JP2015143161A - 水素製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、脂肪族多価アルコールおよび糖アルコールの少なくともいずれか1種類以上を原料とする脱水素化反応により高純度水素を製造する方法に関し、特に、気体分離膜のような精製工程を必要としない水素製造方法に関するものである。
近年、環境問題やエネルギー問題から、新しいエネルギー源として水素が有望視されており、例えば、水素を直接燃料として用いる水素自動車、あるいは水素を用いる燃料電池などの開発が進められている。特に燃料電池は小型でも高い発電効率を有しており、加えて騒音や振動も発生せず、さらには排熱も利用することができるなどの優れた利点を有している。
一方、水素をエネルギー源として利用するに当たっては、燃料となる水素を安全かつ安定的に供給することが欠かせない。これに対して、圧縮水素や液体水素として直接供給する方法、水素吸蔵合金やカーボンナノチューブなどの水素吸蔵材料を利用して水素を貯蔵または供給する方法、メタンや炭化水素を水蒸気改質して水素を供給する方法など、種々の方法が提案されている。
また、これらに並ぶ水素の供給方法として、近年、再生可能な資源からの脱水素化反応により水素を供給する方法が注目されている。再生可能な資源から効率的に水素を取り出す研究としては、糖の脱水素化反応が知られ、不均一系金属触媒あるいは酵素触媒を用いた方法が提案されているが、どちらの触媒反応系でも得られる水素ガスが炭酸ガスを含む混合ガスとなってしまう問題がある。さらに、不均一系金属触媒を使用する場合(非特許文献1)には300℃以上の高温を必要とし、酵素触媒を使用する場合(特許文献1)には脱水素化反応が遅く、酵素培養に手間がかかるといった課題がある。
そこで、簡単に入手できる金属錯体を触媒として使用した糖の脱水素化反応により水素を製造する技術開発も進んでいる。非特許文献2は発明者らの先行研究であり、グルコース、ガラクトース、マンノース、およびセロビオースを沸騰水中、イリジウム錯体触媒存在下で加熱することにより水素製造できることが公開されている。このイリジウム錯体を触媒とした糖の脱水素化反応では炭酸ガスが副生しないため高純度の水素ガスの製造が可能である。しかし、糖分子内の水酸基をすべて脱水素化反応に使用できないため、原料化合物の単位重量当たりの水素の収率が低いといった問題があった。
再生化可能な資源が原料ではないが、非特許文献3では非特許文献2と同様のイリジウム錯体を触媒として使用することにより、1,2−ベンゼンジメタノールの脱水素的環化反応によりラクトン化合物が合成できる一方で、水素も生成することが公開されている。
さらに、イリジウム錯体を触媒として使用して、地球温暖化の原因と言われている炭酸ガスと水素分子からギ酸を製造して、同じイリジウム錯体を触媒とする逆反応によりギ酸を水素と炭酸ガスに分解する技術が特許文献2および特許文献3に記載されている。特許文献2もしくは特許文献3に公開されているようにギ酸を水素製造の原料とすると炭酸ガスが必ず副生するため、ガス精製工程を必要としない高純度の水素製造方法とはなりえない欠点を有している。また、特許文献2では実施例22(段落〔0196〕から〔0198〕)においてエタノールのような脂肪族アルコールの脱水素化反応により水素を製造できることが記載されている。しかし、水素を製造するためには、反応水溶液の液性を酸性と塩基性とに交互にpHを調整しなければならず、酸性溶液中の時のみ水素が製造でき、塩基性の時には水素は製造できていない。すなわち、水素自動車や燃料電池のように定常的に水素を供給する必要がある用途では使用できず、工業用途での水素製造においても工程が煩雑となるため実用的ではない。
さらに、化合物の脱水素化反応により水素を工業的に製造する場合には、原料となる化合物の単位重量当たりの生成する水素の重量が重要となる。すなわち、原料となる化合物において、脱水素化可能な水素原子を除いた残基の構造が大きすぎると、単位重量当たりの水素の収率が下がることになり、またその他の部分が小さすぎると水素以外のガス成分が副生してガス精製工程を必要としない高純度の水素が製造できなくなる。
例えば、ギ酸又は脂肪族一価アルコールを原料にしたのでは、単位重量当たりの水素の収率が低い。
例えば、ギ酸又は脂肪族一価アルコールを原料にしたのでは、単位重量当たりの水素の収率が低い。
A. J. Byrd, K. K. Pant, R. B. Gupta, Ind.Eng. Chem. Res. 2007, 46, 3574.
機能性ビピリジン系配位子を有する水溶性イリジウム錯体触媒を用いた糖類の脱水素化反応、井上貴義、川原諒子、藤田健一、山口良平、日本化学会第92春季年会、講演番号1L1-05、2012年3月25日
機能性配位子を有する水溶性イリジウム錯体触媒を用いた水溶媒中でのジオール類の脱水素的ラクトン化とその反応機構、伊藤航、藤田健一、山口良平、日本化学会第93春季年会、講演番号3PA-132、2013年3月24日
脱水素化反応後の反応生成物を気液分離した後に、PSAや水素分離膜等の精製装置を設置する場合には、装置の稼働エネルギーが必要であり、余分なエネルギー支出が多くなる。このため、製造した水素を利用して得られるエネルギーと水素を製造するために費やしたエネルギーから決まるエネルギー収支が低くなる。その上、PSAは確立された技術ではあるが、水素回収率が70%程度であるため、水素回収ロスが発生する。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、水素分離膜等のガス精製過程を実施することなく、脂肪族多価アルコールおよび再生可能資源である糖アルコールから脱水素化反応により高純度の水素を得ることが可能な製造方法を提供することにある。
本発明者らは脱水素化反応により高純度の水素を製造する方法を鋭意検討した結果、脂肪族多価アルコールおよび再生可能資源である糖アルコールを原料として、金属錯体触媒を使用し、反応媒体にエーテル系溶剤と水を併用することにより、反応生成物の気液分離だけで高純度の水素が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の技術的手段により構成される水素製造方法を提供する。
〔1〕 脱水素化反応により脂肪族多価アルコールおよび糖アルコールの少なくともいずれか1種以上を原料として、エーテル系溶剤を含む水溶液中で金属錯体触媒を使用して高純度水素を得ることを特徴とする水素製造方法。
〔2〕 脱水素化反応に使用する金属錯体触媒として下記式(1)で表されるイリジウム錯体、その互変異性体もしくは立体異性体もしくはそれらの塩化合物を使用することを特徴とする前記〔1〕に記載の水素製造方法。
前記式(1)中、
Arは2個の窒素原子(N)を配位子として含む芳香族性を有する配位子であり、置換基を有していても有していなくてもよく、置換基を有する場合には置換基は一つでも複数でも良く、
Ar2は芳香族性を有する1価のアニオン性3座配位子であり、
Lは任意の配位子であるか、または存在せず、
mは正の整数、または0である。
〔3〕 前記式(1)で表されるイリジウム錯体触媒が、下記式(2)、(3)及び(4)のいずれか1つ以上で表されるイリジウム錯体、その互変異性体もしくは立体異性体もしくはそれらの塩化合物であることを特徴とする前記〔2〕に記載の水素製造方法。
前記式(2)、(3)及び(4)中、Lは任意の配位子であるか、または存在しなくてもよい。
〔4〕 脱水素化反応に使用する原料として、脂肪族多価アルコールであるエチレングリコールを使用することを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の水素製造法。
〔5〕 脱水素化反応の反応温度が170℃以下であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の水素製造方法。
〔1〕 脱水素化反応により脂肪族多価アルコールおよび糖アルコールの少なくともいずれか1種以上を原料として、エーテル系溶剤を含む水溶液中で金属錯体触媒を使用して高純度水素を得ることを特徴とする水素製造方法。
〔2〕 脱水素化反応に使用する金属錯体触媒として下記式(1)で表されるイリジウム錯体、その互変異性体もしくは立体異性体もしくはそれらの塩化合物を使用することを特徴とする前記〔1〕に記載の水素製造方法。
前記式(1)中、
Arは2個の窒素原子(N)を配位子として含む芳香族性を有する配位子であり、置換基を有していても有していなくてもよく、置換基を有する場合には置換基は一つでも複数でも良く、
Ar2は芳香族性を有する1価のアニオン性3座配位子であり、
Lは任意の配位子であるか、または存在せず、
mは正の整数、または0である。
〔3〕 前記式(1)で表されるイリジウム錯体触媒が、下記式(2)、(3)及び(4)のいずれか1つ以上で表されるイリジウム錯体、その互変異性体もしくは立体異性体もしくはそれらの塩化合物であることを特徴とする前記〔2〕に記載の水素製造方法。
前記式(2)、(3)及び(4)中、Lは任意の配位子であるか、または存在しなくてもよい。
〔4〕 脱水素化反応に使用する原料として、脂肪族多価アルコールであるエチレングリコールを使用することを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の水素製造法。
〔5〕 脱水素化反応の反応温度が170℃以下であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の水素製造方法。
本発明により、脂肪族多価アルコールおよび植物由来の糖アルコールの少なくともいずれか1種以上を原料として、エーテル系溶剤と水を併用する溶媒系で脱水素化反応することにより効率的な水素製造が可能となる。さらには、脱水素化反応の反応生成物を気液分離するだけで炭酸ガス等を含まない高純度の水素ガスを得ることが可能となる。また、高純度の水素を得るために水素を含むガスを精製する付帯の設備及び工程を必要としないため、製造を簡略化することができ、水素ガスを製造するための電気エネルギーを低くすることができる。
本発明は、脱水素化反応により脂肪族多価アルコールおよび糖アルコールの少なくともいずれか1種以上を原料として、エーテル系溶剤を含む水溶液中で金属錯体触媒を使用して高純度水素を得ることを特徴とする水素製造方法である。
本発明で得られる高純度水素は、生成ガスを精製する付帯の設備及び工程を必要としないで、反応生成物を気液分離するだけで水素として各種用途に用いることができる純度の水素であればよい。
本発明で得られる高純度水素のより具体的な濃度は、通常90%以上の純度を有する水素であり、より好ましい条件では、95%以上の純度の水素が、さらに好ましい条件では、98%以上の純度の水素である。
本発明で得られる高純度水素のより具体的な濃度は、通常90%以上の純度を有する水素であり、より好ましい条件では、95%以上の純度の水素が、さらに好ましい条件では、98%以上の純度の水素である。
本発明に使用する脂肪族多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール等の脂肪族多価アルコールを用いることができる。また、糖アルコールとしては、グリセリン、キシリトール、ペンタエリトリトール等の糖アルコールを用いることができる。
本発明に用いる脱水素化反応触媒としては、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、パラジウム、白金よりなる群から選択される少なくとも1種類の単核金属錯体が好ましいが、これらの金属の複数を含む複核金属錯体やこれらの金属とその他の金属から構成される複核金属錯体であっても脱水素化反応が行うことができれば限定されるものではない。脱水素化反応触媒として好ましい触媒は、イリジウム触媒であり前記式(1)に示したイリジウム触媒が好ましい。
そして、式(1)中のArは2個の窒素原子(N)を配位子として含む芳香族性を有する配位子であり、置換基を有していても有していなくてもよく、置換基を有する場合には置換基は一つでも複数でも良い。より具体的には、前記式(1)中のArとしては、2,2’−ビピリジン、6−ヒドロキシ−2,2’−ビピリジン、6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン、6−ヒドロキシ−4−メチル−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジメチル−6−ヒドロキシ−2,2’−ビピリジン、6,6’−ジヒドロキシ−4−メチル−2,2’−ビピリジン、6,6’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、6−ヒドロキシ−5−メチル−2,2’−ビピリジン、5,5’−ジメチル−6−ヒドロキシ−2,2’−ビピリジン、6,6’−ジヒドロキシ−5−メチル−2,2’−ビピリジン、6,6’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、2−ヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、2,9−ジヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、2−ヒドロキシ−4−メチル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジメチル−2−ヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、2,9−ジヒドロキシ−4−メチル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジヒドロキシ−4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリンが例示できる。
また、式(1)中のAr2は、芳香族性を有する1価のアニオン性3座配位子である。より具体的には、Ar2として、シクロペンタジエニル、1−メチルシクロペンタジエニル、1,2−ジメチルシクロペンタジエニルとその位置異性体、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニルとその位置異性体、1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニルとその位置異性体、1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエニル(以下「Cp*」と省略して記載する場合がある。)、1,2,3,4,5−ペンタフェニルシクロペンタジエニルが例示できる
また、式(1)中のLは任意の配位子であるか、または存在しなくても良いが、好ましくは水分子、アセトニトリルに代表されるニトリル化合物、テトラヒドロフランに代表されるエーテル化合物、アセトンに代表されるケトン化合物、ヒドリドイオン、アルコキシドアニオン、水酸化物イオンである。
また、mは正の整数、または0である。
脱水素化反応触媒として脱水素化反応に好適に使用できる錯体としてはイリジウム錯体であることは前記したが、金属触媒の脱水素化能力を高めるために、イリジウムに6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジンが結合している錯体を触媒とするとより高い触媒効果が得られる。
本発明で行う脱水素化反応は、上記脱水素化反応触媒の存在下、エーテル系溶剤を水と併用して実施する。使用するエーテル系溶剤としてはアニソールなどの芳香族エーテルおよび水と相溶する脂肪族エーテル化合物が好ましい。脂肪族エーテル化合物の具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグリム)ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等であり、これらのいくつかを混合して使用することもできる。
本発明で行う脱水素化反応は、脂肪族多価アルコールおよび糖アルコールの少なくともいずれか1種以上を原料として、前記エーテル系溶剤を水と併用して実施する。使用する原料溶液の濃度は0.01〜10モル/Lとすることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3モル/Lである。原料溶液の濃度が0.01モル/Lより希薄になると単位時間当たりの原料と触媒との接触回数が減るため、反応効率が悪くなる。また、原料溶液の濃度が10モル/Lよりも濃くなると反応溶液の粘度が高くなるために、脱水素化反応により生成した水素ガスが反応媒体中にとどまるため、脱水素化反応が阻害される。
本発明で行う脱水素化反応は、反応温度を100℃以上とすることが好ましく、ジグリム(沸点162℃)が加熱還流する温度で実施することがさらに好ましい。反応温度が80℃以下では脱水素化反応により生成した水素ガスが反応媒体中にとどまるため、脱水素化反応が阻害される。一方、反応温度が170℃を超えると、加熱に使用する電気エネルギーが無駄となり、エネルギー効率が悪くなる。
以下に、本発明の好適な実施の形態を、図1に基づいてより具体的に説明する。しかしながら、本発明は、図1に示す形態に限定されるものではない。
本発明の水素製造方法においては、脂肪族多価アルコール及び糖アルコールの少なくともいずれか1種以上の原料を貯蔵するタンク1から原料をポンプでくみ上げ、脱水素化反応器2に供給して脱水素化反応を行うことができる。脱水素化反応を連続的に行う必要がある場合には貯蔵タンク1と脱水素化反応器2の間に予熱器5を置くことが好ましい。予熱には、図示しないが、脱水素化反応器2からでる排熱も利用することができる。
前記脱水素化反応器2には触媒となる金属錯体を供給し、原料溶液を供給して脱水素化反応を行わせることができる。
脱水素化反応に使用する触媒の量としては、使用する原料に対して0.1モル%から10モル%の範囲が好ましく、0.5モル%から1モル%の範囲がさらに好ましい。触媒使用量が0.1モル%未満では、十分に脱水素化反応を進行させることができず、一方、10モル%を超えると、金属触媒の増量に見合う効果が得られない。
本発明の水素製造方法では、気液分離器3を使用して脱水素化反応直後の高純度水素を得ることができる。
本発明に使用する気液分離器3としては水蒸気もしくは気化したエーテル系溶剤を液化させる単純なコンデンサーを使用することができる。また、反応後の反応溶液は液体回収タンク4に移送される。
液体回収タンク4に集められた溶液中には使用した原料の酸化物が存在するため、エーテル系溶剤、水および錯体触媒から分離することにより原料の酸化物も生成物として取り出すこともできる。原料の酸化物を生成物として取り出す方法は、既知の方法を用いることができる。例えば、反応後の水溶液を非水系溶媒で連続抽出することにより取り出すことができる。取り出せる酸化物としては、脂肪族多価アルコール等の酸化物であるヒドロキシ酢酸、グリオキサール、プロパンジアール等、糖アルコール等の酸化物である2−オキソプロパンジアール、2,3,4−トリオキソペンタンジアール等を例示することができる。
液体回収タンク4に集めた溶液中には脱水素化反応に使用できる錯体触媒が触媒活性を失うことなく存在しているので、その溶液を脱水素化反応器2に供給することにより水素製造に錯体触媒を繰り返して用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によってなんら制限されるものではない。
(Cp*イリジウム6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン錯体の調製)
錯体Cp*イリジウムトリスアクア錯体[Cp*Ir(H2O)3](OTf)20.60モルを水12mLに溶かし、室温で6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン0.60モルを加えて30分間撹拌した。水を留去して前記式(2)でのLが水であるところの[Cp*Ir(6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン)(H2O)](OTf)2錯体を得た。
錯体Cp*イリジウムトリスアクア錯体[Cp*Ir(H2O)3](OTf)20.60モルを水12mLに溶かし、室温で6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン0.60モルを加えて30分間撹拌した。水を留去して前記式(2)でのLが水であるところの[Cp*Ir(6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン)(H2O)](OTf)2錯体を得た。
(実施例1)
フラスコにエチレングリコール(5.0mmol)、触媒Cp*イリジウム6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン錯体(0.5mol%)、水(15mL)を加えた後、リフラックスコンデンサーおよびガスビュレットに接続した。脱水素化反応はエチレングリコールを含む触媒水溶液を100℃に加熱して加熱還流条件下で20時間行った。発生した水素ガスはガスビュレットに捕集して定量し、その収率は、エチレングリコール1分子から水素が1分子発生したときを100%として算出した。また、捕集した水素ガスの純度はガスクロマトグラフにより定量した。結果を表1に示した。
フラスコにエチレングリコール(5.0mmol)、触媒Cp*イリジウム6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン錯体(0.5mol%)、水(15mL)を加えた後、リフラックスコンデンサーおよびガスビュレットに接続した。脱水素化反応はエチレングリコールを含む触媒水溶液を100℃に加熱して加熱還流条件下で20時間行った。発生した水素ガスはガスビュレットに捕集して定量し、その収率は、エチレングリコール1分子から水素が1分子発生したときを100%として算出した。また、捕集した水素ガスの純度はガスクロマトグラフにより定量した。結果を表1に示した。
(実施例2)ジグリムと水を反応溶媒として併用
反応媒体としてジグリム15mLと水(5.0mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
反応媒体としてジグリム15mLと水(5.0mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
(実施例3)グリセリンの反応
エチレングリコールの代わりにグリセリン(5.0mmol)を使用したしたことおよび反応媒体としてジグリム15mLと水(5.0mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。その収率は、グリセリン1分子から水素が1分子発生したときを100%として算出した。結果を表1に示した。
エチレングリコールの代わりにグリセリン(5.0mmol)を使用したしたことおよび反応媒体としてジグリム15mLと水(5.0mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。その収率は、グリセリン1分子から水素が1分子発生したときを100%として算出した。結果を表1に示した。
(実施例4)キシリトールの反応
エチレングリコールの代わりにキシリトール(5.0mmol)を使用したしたことおよび反応媒体としてジグリム15mLと水(5.0mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。その収率は、キシリトール1分子から水素が1分子発生したときを100%として算出した。結果を表1に示した。
エチレングリコールの代わりにキシリトール(5.0mmol)を使用したしたことおよび反応媒体としてジグリム15mLと水(5.0mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。その収率は、キシリトール1分子から水素が1分子発生したときを100%として算出した。結果を表1に示した。
(実施例5)グルコースの反応
エチレングリコールの代わりにグルコース(5.0mmol)を使用したしたことおよび反応媒体としてジグリム15mLと水(5.0mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。その収率は、グルコース1分子から水素が1分子発生したときを100%として算出した。結果を表1に示した。
エチレングリコールの代わりにグルコース(5.0mmol)を使用したしたことおよび反応媒体としてジグリム15mLと水(5.0mmol)を使用したこと以外は実施例1と同様に行った。その収率は、グルコース1分子から水素が1分子発生したときを100%として算出した。結果を表1に示した。
(実施例6)触媒溶液の再利用
フラスコにグルコース(5.0mmol)、触媒Cp*イリジウム6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン錯体(1.0mol%)、水(15mL)を加えた後、リフラックスコンデンサーおよびガスビュレットに接続した。脱水素化反応はグルコースを含む触媒水溶液を100℃に加熱して加熱還流条件下で20時間行った。発生した水素ガスはガスビュレットに捕集して定量し、その収率は、グルコース1分子から水素が1分子発生したときを100%として算出した。また、捕集した水素ガスの純度はガスクロマトグラフにより定量した。この一回目の反応で水素ガスが収率87%(一回目)で得られた。つぎに、二回目の反応として、一回目の反応終了後の溶液に対して、新たにグルコース5.0mmolを加えて20時間加熱還流すると、85%(二回目)の水素ガスが得られた。この操作を5回繰り返した結果を表2に示した。
フラスコにグルコース(5.0mmol)、触媒Cp*イリジウム6,6’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジン錯体(1.0mol%)、水(15mL)を加えた後、リフラックスコンデンサーおよびガスビュレットに接続した。脱水素化反応はグルコースを含む触媒水溶液を100℃に加熱して加熱還流条件下で20時間行った。発生した水素ガスはガスビュレットに捕集して定量し、その収率は、グルコース1分子から水素が1分子発生したときを100%として算出した。また、捕集した水素ガスの純度はガスクロマトグラフにより定量した。この一回目の反応で水素ガスが収率87%(一回目)で得られた。つぎに、二回目の反応として、一回目の反応終了後の溶液に対して、新たにグルコース5.0mmolを加えて20時間加熱還流すると、85%(二回目)の水素ガスが得られた。この操作を5回繰り返した結果を表2に示した。
本発明により気液分離器3を通して製造した純度98%以上の高純度水素ガスは燃料電池自動車あるいは定置型燃料電池あるいは化合物の水素化等の種々の水素ガス原料に使用できる。
1 脂肪族多価アルコールおよび糖アルコールを含むタンク
2 脱水素化反応器
3 気液分離器
4 液体回収タンク
5 予熱器
2 脱水素化反応器
3 気液分離器
4 液体回収タンク
5 予熱器
Claims (5)
- 脱水素化反応により脂肪族多価アルコールおよび糖アルコールの少なくともいずれか1種以上を原料として、エーテル系溶剤を含む水溶液中で金属錯体触媒を使用して高純度水素を得ることを特徴とする水素製造方法。
- 脱水素化反応に使用する原料として、脂肪族多価アルコールであるエチレングリコールを使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素製造法。
- 脱水素化反応の反応温度が170℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水素製造方法。
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