JP2015143672A - 空気圧検知装置およびそれを備えた空気圧監視装置 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、空気圧センサーの一部が密封容器に収容されていない場合や、空気圧センサーが全体的に密封容器に収容されているもののその内部へ空気圧を伝播させるための連通孔が設けられている場合では、空気充填用孔や連通孔等から海水が浸入し、空気圧センサーが故障するという課題があった。
そこで、このような課題を解決する目的で、近年、空気圧センサーの故障を防止可能な空気圧検知装置に関する技術が開発されており、それに関して既に発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された空気圧検知システムに関する発明は、壁面の一部を可撓性膜部で構成した密閉構造のケーシング内に設置した空気圧センサと、この空気圧センサの検知信号を受信する受信機とを備えたことを特徴とする。
このような特徴を備えた空気圧検知システムにおいては、空気圧センサが、密閉構造のケーシングによって密閉されていることから、空気圧センサの内部に海水が入り込むことが防止される。また、空気圧センサが、検知対象体内部の気体や液体に直接曝されることなく保護されるため、空気圧センサの他、電子回路等の内部部品の故障も防止される。したがって、この空気圧検知システムは、空気圧の検知を確実に行うことができるとともに、優れた耐久性を有していることから長期の使用が可能となる。
加えて、空気圧センサが検知対象体内部の気体等に直接曝されないことから、直接曝される場合と比較して、計測精度が低下している可能性も考えられる。
そして、センサーは、一部がハウジングの内部に収容されつつ、検出素子部分は筒状部及びハウジングの壁面を貫通して空気式防舷材の内部に露出される。なお、センサーとハウジングの壁面との境界面には、ハウジングの水密性及び気密性を発揮させるためのシール材が設置されても良い。さらに、筒状部には、空気式防舷材の内部の水密性及び気密性を向上させるためのシール材が設置されても良い。
また、無線通信手段は、全体部分がハウジングの内部に収容される。この無線通信手段は、空気式防舷材から離れた位置に設けられる通信装置と無線通信するものである。センサーとしては、空気圧センサーや温度センサーが想定される。
但し、空気式防舷材が受ける日射やセンサー類の稼働による熱が発生し、気密性を有するハウジングの内部の温度が上昇することから、センサー類が誤動作するおそれも考えられる。しかしながら、ハウジングの周囲に形成された隙間に通気孔から空気が取り込まれることから、ハウジング全体が冷却され、センサー及びその周囲の温度上昇が防止される。
このような構成の空気圧検知装置においては、端面はインナーフランジに対向する面に壁面を有し、アウターフランジに対向する面には開口面を有する立体形状をなす。また、蓋体はこの開口面を閉止する。
上記構成の空気圧検知装置においては、請求項1記載の発明の作用に加え、端面は耐熱性樹脂で形成されることから、センサー類の稼働による熱を原因とする端面の変形や溶解が防止される。また、蓋体は、電波透過性樹脂で形成されることから、無線通信手段が通信する電波が減衰することなく蓋体を透過する。
なお、蓋体は、耐熱性樹脂で形成されていないが、通気孔が設けられたアウターフランジに対向していることから外気によって冷却され易い。そのため、熱による変形等を防止することよりも、電波の減衰防止を優先させたものである。また、端面と蓋体との境界面は、ハウジングの水密性を向上させるためのシール材が設置されても良い。
このような構成の空気圧検知装置においては、請求項1又は請求項2記載の発明の作用に加え、無線通信手段が通信する電波が透過孔を通過するため、電波の透過性がさらに向上する。
このような構成の空気圧検知装置においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、基部がハウジングの内部に収容されることから、急激な温度変化や波による衝撃から基部が保護される。これと同時に、検知部が空気式防舷材の内部に挿入されることから、検知部が直接内部の空気と接触する。したがって、特許文献1に開示された発明のようにセンサーが空気と直接接触しない場合と比較すれば、本発明の方が計測精度が良好である。
また、検知部の先端が筒状部の開放端を超えないように設置されることで、空気式防舷材を構成する袋体を折り畳んだ際に、袋体が検知部の先端に接触することが防止される。
このような構成の空気圧検知装置においては、請求項4記載の発明の作用に加え、温度センサーが外部の影響から保護されることで、温度計測時の誤差が排除される。
このような構成の空気圧検知装置においては、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、制御部によって、センサーの計測値とGPS衛星から受信した位置情報が関連付けられ、計測・位置情報として無線通信手段の無線通信機に送信される。なお、GPS受信機が受信した位置情報としては、例えば空気式防舷材の位置を緯度及び経度で表現したものが考えられる。
さらに、無線通信機によって、制御部から受信した計測・位置情報を含んだ電波は、無指向性アンテナから全方位に向かって放射される。
また逆に、無指向性アンテナが受信した電波から無線通信機が取り出した情報が制御部に送信され、制御部によって、受信した情報に基づきセンサーの動作が制御される。無線通信機が取り出した情報とは、例えばセンサーの起動や監視間隔(ログ間隔)、計測開始・停止要求等である。
このような構成の空気圧監視装置においては、無線通信手段と変換手段との間に、双方向の無線通信が確立される。
なお、「所望の方式に変換」とは、例えばZigBee(登録商標)とWi−Fi(登録商標)との相互変換、ZigBeeとをBluetooth(登録商標)との相互変換等が考えられる。また、携帯端末手段が表示するログ形式の情報とは、例えば各空気圧検知装置によって計測された時間毎の空気圧や温度の一覧等である。また、「信号」には、無線通信における電波と、有線通信における電気信号と、が含まれる。
このような構成の空気圧監視装置において、「有線通信手段」としては、有線信号ケーブルはもちろんのこと、他にも例えば、Micro−USBが想定される。この場合、携帯端末手段又は変換手段に備えられたUSBポートに、変換手段又は携帯端末手段に取り付けられたMicro−USBのコネクタ部分がそれぞれ差し込まれる構成となる。すなわち、本願では「有線通信手段」としてポートとそのポートに接続されるコネクタ部分も概念される。
上記構成の空気圧監視装置においては、請求項7記載の発明の作用に加え、変換手段が受信した電波が有線通信における電気信号に変換されて携帯端末手段へ送信され、携帯端末手段が送信した電気信号が変換手段によって電波に変換されて無線通信手段へ送信される。
このような構成の空気圧監視装置においては、請求項7又は請求項8記載の発明の作用に加え、複数の無線通信手段同士を通信可能とする中継機能を備えることから、それぞれの無線通信手段の間で、相互に通信可能な無線通信ネットワークが形成される。したがって、例えば、変換手段との通信が不可能な遠距離に位置する空気圧検知装置の計測結果が、これに隣接する空気圧検知装置を介しながら変換手段へ送信される。なお、上記の無線通信ネットワークは、例えばZigBee(登録商標)無線方式を利用して構築される。
このような構成の空気圧監視装置において、携帯端末手段とはタブレット型携帯端末等が想定され、解析表示手段とはパーソナルコンピュータ等が想定される。また、変換手段と携帯端末手段、又は携帯端末手段と解析表示手段とは、同種の無線通信方式で通信可能に構成される。そのため、無線通信手段と携帯端末手段又は無線通信手段と解析表示手段との間に、双方向の無線通信が確立される。
したがって、上記構成の空気圧監視装置においては、請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、携帯端末手段の解析表示機能によって、空気式防舷材の状態を示す数値情報がログ形式以外にも解析結果として表示される。また、解析表示手段が携帯端末手段に接続されている場合も同様に、解析表示手段によって解析結果が表示される。なお、解析結果とは、例えば、各空気式防舷材の位置情報を緯度及び経度による二次元座標上にプロットした図面等である。
このような構成の空気圧監視装置においては、請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、変換手段が受信した電波がWi−Fi無線方式、Bluetooth無線方式、Zigbee無線方式のうち、いずれかの無線方式に変換されて携帯端末手段又は無線通信手段へ送信される。なお、変換手段が受信した電波の無線方式は、上記以外の無線方式であっても良い。
また、変換手段と携帯端末手段が有線通信手段で接続される場合においては、変換手段が受信した電波は、上記無線方式のうちいずれの場合であっても、有線通信における電気信号に変換されて携帯端末手段へ送信される。そして、変換手段が受信した携帯端末手段からの電気信号は、上記無線方式のうち、いずれかの無線方式に変換されて無線通信手段へ送信される。
また、上記の計測結果は、無線通信手段から空気式防舷材から離れた位置に設けられる通信手段に送信されることから、従来のように各防舷材の設置された現場に赴いて計測するといった手間や困難性がなく、自動的かつ容易に空気式防舷材の内部の状態を把握することができる。
さらに、通信装置からセンサーへ信号を送信することでセンサーの計測等や電力遮断が可能であるため、詳細な計測値の取得や省電力といった制御を所望のタイミングで行うことが可能である。
さらに、無線通信機によって取り出された情報に基づきセンサーの動作を制御可能であることから、所望するタイミングにおける空気式防舷材の内部の状態を知ることができる。
図1に示すように、本実施例に係る空気圧検知装置1は、空気式防舷材50の一端部に、ゴム部材で形成された袋体50aの内部50bの状態を計測する圧力センサー14及び温度センサー15と、これらのセンサーとそれぞれ通信可能に接続された無線通信手段16が設置される。これらのセンサー14,15及び無線通信手段16は、センサー収容部11に封入された状態で箱型のハウジング2の内部に収容されている。なお、安全弁や内部50bに空気を充填するための空気充填用孔は、空気式防舷材50の空気圧検知装置1が設置された反対端に設置される。
さらに、壁面3cには、開放端8b,8cを備えて内部50bに連通する筒状部8が設けられる。筒状部8の端面8aとハウジング2の端面2c同士は、シール材9bをその間に挟み、留めボルト10cによって結合される。そのため、インナーフランジ3は、筒状部8の開放端8bが閉塞するようにハウジング2の端面2cを内部50bに露出させるとともに、ハウジング2の内部に収容された圧力センサー14と温度センサー15を内部50bに露出させる構造となっている。なお、つば部3dや壁面3b,3cの内側に遮熱塗料が塗布されても良い。
また、アウターフランジ4には、通気孔12と透過孔13(図2参照)が設けられる。このうち、通気孔12は、専ら外部7とハウジング2の周囲に形成された隙間6との間に空気を流通させるために設置される。また、透過孔13は通気孔12より小径とした。このように、透過孔13を通気孔12よりも小径とすることで、空気の流通の他、無線通信手段16が通信する電波の透過性を向上させる作用と、日射やセンサー類が発生する熱によるハウジング2の変形等を防止する作用と、透過孔13を介した海水の浸入を軽減する作用と、のいずれもが同時に発揮される。なお、外部7側におけるアウターフランジ4の表面に遮熱塗料が塗布されても良い。
図2に示すように、アウターフランジ4には、隙間6に対応する位置に強度を確保しつつ円形又は楕円形をなす通気孔12が環状に設置される。さらに、蓋体2aに対応する位置に複数個の円形をなす透過孔13が設置される。通気孔12及び透過孔13の形状、径、個数及び配置等は、使用するアウターフランジ4の寸法に合わせ、任意とする。
また、ハウジング2の端面2cを、シール材9cによってそれぞれ被覆された圧力センサー14と温度センサー15が貫通している。
図3(a)に示すように、センサー収容部11の内部には、圧力センサー14と、温度センサー15と、無線通信手段16と、GPS衛星S(図7参照)から情報を受信するGPS受信機18と、制御部19と、これらに電力供給を行うバッテリー20と(以下、センサー類という)、が収容される。
圧力センサー14は、ハウジング2の内部に収容される基部14aと、基部14aから筒状部8を介して空気式防舷材50の内部50bに挿入される検知部14bと、から構成され、内部50bの空気圧を計測する。温度センサー15も同様に基部15aと検知部15bから構成され、内部50bの温度を計測する。そして、検知部14b,15bの先端は、いずれも筒状部8の開放端8c(図1参照)を超えないように設置される。
無線通信手段16は、無線通信機17aとこれに接続された無指向性アンテナ17bから成る。
また、センサー類のうち、圧力センサー14と温度センサー15は、それぞれ基部14a,15aがセンサー収容部11の内部に収容されるとともに、検知部14b,15bが空気式防舷材50の内部50bに挿入される。そのため、圧力センサー14と温度センサー15は、十分に衝撃等から保護されると同時に、直接的に内部50bの空気の圧力と温度が計測される。加えて、検知部14b,15bの先端が筒状部8の開放端8cを超えないように設置されることで、袋体50aを折り畳んだ際に、袋体50aが検知部14b,15bの先端に接触することが防止される。
一方で、空気圧検知装置1においては、日射やセンサー類の稼働による熱が発生してセンサー収容部11の内部や隙間6の温度が上昇し、センサー類が誤動作を起こすおそれがある。しかし、通気孔12及び透過孔13を介して隙間6に外部7から空気が取り込まれることや、蓋体2aが高熱伝導性を有することから、ハウジング2やインナーフランジ3等が冷却されてセンサー収容部11が冷却され、その結果センサー類も冷却される。以下、日射に対する冷却作用について図4乃至図6を用いて、詳細に説明する。
(1)図4(a)及び図4(b)に示すように、人工気象室Wの内部において、空気圧検知装置の模擬装置Mを支持板P(ポリスチレンフォーム製、1800mm×900mm×100mm)の中央部に固定し、模擬装置Mから一定距離(1070mm)離れた位置に、日射装置Lを支持板Pに対し日射を想定した人工光が均等に照射されるよう設置した。この模擬装置Mは、インナーフランジ3とアウターフランジ4で囲まれた空間の内部にハウジング2が図1と同一の配置で備えられたものであるが、ハウジング2の内部にセンサー収容部11やセンサー類は収容されていない。
(2)人工気象室Wの内部における空気の温度を40(℃)、日射装置Lからの光量の実測値を支持板Pの表面p1〜p3において1000(kcal/(h・m2))となるよう設定し、模擬装置Mに対して人工光を240分間照射した。なお、この光量は、日本における真夏の最大日照量の約1.1倍の量に相当する。
(3)模擬装置Mの周辺や内部に複数の温度計測箇所を設け、人工光の照射開始後0分から400分までの1分間毎の温度を計測した。この間において、240分以降は人工光の照射を停止した。
(4)図5及び表1に示すように、10箇所の温度計測箇所についてそれぞれ熱電対温度センサー(T1〜T10)を設置して温度を計測した。
なお、図5において、「黒丸印」は表面温度の計測位置であり、「白丸印」は「黒丸印」の反対面における表面温度の計測位置である。また「バツ印」は、雰囲気の計測位置である。
また、T1〜T10のうち、T2を設置したアウターフランジ4の外部表面と、T9を設置したインナーフランジ3の内部表面は、市販の遮熱塗料(断熱粒素ヒートカットパウダー(登録商標)、白色塗装色)が塗布されている。また、T6〜T8を設置したハウジング2の端面2b,2cは、60(℃)までの温度に対し変形や溶解が発生することのない耐熱性樹脂で形成される。
図6に示すように、人工光の照射開始後180(分)から240(分)までの間は、計測された温度の時間変化が最も乏しくそれぞれの曲線が平坦部を形成している。この平坦部は温度の平衡状態にあると考えられることから、平坦部を平均区間とし、平均区間における最も高い計測値を最高温度(℃)として採用した。
また、T1〜T10は、いずれも照射開始後240(分)で人工光の照射を停止してから160分程度で照射前の温度とほぼ同等となっている。
また、ハウジング2の端面2bの外部表面に設置されたT6では、最高温度が約57(℃)となっているが、端面2b,2cは耐熱性樹脂で形成されることから、この程度の温度においては端面2b,2cの変形や溶解が発生しない。
図7に示すように、実施例1に係る空気圧監視装置21は、GPS衛星Sからの情報を受信可能な複数の空気圧検知装置1a〜1dと、空気圧検知装置1a〜1dのそれぞれの無線通信手段16a〜16dが通信する電波を所望の方式に変換する変換手段22と、変換手段22との間で所望の方式に変換された電波を通信する携帯端末手段23と、携帯端末手段23に通信可能に接続される解析表示手段24と、を備える。具体的には、携帯端末手段23はタブレット端末やスマートフォンであって、解析表示手段24はパーソナルコンピュータである。また、変換手段22、携帯端末手段23及び解析表示手段24は、図示しないケーブルを介しそれぞれ独立して電力供給される。
また、変換手段22は、無線通信手段16a〜16dが送信するZigBee無線方式に従う電波をWi−Fi無線方式に変換するとともに、携帯端末手段23が送信するWi−Fi無線方式に従う電波をZigBee無線方式に変換する。また、無線通信手段16a〜16dは、それぞれ独立した経路25a〜25dを経由して変換手段22と通信する。
なお、無線通信手段16a〜16d同士の通信可能距離と、無線通信手段16a〜16dと変換手段22との通信可能距離は、いずれも等しく最大で1(km)程度であるのに対し、実際の無線通信手段16a〜16d同士が配置されている間隔は10〜20(m)程度であり、無線通信手段16a〜16dと変換手段22との間隔も5(m)程度であるので、無線通信手段16a〜16dと変換手段22は互いに十分通信可能である。
携帯端末手段23は、Wi−Fi無線方式に変換された電波を介し、変換手段22から送信された計測情報I1を取得してログ形式の情報として画面表示する。ログ形式の情報とは、図8(a)に示すように、最新の計測日時、その日時における空気圧検知装置1a〜1d毎の経度・緯度(位置情報)、内部50bの空気圧(kPa)、内部50bの温度(℃)、バッテリー20の電池残量(%)、バッテリー20の電圧(V)といった数値の一覧や、変換手段22から計測情報I1が一定時間以上送信されない場合に表示される警報等である。また、最新の計測結果のみならず、別画面で過去の計測履歴が表示されても良い。なお、携帯端末手段23は、最大で5台の空気圧検知装置に関する情報を一画面上で表示可能である。
また、携帯端末手段23は、ログ形式の情報を表示する以外にも、センサー類の起動要求や、圧力センサー14及び温度センサー15の計測間隔を選択するための画面が表示され、携帯端末手段23から要求情報I2が空気圧検知装置1a〜1dへそれぞれ送信される。
解析表示手段24は、携帯端末手段23から送信された計測情報I1を解析して、図9に示すように、左半分に空気圧検知装置1a〜1dの位置をそれぞれ番号1〜4としてプロットした方位地図を表示する。そして、同一画面の右半分には、計測情報I1から最新の計測日時(12/10,18:01)や監視間隔(30sec)、それぞれの内部50bの空気圧(kPa)及び温度(℃)、バッテリー20の電池残量(電池アイコン)をログ形式で表示する。このうち、左半分の方位地図は、空気圧検知装置1a〜1d毎の経度・緯度(位置情報)に基づき、それぞれの位置が一画面で表示されるように表示の縮尺が調整されたものである。
なお、方位地図において「番号3」が表示されていない理由は、右半分の「No signal」に示すように、番号3からの計測情報I1が受信されていないためであって、この場合には通信遮断を意味するアイコン(バツ印)が表示される。なお、上記のような計測情報I1の解析結果とログ形式の情報を並べて表示する機能は、携帯端末手段23に備えられても良い。
加えて、空気圧検知装置1,1a〜1dによれば、変換手段22を介して所望の時間に30秒又は24時間毎の計測情報I1を受信、かつ要求情報I2を送信することができる。このとき、無線通信手段16a〜16dはZigBee無線方式に準拠することから、待機時の消費電力がわずかであり起動要求を受けてからの復帰時間も数十ミリ秒と短い。したがって、24時間毎の計測間隔はもちろんのこと、30秒毎の計測間隔に対しても計測要求に対する応答が良好で、かつ省電力性が高いという効果を有する。
また、変換手段22は、ZigBee無線方式からWi−Fi無線方式に変換した電波を、いずれもWi−Fi無線方式に準拠する携帯端末手段23及び解析表示手段24に送信可能である。そのため、変換手段22から解析表示手段24までの伝送速度は高速であり、空気圧検知装置1a〜1dからそれぞれ送信された計測情報I1を効率良く解析かつ表示することが可能である。
図10に示すように、本実施例の変形例に係る空気圧監視装置21aは、図7に示された実施例1に係る空気圧監視装置21において、無線通信手段16a〜16dがそれぞれ経路25a〜25dを経由して変換手段22と通信する構成に代えて、無線通信手段16a〜16d同士が経路26b〜26dを介して通信可能に接続される。そして、無線通信手段16aのみが経路26aを介して変換手段22と通信する。この他の構成は、実施例1に係る空気圧監視装置21と同様である。
図11(a)に示すように、実施例2に係る空気圧監視装置27は、携帯端末手段23が、Micro−USB28を介して変換手段22と有線通信可能に接続される。携帯端末手段23には、このMicro−USB28のコネクタ部と接続可能なUSBポートが設けられている。また、このMicro−USB28のコネクタ部には、携帯端末手段23の充電と、携帯端末手段23と変換手段22間の通信と、の切換が可能な切換スイッチ31(図11(b)参照)が設けられてもよいし、充電と通信が同時に可能な場合には切換スイッチ31は設けなくともよい。また、本実施例ではMicro−USB28のコネクタ部が変換手段22側に設けられているが、逆に携帯端末手段23に設けて、変換手段22側にUSBポートを設けるような構成でもよい。
あるいはMicro−USB28に代えて、Micro−USBケーブルとして接続してもよい。そのMicro−USBケーブルには、携帯端末手段23のUSBポートあるいはコネクタ部と、変換手段22のコネクタ部あるいはUSBポートにそれぞれ接続可能なコネクタ部とUSBポートが端部に備えられている。
さらに、変換手段22は、Micro−USBケーブル29とAC/DCコンバータ(交流/直流変換器)30を経由して一般的な電源コンセントより充電可能に構成される。その際には、変換手段22に設けられたUSBポートにMicro−USBケーブル29を接続する。あるいは、このような構成であっても変換手段22は単に電源コンセントと携帯端末手段23を接続するためだけで、充電は携帯端末手段23に対して行われてもよい。
これ以外にも、携帯端末手段23のUSBポートの設置数によっては、すなわち、携帯端末手段23のUSBポートが複数あって利用可能な場合には、Micro−USBケーブル29が携帯端末手段23に接続され、携帯端末手段23はMicro−USBケーブル29とAC/DCコンバータ30を経由して充電可能に構成されても良い。その場合も携帯端末手段23に充電するのではなく、変換手段22に対して充電することも可能である。
さらに、いずれに充電される場合でも変換手段22が充電可能な場合には少なくとも変換手段22に充電用電池が備えられていればよく、携帯端末手段23が充電可能な場合には少なくとも携帯端末手段23に充電用電池が備えられていればよい。もちろん、両方に充電用電池が備えられてもよい。
但し、携帯端末手段23あるいは変換手段22のいずれかに充電用電池を備えない場合には、備えていない方の機器はよりコンパクト化及び軽量化することができる。いずれかに充電用のUSBポートを設けない場合も同様である。
なお、本実施例ではMicro−USBやMicro−USBケーブルを用いた例を示したが、有線通信手段としては特にこれらに限定するものではなく、通常のUSBやUSBケーブルを用いてもよいし、他のコネクタに関するポートとコネクタ部やそれを備えたケーブルを用いてもよいことは言うまでもない。
また、図11(b)に示すように、携帯端末手段23と変換手段22は、Micro−USB28と切換スイッチ31を介して接続されることで隣接して配置される。変換手段22に取り付けられたアンテナ22aを除き、携帯端末手段23と変換手段22は、開閉蓋を有する防水性ケース32の内部に収容される。
なお、図11(b)は、携帯端末手段23と変換手段22が、任意の場所に持ち運んで使用される際の正面図である。また、Micro−USBケーブル29は携帯端末手段23又は変換手段22を充電する場合以外は、変換手段22と接続されない。そのため、図11(b)では、Micro−USBケーブル29の図示が省略されている。この他の構成は、実施例1に係る空気圧監視装置21又は実施例1の変形例に係る空気圧監視装置21aと同様である。
また、Micro−USB28には、充電と通信との切換が可能な切換スイッチ31が設けられるため、切換スイッチ31が充電側に選択されている場合、携帯端末手段23は変換手段22とMicro−USBケーブル29とAC/DCコンバータ30を経由して充電される。一方、切換スイッチ31が通信側に選択されている場合には、携帯端末手段23と変換手段22との間で計測情報I1及び要求情報I2の通信が行われる。したがって、本実施例に係る空気圧監視装置27においては、変換手段22と携帯端末手段23の電力供給がいずれもMicro−USBケーブル29によって行われる。この他の作用は、実施例1に係る空気圧監視装置21又は実施例1の変形例に係る空気圧監視装置21aと同様である。
通信実験の実験手順は、次の(1)〜(5)に示すとおりである。
(1)図12に示すように、海面(U)に突出した埠頭(V)において、合計4基の空気圧監視装置27を構成する空気圧検知装置1(No.1〜4)を、それぞれ異なる間隔を空けて設置した。これら空気圧検知装置1(No.1〜4)には、それぞれセンサー類が収容されており、このうちの無線通信手段16から圧力センサー14及び温度センサー15(図1参照)の計測値と、経度・緯度を示す位置情報が、ZigBee無線方式に従う電波として発信される。なお、これらの空気圧検知装置1の周辺には、木材、空気式防舷材からなる障害物(O1)、金網フェンス(O2)といった障害物が存在している。
(2)携帯端末手段23の画面(図9参照)に、空気圧検知装置1(No.1〜4)毎の圧力センサー14及び温度センサー15の計測値と、位置情報がそれぞれ表示されるか否かについて実験した。これらの計測値又は位置情報が表示される場合を通信可能(○)、表示されない場合を通信不能(×)、通信可能と通信不能の間の状態である場合を通信困難(△)とする。
(3)屋外条件は、天候は快晴、気温は23(℃)、湿度は37(%)、風向は東南東4(m/s)であった。
(4)バッテリー20は、1組の公称電圧4.8(V)、公称容量3000(mAh)のニッケル・カドミウム蓄電池を使用した。
(5)空気圧検知装置1(No.1〜4)と携帯端末手段23の距離(D)を10(m)、50(m)、100(m)、200(m)、300(m)、500(m)と変化させて通信状態を計測した。この結果を図13に示す。
ただし、この通信実験は、気温は23(℃)という常温下において実施されたものである。これに対し、実際には空気圧監視装置27は海面上で使用されることから、例えば、海面温度が零下となる場合に空気圧検知装置1からの通信がバッテリー20の電圧や放電容量の低下等により困難となるおそれが考えられる。そこで、このような場合に、空気圧検知装置1からの送信を携帯端末手段23が受信可能であるか否かについて、低温動作確認試験を実施した。
(1)人工気象室Wの内部の床面に、空気圧監視装置27の模擬装置Nを設置した。この模擬装置Nは、インナーフランジ3とアウターフランジ4で囲まれた空間の内部に、センサー類が収容されたハウジング2が図1と同一の配置で備えられたものである。
(2)ハウジング2内に、センサー類に加えて熱電対温度センサー(T8)を設置した。さらに、アウターフランジ4の外側に熱電対温度センサー(T1)を設置した。これらの設置箇所は、それぞれ図5における熱電対温度センサー(T1,T8)の設置箇所と同じである。
(3)バッテリー20は、2組の公称電圧4.8(V)、公称容量3000(mAh)のニッケル・カドミウム蓄電池を、並列に接続して使用した。
(4)人工気象室Wを密閉状態とし、模擬装置Nを起動させ携帯端末手段23との間で通信確認試験を行う。このとき、携帯端末手段23の画面に、模擬装置Nのハウジング2に収容された圧力センサー14及び温度センサー15(図1参照)の計測値と、経度・緯度(位置情報)が、それぞれ表示されるか否かについて実験した。これらの計測値又は位置情報が表示される場合を通信可能、表示されない場合を通信不能、通信可能と通信不能の間の状態である場合を通信困難とする。
(5)人工気象室Wの内部における空気の温度を−12(℃)に設定した。この設定した時点を冷却開始後0分とする。なお、温度−12(℃)は、日本における海面最低温度に相当する。
(6)上記2箇所の温度計測箇所について、熱電対温度センサー(T8)の計測温度が−10(℃)以下になるまで、冷却開始後0分から1分間毎の温度を熱電対温度センサー(T1,T8)によって計測するとともに、同様の計測時間及び間隔で模擬装置Nと携帯端末手段23との通信確認試験を行った。
図14に示すように、熱電対温度センサー(T8)の計測温度が−10(℃)以下になる時間は冷却開始後約240分であるが、T8の誤動作でないことを確認するため、さらにその1時間後の冷却開始後約360分までT1,T8による計測を行った。これにより、模擬装置Nの内部に設置されたセンサー類が、日本における海面最低温度の雰囲気に置かれていることが確認できた。
また、通信確認試験によれば、冷却開始後0分から約360分までの間において、模擬装置Nと携帯端末手段23とは継続して通信可能であった。この結果から、空気圧監視装置27からの通信がバッテリー20の電圧低下等により困難となるおそれのないことが確認された。
さらに、携帯端末手段23と変換手段22は防水性ケース32に収容されるため、持ち運びに便利であるとともに、雨天時や海上での使用が可能になることから、長期的に耐久性を発揮することが期待できる。加えて、携帯端末手段23は、切換スイッチ31を選択することで充電及び変換手段22との通信を自在に切り換えることが可能であるから、操作性も良好である。
また、空気圧監視装置27の通信実験において、安定通信範囲及び最大通信範囲が確認されたことによって、無線通信手段16と変換手段22との無線通信及び変換手段22と携帯端末手段23との有線通信が確立されたことが実証された。なお、安定通信範囲及び最大通信範囲の広狭は、バッテリー20の電圧や容量を適切に選択することにより調整することができるため、障害物等による電波の減衰を補うことが可能である。
さらに、模擬装置Nを用いた低温動作確認試験を行い、空気圧監視装置27からの通信が困難となるおそれのないことが確認されたことによって、海面温度が日本における海面最低温度より高い場合に、空気圧監視装置27は正常に稼働し得ることが実証された。この他の効果は、実施例1に係る空気圧監視装置21又は実施例1の変形例に係る空気圧監視装置21aと同様である。
さらに、実施例2に係る空気圧監視装置27においては、携帯端末手段23及び変換手段22のUSBポートの設置数によっては、Micro−USB28を2個備えることで、携帯端末手段23に対する給電と通信を同時に行うことが可能である。また、携帯端末手段23がワイヤレス充電されても良いし、USBクレードルの利用も考えられる。
Claims (11)
- 空気式防舷材の一部に、この空気式防舷材の状態を計測するセンサーとこのセンサーと接続された無線通信手段が設置された空気圧検知装置であって、
前記センサー及び前記無線通信手段は、箱型のハウジングの内部に収容され、
このハウジングは、一端部に外部に露出する開口部と他端部に前記空気式防舷材の内部に連通する筒状部とを備えるインナーフランジと、前記開口部に覆設されるアウターフランジと、で囲まれた空間の内部に、前記インナーフランジとの間に隙間を形成して配置され、
前記インナーフランジは、筒状部が閉塞するように前記ハウジングの一部を空気式防舷材の内部に露出させて前記ハウジングの内部に収容されたセンサーを前記空気式防舷材の内部に露出させ、
前記アウターフランジは、このアウターフランジの外部と前記ハウジングの周囲に形成された前記隙間とを連通する通気孔を設けることを特徴とする空気圧検知装置。 - 前記ハウジングは、前記インナーフランジに対向する端面と前記アウターフランジに対向する蓋体とからなり、
前記端面は、耐熱性樹脂で形成され、
前記蓋体は、前記無線通信手段が通信する電波を透過可能な電波透過性樹脂で形成されることを特徴とする請求項1記載の空気圧検知装置。 - 前記アウターフランジは、前記蓋体に対応する位置に透過孔が設置されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空気圧検知装置。
- 前記センサーは、前記空気式防舷材内部の空気圧を計測する圧力センサーであって、前記ハウジングの内部に収容される基部と、この基部から前記筒状部を介して前記空気式防舷材の内部に挿入される検知部と、から構成され、この検知部の先端は前記筒状部の開放端を超えないように設置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の空気圧検知装置。
- 前記センサーは、前記圧力センサーに加えて前記空気式防舷材内部の温度を計測する温度センサーを備え、この温度センサーは前記ハウジングの内部に収容される基部と、この基部から前記筒状部を介して前記空気式防舷材の内部に挿入される検知部と、から構成され、この検知部の先端は前記筒状部の開放端を超えないように設置されることを特徴とする請求項4記載の空気圧検知装置。
- 前記無線通信手段は、無線通信機とこれに接続された無指向性アンテナから成り、
前記ハウジングは、前記センサー及び前記無線通信手段に加え、
前記空気式防舷材の位置情報をGPS衛星から受信するGPS受信機と、
前記センサーの計測値と前記位置情報を前記無線通信機に送信する制御部と、が収容されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の空気圧検知装置。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の空気圧検知装置と、
この空気圧検知装置の前記無線通信手段が通信する電波を所望の方式の信号に変換する変換手段と、
この変換手段との間で前記所望の方式に変換された信号を通信する携帯端末手段と、を備え、
前記携帯端末手段は、前記所望の方式に変換された信号を介して前記変換手段から前記空気式防舷材の状態を示す数値情報を取得してログ形式の情報として表示することを特徴とする空気圧監視装置。 - 前記携帯端末手段は、有線通信手段を介して前記変換手段と有線通信可能に接続されたことを特徴とする請求項7記載の空気圧監視装置。
- 複数の前記空気式防舷材にそれぞれ前記空気圧検知装置を備え、
前記無線通信手段は中継機能を備えて前記複数の空気式防舷材に設けられた空気圧検知装置間で前記数値情報を集約し、複数の前記無線通信手段のうちいずれかの無線通信手段が前記変換手段と通信し、前記携帯端末手段は前記所望の方式に変換された信号を介して前記変換手段から複数の前記空気式防舷材の状態を示す集約された数値情報を取得してログ形式の情報として表示することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の空気圧監視装置。 - 前記携帯端末手段は、前記数値情報を解析し表示する解析表示機能を備え、又は解析表示手段が通信可能に接続されることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の空気圧監視装置。
- 前記変換手段は、前記無線通信手段が通信する電波又は前記携帯端末手段が通信する信号を、Wi−Fi(登録商標)無線方式、Bluetooth(登録商標)無線方式、Zigbee(登録商標)無線方式のうち、いずれかの無線方式に変換することを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の空気圧監視装置。
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