脱させることができ、引き続きファン19も簡単に取り外すことができる。
図15は、スピンナーによる着脱機構41を備えた例を示しており、ここでの着脱機構41は、モータ17の回転軸先端に取付けられるキャップ53を備えて構成され、キャップ53は、それ自身を回転操作することにより、モータ17の回転軸に係合し、またはモータ17の回転軸から離脱するネジ機構を有する。
そして、空気調和機の使用時には、予めモータ17の回転軸にファン19を取付けた状態で、ファン19から突出したモータ17の回転軸の先端にキャップ53を突き当てて、時計方向にキャップ53を回すと、キャップ53はモータ17の回転軸方向に沿って、矢印方向Bとは逆方向に移動しながらモータ17の回転軸に係合し、着脱機構41ひいてはファン19の外れ止めがなされる。一方、ファン19を単体で洗浄する場合などには、キャップ53を反時計方向、すなわち図15の矢印方向Cに回すと、キャップ53はモータ17の回転軸方向に沿って矢印方向Bに移動して、着脱機構41をモータ17の回転軸から離脱させることができ、引き続きファン19も簡単に取り外すことができる。
次に、上記構成についてその作用を説明する。空気調和機の運転開始を指示するために、図示しない運転ボタンを押動すると、モータ17に所定の電力が供給され、ファン19が回動する。これにより、筐体1の前面1Aおよび/または背面1Bに設けた吸気口34から、筐体1の内部に空気が取り込まれ、その空気はファン19の遠心力によって、ファン19の外周方向にある加湿フィルタ26を通して、当該加湿フィルタ26に送り出される。
ここで、加湿フィルタ26の内周側に、図9で示したようなフィルタ部4が存在する場合、ファンモータ3からの空気は、円周方向に形成された集塵フィルタ43のプリーツに沿って流れ、空気中のごみや塵埃を効果的に除去する。また、集塵フィルタ43の他に抗菌フィルタ44を備えたものでは、集塵フィルタ43で捕捉した菌の働きを、抗菌フィルタ44で抑制することができる。何れの場合も、フィルタ部4から加湿フィルタ25の全周に向けて、清浄化された空気が送り出される。
繊維で編み込まれた加湿フィルタ26は、予めタンクからトレイ25に供給された水にその一部が浸されており、立体構造編み物またはプリーツ形状とすることで、トレイ25内の貯留水を効果的に吸い上げて、加湿能力を高めるようになっている。そして、回動するファン19から送り出され、必要に応じてフィルタ部4で清浄化された空気は、加湿フィルタ26を通過することにより、加湿フィルタ26に含まれる水分を気化し、筐体1の垂直面1D,1Eと上面1Fにそれぞれ設けた排出口14を通して、筐体1の上方向と左右方向の三方向から加湿した空気がそれぞれ万遍なく排出される。
以上のように本実施例では、送風ファンであるファン19と、ファン19を取り囲むように配置される環状の加湿エレメントとしての加湿フィルタ26と、加湿フィルタ26に液体である水を供給する液体供給源としてのトレイ25と、により構成される空気調和機において、加湿フィルタ26は、繊維で編み込んで保水するフィルタであり、ファン19により送り出された風が加湿フィルタ26を通過し、加湿フィルタ26の水分を気化して加湿する構成としている。
この場合、ファン19を含めたファンモータ3と厚み方向で同じ位置に加湿エレメントとしての加湿フィルタ26を配置できるので、製品の薄型コンパクト化が可能になる。特に、加湿フィルタ26はディスクタイプではなく、繊維を編み込んだフィルタタイプであるので、加湿フィルタ26としての重量や体積当たりの加湿効率が向上する。
また本実施例では、加湿フィルタ26が立体構造編物であり、加湿エレメントとなる加湿フィルタ26を立体的な構造とすることで、加湿能力を高めることができる。
また本実施例では、加湿フィルタ26をプリーツ形状とし、加湿エレメントとなる加湿フィルタ26をプリーツ状に形成することでも、加湿能力を高めることができる。
この場合のプリーツ形状は不織布からなるのが好ましく、プリーツ形状の加湿フィルタ26を不織布とすることで、安価で大量生産に向く加湿機能を提供できる。
代わりに、プリーツ形状が天然素材からなる場合、プリーツ形状の加湿フィルタ26をパルプなどの天然素材とすることで、その天然素材の特徴を活かした加湿機能を提供できる。
図9にも示してあるように、本実施例では、ファン19の下流側に、加湿フィルタ26の他に空気清浄フィルタとしてのフィルタ部4を備え、清浄した空気の排出口14を、加湿フィルタ26やフィルタ部4を収容する筐体1の左面および右面と上面の少なくとも三方向に設けている。
この場合、フィルタ部4で清浄した空気が、排出口14を通して三方向に分散して排出されるので、風量が大きくても吹出し面積が大きく、風速を下げることができる。このように、排出口14の風速をある程度抑えることで、強い風による寒いという体感を和らげることができる。
また、ここでのファン19をターボファンとすることで、ケーシングを無くし、ファン19からの吹出し方向を多方向化することが可能になる。
本実施例では、前述のフィルタ部4に関し、ドーナツ形の集塵フィルタ43を更に備え、この集塵フィルタ43は、当該集塵フィルタ43の中心から外側方向へ風である空気が通過できるように、円周方向にプリーツを形成し、このプリーツの対向する正面と背面の各側面に、硬い板や紙などの素材からなる板状部材45を挟持して、集塵フィルタ43のドーナツ形状を維持する構成としている。
このように、加湿フィルタ26やファン19と厚み方向で同じ位置に集塵フィルタ43を配置できるため、集塵フィルタ43を配置した構成であっても、製品の薄型コンパクト化を容易に実現できる。また、集塵フィルタ43のプリーツが、空気の通過する方向に置かれるため、空気中の塵埃などの微細粒子を集塵フィルタ43で効率的に除去できると共に、集塵フィルタ43は長期にわたりその形状を維持できる。
また本実施例では、集塵フィルタ43の外側周面に抗菌フィルタ44を備えることで、塵埃などの微細粒子を捕捉する集塵フィルタ43に、抗菌フィルタ44による抗菌効果を持たせることが可能になる。
さらに本実施例では、板状部材45にシール用部材46を取付けており、シール用部材46を集塵フィルタ43に備えることで、集塵フィルタ43の前後側面を挟みようにシール用部材46がセットされ、それにより空気をシールすることができる。
また、図15に示す実施例では、ファン19を着脱可能に固定するスピンナーとしての着脱機構41を設けている。この場合、ファン19が汚れた場合などに、スピンナーによる着脱機構41を手で回すだけで、ファン19を簡単に着脱できるので、洗浄などのメンテナンスを容易に行なうことができる。
さらに、図14に示す実施例では、ファン19を着脱可能に固定するワンタッチロック機構としての着脱機構41を設けている。この場合、ファン19が汚れた場合などに、ワンタッチロック機構による着脱機構41を手で押動操作するだけで、ファン19を簡単に着脱できるので、洗浄などのメンテナンスを容易に行なうことができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、第2実施例における操作パネル35の特徴を、第1実施例に組み入れてもよいなど、各実施例における特徴を別な実施例のものと適宜組み合わせてもよい。
4 フィルタ部(空気清浄フィルタ)
14 排出口
17 モータ
19 ファン(送風ファン)
25 トレイ(液体供給源)
26 加湿フィルタ(加湿エレメント)
31 本体
31C,31D 床置き面
32 電装部(表示制御手段、電源ユニット)
34 吸気口
35 操作パネル
36 検知手段
41 着脱機構(スピンナー,ワンタッチロック機構)
43 集塵フィルタ
44 抗菌フィルタ
45 板状部材
46 シール用部材

Claims (18)

  1. 本体の二面に床置き面を設け、一方の前記床置き面を床に置いたときの前記本体の高さが、他方の前記床置き面を床に置いたときの前記本体の高さと異なり、一方の前記床置き面を床に置いたときの前記本体の奥行きが、他方の前記床置き面を床に置いたときの前記本体の奥行きと異なるように、一方の前記床置き面の辺と他方の前記床置き面の辺を異なる長さに形成したことを特徴とする空気調和機。
  2. 前記床置き面に対向する二面に吸気口または排気口を設けたことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
  3. 一方の前記床置き面または他方の前記床置き面を床に置いたときに、何れも前記本体の上部に位置する操作パネルを設けたことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
  4. 前記本体の載置方向を検知する検知手段と、
    前記検知手段からの出力を受けて、前記操作パネルの表示方向を変更する表示制御手段とを備えたことを特徴とする請求項3記載の空気調和機。
  5. 短い辺の長さを有する前記床置き面を床に置いたときに、前記本体内部の上方には、空気清浄フィルタと、送風ファンと、前記送風ファンを駆動するモータが設けられ、前記本体内部の下方には、前記空気清浄フィルタの下方に位置して、前記モータを駆動する電源ユニットが配置されることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
  6. 前記空気清浄フィルタは環状で、当該空気清浄フィルタの内側に前記送風ファンを配置したことを特徴とする請求項5記載の空気調和機。
  7. 送風ファンと、
    前記送風ファンを取り囲むように配置される環状の加湿エレメントと、
    前記加湿エレメントに液体を供給する液体供給源と、により構成される空気調和機において、
    前記加湿エレメントは、繊維で編み込んで保液するフィルタであり、
    前記送風ファンにより送り出された風が前記フィルタを通過し、前記フィルタの液体分を気化して加湿する構成としたことを特徴とする空気調和機。
  8. 前記フィルタが立体構造編物であることを特徴とする請求項7記載の空気調和機。
  9. 前記フィルタがプリーツ形状であることを特徴とする請求項7記載の空気調和機。
  10. 前記プリーツ形状は不織布からなることを特徴とする請求項9記載の空気調和機。
  11. 前記プリーツ形状は天然素材からなることを特徴とする請求項9記載の空気調和機。
  12. 前記送風ファンの下流側に、前記加湿エレメントの他に空気清浄フィルタを備え、清浄した空気の排出口を、左面および右面と上面の少なくとも三方向に設けたことを特徴とする請求項7記載の空気調和機。
  13. 前記送風ファンはターボファンであることを特徴とする請求項12記載の空気調和機。
  14. ドーナツ形の集塵フィルタを更に備え、
    前記集塵フィルタは、その中心から外側方向へ風が通過できるように、円周方向にプリーツを形成し、前記プリーツの対向する各側面に板状部材を挟持して、前記ドーナツ形状を維持する構成としたことを特徴とする請求項7記載の空気調和機。
  15. 前記集塵フィルタの外側周面に抗菌フィルタを備えたことを特徴とする請求項14記載の空気調和機。
  16. 前記板状部材にシール用部材を取付けたことを特徴とする請求項14記載の空気調和機。
  17. 前記送風ファンを着脱可能に固定するスピンナーを設けたことを特徴とする請求項7記載の空気調和機。
  18. 前記送風ファンを着脱可能に固定するワンタッチロック機構を設けたことを特徴とする請求項7記載の空気調和機。
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