JP2015139770A - アルコール合成用の触媒及びその製造方法、アルコールの製造装置ならびにアルコールの製造方法 - Google Patents

アルコール合成用の触媒及びその製造方法、アルコールの製造装置ならびにアルコールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生成物である酸素化物中のアルコールの比率をより高めて、アルコールをより効率的に合成できるアルコール合成用の触媒を提供する。
【解決手段】水素と一酸化炭素とを含む混合ガスからアルコールを合成するアルコール合成用の触媒において、一酸化炭素を酸素化物に変換する触媒粒子群αと、アルコール以外の酸素化物をアルコールに変換する触媒粒子群βとを含有する成形体であり、前記触媒粒子群αは、触媒金属を担体に担持した触媒金属担持体αが粉砕されてなり、前記触媒粒子群βは、触媒金属を担体に担持した触媒金属担持体βが粉砕されてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルコール合成用の触媒及びその製造方法、アルコールの製造装置ならびにアルコールの製造方法に関する。
バイオエタノールは、石油代替燃料としての普及が進められている。バイオエタノールは、主にサトウキビやトウモロコシの糖化及び発酵によって製造されている。近年、食料や飼料と競合しない、廃木材や稲わら等の作物の未利用部分等の木質系及び草本系バイオマス(セルロース系バイオマスともいう)からバイオエタノールを製造する技術が開発されている。
セルロース系バイオマスを原料とし、従来のエタノール発酵法を用いてバイオエタノールを製造するためには、セルロースを糖化させる必要がある。糖化方法としては、濃硫酸糖化法、希硫酸・酵素糖化法、水熱糖化法等があるが、安価にバイオエタノールを製造するためにはいまだ多くの課題が残されている。
一方、セルロース系バイオマスを水素と一酸化炭素とを含む混合ガスに変換した後、この混合ガスからアルコールを合成する方法がある。この方法により、アルコール発酵法の適用が難しいセルロース系バイオマスから、効率的にバイオエタノールを製造する試みがなされている。加えて、この方法によれば、木質系・草本系バイオマスに限らず、動物の死骸や糞等由来の動物バイオマス、生ゴミ、廃棄紙、廃繊維といった多様なバイオマスを原料に用いることができる。
さらに、水素と一酸化炭素との混合ガスは、天然ガス、石炭等の石油以外の資源からも得られるため、混合ガスからアルコールを合成する方法は、石油依存を脱却する技術として研究されている。
水素と一酸化炭素との混合ガスからエタノール、アセトアルデヒド、酢酸等の酸素化物を合成する触媒としては、例えば、ロジウム及びアルカリ金属をシリカゲルの担体に担持させた触媒が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、特許文献1の技術では、エタノール等のアルコール以外の酸素化物の生成量が多く、アルコールを単離する工程に多くの時間やエネルギーが必要になるという問題があった。
こうした問題に対し、ロジウムを担体担持してなる触媒が上層に充填され、イリジウム及び鉄を単体担持してなる触媒又はイリジウム、鉄及びロジウムを担体担持してなる触媒が下層に充填された反応装置に一酸化炭素と水素との混合ガスを接触させるエタノールの製造方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
また、例えば、ロジウムと、マンガンと、アルカリ金属と、鉄とを含む酸素化物合成用の触媒が提案されている(例えば、特許文献3)。
特公昭61−36730号公報 特公昭62−38335号公報 特開2013−49023号公報
しかしながら、アルコール合成用の触媒には、より効率的にアルコールを合成できることが求められている。
そこで、本発明は、生成物である酸素化物中のアルコールの比率をより高めて、アルコールをより効率的に合成できるアルコール合成用の触媒を目的とする。
本発明のアルコール合成用の触媒は、水素と一酸化炭素とを含む混合ガスからアルコールを合成するアルコール合成用の触媒において、一酸化炭素を酸素化物に変換する触媒粒子群αと、アルコール以外の酸素化物をアルコールに変換する触媒粒子群βとを含有する成形体であり、前記触媒粒子群αは、触媒金属を担体に担持した触媒金属担持体αが粉砕されてなり、前記触媒粒子群βは、触媒金属を担体に担持した触媒金属担持体βが粉砕されてなることを特徴とする。
前記触媒粒子群αは、触媒金属としてロジウムを含み、前記触媒粒子群βは、触媒金属として銅を含むことが好ましい。
本発明のアルコールの製造装置は、前記の本発明のアルコール合成用の触媒が充填された反応管と、前記混合ガスを前記反応管内に供給する供給手段と、前記反応管から生成物を排出する排出手段とを備えることを特徴とする。
本発明のアルコールの製造方法は、前記の本発明のアルコール合成用の触媒に、前記混合ガスを接触させてアルコールを得ることを特徴とする。
本発明のアルコール合成用の触媒の製造方法は、触媒金属が担体に担持された前記触媒金属担持体αを粉砕して、前記触媒粒子群αを得る第一の粉砕工程と、触媒金属が担体に担持された前記触媒金属担持体βを粉砕して、前記触媒粒子群βを得る第二の粉砕工程と、前記触媒粒子群αと、前記触媒粒子群βとの混合粉体を得る混合工程と、前記混合粉体を任意の形状に成形する成形工程と、を有することを特徴とする。
本稿において酸素化物は、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、酢酸等のカルボン酸、アセトアルデヒド等のアルデヒド、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル等、炭素原子と水素原子と酸素原子からなる分子を意味する。酸素化物の内、炭素数が2である化合物(例えば、酢酸、エタノール、アセトアルデヒド等)をC2酸素化物という。
本稿において、触媒金属担持体は、触媒粒子群の製造に用いられるものであり、粉砕される前のものである。
本発明のアルコール合成用の触媒によれば、生成物である酸素化物中のアルコールの比率をより高めて、アルコールをより効率的に合成できる。
本発明の一実施形態にかかる酸素化物の製造装置の模式図である。
(アルコール合成用の触媒)
本発明のアルコール合成用の触媒(以下、合成触媒ということがある)は、一酸化炭素を酸素化物に変換する触媒粒子群αと、アルコール以外の酸素化物をアルコールに変換する触媒粒子群βとを含有する成形体である。合成触媒は、触媒粒子群αと触媒粒子群βとを含有することで、生成物である酸素化物中のアルコールの比率をより高めて、アルコールをより効率的に合成できる。
合成触媒の形状は、反応管の大きさや、所望する反応速度等を勘案して適宜決定され、例えば、円柱状、多角柱状等の柱状物、球状物、不定形物等が挙げられる。なお、本稿において、成形体は、任意の形状の成形体を粉砕したものを含む。
成形体の大きさは、反応管の大きさや、所望する反応速度等を勘案して適宜決定される。ただし、小さすぎると飛散しやすく、取り扱いが煩雑になるおそれがあり、大きすぎると比表面積が小さくなって、混合ガスと触媒金属との接触効率が低下し、アルコールの合成効率が低下するおそれがある。このため、合成触媒は、0.1〜100mmが好ましく、0.5〜50mmがより好ましい。
<触媒粒子群α>
触媒粒子群αは、触媒金属担持体αが粉砕されたものであり、一酸化炭素を酸素化物に変換する。
触媒金属担持体αは、担体に触媒金属が担持されたものである。即ち、触媒粒子群αは、担体に触媒金属が担持された粉体である。
触媒粒子群αは、触媒金属として水素化活性金属(触媒粒子群αに含有される水素化活性金属を水素化活性金属αということがある)を含有する。触媒粒子群αとしては、CO転化率が高く、アルコールの選択率が高いものが好ましい。このような触媒粒子群αを用いることで、アルコールの合成効率のさらなる向上を図れる。
本稿において、「CO転化率」は、混合ガス中のCOのモル数の内、酸素化物の合成に消費されたCOのモル数が占める百分率である。
また、「選択率」は、混合ガス中の消費されたCOのモル数のうち、特定の酸素化物へ変換されたCのモル数が占める百分率である。例えば、下記(i)式によれば、アルコールであるエタノールの選択率は100モル%である。一方、下記(ii)式によれば、C2酸素化物であるエタノールの選択率は50モル%であり、C2酸素化物であるアセトアルデヒドの選択率も50モル%である。加えて、(i)式及び(ii)式において、C2酸素化物の選択率は100モル%である。
4H+2CO→CHCHOH+HO ・・・(i)
7H+4CO→COH+CHCHO+2HO ・・・(ii)
水素化活性金属αとしては、従来、混合ガスから酸素化物を合成できる金属として知られているものであればよく、例えば、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属;マンガン、レニウム等、周期表の第7族に属する元素;ルテニウム等、周期表の第8族に属する元素;コバルト、ロジウム等、周期表の第9族に属する元素;ニッケル、パラジウム等、周期表の第10族に属する元素等が挙げられる。
これらの水素化活性金属αは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。水素化活性金属αとしては、CO転化率をより高め、アルコールの選択率をより高める観点から、ロジウム、マンガン及びリチウムを組み合わせたものや、ルテニウム、レニウム及びナトリウムを組み合わせたもの等、ロジウム又はルテニウムとアルカリ金属とその他の水素化活性金属αとを組み合わせたものが好ましい。
触媒粒子群αは、水素化活性金属αに加え、助活性金属(触媒粒子群αに含有される助活性金属を助活性金属αということがある)を含んでもよい。
助活性金属αとしては、例えば、チタン、バナジウム、クロム、ホウ素、マグネシウム、ランタノイド及び周期表の第13族に属する元素から選択される1種以上が挙げられ、中でも、チタン、マグネシウム、バナジウムが好ましく、チタンがより好ましい。触媒粒子群αは、これらの助活性金属αを含有することで、CO転化率をより高め、アルコールの選択率をより高められる。
以下、水素化活性金属αと助活性金属αとを合わせて触媒金属αということがある。
触媒粒子群αとしては、例えば、ロジウムを含有するものが好ましく、ロジウムと、マンガンと、アルカリ金属とを含有するものがより好ましく、ロジウムと、マンガンと、アルカリ金属と、助活性金属αとを含有するものがさらに好ましい。
≪担体≫
担体としては、従来、触媒に用いられている担体を用いることができ、例えば、多孔質担体が好ましい。
多孔質担体の材質は、特に限定されず、例えば、シリカ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、アルミナ、活性炭、ゼオライト等が挙げられ、中でも、比表面積や細孔直径が異なる種々の製品が市場で調達できることから、シリカが好ましい。
触媒金属担持体αに用いられる多孔質担体の大きさは、特に限定されないが、例えば、シリカの多孔質担体であれば、粒子径0.5〜5000μmのものが好ましい。上記下限値未満では、飛散しやすくなり、取り扱いが煩雑になりやすい。上記上限値超では、触媒金属αを担持させる際に、触媒金属αが担体内部に入りにくくなり、触媒金属αの担持量が少なくなって、アルコールの合成効率の向上の程度が小さくなるおそれがある。多孔質担体の粒子径は、篩分けにより調節される。
加えて、多孔質担体は、粒子径分布ができるだけ狭いものが好ましい。
触媒金属担持体αに用いられる多孔質担体における細孔容積の合計(全細孔容積)は、特に限定されないが、例えば、0.01〜1.0mL/gが好ましく、0.1〜0.8mL/gがより好ましく、0.3〜0.7mL/gがさらに好ましい。全細孔容積が上記下限値未満では、多孔質担体の比表面積が小さくなりすぎて、触媒金属αを担持させる際にその分散性が低下し、アルコールの合成効率の向上の程度が低下するおそれがある。全細孔容積が上記上限値超では、細孔直径が小さくなりすぎて、触媒金属αを担持させる際に、触媒金属αが担体内部まで入りにくくなり、触媒金属αの担持量が少なくなって、アルコールの合成効率の向上の程度が小さくなるおそれがある。
全細孔容積は、水滴定法により測定される値である。水滴定法とは、多孔質担体の表面に水分子を吸着させ、分子の凝縮から細孔分布を測定する方法である。
触媒金属担持体αに用いられる多孔質担体の平均細孔直径は、特に限定されないが、例えば、0.01〜20nmが好ましく、0.1〜8nmがより好ましい。平均細孔直径が上記下限値未満では、触媒金属αを担持させる際に、触媒金属αが担体内部まで入りにくくなり、触媒金属αの担持量が少なくなったり、金属の分散性が低下したりして、アルコールの合成効率が低下するおそれがある。平均細孔直径が上記上限値超では、担体の比表面積が小さくなりすぎて、触媒金属αを担持させる際にその分散性が低下し、アルコールの合成効率が低下するおそれがある。
平均細孔直径は、以下の手法で測定される値である。平均細孔直径が0.1nm以上10nm未満の場合、全細孔容積とBET比表面積とから算出される。平均細孔直径が10nm以上の場合、水銀圧入法ポロシメーターにより測定される。
ここで、全細孔容積は、水滴定法により測定される値であり、BET比表面積は、窒素を吸着ガスとし、その吸着量とその時の圧力から算出される値である。
水銀圧入法は、水銀を加圧して多孔質担体の細孔に圧入させ、その圧力と圧入された水銀量から平均細孔直径を算出するものである。
触媒金属担持体αに用いられる多孔質担体の比表面積は、特に限定されないが、例えば、1〜1000m/gが好ましく、300〜800m/gがより好ましく、400〜700m/gがさらに好ましい。比表面積が上記下限値未満では、担体の比表面積が小さすぎて、触媒金属αを担持させる際にその分散性が低下し、アルコールの合成効率が低下するおそれがある。比表面積が上記上限値超では、細孔直径が小さくなりすぎて、触媒金属αを担持させる際に、触媒金属αが担体内部まで入りにくくなり、触媒金属αの担持量が少なくなったり、金属の分散性が低下したりして、アルコールの合成効率が低下するおそれがある。
比表面積は、窒素を吸着ガスとし、BET式ガス吸着法により測定されるBET比表面積である。
触媒粒子群α中の水素化活性金属αの担持量は、水素化活性金属αの種類や多孔質担体の種類等を勘案して決定され、例えば、多孔質担体がシリカであれば、多孔質担体100質量部に対して0.05〜30質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。上記下限値未満では、水素化活性金属αの量が少なすぎて、CO転化率が低下するおそれがあり、上記上限値超では、水素化活性金属αを均一かつ高分散状態にできず、CO転化率が低下するおそれがある。
触媒粒子群α中の助活性金属αの担持量は、助活性金属αの種類や水素化活性金属αの種類等を勘案して決定され、例えば、多孔質担体100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。上記下限値未満では、助活性金属αの担持量が少なすぎて、助活性金属αを用いる効果が発揮されにくい。上記上限値超では、多孔質担体の表面が助活性金属αで過剰に被覆されてしまい、CO転化率が低下するおそれがある。
触媒粒子群α中の触媒金属αの担持量の合計は、触媒金属αの組成、多孔質担体の材質等を勘案して決定され、例えば、多孔質担体100質量部に対して0.05〜30質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。上記下限値未満では、触媒金属αの担持量が少なすぎて、CO転化率が低下するおそれがあり、上記上限値超では、触媒金属αを均一かつ高分散状態にできず、CO転化率が低下するおそれがある。
触媒粒子群αとしては、下記(I)式で表される組成が好ましい。
aA・bB・cC・dD ・・・・(I)
(I)式中、Aはロジウムを表し、Bはマンガンを表し、Cはアルカリ金属を表し、Dは助活性金属を表し、a、b、c及びdはモル分率を表し、a+b+c+d=1である。
(I)式中のaは、0.053〜0.98が好ましく、0.24〜0.8がより好ましく、0.32〜0.67がさらに好ましい。上記下限値未満であるとロジウムの含有量が少なすぎて、CO転化率を十分に高められないおそれがあり、上記上限値超であると他の金属の含有量が少なくなりすぎて、CO転化率を十分に高められないおそれがある。
(I)式中のbは、0.0006〜0.67が好ましく、0.033〜0.57がより好ましく、0.089〜0.44がさらに好ましい。上記下限値未満であるとマンガンの含有量が少なすぎて、CO転化率を十分に高められないおそれがあり、上記上限値超であると他の金属の含有量が少なくなりすぎて、CO転化率を十分に高められないおそれがある。
(I)式中のcは、0.00056〜0.51が好ましく、0.026〜0.42がより好ましく、0.075〜0.33がさらに好ましい。上記下限値未満であるとアルカリ金属の含有量が少なすぎて、CO転化率を十分に高められないおそれがあり、上記上限値超であると他の金属の含有量が少なくなりすぎて、CO転化率を十分に高められないおそれがある。
(I)式中のdは、0(即ち、助活性金属を含有しない)でもよいし、0超(即ち、助活性金属を含有する)でもよい。助活性金属を含有する場合、dは、0.0026〜0.94が好ましく、0.02〜0.48がより好ましく、0.039〜0.25がさらに好ましい。上記下限値未満であると助活性金属の含有量が少なすぎて、CO転化率を十分に高められないおそれがあり、上記上限値超であると他の金属の含有量が少なくなりすぎて、CO転化率を十分に高められないおそれがある。
合成触媒中の触媒粒子群αの種類は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
触媒粒子群αの粒子径は、所望する反応速度等を勘案して適宜決定され、例えば、0.5μm超500μm以下が好ましく、5μm超300μm以下がより好ましい。上記下限値未満では、触媒粒子群が飛散しやすくなり、取り扱いが煩雑になったり、成形時に密度が高くなりすぎて、混合ガスが流通しにくくなったりしやすい。上記上限値超では、成形しにくくなったり、アルコールの合成効率の向上の程度が小さくなるおそれがある。
合成触媒中、触媒粒子群αの含有量は、触媒粒子群αの能力等を勘案して決定され、例えば、9〜91質量%の範囲で適宜決定される。
<触媒粒子群β>
触媒粒子群βは、触媒金属担持体βが粉砕されたものであり、アルコール以外の酸素化物をアルコールに変換する。
触媒金属担持体βは、担体に触媒金属が担持されたものである。即ち、触媒粒子群βは、担体に触媒金属が担持された粉体である。
触媒粒子群βは、アルコール以外の酸素化物をアルコールに変換できればよく、触媒金属として、例えば、銅、銅−亜鉛、銅−クロム、銅−亜鉛−クロム等、銅単独又は銅と銅以外の遷移金属との組み合わせ(本稿において遷移金属は第12族に属する元素を含む)や、鉄、ロジウム−鉄、ロジウム−モリブデン、パラジウム、パラジウム−鉄、パラジウム−モリブデン、イリジウム−鉄、ロジウム−イリジウム−鉄、イリジウム−モリブデン、レニウム−亜鉛、白金、ニッケル、コバルト、ルテニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム、酸化白金、酸化ルテニウム等(以下、触媒粒子群βに含有される触媒金属を触媒金属βということがある)を含有するものが挙げられる。中でも、触媒金属βとしては、銅単独又は銅と銅以外の遷移金属との組み合わせが好ましく、銅、銅−亜鉛、銅−クロム又は銅−亜鉛−クロムが好ましい。このような触媒粒子群βを用いることで、アルコールの合成効率のさらなる向上を図れる。
触媒金属担持体βに用いられる担体は、触媒金属担持体αに用いられる担体と同様である。触媒金属担持体βに用いられる担体は、触媒金属担持体αに用いられる担体と同じでもよいし、異なってもよい。
触媒粒子群β中の触媒金属の担持量は、触媒金属αの種類や多孔質担体の種類等を勘案して決定され、例えば、多孔質担体がシリカであれば、多孔質担体100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜25質量部がより好ましい。上記下限値未満では、触媒金属βの担持量が少なすぎて、アルコールの選択率が低下するおそれがあり、上記上限値超では、触媒金属βを均一かつ高分散状態にできず、アルコールの選択率が低下するおそれがある。
触媒粒子群βとしては、銅単独又は銅と銅以外の遷移金属とが担体に担持された触媒(以下、銅系担持触媒ということがある)が好ましい。
銅系担持触媒としては、下記(II)式で表されるものが好ましい。
eE・fF ・・・・(II)
(II)式中、Eは銅を表し、Fは、銅以外の遷移金属を表し、e及びfはモル分率を表し、e+f=1である。
(II)式中、Fとしては、亜鉛、クロムが好ましい。Fは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(II)式中のeは、0.5〜0.9が好ましく、0.5〜0.7がより好ましい。上記下限値未満であると銅の含有量が少なすぎて、アルコール以外の酸素化物をアルコールに変換する効率が低下するおそれがあり、上記上限値超であるとFの含有量が少なくなりすぎて、アルコール以外の酸素化物をアルコールに変換する効率が低下するおそれがある。
(II)式中のfは、0.1〜0.5が好ましく、0.3〜0.5がより好ましい。上記下限値未満であるとFの含有量が少なすぎて、アルコール以外の酸素化物をアルコールに変換する効率が低下するおそれがあり、上記上限値超であると銅の含有量が少なくなりすぎて、アルコール以外の酸素化物をアルコールに変換する効率が低下するおそれがある。
合成触媒中の触媒粒子群βの種類は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
本発明における触媒粒子群αと触媒粒子群βとの好適な組み合わせとしては、ロジウムを含有し銅を含有しない触媒粒子群αと、銅を含有しロジウムを含有しない触媒粒子群βとの組み合わせが好ましい。
触媒粒子群βの粒子径は、触媒粒子群αの粒子径と同様である。触媒粒子群βの粒子径は、触媒粒子群αの粒子径と同じでもよく、異なってもよい。ただし、後述する製造方法において、触媒粒子群αと触媒粒子群βとが分級するのを防止する観点から、[触媒粒子群αの平均粒子径]/[触媒粒子群βの平均粒子径]で表される比は、0.5〜2が好ましい。なお、平均粒子径は、体積標準のメジアン径である。
触媒粒子群βの比重と触媒粒子群αの比重とは同じでもよいし、異なってもよい。ただし、後述する製造方法において、触媒粒子群αと触媒粒子群βとが分級するのを防止する観点から、[触媒粒子群αの比重]/[触媒粒子群βの比重]で表される比は、0.5〜2が好ましい。
合成触媒中、触媒粒子群βの含有量は、触媒粒子群βの能力等を勘案して決定され、例えば、9〜91質量%の範囲で適宜決定される。
合成触媒中、触媒粒子群β/触媒粒子群αで表される質量比(以下、β/α質量比)は、例えば、1以上が好ましく、1超がより好ましく、1超10以下がさらに好ましい。β/α質量比が記下限値未満では、早期にCO転化率が低下するおそれがあり、上記上限値超では、合成触媒の単位質量当たりのアルコールの生成量が少なくなり、アルコールの合成効率が低下するおそれがある。
[混合される触媒粒子群βの体積]/[混合される触媒粒子群αの体積]で表される体積比(以下、β/α体積比)は、例えば、1以上が好ましく、1超がより好ましく、1超15以下がさらに好ましい。β/α体積比が上記下限値未満では、早期にCO転化率が低下するおそれがあり、上記上限値超では、合成触媒の単位質量当たりのアルコールの生成量が少なくなり、アルコールの合成効率が低下するおそれがある。なお、[混合される触媒粒子群βの体積]及び[混合される触媒粒子群αの体積]は、混合前の見かけ体積である。
<その他の触媒粒子>
合成触媒は、触媒粒子群α及び触媒粒子群β以外の触媒粒子を含んでもよい。ただし、副次的な反応を制御して、アルコールの合成効率のさらなる向上を図る観点から、合成触媒は、実質的に触媒粒子群αと触媒粒子群βとからなることが好ましい。「実質的に触媒粒子群αと触媒粒子群βとからなる」とは、触媒粒子群α及び触媒粒子群β以外の触媒粒子をまったく含まないか、あるいは本発明の効果に影響しない程度に、触媒粒子群α及び触媒粒子群β以外の触媒粒子を含むことを意味する。
(合成触媒の製造方法)
本発明の合成触媒の製造方法は、触媒金属担持体αを粉砕して触媒粒子群αを得る第一の粉砕工程と、触媒金属担持体βを粉砕して触媒粒子群βを得る第二の粉砕工程と、触媒粒子群αと触媒粒子群βとの混合粉体を得る混合工程と、混合粉体を任意の形状に成形する成形工程と、を有する。
<触媒金属担持体α>
触媒金属担持体αは、従来公知の担持触媒の製造方法に準じて製造される。触媒金属担持体αの製造方法としては、例えば、含浸法が挙げられる。含浸法を用いることで、担体に触媒金属αを均一に担持できる。触媒金属担持体αに用いられる触媒金属αの原料化合物としては、酸化物、塩化物、硝酸塩、炭酸塩等の無機塩、シュウ酸塩、アセチルアセトナート塩、ジメチルグリオキシム塩、エチレンジアミン酢酸塩等の有機塩又はキレート化合物、カルボニル化合物、シクロペンタジエニル化合物、アンミン錯体、アルコキシド化合物、アルキル化合物等、通常、金属触媒を製造する際に用いられるものが挙げられる。
含浸法による触媒金属担持体αの製造方法の一例について説明する。まず、触媒金属αの原料化合物を水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の溶媒に溶解し、得られた溶液(含浸液)に担体を浸漬する等して、含浸液を担体に含浸させる(含浸操作)。
含浸液を担体に含浸させる方法としては、全ての原料化合物を溶解した溶液を担体に含浸させる方法(同時法)、各原料化合物を別個に溶解した溶液を調製し、逐次的に担体に各溶液を含浸させる方法(逐次法)等が挙げられ、中でも、逐次法が好ましい。逐次法で得られた触媒は、CO転化率をより高め、アルコールの選択率をより高められる。
含浸操作の後、必要に応じて、含浸液が含浸した担体を乾燥し(乾燥操作)、これを焼成してもよい(焼成操作)。
乾燥操作における乾燥方法は特に限定されず、例えば、含浸液が含浸された担体を任意の温度で加熱する方法が挙げられる。乾燥操作における加熱温度は、含浸液の溶媒を蒸発できる温度であればよく、溶媒が水であれば、80〜120℃とされる。
焼成操作における加熱温度は、例えば、300〜600℃とされる。焼成操作を行うことで、触媒金属の原料化合物に含まれていた成分の内、触媒反応に寄与しない成分を十分に揮散し、触媒活性をより高められる。
こうして、担体に触媒金属αが担持された触媒金属担持体αを得る。
<触媒金属担持体β>
触媒金属担持体βの製造方法は、触媒金属担持体αの製造方法と同様である。
触媒金属担持体βに用いられる触媒金属βの原料化合物は、触媒金属担持体αに用いられる触媒金属αの原料化合物と同様である。
<第一の粉砕工程>
第一の粉砕工程は、触媒金属担持体αを任意の粒子径に粉砕して触媒粒子群αとする工程である。
第一の粉砕工程における粉砕方法としては、例えば、触媒金属担持体αを乳鉢で磨り潰す方法、ボールミル、ロッドミル、ローラミル等の粉砕機を用いて触媒金属担持体を粉砕する方法等が挙げられる。
得られる触媒粒子群αの粒子径は、所望する反応速度等を勘案して適宜決定され、例えば、0.5μm超500μm以下が好ましく、5μm超300μm以下がより好ましい。上記下限値未満では、触媒粒子群αが飛散しやすくなり、取り扱いが煩雑になったり、成形時に密度が高くなりすぎて、混合ガスが流通しにくくなったりしやすい。上記上限値超では、成形しにくくなったり、アルコールの合成効率の向上の程度が小さくなるおそれがある。
触媒粒子群αの粒子径は、第一の粉砕工程における粉砕時間や、粉砕装置の種類、粉砕装置における剪断力等を組み合せることで調節される。
第一の粉砕工程は、得られた触媒粒子群αを任意の粒子径分布に調整する分級操作を有してもよい。分級操作としては、例えば、任意の目開きの篩を用いた篩い分けが挙げられる。
<第二の粉砕工程>
第二の粉砕工程は、触媒金属担持体βを任意の粒子径に粉砕して触媒粒子群βとする工程である。
得られる触媒粒子群βの粒子径は、第一の粉砕工程において得られる触媒粒子群αの粒子径と同様である。
第二の粉砕工程における粉砕方法は、第一の粉砕工程における粉砕方法と同様である。
第二の粉砕工程は、第一の粉砕工程と同様に、分級操作を有してもよい。
<混合工程>
混合工程は、触媒粒子群αと触媒粒子群βとの混合粉体を得る工程である。
混合工程としては、例えば、第一の粉砕工程で得られた触媒粒子群αと、第二の粉砕工程で得られた触媒粒子群βとを粉体混合する方法が挙げられる。
粉体混合する方法としては、従来公知の粉体混合装置を用いた方法が挙げられる。
混合工程における混合時間は、特に限定されず、触媒粒子群αと触媒粒子群βとが分級しない程度の時間とされる。
混合工程は、第一の粉砕工程及び第二の粉砕工程の双方もしくはいずれか一方を兼ねてもよい。例えば、触媒金属担持体αと触媒金属担持体βとを混合し、これを粉砕して混合粉体を得てもよいし、触媒粒子群αに触媒金属担持体βを加え、これを粉砕して混合粉体を得てもよいし、触媒金属担持体αに触媒粒子群βを加え、これを粉砕して混合粉体を得てもよい。
混合工程において、配合される触媒粒子群αと配合される触媒粒子群βとの質量比は、所望する反応速度等を勘案して適宜決定される。混合工程において、触媒粒子群β/触媒粒子群αで表される質量比(以下、β/α質量比)は、例えば、1以上が好ましく、1超がより好ましく、1超10以下がさらに好ましく、2.5〜5が特に好ましい。β/α質量比が上記下限値未満では、早期にCO転化率が低下するおそれがあり、上記上限値超では、合成触媒の単位質量当たりのアルコールの生成量が少なくなり、アルコールの製造効率が低下するおそれがある。
混合工程において、[混合される触媒粒子群βの体積]/[混合される触媒粒子群αの体積]で表される体積比(以下、β/α体積比)は、例えば、1以上が好ましく、1超がより好ましく、1超15以下がさらに好ましく、2.5〜7が特に好ましい。β/α体積比が上記下限値未満では、早期にCO転化率が低下するおそれがあり、上記上限値超では、合成触媒の単位質量当たりのアルコールの生成量が少なくなり、アルコールの製造効率が低下するおそれがある。なお、[混合される触媒粒子群βの体積]及び[混合される触媒粒子群αの体積]は、混合前の見かけ体積である。
<成形工程>
成形工程は、混合工程で得られた混合粉体を任意の形状に成形する工程である。
成形工程における成形方法としては、例えば、混合粉体を任意の形状の型に入れ、これを圧縮する方法が挙げられる。混合粉体を圧縮する際の圧力は、所望する反応速度等を勘案して適宜決定され、例えば、5〜50MPa/cmが好ましい。上記下限値以上であれば、成形体を良好に成形でき、上記上限値以下であれば、触媒粒子群α及び触媒粒子群βが破壊されにくい。
また、成形工程においては、得られた成形体を粉砕して、任意の粒子径の粒状物としてもよい。
合成触媒を粒状物とする場合、粉砕後の合成触媒を任意の粒子径となるように篩い分けてもよい。
こうして、任意の形状に成形された合成触媒が得られる。
<還元処理>
得られた合成触媒は、還元処理が施されて、活性化される。
還元処理の方法としては、触媒金属の種類等を勘案して、適宜決定される。還元処理としては、200〜600℃で、還元ガスを触媒に接触させる方法が挙げられる。
還元処理における加熱時間は、例えば、1〜10時間が好ましく、2〜5時間がより好ましい。
(アルコールの製造装置)
本発明のアルコールの製造装置(以下、単に製造装置ということがある)は、合成触媒が充填された反応管と、混合ガスを反応管内に供給する供給手段と、反応管から生成物を排出する排出手段とを備える。
本発明の製造装置の一例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる製造装置10を示す模式図である。製造装置10は、合成触媒が充填されて反応床2が形成された反応管1と、反応管1に接続された供給管3と、反応管1に接続された排出管4と、反応管1に接続された温度制御部5と、排出管4に設けられた圧力制御部6とを備えるものである。
反応床2は、合成触媒のみが充填されたものでもよいし、合成触媒と希釈材とが充填されたものでもよい。希釈材は、アルコールの製造中における合成触媒の過度の発熱を防止するためのものであり、例えば、触媒金属担持体αや触媒金属担持体βに用いられる担体と同様のものや、石英砂、アルミナボール、アルミボール、アルミショット等が挙げられる。
反応床2に希釈材を充填する場合、希釈材/合成触媒で表される質量比は、それぞれの種類や比重等を勘案して決定され、例えば、0.5〜5が好ましい。
ただし、本発明においては、触媒粒子群βが、触媒粒子群αに対して希釈材としての役割を果たすため、反応床2には、合成触媒のみが充填されていることが好ましい。希釈材を用いなければ、反応床2の単位体積当たりのアルコールの製造量を高め、製造装置10のコンパクト化を図れる。
反応管1は、混合ガス及び合成された酸素化物に対して不活性な材料が好ましく、100〜500℃程度の加熱、又は10MPa程度の加圧に耐え得る形状のものが好ましい。
反応管1としては、例えば、ステンレス製の略円筒形の部材が挙げられる。
供給管3は、混合ガスを反応管1内に供給する供給手段であり、例えば、ステンレス製等の配管が挙げられる。
排出管4は、反応床2で合成されたアルコールを含む合成ガス(生成物)を排出する排出手段であり、例えば、ステンレス製等の配管が挙げられる。
温度制御部5は、反応管1内の反応床2を任意の温度にできるものであればよく、例えば、電気炉等が挙げられる。
圧力制御部6は、反応管1内の圧力を任意の圧力にできるものであればよく、例えば、公知の圧力弁等が挙げられる。
また、製造装置10は、マスフロー等、ガスの流量を調整するガス流量制御部等の周知の機器を備えていてもよい。
(アルコールの製造方法)
本発明のアルコールの製造方法は、混合ガスを合成触媒に接触させるものである。本発明のアルコールの製造方法の一例について、図1の製造装置を用いて説明する。
まず、反応管1内を任意の温度及び任意の圧力とし、混合ガス20を供給管3から反応管1内に流入させる。
混合ガス20は、水素と一酸化炭素とを含むものであれば特に限定されず、例えば、天然ガス、石炭から調製されたものであってもよいし、バイオマスをガス化して得られるバイオマスガス等であってもよいし、廃プラスチック、廃紙、廃衣料等の有機性廃棄物をガス化して得られるもの(以下、リサイクルガスということがある)であってもよい。バイオマスガス、リサイクルガスは、例えば、粉砕したバイオマスや有機性廃棄物を水蒸気の存在下で加熱(例えば、800〜1000℃)する等、従来公知の方法で得られる。
混合ガス20として、バイオマスガス又はリサイクルガスを用いる場合、混合ガス20を反応管1内に供給する前に、タール分、硫黄分、窒素分、塩素分、水分等の不純物を除去する目的で、混合ガス20にガス精製処理を施してもよい。ガス精製処理としては、例えば、湿式法、乾式法等、当該技術分野で知られる各方式を採用できる。湿式法としては、水酸化ナトリウム法、アンモニア吸収法、石灰・石膏法、水酸化マグネシウム法等が挙げられ、乾式法としては、圧力スイング吸着(PSA)法等の活性炭吸着法、電子ビーム法等が挙げられる。
混合ガス20は、水素と一酸化炭素とを主成分とするもの、即ち混合ガス20中の水素と一酸化炭素との合計が、50体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましく、90体積%以上であることがさらに好ましく、100体積%であってもよい。水素と一酸化炭素との含有量が多いほど、アルコールの製造効率をより高められる。
混合ガス20における水素/一酸化炭素で表される体積比(以下、H/CO比ということがある)は、1/5〜5/1が好ましく、1/2〜3/1がより好ましく、1/1〜2.5/1がさらに好ましい。上記範囲内であれば、触媒反応における酸素化物が生成される反応で、化学量論的に適正な範囲となり、アルコールの合成効率のさらなる向上を図れる。
なお、混合ガス20は、水素及び一酸化炭素の他に、メタン、エタン、エチレン、窒素、二酸化炭素、水等を含んでいてもよい。
混合ガス20と触媒とを接触させる際の温度(反応温度)、即ち反応管1内の温度は、例えば、150〜450℃が好ましく、200〜400℃がより好ましく、250〜350℃がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、触媒反応の速度を十分に高め、アルコールをより効率的に製造できる。上記上限値以下であれば、アルコールの合成反応を主反応として、アルコールの製造効率のさらなる向上を図れる。
混合ガス20と触媒とを接触させる際の圧力(反応圧力)、即ち反応管1内の圧力は、例えば、0.5〜10MPaが好ましく、1〜7.5MPaがより好ましく、2〜5MPaがさらに好ましい。上記下限値以上であれば、触媒反応の速度を十分に高めアルコールをより効率的に製造できる。上記上限値以下であれば、アルコールの合成反応を主反応として、アルコールの製造効率のさらなる向上を図れる。
流入した混合ガス20は、反応床2の触媒粒子群αと接触し、例えば、下記(1)〜(3)式で表される触媒反応により、その一部がエタノール等のアルコールと、アルデヒドや、カルボン酸、エステル等の副生物とを含む酸素化物となる。副生物の内、アセトアルデヒド等のアルデヒドや、酢酸等のカルボン酸、蟻酸メチル等のエステル等、アルコール以外の酸素化物は、触媒粒子群βにより速やかにアルコールに変換される(下記式(4))。
2H+2CO→CHCOOH ・・・(1)
3H+2CO→CHCHO+HO ・・・(2)
4H+2CO→CHCHOH+HO ・・・(3)
+CHCHO→CHCHOH ・・・(4)
そして、このアルコールを含む合成ガス22は、排出管4から排出される。合成ガス22は、アルコールを含むものであれば特に限定されず、例えば、アルコール以外の酸素化物や、メタン等の炭化水素等を含んでいてもよい。
合成ガス22において、アルコールの選択率は40モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。アルコールの選択率が上記下限値以上であれば、アルコール以外の化合物を除去したりする工程の簡略化を図れる。
混合ガス20の供給速度は、例えば、反応床2における混合ガスの空間速度(単位時間当たりのガスの供給量を触媒量(体積換算)で除した値)が標準状態換算で、好ましくは10〜100000L/L−触媒/h、より好ましくは1000〜50000L/L−触媒/h、さらに好ましくは3000〜20000L/L−触媒/hとされる。空間速度は、反応圧力、反応温度、及び原料である混合ガスの組成を勘案して、適宜調整される。
必要に応じ、排出管4から排出された合成ガス22を気液分離器等で処理し、アルコールと、未反応の混合ガス20や副生物とを分離してもよい。
本実施形態では、固定床の反応床2に混合ガスを接触させているが、例えば、合成触媒を流動床又は移動床等、固定床以外の形態とし、これに混合ガスを接触させてもよい。
本発明においては、合成ガス22中の副生物を蒸留等によって、成分毎に分離してもよい。
また、本発明においては、アルコール以外の生成物を水素化してアルコールに変換する工程(アルコール化工程)を設けてもよい。アルコール化工程としては、例えば、アセトアルデヒド、酢酸等を含む酸素化物を水素化触媒に接触させてアルコールに変換する方法が挙げられる。
ここで、水素化触媒としては、当該技術分野で知られる触媒が使用でき、例えば、触媒粒子群β又は触媒金属担持体βと同様のものが挙げられる。
本発明の合成触媒は、触媒粒子群αと触媒粒子群βとを含有する成形物であるため、アルコールをより効率的に合成できる。
本発明の合成触媒は、水素と一酸化炭素とを含む混合ガスからエタノールを製造するのに好適である。
以下に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(製造例1)合成触媒Aの製造
塩化ロジウム三水和物(RhCl・3HO)0.0768gと、塩化リチウム一水和物(LiCl・HO)0.0048gと、塩化マンガン四水和物(MnCl・4HO)0.0433gとを含む水溶液(含浸液α)0.61mLを調製した。含浸液α0.61mLを粒子径1〜2mmの球形シリカゲル(比表面積:430m/g、平均細孔直径:5.7nm、全細孔容積:0.61mL/g)1.0gに滴下して含浸させた。これを110℃にて3時間乾燥し、さらに450℃にて3時間焼成して触媒金属担持体αを得た。得られた触媒金属担持体αは、触媒金属αとしてロジウム、マンガン、リチウムを含有し、ロジウム担持率=3質量%/SiO、Rh:Mn:Li=1.00:0.750:0.275(モル比)であった。触媒金属担持体αを乳鉢で粉砕し、これを篩分けし、目開き100μmの篩を通過せず、目開き200μmの篩を通過したものを触媒粒子群αとした。
硝酸銅三水和物(Cu(NO・3HO)0.344gと、硝酸亜鉛六水和物(Zn(NO・6HO)0.412gとを含む水溶液(含浸液β)0.95mLを調製した。含浸液β0.95mLを粒子径1〜2mmの球形シリカゲル(比表面積:315m/g、平均細孔直径:10nm、全細孔容積:0.95mL/g)1.0gに滴下して含浸させた。これを110℃にて3時間乾燥し、さらに400℃にて3時間焼成して、触媒金属担持体βを得た。得られた触媒金属担持体βは、触媒金属βとして、銅及び亜鉛を含有し、銅担持率=9質量%/SiO、Cu:Zn=1.00:0.97(モル比)であった。触媒金属担持体βを乳鉢にて粉砕し、これを篩分けし、目開き100μmの篩を通過せず、目開き200μmの篩を通過したものを触媒粒子群βとした。
触媒粒子群α1.0gと触媒粒子群β3.0gとを混合し、錠剤状成形型にて19MPa/cmの圧力で圧縮成形した。圧縮成形して得られた錠剤状の触媒を乳鉢で粉砕し、これを篩分けし、目開き1mmの篩を通過せず、目開き2mmの篩を通過したものを合成触媒Aとした。表1中、合成触媒Aの形態を「粉砕後成形体」と記す。
(製造例2)合成触媒Bの製造
製造例1で作製した触媒金属担持体α0.5gと触媒金属担持体β1.5gとを混合して、合成触媒Bとした。表1中、合成触媒Bの形態を「未粉砕混合体」と記す。
(製造例3)合成触媒Cの製造
硝酸銅三水和物(Cu(NO・3HO)0.115gと、硝酸亜鉛六水和物(Zn(NO・6HO)0.137gとを含む水溶液0.61mLを、製造例1で得られた触媒金属担持体α1.043gに滴下して含浸させた。これを110℃にて3時間乾燥し、さらに400℃にて3時間焼成して合成触媒Cを得た。得られた合成触媒Cは、ロジウム担持率=3質量%/SiO、Rh:Mn:Li:Cu:Zn=1.00:0.750:0.275:1.63:1.58(モル比)であった。表1中、合成触媒Cの形態を「αβ混在型」と記す。
(実施例1)
製造例1で得られた合成触媒A2.0gを内径10.7mm、長さ40cmのステンレス製の円筒型の反応管に充填して反応床とし、図1のアルコールの製造装置10と同様のアルコールの製造装置を得た。
反応床に、常圧で還元ガス(水素濃度30体積%、窒素濃度70体積%)を6000L/L−触媒/hで流通させながら、320℃で2時間加熱し、触媒に還元処理を施した。
次いで、以下の手順でアルコール(エタノール)を製造した。
反応床温度を260℃まで降温した後、混合ガス(H/CO比=2)を9000L/L−触媒/hで流通させ、反応圧力を0.9MPaまで昇圧した。その後、反応温度を1℃/1分の速度で280℃まで昇温し、温度が安定した時を反応開始時とした。反応開始時から1時間後に、生成物を含む合成ガスを回収し、ガスクロマトグラフィーにより分析した。得られたデータから、CO転化率(モル%)、生成物の選択率(モル%)及びエタノール収率(g/L−触媒/h)を算出した。これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
合成触媒Aに代えて、製造例2で得られた合成触媒B2.0gを用いた以外は、実施例1と同様にしてアルコールを製造し、CO転化率、生成物の選択率及びエタノール収率を求めた。その結果を表1に示す。
(比較例2)
合成触媒Aに代えて、製造例3で得られた合成触媒C0.5gと、1.0gの球形シリカゲル(希釈材)との混合物を用いた以外は、実施例1と同様にしてアルコールを製造し、CO転化率、生成物の選択率及びエタノール収率を求め、その結果を表1に示す。
Figure 2015139770
表1に示すように、本発明を適用した実施例1は、CO転化率が9.5モル%、エタノール選択率が57.0モル%、エタノール収率が155g/L−触媒/hであった。
これに対し、触媒金属担持体αと触媒金属担持体βとの混合体である比較例1は、CO転化率が10.1モル%、エタノール選択率が50.4モル%、エタノール収率が141g/L−触媒/hであった。
また、触媒金属αと触媒金属βとが担体に担持された合成触媒Cを用いた比較例2は、CO転化率が3.5モル%、エタノール選択率が36.5モル%、エタノール収率が35g/L−触媒/hであった。
これらの結果から、本発明を適用することで、アルコールの選択率をより高めて、アルコールの合成効率をより高められることが判った。
1 反応管;2 反応床;3 供給管;4 排出管;5 温度制御部;6 圧力制御部;10 製造装置;20 混合ガス:22 合成ガス

Claims (5)

  1. 水素と一酸化炭素とを含む混合ガスからアルコールを合成するアルコール合成用の触媒において、
    一酸化炭素を酸素化物に変換する触媒粒子群αと、アルコール以外の酸素化物をアルコールに変換する触媒粒子群βとを含有する成形体であり、
    前記触媒粒子群αは、触媒金属を担体に担持した触媒金属担持体αが粉砕されてなり、
    前記触媒粒子群βは、触媒金属を担体に担持した触媒金属担持体βが粉砕されてなる、アルコール合成用の触媒。
  2. 前記触媒粒子群αは、触媒金属としてロジウムを含み、前記触媒粒子群βは、触媒金属として銅を含む、請求項1に記載のアルコール合成用の触媒。
  3. 請求項1又は2に記載のアルコール合成用の触媒が充填された反応管と、前記混合ガスを前記反応管内に供給する供給手段と、前記反応管から生成物を排出する排出手段とを備える、アルコールの製造装置。
  4. 請求項1又は2に記載のアルコール合成用の触媒に、前記混合ガスを接触させてアルコールを得る、アルコールの製造方法。
  5. 触媒金属が担体に担持された前記触媒金属担持体αを粉砕して、前記触媒粒子群αを得る第一の粉砕工程と、
    触媒金属が担体に担持された前記触媒金属担持体βを粉砕して、前記触媒粒子群βを得る第二の粉砕工程と、
    前記触媒粒子群αと、前記触媒粒子群βとの混合粉体を得る混合工程と、
    前記混合粉体を任意の形状に成形する成形工程と、を有する、請求項1又は2に記載のアルコール合成用の触媒の製造方法。
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